以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下の説明では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
図1に示すように、冷蔵庫1の断熱箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、冷凍室ドア4a、第一切替室ドア5a、第二切替室ドア6aである。
冷蔵室ドア2aには代表的な庫内の設定や状態を示す表示部19が設けられている。冷蔵室ドア2a、2bを冷蔵庫1に固定するために、ドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部および下部に設けられている。
冷蔵室2は、庫内を冷蔵温度帯(0℃以上)の例えば平均的に4℃程度に設定された冷蔵貯蔵室である。製氷室3及び冷凍室4は、庫内を冷凍温度帯(0℃未満)の例えば平均的に-20℃程度に設定された冷凍貯蔵室である。
第一切替室5および第二切替室6は、庫内を冷凍温度帯もしくは冷蔵温度帯に設定可能な切替貯蔵室で、例えば、平均的に4℃程度にする冷蔵モードと、平均的に-20℃程度にする冷凍モードとに切り替えられる。本実施形態の冷蔵庫1では、さらに冷蔵モードと冷凍モードの間の温度となる強冷蔵モードや弱冷凍モード、冷凍モードよりも低温にする強冷凍モード、また冷蔵温度帯で野菜を貯蔵するのに適した野菜モードといった、複数の運転モードを設けており、これらの運転モードは、操作部18(図2参照)によってユーザーが選択できる。なお、冷蔵庫1が無線通信回線によりスマートフォン等と接続される場合には、スマートフォン等を介してユーザーが切替貯蔵室の温度帯を設定できるようにしてもよい。
図2は、第1実施形態に係る冷蔵庫における図1のII-II断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1は、外箱10a(鋼板製)と内箱10b(合成樹脂製)との間に発泡断熱材(例えば発泡ウレタン)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内は隔てられて構成されている。断熱箱体10には、発泡断熱材に加えて、発泡断熱材よりも熱伝導率の低い真空断熱材25を外箱10aと内箱10bとの間に実装することで、食品収納容積を低下させることなく断熱性能を高めている。ここで、真空断熱材は、グラスウールやウレタン等の芯材を、外包材で包んで構成される。外包材はガスバリア性を確保するために金属層(例えばアルミニウム)を含む。また、設定によって第一切替室5と第二切替室6は比較的大きな冷凍貯蔵室になることから、第一切替室5のドア5aと第二切替室6のドア6a、及び断熱箱体10の下部にも断熱性能を高めるため真空断熱材25を内挿している。
冷蔵室2と、製氷室3および冷凍室4とは断熱仕切壁28によって隔てられている。製氷室3および冷凍室4と、第一切替室5とは、断熱仕切壁30によって隔てられている。第一切替室5と第二切替室6とは、断熱仕切壁29によって隔てられている。断熱仕切壁29、30の内部には、真空断熱材25が内挿され、比較的薄い断熱壁で高い断熱性能を確保している。また、製氷室3、冷凍室4間の前面側には、ドア3a、4aの隙間から冷蔵庫1内の空気が庫外へ漏れないよう、また庫外の空気が各貯蔵室に侵入しないよう、断熱仕切壁30cが設けられている。なお、本実施形態では、第一切替室5及び第二切替室6が過度に低温にならないよう、断熱仕切壁29の上部に第一切替室5を加熱する電気ヒータ46aを設け、また断熱仕切壁29の下部に第二切替室6を加熱する電気ヒータ46bを設けている。
また、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器3b(図4参照)、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bが設けられている。
