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JP7467066B2 - 溶接装置および溶接装置の制御方法 - Google Patents

溶接装置および溶接装置の制御方法 Download PDF

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JP7467066B2 JP2019191042A JP2019191042A JP7467066B2 JP 7467066 B2 JP7467066 B2 JP 7467066B2 JP 2019191042 A JP2019191042 A JP 2019191042A JP 2019191042 A JP2019191042 A JP 2019191042A JP 7467066 B2 JP7467066 B2 JP 7467066B2
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Description

本開示は、溶接装置および溶接装置の制御方法に関するものである。
ボイラに用いられる火炉壁などには、内部に水や蒸気が流通する長尺の伝熱管と板状のフィンとが交互に溶接で接続された伝熱パネルが用いられるものがある。そして、伝熱管の耐腐食性を確保するために、伝熱管の表面に耐腐食性材料で螺旋巻溶接を行うことが知られている(例えば、特許文献1(段落0072等)参照)。特許文献1には、素管を回転させながらTIG溶接トーチを送ることで、素管の全周により配管の全周に螺旋巻溶接により耐腐食層を形成することが開示されている。
特開2018-189282号公報
特許文献1に開示される螺旋巻溶接では、長尺の伝熱管に対して溶接トーチが移動するため、溶接トーチの移動方向に沿った各位置で溶接トーチと伝熱管との間の距離などに変動が生じやすい。溶接トーチと伝熱管との間の距離や溶接トーチとの角度などに変動が生じると、溶接トーチと伝熱管の位置関係を精度高く管理することができなくなり、伝熱管の長手方向の各位置での溶接状態に変動が生じてしまい、肉盛厚さや肉盛表面粗度などの許容範囲を設定した溶接仕様を満たすことができない可能性がある。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、肉盛厚さや肉盛表面粗度などの溶接仕様を適切に満たして伝熱管の外周表面に螺旋状の肉盛溶接を行うことが可能な溶接装置および溶接装置の制御方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る溶接装置は、軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行い、前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、前記溶接装置が設置される設置面に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、前記移動機構と前記回転機構と前記肉盛溶接機構とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御する。
本開示の一態様に係る溶接装置の制御方法は、軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置の制御方法であって、前記溶接装置は、前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、前記溶接装置が設置される設置面に対して固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、を備え、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう前記溶接装置を制御する制御工程を備える。
本開示によれば、肉盛厚さや肉盛表面粗度などの溶接仕様を適切に満たして伝熱管の外周表面に螺旋状の肉盛溶接を行うことが可能な溶接装置および溶接装置の制御方法を提供することができる。
本開示の一実施形態に係るガス化炉設備が備えるガス化炉の縦断面図である。 図1に示すガス化炉壁の概略構成を示す横断面図である。 図1に示すガス化炉壁の概略構成を示す拡大断面図である。 本開示の一実施形態に係る溶接装置の側面図であり、伝熱管の外周表面に肉盛溶接を開始した状態を示す。 本開示の一実施形態に係る溶接装置の側面図であり、伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行っている状態を示す。 本開示の一実施形態に係る溶接装置の側面図であり、伝熱管の外周表面への肉盛溶接を終了した状態を示す。 図5に示す溶接装置の部分拡大図である。 図7に示す溶接装置のA-A矢視断面図であり、第1下方支持部を示す図である。 図7に示す溶接装置のB-B矢視断面図であり、第2下方支持部および上方支持機構を示す図である。 図7に示す溶接装置のC-C矢視断面図であり、第3下方支持部を示す図である。 図9に示す上方支持機構の変形例を示す図である。 図4に示す可動台車の内部構造を示す斜視図である。 図4に示す冷却機構を示す概略構成図である。 図7に示す肉盛溶接機構のD-D矢視断面図であり、計測機構が肉盛溶接されていない伝熱管を計測する状態を示す図である。 図7に示す肉盛溶接機構のD-D矢視断面図であり、計測機構が肉盛溶接された伝熱管を計測する状態を示す図である。 図4に示す溶接装置の制御構成を示す概略構成図である。 図9に示す第2下方支持部および上方支持機構の変形例を示す図である。
以下、本開示の一実施形態に係る溶接装置および溶接装置の制御方法について、図面を参照して説明する。本実施形態の溶接装置は、肉盛溶接を行う際に、冷却水(冷却媒体)を円筒状の伝熱管の内部に流通させることにより、伝熱管自身および周囲を冷却して、伝熱管の外周表面に耐腐食性および耐熱性を向上させるための溶接材料を肉盛溶接する装置である。
以下の説明で、上方や下方などの上と下の記載は、鉛直方向での上や下を示すものとする。
本実施形態の溶接装置200により溶接材料が肉盛溶接された伝熱管は、例えば複数の板材に溶接により連結されて伝熱パネルとなる。伝熱パネルは、例えば、ボイラの火炉の内部や、ガス化炉の内部に配置される。以下では、溶接材料が肉盛溶接された伝熱管を用いた伝熱パネルが配置される一例として、ガス化炉について図面を参照して説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るガス化炉の縦断面図である。
図1に示すガス化炉101は、石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)において、主に水素と一酸化炭素を含む生成ガスを生成する装置である。ガス化炉101に供給する燃料としては、例えば、石炭等の炭素含有固体燃料が用いられ、石炭ミル(図示略)などで粉砕することで、細かい粒子状に粉砕した微粉炭が供給される。燃料から可燃性ガス(生成ガス)を生成する燃焼方式として、空気を主とする酸化剤を用いる空気燃焼方式を用いている。ガス化炉101が生成した生成ガスは、発電機を回転駆動するガスタービンの燃焼器に供給される。
図1に示すように、ガス化炉101は、鉛直方向に延びて形成されており、鉛直方向の下方側に微粉炭及び酸素が供給され、部分燃焼させてガス化した生成ガスが鉛直方向の下方側から上方側に向かって流通している。ガス化炉101は、圧力容器110と、圧力容器110の内部に設けられるガス化炉壁111とを有している。ガス化炉壁111として、伝熱管Tを含む伝熱パネルが利用される。
ガス化炉101は、圧力容器110とガス化炉壁111との間の空間にアニュラス部115を形成している。また、ガス化炉101は、ガス化炉壁111の内部の空間において、鉛直方向の下方側(つまり、生成ガスの流通方向の上流側)から順に、コンバスタ部116、ディフューザ部117、リダクタ部118を形成している。
