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JP7456468B2 - 積層型コイル部品 - Google Patents

積層型コイル部品 Download PDF

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JP7456468B2 JP2022148319A JP2022148319A JP7456468B2 JP 7456468 B2 JP7456468 B2 JP 7456468B2 JP 2022148319 A JP2022148319 A JP 2022148319A JP 2022148319 A JP2022148319 A JP 2022148319A JP 7456468 B2 JP7456468 B2 JP 7456468B2
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Description

本発明は、積層型コイル部品に関する。
積層型コイル部品として、例えば、特許文献1には、絶縁性シートの積層方向とコイル軸とが、実装面に対して平行な積層型コイルが開示されている。
特開平09-129447号公報
しかしながら、特許文献1に記載の積層型コイルは、実装面側に外部電極が設けられていないため、浮遊容量を抑えることができるが、実装性に劣るという問題があった。
一方、近年の電気機器の通信速度の高速化、及び、小型化に応じて、積層型インダクタには高周波帯(例えば、50GHz以上のGHz帯)での高周波特性が充分であることが求められている。しかし、特許文献1に記載の積層型コイルでは、50GHz程度の高周波帯において特性が充分ではないおそれがあった。さらに、特許文献1に記載の積層型コイルの実装面側に外部電極を設けると、外部電極と内部導体との間で浮遊容量が発生してしまい、実装性と高周波特性の両立が困難であるという問題があった。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、実装性と高周波特性に優れる積層型コイル部品を提供することを目的とする。
本発明の積層型コイル部品は、複数の絶縁層が長さ方向に積層されてなり、内部にコイルを内蔵する積層体と、上記コイルに電気的に接続されている第1の外部電極及び第2の外部電極と、を備え、上記コイルは、上記絶縁層とともに上記長さ方向に積層された複数のコイル導体が電気的に接続されてなり、上記積層体は、上記長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、上記長さ方向と直交する高さ方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、上記長さ方向及び上記高さ方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、を有し、上記第1の外部電極は、上記第1の端面の少なくとも一部と上記第1の主面の一部とを延伸して覆い、上記第2の外部電極は、上記第2の端面の少なくとも一部と上記第1の主面の一部とを延伸して覆い、上記積層体の積層方向と上記コイルのコイル軸方向とは、上記第1の主面と平行であり、上記第1の主面に延伸される上記第1の外部電極と上記積層体の間には、上記絶縁層よりも比誘電率の小さな低誘電率層が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、実装性と高周波特性に優れる積層型コイル部品を提供することができる。
図1は、本発明の積層型コイル部品の一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、図1に示す積層型コイル部品の側面図であり、図2(b)は、図1に示す積層型コイル部品の正面図であり、図2(c)は、図1に示す積層型コイル部品の底面図である。 図3は、積層型コイル部品の内部構造を模式的に示す断面図である。 図4は、図1に示す積層型コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す分解斜視図である。 図5は、図1に示す積層型コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す分解平面図である。 図6は、本発明の積層型コイル部品の別の一例を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の積層型コイル部品の更に別の一例を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の積層型コイル部品の更に別の一例を模式的に示す断面図である。 図9A、図9B、図9C、図9D、図9E、図9F及び図9Gは、マザー積層体を得るために積層されるコイルシートの一例を模式的に示す平面図である。 図10は、マザー積層体を切断して得られる積層体の一例を模式的に示す分解斜視図である。 図11は、図10に示す積層体中のコイル導体の様子を模式的に示す透過斜視図である。 図12は、図10に示す積層体に低誘電率層を配置した場合の一例を模式的に示す斜視図である。 図13は、図12に示す積層体に外部電極を設けた場合の一例を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の積層型コイル部品について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
図1は、本発明の積層型コイル部品の一例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)は、図1に示す積層型コイル部品の側面図であり、図2(b)は、図1に示す積層型コイル部品の正面図であり、図2(c)は、図1に示す積層型コイル部品の底面図である。
図1、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示す積層型コイル部品1は、積層体10と第1の外部電極21と第2の外部電極22とを備えている。積層体10は、6面を有する略直方体形状である。積層体10の構成については後述するが、複数の絶縁層が長さ方向に積層されてなり、内部にコイルを内蔵している。第1の外部電極21及び第2の外部電極22は、それぞれ、コイルに電気的に接続されている。
本発明の積層型コイル部品及び積層体では、長さ方向、高さ方向、幅方向を、図1におけるx方向、y方向、z方向とする。ここで、長さ方向(x方向)と高さ方向(y方向)と幅方向(z方向)は互いに直交する。
