以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動ドライバドリル1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。実施形態において、電動ドライバドリル1は、震動ドライバドリルである。
実施形態において、スピンドル61の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。また、回転方向の一方側を適宜、回転方向前方側、と称し、回転方向の他方側を適宜、回転方向後方側、と称する。
実施形態において、回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向と前後方向とは一致する。
[電動ドライバドリルの概要]
図1は、実施形態に係る電動ドライバドリル1を示す右側面図である。図2は、実施形態に係る電動ドライバドリル1を示す前面図である。図3は、実施形態に係る電動ドライバドリル1を示す後面図である。図4は、実施形態に係る電動ドライバドリル1を示す上面図である。図5は、実施形態に係る電動ドライバドリル1を分解した状態を示す側面図である。
図1、図2、図3、図4、及び図5に示すように、電動ドライバドリル1は、ハウジング100と、ケーシング200と、リヤカバー300と、モータ10と、動力伝達機構3と、出力機構60と、バッテリ装着部2と、コントローラ4と、ライト5とを備える。
また、電動ドライバドリル1は、トリガスイッチ17と、正逆切換レバー18と、速度切換レバー28と、チェンジリング59とを備える。
ハウジング100は、グリップハウジング110と、グリップハウジング110の上方に配置される本体ハウジング120とを含む。グリップハウジング110と本体ハウジング120とは一体である。
ハウジング100は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング100は、左ハウジング100Lと、右ハウジング100Rとを含む。左ハウジング100Lと右ハウジング100Rとは、ねじ6Aにより固定される。左ハウジング100Lと右ハウジング100Rとが固定されることにより、ハウジング100が形成される。
グリップハウジング110は、作業者に握られる。グリップハウジング110は、本体ハウジング120の下部から下方へ突出する。バッテリ装着部2は、グリップハウジング110の下方に配置される。
本体ハウジング120は、筒状である。図5に示すように、ケーシング200の一部は、本体ハウジング120の前部の開口120Aに挿入される。本体ハウジング120の後部の開口120Bは、リヤカバー300で覆われる。図1、図2、及び図4に示すように、ケーシング200は、ねじ6Bにより本体ハウジング120に固定される。図1、図3、及び図4に示すように、リヤカバー300は、ねじ6Cにより本体ハウジング120に固定される。図5に示すように、リヤカバー300は、本体ハウジング120の後部の開口120Bを覆うように配置される。
本体ハウジング120は、吸気口130を有する。リヤカバー300は、排気口140を有する。排気口140は、吸気口130の後方に設けられる。吸気口130は、本体ハウジング120の内部空間と外部空間とを接続する。排気口140は、本体ハウジング120の内部空間と外部空間とを接続する。吸気口130は、本体ハウジング120の左部及び右部のそれぞれに設けられる。排気口140は、リヤカバー300の左部及び右部のそれぞれに設けられる。本体ハウジング120の外部空間の空気は、吸気口130を介して本体ハウジング120の内部空間に流入する。本体ハウジング120の内部空間の空気は、排気口140を介して本体ハウジング120の外部空間に流出する。
モータ10は、出力機構60を回動するための回転力を発生する。モータ10は、本体ハウジング120に収容される。
動力伝達機構3は、モータ10で発生した回転力を出力機構60に伝達する。動力伝達機構3は、複数のギヤを有する。動力伝達機構3は、ケーシング200に収容される。
出力機構60は、動力伝達機構3を介してモータ10から伝達される回転力に基づいて回動する。出力機構60は、動力伝達機構3を介してモータ10から伝達される回転力により回転軸AXを中心に回転するスピンドル61と、先端工具が取り付けられるチャック62とを含む。
バッテリパック7は、バッテリ装着部2に接続される。バッテリ装着部2は、グリップハウジング110の下方に設けられる。バッテリパック7は、バッテリ装着部2に装着される。バッテリパック7は、バッテリ装着部2から着脱可能である。バッテリ装着部2に装着されることにより、バッテリパック7は、電動ドライバドリル1に電力を供給することができる。モータ10は、バッテリパック7から供給される電力に基づいて回動する。
バッテリパック7は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック7は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリパック7は、解除ボタン7Aを有する。解除ボタン7Aは、バッテリ装着部2とバッテリパック7との固定を解除するために操作される。解除ボタン7Aは、バッテリパック7の前面に設けられる。
コントローラ4は、モータ10を制御する制御信号を出力する。コントローラ4は、バッテリ装着部2に収容される。
ライト5は、グリップハウジング110の前部の上部に設けられる。ライト5は、電動ドライバドリル1の前方を照明する照明光を射出する。ライト5は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。ライト5は、左右方向に2つ設けられる。
トリガスイッチ17は、グリップハウジング110に設けられる。トリガスイッチ17は、トリガ部材17Aと、スイッチ本体17Bとを含む。スイッチ本体17Bは、グリップハウジング110に収容される。トリガ部材17Aは、グリップハウジング110の前部の上部から前方に突出する。グリップハウジング110を握った作業者の指によりトリガ部材17Aが操作されることにより、モータ10の回動と停止とが切り換えられる。
正逆切換レバー18は、グリップハウジング110の上部に設けられる。正逆切換レバー18は、左右に移動するように作業者に操作される。正逆切換レバー18が左右に操作されることにより、モータ10の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ10の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル61の回転方向が切り換えられる。
速度切換レバー28は、本体ハウジング120の上部に設けられる。速度切換レバー28は、前後に移動するように作業者に操作される。速度切換レバー28が前後に操作されることにより、スピンドル61の回転速度が第1速度及び第1速度よりも高い第2速度の一方から他方に切り換えられる。
チェンジリング59は、ケーシング200の前方に配置される。チェンジリング59は、作業者に操作される。チェンジリング59が操作されることにより、電動ドライバドリル1の作業モードが切り換えられる。
電動ドライバドリル1の作業モードは、スピンドル61に作用する回転負荷に基づいてスピンドル61に伝達される回転力が遮断されるクラッチモードと、スピンドル61に作用する回転負荷に関わらずスピンドル61に回転力が伝達される非クラッチモードとを含む。非クラッチモードは、スピンドル61が軸方向に震動する震動ドリルモードと、スピンドル61が軸方向に震動しないドリルモードとを含む。
クラッチモードにおいて、チェンジリング59が操作されることにより、スピンドル61に伝達される回転力を遮断する解放値が設定される。解放値は、スピンドル61に作用する回転負荷に係る値である。スピンドル61に作用する回転負荷が解放値に到達したときに、スピンドル61に伝達される回転力が遮断される。
[ケーシング]
図6は、実施形態に係るケーシング200を示す右側面図である。図7は、実施形態に係るケーシング200を示す前面図である。図8は、実施形態に係るケーシング200を示す後面図である。図9は、実施形態に係る電動ドライバドリル1を示す側断面図である。図10は、実施形態に係る電動ドライバドリル1の一部を示す側断面図である。図11は、実施形態に係る動力伝達機構3の後部を示す分解斜視図である。図12は、実施形態に係る動力伝達機構3の前部及び出力機構60を示す分解斜視図である。
例えば図6、図7、及び図8に示すように、ケーシング200は、ブラケット210と、ブラケット210の前方に配置されるギヤケース220と、ギヤケース220の前方に配置されるギヤハウジング230とを有する。チェンジリング59は、ギヤハウジング230の前方に配置される。
例えば図11に示すように、ブラケット210は、円筒部211と、円筒部211の外面から径方向外側に突出する凸部212とを有する。凸部212は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部212にねじ孔が設けられる。
ギヤケース220は、円筒部221と、円筒部221の外面から径方向外側に突出する凸部222とを有する。凸部222は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部222にねじ孔が設けられる。
例えば図12に示すように、ギヤハウジング230は、外筒部231と、外筒部231の外面から径方向外側に突出する凸部232とを有する。凸部232は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部232にねじ孔が設けられる。
ブラケット210とギヤケース220とギヤハウジング230とは、凸部222のねじ孔、凸部212のねじ孔、及び凸部232のねじ孔に配置されるねじ240により固定される。
ギヤハウジング230は、外筒部231の外面に設けられる凹部233と、外筒部231の上部に設けられる突出部234と、外筒部231の外面から径方向外側に突出する凸部241と、外筒部231の下部に設けられる凸部242とを有する。
凹部233にサイドハンドル(不図示)の少なくとも一部が挿入される。凸部241は、凸部232よりも径方向外側に突出する。凸部241にねじ孔が設けられる。凸部242は、外筒部231の下部において左右方向に2つ設けられる。左側の凸部242の下部は、左方に曲げられる。右側の凸部242の下部は、右方に曲げられる。
図1、図2、図3、図4、及び図5に示したように、ケーシング200の少なくとも一部は、本体ハウジング120の前部の開口から本体ハウジング120に挿入される。ケーシング200の少なくとも一部は、本体ハウジング120の前方に配置される。実施形態において、ブラケット210、ギヤケース220、及びギヤハウジング230の後部が、本体ハウジング120の内側に配置される。凸部242は、本体ハウジング120の内面に接触する。凸部242と本体ハウジング120の内面との接触により、本体ハウジング120とケーシング200との分離が抑制される。
本体ハウジング120は、本体ハウジング120の外面から径方向外側に突出する凸部150を有する。凸部150は、周方向に間隔をあけて複数(4つ)設けられる。凸部150にねじ孔が設けられる。本体ハウジング120とケーシング200とは、凸部150のねじ孔、及び凸部241のねじ孔に配置されるねじ6Cにより固定される。
ギヤハウジング230の突出部234は、速度切換レバー28の前方に配置される。速度切換レバー28の前部28Fは、突出部234に対向する。突出部234の後面に孔234Mが設けられる。速度切換レバー28の前部28Fは、突出部234の後面の孔234Mに進入可能である。
スピンドル61の前端部は、チェンジリング59よりも前方に配置される。
[電動ドライバドリルの内部構造の概要]
例えば図9に示すように、スイッチ本体17Bは、グリップハウジング110の内部空間の上部に配置される。スイッチ本体17Bは、トリガ部材17Aに接続される。トリガ部材17Aが後方に引かれるように操作されることにより、スイッチ本体17Bは、モータ10を回動させるための操作信号をコントローラ4に出力する。トリガ部材17Aが操作されることにより、バッテリパック7からモータ10に電力が供給され、モータ10が回動する。モータ10は、スイッチ本体17Bから出力される操作信号に基づいて回動する。
コントローラ4は、バッテリ装着部2の内部空間の下部に配置される。コントローラ4は、モータ10を回動させるための制御回路基板を含む。コントローラ4は、スイッチ本体17Bから出力された操作信号に基づいて、モータ10を回動させる制御信号を出力する。
モータ10は、本体ハウジング120の内部空間に配置される。モータ10の回転軸は、前後方向に延伸する。モータ10の回転軸は、スピンドル61の回転軸AXと一致する。作業者は、トリガスイッチ17を操作することにより、モータ10を起動することができる。作業者は、正逆切換レバー18を操作することにより、モータ10の回転方向を変更することができる。
モータ10は、インナーロータ型のブラシレスモータである。モータ10は、筒状のステータ11と、ステータ11の内側に配置されるロータ12と、ロータ12の内側に配置されロータ12に固定されるロータシャフト13とを有する。
ステータ11は、積層された複数の鋼板を含む固定子鉄心11Aと、固定子鉄心11Aの前部に配置される前側インシュレータ11Bと、固定子鉄心11Aの後部に配置される後側インシュレータ11Cと、前側インシュレータ11B及び後側インシュレータ11Cを介して固定子鉄心11Aに巻かれる複数のコイル11Dと、前側インシュレータ11Bに取り付けられるセンサ回路基板11Eと、前側インシュレータ11Bに支持される結線部材11Fとを有する。センサ回路基板11Eは、ロータ12の回転を検出する複数の回転検出素子を有する。結線部材11Fは、複数のコイル11Dを接続する。結線部材11Fは、リード線を介してコントローラ4に接続される。