圧力容器110は、内部が中空空間となる筒形状に形成され、上端部にガス排出口121が形成される一方、下端部(底部)にスラグホッパ122が形成されている。ガス化炉壁111は、内部が中空空間となる筒形状に形成され、その壁面が圧力容器110の内面と対向して設けられている。本実施形態では圧力容器110は例えば円筒形状で、ガス化炉壁111のディフューザ部117も例えば円筒形状に形成されている。そして、ガス化炉壁111は、図示しない支持部材により圧力容器110内面に連結されている。
ガス化炉壁111は、圧力容器110の内部を内部空間154と外部空間156に分離する。ガス化炉壁111は、横断面形状がコンバスタ部116とリダクタ部118との間のディフューザ部117で変化する形状とされている。ガス化炉壁111は、鉛直上方側となるその上端部が、圧力容器110のガス排出口121に接続され、鉛直下方側となるその下端部が圧力容器110の底部と隙間を空けて設けられている。
圧力容器110の底部に形成されるスラグホッパ122には、貯留水が溜められており、ガス化炉壁111の下端部が貯留水に浸水することで、ガス化炉壁111の内外を封止している。ガス化炉壁111には、バーナ装置126,127が挿入され、内部空間154にシンガスクーラ102が配置されている。
アニュラス部115は、圧力容器110の内側とガス化炉壁111の外側に形成された空間、つまり外部空間156であり、空気分離設備(図示略)で分離された不活性ガスである窒素が、図示しない窒素供給ラインを通って供給される。このため、アニュラス部115は、窒素が充満する空間となる。なお、このアニュラス部115の鉛直方向の上部付近には、ガス化炉101内を均圧にするための図示しない炉内均圧管が設けられている。炉内均圧管は、ガス化炉壁111の内外を連通して設けられ、ガス化炉壁111の内部(コンバスタ部116、ディフューザ部117及びリダクタ部118)と外部(アニュラス部115)との圧力差を所定圧力以内となるよう略均圧にしている。
コンバスタ部116は、微粉炭及びチャー(石炭の未反応分と灰分)と空気とを一部燃焼させる燃焼室となっており、コンバスタ部116におけるガス化炉壁111には、複数のバーナ装置126からなる燃焼装置が配置されている。コンバスタ部116で微粉炭及びチャーの一部を燃焼した高温の燃焼ガスは、ディフューザ部117を通過してリダクタ部118に流入する。
リダクタ部118は、ガス化反応に必要な高温状態に維持されコンバスタ部116からの燃焼ガスに微粉炭を供給し部分酸化燃焼させて、微粉炭を揮発分(一酸化炭素、水素、低級炭化水素等)へと分解してガス化されて生成ガスを生成する空間となっており、リダクタ部118におけるガス化炉壁111には、複数のバーナ装置127からなる燃焼装置が配置されている。
次に、ガス化炉壁111について図面を参照して説明する。図2は、図1に示すガス化炉壁111の概略構成を示す横断面図である。図3は、図1に示すガス化炉壁111の概略構成を示す拡大断面図である。
ガス化炉壁111の水平方向の断面形状は、多角筒形状や円筒形状の筒形状であるが、図3に示す形態では円筒形状のものの例であり、筒形状となる壁部140に複数の水冷壁管142が設けられている。つまり壁部140の一部に複数の水冷壁管142が同心円状に配置して設けられている。
ガス化炉101は、水冷壁管142内に冷媒(冷却水として給水や蒸気など)を循環させる冷却水循環機構(図示略)を有する。複数の水冷壁管142は、ガス化炉101を全域にわたって鉛直方向に沿って延設されており、一部が切断されることなく鉛直方向上下に伸び、周方向に並設されることで、ガス化炉101の壁部140が形成されている。
図3に示すように、水冷壁管142の少なくとも一部は、伝熱管Tと、伝熱管Tの外周に設けられた溶接ビードWBと、を有する。伝熱管Tは、内部に冷却水が流れる管路である。溶接ビードWBは、伝熱管Tの周方向の全周に配置され、伝熱管Tの外周面を覆っている。溶接ビードWBは、後述する溶接装置200が伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接を行うことで形成される。
壁部140は、水冷壁管142と水冷壁管142との間に板材(フィン)166が設けられている。本実施形態の壁部140は、複数の水冷壁管142を同心円状に配置し、水冷壁管142と水冷壁管142との間を板材166で塞ぐことで、筒形状を形成している。また、壁部140は、水冷壁管142の溶接ビードWBと板材166とを連結する溶接部168を有する。溶接部168は、溶接ビードWBと板材166との接触部分の内部空間154側の端部と、外部空間156側の端部に形成されている。溶接部168は、溶接により形成され、溶接ビードWBと板材166との両方と密着することで、水冷壁管142の溶接ビードWBと板材166とを連結する。
ガス化炉壁111は、伝熱管Tが第1材料で製作され、溶接ビードWBが第2材料で作製されている。また、板材166及び溶接部168は、第2材料で作製されていてもよい。第1材料及び第2材料は、金属である。第2材料は、第1材料よりも耐食性(耐腐食性)が高く、かつ、耐熱性が高い材料である。ガス化炉壁111は、溶接ビードWBを伝熱管Tよりも耐食性が高く、かつ、耐熱性が高い材料で形成することで、伝熱管Tを保護することができる。
具体的には、ガス化炉壁111の内側の可燃性ガスが流れる内部空間154は、酸化剤(酸素を含むガス)と燃料が部分燃焼されてガス化した生成ガスとなって流れ、かつ高温となる。伝熱管Tの内部空間154側の面を溶接ビードWBで覆うことで、伝熱管Tを腐食や高温の使用環境から保護することができる。また、ガス化炉壁111の伝熱管Tや溶接ビードWBや板材166に石炭などのスラグが付着と脱落を発生することで、ガス化炉壁111の壁面の温度変化が発生して、伝熱管Tや溶接ビードWBで温度分布が生じると、材質の違いによる熱膨張差の影響が大きくなり、局部的な熱応力が大きくなる場合があるので溶接ビードWBは耐熱性が高い材料で形成している。
さらにガス化炉壁111のコンバスタ部116、ディフューザ部117、リダクタ部118の内部空間154では、1500℃を越える高温雰囲気であることで温度差は大きくなり易い。このため本実施形態では、ガス化炉壁111の外部空間156側と内部空間154側は、伝熱管Tの軸心と板材166の板厚中心を結ぶ面に対して対称となる同じ形状としてあり、局所的な温度分布が発生しても熱膨張差による熱負荷の増大を抑制することができて、ガス化炉壁111の耐久性を向上できる。
次に、伝熱管Tの外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行う溶接装置200について、図面を参照して説明する。図4は、本開示の一実施形態に係る溶接装置200の側面図であり、伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接を開始して溶接ビードWBが形成され始めた状態を示す。図5は、本開示の一実施形態に係る溶接装置200の側面図であり、伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接を行って溶接ビードWBを形成している状態を示す。図6は、本開示の一実施形態に係る溶接装置200の側面図であり、伝熱管Tの外周表面への肉盛溶接を終了した状態を示す。
図7は、図5に示す溶接装置200の部分拡大図である。図8は、図7に示す溶接装置200のA-A矢視断面図であり、第1下方支持部31を示す図である。図9は、図7に示す溶接装置200のB-B矢視断面図であり、第2下方支持部32および上方支持機構40を示す図である。図10は、図7に示す溶接装置200のC-C矢視断面図であり、第3下方支持部33を示す図である。図11は、図9に示す上方支持機構40の変形例を示す図である。図12は、図4に示す可動台車10の内部構造を示す斜視図である。