図1、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示すように、積層体10は、長さ方向(x方向)に相対する第1の端面11及び第2の端面12と、長さ方向に直交する高さ方向(y方向)に相対する第1の主面13及び第2の主面14と、長さ方向及び高さ方向に直交する幅方向(z方向)に相対する第1の側面15及び第2の側面16とを有する。
図1には示されていないが、積層体10は、角部及び稜線部に丸みが付けられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。
第1の外部電極21は、図1及び図2(b)に示すように、積層体10の第1の端面11の一部を覆い、かつ、図1及び図2(c)に示すように、第1の端面11から延伸して第1の主面13の一部を覆って配置されている。図2(b)に示すように、第1の外部電極21は、第1の端面11のうち、第1の主面13と交わる稜線部を含む領域を覆っているが、第1の端面11から延伸して第2の主面14を覆っていてもよい。
なお、図2(b)では、積層体10の第1の端面11を覆う部分の第1の外部電極21の高さは一定であるが、積層体10の第1の端面11の一部を覆う限り、第1の外部電極21の形状は特に限定されない。例えば、積層体10の第1の端面11において、第1の外部電極21は、端部から中央部に向かって高くなる山なり形状であってもよい。また、図2(c)では、積層体10の第1の主面13を覆う部分の第1の外部電極21の長さは一定であるが、積層体10の第1の主面13の一部を覆う限り、第1の外部電極21の形状は特に限定されない。例えば、積層体10の第1の主面13において、第1の外部電極21は、端部から中央部に向かって長くなる山なり形状であってもよい。
図1及び図2(a)に示すように、第1の外部電極21は、さらに、第1の端面11及び第1の主面13から延伸して第1の側面15の一部及び第2の側面16の一部を覆って配置されていてもよい。この場合、図2(a)に示すように、第1の側面15及び第2の側面16を覆う部分の第1の外部電極21は、いずれも、第1の端面11と交わる稜線部及び第1の主面13と交わる稜線部に対して斜めに形成されていることが好ましい。なお、第1の外部電極21は、第1の側面15の一部及び第2の側面16の一部を覆って配置されていなくてもよい。
第2の外部電極22は、積層体10の第2の端面12の一部を覆い、かつ、第2の端面12から延伸して第1の主面13の一部を覆って配置されている。第1の外部電極21と同様、第2の外部電極22は、第2の端面12のうち、第1の主面13と交わる稜線部を含む領域を覆っている。
また、第1の外部電極21と同様に、第2の外部電極22は、第2の端面12から延伸して、第2の主面14の一部、第1の側面15の一部及び第2の側面16の一部を覆っていてもよい。
第1の外部電極21と同様、積層体10の第2の端面12の一部を覆う限り、第2の外部電極22の形状は特に限定されない。例えば、積層体10の第2の端面12において、第2の外部電極22は、端部から中央部に向かって高くなる山なり形状であってもよい。また、積層体10の第1の主面13の一部を覆う限り、第2の外部電極22の形状は特に限定されない。例えば、積層体10の第1の主面13において、第2の外部電極22は、端部から中央部に向かって長くなる山なり形状であってもよい。
第1の外部電極21と同様、第2の外部電極22は、さらに、第2の端面12及び第1の主面13から延伸して、第2の主面14の一部、第1の側面15の一部及び第2の側面16の一部を覆って配置されていてもよい。この場合、第1の側面15及び第2の側面16を覆う部分の第2の外部電極22は、いずれも、第2の端面12と交わる稜線部及び第1の主面13と交わる稜線部に対して斜めに形成されていることが好ましい。なお、第2の外部電極22は、第2の主面14の一部、第1の側面15の一部及び第2の側面16の一部を覆って配置されていなくてもよい。
以上のように第1の外部電極21及び第2の外部電極22が配置されているため、積層型コイル部品1を基板上に実装する場合には、積層体10の第1の主面13を実装面とすることで、積層型コイル部品を容易に実装することができる。
本発明の積層型コイル部品のサイズは特に限定されないが、0603サイズ、0402サイズ又は1005サイズであることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層体の長さ(図2(a)中、両矢印Lで示される長さ)は、0.63mm以下であることが好ましく、0.57mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層体の幅(図2(c)中、両矢印Wで示される長さ)は、0.33mm以下であることが好ましく、0.27mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層体の高さ(図2(b)中、両矢印Tで示される長さ)は、0.33mm以下であることが好ましく、0.27mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層型コイル部品の長さ(図2(a)中、両矢印Lで示される長さ)は、0.63mm以下であることが好ましく、0.57mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層型コイル部品の幅(図2(c)中、両矢印Wで示される長さ)は、0.33mm以下であることが好ましく、0.27mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層型コイル部品の高さ(図2(b)中、両矢印Tで示される長さ)は、0.33mm以下であることが好ましく、0.27mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層体の第1の主面を覆う部分の第1の外部電極の長さ(図2(c)中、両矢印Eで示される長さ)は、0.12mm以上、0.22mm以下であることが好ましい。同様に、積層体の第1の主面を覆う部分の第2の外部電極の長さは、0.12mm以上、0.22mm以下であることが好ましい。
なお、積層体の第1の主面を覆う部分の第1の外部電極の長さ、及び、積層体の第1の主面を覆う部分の第2の外部電極の長さが一定でない場合、最も長い部分の長さが上記範囲にあることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0603サイズである場合、積層体の第1の端面を覆う部分の第1の外部電極の高さ(図2(b)中、両矢印Eで示される長さ)は、0.10mm以上、0.20mm以下であることが好ましい。同様に、積層体の第2の端面を覆う部分の第2の外部電極の高さは、0.10mm以上、0.20mm以下であることが好ましい。この場合、外部電極に起因する浮遊容量を低減することができる。