ロータ12は、ロータシャフト13の周囲に配置される筒状の回転子鉄心12Aと、回転子鉄心12Aに保持される複数の永久磁石12Bとを有する。
ロータシャフト13は、ロータ12の回転により回転する。ロータシャフト13の回転軸は、スピンドル61の回転軸AXと一致する。ロータシャフト13の前部は、ベアリング14に回転可能に支持される。ロータシャフト13の後部は、ベアリング15に回転可能に支持される。
ロータシャフト13に遠心ファン16が取り付けられる。遠心ファン16は、ベアリング15とステータ11との間のロータシャフト13に取り付けられる。排気口140は、遠心ファン16の周囲の一部に配置される。ロータシャフト13が回転し、遠心ファン16が回転することにより、本体ハウジング120の外部空間の空気は、吸気口130を介して、本体ハウジング120の内部空間に流入する。本体ハウジング120の内部空間の空気は、排気口140を介して、本体ハウジング120の外部空間に排出される。
ロータシャフト13の前端部にピニオンギヤ21Sが設けられる。ロータシャフト13は、ピニオンギヤ21Sを介して、動力伝達機構3に連結される。
動力伝達機構3は、減速機構20と、震動機構30と、クラッチ機構40と、モード切換機構50とを有する。
減速機構20は、ロータシャフト13の回転を減速し、ロータシャフト13よりも低い回転速度でスピンドル61を回転させる。作業者は、速度切換レバー28を操作することにより、減速機構20を操作することができる。
震動機構30は、スピンドル61を軸方向に震動させる。
クラッチ機構40は、スピンドル61に作用する回転負荷が解放値に到達したときに、モータ10からスピンドル61に伝達される回転力を遮断する。
モード切換機構50は、電動ドライバドリル1の作業モードを切り換える。作業者は、チェンジリング59を操作することにより、モード切換機構50を操作することができる。モード切換機構50が操作されることにより、クラッチ機構40及び震動機構30の少なくとも一方が調整される。
チェンジリング59は、回転軸AXを中心に回転可能である。チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、クラッチ機構40が作動するクラッチモードとクラッチ機構40が作動しない非クラッチモードとが切り換えられる。チェンジリング59は、クラッチ機構40及び震動機構30の少なくとも一方を調整するために回転方向に操作される。クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、クラッチ機構40が調整される。クラッチ機構40の調整は、クラッチ機構40の解放値の調整を含む。非クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、震動機構30が調整される。震動機構30の調整は、スピンドル61を震動させるか否かの調整を含む。非クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、震動機構30が作動する震動ドリルモードと震動機構30が作動しないドリルモードとが切り換えられる。
出力機構60は、モータ10から出力され動力伝達機構3により伝達された回転力に基づいて、先端工具が取り付けられた状態で回動する。
[動力伝達機構及び出力機構の構成部品]
例えば図9、図10、図11、及び図12に示すように、ケーシング200は、ブラケット210と、ギヤケース220と、ギヤハウジング230とを有する。
ブラケット210は、上述のように、円筒部211と、凸部212と、円板部213と、孔214と、スリット215と、溝216とを有する。
円筒部211は、回転軸AXの周囲に配置される。上述のように、凸部212は、円筒部211の外面から径方向外側に突出する。円板部213は、円筒部211の後部の開口を覆うように円筒部211に接続される。孔214は、円板部213の中央部に形成される。スリット215は、円筒部211に設けられる。スリット215は、軸方向に延伸する。スリット215は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。溝216は、円筒部211の上部に設けられる。溝216は、前後方向に延伸する。
ギヤケース220は、円筒部221と、凸部222と、リブ223と、突出部224と、ガイド溝225と、スリット226とを有する。
円筒部211は、回転軸AXの周囲に配置される。凸部222は、円筒部221の外面から径方向外側に突出する。リブ223は、円筒部221の前面に設けられる。回転軸AXと直交する面内において、リブ223は、円弧状である。リブ223は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。突出部224は、リブ223の外面から径方向外側に突出する。ガイド溝225は、円筒部221の内面に設けられる。ガイド溝225は、軸方向に延伸する。ガイド溝225は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。スリット226は、円筒部221の後面から前方に延伸するように設けられる。
ギヤハウジング230は、外筒部231と、凸部232と、凹部233と、突出部234と、内筒部235と、リング部236と、ねじ孔237と、貫通孔238と、凹部239と、凸部241と、凸部242とを有する。
外筒部231は、回転軸AXの周囲に配置される。凸部232は、外筒部231の外面から径方向外側に突出する。凹部233は、外筒部231の外面に設けられる。凹部233は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。突出部234は、外筒部231の上部に設けられる。内筒部235は、外筒部231の内側に配置される。内筒部235は、回転軸AXの周囲に配置される。リング部236は、外筒部231と内筒部235とを接続する。ねじ孔237は、内筒部235の前面に設けられる。貫通孔238は、内筒部235の外面と内面とを貫通するように設けられる。貫通孔238は、周方向に複数設けられる。凹部239は、外筒部231の内面に設けられる。凹部239は、前後方向に延伸する。凹部239は、周方向に複数設けられる。凸部241は、外筒部231の外面から径方向外側に突出する。凸部241は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
ブラケット210とギヤケース220とギヤハウジング230とは、ねじ240により固定される。
例えば図9、図10、図11、及び図12に示すように、減速機構20は、第1遊星歯車機構21と、第2遊星歯車機構22と、第3遊星歯車機構23と、速度切換リング24と、結合リング25と、ワッシャ26とを有する。
第1遊星歯車機構21は、インターナルギヤ21Rと、第1キャリア21Cと、プラネタリギヤ21Pと、ニードルベアリング21Nとを有する。
インターナルギヤ21Rは、リング部21Raと、凸部21Rbと、内歯21Rcとを有する。内歯21Rcは、リング部21Raの内面に設けられる。リング部21Raは、回転軸AXの周囲に配置される。凸部21Rbは、リング部21Raの外面から径方向外側に突出する。凸部21Rbは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。第1キャリア21Cは、円板部21Caと、ピン21Cbと、外歯21Ccとを有する。ピン21Cbは、円板部21Caの後面から後方に突出する。ピン21Cbは、周方向に複数設けられる。プラネタリギヤ21Pは、複数設けられる。ピン21Cbは、ニードルベアリング21Nを介して、プラネタリギヤ21Pを回転可能に支持する。外歯21Ccは、円板部21Caの前面の外縁部に設けられる。
第2遊星歯車機構22は、インターナルギヤ22Rと、第2キャリア22Cと、プラネタリギヤ22Pと、サンギヤ22Sとを有する。
インターナルギヤ22Rは、リング部22Raと、外歯22Rbと、内歯22Rcと、溝22Rdとを有する。リング部22Raは、回転軸AXの周囲に配置される。外歯22Rbは、リング部22Raの外面から径方向外側に突出する。外歯22Rbは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。内歯22Rcは、リング部22Raの内面に設けられる。溝22Rdは、リング部22Raの外面の後部に設けられる。溝22Rdは、周方向に延伸する。第2キャリア22Cは、円板部22Caと、ピン22Cbとを有する。ピン22Cbは、円板部22Caの後面から後方に突出する。ピン22Cbは、周方向に複数設けられる。プラネタリギヤ22Pは、複数設けられる。ピン22Cbは、プラネタリギヤ22Pを回転可能に支持する。サンギヤ22Sは、第1キャリア21Cの前方に配置される。サンギヤ22Sの直径は、第1キャリア21Cの直径よりも小さい。第1キャリア21Cとサンギヤ22Sとは一体である。第1キャリア21Cとサンギヤ22Sとは一緒に回転する。
第3遊星歯車機構23は、インターナルギヤ23Rと、第3キャリア23Cと、プラネタリギヤ23Pと、サンギヤ23Sとを有する。
インターナルギヤ23Rは、リング部23Raと、クラッチカム23Rbと、内歯23Rcと、凸部23Rdとを有する。リング部23Raは、回転軸AXの周囲に配置される。クラッチカム23Rbは、リング部23Raの前面から前方に突出する。クラッチカム23Rbは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。内歯23Rcは、リング部23Raの内面に設けられる。凸部23Rdは、リング部23Raの外面から径方向外側に突出する。凸部23Rdは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。周方向において、クラッチカム23Rbの位置と凸部23Rdの位置とは異なる。第3キャリア23Cは、円板部23Caと、ピン23Cbと、凸部23Ccとを有する。ピン23Cbは、円板部23Caの後面から後方に突出する。ピン23Cbは、周方向に複数設けられる。プラネタリギヤ23Pは、複数設けられる。ピン23Cbは、プラネタリギヤ23Pを回転可能に支持する。凸部23Ccは、円板部23Caの前面から前方に突出する。凸部23Ccは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。回転軸AXと直交する面内において、凸部23Ccは円弧状である。サンギヤ23Sの少なくとも一部は、第2キャリア22Cの前方に配置される。サンギヤ23Sの直径は、第2キャリア22Cの直径よりも小さい。第2キャリア22Cとサンギヤ23Sとは一体である。第2キャリア22Cとサンギヤ23Sとは一緒に回転する。
速度切換リング24は、リング部24Aと、連結部24Bと、凸部24Cと、突起部24Dと、突起部24Eと、左右2つのピン24Fとを有する。
リング部24Aは、回転軸AXの周囲に配置される。連結部24Bは、リング部24Aから後方に延伸する。凸部24Cの少なくとも一部は、リング部24Aの外面から径方向外側に突出する。凸部24Cの少なくとも一部は、リング部24Aの後面よりも後方に突出する。突起部24Dは、連結部24Bの後部から径方向外側に突出する。突起部24Eは、連結部24Bの後部から後方に突出する。ピン24Fは、リング部24Aの左右に設けられている孔に挿入される。
結合リング25は、リング部25Aと、内歯25Bと、凸部25Cとを有する。
リング部25Aは、回転軸AXの周囲に配置される。内歯25Bは、リング部25Aの内面に設けられる。内歯25Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部25Cは、リング部25Aの外面から径方向外側に突出する。凸部25Cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
ワッシャ26は、回転軸AXの周囲に配置される。ワッシャ26は、軸方向においてブラケット210の円板部213とプラネタリギヤ21Pとの間に配置される。
例えば図9、図10、図11、及び図12に示すように、震動機構30は、第1カム31と、第2カム32と、震動切換レバー33と、ワッシャ34と、コイルばね35と、ピン36とを有する。
第1カム31は、リング部31Aと、カム歯31Bとを有する。リング部31Aは、回転軸AXの周囲に配置される。カム歯31Bは、リング部31Aの後面に設けられる。
第2カム32は、リング部32Aと、カム歯32Bと、爪32Cとを有する。リング部32Aは、回転軸AXの周囲に配置される。カム歯32Bは、リング部32Aの前面に設けられる。爪32Cは、リング部32Aの後面に設けられる。爪32Cは、第2カム32の後面から後方に突出する。爪32Cは、周方向に複数設けられる。
震動切換レバー33は、本体部33Aと、溝部33Bと、突出部33Cと、爪33Dとを有する。本体部33Aは、回転軸AXの周囲に3つ設けられる。回転軸AXと直交する面内において、本体部33Aは、円弧状である。溝部33Bは、本体部33Aの前面から後方に延伸するように設けられる。回転軸AXと直交する面内において、溝部33Bの開口は、円弧状である。突出部33Cは、溝部33Bの内側に配置される。突出部33Cは、前方に突出する。爪33Dは、本体部33Aの内面から径方向内側に突出する。
ワッシャ34は、回転軸AXの周囲に配置される。
コイルばね35は、震動切換レバー33及びワッシャ34の後方に配置される。コイルばね35は、震動切換レバー33を前方へ移動させる弾性力を発生する。
ピン36は、コイルばね35を支持する。ピン36は、段部36Aを有する段付きピンである。ピン36は、段部36Aよりも前方に配置される大径部と、段部36Aよりも後方に配置される小径部とを有する。