図4から図6に示す溶接装置200は、ガス化炉壁111の水冷壁管142に対して、伝熱管Tの外周表面に、溶接材料を螺旋状に肉盛溶接して溶接ビードWBを形成する装置である。図4から図6に示すように、伝熱管Tは、紙面水平方向に延びる軸線Xに沿って配置される円筒状の管体である。図4から図6に示すように、溶接装置200は、可動台車10と、肉盛溶接機構20と、下方支持機構30と、上方支持機構40と、冷却機構50と、計測機構60と、本体部70と、撮像部80と、表示部85と、制御部90と、を備える。
溶接装置200は、伝熱管Tを設置面Sに平行となるように設置面Sから一定の高さに配置して下方支持機構30および上方支持機構40により支持する。溶接装置200は、可動台車10により、伝熱管Tを移動方向MDに沿って所定の速度で移動させながら軸線X回りに所定の回転数で回転させる。溶接装置200は、移動方向MDに沿って移動しながら軸線X回りに回転する伝熱管Tに対して、紙面上方に設置面Sに対して固定した位置に設置された肉盛溶接機構20により肉盛溶接を行う。
図4に示す状態で伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接が開始され、図5に示すように螺旋状に形成される溶接ビードWBの範囲が増加し、図6に示す状態で伝熱管Tの外周表面への肉盛溶接が終了する。溶接装置200は、図4から図6までの動作を実行することにより、伝熱管Tの外周表面に溶接材料を螺旋状に肉盛溶接された溶接ビードWBを形成する。
可動台車10は、伝熱管Tを軸線Xに沿って所定速度で移動させながら所定速度で回転させる機構の一例である。図12に示すように、可動台車10は、伝熱管Tを軸線Xに沿って移動させる移動機構11と、伝熱管Tを軸線X回りに回転させる回転機構12とを備える。
図12に示すように、移動機構11は、移動用モータ11aを駆動させることにより、駆動軸11bに連結された第1ギア11cを駆動軸11bと同軸方向に回転させ、第1ギア11cに係合した第2ギア11dを回転させる。第2ギア11dは、連結軸11eを介して連結された第3ギア11fを回転させる。第3ギア11fは、溶接装置200が設置される設置面Sに対して固定された本体部70に設けられたラックギア71と係合している。そのため、第3ギア11fが回転することにより、移動機構11の台車部11gが本体部70のレール72に沿って移動方向MDに移動する。ここで、移動方向MDは、伝熱管Tの軸線X方向と平行な方向である。
伝熱管Tは、回転機構12により、可動台車10に軸線X回りに回転可能な状態で、移動機構11に対して軸線X方向に移動しないように伝熱管Tの外周表面を固定部12eで保持して固定されている。そのため、移動機構11が軸線Xに沿って移動すると、伝熱管Tもそれに伴って軸線Xに沿って移動する。このように、移動機構11は、移動用モータ11aを回転させることにより、伝熱管Tを軸線Xに沿って移動させる。移動用モータ11aの駆動は、制御部90から伝達される制御信号により制御される。
図12に示すように、回転機構12は、回転用モータ12aを駆動させることにより、駆動軸12bに連結された第1ギア12cを回転させ、第1ギア12cに係合した第2ギア12dを回転させる。第2ギア12dは、伝熱管Tの外周表面を保持して第2ギア12dに対して回転不能に固定される固定部12eと一体となるように連結されている。そのため、第2ギア12dが回転すると、伝熱管Tもそれに伴って軸線X回りに回転する。
このように、回転機構12は、回転用モータ12aを回転させることにより、伝熱管Tを軸線X回りに一定の方向に所定の回転数で回転させる。回転用モータ12aの駆動は、制御部90から伝達される制御信号により制御される。
肉盛溶接機構20は、図7に示すように、軸線X上の所定の溶接位置P0を通過する伝熱管Tの外周表面に溶接材料を供給しながら螺旋状に溶接ビードWBを形成する装置である。肉盛溶接機構20は、溶接装置200が設置される設置面Sに対して本体部70を介して固定されている。肉盛溶接機構20は、例えばタングステン電極21aを有する溶接トーチ21により、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接を行う。肉盛溶接機構20は、制御部90から伝達される制御信号によりタングステン電極21aに電圧を印可して電流を供給することで、タングステン電極21aの先端と伝熱管Tの外周表面との間に溶接電流が流れてアークを形成して温度が上昇する。
溶接トーチ21によって形成されたアークに対して、溶接ワイヤ(溶接材料)が供給されるようになっている。溶接ワイヤは、制御部90から伝達される制御信号によって所定の送給量が供給されるようになっており、溶接ワイヤに電流を流すことによって、ジュール熱で溶接ワイヤが加熱される。本実施形態の溶接ワイヤとしては、例えばインコネル(登録商標)等の固溶強化型ニッケル基合金や高クロム含有合金を含む耐腐食性材料などを用いることができる。
肉盛溶接機構20は、本体部70に固定されているが、伝熱管Tは移動方向MDに沿って移動し、かつ軸線X回りに回転している。そのため、肉盛溶接機構20は本体部70の固定された位置で伝熱管Tへの溶接を行うことで、伝熱管Tの外周表面上に耐腐食性材料が、螺旋状に肉盛溶接される。また、肉盛溶接機構20は本体部70の固定された位置であるために、溶接トーチ21と伝熱管Tの位置関係を精度高く管理することができる。
下方支持機構30は、伝熱管Tを下方から支持する機構であり、設置面Sに対して固定されている。下方支持機構30は、第1下方支持部31と、第2下方支持部32と、第3下方支持部33と、を備える。以下、図面を参照して、下方支持機構30について説明する。図8は、図7に示す溶接装置200のA-A矢視断面図であり、第1下方支持部31を示す図である。図9は、図7に示す溶接装置200のB-B矢視断面図であり、第2下方支持部32および上方支持機構40を示す図である。図10は、図7に示す溶接装置200のC-C矢視断面図であり、第3下方支持部33を示す図である。
第1下方支持部31は、肉盛溶接機構20に最も近接した位置で伝熱管Tの下方を支持し、肉盛溶接機構20が固定される本体部70に対して固定されている。図8に示すように、第1下方支持部31は、伝熱管Tの下方側の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の球体(第1球体)31aと、一対の球体31aのそれぞれを任意方向に回転可能に保持する保持部(第1保持部)31bと、を有する。第1下方支持部31は、一対の球体31aにより、伝熱管Tの下方を周方向に2箇所の異なった位置から挟んだ状態で支持することで、伝熱管Tの中心位置(軸線Xの位置)を一定の位置に保持することができる。
第2下方支持部32は、第1下方支持部31に隣接して配置され、第1下方支持部31よりも軸線Xに沿った伝熱管Tの移動方向MDの上流側(紙面右側)に配置されている。図9に示すように、第2下方支持部32は、伝熱管Tの下方側の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の球体(第1球体)32aと、一対の球体32aのそれぞれを任意方向に回転可能に保持する保持部(第1保持部)32bと、を有する。第2下方支持部32は、一対の球体32aにより、伝熱管Tの下方を周方向に2箇所の異なった位置から挟んだ状態で支持することで、伝熱管Tの中心位置(軸線Xの位置)を一定の位置に保持することができる。
第3下方支持部33は、第1下方支持部31に対して伝熱管Tの移動方向MDの下流側(紙面左側)の複数箇所と、第2下方支持部32に対して伝熱管Tの移動方向MDの上流側(紙面右側)の複数箇所に配置される。図10に示すように、第3下方支持部33は、伝熱管Tの下方側の外周表面、または伝熱管Tの外周表面に溶接ビードWBを形成した状態(水冷壁管142)の下方側の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の球体(第1球体)33aと、一対の球体33aのそれぞれを任意方向に回転可能に保持する保持部(第1保持部)33bと、を有する。第3下方支持部33は、一対の球体33aにより、伝熱管Tの下方を周方向に2箇所の異なった位置から挟んだ状態で支持することで、伝熱管Tの中心位置(軸線Xの位置)を一定の位置に保持することができる。
