JP7335466B1 - 単軸押出機用スクリュー、および単軸押出機 - Google Patents
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Abstract
Description
こうした対策として、スクリューの混練部の部品の混練性能を向上させるよう、スクリューに可塑化した原料の流れを分流させるような加工が従来施されてきた。
前記の刻設された混練構造は、流通路を介して原料を分流及び合流させ、同時に、流通路を通過する際の圧力変化による乱流現象と混練凹部の深部から浅部に流動する流動抵抗による脈動現象とによって混練部分に乱流脈動現象を生じさせ、且つ混練凹部の周辺部を乗り越えさせて大きな流動変化を与えて原料を撹拌して均一に混練するとある。
しかし、凹部で螺旋状に流れる樹脂は螺旋幅方向に設けられる流通路を通るために原料の流れは一旦せき止められ、さらにその後に狭い流通路を通るために原料の多大な圧縮による発熱が生じるため、前記混練構造を通過した原料は高温となり、熱による原料劣化が生じる問題があった。
混練部品を備えた単軸押出機用スクリューであって、
前記混練部品が、多条の連続する螺旋フライトと、溝とを備え、
前記螺旋フライトは、ねじれ角を有する順方向の螺旋状のフライトであり、
前記螺旋フライトは、樹脂をせき止める主フライトと、前記主フライトよりフライト高さが低い凸部フライトとなる切り込み部分を備え、
前記主フライト間の溝内に、前記単軸押出機用スクリューの軸方向に渡る副フライトを備え、
前記副フライトは、前記単軸押出機用スクリューの直角断面における円周を均等に配分する位置に配置し、
前記副フライトは単軸押出機用スクリューの軸方向において2つの主フライトと接続し、
前記凸部フライトは、前記副フライトが前記主フライトと接続する交点部分のうち前記単軸押出機用スクリュー下流側の交点部分から、螺旋フライトの螺旋の逆方向に渡り配置し、
前記凸部フライトに隣接する前記主フライトは、単軸押出機用スクリュー側面から見て前記主フライトのねじれ角より小さい切れ込み角度を有する形状であり、
前記主フライト、副フライトおよび凸部フライトの構造を前記螺旋フライトの螺旋方向に繰り返し配置するよう刻設する
ことを特徴とする単軸押出機用スクリューである。
また、本発明の単軸押出機は、前記単軸押出機用スクリューを備えることを特徴とする単軸押出機である。
また、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
図1に本発明の単軸押出機用スクリュー(以下、「スクリュー」ともいう)を備えた単軸押出機の断面図を示す。図1が示すように、単軸押出機1は、内部が空洞となったシリンダ2とシリンダ内に収容されたスクリュー3を有し、単軸押出機が備えるモーターおよび減速機9の回転動力が、減速機に接続する前記スクリュー3に伝達され、スクリューが回転する。スクリュー3は、順方向の螺旋状のフライト5と谷部6を有し、回転動力によりスクリューを順方向に回転させることで、ホッパー4から供給される混合された熱可塑性樹脂を含む原料(以下、「原料」ともいう)を、加熱されたシリンダ2と谷部6の間の流路に螺旋の順方向に定量供給しながら、スクリュー軸方向の下流34へと移送する。シリンダ2と谷部6の間で移送される原料は、下流方向へ移送されるに伴い、シリンダに巻かれたヒーター8からの熱、ならびに原料とシリンダ及び原料とスクリューの剪断熱により加温されて原料中の熱可塑性樹脂(以下、「樹脂」ともいう)が溶融して原料は可塑化され移動し、混練され、下流に設置するダイス10を通り混練物が吐出される。
第1実施形態の単軸押出機用スクリューが備える混練部品の投影図を図2に、またスクリュー円周方向における混練部品を平面に展開した図を、図3および図4に示す。
さらに前記混練部品は、2つの主フライト間の溝内に、スクリューの軸方向に渡る副フライト21を備え、前記副フライト21は単軸押出機用スクリューの軸方向において2つの主フライト20と接続し、前記副フライト21は前記スクリューの直角断面における円周を均等に配分する位置に配置する。
なお、切れ込み角度とは、スクリュー軸方向を基準として、主フライトを切り込む角度で定義される。
第1実施形態の単軸押出機用スクリューが備える混練部品の作用効果について、図4および図5を元に、以下に説明する。
スクリュー上流側から、本混練部品に流入する原料は、図4に示すように、多条の主フライトによって分配されて混練部品の各溝へ流入し、その後、主フライト、溝、及び押出機のシリンダからなる流路を主フライトの螺旋の順方向57に沿って流れる。
