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JP7333264B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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JP7333264B2 JP2019234355A JP2019234355A JP7333264B2 JP 7333264 B2 JP7333264 B2 JP 7333264B2 JP 2019234355 A JP2019234355 A JP 2019234355A JP 2019234355 A JP2019234355 A JP 2019234355A JP 7333264 B2 JP7333264 B2 JP 7333264B2
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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
一般に、吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、これにより、尿等の体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。吸収性物品には、成人用又は幼児用を問わず、テープタイプの吸収性物品、パンツタイプの吸収性物品、尿取りパッド、軽失禁パッド等、用途に応じて様々な種類が存在する。
これら吸収性物品を構成する吸収体としては、フラッフパルプと高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」ともいう)とを併用した吸収体が一般的であった。しかしながら、着用時の着用感、外観及び肌触り等の向上、尿の逆戻り低減を目的として、基体となる不織布(以下「基体不織布」ともいう)と該不織布に固定されたSAPとからなる、いわゆる高吸収性シート(以下「SAPシート」ともいう)を吸収体として用いることもある。高吸収性シートについては様々な検討がなされている。
高吸収性シートとしては、例えば、特許文献1には、それぞれ一方の面が接着剤塗布面である第一、第二シートと、第一、第二シートの各接着剤塗布面の間に長手方向に延びるストライプ状に配置された複数のSAP層と、を備え、第二シートの接着剤塗布面におけるSAP層との対面領域では接着剤が間欠的に塗布され、かつSAP層の幅方向両側でSAP層を介さずに直接対向する第一、第二シートの各接着剤塗布面には接着剤が長手方向に連続的に塗布された高吸収性シートが開示されている。
また、特許文献2には、トップシートとバックシートとの間において、幅方向の一方及び他方にそれぞれ配置されかつSAPを含む第一、第二吸収体を備え、第一、第二吸収体はそれぞれ長手方向に延びる第一、第二の折り目を有し、第一、第二の折り目が対向する、高吸収性シートが開示されている。
特開2006-158676号公報 特開2013-42882号公報
特許文献1やその他多くの高吸収性シートは、基体不織布とSAPとをホットメルト接着剤を用いて固定するため、肌触りが硬くなることにより着用感が低下し、また、フィット性が得られないため着用時に違和感を生ずるという問題があった。また、フラッフパルプとSAPとで構成される従来の吸収体に比べると、高吸収性シートの多くは、基体不織布にSAPが接着剤で固定されることにより、SAPが高密度に存在するため、吸収時間が長くかかり、尿等の体液の拡散性に劣るため、吸収性という観点においても十分に満足できるものではなかった。
さらに、特許文献2に記載の高吸収性シートでは、上記のような構造を有することにより股間へのフィット性は改善されているものの、高吸収性シート特有の肌触りが硬いという点は改善されておらず、その着用感は十分に満足できるものではなかった。また、特許文献1に記載の高吸収性シートと同様に、その吸収性も十分に満足できるものではなかった。
本発明の目的は、吸収性及び着用感の良好な吸収性物品を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、高吸収性シートを用いつつ、高吸収性シートの課題を解決し、目的に叶う吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、好ましい態様として、以下の(1)~(9)の吸収性物品を提供する。
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、前記吸収体は、繊維が起毛した起毛面を有する基体不織布、前記基体不織布の幅方向中央部に対向配置され、かつ幅方向の寸法が前記基体不織布の幅方向の寸法の5%以上50%以下であり、前記基体不織布の前記起毛面の一部を覆うカバー不織布、及び前記基体不織布の起毛した繊維間に固着担持された高吸収性ポリマーを含む高吸収性シートと、前記基体不織布の前記起毛面及び前記カバー不織布の非肌側面の全体を覆うパルプ含有不織布と、を備え、前記基体不織布の前記起毛面の、前記カバー不織布との対向領域が前記高吸収性ポリマーの非存在領域であり、前記吸収体の幅方向の両末端及びそれらの近傍が前記トップシートを臨みつつ、前記両末端が対向するように、前記基体不織布の前記起毛面を外側にして内三つ折りした立体形状であり、前記両末端間の距離長さは前記吸収体の幅方向長さの10%以上50%以下であり、前記内三つ折りする前の平坦状態の前記吸収体において、35g/cm荷重下厚さが1.0mm以上4.0mm以下であり、前記35g/cmの荷重下厚さが、無荷重下厚さの30%以上70%以下であることを特徴とする、吸収性物品。
(2)本発明の第2の態様は、(1)の吸収性物品であって、前記カバー不織布は、前記基体不織布の幅方向中央部において、前記基体不織布の長手方向の一方の縁辺又は一の途中部から、前記基体不織布の長手方向の他方の縁辺又は他の途中部まで延びるように配置されている。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)の吸収性物品であって、前記カバー不織布は、前記基体不織布の長手方向寸法が、前記基体不織布の幅方向寸法よりも大きい。