また、震動機構30は、ボール37と、第1保持器38と、第2保持器39とを有する。
ボール37は、回転軸AXの周囲に複数配置される。
第1保持器38は、回転軸AXの周囲に配置される。第1保持器38は、湾曲する後面を有する。ボール37は、湾曲する第1保持器38の後面に保持される。
第2保持器39は、リング部39Aと、凸部39Bと、凹部39Cとを有する。リング部39Aは、回転軸AXの周囲に配置される。凸部39Bは、リング部39Aの外面から径方向外側に突出する。凸部39Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凹部39Cは、周方向において隣り合う凸部39Bの間に配置される。第2保持器39は、湾曲する前面39Dを有する。ボール37は、湾曲する第2保持器39の前面39Dに保持される。
例えば図9、図10、図11、及び図12に示すように、クラッチ機構40は、クラッチ切換リング41と、スプリングホルダ43と、コイルばね44と、ワッシャ45と、クラッチピンスリーブ46と、クラッチピン47とを有する。
クラッチ切換リング41は、リング部41Aと、雌ねじ溝41Bと、ロックレバー保持部41Cと、円弧板41Dとを有する。リング部41Aは、回転軸AXの周囲に配置される。雌ねじ溝41Bは、リング部41Aの内面に設けられる。ロックレバー保持部41Cは、リング部41Aの上部に設けられる。ロックレバー保持部41Cは、第1突起部41Caと第2突起部41Cbとを有する。円弧板41Dは、リング部41Aの前面の下部に設けられる。回転軸AXと直交する面内において、円弧板41Dは、円弧状である。
スプリングホルダ43は、円筒部43Aと、雄ねじ溝43Bと、支持プレート43Cと、ばね保持部43Dと、リブ43Eとを有する。円筒部43Aは、回転軸AXの周囲に配置される。雄ねじ溝43Bは、円筒部43Aの外面に設けられる。支持プレート43Cは、円筒部43Aの後部に設けられる。支持プレート43Cの外端部は、円筒部43Aの外面よりも径方向外側に配置される。ばね保持部43Dは、支持プレート43Cの後面に設けられる。ばね保持部43Dは、円柱状である。ばね保持部43Dは、支持プレート43Cの後面から後方に突出する。ばね保持部43Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。リブ43Eは、円筒部43Aの後面から後方に突出する。
コイルばね44は、ばね保持部43Dに保持される。
ワッシャ45は、リング部45Aと、突出部45Bと、突出部45Cとを有する。リング部45Aは、回転軸AXの周囲に配置される。突出部45Bは、リング部45Aの外面から径方向外側に突出する。突出部45Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。突出部45Cは、リング部45Aの内面から径方向内側に突出する。突出部45Cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
クラッチピンスリーブ46は、円筒部46Aと、突出部46Bとを有する。円筒部46Aは、回転軸AXの周囲に複数設けられる。突出部46Bは、複数の円筒部46Aのそれぞれに設けられる。突出部46Bは、円筒部46Aの前端部に複数設けられる。突出部46Bは、円筒部46Aの前端部から径方向外方に突出する。
クラッチピン47は、クラッチピンスリーブ46に支持される。クラッチピン47の前部は、クラッチピンスリーブ46の円筒部46Aに挿入される。クラッチピン47の前部が円筒部46Aに挿入された状態で、クラッチピン47の後部は、円筒部46Aから後方に突出する。クラッチピン47の後部は、球面状である。
ワッシャ45は、コイルばね44の後方に配置される。クラッチピン47は、ワッシャ45の後方に配置される。コイルばね44は、ワッシャ45及びクラッチピン47を後方へ移動させる弾性力を発生する。
例えば図9、図10、図11、及び図12に示すように、モード切換機構50は、サポートリング51と、ピンホルダ52と、ロックピン53と、ドリル切換リング55と、震動切換リング56と、カムプレート57と、カバーリング58と、ロックレバー42とを有する。
サポートリング51は、リング部51Aと、カム突起51Bと、凸部51Cとを有する。リング部51Aは、回転軸AXの周囲に配置される。カム突起51Bは、リング部51Aの前端部から前方に突出する。カム突起51Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部51Cは、リング部51Aの後端部から後方に突出する。凸部51Cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
ピンホルダ52は、リング部52Aと、凹部52Bと、ばね保持部52Cと、ピン保持部52Dとを有する。リング部52Aは、回転軸AXの周囲に配置される。凹部52Bは、リング部52Aの前端部に設けられる。凹部52Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。ばね保持部52Cの一部は、リング部52Aの内面から径方向内側に突出する。ばね保持部52Cの一部は、後方に突出する。ばね保持部52Cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。ピン保持部52Dは、ロックピン53を保持する。ピン保持部52Dは、リング部52Aの外面から径方向外側に突出する。ピン保持部52Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
ロックピン53は、前後方向に延伸する円柱状である。ロックピン53の前端部に輪状の溝53Aが形成される。ロックピン53は、ピン保持部52Dに保持される。ピン保持部52Dは、溝53Aと係合することにより、ロックピン53を保持する。
ドリル切換リング55は、リング部55Aと、カム凹部55Bと、凹部55Cと、凸部55Dと、凸部55Eとを有する。リング部55Aは、回転軸AXの周囲に配置される。カム凹部55Bは、リング部55Aの後部に設けられる。カム凹部55Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凹部55Cは、リング部55Aの前部に設けられる。凸部55Dは、リング部55Aの内面から径方向内側に突出する。凸部55Eは、リング部55Aの前面から前方に突出する。
震動切換リング56は、リング部56Aと、凹部56Bと、凹部56Cとを有する。リング部56Aは、回転軸AXの周囲に配置される。凹部56Bは、リング部56Aの前部に設けられる。凹部56Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凹部56Cは、リング部56Aの後面に設けられる。凹部56Cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
カムプレート57は、カムプレート前部57Aと、カムプレート後部57Bと、雌ねじ孔57Cと有する。カムプレート後部57Bは、カムプレート前部57Aの後方に配置される。カムプレート前部57Aとカムプレート後部57Bとは一体である。カムプレート後部57Bの外形は、カムプレート前部57Aの外形よりも小さい。ねじ71が雌ねじ孔57Cに配置される。
カムプレート前部57Aは、ノッチ57Dと、ノッチ57Eと、ノッチ57Fとを有する。ノッチ57D、ノッチ57E、及びノッチ57Fは、カムプレート前部57Aの周縁部に設けられる。ノッチ57Dは、1個設けられる。ノッチ57Eは、1個設けられる。ノッチ57Fは、複数設けられる。実施形態において、ノッチ57Fは、21個設けられる。カムプレート前部57Aの周囲の一部に板ばね72が配置される。板ばね72の中央部72Aは、径方向内側に曲げられている。板ばね72の中央部72Aは、ノッチ57D、ノッチ57E、及びノッチ57Fのいずれか一つに配置される。
カバーリング58は、リング部58Aと、突出部58Bと、フック部58Cとを有する。リング部58Aは、回転軸AXの周囲に配置される。突出部58Bは、リング部58Aの外縁部から径方向外側に突出する。フック部58Cは、リング部58Aの外縁部から径方向外側に突出する。フック部58Cは、2つ設けられる。
図13は、実施形態に係るチェンジリング59を示す左後方からの斜視図である。図14は、実施形態に係るチェンジリング59を示す右後方からの斜視図である。チェンジリング59は、操作リング部59Aと、リブ59Bと、第1凹部59Cと、第2凹部59Dとを有する。操作リング部59Aは、回転軸AXの周囲に配置される。リブ59Bは、操作リング部59Aの内面に設けられる。リブ59Bは、操作リング部59Aの内面から径方向内側に突出する。第1凹部59C及び第2凹部59Dのそれぞれは、操作リング部59Aの内面の一部に設けられる。
図15は、実施形態に係るチェンジリング59及びカバーリング58を示す左後方からの斜視図である。図16は、実施形態に係るチェンジリング59及びカバーリング58を示す右後方からの斜視図である。カバーリング58のフック部58Cは、チェンジリング59の第1凹部59Cに挿入される。カバーリング58の突出部58Bは、チェンジリング59の第2凹部59Dに挿入される。これにより、チェンジリング59とカバーリング58との相対回転が規制される。カバーリング58は、チェンジリング59と一緒に回転する。また、カバーリング58により、チェンジリング59の内側に異物が侵入することが抑制される。
ロックレバー42は、レバー部42Dと、スプリング42Cとを有する。レバー部42Dは、筒状の基部42Aと、基部42Aの径方向内側に設けられたフォロワ42Bとを含む。フォロワ42Bは、カムプレート後部57Bに接触する。スプリング42Cは、基部42Aの周囲に配置される。
図17は、実施形態に係る動力伝達機構3を示す側断面図であり、図7のA-A線断面矢視図に相当する。図18は、実施形態に係る動力伝達機構3を示す側断面図であり、図7のB-B線断面矢視図に相当する。
例えば図9、図10、図11、図12、図17、及び図18に示すように、出力機構60は、スピンドル61と、チャック62と、ベアリング63と、ベアリング64とを有する。なお、図11及び図12において、チャック62は図示されていない。
スピンドル61は、フランジ部61Aと、前段部61Bと、中段部61Cと、後段部61Dと、装着部61Eと、スピンドル孔61Fとを有する。前段部61Bは、フランジ部61Aの後方に配置される。
チャック62は、先端工具を保持可能である。チャック62は、スピンドル61の前部に連結される。チャック62とスピンドル61とは、スピンドル孔61Fに挿入されるねじにより連結される。スピンドル61が回転することにより、チャック62が回転する。チャック62は、先端工具を保持した状態で回転する。
ベアリング63及びベアリング64は、ギヤハウジング230に対してスピンドル61を回転可能に支持する。スピンドル61は、ベアリング63及びベアリング64に支持されている状態で、前後方向に移動可能である。
また、出力機構60は、サークリップ65と、ローラ66と、ロックカム67と、ロックリング68と、クリップ69と、コイルばね70とを有する。
ロックカム67は、円筒部67Aと、凸部67Bとを有する。凸部67Bは、円筒部67Aの外面から径方向外側に突出する。凸部67Bは、一対設けられる。ロックカム67の円筒部67Aの孔と、スピンドル61の後段部61Dとは、スプライン結合される。
ロックリング68は、円筒部68Aと、内フランジ部68Bと、外フランジ部68Cと、突出部68Dとを有する。円筒部68Aは、ロックカム67を覆う。内フランジ部68Bは、円筒部68Aの内面の前端部から径方向内側に突出する。外フランジ部68Cは、円筒部68Aの外面の後端部から径方向外側に突出する。突出部68Dは、円筒部68Aの外面から径方向外側に突出する。突出部68Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。突出部68Dの前部は、円筒部68Aの前面から前方に突出する。
クリップ69は、ベアリング63を押える。クリップ69は、ベアリング63の前方に配置される。
コイルばね70は、ベアリング64とフランジ部61Aとの間に配置される。コイルばね70は、スピンドル61を前方に移動させる弾性力を発生する。
[動力伝達機構及び出力機構の内部構造]
<減速機構>
例えば図17及び図18に示すように、第2遊星歯車機構22は、第1遊星歯車機構21の前方に配置される。第3遊星歯車機構23は、第2遊星歯車機構22の前方に配置される。第1遊星歯車機構21の少なくとも一部は、ブラケット210の内側に配置される。第2遊星歯車機構22の少なくとも一部は、ギヤケース220の内側に配置される。第3遊星歯車機構23の少なくとも一部は、ギヤハウジング230の内側に配置される。ベアリング14は、ブラケット210の孔214に配置される。
速度切換リング24の少なくとも一部は、第2遊星歯車機構22の周囲に配置される。結合リング25は、速度切換リング24の前方に配置される。
第1遊星歯車機構21は、ピニオンギヤ21Sの周囲に配置される複数のプラネタリギヤ21Pと、複数のプラネタリギヤ21Pを支持する第1キャリア21Cと、複数のプラネタリギヤ21Pの周囲に配置されるインターナルギヤ21Rとを有する。
インターナルギヤ21Rの凸部21Rbは、ブラケット210のスリット215に配置される。凸部21Rbがスリット215に配置されることにより、インターナルギヤ21Rの回転が規制される。
第1キャリア21Cのピン21Cbは、ニードルベアリング21Nを介してプラネタリギヤ21Pを回転可能に支持する。
第2遊星歯車機構22は、サンギヤ22Sと、サンギヤ22Sの周囲に配置される複数のプラネタリギヤ22Pと、複数のプラネタリギヤ22Pを支持する第2キャリア22Cと、複数のプラネタリギヤ22Pの周囲に配置されるインターナルギヤ22Rとを有する。