第3下方支持部33は、伝熱管Tを支持する先端位置の設置面Sに対して直交する方向(紙面上下方向)の距離を調整可能な高さ調整機構(切替機構)33cを備える。高さ調整機構33cは、伝熱管Tを支持する位置に球体33aを保持する支持状態(図6に示す状態)と、伝熱管Tを支持しない位置に球体33aを退避させた退避状態(図4および図5に示す状態)とを切り替え可能な機構である。高さ調整機構33cは、球体33aの先端位置を、設置面Sに対して直交する方向(紙面上下方向)に沿って移動させる機構である。高さ調整機構33cは、例えば、圧縮空気源(図示略)から供給される圧縮空気の圧力によって鉛直方向上下に伸縮して、図示しないストッパで球体33aの先端位置を管理する機構となっている。
第3下方支持部33のうち、第1下方支持部31に対して伝熱管Tの移動方向MDの下流側の複数箇所に配置されるものは、可動台車10の移動方向MDへの移動に際して接触しないように高さ調整機構33cにより球体33aの先端位置を下方側へ退避状態となるように移動させる。伝熱管Tの移動方向MDの最も下流側に配置される第3下方支持部33は、図4および図5に示す状態では、可動台車10が通過していないため、可動台車10との接触を避けるために球体33aの先端位置は退避状態となる。一方、図6に示す状態では、可動台車10が通過しているため、球体33aの先端位置は支持状態となる。
第3下方支持部33のうち、第1下方支持部31に対して伝熱管Tの移動方向MDの上流側の複数箇所に配置されるものは、冷却機構50に接触しないように高さ調整機構33cにより球体33aの先端位置を退避状態となるように下方側へ移動させる。伝熱管Tの移動方向MDの最も上流側に配置される第3下方支持部33は、図4に示す状態では、冷却機構50が通過していないため、球体33aの先端位置は支持状態となる。一方、図5および図6に示す状態では、冷却機構50が通過しているため、冷却機構50との接触を避けるために球体33aの先端位置は退避状態となる。
上方支持機構40は、伝熱管Tを上方から支持する機構であり、肉盛溶接機構20が固定される本体部70に対して固定されている。上方支持機構40は、肉盛溶接機構20よりも伝熱管Tの移動方向MDの上流側かつ肉盛溶接機構20に近接した位置で伝熱管Tを支持することにより、肉盛溶接機構20の溶接トーチ21から伝熱管Tまでの距離や溶接トーチ21との角度など溶接トーチ21と伝熱管Tの位置関係が変動することを抑制する。
ここでは、上方支持機構40が本体部70に固定されるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、上方支持機構40は、本体部70に固定されるのではなく、設置面Sに直接的に設けられた支持機構(例えば、第2下方支持部32の側方から上方に延びる一対の支持柱と、一対の支持柱を水平に連結する梁とを有する門型の機構)により、設置面Sに対して直接的に支持されるものであってもよい。
図7および図9に示すように、上方支持機構40は、伝熱管Tの上方側の外周表面と接触する球体(第2球体)40aと、球体40aのそれぞれを任意方向に回転可能に保持する保持部(第2保持部)40bと、高さ調整機構40cと、を有する。高さ調整機構40cは、伝熱管Tを支持する先端位置の設置面Sに対して直交方向(紙面上下方向)の距離を調整可能な機構である。
高さ調整機構40cは、伝熱管Tを支持する位置に球体40aを保持する支持状態(図9に破線で示す状態)と、伝熱管Tを支持しない位置に球体40aを退避させた退避状態(図9に実線で示す状態)とを切り替え可能な機構である。高さ調整機構40cは、球体33aの先端位置を、設置面Sに対して直交方向(紙面上下方向)に沿って移動させる機構である。高さ調整機構40cは、例えば、圧縮空気源(図示略)から供給される圧縮空気の圧力によって鉛直方向に伸縮する機構となっている。高さ調整機構40cは、伝熱管Tが下方支持機構30により支持された後に、制御部90から伝達される制御信号により、球体40aの位置を退避状態から支持状態に切り替える。また、球体40aの先端位置が支持状態にある場合は、支持状態圧縮空気源(図示略)から供給される圧縮空気の圧力によって上側から下側方向に弾力を保有しつつ押さえるようにしてもよい。
次に、図7を参照して、肉盛溶接機構20と下方支持機構30と上方支持機構40の位置関係について説明する。図7において、肉盛溶接機構20の溶接トーチ21が伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接を行う軸線X上の位置(溶接位置)をP0とする。また、下方支持機構30の第1下方支持部31の球体31aが、肉盛溶接が行われていない伝熱管Tの下方側の外周表面を支持する軸線X上の位置をP1とする。
また、下方支持機構30の第3下方支持部33のうち第1下方支持部31の移動方向MDの下流側に隣接して配置されるものの球体33aが、肉盛溶接が行われた伝熱管Tの下方側の外周表面を支持する軸線X上の位置をP2とする。また、下方支持機構30の第2下方支持部32の球体32aが、肉盛溶接が行われていない伝熱管Tの下方側の外周表面を支持する軸線X上の位置をP3とする。
図7において、軸線Y0はP0を通過して鉛直方向に延びる軸線であり、軸線Y1はP1を通過して鉛直方向に延びる軸線である。また、軸線Y2はP2を通過して鉛直方向に延びる軸線であり、軸線Y3はP3を通過して鉛直方向に延びる軸線である。
P0からP1までの軸線X方向の距離(第1距離)はL1であり、P0からP2までの軸線X方向の距離(第2距離)はL2であり、P1からP3までの軸線X方向の距離はL3である。また、上方支持機構40の球体40aが、肉盛溶接が行われていない伝熱管Tの上方側の外周表面を支持する軸線X上の位置と、P0までの軸線X方向の距離はL4である。ここで、L1,L2,L3,L4は、以下の式(1)の関係を満たす。
L1<L3<L4<L2 (1)
式(1)に示すように、P0からP1までの軸線X方向の距離L1は、P0からP2までの軸線X方向の距離L2よりも短い。そのため、P0よりも伝熱管Tの移動方向MDの上流側に配置される第1下方支持部31は、移動方向MDの下流側に配置される第3下方支持部33よりも溶接位置であるP0に近接した位置P1で伝熱管Tを下方側から支持する。また、P0よりも伝熱管Tの移動方向MDの上流側に配置される第2下方支持部32は、第1下方支持部31よりも溶接位置であるP0から上流側に少し離間した位置P3で伝熱管Tを下方側から支持する。一方、P0よりも伝熱管Tの移動方向MDの下流側に配置される第3下方支持部33は、第1下方支持部31よりも溶接位置であるP0から下流側に離間した位置P2で伝熱管Tの外周表面に溶接ビードWBを形成した状態(水冷壁管142)を下方側から支持する。
P0よりも移動方向MDの上流側では溶接ビードWBが存在しないため、溶接の行われていない伝熱管Tの外周表面を溶接位置P0の近隣のP1と近傍のP3で支持し、肉盛溶接機構20の溶接トーチ21から伝熱管Tまでの距離や溶接トーチ21との角度など溶接トーチ21と伝熱管Tの外周表面との位置関係の変動を抑制することができる。また、移動方向MDの下流側では、肉盛溶接が行われて溶接ビードWBが形成されて表面に凹凸形状のある状態の外周表面を溶接位置P0から離れた位置P2で支持し、凹凸形状が第3下方支持部33を通過する際の振動が肉盛溶接機構20に伝達されることを抑制し、溶接ビードWBの肉厚による軸線Xの微小な位置変動による影響を抑制することができる。