(4)本発明の第4の態様は、(1)~(3)のいずれかの吸収性物品であって、前記カバー不織布の、前記基体不織布の長手方向の両端の形状が、略四角形状、略三角形状、略半円状、及び略喇叭状よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
(5)本発明の第5の態様は、(1)~(4)のいずれかの吸収性物品であって、前記カバー不織布がエアスルー不織布であり、厚さが0.1mm以上3.0mm以下であり、坪量が10g/m以上60g/m以下である。
(6)本発明の第6の態様は、(1)~(5)のいずれかの吸収性物品であって、前記吸収体の折り曲げ部分における前記高吸収性ポリマーの存在比率が、非折り曲げ部分における前記高吸収性ポリマーの存在比率より小さい。
(7)本発明の第7の態様は、(1)~(6)のいずれかの吸収性物品であって、前記基体不織布がエアスルー不織布であり、坪量が20g/m以上120g/m以下であり、厚さが0.3mm以上8.0mm以下であり、前記基体不織布を構成する繊維の太さが、1.8dtex以上9.0dtex以下である。
(8)本発明の第8の態様は、(1)~(7)のいずれかの吸収性物品であって、前記高吸収性ポリマーの坪量が150g/m以上1000g/m以下である。
(9)本発明の第9の態様は、(1)~(8)のいずれかの吸収性物品であって、前記パルプ含有不織布は、坪量が40g/m以上80g/m以下であり、ポリプロピレンから成るスパンボンド不織布にパルプ繊維を交絡、一体化した複合型不織布である。
本発明によれば、吸収性及び着用感の良好な吸収性物品を提供することができる。
本発明の第一実施形態である吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。 第一実施形態の吸収性物品に備わる吸収体中の基体不織布及びカバー不織布の構成を模式的に示す斜視図である。 第一実施形態の吸収性物品に備わる吸収体中の高吸収性シートの構成を模式的に示す幅方向断面図である。 第一実施形態の吸収性物品に備わる吸収体の構成を模式的に示す幅方向断面図である。 第一実施形態の吸収性物品に備わる別の実施形態の吸収体の構成を模式的に示す幅方向断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では同じ要素に同じ符号を付し、最初の説明を援用する。図1は吸収性物品50をトップシート25側から見た模式平面図である。図2及び図3は、吸収体1の要部の幅方向模式断面図である。図4及び図5は、それぞれ、吸収体1、2の幅方向の模式断面図である。各図では、各構成部材が密接するように記載しているが、各構成部材間の少なくとも1つに1又は複数の隙間が生じる場合もある。また、各図は、吸収性物品1、2の各構成部材の寸法の大小関係を規定するものではない。
吸収性物品50の長手方向とは、吸収性物品50を着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る、図中Yで示す方向である。吸収性物品50の幅方向とは、長手方向に対して直交する、図中Xで示す方向である。吸収性物品50の厚さ方向とは、トップシート25、吸収体1又は2、及びバックシート30といった各構成部材を積層する、図中Zで示す方向である。吸収性物品50及びこれに含まれる各構成部材の肌側面とは着用者の肌に当接する表面及び肌を臨む表面であり、非肌側面とは着用者の衣類に接触する表面又は衣類を臨む表面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
[吸収性物品]
本実施形態の吸収性物品50は、ベビー用又は成人用を問わず種々の吸収性物品として使用できるが、代表的には、軽失禁パッド、尿吸収パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等が挙げられる。アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしての吸収性物品50とを組み合わせてもよい。吸収性物品50の、長手方向及び幅方向の寸法は特に限定されないが、それぞれ例えば100mm以上800mm以下の範囲、及び50mm以上500mm以下である。吸収性物品50の寸法を前記の範囲に調整することで、種々の用途の吸収性物品が得られる
本実施形態の吸収性物品50は、図1に示すように、これを着用したときに相対的に肌側に位置する、液透過性のトップシート25と、トップシート25に対向して配置され、これを着用したときに相対的に非肌側に位置する液不透過性のバックシート30と、トップシート25とバックシート30との間に配置された吸収体1と、トップシート25の肌側表面に設けられた一対のギャザーシート40と、を備える。これにより、吸収体1はトップシート25とバックシート30との間に挟まれた構造となり、尿等の体液はトップシート25を通して吸収体1に吸収及び保持される。吸収性物品50の用途やタイプに応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を適宜設けることができる。本実施形態の吸収性物品50は、吸収体1、2がフラッフパルプを含有せず、かつ体液の吸収性及び着用感が良好である形態をも包含する。
以下、シート状又は板状の各構成部材について、トップシート25、吸収体1、バックシート30及び立体ギャザー40の順でさらに詳しく説明する。なお、これらの構成部材は、シート状及び板状以外の立体構造を有していてもよい。
(トップシート)