なお、積層体の第1の端面を覆う部分の第1の外部電極の高さ、及び、積層体の第2の端面を覆う部分の第2の外部電極の高さが一定でない場合、最も高い部分の高さが上記範囲にあることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層体の長さは、0.38mm以上、0.42mm以下であることが好ましく、積層体の幅は、0.18mm以上、0.22mm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層体の高さは、0.18mm以上、0.22mm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層型コイル部品の長さは、0.42mm以下であることが好ましく、0.38mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層型コイル部品の幅は、0.22mm以下であることが好ましく、0.18mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層型コイル部品の高さは、0.22mm以下であることが好ましく、0.18mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層体の第1の主面を覆う部分の第1の外部電極の長さは、0.08mm以上、0.15mm以下であることが好ましい。同様に、積層体の第1の主面を覆う部分の第2の外部電極の長さは、0.08mm以上、0.15mm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が0402サイズである場合、積層体の第1の端面を覆う部分の第1の外部電極の高さは、0.06mm以上、0.13mm以下であることが好ましい。同様に、積層体の第2の端面を覆う部分の第2の外部電極の高さは、0.06mm以上、0.13mm以下であることが好ましい。この場合、外部電極に起因する浮遊容量を低減することができる。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層体の長さは、0.95mm以上、1.05mm以下であることが好ましく、積層体の幅は、0.45mm以上、0.55mm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層体の高さは、0.45mm以上、0.55mm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層型コイル部品の長さは、1.05mm以下であることが好ましく、0.95mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層型コイル部品の幅は、0.55mm以下であることが好ましく、0.45mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層型コイル部品の高さは、0.55mm以下であることが好ましく、0.45mm以上であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層体の第1の主面を覆う部分の第1の外部電極の長さは、0.20mm以上、0.38mm以下であることが好ましい。同様に、積層体の第1の主面を覆う部分の第2の外部電極の長さは、0.20mm以上、0.38mm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品が1005サイズである場合、積層体の第1の端面を覆う部分の第1の外部電極の高さは、0.15mm以上、0.33mm以下であることが好ましい。同様に、積層体の第2の端面を覆う部分の第2の外部電極の高さは、0.15mm以上、0.33mm以下であることが好ましい。この場合、外部電極に起因する浮遊容量を低減することができる。
本発明の積層型コイル部品では、コイル導体間の絶縁層は磁性材料及び非磁性材料の少なくとも一方を含む材料からなる。
図3は、積層型コイル部品の内部構造を模式的に示す断面図である。
図3は、絶縁層、コイル導体及び連結導体、並びに、積層体の積層方向を模式的に示すものであり、実際の形状及び接続等を厳密には表していない。例えば、コイル導体はビア導体を介して接続されている。
積層体10の積層方向、及び、コイルの軸方向(図3中、コイル軸をAで示す)は、実装面である第1の主面13に対して平行である。
図3に示すように、積層型コイル部品1は、絶縁層とともに積層された複数のコイル導体32が電気的に接続されることにより形成されるコイルを内蔵する積層体10と、コイルに電気的に接続される第1の外部電極21及び第2の外部電極22を備える。
積層体10の第1の主面13には、低誘電率層50が設けられている。
低誘電率層50の比誘電率εr2は、積層体10を構成する絶縁層の比誘電率εr1よりも小さい。
低誘電率層50は、第1の主面13に延伸した第1の外部電極21と積層体10との間に配置されているため、第1の外部電極21と積層体10内部の導体との間で発生する浮遊容量を低減させることができる。
図3に示す積層型コイル部品では、第1の外部電極21と、これに対向するコイル導体32とが第1の連結導体41により直線状に接続されており、第2の外部電極22と、これに対向するコイル導体32とが第2の連結導体42により直線状に接続されている。第1の連結導体41及び第2の連結導体42は、それぞれ、実装面となる第1の主面13に最も近い部分のコイル導体32と接続されている。
第1の連結導体41及び第2の連結導体42はいずれも、積層方向から平面視したときにコイル導体32と重なり、かつ、コイル軸よりも、実装面となる第1の主面13側に位置している。
第1の連結導体41及び第2の連結導体42はいずれも、コイル導体32の最も実装面に近い部分に接続されているため、外部電極の大きさを小さくして高周波特性を向上させることができる。
よって、積層型コイル部品1は、第1の外部電極21と積層体10内部の導体との間で発生する浮遊容量が小さく、高周波特性に優れている。高周波帯(特に、30GHz以上、80GHz以下)での高周波特性については、40GHzでの透過係数S21が、好ましくは、-1dB以上、0dB以下であり、50GHzでの透過係数S21が、好ましくは、-1dB以上、0dB以下である。積層型コイル部品1が上記条件を満たす場合、例えば、光通信回路内のバイアスティー(Bias-Tee)回路等に好適に使用できる。透過係数S21は、入力信号に対する透過信号の電力の比から求められる。周波数毎の透過係数S21は、例えば、ネットワークアナライザを用いて求められる。透過係数S21は、基本的に無次元量であるが、通常、常用対数をとってdB単位で表される。