L1は、例えば、10mm以上かつ100mm以下に設定される。L1を10mm以上に設定しているのは、P0で肉盛溶接が行われた高温の溶接ビードWBと第1下方支持部31とが接触しないようにするためである。また、L1を100mm以下に設定しているのは、P0に近接した位置で伝熱管Tを支持することでP0における溶接トーチ21の先端から伝熱管Tの外周表面までの距離や溶接トーチ21との角度の変動を抑制するためである。
L2は、例えば、1000mm以上かつ2500mm以下に設定される。L2を1000mm以上に設定しているのは、伝熱管Tの外周表面に形成される溶接ビードWBの凹凸形状が第3下方支持部33を通過する際の振動が肉盛溶接機構20に伝達されることを抑制し、溶接ビードWBの肉厚分布による軸線Xの微小な位置変動による影響を抑制するためである。また、L2を2500mm以下に設定しているのは、P0からP2までの距離が長すぎると伝熱管Tに部分的に撓みが生じてしまい、伝熱管Tを安定して支持することができなくなるからである。
式(1)に示すように、P1からP3までの軸線X方向の距離L3およびP0からP3までの距離L4は、それぞれL1よりも長くかつL2よりも短い。第2下方支持部32および上方支持機構40は、それぞれP0よりも移動方向MDの上流側に配置されるので溶接ビードWBの凹凸形状がないため、L2よりも短くしても振動による肉盛溶接機構20への影響は少ない。また、第3下方支持部33よりも溶接位置に近接した位置で伝熱管Tを支持することで、溶接トーチ21の先端から伝熱管Tの外周表面までの距離や溶接トーチ21との角度の変動を抑制することができる。
L3は、例えば、100mm以上かつ500mm以下に設定される。L4は、例えば、約300mmに設定され、L1とL3の合計と一致するように設定するのが望ましい。L4をL1とL3の合計と一致させることにより、第2下方支持部32が伝熱管Tを支持する軸線X上の位置と、上方支持機構40が伝熱管Tを支持する軸線X上の位置が一致する。このようにすることで、伝熱管Tを軸線X上の同一位置で上下から確実に支持することができる。
冷却機構50は、伝熱管Tの移動方向MDの上流側端部Tuから冷却水(冷却媒体)を伝熱管T内に流入させるとともに伝熱管Tの移動方向MDの下流側端部Tdから冷却水を伝熱管T内から流出させることにより伝熱管Tを内部から冷却する機構である。図13に示すように、冷却機構50は、流入側配管51と、流出側配管52と、冷却ユニット53と、流量計54と、流入側カップリング55と、流出側カップリング56と、を備える。ここで冷却媒体は、水の他に、熱媒体や機械作動油などの液体や、窒素などの気体を用いてもよい。
冷却機構50は、冷却ユニット53で他の冷却媒体との熱交換等によって冷却される冷却水を、流入側配管51を介して伝熱管Tの上流側端部Tuに流入させる。流入側配管51と伝熱管Tの上流側端部Tuとは、流入側カップリング55により着脱可能に連結されている。伝熱管T内に流入した冷却水は、伝熱管Tの移動方向MDに沿って流れ、肉盛溶接機構20により溶接される位置であるP0を通過して伝熱管Tの下流側端部Tdに導かれる。
溶接位置であるP0の近傍で温度が上昇した冷却水は、伝熱管Tの下流側端部Tdに導かれて、流出側配管52に流出し、冷却ユニット53に導かれる。流出側配管52と伝熱管Tの下流側端部Tdとは、流出側カップリング56により着脱可能に連結されている。このように、冷却水は、冷却ユニット53から吐出された後、流入側配管51、伝熱管T、流出側配管52の順に流れ、再び冷却ユニット53に戻って循環する。
冷却機構50は、伝熱管Tの移動方向MDに沿って、上流側端部Tuから下流側端部Tdに向けて冷却水を流通させる。伝熱管Tの上流側端部TuからP0までの領域は、溶接ビードWBが形成されていない領域である。そのため、冷却ユニット53で冷却された冷却水は、伝熱管Tの中で最も高温となるP0の近傍へは加熱されて温度上昇されない状態で供給され、P0の近傍の伝熱管Tを適切に効率的に冷却することができる。これにより、伝熱管Tの溶接ビードWBが形成時に熱影響による溶け込み量の変化や熱応力による伝熱管Tの反り変形を抑制することができる。
冷却機構50は、流量計54により計測される冷却水の流量を制御部90に伝達する。制御部90は、流量計54が計測する流量が所定の流量範囲に維持されるように、冷却ユニット53を制御する制御信号を冷却ユニット53に伝達する。冷却ユニット53は、制御部90から伝達される制御信号に応じて流入側配管51へ吐出する冷却水の流量を制御する。また、冷却水の流量計54付近に図示しない温度計を設けて、冷却水の流量に加えて温度が所定範囲にあるかを制御してもよい。
制御部90は、流量計54により計測される冷却水の流量が所定の下限値を下回る場合、冷却水による伝熱管Tの冷却が適切に行われないと判断し、肉盛溶接機構20による伝熱管Tの溶接を一時停止するよう肉盛溶接機構20を制御する。
計測機構60は、肉盛溶接機構20が配置されるP0よりも移動方向MDの下流側の計測位置Pmに配置される機構である。計測機構60は、例えば非接触式のセンサを用いることにより、計測位置Pmを通過する伝熱管Tの外径Doを計測する機構である。図14および図15に示すように、計測機構60は、例えば上方側発光部61と、上方側受光部62と、下方側発光部63と、下方側受光部64と、を備える。
例えば上方側発光部61は、軸線Ymと平行な鉛直方向に沿って配列される複数の発光素子を有し、各発光素子が水平方向に沿って上方側受光部62に向けて光を照射する。上方側受光部62は、軸線Ymと平行な鉛直方向に沿って配列される複数の受光素子を有し、各受光素子が上方側発光部61の複数の発光素子から照射される光を受光する。
例えば下方側発光部63は、軸線Ymと平行な鉛直方向に沿って配列される複数の発光素子を有し、各発光素子が水平方向に沿って下方側受光部64に向けて光を照射する。下方側受光部64は、軸線Ymと平行な鉛直方向に沿って配列される複数の受光素子を有し、各受光素子が下方側発光部63の複数の発光素子から照射される光を受光する。
計測機構60は、上方側受光部62が上方側発光部61から照射光を受光した最も下端側にある受光素子の位置と、下方側受光部64が下方側発光部63から照射光を受光した最も上端側にある受光素子の位置とに基づいて、伝熱管Tの外径Doを非接触状態で計測する。計測機構60が計測する伝熱管Tの外径Doは、制御部90に伝達される。制御部90は、計測機構60が計測した伝熱管Tの外径Doを、例えば作業者が視認して、伝熱管Tの溶接ビードWBの肉盛厚さを監視可能なように、表示部85に表示させてもよい。
図14は、計測機構60が肉盛溶接されていない伝熱管Tを計測する状態を示す図である。一方、図15は、計測機構60で溶接ビードWBが肉盛溶接された伝熱管Tを計測する状態を示す図である。図14に示すように、溶接ビードWBが肉盛溶接されていない伝熱管Tの外径Do1よりも、肉盛溶接がされた伝熱管Tの外径Do2の方が大きい。溶接ビードWBの肉盛厚さは、(Do2-Do1)/2となる。
制御部90は、計測機構60から伝達される肉盛溶接がされていない伝熱管Tの外径Do1と肉盛溶接がされた伝熱管Tの外径Do2とに基づいて、溶接ビードWBの肉盛厚さが適切な厚さとなっているかどうかを判断することができる。制御部90は、例えば、溶接ビードWBの肉盛厚さ目標範囲から外れて適切な厚さでないと判断した場合、例えば肉盛厚さが適切な厚さでないことを示す情報を表示部85に表示させる。
また、制御部90は、肉盛溶接機構20による伝熱管Tの肉盛溶接を一時停止するよう肉盛溶接機構20を制御してもよい。このとき、制御部90は、肉盛溶接機構20による伝熱管Tの各種の肉盛溶接条件を設定値との差異の情報を表示部85に表示して、肉盛厚さが適切な厚さから外れた要因を判断し易くするようにしても良い。
本体部70は、溶接装置200が設置される設置面Sに対して固定される筐体である。本体部70には、肉盛溶接機構20と、第1下方支持部31と、上方支持機構40が固定される。また、本体部70は、図12に示すラックギア71およびレール72を備え、可動台車10がレール72に沿って軸線X方向に平行な移動方向MDへ往復移動が可能となっている。