トップシート25は、吸収体1に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状部材であり、吸収体1を挟んで、バックシート30に対向して配置される。トップシート25は、着用者の肌に当接する場合があることから、やわらかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性不織布、同種又は異種の親水性不織布の積合体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性不織布は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の方法で加工することにより得られる。
また、トップシート25には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート25には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
強度、加工性及び液戻り量の観点から、トップシート25の坪量は、15g/m以上40g/m以下であることが好ましい。トップシート25の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体1へと誘導するために必要とされる、吸収体1を覆う形状であればよい。
(吸収体)
本実施形態の吸収体1は、図4に示すように、高吸収性シート10と、高吸収性シート10中の基体不織布11の起毛面及びカバー不織布15非肌側面に接着し、これらの全体を覆うパルプ含有不織布20と、を備えるシート状積層体(吸収体前駆体)を、平坦形状ではなく、所定の立体形状に成形したものである。吸収体1は、この構造を有することにより、フラッフパルプを含まない実施形態とすることができ、該実施形態では、尿の逆戻りが抑制され、さらさらとした肌触りを維持しやすくなる。
より具体的には、吸収体1は、高吸収性シート10の幅方向両側部分(基体不織布11の起毛面とパルプ含有不織布20との積層部分)を、パルプ含有不織布20を外側にして、幅方向の両端を中央に向けて内三つ折りに折り返し、幅方向の断面視が略Cの字を左側に略90°回転させた形状となるように成形したものである。ここで、基体不織布11を基準にすると、基体不織布11の起毛面を外側にして内三つ折りに折り返している。吸収体1では、高吸収性シート10の折り返された幅方向両端面1A、1Bとその近傍は、厚さ方向にトップシート25を臨みつつ、両端面1A、1Bは互いに離隔して対向する。両端面1A、1B間の距離寸法を「C」、吸収体1の幅方向寸法を「D」とする(図4)。吸収体1の幅方向中央部には、基体不織布11の幅方向中央部が露出し、長手方向に延びる凹部22が形成される。凹部22の底面である、基体不織布11の幅方向中央部の露出面22aは、トップシート25を臨む位置関係になる。
また、本実施形態の吸収体1は内三つ折りの折り目が、滑らかな弧を描くように形成されているが(図4)、これに限定されず、別の実施形態の吸収体2は、吸収体1と同様に、高吸収性シート10の幅方向両側部分(基体不織布11の起毛面とパルプ含有不織布20との積層部分)を、パルプ含有不織布20を外側にして、幅方向の両端を中央に向けて内三つ折りに折り返したものであり、折り曲げ部分13が、折り目を角張らせ、全体(特に基体不織布11の形状)として幅方向一端がコの字状及び幅方向他端が逆コの字状に形成されている(図5)。なお、図5に示す吸収体2は、その折り曲げ部分13が折り目を角張らせた断面視コの字状及び断面視逆コの字状になっている以外は、吸収体1と同じ構成である。
本実施形態の吸収体1の中央部には、吸収体1の長手方向に延び、幅が「C」である溝状の凹部22が形成される。この凹部22は、吸収体1のスリットのような役割を果たす。また、吸収体1の折り曲げ部分13における高吸収性ポリマー12の存在比率が、非折り曲げ部分における高吸収性ポリマー12の存在比率より小さいことが好ましい。このとき、それぞれの存在比率は、吸収体1が含む高吸収性ポリマー12の全量に対する折り曲げ部分13又は非折り曲げ部分(折り曲げ部分13以外の部分)における高吸水性ポリマー12の存在量の割合を示す。吸収体1の非折り曲げ部分13における高吸収性ポリマー12の存在比率と折り曲げ部分における高吸収性ポリマー12の存在比率との割合は、1/99以上49/51以下とすることが好ましく、5/95以上40/60以下とすることがより好ましい。非折り曲げ部分により多く高吸収性ポリマー12が存在することにより、吸収体1の吸収性能を向上させることができる。
本実施形態の吸収体1は、その長手方向の寸法が100mm以上800mm以下であることが好ましく、150mm以上500mm以下であることがより好ましい。また、吸収体1の幅方向の寸法Dは50mm以上500mm以下であることが好ましく、66mm以上400mm以下であることがより好ましい。このとき、吸収体1の幅方向寸法Dに対する吸収体1の両端面1A、1B間の距離C(溝状の凹部22の幅C)の比率が10%以上50%以下であり、好ましくは13%以上47%以下である。これにより、吸収体1の吸収速度が更に向上する。
吸収体1の平坦状態の厚さは、内三つ折りする前の平坦な状態において、35g/cmの荷重下で測定した厚さ(以下「35g/cmの荷重下厚さ」ともいう)が1.0mm以上4.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以上3.8mm以下である。吸収体1の35g/m荷重下厚さを上記の数値範囲内にすると、吸収体1を備える吸収性物品50の着用感が一層良好になる。吸収体1の三折りする前の平坦な状態の厚さとは、高吸収性ポリマー12を起毛面に固着担持させた基体不織布11と、基体不織布11の起毛面に対向配置したカバー不織布15と、基体不織布11の起毛面及びカバー不織布15の肌側面に接着させたパルプ含有不織布20との合計の厚さを意味する。また、吸収体1の35g/cm荷重下厚さは、無荷重下で測定した厚さ(以下「無荷重下厚さ」ともいう)の30%以上70%以下であり、好ましくは40%以上60%以下である。厚さ比率を上記の数値範囲内とすることにより、吸収体1を備える後述の吸収性物品50の着用感が良好になる。また、前述のような厚さ及び厚さ比率の各範囲とすることにより、後述するように吸収体1を三内折りしても、吸収性物品50全体として嵩張らず、違和感なく着用できる。