螺旋の順方向に流れる原料は、図4の矢印Cに示すように、凸部フライト24に達すると、主フライトよりフライト高さが低い凸部フライトを乗り越えながら、原料をせき止める副フライト21に沿ってスクリュー下流側に隣接する溝に流れ、その後、再度、主フライト20に沿うように螺旋の順方向57に原料が流れる。
また、凸部フライト前後の原料の流れは、図5の断面図に示すように、流れ方向46に向かってシリンダ2と溝の底部42の間を流れた原料が、流路の狭い凸部フライト24の頂部41とシリンダ2の間の流路へ流れ込む際に、流路の高さの変化に伴って、凸部フライトの手前43では原料が圧縮されながら撹拌されるために原料は位置交換し、その後、凸部フライト頂部41とシリンダ2との間で圧縮され通過した原料が隣接する流路に開放される。
また、図4のようにスクリュー側面から原料の流路を見た場合、原料は、主フライト、凸部フライト、および副フライトによって、図4の矢印Cに示すように流路方向および流路幅の変化に伴い原料の位置交換を行い、図4の矢印Bに示す流路においても、同様に凸部フライトにおける原料の位置交換、および流路方向および流路幅の変化に伴う原料の位置交換がなされる。
以下、混練部品の下流側の末端まで、同様に原料の位置交換が繰り返し行われ、混練される。前記混練部品は、切り込み部分に渡って幅広く設けられた凸部フライトを何度も通り、徐々に圧縮と開放を複数回繰り返し行なうことで原料が混練されるため、従来のスクリューのような急圧縮を生じることなく、原料の発熱を抑えながら優れた混練性を発揮する。
第2実施形態の単軸押出機用スクリューが備える混練部品を、スクリュー円周方向における平面に展開した図を、図6および図7に示す。
さらに前記混練部品は、2つの主フライト20間の溝内に、スクリューの軸方向に渡る副フライト21を備え、前記副フライト21は単軸押出機用スクリューの軸方向において2つの主フライト20と接続し、前記副フライト21は前記スクリューの直角断面における円周を均等に配分する位置に配置する。
第2実施形態の単軸押出機用スクリューが備える混練部品の作用効果について、図7および図5を元に、以下に説明する。
スクリュー上流側から、本混練部品に流入する原料は、図7に示すように、多条の主フライトによって分配されて混練部品の各溝へ流入し、その後、主フライト、溝、及び押出機のシリンダからなる流路を、主フライトの螺旋の順方向57に沿って流れる。
螺旋の順方向に流れる原料は、図7の矢印Bに示すように、凸部フライト24に達すると、主フライトよりフライト高さが低い凸部フライトを乗り越えながら、原料をせき止める副フライト21に沿ってスクリュー下流側に隣接する溝に流れ、その後、再度、主フライトに沿うように螺旋の順方向57に原料が流れる。
一方、原料は前記凸部フライトを乗り越えた際に、図7の矢印Dに示すように、2つの主フライトおよび副フライトからなる流路63にも分配する。分配した原料は流路63における副フライト21によりせき止められるが、スクリューは順方向に回転(図7における下から上方向への回転)しているため、せき止められた原料は分配する前の流路64側へ押し出されることで原料が位置交換されながら再度分配され、再分配された原料は混練部品の下流側に流動するよう凸部フライトを乗り越えて流動する。
また、凸部フライト前後の原料の流れは、図5の断面図に示すように、流れ方向46に向かってシリンダ2と溝の底部42の間を流れた原料が、流路の狭い凸部フライト24の頂部41とシリンダ2の間の流路へ流れ込む際に、流路の高さの変化に伴って、凸部フライトの手前43では原料が圧縮されながら撹拌されるために原料は位置交換し、その後、凸部フライト頂部41とシリンダ2との間で圧縮され通過した原料は隣接する流路に開放される。
また、図7に示すようにスクリュー側面からみた場合、原料は、主フライト、凸部フライト、および副フライトによって図7の矢印Bおよび矢印Dに示すように流路方向の変化および流路の幅の変化に伴い原料の位置交換を行う。
以下、混練部品の下流側の末端まで、同様に流路の方向と幅の変化、凸部フライトの手前における撹拌、および前記2つの主フライトおよび副フライトからなる流路63における位置交換により、原料の3次元的な位置交換が繰り返し行われて原料が混練される。各部における混練は複数回繰り返し行なわれるため、原料の発熱を抑えながら優れた混練が得られる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