冷蔵庫1は、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、及び第二切替室6を冷却する冷凍貯蔵室対応冷却器である第一冷却器14aを備えている。この第一冷却器14aは、第一切替室5と第二切替室6の略背部に備えた第一冷却器室8a内に設けられている。なお、第一冷却器室8aのうち第一冷却器14aの空気流れの上流側を第一冷却器室8a1、第一冷却器14aの空気流れの下流側を第一冷却器室8a2と呼ぶことがある。第一冷却器14aの上方に冷凍用ファンである第一ファン9aが設けられている。第一切替室5及び第二切替室6と第一冷却器室8aは、貯蔵室(第一切替室5及び第二切替室6)側の壁面を構成する仕切り部材20aと、第一冷却器室8a側を構成する仕切り部材20bによって仕切られている。この仕切り部材20aと仕切り部材20bは、第一冷却器室8aと各貯蔵室を仕切るとともに、内箱10b及び第一冷却器用トイ23aとの組み合わせにより、第一冷却器14aの風路空間を構成していることから、仕切り部材20aと仕切り部材20bを合わせて風路構成部材20と呼ぶ。仕切り部材20aは、例えば樹脂部材の一種であるポリプロピレン製で、厚さが1.5mmである。仕切り部材20b(発泡断熱材)は、例えば発泡成形したポリスチレンフォーム(発泡スチロール)製である。また、仕切り部材20bの厚さは、発泡時の成形性や冷蔵庫組込時の組立性、耐衝撃性、また第一冷却器室8aによる第一切替室5及び第二切替室6への熱影響を抑制するため30mmとしている。なお、第一ファン9aの前方が、冷蔵温度帯にもなる貯蔵室(切替貯蔵室)のため、第一冷却器室8a等との断熱が必要であり、風路が複雑になっていることから、第一ファン9aは静圧に強い遠心型ファンであるターボファンを用いている。
第一冷却器室8aの下部には、第一冷却器14aを加熱する除霜ヒータ21(図2参照)が設けられている。この除霜ヒータ21は、例えば50W~200Wの電気ヒータで、冷蔵庫1内で最も発熱量の高いヒータであり、本実施形態では120Wのラジアントヒータとしている。第一冷却器14aの除霜時に発生した除霜水(融解水)は、第一冷却器室8aの下部に設けた第一冷却器用トイ23a(図2参照)に落下し、第一冷却器用排水口22a(図2参照)、第一冷却器用排水管27a(図2参照)を介して圧縮機24(図2参照)の上部に設けた蒸発皿32(図2参照)に排出される。
冷蔵貯蔵室用冷却器である第二冷却器14bは、冷蔵室2の略背部に備えた冷蔵用冷却器室である第二冷却器室8b内に設けられている。第二冷却器14bと熱交換して低温になった空気は、第二冷却器14bの上方に設けた冷蔵用ファンである第二ファン9bにより、冷蔵室風路11、冷蔵室吐出口11aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口15から第二冷却器室8bに戻り、再び第二冷却器14bにより冷却される。
第二冷却器14bは、冷蔵室2の空気を循環させて、冷蔵室2の熱で除霜するオフサイクル除霜により除霜を行う。この第二冷却器14bの除霜時に発生した除霜水は、第二冷却器室8bの下部に設けた第二冷却器用トイ23b(図2参照)に落下し、第二冷却器用排水口(図示なし)、第二冷却器用排水管(図示なし)を介して機械室39に設けた蒸発皿32に排出される。
冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44(何れも図3A参照)を設け、第一冷却器14aの上部には第一冷却器温度センサ40a、第二冷却器14bの上部には第二冷却器温度センサ40bを設け、これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6、第二冷却器14b、及び第一冷却器14aの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度を検知する外気温度センサ37と湿度を検知する外気湿度センサ38が設けられている。その他のセンサとして、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ45(図3A参照)や、後述する製氷皿3内の水(氷)の温度を検知する製氷室温度センサ(図示せず)等も設けられている。
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板(制御装置、制御部)31(図2参照)が配置されている。制御基板31は、外気温度センサ37、外気湿度センサ38、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、第一切替室温度センサ43、第二切替室温度センサ44、第一冷却器温度センサ40a、第二冷却器温度センサ40b、ドアセンサ45等と電気配線(図示せず)で接続されている。
また、制御基板31では、各センサの出力値や操作部18の設定、ROMに予め記録されたプログラム等に基づいて、後述する圧縮機24、第一ファン9a、第二ファン9bや、ダンパ100、101a,101b、102a,102bの制御を行っている。