インターナルギヤ22Rの内歯22Rcは、第1キャリア21Cの外歯21Ccと噛み合う。
第2キャリア22Cのピン22Cbは、プラネタリギヤ22Pを回転可能に支持する。
第3遊星歯車機構23は、サンギヤ23Sと、サンギヤ23Sの周囲に配置される複数のプラネタリギヤ23Pと、複数のプラネタリギヤ23Pを支持する第3キャリア23Cと、複数のプラネタリギヤ23Pの周囲に配置されるインターナルギヤ23Rとを有する。
第3キャリア23Cのピン23Cbは、プラネタリギヤ23Pを回転可能に支持する。
ロータシャフト13の回転軸と、第1キャリア21Cの回転軸と、第2キャリア22Cの回転軸と、第3キャリア23Cの回転軸とは、一致する。
速度切換リング24は、インターナルギヤ22R及び速度切換レバー28のそれぞれに連結される。速度切換リング24のリング部24Aは、インターナルギヤ22Rの周囲に配置される。速度切換リング24の凸部24Cは、ギヤケース220のガイド溝225に配置される。ガイド溝225は、凸部24Cを軸方向にガイドする。凸部24Cがガイド溝225に配置されることにより、速度切換リング24は、ギヤケース220に支持された状態で軸方向に移動可能である。
速度切換リング24の突起部24Eの少なくとも一部は、ブラケット210の溝216に配置される。突起部24Eの少なくとも一部が溝216に配置されることにより、ブラケット210と速度切換リング24とが回転方向において位置決めされる。また、速度切換リング24の突起部24Dは、速度切換レバー28に連結される。
速度切換リング24とインターナルギヤ22Rとは、左右2つのピン24Fを介して連結される。速度切換リング24のリング部24Aの内側にインターナルギヤ22Rが配置された状態で、リング部24Aの一部に設けられている孔にピン24Fが挿入される。ピン24Fの先端部は、インターナルギヤ22Rの溝22Rdに配置される。これにより、速度切換リング24とインターナルギヤ22Rとが連結される。
結合リング25は、速度切換リング24の前方に配置される。結合リング25は、ギヤケース220の内面に固定される。
結合リング25のリング部25Aは、インターナルギヤ22Rの周囲に配置される。結合リング25の内歯25Bは、インターナルギヤ22Rの外歯22Rbと噛み合う。結合リング25の凸部25Cは、ギヤケース220のリブ223の間に配置される。凸部25Cがリブ223の間に配置されることにより、結合リング25の回転が規制される。
ワッシャ26は、第1遊星歯車機構21のプラネタリギヤ21Pとブラケット210の円板部213との間に配置される。
図19は、実施形態に係る電動ドライバドリル1の一部を示す断面図であり、図9及び図10のC-C線断面矢視図に相当する。図17、図18、及び図19に示すように、速度切換レバー28は、速度切換リング24の突起部24Dに連結される。図19に示すように、突起部24Dの前後にコイルばね27が配置される。速度切換レバー28は、コイルばね27を介して、速度切換リング24に連結される。
速度切換リング24は、インターナルギヤ22Rの周囲に配置される。速度切換リング24は、速度切換レバー28及びインターナルギヤ22Rのそれぞれに連結される。速度切換レバー28は、速度切換リング24を介してインターナルギヤ22Rに連結される。速度切換リング24は、ギヤケース220に支持された状態で前後方向に移動可能である。
インターナルギヤ22Rは、速度切換レバー28の操作により、ギヤハウジング230の内側において、前後方向に移動する。インターナルギヤ22Rは、プラネタリギヤ22Pに噛み合った状態で、第1位置と、第1位置よりも後方の第2位置との間を移動可能である。
インターナルギヤ22Rは、第1位置に配置されている状態で、結合リング25に連結される。インターナルギヤ22Rが第1位置に配置されることにより、インターナルギヤ22Rの外歯22Rbと結合リング25の内歯25Bとが噛み合う。インターナルギヤ22Rの外歯22Rbと結合リング25の内歯25Bとが噛み合うことにより、インターナルギヤ22Rの回転が規制される。また、インターナルギヤ22Rは、第1位置に配置されている状態で、プラネタリギヤ22Pに噛み合う。
インターナルギヤ22Rは、第2位置に配置されている状態で、結合リング25から離れる。インターナルギヤ22Rが結合リング25から離れることにより、インターナルギヤ22Rの回転が許容される。また、インターナルギヤ22Rは、第2位置に配置されている状態で、第1キャリア21Cに連結される。インターナルギヤ22Rが第2位置に配置されることにより、インターナルギヤ22Rの内歯22Rcと第1キャリア21Cの外歯21Ccとが噛み合う。すなわち、インターナルギヤ22Rは、第2位置に配置されている状態で、プラネタリギヤ22P及び第1キャリア21Cの両方に噛み合う。
インターナルギヤ22Rが第1位置に配置されている状態で、モータ10の回動によりロータシャフト13が回転すると、ピニオンギヤ21Sが回転し、プラネタリギヤ21Pがピニオンギヤ21Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ21Pの公転により、第1キャリア21C及びサンギヤ22Sは、ロータシャフト13の回転速度よりも低い回転速度で回転する。サンギヤ22Sが回転すると、プラネタリギヤ22Pがサンギヤ22Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ22Pの公転により、第2キャリア22C及びサンギヤ23Sは、第1キャリア21Cの回転速度よりも低い回転速度で回転する。このように、インターナルギヤ22Rが第1位置に配置されている状態において、モータ10が回動すると、第1遊星歯車機構21の減速機能及び第2遊星歯車機構22の減速機能の両方が発揮され、第2キャリア22C及びサンギヤ23Sは、第1速度で回転する。
インターナルギヤ22Rが第2位置に配置されている状態で、モータ10の回動によりロータシャフト13が回転すると、ピニオンギヤ21Sが回転し、プラネタリギヤ21Pがピニオンギヤ21Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ21Pの公転により、第1キャリア21C及びサンギヤ22Sは、ロータシャフト13の回転速度よりも低い回転速度で回転する。インターナルギヤ22Rが第2位置に配置されている状態で、インターナルギヤ22Rはプラネタリギヤ22P及び第1キャリア21Cの両方に噛み合うため、インターナルギヤ22Rと第1キャリア21Cとは一緒に回転する。インターナルギヤ22Rの回転により、プラネタリギヤ22Pは、インターナルギヤ22Rの回転速度と同じ公転速度で公転する。プラネタリギヤ22Pの公転により、第2キャリア22C及びサンギヤ23Sは、第1キャリア21Cの回転速度と同じ回転速度で回転する。このように、インターナルギヤ22Rが第2位置に配置されている状態において、モータ10が回動すると、第1遊星歯車機構21の減速機能は発揮されるものの、第2遊星歯車機構22の減速機能は発揮されず、第2キャリア22C及びサンギヤ23Sは、第2速度で回転する。
サンギヤ23Sの少なくとも一部は、第2キャリア22Cの前方に配置される。第2キャリア22Cの円板部22Caは、開口22Ccを有する。サンギヤ23Sの少なくとも一部は、開口22Ccに配置される。第2キャリア22Cとサンギヤ23Sとは一体である。第2キャリア22Cとサンギヤ23Sとは一緒に回転する。第2キャリア22C及びサンギヤ23Sが回転すると、プラネタリギヤ23Pがサンギヤ23Sの周囲を公転する。プラネタリギヤ23Pの公転により、第3キャリア23Cが回転する。出力機構60のスピンドル61は、第3キャリア23Cに連結される。第3キャリア23Cの回転により、スピンドル61が回転する。
<震動機構>
図17及び図18に示すように、第1カム31は、内筒部235の内側に配置される。第1カム31は、スピンドル61の周囲に配置される。第1カム31は、スピンドル61に固定される。第1カム31は、サークリップ65により、ベアリング64に接触しない。第1カム31は、スピンドル61に圧入されることによりスピンドル61に固定される。第1カム31は、スピンドル61に回転不能に固定される。第1カム31の後面にカム歯31Bが設けられる。
第2カム32は、内筒部235の内側に配置される。第2カム32は、第1カム31の後方に配置される。第2カム32は、スピンドル61の周囲に配置される。第2カム32は、スピンドル61と相対回転可能である。第2カム32は、第1カム31に接触可能である。第2カム32の前面にカム歯32Bが設けられる。第2カム32の前面のカム歯32Bは、第1カム31の後面のカム歯31Bに噛み合うことができる。第2カム32の後面に爪32Cが設けられる。
震動切換レバー33は、スピンドル61が軸方向に震動する震動ドリルモードと、スピンドル61が軸方向に震動しないドリルモードとを切り換える。震動切換レバー33は、前後方向に移動可能である。震動切換レバー33は、チェンジリング59の操作により移動可能である。震動切換レバー33は、前進位置と前進位置よりも後方の後退位置との間を前後方向に移動することにより、震動ドリルモードとドリルモードとを切り換える。
震動切換レバー33は、震動切換リング56の後方に配置される。震動切換レバー33は、内筒部235の外周側に配置される。震動切換レバー33の爪33Dは、震動切換レバー33の後部から径方向内側に突出する。爪33Dは、内筒部235の貫通孔238に挿入される。爪33Dは、第2カム32の後面と対向する。
ワッシャ34は、震動切換レバー33の後方に配置される。コイルばね35は、ワッシャ34の後方に配置される。ピン36は、コイルばね35を支持する。ピン36の後部は、ギヤハウジング230に設けられている孔243に配置される。コイルばね35の前端部は、ピン36の前部に設けられている大径部に接触する。コイルばね35は、ワッシャ34を介して、震動切換レバー33へ前方に移動させる弾性力を発生する。
ボール37と、ボール37を保持する第1保持器38及び第2保持器39とは、内筒部235の内側に配置される。第1保持器38は、第2カム32の後面に隣接する。第2保持器39の凸部39Bが内筒部235の内面に設けられている凹部に挿入されることにより、第2保持器39の回転が規制されている。震動切換レバー33の爪33Dは、第2保持器39の凹部39Cに配置される。
チェンジリング59は、モード切換機構50を介して、震動切換レバー33に連結される。作業者によりチェンジリング59が操作されることにより、震動切換レバー33が前進位置と後退位置との間を前後方向に移動する。チェンジリング59が操作されることにより、震動ドリルモードとドリルモードとが切り換えられる。
震動ドリルモードは、第2カム32の回転が規制される状態である。ドリルモードは、第2カム32の回転が許容される状態である。震動切換レバー33が前進位置に移動すると、第2カム32の回転が規制される。震動切換レバー33が後退位置に移動すると、第2カム32の回転が許容される。
チェンジリング59は、震動切換リング56に連結される。震動切換レバー33の溝部33Bに震動切換リング56のリング部56Aが配置される。震動切換リング56は、チェンジリング59が操作されることにより回転する。コイルばね35の弾性力が震動切換レバー33に付与されている状態で、作業者の操作によりチェンジリング59が回転し、震動切換リング56が回転すると、震動切換レバー33の溝部33Bの内側に配置されていた突出部33Cが、震動切換リング56の凹部56Cに進入する。震動切換レバー33の突出部33Cが震動切換リング56の凹部56Cに配置されることにより、震動切換レバー33は前進位置に移動する。また、作業者の操作によりチェンジリング59が回転し、震動切換リング56が回転すると、震動切換レバー33の溝部33Bの内側に配置されていた突出部33Cが、震動切換リング56の凹部56Cから退去する。震動切換レバー33の突出部33Cが震動切換リング56の凹部56Cに配置されないことにより、震動切換レバー33は後退位置に移動する。
震動ドリルモードにおいては、前進位置に移動した震動切換レバー33の少なくとも一部が第2カム32に接触する。実施形態においては、前進位置に移動した震動切換レバー33の爪33Dが第2カム32の爪32Cに接触する。震動切換レバー33と第2カム32とが接触することにより、第2カム32の回転が規制される。第2カム32の回転が規制されている状態で、作業者により先端工具が作業対象に押し付けられると、コイルばね70が圧縮され、チャック62及びスピンドル61を介して第1カム31が後方に移動する。第1カム31が後方に移動した状態で、モータ10が回動すると、スピンドル61に固定されている第1カム31のカム歯31Bと、回転が規制されている第2カム32のカム歯32Bとが接触しながら、スピンドル61が回転する。これにより、スピンドル61は、軸方向に震動しながら回転する。
ドリルモードにおいては、後退位置に移動した震動切換レバー33が第2カム32から離れる。震動切換レバー33と第2カム32とが離れることにより、第2カム32の回転が許容される。第2カム32の回転が許容されている状態で、作業者が先端工具を相手材料に押し付けることで、チャック62及びスピンドル61を介して、第1カム31が後方へと移動させるようにして、コイルばね70が圧縮して、モータ10が回動すると、第2カム32は、第1カム31及びスピンドル61と一緒に回転する。これにより、スピンドル61は、軸方向に震動することなく回転する。
このように、チェンジリング59が操作され、震動切換レバー33の少なくとも一部が第2カム32に接触するように震動切換レバー33が前進位置に移動することにより、震動機構30は、震動ドリルモードに切り換えられる。チェンジリング59が操作され、震動切換レバー33が第2カム32から離れるように震動切換レバー33が後退位置に移動することにより、震動機構30は、ドリルモードに切り換えられる。