撮像部80は、例えば図7に示すように、溶接トーチ21の先端に設けられるタングステン電極21aの先端と伝熱管Tの外周表面とを含む溶接位置の近傍を撮像する撮像装置である。撮像部80は、撮像した溶接位置の近傍の画像を表示部85に出力することができる。溶接装置200を操作する作業者は、表示部85に表示される画像を目視することで、肉盛溶接機構20により伝熱管Tに形成される溶接ビードWBに異常がないかどうかを確認することができる。溶接位置の近傍の画像は、コントラスト調整やRGBの各出力強度調整を行うことで溶接ビードWBの形成に異常有無を監視しやすいようにしてもよい。作業者は、溶接ビードWBに異常があると判断した場合は、溶接装置200の動作を一時停止させる。また、溶接ビードWBの異常有無の判断は、撮像部80で撮像された画像を制御部90で解析し、異常があると判断した場合は、制御部90からの信号で自動的に溶接装置200の動作を一時停止させてもよい。
制御部90は、図16の制御構成図に示すように、移動機構11と、回転機構12と、肉盛溶接機構20とを含む溶接装置200の各部を制御する装置である。制御部90は、移動機構11が伝熱管Tを軸線Xに沿って移動方向MDに所定の一定の移動速度で移動させ、かつ回転機構12が伝熱管Tを軸線X回りに所定の一定の回転速度で回転させる状態で、肉盛溶接機構20が伝熱管Tの外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御する。
制御部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
本実施形態において、伝熱管Tは、例えば、低合金鋼により形成されている。溶接されていない伝熱管Tの外径Doは、例えば、30mm以上かつ50mm以下である。また、伝熱管Tの軸線Xに沿った長さは、例えば、2000mm以上かつ8000mm以下である。溶接装置200は、伝熱管Tの外周表面に形成される溶接ビードWBの肉盛厚さが、例えば1mm以上かつ2.5mm以下となるように肉盛溶接機構20による溶接を行う。溶接ビードWBの肉盛厚さは、例えば耐腐食性と耐熱性から伝熱管Tを保護することができるものとして設定される。
制御部90は、溶接ビードWBの肉盛厚さが、1mm以上かつ2.5mm以下となるように、移動機構11による伝熱管Tの軸線X方向の所定の移動速度が設定され、回転機構12による軸線X回りの伝熱管Tの所定の回転速度が設定されている。計測機構60から伝達される計測値に基づいた、肉盛溶接がされた伝熱管Tの外径Do2および/または溶接ビードWBの肉盛厚さが目標仕様の範囲内になるよう、伝熱管Tの軸線X方向の移動速度と、軸線X回りの伝熱管Tの回転速度を所定範囲内で制御してもよい。制御部90は、例えば、伝熱管Tの軸線X方向の移動速度(送り速度)が例えば20mm/min以上かつ50mm/min以下となるように移動機構11を制御する。また、制御部90は、例えば、伝熱管Tの軸線X回りの回転速度が例えば5rpm以上かつ10rpm以下となるように回転機構12を制御する。
〔他の実施形態〕
以上の説明において、溶接装置200は、単一の伝熱管Tに螺旋状に肉盛溶接するための単一の肉盛溶接機構20を備えるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、溶接装置200は、2以上の複数の伝熱管Tに螺旋状に肉盛溶接するための複数の肉盛溶接機構20を備えるものとしてもよい。
この場合、溶接装置200は、単一の本体部70に対して可動台車10と、肉盛溶接機構20と、下方支持機構30と、上方支持機構40と、冷却機構50と、計測機構60と、撮像部80と、表示部85とを、伝熱管Tの軸線X方向が略平行な関係になるようにそれぞれ軸線X方向に直交する水平方向に隣接して複数備えるものとなる。この場合、制御部90は、複数設けてもよいし、単一の制御部90ですべてを制御するようにしてもよい。
また、溶接装置200は、隣接する伝熱管Tの間で作業者が複数の肉盛溶接機構20の溶接状態を同時に確認できるように、複数の伝熱管Tの長手方向を一致させた状態で複数の伝熱管Tを隣接させ、作業員に対して伝熱管Tを対称となるように配置してもよい。例えば、長手方向を一致させた状態で4本の伝熱管Tを配置する場合、伝熱管Tを2本ずつ作業員に対して伝熱管Tの軸線X方向と直交する方向に対称に配置してもよい。このようにすることで、作業員が対称に配置された複数の伝熱管Tの溶接状態を同時に確認することができるため、作業員の人数を低減することができる。
また、溶接装置200は、2以上の複数の伝熱管Tに螺旋状に肉盛溶接するための複数の肉盛溶接機構20を備えるものとする場合、各肉盛溶接機構20による溶接状態を撮像部80で撮像した画像を表示する複数の表示部85を、1人の作業員が同時に視認できるように配置してもよい。このようにすることで、作業員一人あたりが監視することができる伝熱管Tの本数が増大するため、生産性の向上が可能となる。
また、図9に示す第2下方支持部32および上方支持機構40は、図17に示す変形例のようにしてもよい。図17に示すように、第2下方支持部32は、伝熱管Tの下方側の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の球体(第1球体)32aと、一対の球体32aのそれぞれを任意方向に回転可能に保持する保持部(第1保持部)32bと、を有する。
第2下方支持部32は、一対の球体32aにより、伝熱管Tの下方を周方向に2箇所の異なった位置から挟んだ状態で支持することで、伝熱管Tの中心位置(軸線Xの位置)を一定の位置に保持することができる。また、上方支持機構40は、伝熱管Tの上方側の外周表面と接触する球体(第2球体)40aと、球体40aのそれぞれを任意方向に回転可能に保持する保持部(第2保持部)40bと、を有する。
以上説明した各実施形態に記載の溶接装置は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る溶接装置(200)は、軸線(X)に沿って配置される円筒状の伝熱管(T)の外周表面に肉盛溶接を行い、前記伝熱管(T)を前記軸線(X)に沿って移動させる移動機構(11)と、前記伝熱管(T)を前記軸線(X)回りに回転させる回転機構(12)と、前記溶接装置(200)が設置される設置面(S)に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置(P0)を通過する前記伝熱管(T)の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構(20)と、前記移動機構(11)と前記回転機構(12)と前記肉盛溶接機構(20)とを制御する制御部(90)と、を備え、前記制御部(90)は、前記移動機構(11)が前記伝熱管(T)を前記軸線(X)に沿って移動させ、かつ前記回転機構(12)が前記伝熱管(T)を前記軸線(X)回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構(20)が前記伝熱管(T)の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御する。
本開示に係る溶接装置によれば、溶接装置が設置される設置面に対して肉盛溶接機構が固定されているため、設置面に対する所定の溶接位置が固定される。そのため、肉盛溶接機構の溶接トーチから伝熱管の外周表面までの距離や溶接トーチとの角度など溶接トーチと伝熱管Tの位置関係の変動が抑制され、伝熱管の長手方向の各位置での溶接状態の変動が抑制される。これにより、肉盛厚さや肉盛表面粗度などの溶接仕様を適切に満たして伝熱管の外周表面にせん状の肉盛溶接を行うことが可能となる。