加えて、本実施形態の冷蔵庫1には、外部機器と接続できる通信基板(図示なし)が設けられている。この通信基板が設けられることで、冷蔵庫1の情報をスマートフォン等のモバイルデバイスやパーソナルコンピュータ等に提供することや、これらの操作により操作部18(図2参照)と同様にモード等の設定変更も行うことができるようにしている。
図3A、図3Bは、第1実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す正面図で、図3Bは風路内部を示している。なお、ドア3a、4a、5a、6a、及び容器3b、4b、5b、6bは省略している。図4は、第1実施形態に係る冷蔵庫の風路構成を示す概略図である。
各貯蔵室3、4、5、6への冷気の送風は送風制御部であるダンパ100、101a、101b、102a、102bにより制御する。
製氷室3及び冷凍室4を冷却する際は、製氷室3及び冷凍室4への送風を制御するダンパ100を開け、第一冷却器14aの上方に設けた冷凍用ファンである第一ファン9aにより、第一冷却器14aと熱交換して低温になった空気(冷気)を第一冷却器室8a2、風路12、冷凍室ダンパ100、風路110、冷凍室吐出口110a、110bを介して製氷室3及び冷凍室4に送風し、製氷室3の製氷皿3c内の水、容器3b内の氷、冷凍室4の容器4b内の食品等を冷却する。なお,製氷皿3cの水は,図3Bに示す製氷タンク37から製氷ポンプ(図示せず)により供給される。製氷室3及び冷凍室4を冷却した空気は、戻り口110cより戻り風路12dを介して、第一冷却器室8a1に戻り、再び第一冷却器14aにより冷却される。なお、製氷室3及び冷凍室4は何れも常に冷凍温度帯の貯蔵室のため、1つのダンパにより2つの貯蔵室への送風を制御する構成として低コスト化を図っている。
第一切替室5は、冷凍モードと冷蔵モードとで冷気の送風を変えている。なお、前述した野菜モードは冷蔵モードの一部として説明する。第一切替室5が冷凍モードの際は、第一切替室5の直接冷却用ダンパであるダンパ101aを開けて、間接冷却用ダンパであるダンパ101bを閉じる。第一冷却器14aで冷却された空気は、第一冷却器室8a2、第一ファン9a、風路12、ダンパ101a、そして第一切替室5の直接冷却用吐出口である吐出口111aを介して、第一切替室5に設けた第一切替室容器5b内に送風され、第一切替室容器5b内の食品を冷却する。冷気は第一切替室容器5b内の食品を直接冷却するため、比較的短時間で第一切替室容器5b内の食品を冷却できる。第一切替室5が冷蔵モードの際は、ダンパ101aを閉じて、第一切替室5の間接冷却用ダンパであるダンパ101bを開ける。第一冷却器14aで冷却された空気は、第一冷却器室8a2、第一ファン9a、風路12、ダンパ101b、そして第一切替室5の間接冷却用吐出口である吐出口111bを介して、第一切替室容器5bの外側(外周)に向けて送風される。冷気は第一切替室容器5b内の食品に直接到達し難くなり、すなわち食品は第一切替室容器5bを介して間接冷却されるため、食品の乾燥を抑えつつ冷却できる。吐出口111a、又は吐出口111bより吐出し、第一切替室5内を冷却した空気は、戻り口111cより戻り風路12dを介して第一冷却器室8a1に戻り、再び第一冷却器14aにより冷却される。
なお、冷凍モードの方が貯蔵室と外気との温度差が大きく冷却に必要な負荷が大きいため、主に冷蔵モードで利用するダンパ101bに比べ、主に冷凍モードで利用するダンパ101aの方が開口面積を大きくして風量を高め、一方でダンパ101bは開口面積(サイズ)を小さくして貯蔵室内の内容積を極力大きくしている。
第二切替室6も、第一切替室5と同様に、運転モードによってダンパの開閉を変更している。第二切替室6が冷凍モードの際は、第二切替室6の直接冷却用ダンパであるダンパ102aを開け、間接冷却用ダンパであるダンパ102bを閉じる。第一冷却器14aで冷却された空気(冷気)は、第一ファン9a、風路12、ダンパ102a、そして第二切替室6の直接冷却用吐出口である吐出口112aを介して、第二切替室容器6b内に送風され、第二切替室容器6b上の食品を冷却する。冷気は第二切替室容器6bの食品を直接冷却するため、比較的短時間で第二切替室容器6b内の食品を冷却できる。 第二切替室6が冷蔵モードの際は、第一切替室5の間接冷却用ダンパであるダンパ102bを開け、ダンパ102aを閉じる。第一冷却器14aで冷却された空気は、第一冷却器室8a2、第一ファン9a、風路12、ダンパ102b、そして第二切替室6の間接冷却用吐出口である吐出口111bを介して、第二切替室容器6bの外側(外周)に送風し、間接冷却として、食品の乾燥を抑えつつ冷却する。第二切替室6内を冷却した空気は、戻り口112cより第一冷却器室8a1に戻り、再び第一冷却器14aにより冷却される。