図4は、図1に示す積層型コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す分解斜視図であり、図5は、図1に示す積層型コイル部品を構成する積層体の一例を模式的に示す分解平面図である。
図4及び図5に示すように、積層体10は、複数の絶縁層31a、31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)、31e(31e~31e)及び31fが長さ方向(x方向)に積層されて構成されている。
なお、積層体を構成する複数の絶縁層が積み重なる方向を積層方向という。
すなわち、本発明の積層型コイル部品において、積層体の長さ方向と、積層方向とは一致する。
絶縁層31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)及び31e(31e~31e)には、それぞれ、コイル導体32b(32b~32b)、32c(32c~32c)、32d(32d~32d)及び32e(32e~32e)と、ビア導体33b(33b~33b)、33c(33c~33c)、33d(33d~33d)及び33e(33e~33e)とが設けられている。絶縁層31a及び31fには、それぞれ、ビア導体33a及び33fが設けられている。
コイル導体32b(32b~32b)、32c(32c~32c)、32d(32d~32d)及び32e(32e~32e)にはそれぞれ、ライン部と、ライン部の端部に配置されるランド部とを有している。図4及び図5に示すように、ランド部のサイズは、ライン部の線幅よりも若干大きいことが好ましい。
コイル導体32b(32b~32b)、32c(32c~32c)、32d(32d~32d)及び32e(32e~32e)は、それぞれ、絶縁層31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)及び31e(31e~31e)の主面上に設けられており、絶縁層31a、31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)、31e(31e~31e)及び31fとともに積層される。図4及び図5では、各コイル導体が3/4ターン形状を有しており、絶縁層31b、31c、31d及び31eを1つの単位(3ターン分)として、繰り返し積層される。
ビア導体33a、33b(33b~33b)、33c(33c~33c)、33d(33d~33d)、33e(33e~33e)及び33fは、それぞれ、絶縁層31a、31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)、31e(31e~31e)及び31fを積層方向(図4ではx方向)に貫通するように設けられている。
以上のように構成された絶縁層31a、31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)、31e(31e~31e)及び31fは、図4に示すようにx方向に積層される。これにより、コイル導体32b(32b~32b)、32c(32c~32c)、32d(32d~32d)及び32e(32e~32e)は、ビア導体33b(33b~33b)、33c(33c~33c)、33d(33d~33d)及び33e(33e~33e)を介して電気的に接続される。その結果、積層体10内において、x方向に延在するコイル軸を有するソレノイド状のコイルが形成される。
さらに、ビア導体33a及び33fは積層体10内で連結導体となって、積層体10の両端面に露出する。連結導体は、積層体10内において、第1の外部電極21とこれに対向するコイル導体32bとの間を直線状に接続するか、又は、第2の外部電極22とこれに対向するコイル導体32eとの間を直線状に接続する。
積層方向から平面視したときに、コイルを構成するコイル導体は互いに重なることが好ましい。また、積層方向から平面視したとき、コイルの形状は円形であることが好ましい。なお、コイルがランド部を含む場合には、ランド部を除いた形状(すなわちライン部の形状)をコイルの形状とする。
第1の連結導体41が第1の外部電極21とコイルとの間を直線状に接続するとは、積層方向から平面視したとき、第1の連結導体41を構成するビア導体33a同士が重なっていることを意味し、ビア導体33a同士は厳密に直線状に並んでいなくてもよい。
また、第2の連結導体42が第2の外部電極22とコイルとの間を直線状に接続するとは、積層方向から平面視したとき、第2の連結導体42を構成するビア導体33d同士が重なっていることを意味し、ビア導体33d同士は厳密に直線状に並んでいなくてもよい。
なお、連結導体を構成するビア導体にランド部が接続されている場合には、ランド部を除いた形状(すなわちビア導体の形状)を連結導体の形状とする。
なお、図4及び図5に示すコイル導体は、繰り返しパターンが円形となるような形状であるが、繰り返しパターンが四角形等の多角形となるようなコイル導体であってもよい。
また、図4及び図5に示すコイル導体は、積層体の表面に露出していないが、コイル導体の一部が積層体の表面に露出していてもよい。
ただし、積層体の表面にコイル導体が露出している箇所の表面には、低誘電率層が設けられることが好ましい。
積層方向から平面視したとき、コイル導体において、ライン部の線幅は、好ましくは30μm以上、80μm以下であり、より好ましくは30μm以上、60μm以下である。ライン部の線幅が30μmよりも小さい場合、コイルの直流抵抗が大きくなることがある。ライン部の線幅が80μmよりも大きい場合、コイルの静電容量が大きくなるため、積層型コイル部品の高周波特性が低下することがある。
本発明の積層型コイル部品は、積層方向から平面視したときに、ランド部が、ライン部の内周縁よりも内側に位置せず、かつ、ライン部と部分的に重なることが好ましい。
ランド部がライン部の内周縁よりも内側に位置すると、インピーダンスが低下してしまうことがある。
また、積層方向から平面視したときに、ランド部の径は、ライン部の線幅の1.05倍以上、1.3倍以下であることが好ましい。
ランド部の径がライン部の線幅の1.05倍未満であると、ランド部とビア導体との接続が不十分となることがある。一方、ランド部の径がライン部の線幅の1.3倍を超えると、ランド部に起因する浮遊容量が大きくなるため、高周波特性が低下することがある。