本実施形態の吸収体1には、片側表面を起毛した基体不織布11を含む高吸収性シート10が用いられている。基体不織布11の片側表面を起毛することにより、基体不織布11の不織布本来の嵩高さに加えて、適度な厚さとやわらかさが付与され、適度なクッション性が発生し、着用時のフィット感を向上させることができる。また、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に高吸収性ポリマー12が分散して固着担持されることにより、高吸収性ポリマー12周辺の基体不織布11に尿等の体液が適度に拡散又は保持される。また、本実施形態の吸収体1において、高吸収性シート10を、起毛面を外側に内三つ折りした形状に配することで、吸収体1の中央部に基体不織布11が露出する。この箇所が吸収体1のスリットのような役割を果たすことで、吸収速度が早く、体液の拡散性が良化する。
以下、吸収体1の構成部材について詳細に説明する。
(基体不織布)
図2は、本発明の吸収体1に用いる基体不織布11及びカバー不織布15の斜視図である。図2に示すように、基体不織布11の片側表面は起毛した状態である。そのため、不織布本来の嵩高さに加えて、高吸収性シート10に適度な厚さとやわらかさが付与されることにより、適度なクッション性が発生し、着用時のフィット感を向上することができる。また、基体不織布11を上記のように起毛させることにより、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に高吸収性ポリマー12を分散させて固着担持させることができる。基体不織布11の片側表面を起毛させる方法としては、回転ノコ刃、ニードルパンチが挙げられ、インラインでの生産性やコストの観点から回転ノコ刃により起毛させる方法を用いることが好ましい。本実施形態における起毛の状態は特に限定されず、目視で起毛状態が確認できればそれでよいが、より具体的には、基体不織布11の起毛率は5%以上90%以下が好ましく、8%以上80%以下であることがより好ましい。なお、起毛率とは、起毛加工による基体不織布11の厚さの増加率を意味する。例えば、起毛前の基体不織布11の厚さをT1、起毛後の基体不織布11の厚さをT2としたとき、起毛率(%)は、(T2―T1)/T1×100で表すことができる。上記厚さは、ハイトゲージ((株)ミツトヨ製)を用いて無荷重下の厚さを測定することで求められる。
基体不織布11としては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布や、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布を挙げることができる。これらの不織布のうち、嵩高さの得やすいエアスルー不織布を用いることが好ましい。
また、基体不織布11の長手方向の寸法は100mm以上800mm以下であることが好ましく、150mm以上700mm以下であることがより好ましい。さらに、基体不織布11の幅方向の寸法Bは75mm以上900mm以下であることが好ましく、105mm以上380mm以下であることがより好ましい。
基体不織布11の厚さは、着用感及び吸収性能のバランスの観点から、0.3mm以上8.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上6.0mm以下であることがより好ましい。また、基体不織布11の坪量は、20g/m以上120g/m以下であることが好ましく、30g/m以上110g/m以下であることがより好ましい。
さらに、基体不織布11を構成する繊維の太さは、1.8dtex以上9.0dtex以下であることが好ましく、2.0dtex以上6.0dtex以下であることがより好ましい。このように上記の数値範囲内で基体不織布11を構成する繊維の太さを調整することにより、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に高吸収性ポリマー12を分散させて固着担持しやすくすることができる。
(カバー不織布)
基体不織布11の起毛面には、図2に示すように、基体不織布11の起毛面の一部を覆うようにカバー不織布15を配置する。カバー不織布15があることで、後述する高吸収性シート10の作製において高吸収性ポリマー12を固着担持するときに、カバー不織布15と厚さ方向で重なる、高吸収性シート10の起毛面には、高吸収性ポリマー12の非存在領域14が設けられる。非存在領域14に高吸収性ポリマー12が存在しないことにより、非存在領域14が疑似的なスリットの役割を果たし、体液を吸収体1に素早く拡散することができる。カバー不織布15の基材は、体液の拡散速度が速く、素早く拡散できるものであればよく、例えば、親水性不織布、特に、エアスルー不織布が好ましい。カバー不織布15は、ホットメルト接着剤により、基体不織布11の起毛面に接着されていることが好ましい。
図2に示すように、カバー不織布15は、長手方向に沿って配置される。また、図2に示すように、カバー不織布15は、基体不織布11の幅方向中央部において、基体不織布11の長手方向の一方の縁辺から他方の縁辺まで延びるように配置されているが、本実施形態に限定されず、基体不織布11の一の長手方向途中部からの他方の縁辺又は他の長手方向途中部まで延びるように配置されていてもよい。基体不織布11の幅方向の寸法Bに対するカバー不織布15の幅方向の寸法Aの比率が5%以上50%以下であることが好ましい。比率が50%を超える場合、カバー不織布15の厚さにより吸収体1の厚さが厚くなる傾向がある。比率が5%未満である場合、体液を受液する位置の高吸収性ポリマー12が吸水した後に膨潤し、ゲルブロッキングが生じ、吸収体1の吸収性能が低下する傾向がある。なお、幅方向中央部に配置されるとは、基体不織布11の幅方向中央とカバー不織布15の幅方向中央が厚さ方向で一致する位置に配置されることを指す。また、基体不織布11の幅方向の寸法Bに対するカバー不織布15の幅方向の寸法Aの比率は、8%以上47%以下であることが好ましい。また、カバー不織布15は、その長手方向寸法が、その幅方向寸法よりも大きくなるように構成されている。