本開示に係る溶接装置は、前記伝熱管を鉛直下方側から支持する下方支持機構を備え、前記下方支持機構は、前記伝熱管の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の第1球体と、前記第1球体を任意方向に回転可能に保持する第1保持部と、を有する。
本開示に係る溶接装置によれば、下方支持機構が備える一対の第1球体により伝熱管の下方側を外周表面の周方向の2箇所で安定して支持することができる。また、一対の第1球体が任意方向に回転可能であるため、軸線に沿った移動および軸線回りの回転を同時に行う伝熱管に過剰な摩擦力を与えることなく円滑に伝熱管の下方を支持することができる。
本開示に係る溶接装置において、前記下方支持機構は、前記伝熱管を支持する位置に前記第1球体を保持する支持状態と、前記伝熱管を支持しない位置に前記第1球体を退避させる退避状態とを切り替え可能な第1切替機構を備える。
本開示に係る溶接装置によれば、下方支持機構が支持状態と退避状態とを切り替え可能であるため、例えば、伝熱管の端部に他の機構が接続されている場合に、下方支持機構と移動機構など他の機構との干渉を避けるために下方支持機構を必要時に伝熱管から退避させることができる。
本開示に係る溶接装置は、前記伝熱管を上方から支持する上方支持機構を備え、前記上方支持機構は、前記伝熱管の外周表面と接触する第2球体と、前記第2球体を任意方向に回転可能に保持する第2保持部と、前記伝熱管を支持する位置に前記第2球体を保持する支持状態と、前記伝熱管を支持しない位置に前記第2球体を退避させる退避状態とを切り替え可能な第2切替機構を備える。
本開示に係る溶接装置によれば、上方支持機構により、下方側の2点が下方支持機構で支持された伝熱管を更に上方から支持して伝熱管の位置を確実に固定することができる。また、第2球体が任意方向に回転可能であるため、軸線に沿った移動および軸線回りの回転を同時に行う伝熱管に過剰な摩擦力を与えることなく円滑に伝熱管の上方を支持することができる。
さらには、上方支持機構が支持状態と退避状態とを切り替え可能であるため、例えば、伝熱管の端部に他の機構が接続されている場合に、上方支持機構と他の機構との干渉を避けるために上方支持機構を伝熱管から退避させることができる。
本開示に係る溶接装置は、前記溶接位置から前記伝熱管の移動方向の上流側に配置される前記下方支持機構までの前記軸線に沿った第1距離は、前記溶接位置から前記移動方向の下流側に配置される前記下方支持機構までの前記軸線に沿った第2距離よりも短い。
伝熱管の移動方向の上流側に配置される下方支持機構は、下流側に配置される下方支持機構よりも溶接位置に近接した位置に配置される。
そのため、溶接の行われていない伝熱管の外周表面を溶接位置の近傍で支持し、肉盛溶接機構の溶接トーチから伝熱管の外周表面までの距離や溶接トーチとの角度など溶接トーチと伝熱管Tの位置関係の変動を抑制することができる。また、伝熱管の移動方向の下流側に配置される下方支持機構は、上流側に配置される下方支持機構よりも溶接位置から離間した位置に配置される。そのため、溶接が行われて表面に凹凸形状のある伝熱管の外周表面を溶接位置から離れた位置で支持し、凹凸形状が下方支持機構を通過する際の振動が肉盛溶接機構に伝達されることを抑制することができ、また溶接ビードの肉厚分布による伝熱管の軸線位置の微小な位置変動による影響を抑制することができる。
本開示に係る溶接装置は、前記伝熱管の移動方向の上流側の一端から冷却媒体を前記伝熱管内に流入させるとともに前記伝熱管の移動方向の下流側の他端から前記冷却媒体を前記伝熱管内に流出させることにより前記伝熱管を冷却する冷却機構を備える。
本開示に係る溶接装置によれば、溶接位置の近傍で肉盛溶接機構により加熱される伝熱管を冷却媒体により適切に効果的に冷却し、溶接後の熱影響による溶け込み量の変化や熱応力による伝熱管の反り変形などを適切に抑制することができる。
本開示に係る溶接装置は、複数の前記伝熱管を移動させる複数の前記移動機構と、複数の前記伝熱管を回転させる複数の回転機構と、複数の前記伝熱管の外周表面に溶接を行う複数の前記肉盛溶接機構と、を備え、複数の前記伝熱管が、前記軸線方向に直交する水平方向に隣接した状態で配置される。
本開示に係る溶接装置によれば、複数の伝熱配管が、隣接した状態で配置されるため、1人の作業者が複数の肉盛溶接機構による溶接状態を同時に監視することができ、監視に必要な作業者の人数を削減することができる。
本開示に係る溶接装置は、前記溶接位置よりも前記伝熱管の移動方向の下流側の計測位置に配置されるとともに前記計測位置を通過する前記伝熱管の外径を計測する、および/または前記肉盛溶接の厚さを算定する計測機構を備える。
本開示に係る溶接装置によれば、螺旋状の肉盛溶接が行われた伝熱管の外径を測定、および/または肉盛溶接の厚さを算定することにより、伝熱管が肉盛厚さや肉盛表面粗度などの溶接仕様を適切に満たしているかどうかを適切に判断し、溶接仕様が適切になるように伝熱管を移動させる移動機構と伝熱管を回転させる回転機構を制御することができる。
以上説明した実施形態に記載の溶接装置(200)の制御方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る溶接装置(200)の制御方法は、軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置の制御方法であって、前記溶接装置は、前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、前記溶接装置が設置される設置面に対して固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、を備え、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう前記溶接装置を制御する制御工程を備える。
本開示に係る溶接装置(200)の制御方法によれば、溶接装置が設置される設置面に対して肉盛溶接機構が固定されているため、設置面に対する所定の溶接位置が固定される。そのため、肉盛溶接機構の溶接トーチから伝熱管の外周表面までの距離や溶接トーチとの角度など溶接トーチと伝熱管の位置関係の変動が抑制され、伝熱管の長手方向の各位置での溶接状態の変動が抑制される。これにより、肉盛厚さや肉盛表面粗度などの溶接仕様を適切に満たして伝熱管の外周表面にせん状の肉盛溶接を行うことが可能となる。
本開示に係る溶接装置の制御方法において、前記溶接装置は、前記溶接位置よりも前記伝熱管の移動方向の下流側の計測位置に配置されるとともに前記計測位置を通過する前記伝熱管の外径を計測する、および/または前記肉盛溶接の厚さを算定する計測機構(60)を備え、前記制御工程は、前記計測機構により計測された前記伝熱管の外径、および/または前記計測機構により計測された前記肉盛溶接の厚さが所定範囲になるように、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動速度と、前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転速度と、を制御する。
本開示に係る溶接装置の制御方法によれば、計測機構による計測結果に応じて肉盛溶接の厚さが所定範囲になるように伝熱管の移動速度と回転速度とが適切に制御される。
10 可動台車
11 移動機構
12 回転機構
20 肉盛溶接機構
21 溶接トーチ
21a タングステン電極
30 下方支持機構
31 第1下方支持部
31a 球体(第1球体)
32 第2下方支持部
32a 球体(第1球体)
33 第3下方支持部
33a 球体(第1球体)
33c 高さ調整機構(切替機構)
40 上方支持機構
40a 球体(第2球体)
40c 高さ調整機構
50 冷却機構
60 計測機構
70 本体部
80 撮像部
85 表示部
90 制御部
200 溶接装置
MD 移動方向
S 設置面
T 伝熱管
Td 下流側端部
Tu 上流側端部