積層方向から平面視したときのランド部の形状は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。ランド部の形状が多角形状である場合、多角形の面積相当円の直径をランド部の径とする。
本発明の積層型コイル部品において、第1の主面に延伸される第1の外部電極と積層体との間には、絶縁層よりも比誘電率の小さな低誘電率層が設けられている。
低誘電率層は、積層体を構成する絶縁層よりも比誘電率の小さな層であり、積層体の第1の主面に延伸される第1の外部電極と積層体との間に配置される。
積層体の第1の主面に延伸される第1の外部電極と積層体との間に低誘電率層が設けられていると、第1の外部電極と積層体との間で発生する浮遊容量を小さくして、高周波特性を向上させることができる。
低誘電率層は、積層体の第1の主面において第1の外部電極と積層体とが接触しないよう、積層体の第1の主面に延伸される第1の外部電極と積層体との間の全面に設けられていることが好ましい。
積層体の第1の主面に延伸される第1の外部電極と積層体との間の全面に低誘電率層が設けられていると、第1の外部電極と積層体との間で発生する浮遊容量を最小限にすることができ、高周波特性の向上にさらに寄与する。
低誘電率層が配置される位置の他の例について、図6、図7を参照しながら説明する。
図6は、本発明の積層型コイル部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示す積層型コイル部品2では、低誘電率層50が、積層体10の第1の主面13に延伸された第1の外部電極21と積層体10との間、及び、積層体10の第1の主面13に延伸された第2の外部電極22と積層体10との間に設けられている。
図6に示す積層型コイル部品では、低誘電率層50は、積層体10の第1の主面13に延伸された外部電極が積層体10と接触しないように、積層体10の第1の主面13に延伸させた第1の外部電極21及び第2の外部電極22と積層体10との間の全面に設けられている。
図7は、本発明の積層型コイル部品の更に別の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示す積層型コイル部品3では、低誘電率層50が、積層体10の第1の主面13の全面に設けられている。そのため、低誘電率層50は、積層体10の第1の主面13に延伸された第1の外部電極21と積層体10との間、及び、積層体10の第1の主面13に延伸された第2の外部電極22と積層体10との間に設けられている。
本発明の積層型コイル部品において、第1の外部電極及び第2の外部電極は、それぞれ、第1の端面及び第2の端面から延伸して第2の主面の一部を覆っていてもよい。
図8は、本発明の積層型コイル部品の更に別の一例を模式的に示す断面図である。
図8に示す積層型コイル部品4では、第1の外部電極21が第1の端面11から延伸して第2の主面14の一部を覆っており、第2の外部電極22が第2の端面12から延伸して第2の主面14の一部を覆っている。
低誘電率層50は、第1の主面13に延伸した外部電極(第1の外部電極21及び第2の外部電極22)と積層体10との間、及び、第2の主面14に延伸した外部電極(第1の外部電極21及び第2の外部電極22)との間に、それぞれ設けられている。
本発明の積層型コイル部品において、実装面は特に限定されないが、第1の外部電極及び第2の外部電極が延伸される面である第1の主面が実装面であることが好ましい。
第1の主面には、第1の外部電極及び第2の外部電極が延伸して設けられているため、実装性が高い。一方で、第1の主面に延伸して設けられた第1の外部電極と積層体との間で発生する浮遊容量が大きくなるが、本発明の積層型コイル部品では、第1の主面に延伸して設けられた第1の外部電極と積層体との間に低誘電率層が設けられているため、発生する浮遊容量を最小限に押さえて、高周波特性を向上させることができる。
なお、第1の主面が実装面ではない場合であっても、低誘電率層によって、外部電極が第1の主面に延伸していることによって生じる浮遊容量を抑制することができるため、高周波特性に優れる。
各コイル導体及び各連結導体の好ましい寸法の具体例について、積層型コイル部品1のサイズが、0603サイズ、0402サイズ、又は、1005サイズである場合に分けて以下に説明する。
(1)積層型コイル部品1が0603サイズである場合
・積層方向から平面視したとき、各コイル導体の内径(コイル径)は、好ましくは、50μm以上、100μm以下である。
・各連結導体の長さ寸法は、好ましくは15μm以上、45μm以下であり、より好ましくは15μm以上、30μm以下である。
・各連結導体の幅寸法は、好ましくは、30μm以上、60μm以下である。
(2)積層型コイル部品1が0402サイズである場合
・積層方向から平面視したとき、各コイル導体の内径(コイル径)は、好ましくは、30μm以上、70μm以下である。
・各連結導体の長さ寸法は、好ましくは10μm以上、30μm以下であり、より好ましくは10μm以上、25μm以下である。
・各連結導体の幅寸法は、好ましくは、20μm以上、40μm以下である。
(3)積層型コイル部品1が1005サイズである場合
・積層方向から平面視したとき、各コイル導体の内径(コイル径)は、好ましくは、80μm以上、170μm以下である。
・各連結導体の長さ寸法は、好ましくは25μm以上、75μm以下であり、より好ましくは25μm以上、50μm以下である。
・各連結導体の幅寸法は、好ましくは、40μm以上、100μm以下である。
絶縁層に含まれる磁性材料としては、フェライト材料が挙げられる。
フェライト材料としては、Ni-Zn-Cu系フェライト材料であることが好ましい。
また、フェライト材料は、FeをFeに換算して40mol%以上49.5mol%以下、ZnをZnOに換算して2mol%以上35mol%以下、CuをCuOに換算して6mol%以上13mol%以下、NiをNiOに換算して10mol%以上45mol%以下含むことが好ましい。
なお、フェライト材料には不可避不純物が含まれていてもよい。
絶縁層に含まれる非磁性材料としては、Si及びZnを含有する酸化物材料(以下、第1の非磁性材料ともいう)が挙げられる。
このような材料としては、一般式aZnO・SiOで表される材料であり、aの値、すなわちSiに対するZnの含有量(Zn/Si)が1.8以上、2.2以下である材料が挙げられる。これはウィルマイトとも呼ばれる材料である。
また、この材料はさらにCuを含むことが好ましく、具体的には、Znの一部がCu等の異種金属で置換された材料であってもよい。