カバー不織布15の長手方向の寸法は100mm以上800mm以下であることが好ましく、150mm以上500mm以下であることがより好ましい。さらに、カバー不織布15の幅方向の寸法Aは4mm以上475mm以下であることが好ましく、5mm以上190mm以下であることがより好ましい。カバー不織布15の厚さは、0.1mm以上3.0mm以下が好ましく、その坪量は、10g/m以上60g/m以下が好ましく、15g/m以上40g/m以下がより好ましい。厚さが0.1mm未満、又は坪量が10g/m未満若しくは60g/mより大きいと、基体不織布11に固着担持された高吸収性ポリマー12全体への液体の拡散が十分に行われない。厚さが3.0mmより厚い場合、製品にしたとき硬さが出てしまい、着用時に違和感が出てしまうため好ましくない。
本実施形態のカバー不織布15は、基体不織布11の長手方向両端の平面形状が略四角形であるが、これに限定されず、例えば、略三角形状、略半球状、喇叭状(先端に向かうほど径が大きくなる形状)などでもよい。ここで、基体不織布11の長手方向両端の平面形状とは、カバー不織布15の先端部のみを幅方向に切り取った部分の形状を意味する。このように、カバー不織布15の平面形状を部分的に変更しても、非存在領域14の総面積を適宜調整することにより、本実施形態とほぼ同等又はそれ以上の効果が得られる。また、基体不織布11の四周の縁辺に沿って、枠状にカバー不織布15を設けてもよく、さらに、基体不織布11の長手方向に延びる帯状の複数のカバー不織布15を、基体不織布11の幅方向にほぼ平行に配置するように構成してもよい。
(高吸収性シート)
図2は、本実施形態の吸収体1に用いる高吸収性シート10の幅方向断面図である。本実施形態の吸収体1に用いる高吸収性シート10は、図2に示すように、片側表面が起毛した基体不織布11と、基体不織布11の起毛面の一部を覆うカバー不織布15と、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に固着担持された高吸収性ポリマー12と、を有する。基体不織布11の起毛した部分の繊維間に高吸収性ポリマー12が分散して固着担持されることにより、高吸収性ポリマー12周辺の基体不織布11に尿等の体液が適度に拡散又は保持されることにより吸収性能が向上し、フラッフパルプを有さなくても十分な吸収性能を確保することができる。また、上述したようにカバー不織布15が存在することで、カバー不織布15と厚さ方向で重なる高吸収性シート10の起毛面に高吸収性ポリマー12の非存在領域14が設けられることにより、非存在領域14が疑似的なスリットの役割を果たし、高吸収性シート10及び後述する吸収体1の吸水性能が向上する。
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー12としては、尿を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。また、高吸収性ポリマー12の坪量は、各種の吸収性物品に要求される吸収性能を確保するために、150g/m以上1000g/m以下とすることが好ましい。また、吸収性能、吸収後の肌触り及び着用者の動きやすさをより向上させる観点から、高吸収性ポリマー12の坪量は、300g/m以上900g/m以下とすることがより好ましい。
また、粉末形態の高吸収性ポリマー12を用いる場合、その粒子径は特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは50μm以上600μm以下、より好ましくは100μm以上500μm以下である。この範囲の粉末を用いると、体液の吸収に関する基本性能を高め、かつ、高吸収性シート10が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。粒子径が50μm未満では、高吸収性ポリマー12の粉体としての流動性が低下し、体液の吸収性能が低下する傾向があり、粒子径が600μmを超えると、吸収性物品50の着用時にざらざらした感触が生じる傾向があり、また、体液吸収後にごつごつとした感触が生じる傾向がある。また、繊維形態の高吸収性ポリマーを用いることもできる。
高吸収性ポリマー12は、ホットメルト接着剤により、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に固着担持されていることが好ましく、基体不織布11の坪量が比較的低い場合に、高吸収性ポリマー12の固着担持を補強するために、ホットメルト接着剤は特に有効に機能する。なお、高吸収性ポリマー12を基体不織布11の起毛面の繊維間に固着担持させることにより、高吸収性ポリマー12が基体不織布11の表面及び起毛した繊維という複数の部材で支持される。したがって、固着担持に要する接着剤の使用量を減少させ、接着剤に起因するゴワゴワ感の発生を抑制することができる。また、高吸収性ポリマー12の吸収性を阻害せず、かつ、着用時の肌触りを損なわないように、ホットメルト接着剤の含有量は10g/m以下であることが好ましい。ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下の、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体やスチレン-イソプレン-スチレン系共重合体など合成ゴム系、又は、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系のホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法など公知の方法が利用できる。
(パルプ含有不織布)