<クラッチ機構>
図20は、実施形態に係る動力伝達機構3の一部を示す断面図である。図21は、実施形態に係る動力伝達機構3の一部を示す後方からの斜視図である。
例えば図17、図18、図20、及び図21に示すように、クラッチ切換リング41は、スプリングホルダ43の周囲に配置される。クラッチ切換リング41は、チェンジリング59と一緒に回転する。チェンジリング59は、モード切換機構50を介して、クラッチ切換リング41に連結される。クラッチ切換リング41は、チェンジリング59の径方向内側においてリブ59Bの後方側に配置される。クラッチ切換リング41の円弧板41Dは、チェンジリング59の第1凹部59Cに配置される。円弧板41Dがチェンジリング59の第1凹部59Cに挿入されることにより、クラッチ切換リング41とチェンジリング59との相対回転が規制される。クラッチ切換リング41は、チェンジリング59と一緒に回転する。作業者によりチェンジリング59が回転操作されることにより、クラッチ切換リング41が回転する。
スプリングホルダ43は、コイルばね44を保持する。スプリングホルダ43は、クラッチ切換リング41の内側に配置される。スプリングホルダ43は、軸方向に移動可能である。スプリングホルダ43は、クラッチ切換リング41に設けられている雌ねじ溝41Bと結合される雄ねじ溝43Bを有する。作業者の回転操作によりチェンジリング59が回転し、クラッチ切換リング41が回転することにより、スプリングホルダ43は、前後方向(軸方向)に移動する。
コイルばね44は、クラッチ機構40の解放値を調整する弾性部材である。コイルばね44は、圧縮コイルばねである。コイルばね44が圧縮されるほど、コイルばね44が発生する弾性力(復元力)は大きくなる。コイルばね44は、第3遊星歯車機構23のインターナルギヤ23Rに弾性力を付与する。コイルばね44からインターナルギヤ23Rに弾性力が付与されることにより、クラッチ機構40の解放値が調整される。
コイルばね44は、スプリングホルダ43のばね保持部43Dに保持される。図20に示すように、コイルばね44の後端部は、ワッシャ45に接触する。コイルばね44の前端部は、スプリングホルダ43の支持プレート43Cに接触する。コイルばね44は、ワッシャ45及びクラッチピン47を介して、インターナルギヤ23Rに弾性力を付与する。コイルばね44は、ワッシャ45及びクラッチピン47を後方へ付勢する弾性力を発生する。
スプリングホルダ43及びコイルばね44は、外筒部231と内筒部235との間に配置される。スプリングホルダ43の支持プレート43Cは、外筒部231の内面に設けられている凹部239に配置される。支持プレート43Cが凹部239に配置されることにより、スプリングホルダ43の回転が規制される。
ワッシャ45は、コイルばね44の後方に配置される。ワッシャ45は、前後方向に移動可能である。ワッシャ45は、回転可能である。ワッシャ45は、内筒部235の周囲に配置される。ワッシャ45は、内筒部235の周囲において、前後方向に移動可能であり、回転可能である。
クラッチピンスリーブ46は、ワッシャ45の後面に接触する。クラッチピン47は、クラッチピンスリーブ46の円筒部46Aの内側に配置される。
クラッチピン47は、ワッシャ45の後方に配置される。クラッチピン47は、第3遊星歯車機構23のインターナルギヤ23Rの前面に接触する。クラッチピン47の後端部は、球面状である。クラッチピン47の前端部は、ワッシャ45の後面に接触する。クラッチピン47の後端部は、インターナルギヤ23Rの前面に接触可能である。インターナルギヤ23Rの前面にクラッチカム23Rbが設けられる。クラッチピン47の後端部は、インターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbと係合可能である。
コイルばね44は、ワッシャ45及びクラッチピン47を介して、インターナルギヤ23Rに弾性力を付与する。コイルばね44は、ワッシャ45及びクラッチピン47を後方へ付勢する弾性力を発生する。
ロックカム67は、スピンドル61の周囲に配置される。ロックリング68は、ロックカム67の周囲に配置される。第3キャリア23Cの凸部23Ccは、ロックカム67とロックリング68との間の空間に配置される。ローラ66は、一対の凸部23Ccの間に配置される。内筒部235は、ロックリング68の周囲に配置される。クラッチピン47は、内筒部235の周囲に配置される。
コイルばね44の弾性力は、ワッシャ45及びクラッチピン47を介してインターナルギヤ23Rに伝達される。コイルばね44は、インターナルギヤ23Rの前面にクラッチピン47を押し付けるように、弾性力を発生する。インターナルギヤ23Rにクラッチピン47が押し付けられることにより、インターナルギヤ23Rの回転が規制される。すなわち、コイルばね44の弾性力によって、インターナルギヤ23Rの回転が規制される。
インターナルギヤ23Rにクラッチピン47が押し付けられることにより、例えば図20に示すように、インターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbとクラッチピン47とが係合する。
出力機構60に作用する回転負荷が、コイルばね44からインターナルギヤ23Rに付与される弾性力よりも小さい場合、クラッチピン47は、インターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbを乗り越えることができず、クラッチピン47とインターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbとの係合が継続される。クラッチピン47とインターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbとの係合により、インターナルギヤ23Rの回転が規制される。インターナルギヤ23Rの回転が規制された状態で、モータ10が回動することにより、スピンドル61は回転する。
出力機構60に作用する回転負荷が、コイルばね44からインターナルギヤ23Rに付与される弾性力を超えた場合、コイルばね44が圧縮され、クラッチピン47が前方に移動する。これにより、クラッチピン47は、インターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbを乗り越え、クラッチピン47とインターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbとの係合が解除される。クラッチピン47とインターナルギヤ23Rのクラッチカム23Rbとの係合の解除により、インターナルギヤ23Rの回転が許容される。インターナルギヤ23Rの回転が許容された状態で、モータ10が回動することにより、インターナルギヤ23Rが空転し、スピンドル61は回転しない。
このように、インターナルギヤ23Rが回転可能な状態であっても、出力機構60に作用する回転負荷がコイルばね44からインターナルギヤ23Rに付与される弾性力よりも小さい場合、コイルばね44の弾性力によって、インターナルギヤ23Rの回転が規制される。一方、インターナルギヤ23Rが回転可能な状態において、出力機構60に作用する回転負荷がコイルばね44からインターナルギヤ23Rに付与される弾性力を超えた場合、インターナルギヤ23Rは、回転する。これにより、モータ10から出力機構60に伝達される回転力が遮断される。
チェンジリング59が回転操作されることにより、スプリングホルダ43が前後方向に移動する。スプリングホルダ43の移動により、コイルばね44の長さ(圧縮量)が変化する。すなわち、スプリングホルダ43の移動により、コイルばね44の弾性力が調整され、インターナルギヤ23Rに付与される弾性力が変更される。これにより、出力機構60に伝達される回転力を遮断するときの解放値が設定される。
実施形態においては、クラッチモードにおいて、コイルばね44が伸張されることにより、クラッチ機構40の解放値が小さくなる。クラッチモードにおいて、コイルばね44が圧縮されることにより、クラッチ機構40の解放値が大きくなる。
<モード切換機構>
図17及び図18に示すように、サポートリング51は、スプリングホルダ43の径方向内側に配置される。震動切換レバー33は、サポートリング51の内側に配置される。ピンホルダ52は、サポートリング51の後方に配置される。ピンホルダ52は、前後方向に移動可能である。
ロックピン53は、クラッチ機構40が作動するクラッチモードとクラッチ機構40が作動しない非クラッチモードとを切り換えるように移動するクラッチオフ部材である。ロックピン53は、第3遊星歯車機構23のインターナルギヤ23Rの回転を規制する。ロックピン53は、ピンホルダ52のピン保持部52Dに保持される。ピン保持部52Dは、ロックピン53の前端部を保持する。ピンホルダ52が軸方向に移動することにより、ロックピン53は、軸方向に移動する。ロックピン53が軸方向に移動することにより、インターナルギヤ23Rの回転が規制される状態から回転が許容される状態に変化する。また、ロックピン53が軸方向に移動することにより、インターナルギヤ23Rの回転が許容される状態から回転が規制される状態に変化する。ロックピン53は、インターナルギヤ23Rの回転を許容する許容位置とインターナルギヤ23Rの回転を規制する規制位置との間を軸方向に移動する。ロックピン53が後方に移動して規制位置に配置されると、ロックピン53の後端部がインターナルギヤ23Rの凸部23Rdの間に挿入される。これにより、インターナルギヤ23Rの回転がロックピン53により規制される。ロックピン53が前方に移動して許容位置に配置されると、ロックピン53がインターナルギヤ23Rの凸部23Rdの間から抜去される。ロックピン53は、回転不能なので、インターナルギヤ23Rの回転が許容される。
ロックピン53は、チェンジリング59の操作により移動する。チェンジリング59は、クラッチ機構40及びロックピン53の少なくとも一方を調整するために回転方向に操作される。チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、ロックピン53が調整される。ロックピン53の調整は、ロックピン53の位置の調整を含む。
ロックピン53は、チェンジリング59の操作により、インターナルギヤ23Rの回転を許容する許容位置とインターナルギヤ23Rの回転を規制する規制位置との間を移動可能である。ロックピン53の位置の調整は、許容位置と規制位置との調整を含む。クラッチモードは、ロックピン53が許容位置に配置される状態である。非クラッチモードは、ロックピン53が規制位置に配置される状態である。
ドリル切換リング55は、サポートリング51の前方に配置される。ドリル切換リング55は、チェンジリング59及びスプリングホルダ43の径方向内側に配置される。
震動切換リング56は、震動切換レバー33の前方に配置される。震動切換リング56は、ドリル切換リング55の内側に配置される。
ドリル切換リング55と震動切換リング56とは、一緒に回転する。ドリル切換リング55の凸部55Dは、震動切換リング56の凹部56Bに配置される。凸部55Dが凹部56Bに配置されることにより、ドリル切換リング55と震動切換リング56との相対回転が規制される。
カムプレート57は、ねじ71により内筒部235に固定される。ねじ71は、内筒部235のねじ孔237に結合される。カムプレート57の周縁部は、チェンジリング59のリブ59Bの前方に配置される。
カバーリング58は、カムプレート57のカムプレート前部57Aの主に外周部の周囲に配置される。上述のように、カバーリング58のフック部58Cは、チェンジリング59の第1凹部59Cに挿入される。カバーリング58の突出部58Bは、チェンジリング59の第2凹部59Dに挿入される。これにより、チェンジリング59とカバーリング58との相対回転が規制される。カバーリング58は、チェンジリング59と一緒に回転する。カバーリング58は、ノッチ(57D,57E,57F)の一部又は全部を前方から覆う。
カバーリング58のフック部58Cがチェンジリング59の第1凹部59Cに配置され、カバーリング58の突出部58Bがチェンジリング59の第2凹部59Dに配置されることにより、チェンジリング59の内側及びケーシング200の内部空間に異物が侵入することが抑制される。カバーリング58は、例えばノッチ(57D,57E,57F)を介して異物が侵入することを抑制する。
チェンジリング59は、内筒部235の外周側に配置される。チェンジリング59は、クラッチ切換リング41に連結される。チェンジリング59は、回転軸AXを中心に回転可能である。
図22は、実施形態に係るモード切換機構50を示す断面図であり、図17のD-D線断面矢視図に相当する。図23、図24、及び図25のそれぞれは、実施形態に係るモード切換機構50の一部を示す後方からの斜視図である。図26、図27、図28、及び図29のそれぞれは、実施形態に係るモード切換機構50の一部を示す前方からの斜視図である。図24は、図23からチェンジリング59を除いた図に相当する。図25は、図24からドリル切換リング55を除いた図に相当する。図27は、図26からカムプレート57を除いた図に相当する。図28は、図27からチェンジリング59を除いた図に相当する。図29は、ドリル切換リング55、ロックレバー42、及び板ばね72を抽出した図に相当する。
図22から図29に示すように示すように、カムプレート前部57Aは、1個のノッチ57D、1個のノッチ57E、及び複数個のノッチ57Fを有する。板ばね72の中央部72Aは、ノッチ57D、ノッチ57E、及びノッチ57Fの少なくとも一つに配置される。
カムプレート後部57Bは、小径部57Gと、大径部57Hと、小径部57Gと大径部57Hとを結ぶスロープ部57Iとを有する。