このような材料は、酸化物原料(ZnO、SiO、CuO等)を所定のモル比となるように配合して、湿式で混合粉砕した後、1000℃以上、1300℃以下で仮焼して作製することができる。
また、絶縁層に含まれる別の非磁性材料としては、Si、K、Bを含むガラス材料にフィラーが添加された材料を含み、フィラーは石英及びアルミナからなる群から選択された少なくとも1種を含む材料(以下、第2の非磁性材料ともいう)が挙げられる。
ガラス材料は、SiをSiO換算で70重量%以上85重量%以下、BをB換算で10重量%以上25重量%以下、KをKO換算で0.5重量%以上5重量%以下、AlをAlに換算して0重量%以上5重量%以下含む材料であることが好ましい。
このような材料は、ガラスとフィラーを混合して作製することができる。
例えば、ガラス100重量部に対して、フィラーとしての石英を40重量部以上、60重量部以下、アルミナを0重量部以上、10重量部以下の範囲で混合することにより作製することができる。
フェライト材料と非磁性材料の組合せとしては、フェライト材料と第1の非磁性材料を組み合わせても良く、フェライト材料と第2の非磁性材料を組み合わせてもよい。
また、フェライト材料と第1の非磁性材料及び第2の非磁性材料を組み合わせてもよい。
好ましいのはフェライト材料と第1の非磁性材料の組合せである。
絶縁層に含まれる非磁性材料の割合が変化することによって、絶縁層の比誘電率が変化する。
絶縁層の比誘電率εr1は、12以上、20以下であることが好ましい。
低誘電率層は、絶縁層よりも比誘電率の小さい層であり、少なくとも非磁性材料を含む。
低誘電率層に含まれる非磁性材料としては、絶縁層に含まれる第1の非磁性材料及び第2の磁性材料を用いることができ、第1の非磁性材料を用いることが好ましい。
低誘電率層は非磁性材料の他に磁性材料を含んでいてもよい。
低誘電率層に含まれる磁性材料としては、絶縁層に含まれる磁性材料と同様のものが挙げられる。
低誘電率層の比誘電率εr2は、5以上、10以下であることが好ましい。
低誘電率層は、磁性材料と非磁性材料とを含む複合材料で構成されていることが好ましい。
非磁性材料は、Si及びZnを含有する酸化物材料を含み、上記酸化物材料の、Siに対するZnの含有量(Zn/Si)が、モル比換算で1.8以上、2.2以下であることがより好ましい。
低誘電率層の比誘電率εr2を絶縁層の比誘電率εr1よりも小さくする方法としては、低誘電率層の非磁性材料の割合を、絶縁層の非磁性材料の割合よりも大きくする方法が挙げられる。
低誘電率層の厚さは特に限定されないが、10μm以上、15μm以下であることが好ましい。
本発明の積層型コイル部品では、第1の主面に延伸される第2の外部電極と積層体の間にも、低誘電率層が設けられていてもよい。
さらに、積層体の第1の主面のうち第1の外部電極及び第2の外部電極が設けられていない部分にも、低誘電率層が設けられていてもよい。
[積層型コイル部品の製造方法]
本発明の積層型コイル部品の製造方法の一例について説明する。
まず、絶縁層となるセラミックグリーンシートを作製する。
例えば、磁性材料及び非磁性材料に、ポリビニルブチラール系樹脂等の有機バインダ、エタノール、トルエン等の有機溶剤及び分散剤等を加えて混練し、スラリー状にする。その後、ドクターブレード法などの方法により、厚さ12μm程度のセラミックグリーンシートを得る。
磁性材料としてのフェライト材料として、例えば、鉄、ニッケル、亜鉛及び銅の酸化物原料を混合して800℃、1時間で仮焼した後、ポールミルにより粉砕し、乾燥することにより、平均粒径が約2μmのNi-Zn-Cu系フェライト材料(酸化物混合粉末)を使用することができる。
また、フェライト材料は、FeをFeに換算して40mol%以上49.5mol%以下、ZnをZnOに換算して2mol%以上35mol%以下、CuをCuOに換算して6mol%以上13mol%以下、NiをNiOに換算して10mol%以上45mol%以下含むことが好ましい。
非磁性材料としては、Si及びZnを含有する酸化物材料(上述した第1の非磁性材料)を使用することができる。
このような材料は、酸化物原料(ZnO、SiO、CuO等)を所定のモル比となるように配合して、湿式で混合粉砕した後、1000℃以上、1300℃以下で仮焼して作製することができる。
また、非磁性材料として、Si、K、Bを含むガラス材料にフィラーが添加された材料を含み、フィラーは石英及びアルミナからなる群から選択された少なくとも1種を含む材料(上述した第2の非磁性材料)を使用することができる。
ガラス材料は、SiをSiO換算で70重量%以上85重量%以下、BをB換算で10重量%以上25重量%以下、KをKO換算で0.5重量%以上5重量%以下、AlをAlに換算して0重量%以上5重量%以下含む材料であることが好ましい。
このような材料は、ガラスとフィラーを混合して作製することができる。
例えば、ガラス100重量部に対して、フィラーとしての石英を40重量部以上、60重量部以下、アルミナを0重量部以上、10重量部以下の範囲で混合することにより作製することができる。
作製したセラミックグリーンシートに、所定のレーザー加工を施して、直径20μm以上、30μm以下程度のビアホールを形成する。ビアホールを有する特定のシート上にAgペーストを用いて、ビアホールに充填し、さらに、11μm程度の厚みを有する所定の導体パターン(コイル導体)をスクリーン印刷し、乾燥することでコイルシートを得る。
個片化後に実装面と平行な方向に周回軸(コイル軸)を有するコイルが積層体の内部に形成されるように、所定の順序でコイルシートを積層する。さらに、連結導体となるビア導体が形成されたビアシートを上下に積層する。
積層体を熱圧着して圧着体を得た後、所定のチップ寸法になるように切断し、個片化したチップを得る。個片化したチップに対しては、回転バレルを行い、角部及び稜線部に所定の丸みを付けてもよい。
続いて、低誘電率層となる低誘電率セラミックグリーンシートを作製する。
低誘電率セラミックグリーンシートの比誘電率が、絶縁層となるセラミックグリーンシートの比誘電率よりも小さくなるように磁性材料及び非磁性材料の混合比を調整するほかは、セラミックグリーンシートを作製する手順と同様の手順によって、低誘電率セラミックグリーンシートを作製する。
得られた低誘電率セラミックグリーンシートを、個片化したチップのうち、第1の主面となる面に貼り付けた後、所定の温度、時間で脱バインダ及び焼成を施すことで、内部にコイルを内蔵し、かつ、第1の主面に低誘電率層を有する焼成体(積層体)を得る。