図4及び図5に示すように、本実施形態の吸収体1、2は、基体不織布11の起毛面及びカバー不織布15の非肌側面と接着するパルプ含有不織布20、21を有する。パルプ含有不織布20、21は、例えば、吸収体1、2の構造を保護し、体液を素早く吸収体1に導く機能を有している。また、基体不織布11の起毛面をパルプ含有不織布20、21と接着することにより、高吸収性ポリマー12の吸収体1、2の外への脱落を防止することができ、着用時の肌触りも向上させることができる。パルプ含有不織布20、21は、スパンボンド不織布31と木材パルプ繊維層32との一体化物である。ここで、「一体化」とは、少なくとも吸収性物品1の使用時にこれらの層31、32が部分的でも剥離してその機能が大きく低減することがない状態にあることを意味する。パルプ含有不織布20としては、スパンボンド不織布(好ましくはポリプロピレンからなるスパンボンド不織布)30に木材パルプ繊維をバインダーを使用せずに、ウォータージェットで交絡、一体化して木材パルプ層31を設けた複合型不織布であることが好ましい。
本実施形態の複合型不織布は、例えば、スパンボンド不織布(好ましくはポリプロピレン製スパンボンド不織布)31の一方の面に、該不織布31に対して交絡により結合した木材パルプ繊維の層32が形成されたものであり、他方の面にも木材パルプ繊維が交絡により結合していることもある。すなわち、パルプ含有不織布20の好ましい形態として、スパンボンド不織布31とスパンボンド不織布31の少なくとも一方の表面に水流交絡一体化処理された木材パルプ繊維層32とを含む形態が挙げられる。この形態では、図4、図5のように木材パルプ繊維層32が衣類側を臨むように、スパンボンド不織布31が吸収体1に面するように配置されることが好ましい。ここで、木材パルプ繊維としては、例えば、フラップパルプ、針葉樹クラフトパルプシート等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。木材パルプ繊維層30は、体液を素早く吸収して吸収体1に導く。
パルプ含有不織布20の坪量は、40g/m以上80g/m以下であることが好ましい。なお、基体不織布11の起毛面をパルプ含有不織布20と接着する際には、これらをホットメルト接着剤や熱エンボス加工により固定することが好ましい。
前述のような各構成を有することにより、吸収体1に代えて吸収体2を用いても、吸収体1と同様の優れた効果を得ることができる。図5に示す吸収体2は、パルプ含有不織布20に代えてパルプ含有不織布21を有しているが、パルプ含有不織布21もスパンボンド不織布31と木材パルプ繊維層32との一体化物であり、例えば、吸収体2の構造を補強するとともに、体液を素早く吸収して吸収体2に導く機能を有している。
<吸収体の製造方法>
吸収体1、2の製造方法としては、特に制限はないが、以下の方法が一例として挙げられる。まず、基体不織布11の片側表面を回転ノコ刃又はニードルパンチを用いて、起毛させる。その後、ホットメルト接着剤等によりカバー不織布15を基体不織布11の起毛した面に接着させる。次に、高吸収性ポリマー12をホットメルト接着剤等により、基体不織布11の起毛した部分の繊維間に固着担持させ、高吸収性シート10を得る。カバー不織布15により、カバー不織布15の下に高吸収性ポリマー12の非存在領域14が設けられ、吸収体1のスリットのような役割を果たす。その後、基体不織布11の起毛面側とパルプ含有不織布20とをホットメルト接着剤等で接着し、吸収体前駆体を得る。この吸収体前駆体を、基体不織布11の起毛面を外側にして、図4又は図5に示すように幅方向の両端を中央に向けて内三つ折りし、吸収体1、2を得る。
(バックシート)
バックシート30は、吸収体1、2が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
強度及び加工性の点から、バックシート30の坪量は、15g/m以上40g/m以下であることが好ましい。また、装着時の蒸れを防止するため、バックシート30には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート30に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート30に穿孔のためにエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、合成樹脂にフィラーを混練し、得られた混練物をフィルム状又はシート状に成形し、得られたフィルム又はシートからフィラーを除去することにより、通気性を備えた樹脂フィルムを得ることができる。
(立体ギャザー)
また、吸収性物品50には、図1に示すように、使用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品50の長手方向に沿って、トップシート25の肌側面の両側端部に、一対の立体ギャザー40を備えている。吸収性物品50の幅方向における立体ギャザー40の幅方向一端は、バックシート30の肌側面の両側端部付近(又は非肌側面の両側端部付近)に固定され、その幅方向途中部はトップシート25の肌側面の両側端部付近に固定され、その幅方向他端はトップシート25に固定されない自由端となるように、立体ギャザーシートが配される。この自由端付近に立体ギャザー用弾性部材を長手方向に沿って設けることで、立体ギャザー40の自由端に起立性を付与し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。
立体ギャザー用弾性部材としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が使用され、立体ギャザーシートとしては、疎水性繊維にて形成された撥水性又は液不透過性の不織布、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドの3層の積層複合不織布等が使用される。