ロックレバー42の少なくとも一部は、ドリル切換リング55の凹部55Cに挿入可能である。ロックレバー42は、ドリル切換リング55に設けられている凹部55Cに挿入可能なレバー部42Dと、レバー部42Dを径方向内側に移動させる弾性力を発生するスプリング42Cとを有する。レバー部42Dは、カムプレート後部57Bの周縁部に接触する。
ロックレバー42の一部は、クラッチ切換リング41のロックレバー保持部41Cに保持される。ロックレバー42の一部は、チェンジリング59の孔に配置される。
レバー部42Dの内端部(先端部)であるフォロワ42Bは、カムプレート後部57Bに接触する。スプリング42Cは、レバー部42Dを径方向内側に移動させる弾性力を発生する。チェンジリング59が回転することにより、レバー部42Dは、カムプレート後部57Bの周縁部に接触しながら径方向に移動する。
ドリル切換リング55は、チェンジリング59の内側に配置される。ロックレバー42は、チェンジリング59とドリル切換リング55とが一緒に回転する同期状態と、一緒に回転しない非同期状態とを切り換える。
ロックレバー42は、チェンジリング59に径方向に移動可能に支持される。ロックレバー42は、レバー部42Dと、スプリング42Cとを有する。レバー部42Dは、筒状の基部42Aと、基部42Aの径方向内側に設けられたフォロワ42Bとを含む。スプリング42Cは、基部42Aの周囲に配置される。レバー部42Dの内端部であるフォロワ42Bは、カムプレート後部57Bに接触する。
カムプレート57は、ねじ71により内筒部235に固定される。カムプレート57は、回転しない。チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、ロックレバー42は、チェンジリング59と一緒に回転する。ロックレバー42は、フォロワ42Bがカムプレート後部57Bに接触されている状態で、チェンジリング59と一緒に回転する。周方向におけるカムプレート後部57Bに対するフォロワ42Bの接触位置に基づいて、ロックレバー42のレバー部42Dが径方向に移動する。レバー部42Dが径方向外側に移動したとき、スプリング42Cは圧縮される。
レバー部42Dは、カムプレート後部57Bの周縁部に接触しながらカムプレート後部57Bの周囲を周回することにより、ドリル切換リング55の凹部55Cに挿入される挿入状態と凹部55Cから抜去される抜去状態とに変化する。レバー部42Dは、径方向内側に移動したとき、ドリル切換リング55の凹部55Cに挿入される挿入状態になる。図22は、挿入状態のレバー部42Dを示す。レバー部42Dが挿入状態において、チェンジリング59とドリル切換リング55とは、レバー部42Dを介して一緒に回転する。レバー部42Dは、径方向外側に移動したとき、ドリル切換リング55の凹部55Cから径方向外側に抜去される抜去状態になる。レバー部42Dが抜去状態において、チェンジリング59は、ドリル切換リング55の周囲を滑り、チェンジリング59とドリル切換リング55とは、一緒に回転しない。
レバー部42Dが挿入状態になることにより、チェンジリング59とドリル切換リング55とが一緒に回転する同期状態になる。レバー部42Dが抜去状態になることにより、チェンジリング59とドリル切換リング55とが一緒に回転しない非同期状態になる。同期状態は、挿入状態である。非同期状態は、抜去状態である。ロックレバー42は、カムプレート後部57Bの周縁部に接触しながら周方向に移動することにより、径方向に移動する。ロックレバー42が径方向に移動することにより、同期状態(挿入状態)と非同期状態(抜去状態)とが切り換えられる。
ドリル切換リング55は、チェンジリング59の回転により、ロックピン53がインターナルギヤ23Rの回転を許容する許容位置とインターナルギヤ23Rの回転を規制する規制位置との間を移動するように回転する。同期状態(挿入状態)において、チェンジリング59が回転方向に操作されることにより、ロックピン53が許容位置と規制位置との間を移動する。
上述のように、クラッチモードは、ロックピン53が許容位置に配置される状態である。非クラッチモードは、ロックピン53が規制位置に配置される状態である。クラッチモードは、チェンジリング59とドリル切換リング55とが一緒に回転しない非同期状態(抜去状態)である。非クラッチモードは、チェンジリング59とドリル切換リング55とが一緒に回転する同期状態(挿入状態)である。
ドリル切換リング55は、ロックレバー42よりも回転方向前方側に配置され、チェンジリング59の少なくとも一部に接触可能な凸部55Eを有する。凸部55Eは、ドリル切換リング55の前面から前方に突出する。
チェンジリング59は、凸部55Eが配置されるノッチ59Nを有する。ノッチ59Nは、凸部55Eよりも回転方向後方側に配置され凸部55Eに接触可能な端面59Tを有する。凸部55Eと端面59Tとが接触した状態で、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、ドリル切換リング55は、チェンジリング59と一緒に回転方向前方側に回転する。チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより、ドリル切換リング55の凸部55Eとチェンジリング59の端面59Tとは離れることができる。
<出力機構>
スピンドル61は、第3キャリア23Cに連結される。第3キャリア23Cの回転により、スピンドル61が回転する。
スピンドル61は、ベアリング63及びベアリング64により回転可能に支持される。スピンドル61は、ベアリング63及びベアリング64に支持されている状態で、前後方向に移動可能である。
チャック62は、スピンドル61の前部に連結される。チャック62は、先端工具を保持可能である。チャック62は、スピンドル61の前部に連結される。スピンドル61が回転することにより、チャック62が回転する。チャック62は、先端工具を保持した状態で回転する。
ベアリング64は、スピンドル61の前段部61Bの外側に配置される。コイルばね70は、ベアリング64とフランジ部61Aとの間に配置される。コイルばね70は、サークリップ65をベアリング64に押し付ける弾性力を発生する。これにより、スピンドル61が前方位置に配置される。
ロックカム67は、スピンドル61の周囲に配置される。ロックカム67の円筒部67Aの孔とスピンドル61の後段部61Dとはスプライン結合される。スピンドル61とロックカム67と第3キャリア23Cとは一緒に回転する。
クリップ69は、ベアリング63を押さえる。クリップ69は、ギヤハウジング230の内筒部235の内面に設けられた溝に支持される。
<チェンジリングの回転方向と作業モードとの関係>
図30は、実施形態に係るチェンジリング59を示す前方からの斜視図である。図30に示すように、チェンジリング59に、作業モードを示すシンボルが設けられる。シンボルは、クラッチモードを示すシンボル81と、ドリルモードを示すシンボル82と、震動ドリルモードを示すシンボル83とを含む。シンボル81は、クラッチモードにおける解放値を最大値に設定するためのシンボル81Aと、最小値に設定するためのシンボル81Bとを含む。また、ケーシング200に指標マーク80が設けられる。作業者は、チェンジリング59を回転方向に操作することにより、作業モードを選択することができる。例えばクラッチモードにおいて、解放値を最大値にする場合、作業者は、シンボル81Aと指標マーク80とが一致するようにチェンジリング59を回転方向に操作する。クラッチモードにおいて、解放値を最小値にする場合、作業者は、シンボル81Bと指標マーク80とが一致するようにチェンジリング59を回転方向に操作する。ドリルモードにする場合、作業者は、シンボル82と指標マーク80とが一致するようにチェンジリング59を回転方向に操作する。震動ドリルモードにする場合、作業者は、シンボル83と指標マーク80とが一致するようにチェンジリング59を回転方向に操作する。
実施形態において、クラッチ機構40の解放値は、21段階で設定可能である。作業者は、クラッチモードにおいて、チェンジリング59を回転することにより、21段階で解放値を設定することができる。
実施形態においては、例えば図25に示すように、カムプレート前部57Aに、1個のノッチ57D、1個のノッチ57E、及び21個のノッチ57Fが設けられる。ノッチ57Fは、第1のノッチ57F1から第21のノッチ57F21により構成される。なお、便宜上、図25においては、第1のノッチ57F1、第4のノッチ57F4、第8のノッチ57F8、第12のノッチ57F12、第16のノッチ57F16、第20のノッチ57F20、及び第21のノッチ57F21のみの符号を示す。
板ばね72の中央部72Aがノッチ57Dに配置される状態において、シンボル83と指標マーク80とが一致するように、回転方向におけるカムプレート57とチェンジリング59との相対位置が設定されている。
板ばね72の中央部72Aがノッチ57Eに配置される状態において、シンボル82と指標マーク80とが一致するように、回転方向におけるカムプレート57とチェンジリング59との相対位置が設定されている。
板ばね72が第1のノッチ57F1に配置されている状態で、シンボル81Bと指標マーク80とが一致するように、回転方向におけるカムプレート57とチェンジリング59との相対位置が設定されている。板ばね72が第21のノッチ57F21に配置されている状態で、シンボル81Aと指標マーク80とが一致するように、回転方向におけるカムプレート57とチェンジリング59との相対位置が設定されている。作業者は、板ばね72が配置されるノッチ57Fが1つずつずれるようにチェンジリング59を回転することにより、21段階で解放値を設定することができる。
すなわち、板ばね72の中央部72Aがノッチ57Dに配置されると、電動ドライバドリル1の作業モードは、ドリルモードに設定される。板ばね72の中央部72Aがノッチ57Eに配置されると、電動ドライバドリル1の作業モードは、震動ドリルモードに設定される。板ばね72の中央部72Aがノッチ57Fに配置されると、電動ドライバドリル1の作業モードは、クラッチモードに設定される。クラッチモードにおいて、板ばね72の中央部72Aが第1のノッチ57F1に配置されると、クラッチ機構40の解放値は、最小値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第2のノッチ57F2に配置されると、クラッチ機構40の解放値は、最小値よりも1段階高い値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第3のノッチ57F3に配置されると、クラッチ機構40の解放値は、最小値よりも2段階高い値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第nのノッチ57Fnに配置されると、クラッチ機構40の解放値は、最小値よりもn段階高い値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第21のノッチ57F21に配置されると、クラッチ機構40の解放値は、最大値に設定される。
図31は、実施形態に係るチェンジリング59の回転方向と作業モードとの関係を説明するための模式図である。図30及び図31に示すように、クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、クラッチ機構40の解放値が徐々に小さくなる。クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより、クラッチ機構40の解放値が徐々に大きくなる。
上述のように、クラッチ機構40の解放値は、コイルばね44の長さ(圧縮量)により調整される。コイルばね44は、クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなり、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより解放値が大きくなるように弾性変形する。
実施形態において、コイルばね44は、クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなるように伸張され、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより解放値が大きくなるように圧縮される。
実施形態においては、クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることによりコイルばね44が伸張され、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることによりコイルばね44が圧縮されるように、クラッチ切換リング41の雌ねじ溝41Bとスプリングホルダ43の雄ねじ溝43Bとが定められている。
クラッチモードの状態から、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、クラッチ機構40は、ドリルモードに切り換えられる。
ドリルモードの状態から、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、震動機構30は、震動ドリルモードに切り換えられる。
震動ドリルモードの状態から、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより、ドリルモードに切り換えられる。
ドリルモードの状態から、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより、クラッチモードに切り換えられる。