なお、上記手順によって得られた積層体の第1の主面には、すでに低誘電率層が設けられているが、脱バインダ及び焼成を施したチップ(積層体)の表面に低誘電率セラミックグリーンシートを貼り付けるのではなく、個片化したチップに脱バインダ及び焼成を行って積層体を得た後、該積層体の第1の主面に低誘電率セラミックグリーンシートを貼り付けて、低誘電率セラミックグリーンシートごと脱バインダ及び焼成を行うことによって、低誘電率層を備えた積層体を得てもよい。
低誘電率セラミックグリーンシートは、積層体の第1の主面の全面に貼り付けてもよく、第1の外部電極が形成される領域だけに貼り付けてもよく、第1の外部電極が形成される領域及び第2の外部電極が形成される領域の両方に貼り付けてもよい。
また、低誘電率セラミックグリーンシートを積層体の第1の主面に貼り付ける方法に代わって、低誘電率セラミックグリーンシートを作製するためのスラリーを積層体の第1の主面に塗布し、乾燥、焼成させる方法を用いてもよい。
Agペーストを所定の厚みに引き伸ばした層にチップを斜めに浸漬させ、焼き付けることで、積層体の4面(主面、端面及び両側面)に外部電極の下地電極を形成する。このとき、第1の主面が上記ペーストに接触するように、下地電極を形成することで、低誘電率層の表面にも下地電極を形成する。
上記の方法では、積層体の主面と端面の2回に分けて下地電極を形成する場合に比べて、下地電極を1回で形成することができる。
Agペーストを所定の厚みに引き伸ばした層に、チップを垂直に浸漬させる方法を用いると、積層体の5面(各端面に加えて、隣接する主面及び側面の4面)に外部電極の下地電極を形成することができる。
下地電極に対して、めっきにより、所定の厚みのNi皮膜及びSn皮膜を順次形成して、外部電極を形成する。
積層体の第1の主面と下地電極との間には、低誘電率層が設けられているため、上記工程によって形成された外部電極と積層体の第1の主面との間には、低誘電率層が設けられている。
以上により、本発明の積層型コイル部品を作製することができる。
本発明の積層型コイル部品を製造する方法の他の一例を、図9A、図9B、図9C、図9D、図9E、図9F、図9G及び図10~図13に示す。
図9A、図9B、図9C、図9D、図9E、図9F、図9Gは、マザー積層体を得るために積層されるコイルシートの一例を模式的に示す平面図であり、図10は、図9A、図9B、図9C、図9D、図9E、図9F及び図9Gに示すコイルシートを積層して得られたマザー積層体を切断して得られる積層体の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図9A、図9B、図9C、図9D、図9E、図9F及び図9Gでは、得られるマザー積層体を切断するための切断線154及び155が示されている。
図9A、図9B、図9C、図9D、図9E、図9F、図9Gにおいて、図10に示す積層体30を構成する絶縁層51a、51b、51c、51d、51e、51f及び51gとなるべき絶縁シート151a、151b、151c、151d、151e、151f及び151gには、ビア導体53a、53b、53c、53d、53e、53f及び53gがそれぞれ形成されている。
さらに、絶縁層51b、51c、51d、51e及び51fとなるべき絶縁シート151b、151c、151d、151e及び151f上には、コイル導体パターン152b、152c、152d、152e及び152fがそれぞれ形成されている。
コイル導体パターン152b~152fは、隣り合う積層体でコイル導体同士が離間するように絶縁シート151b~151f上にそれぞれ設けられている。
上記の絶縁シートを積層する結果、積層された複数の絶縁シートと、絶縁シート間に設けられた複数のコイル導体パターンと、絶縁シートを積層方向に貫通する1以上のビア導体とを含む、マザー積層体が得られる。
得られたマザー積層体をダイサー等で切断することによって、未焼成の状態にある複数の積層体に分割する。
図10は、マザー積層体を切断して得られる積層体の一例を模式的に示す分解斜視図である。
切断線154及び155に沿ってマザー積層体を切断することによって、9個の積層体に分割される。実際には、より多数の積層体に分割される。
各積層体30は、積層された複数の絶縁層51a~51g間に設けられた複数のコイル導体52b~52fと絶縁層51a~51gを積層方向に貫通する1以上のビア導体53a~53gとが接続されることによりコイルが構成される。
絶縁層51b、51c、51d、51e及び51fの主面上には、コイル導体52b、52c、52d、52e及び52fがそれぞれ設けられている。コイル導体52b~52fは、角張ったU字型であり、3/4ターンの長さを有している。
図11は、図10に示す積層体中のコイル導体の様子を模式的に示す透過斜視図である。
図11に示すように、積層体30内部において、コイル導体52b、52c、52d、52e及び52fは、ビア導体53b、53c、53d及び53eにより互いに接続され、コイルを形成している。
さらに、図9及び図11に示すように、積層体30の第1の主面13及び第2の主面14は、切断線155に沿う切断によって現れた面であり、積層体30の第1の側面15及び第2の側面16は、切断線154に沿う切断によって現れた面である。積層体30の第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15又は第2の側面16には、コイル導体52b~52fが露出している。また、積層体30の第1の端面11にはビア導体53aが露出し、積層体30の第2の端面12にはビア導体53gが露出している。
図12は、図10に示す積層体に低誘電率層を配置した場合の一例を模式的に示す斜視図であり、図13は、図12に示す積層体に外部電極を設けた場合の一例を模式的に示す斜視図である。
図12に示すように、積層体30の第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15及び第2の側面に低誘電率セラミックグリーンシートを貼り付けてさらに焼成することで、積層体30の第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15及び第2の側面16に低誘電率層50が形成された構造体110を得ることができる。さらに、積層体30の第1の端面11及び第2の端面12と、第1の端面11又は第2の端面12から第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15及び第2の側面16に延伸するように第1の外部電極21及び第2の外部電極22を形成することで、図13に示すような、積層型コイル部品5が得られる。
第1の外部電極21は、積層体30の第1の端面11から第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15及び第2の側面16の一部にそれぞれ延伸しており、第2の外部電極22は、積層体30の第2の端面12から第1の主面13、第2の主面14、第1の側面15及び第2の側面16にそれぞれ延伸している。