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品50の製造方法としては、上記のようにして得られた吸収体1又は吸収体2をトップシート25とバックシート30との間に挟持し、トップシート25の上に立体ギャザー40を設置し、トップシート25とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定することで製造することができる。そして、吸収性物品50が尿取りパッドや軽失禁パッドである場合は、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折りたためばよい。また、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を必要に応じて設けることができる。
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)<吸収体及び吸収性物品の作製>
まず、基体不織布としてエアスルー不織布(坪量40g/m、幅方向寸法100mm、長手方向寸法400mm、起毛前厚さ0.4mm)を用意し、基体不織布の片側表面を回転ノコ刃で物理的に起毛させて(起毛後厚さ0.5mm、起毛率25%)、カバー不織布(坪量15g/m、幅方向の寸法30mm、長手方向の寸法400mm)を、ホットメルト接着剤により基体不織布の幅方向両端からそれぞれ35mmの距離を空けて、幅方向中央部に接着した。その後、基体不織布の起毛面に市販の高吸水性ポリマー(坪量380g/m)を分散させ、ホットメルト接着剤により、基体不織布の起毛した部分の繊維間に固着担持させ、高吸収性シートを得た。
さらに、パルプ含有不織布(坪量40g/m、幅方向の寸法100mm、長手方向の寸法400mm)を用意し、高吸収性シートにおける基体不織布の起毛面側及びカバー不織布の肌面側と、ホットメルト接着剤を塗布したパルプ含有不織布とを接着し、吸収体前駆体を得た。パルプ含有不織布の木材パルプ繊維層が外側を向くように配置した。次に、基体不織布の起毛面が外側になるように吸収体前駆体を配し、中央部60mm(距離C)を残し、左右20mmずつを中央に向け内三つ折りで折りたたんだ。このようにして、実施例1の吸収体を得た。該吸収体の幅方向寸法Dは60mmであり、折り曲げ部分の断面視形状は角のない円弧状であった。
(実施例2)
基体不織布として幅方向の寸法114mm、長手方向の寸法400mmのエアスルー不織布を、カバー不織布として幅方向の寸法11.4mm、長手方向の寸法400mmのエアスルー不織布をそれぞれ使用して、得られた吸収体前駆体の中央部60mm(C)を残し、左右27mmずつを中央に向け内三つ折りで折りたたんだ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の吸収体を作製した。得られた吸収体の幅方向寸法Dは60mmであった。
(実施例3)
基体不織布として幅方向の寸法90mm、長手方向の寸法400mmのエアスルー不織布を、カバー不織布として幅方向の寸法45mm、長手方向の寸法400mmのエアスルー不織布をそれぞれ使用して、得られた吸収体前駆体の中央部60mmを残し、左右15mmずつを中央に向け内三つ折りで折りたたんだ以外は、実施例1と同様にして、実施例3の吸収体を作製した。得られた吸収体の幅方向寸法Dは60mmであった。
(比較例1)
幅方向の寸法60mm、長手方向の寸法400mmの基体不織布及びパルプ含有不織布を使用し、カバー不織布を用いることなく、かつ折りたたまずに配置した以外は、実施例1と同様にして比較例1の吸収体を作製した。
(比較例2)
エアスルー不織布(坪量20g/m)/高吸収性ポリマー(坪量280g/m)/エアスルー不織布(坪量20g/m)/高吸収性ポリマー(坪量100g/m)/スパンレース不織布(坪量20g/m)を積層したシート(幅方向の寸法はすべて60mm、長手方向の寸法はすべて400mm)を吸収体として用いた。なお、比較例2で用いた各エアスルー不織布としては、実施例1の基体不織布のような起毛処理を施さないものを用いた。
(比較例3)
高吸収性ポリマー(坪量380g/m)とフラッフパルプ(坪量400g/m)を混合したものをティシュペーパー(坪量16g/m)で覆ったものを、幅方向寸法60mm、長手方向寸法400mmの略矩形の形状にして、吸収体として用いた。
(比較例4)
いずれも幅方向の寸法が60mm、長手方向の寸法が400mmの基体不織布及びパルプ含有不織布を使用して、高吸収性ポリマーを坪量135g/mで分散させて高吸収性シートを作製し、折りたたまずに配置した以外は、実施例1と同様にして比較例4の吸収体を作製した。
実施例1~3及び比較例1~4で得られた各吸収体をトップシート(ポリプロピレン製スパンボンド不織布、坪量20g/m)とバックシート(通気性ポリエチレンフィルム、坪量17g/m)との間に配置し、トップシートの上に立体ギャザーを設置し、トップシートとバックシートとを全周に亘ってヒートエンボスで接合し、実施例1~3及び比較例1~4の各吸収性物品を作製した。
<測定項目>
上記のようにして得られた吸収性物品を用いて、下記の吸収速度、逆戻り量及び吸収体の厚さを測定した。また、下記の官能評価を行った。それぞれの結果を表1に示す。
(吸収速度)
各実施例及び各比較例の吸収体に、46g/cmの圧力下に、内径30mmの筒から40mlの0.9質量%生理食塩水(37℃)を注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間(秒)を吸収速度1回目として計測した。3分経過後、再度40mlの0.9質量%生理食塩水(37℃)を注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間(秒)を吸収速度2回目として計測した。数値が小さいほど、吸収性に優れることを意味する。
(逆戻り量)
実施例1及び各比較例の吸収体に、生理食塩水200mlを注水し、注水してから10分後に35gf/cmの荷重でろ紙を吸収体表面に圧着させ、1分間でろ紙に逆戻りした水分量を測定し、逆戻り量とした。逆戻り量が少ないほど、吸収体がドライな状態であることを示す。