なお、実施形態においては、クラッチモードにおいて解放値が最大値を示す位置が、回転方向におけるチェンジリング59の可動範囲の一端部である。震動ドリルモードを示す位置が、回転方向におけるチェンジリング59の可動範囲の他端部である。実施形態において、チェンジリング59は、解放値が最大値である位置から回転方向後方側に回転することができない。チェンジリング59は、震動ドリルモードである位置から回転方向前方側に回転することができない。
このように、チェンジリング59は、回転方向の第1範囲において操作されることにより、クラッチ機構40を調整可能であり、第1範囲よりも回転方向前方側の第2範囲において操作されることにより、ロックピン53を調整可能である。回転方向の第1範囲は、複数(21個)のノッチ57Fの少なくとも一つに板ばね72の中央部72Aが配置される範囲を含む。回転方向の第2範囲は、ノッチ57Eに板ばね72の中央部72Aが配置される範囲を含む。第1範囲におけるクラッチ機構40の調整は、クラッチ機構40の解放値の調整を含む。第2範囲におけるロックピン53の調整は、ロックピン53の許容位置と規制位置との調整を含む。
また、チェンジリング59は、回転方向の第1範囲において操作されることにより、クラッチ機構40を調整可能であり、第1範囲よりも回転方向前方側の第3範囲において操作されることにより、震動機構30を調整可能である。回転方向の第3範囲は、ノッチ57Dに板ばね72の中央部72Aが配置される範囲を含む。第3範囲における震動機構30の調整は、スピンドル61を震動させるか否かの調整を含む。
コイルばね44は、回転方向の第1範囲において、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなり、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより解放値が大きくなるように弾性変形する。
[作業モードの切換]
上述のように、チェンジリング59が操作されることにより、電動ドライバドリル1の作業モードが変更される。作業モードは、震動ドリルモード、ドリルモード、及びクラッチモードを含む。
震動ドリルモードとは、出力機構60が前後方向に震動し、且つ、クラッチ機構40による回転力の伝達の遮断が実施されないモードである。例えば、先端工具を用いて対象物に穴をあけるときに震動ドリルモードが選択される。
ドリルモードとは、出力機構60が前後方向に震動せず、且つ、クラッチ機構40による回転力の伝達の遮断が実施されないモードである。例えば、先端工具を用いて対象物に穴をあけるときにドリルモードが選択される。
クラッチモードとは、出力機構60が前後方向に震動せず、且つ、クラッチ機構40による回転力の伝達の遮断が実施されるモードである。例えば、先端工具を用いて対象物にねじを締め付けるときにクラッチモードが選択される。
震動ドリルモードに設定する場合、作業者は、チェンジリング59が回転方向の第3範囲に配置されるように、チェンジリング59を操作する。
ドリルモードに設定する場合、作業者は、チェンジリング59が回転方向の第2範囲に配置されるように、チェンジリング59を操作する。
クラッチモードに設定する場合、作業者は、チェンジリング59が回転方向の第1範囲に配置されるように、チェンジリング59を操作する。
<クラッチモードからドリルモードへの移行>
図32は、実施形態に係るクラッチモードにおける電動ドライバドリル1の状態を示す図である。図33は、実施形態に係るクラッチモードからドリルモードに移行するときの電動ドライバドリル1の状態を示す図である。図34は、実施形態に係るドリルモードにおける電動ドライバドリル1の状態を示す図である。図32は、クラッチモードにおいて解放値が最小値に設定されている電動ドライバドリル1の状態を示す。図33は、クラッチモードからドリルモードに移行する直前の電動ドライバドリル1の状態を示す。図32(A)、図33(A)、及び図34(A)のそれぞれは、図17のD-D線断面図を前方から見た図に相当する。図32(B)、図33(B)、及び図34(B)のそれぞれは、図22に示したE-E線断面図に相当する。図32(C)、図33(C)、及び図34(C)のそれぞれは、ドリル切換リング55、震動切換レバー33、及びサポートリング51を抽出した図に相当する。
上述のように、チェンジリング59が操作され、板ばね72の中央部72Aが第1のノッチ57F1に配置されることにより、クラッチモードにおいて解放値が最小値に設定される。図32に示すように、ロックレバー42は、ドリル切換リング55の凹部55Cから抜去される抜去状態になる。コイルばね44は、伸張される。ロックピン53は、インターナルギヤ23Rの回転を許容する許容位置に配置される。
クラッチ機構40は、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、クラッチモードからドリルモード(非クラッチモード)に切り換えられる。クラッチモードからドリルモードに移行する場合、作業者は、チェンジリング59が回転方向の第2範囲に配置されるように、チェンジリング59を回転方向前方側に操作する。チェンジリング59が回転方向前方側に操作されると、板ばね72の中央部72Aがノッチ57Eに配置される。図33に示すように、ロックレバー42は、ドリル切換リング55の凹部55Cに挿入される挿入状態になる。
図27等に示したように、ドリル切換リング55は、ロックレバー42よりも回転方向前方側に配置され、チェンジリング59の少なくとも一部に接触可能な凸部55Eを有する。実施形態において、チェンジリング59は、凸部55Eが配置されるノッチ59Nを有する。ノッチ59Nは、凸部55Eよりも回転方向後方側に配置され凸部55Eに接触可能な端面59Tを有する。凸部55Eと端面59Tとが接触した状態で、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、ドリル切換リング55は、チェンジリング59と一緒に回転方向前方側に回転する。
ドリル切換リング55とチェンジリング59とが一緒に回転すると、ロックレバー42は、レバー部42Dがカムプレート後部57Bの大径部57Hに接触している状態から小径部57Gに対向する状態に変化する。レバー部42Dがカムプレート後部57Bの大径部57Hに接触している状態から小径部57Gに対向する状態に変化すると、スプリング42Cの弾性力により、レバー部42Dは、径方向内側に移動する。これにより、レバー部42Dは、大径部57Hに接触している状態から、スロープ部57Iに接触する状態を経た後、小径部57Gとスロープ部57Iとの境界に接触する状態に変化する。レバー部42Dが径方向内側に移動することにより、レバー部42Dがドリル切換リング55の凹部55Cに挿入される挿入状態に変化する。
このように、ドリル切換リング55の凸部55Eとチェンジリング59の少なくとも一部とが接触した状態で、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、チェンジリング59とドリル切換リング55とは、抜去状態(非同期状態)から挿入状態(同期状態)に変化する。
チェンジリング59が操作され、板ばね72の中央部72Aがノッチ57Eに配置されることにより、電動ドライバドリル1の作業モードは、ドリルモードに設定される。図34に示すように、ロックレバー42は、ドリル切換リング55の凹部55Cに挿入された挿入状態である。ロックピン53は、インターナルギヤ23Rの回転を規制する規制位置に配置される。震動切換レバー33は、第2カム32から離れる後退位置に配置される。ロックレバー42は、カムプレート後部57Bの小径部57Gとスロープ部57Iとの境界に接触する。
震動切換レバー33が後退位置に移動することにより、第2カム32の回転が許容される。上述のように、第2カム32の回転が許容されている状態においては、スピンドル61に固定されている第1カム31と第2カム32とは一体で回転する。これにより、スピンドル61は、軸方向に震動することなく回転する。
<ドリルモードから震動ドリルモードへの移行>
図35は、実施形態に係る震動ドリルモードにおける電動ドライバドリル1の状態を示す図である。図35(A)は、図17のD-D線断面図を後方から見た図に相当する。図35(B)は、図35(A)のE-E線断面図に相当する。図35(C)は、ドリル切換リング55、震動切換レバー33、及びサポートリング51を抽出した図に相当する。
ドリルモードから震動ドリルモードに移行する場合、作業者は、チェンジリング59が第3範囲に配置されるように、チェンジリング59を回転方向前方側に操作する。チェンジリング59が回転方向前方側に操作されると、板ばね72の中央部72Aがノッチ57Dに配置される。図35に示すように、ロックレバー42は、ドリル切換リング55の凹部55Cに挿入された挿入状態である。ロックピン53は、インターナルギヤ23Rの回転を規制する規制位置に配置される。震動切換レバー33は、第2カム32に接触する前進位置に配置される。ロックレバー42は、カムプレート後部57Bの小径部57Gに接触する。
震動切換レバー33が前進位置に移動することにより、第2カム32の回転が規制される。上述のように、第2カム32の回転が規制されている状態においては、スピンドル61に固定されている第1カム31と、回転が規制されている第2カム32とが接触しながら、スピンドル61が回転する。これにより、スピンドル61は、軸方向に震動しながら回転する。
なお、震動ドリルモードからドリルモードに移行する場合、作業者は、チェンジリング59が回転方向の第3範囲から第2範囲に配置されるように、チェンジリング59を回転方向後方側に操作する。チェンジリング59が第2範囲に配置されている状態で、ロックレバー42のレバー部42Dがドリル切換リング55の凹部55Cに挿入される挿入状態になる。これにより、チェンジリング59とドリル切換リング55とはロックレバー42を介して連結される。ドリル切換リング55は、チェンジリング59と一緒に回転する同期状態になる。
このように、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより、チェンジリング59とドリル切換リング55とは、同期状態(挿入状態)から非同期状態(抜去状態)に変化する。
<クラッチモード>
図36及び図38のそれぞれは、実施形態に係るクラッチモードにおける電動ドライバドリル1の状態を示す図である。図36(A)及び図38(A)のそれぞれは、図22に示したE-E線断面図に相当する。図36(B)及び図38(B)のそれぞれは、図17のD-D線断面図を後方から見た図に相当する。図37は、実施形態に係るクラッチモードにおける電動ドライバドリル1の状態を示す拡大図である。図37は、図36(B)のG部分拡大図に相当する。図36は、クラッチモードにおいて解放値が最小値に設定されている電動ドライバドリル1の状態を示す。図38は、クラッチモードにおいて解放値が最大値に設定されている電動ドライバドリル1の状態を示す。
上述のように、解放値は、チェンジリング59の回転量に基づいて調整される。作業者は、チェンジリング59を回転して、複数のノッチ57Fのうち板ばね72の中央部72Aが配置されるノッチ57Fを選択することにより、解放値を調整することができる。実施形態においては、ノッチ57Fが21個設けられている。板ばね72の中央部72Aが配置されるノッチ57Fが選択され、コイルばね44の圧縮量が調整されることにより、解放値が調整される。
第1のノッチ57F1に板ばね72の中央部72Aが配置されるようにチェンジリング59が操作されることにより、コイルばね44の圧縮量が調整され、インターナルギヤ23Rに付与される弾性力が調整される。第1のノッチ57F1に板ばね72の中央部72Aが配置されることにより、クラッチ機構40の解放値は、最小値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第2のノッチ57F2に配置されるようにチェンジリング59が操作されることにより、クラッチ機構40の解放値は、最小値よりも1段階高い値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第3のノッチ57F3に配置されるようにチェンジリング59が操作されることにより、クラッチ機構40の解放値は、最小値よりも2段階高い値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第nのノッチ57Fnに配置されるようにチェンジリング59が操作されることにより、クラッチ機構40の解放値は、最小値よりもn段階高い値に設定される。板ばね72の中央部72Aが第21のノッチ57F21に配置されるようにチェンジリング59が操作されることにより、クラッチ機構40の解放値は、最大値に設定される。
[動作]
次に、実施形態に係る電動ドライバドリル1の動作の一例について説明する。バッテリ装着部2にバッテリパック7が装着されると、バッテリパック7から電動ドライバドリル1に電力が供給される。バッテリパック7から電動ドライバドリル1に電力が供給されている状態で、トリガ部材17Aが操作されると、スイッチ本体17Bから操作信号が出力される。コントローラ4は、スイッチ本体17Bから出力された操作信号に基づいて、モータ10に駆動電流を供給する。モータ10に電流が供給されることにより、ロータシャフト13が回転する。
ロータシャフト13の回転により、動力伝達機構3を介して、スピンドル61が回転する。スピンドル61の回転により、チャック62が回転する。チャック62の回転により、チャック62に取り付けられている先端工具が回転する。
ロータシャフト13の回転により、遠心ファン16が回転する。遠心ファン16の回転により、モータ10の周囲を空気が流通する。モータ10の周囲を空気が流通することにより、モータ10が冷却される。モータ10の周囲を流通した空気は、排気口140から排出される。