積層型コイル部品5では、積層体30の第1の主面13の全面に低誘電率層50が設けられているため、積層体30の第1の主面13に延伸される第1の外部電極21及び第2の外部電極22と積層体30の間には、それぞれ低誘電率層50が配置されている。
1、2、3、4、5 積層型コイル部品
10、30 積層体
11 第1の端面
12 第2の端面
13 第1の主面
14 第2の主面
15 第1の側面
16 第2の側面
21 第1の外部電極
22 第2の外部電極
31a、31b(31b~31b)、31c(31c~31c)、31d(31d~31d)、31e(31e~31e)、31f 絶縁層
32b(32b~32b)、32c(32c~32c)、32d(32d~32d)、32e(32e~32e) コイル導体
33a、33b(33b~33b)、33c(33c~33c)、33d(33d~33d)、33e(33e~33e) ビア導体
41 第1の連結導体
42 第2の連結導体
50 低誘電率層
51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g 絶縁層
52b、52c、52d、52e、52f コイル導体
53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g ビア導体
110 構造体
151a、151b、151c、151d、151e、151f、151g 絶縁シート
152b、152c、152d、152e、152f コイル導体パターン
154、155 切断線
A コイル軸
第1の主面を覆う部分の第1の外部電極の長さ
第1の端面を覆う部分の第1の外部電極の高さ
積層体の長さ寸法
積層型コイル部品の長さ寸法
積層体の高さ寸法
積層型コイル部品の高さ寸法
積層体の幅寸法
積層型コイル部品の幅寸法

Claims (8)

  1. 複数の絶縁層が長さ方向に積層されてなり、内部にコイルを内蔵する積層体と、
    前記コイルに電気的に接続されている第1の外部電極及び第2の外部電極と、を備え、
    前記コイルは、前記絶縁層とともに前記長さ方向に積層された複数のコイル導体が電気的に接続されてなり、
    前記積層体は、前記長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、前記長さ方向と直交する高さ方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、前記長さ方向及び前記高さ方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、を有し、
    前記第1の外部電極は、前記第1の端面の少なくとも一部と前記第1の主面の一部と前記第2の主面の一部とを延伸して覆い、
    記第2の外部電極は、前記第2の端面の少なくとも一部と前記第1の主面の一部と前記第2の主面の一部とを延伸して覆い、
    前記積層体の積層方向と前記コイルのコイル軸方向とは、前記第1の主面と平行であり、
    前記コイル軸が、前記積層体の高さ方向の略中央に重なり、
    前記第1の主面に延伸される前記第1の外部電極と前記積層体の間、前記第2の主面に延伸される前記第1の外部電極と前記積層体の間、前記第1の主面に延伸される前記第2の外部電極と前記積層体の間及び前記第2の主面に延伸される前記第2の外部電極と前記積層体の間には、前記絶縁層よりも比誘電率の小さな低誘電率層が設けられていることを特徴とする、積層型コイル部品。
  2. 複数の絶縁層が長さ方向に積層されてなり、内部にコイルを内蔵する積層体と、
    前記コイルに電気的に接続されている第1の外部電極及び第2の外部電極と、を備え、
    前記コイルは、前記絶縁層とともに前記長さ方向に積層された複数のコイル導体が電気的に接続されてなり、
    前記積層体は、前記長さ方向において相対する第1の端面及び第2の端面と、前記長さ方向と直交する高さ方向において相対する第1の主面及び第2の主面と、前記長さ方向及び前記高さ方向に直交する幅方向において相対する第1の側面及び第2の側面と、を有し、
    前記第1の外部電極は、前記第1の端面の少なくとも一部と前記第1の主面の一部と前記第2の主面の一部とを延伸して覆い、
    前記第2の外部電極は、前記第2の端面の少なくとも一部と前記第1の主面の一部とを延伸して覆い、
    前記積層体の積層方向と前記コイルのコイル軸方向とは、前記第1の主面と平行であり、
    前記コイル軸が、前記積層体の高さ方向の略中央に重なり、
    前記第1の主面に延伸される前記第1の外部電極と前記積層体の間、及び、前記第2の主面に延伸される前記第1の外部電極と前記積層体の間には、前記絶縁層よりも比誘電率の小さな低誘電率層が設けられており、
    前記コイル導体は、第1の連結導体及び第2の連結導体を介して、それぞれ前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極と接続されており、
    前記第1の連結導体及び前記第2の連結導体は、前記積層方向から平面視したときに、前記コイル導体と重なり、かつ、前記コイル軸よりも、前記第1の主面側に位置している、ことを特徴とする積層型コイル部品。
  3. 前記積層体の前記第1の主面の全面に、前記低誘電率層が設けられている、請求項に記載の積層型コイル部品。
  4. 前記積層体の前記第2の主面の全面に、前記低誘電率層が設けられている、請求項1又は3に記載の積層型コイル部品。
  5. 前記第1の主面が実装面である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  6. 前記絶縁層の比誘電率εr1は、12以上、20以下であり、
    前記低誘電率層の比誘電率εr2は、5以上、10以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  7. 前記低誘電率層は、磁性材料と非磁性材料とを含む複合材料で構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層型コイル部品。
  8. 前記非磁性材料は、Si及びZnを含有する酸化物材料を含み、
    Siに対するZnの含有量(Zn/Si)がモル比換算で1.8以上、2.2以下である、請求項7に記載の積層型コイル部品。
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