(吸収体の厚さ)
各実施例及び各比較例の吸収前駆体又は吸収体に、圧力を加えないときと、所定の圧力(ここでは35g/cm)を付与したときの厚さを測定した。なお、35g/cmの荷重下での厚さは、吸収性物品におもりを乗せた状態のおもりの所定位置の高さから、おもり自体における同所定位置の高さを引いた値として求められる。
(官能評価)
8人のパネラーの協力の下、実施例1及び各比較例の各吸収体を用いたテープ止めタイプの吸収性物品を着用した場合の、着用感(フィット感、やわらかさ)と吸収性(吸収性物品外への漏れなさ、さらさら感)について、「良い」又は「悪い」の2択で官能評価を行った。着用者は8時間使用し、日常動作における評価を行い、その結果を表1に示した。
〇:「良い」を選んだ着用者が6人以上8人以下のとき
△:「良い」を選んだ着用者が3人以上5人以下のとき
×:「良い」を選んだ着用者が1人若しくは2人のとき、又は「良い」を選んだ着用者が1人もいないとき
起毛面を外側にし、内三つ折りした実施例1~3は、やわらかさ、フィット感、吸収性物品外への漏れなさ及びさらさら感のいずれも良好であった。一方で、カバー不織布を有しない高吸収性シートを1枚のみ用いた比較例1はフィット感及びさらさら感に劣っていた。基体不織布と高吸収性ポリマーを積層した比較例2はやわらかさ及びフィット感に大きく劣り、吸収性物品外への漏れも発生していた。フラッフパルプを用いた比較例3は、さらさら感に大きく劣った。また、坪量の小さい高吸収性ポリマーを用いた比較例4はフィット感に劣り、吸収性物品外への漏れも発生していた。
以上より、本発明の吸収性物品によれば、フラッフパルプを含有せず、吸収性及び着用感の良好な吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品を提供することができる。
1、2 吸収体
1A、1B、2A、2B 吸収体の幅方向末端面
10 高吸収性シート
11 基体不織布
12 高吸収性ポリマー
13 折り曲げ部分
14 非存在領域
15 カバー不織布
20、21 パルプ含有不織布
22 凹部
22a 凹部底面
25 トップシート
30 バックシート
31 スパンボンド不織布
32 木材パルプ繊維層
40 立体ギャザー
50 吸収性物品

Claims (9)

  1. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
    前記吸収体は、
    繊維が起毛した起毛面を有する基体不織布と、前記基体不織布の幅方向中央部に対向配置され、かつ幅方向の寸法が前記基体不織布の幅方向の寸法の5%以上50%以下であり、前記基体不織布の前記起毛面の一部を覆うカバー不織布と、前記基体不織布の起毛した繊維間に固着担持された高吸収性ポリマーと、を含む高吸収性シートと、
    前記基体不織布の前記起毛面及び前記カバー不織布の非肌側面の全体を覆うパルプ含有不織布と、を備え、
    前記基体不織布の前記起毛面の、前記カバー不織布との対向領域が前記高吸収性ポリマーの非存在領域であり、
    前記吸収体の幅方向の両末端及びそれらの近傍が前記トップシートを臨みつつ、前記両末端が対向するように、前記基体不織布の前記起毛面を外側にして内三つ折りした立体形状であり、前記両末端間の距離長さは前記吸収体の幅方向長さの10%以上50%以下であり、
    前記内三つ折りする前の平坦状態の前記吸収体において、35g/cm荷重下厚さが1.0mm以上4.0mm以下であり、前記35g/cmの荷重下厚さが、無荷重下厚さの30%以上70%以下であることを特徴とする、吸収性物品。
  2. 前記カバー不織布は、前記基体不織布の幅方向中央部において、前記基体不織布の長手方向の一方の縁辺又は一の途中部から、前記基体不織布の長手方向の他方の縁辺又は他の途中部まで延びるように配置された、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記カバー不織布は、前記基体不織布の長手方向寸法が、前記基体不織布の幅方向寸法よりも大きい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記カバー不織布の、長手方向両端部の形状が、略四角形状、略三角形状、略半円状、及び略喇叭状よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記カバー不織布がエアスルー不織布であり、厚さが0.1mm以上3.0mm以下であり、坪量が10g/m以上60g/m以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収体の折り曲げ部分における前記高吸収性ポリマーの存在比率が、非折り曲げ部分における前記高吸収性ポリマーの存在比率より小さい、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記基体不織布がエアスルー不織布であり、坪量が20g/m以上120g/m以下であり、厚さが0.3mm以上8.0mm以下であり、前記基体不織布を構成する繊維の太さが、1.8dtex以上9.0dtex以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記高吸収性ポリマーの坪量が150g/m以上1000g/m以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  9. 前記パルプ含有不織布は、坪量が40g/m以上80g/m以下の、ポリプロピレンから成るスパンボンド不織布にパルプ繊維を交絡、一体化した複合型不織布である、請求項1~8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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