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、1つのチェンジリング59を回転方向に操作するだけで、作業モードの切り換え及びクラッチ機構40の解放値の切り換えを操作性良く実施することができる。チェンジリング59は、回転方向の第1範囲において操作されることにより、クラッチモードにおいて、クラッチ機構40の解放値を調整することができる。チェンジリング59は、回転方向の第2範囲において操作されることにより、ロックピン53(クラッチオフ部材)の位置を調整して、作業モードをクラッチモード及び非クラッチモード(ドリルモード)の一方から他方に切り換えることができる。チェンジリング59は、回転方向の第3範囲において操作されることにより、非クラッチモードにおいて、震動切換レバー33の位置を調整して、作業モードをドリルモード及び震動ドリルモードの一方から他方に切り換えることができる。
クラッチモードにおいて、クラッチ機構40の解放値がコイルばね44により調整される。コイルばね44は、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなり、チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより解放値が大きくなるように弾性変形する。チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、作業モードがクラッチモードから非クラッチモードに切り換えられる。すなわち、図31を参照して説明したように、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、作業モードが、[クラッチモード(解放値最大)]→[クラッチモード(解放値最小)]→[非クラッチモード(ドリルモード)]の順に移行する。チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、クラッチモードにおいて解放値が徐々に小さくなった後、作業モードがクラッチモードから非クラッチモードに移行される。作業モードをクラッチモードから非クラッチモードに移行させるとき、チェンジリング59の回転抵抗は小さい。したがって、作業者は、クラッチモードと非クラッチモードとの切り換えを操作性良く実施することができる。また、非クラッチモードにおいて、作業モードをドリルモードから震動ドリルモードに移行させるときにおいても、チェンジリング59の回転抵抗は小さい。したがって、作業者は、ドリルモードと震動ドリルモードとの切り換えを操作性良く実施することができる。
すなわち、クラッチモードにおいて、コイルばね44は、チェンジリングが回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなるように伸張される。クラッチモードから非クラッチモードに移行させる場合、作業者は、コイルばね44が伸張されている状態で、チェンジリング59を回転方向前方側に操作することができる。コイルばね44が伸張されているので、チェンジリング59の回転抵抗は小さい。そのため、作業者は、クラッチモードから非クラッチモードに移行させる場合、力を込めなくてもチェンジリング59を操作することができる。したがって、作業者は、クラッチモードから非クラッチモードへの切り換えを操作性良く実施することができる。また、非クラッチモードにおいて、コイルばね44が伸張されている。非クラッチモードにおいて、作業モードをドリルモードから震動ドリルモードに移行させるときにおいても、チェンジリング59の回転抵抗は小さい。そのため、作業者は、ドリルモードと震動ドリルモードとを切り換える場合、力を込めなくてもチェンジリング59を操作することができる。したがって、作業者は、ドリルモードと震動ドリルモードとの切り換えを操作性良く実施することができる。
例えば、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、作業モードが、[クラッチモード(解放値最小)]→[クラッチモード(解放値最大)]→[非クラッチモード(ドリルモード)]の順に移行する場合において、クラッチモードから非クラッチモードに移行させる場合、作業者は、コイルばね44が圧縮されている状態で、チェンジリング59を回転方向前方側に操作する必要がある。コイルばね44が圧縮されているので、チェンジリング59の回転抵抗は大きい。そのため、作業者は、クラッチモードから非クラッチモードに遷移させる場合、力を込めてチェンジリング59を操作する必要がある。また、非クラッチモードにおいて、作業モードをドリルモードと震動ドリルモードとに切り換えるときにおいても、コイルばね44が圧縮されているので、チェンジリング59の回転抵抗は大きい。そのため、作業者は、ドリルモードと震動ドリルモードとを切り換える場合においても、力を込めてチェンジリング59を操作する必要がある。
実施形態によれば、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、作業モードが、[クラッチモード(解放値最大)]→[クラッチモード(解放値最小)]→[非クラッチモード(ドリルモード)]の順に遷移する。そのため、作業者は、力を込めなくてもチェンジリング59を操作して、作業モードを切り換えることができる。
インターナルギヤ23Rを有する第3遊星歯車機構23が設けられる。コイルばね44からインターナルギヤ23Rに付与される弾性力が調整されることにより、クラッチ機構40の解放値が円滑に調整される。
クラッチ機構40は、コイルばね44を保持するスプリングホルダ43と、インターナルギヤ23Rに接触するクラッチピン47とを有する。これにより、コイルばね44は、クラッチピン47を介して、インターナルギヤ23Rに弾性力を円滑に付与することができる。
チェンジリング59が操作されることにより、スプリングホルダ43が移動する。スプリングホルダ43の移動により、インターナルギヤ23Rに付与される弾性力が円滑に調整される。
インターナルギヤ23Rの回転を許容する許容位置とインターナルギヤ23Rの回転を規制する規制位置との間を移動可能なクラッチオフ部材としてロックピン53が設けられる。ロックピン53は、チェンジリング59の操作により、許容位置と規制位置とを移動することができる。作業者は、ロックピン53が許容位置に配置されるようにチェンジリング59を操作することにより、作業モードをクラッチモードにすることができる。作業者は、ロックピン53が規制位置に配置されるようにチェンジリング59を操作することにより、作業モードを非クラッチモードにすることができる。
作業者は、回転方向の第1範囲においてチェンジリング59を操作することにより、クラッチ機構40の解放値を円滑に調整することができる。作業者は、第1範囲よりも回転方向前方側の第2範囲においてチェンジリング59を操作することにより、ロックピン53を移動させて、クラッチモードと非クラッチモードとを切り換えることができる。コイルばね44は、第1範囲においてチェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなり、第1範囲においてチェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより解放値が大きくなるように弾性変形する。そのため、作業者は、クラッチモードと非クラッチモードとを切り換える場合、力を込めなくてもチェンジリング59を操作することができる。
実施形態においては、ドリル切換リング55の回転により、ロックピン53が移動する。ドリル切換リング55は、ロックレバー42により、チェンジリング59と一緒に回転する同期状態と一緒に回転しない非同期状態とに切り換えられる。
非同期状態においては、チェンジリング59が回転方向に操作されても、ドリル切換リング55は回転しない。すなわち、非同期状態においては、チェンジリング59が回転方向に操作されても、ロックピン53は移動せず、クラッチモードと非クラッチモードとの切り換えは実施されない。作業者は、非同期状態において、チェンジリング59を操作することにより、クラッチ機構40の解放値を調整することができる。
同期状態においては、チェンジリング59が回転方向に操作されると、ドリル切換リング55がチェンジリング59と一緒に回転する。すなわち、同期状態においては、チェンジリング59が回転方向に操作されると、ロックピン53が移動して、クラッチモードと非クラッチモードとの切り換えが実施される。作業者は、同期状態において、チェンジリング59を操作することにより、クラッチモードと非クラッチモードとを切り換えることができる。
ロックレバー42は、チェンジリング59の回転により、カムプレート後部57Bの周縁部に接触しながらカムプレート後部57Bの周囲を周回することにより、径方向に移動する。ロックレバー42が径方向に移動することにより、同期状態と非同期状態とが切り換えられる。
ロックレバー42は、ドリル切換リング55に設けられている凹部55Cに挿入可能なレバー部42Dと、レバー部42Dを径方向内側に移動させる弾性力を発生するスプリング42Cとを有する。レバー部42Dの内端部とカムプレート57のカムプレート後部57Bとが接触している状態で、レバー部42Dがカムプレート後部57Bの周囲を周回することにより、レバー部42Dは、凹部55Cに挿入される挿入状態と凹部55Cから抜去される抜去状態とに変化する。ロックレバー42が挿入状態と抜去状態とに変化することにより、同期状態(クラッチモード)と非同期状態(非クラッチモード)とが切り換えられる。
ドリル切換リング55は、ロックレバー42よりも回転方向前方側に配置され、チェンジリング59の少なくとも一部に接触可能な凸部55Eを有する。クラッチモードから非クラッチモードに遷移させるためにチェンジリング59が回転方向前方側に回転される場合、ドリル切換リング55の凸部55Eとチェンジリング59のノッチ59Nの端面59Tとが接触した状態で、チェンジリング59とドリル切換リング55とが一緒に回転する。凸部55Eと端面59Tとが接触するので、チェンジリング59とドリル切換リング55とは、同期状態で円滑に回転することができる。
また、ドリル切換リング55の凸部55Eとチェンジリング59の端面59Tとが接触した状態で、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、非同期状態から同期状態に変化する。すなわち、ドリル切換リング55の凸部55Eとチェンジリング59の端面59Tとが接触した状態で、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、ロックレバー42は、抜去状態から挿入状態に変化する。ロックレバー42が抜去状態から挿入状態に変化するとき、ドリル切換リング55の凸部55Eとチェンジリング59の端面59Tとが接触した状態で、チェンジリング59とドリル切換リング55とが回転するので、ロックレバー42には回転方向の外力が作用しない。そのため、レバー部42Dは、抜去状態から挿入状態に変化するように、スプリング42Cの弾性力により円滑に径方向内側に移動することができる。
チェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより、レバー部42Dは、カムプレート57により、挿入状態から抜去状態に円滑に変化することができる。これにより、ドリル切換リング55は、同期状態から非同期状態に円滑に変化することができる。
作業者は、回転方向の第1範囲においてチェンジリング59を操作することにより、クラッチ機構40の解放値を円滑に調整することができる。作業者は、第1範囲よりも回転方向前方側の第3範囲においてチェンジリング59を操作することにより、震動切換レバー33を移動させて、ドリルモードと震動ドリルモードとを切り換えることができる。コイルばね44は、第1範囲においてチェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより解放値が小さくなり、第1範囲においてチェンジリング59が回転方向後方側に操作されることにより解放値が大きくなるように弾性変形する。そのため、作業者は、ドリルモードと震動ドリルモードとを切り換える場合、力を込めなくてもチェンジリング59を操作することができる。
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、クラッチ機構40の解放値を調整する弾性部材が、コイルばね44であることとした。クラッチ機構40の解放値を調整する弾性部材は、板ばね又は重ね板ばねでもよい。また、クラッチ機構40の解放値を調整する弾性部材は、ウェーブワッシャでもよい。
上述の実施形態においては、非クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、ドリルモードから震動ドリルモードに切り換えられることとした。すなわち、図31を参照して説明したように、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、作業モードが、[クラッチモード(解放値最大)]→[クラッチモード(解放値最小)]→[ドリルモード]→[震動ドリルモード]の順に遷移することとした。非クラッチモードにおいて、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、震動ドリルモードからドリルモードに切り換えられてもよい。すなわち、チェンジリング59が回転方向前方側に操作されることにより、作業モードが、[クラッチモード(解放値最大)]→[クラッチモード(解放値最小)]→[震動ドリルモード]→[ドリルモード]の順に遷移してもよい。
上述の実施形態においては、非クラッチモードは、ドリルモード及び震動ドリルモードの両方を含むこととした。非クラッチモードは、ドリルモードのみでもよいし、震動ドリルモードのみでもよい。ドリルモードは、高トルクのクラッチモードでもよい。