前記副フライトの頂部の幅は、前記主フライトと副フライトを接続して原料をせき止めるものであればよく任意に設定することができ、副フライトの幅はスクリューの切削加工の観点からスクリュー軸方向に渡って任意に変化させてもよい。
また、主フライトの側面は一般的な押出機用スクリューで適用される溝から切り上げられた構造のものであればよい。
前記溝に対する主フライトの高さは、単軸押出機のシリンダとスクリューの口径や、求める樹脂の吐出量により任意に設定できるが、主フライトの径がシリンダ口径に対して-0.5~-0.2mm程度とする事が好ましい。
また、主フライトの頂部の幅は、前記主フライトと副フライトの交点部分において、切れ込み角度を持ちながら主フライトと副フライトが接続できるのであれば、任意に設定することができる。
前記凸部フライトの螺旋順方向に渡る頂部の高さは、主フライト螺旋順方向に渡って一定の高さでもよいが任意に設定することができ、例えば螺旋順方向に従って頂部が高い形状とする、あるいは螺旋順方向に従って頂部が低い形状とすることもできる。
また、凸部フライトの断面における側部斜面の形状は、凸部フライト手前で原料を撹拌する観点から、溝から切り上げられた主フライトと同様、図10(a)~(c)に示す溝方向から切り上がる凸な曲線であることが好ましいが、その曲率および形状は任意に設定できる。
また、原料の位置交換を何度も行う構造であるため、原料の拡散性にも優れる。とくに、本発明のスクリューおよび単軸押出機は、徐々に圧縮および解放を加える機構であるため、ガラス繊維や雲母のようなアスペクト比の高い粒子を熱可塑性樹脂と混練する用途においても、粒子に強い力を掛けて粉砕することなく、好適な混練を行うことができる。
また、本発明の単軸押出機は、高吐出量の混練を行う目的で、高回転数のスクリュー回転数で混練を行った際も、前記混練部品の構造により、原料の発熱を抑えた好適な混練を行うことができる。
2 シリンダ
3 単軸押出機用スクリュー
4 ホッパー
5 フライト
6 谷部
7 混練部品
8 ヒーター
9 モーターおよび減速機
10 ダイス
20 主フライト
21 副フライト
22 溝
24 凸部フライト
25 主フライトと副フライトの交点部分
26 主フライトと副フライトの交点部分
29 配置される副フライトのスクリュー軸方向への延長線
31 スクリューの供給部
32 スクリューの混練部
33 スクリューの計量部
34 スクリューの軸方向 下流
35 スクリューの軸方向 上流
41 凸部フライト頂部
42 溝の底部
43 凸部フライトの上流における原料
45 凸部フライト頂部の幅
46 樹脂の流れ方向
50 主フライトねじれ角
51 主フライトの螺旋順方向かつスクリュー軸方向下流側の切れ込み角度
52 主フライトの螺旋逆方向かつスクリュー軸方向上流側の切れ込み角度
55 変形例における、切り込み部分とは別に設けたスクリュー軸方向に渡る凸部フライト
57 螺旋順方向
58 螺旋逆方向
62 第2実施形態における主フライトと副フライトの交点部分
63 2つの主フライトおよび副フライトからなる流路
71 副フライトを主フライトとともに切り取った箇所
72 副フライトを主フライトとともに切り取った箇所
Claims (2)
- 混練部品を備えた単軸押出機用スクリューであって、
前記混練部品が、多条の連続する螺旋フライトと、溝とを備え、
前記螺旋フライトは、ねじれ角を有する順方向の螺旋状のフライトであり、
前記螺旋フライトは、樹脂をせき止める主フライトと、前記主フライトよりフライト高さが低い凸部フライトとなる切り込み部分を備え、
前記主フライト間の溝内に、前記単軸押出機用スクリューの軸方向に渡る副フライトを備え、
前記副フライトは、前記単軸押出機用スクリューの直角断面における円周を均等に配分する位置に配置し、
前記副フライトは単軸押出機用スクリューの軸方向において2つの主フライトと接続し、
前記凸部フライトは、前記副フライトが前記主フライトと接続する交点部分のうち前記単軸押出機用スクリュー下流側の交点部分から、螺旋フライトの螺旋の逆方向に渡り配置し、
前記凸部フライトに隣接する前記主フライトは、単軸押出機用スクリュー側面から見て前記主フライトのねじれ角より小さい切れ込み角度を有する形状であり、
前記主フライト、副フライトおよび凸部フライトの構造を前記螺旋フライトの螺旋方向に繰り返し配置するよう刻設する
ことを特徴とする単軸押出機用スクリュー。
- 請求項1記載の単軸押出機用スクリューを備えることを特徴とする単軸押出機。
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