WB 溶接ビード

Claims (7)

  1. 軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置であって、
    前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、
    前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、
    前記溶接装置が設置される設置面に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、
    前記伝熱管を鉛直下方側から支持する下方支持機構と、
    前記移動機構と前記回転機構と前記肉盛溶接機構とを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御し、
    前記下方支持機構は、
    前記伝熱管の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の第1球体と、
    前記第1球体を任意方向に回転可能に保持する第1保持部と、
    前記伝熱管を支持する位置に前記第1球体を保持する支持状態と、前記伝熱管を支持しない位置に前記第1球体を退避させた退避状態とを切り替え可能な第1切替機構と、を備える溶接装置。
  2. 軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置であって、
    前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、
    前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、
    前記溶接装置が設置される設置面に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、
    前記伝熱管を鉛直下方側から支持する下方支持機構と、
    前記伝熱管を鉛直方向上方側から支持する上方支持機構を備え
    前記移動機構と前記回転機構と前記肉盛溶接機構とを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御し、
    前記下方支持機構は、
    前記伝熱管の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の第1球体と、
    前記第1球体を任意方向に回転可能に保持する第1保持部と、を有し、
    前記上方支持機構は、
    前記伝熱管の外周表面の周方向の2箇所と接触する第2球体と、
    前記第2球体を任意方向に回転可能に保持する第2保持部と、
    前記伝熱管を支持する位置に前記第2球体を保持する支持状態と、前記伝熱管を支持しない位置に前記第2球体を退避させる退避状態とを切り替え可能な第2切替機構と、を有する溶接装置。
  3. 軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置であって、
    前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、
    前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、
    前記溶接装置が設置される設置面に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、
    前記伝熱管を鉛直下方側から支持する下方支持機構と、
    前記移動機構と前記回転機構と前記肉盛溶接機構とを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御し、
    前記下方支持機構は、
    前記伝熱管の外周表面の周方向の2箇所と接触する一対の第1球体と、
    前記第1球体を任意方向に回転可能に保持する第1保持部と、を有し、
    前記溶接位置から前記伝熱管の移動方向の上流側に配置される前記下方支持機構までの前記軸線に沿った第1距離は、前記溶接位置から前記移動方向の下流側に配置される前記下方支持機構までの前記軸線に沿った第2距離よりも短い溶接装置。
  4. 前記伝熱管の移動方向の上流側の一端から冷却媒体を前記伝熱管内に流入させるとともに前記伝熱管の移動方向の下流側の他端から前記冷却媒体を前記伝熱管内から流出させることにより前記伝熱管を冷却する冷却機構を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶接装置。
  5. 複数の前記伝熱管を移動させる複数の前記移動機構と、
    複数の前記伝熱管を回転させる複数の前記回転機構と、
    複数の前記伝熱管の外周表面に溶接を行う複数の前記肉盛溶接機構と、を備え、
    複数の前記伝熱管が、前記軸線方向に直交する水平方向に隣接した状態で配置される請求項1から請求項のいずれか一項に記載の溶接装置。
  6. 軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置であって、
    前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、
    前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、
    前記溶接装置が設置される設置面に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、
    前記溶接位置よりも前記伝熱管の移動方向の下流側の計測位置に配置されるとともに前記計測位置を通過する前記伝熱管の外径を計測する、および/または前記肉盛溶接の厚さを算定する計測機構と、
    前記移動機構と前記回転機構と前記肉盛溶接機構とを制御する制御部と、を備え
    前記制御部は、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御する溶接装置。
  7. 軸線に沿って配置される円筒状の伝熱管の外周表面に肉盛溶接を行う溶接装置の制御方法であって、
    前記溶接装置は、
    前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動機構と、
    前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転機構と、
    前記溶接装置が設置される設置面に対して位置が固定されるとともに所定の溶接位置を通過する前記伝熱管の外周表面に溶接材料を供給しながら溶接する肉盛溶接機構と、
    前記溶接位置よりも前記伝熱管の移動方向の下流側の計測位置に配置されるとともに前記計測位置を通過する前記伝熱管の外径を計測する、および/または前記肉盛溶接の厚さを算定する計測機構と、を備え、
    前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させ、かつ前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる状態で、前記肉盛溶接機構が前記伝熱管の外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう前記溶接装置を制御する制御工程を備え、
    前記制御工程は、前記計測機構により計測された前記伝熱管の外径、および/または前記計測機構により計測された前記肉盛溶接の厚さが所定範囲になるように、前記移動機構が前記伝熱管を前記軸線に沿って移動させる移動速度と、前記回転機構が前記伝熱管を前記軸線回りに回転させる回転速度と、を制御する溶接装置の制御方法。
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