なお、ダンパ101aと101bと同様、主に冷蔵モードで利用するダンパ102bに比べ、主に冷凍モードで利用するダンパ102aの方が開口面積を大きくしている。
ここで、本実施例では、第一切替室5、第二切替室6を冷蔵温度帯に制御する冷蔵モードとして、通常の冷蔵モードに加えて、野菜室としての使用を想定した野菜モードも設けている。通常の冷蔵モード(野菜モード非設定時)において,庫内の温度が所定値よりも高い場合(例えば基準温度よりも10℃以上高い場合)には直接冷却用ダンパであるダンパ101a,102aを開けるようにしている。これにより,直接冷却により容器内の食品を短時間で冷却し,食品が高温の時間を抑え,食品の鮮度保持性能を高めることができる。一方、野菜モードでは間接冷却のみで冷却するよう、基本的に直接冷却用ダンパであるダンパ101a,102aを開けず、間接冷却用ダンパであるダンパ101b,102bのみで冷却するようにして食品の乾燥を抑えて食品(野菜)の鮮度保持性能を高めている。なお、冷蔵モード(野菜モード非設定時)では、袋に入った食品や缶やペットボトルに入った飲料など,乾燥の心配の比較的少ないものを貯蔵することを想定し、短時間で低温にするために、基本的にダンパ101a,102aを開けるようにしてもよい。
また冷凍モードにおいても庫内の温度が所定値よりも高い場合(例えば基準温度よりも10℃以上高い場合)には、ダンパ101a,102aに加えてダンパ101b、102bも同時に開ける。これにより風量を増加させ、さらに冷却量を高めることができる。
図5は、第1実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。
図5に示すように、冷蔵庫1は、冷媒を圧縮する圧縮機24、圧縮機24により高圧高温になった冷媒を放熱させる放熱配管である庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、冷媒を減圧させる減圧手段である冷凍用キャピラリチューブ53aと冷蔵用キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換させて、庫内の熱を吸熱する第一冷却器14aと第二冷却器14bを備える。なお、結露防止配管50cは、断熱仕切壁28、29、30(図1、図2参照)の前面部に放熱することで、前面部を加熱して結露を抑制している。
また、冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51、液冷媒が圧縮機24に流入するのを防止する気液分離器54a、54b、冷媒流路を制御する三方弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55を備えている。これらを冷媒配管により接続することで冷凍サイクルを構成している。
なお、冷蔵庫1は、可燃性冷媒のイソブタン80gを冷媒として用いている。また、圧縮機24は、インバータを備えて回転速度を変えることができる。三方弁52は、2つの流出口52a、52bを備え、流出口52a側に冷媒を流す冷凍運転と、流出口52b側に冷媒を流す冷蔵運転を備え、これらを切換えることができる部材である。また、三方弁52は、流出口52aと流出口52bの何れも冷媒が流れないようにする全閉のモード、また何れも冷媒が流れるようにする全開のモードも備え、これらのモードにも切換え可能である。
また、冷蔵庫1の冷媒は以下のように流れる。すなわち、圧縮機24から吐出した冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、三方弁52に至る。三方弁52の流出口52aは、冷媒配管を介して冷凍用キャピラリチューブ53aと接続されている。三方弁52の流出口52bは、冷媒配管を介して冷蔵用キャピラリチューブ53bと接続されている。
三方弁52を流出口52a側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52aから流出した冷媒は、冷凍用キャピラリチューブ53a、第一冷却器14a、気液分離器54a、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。逆止弁56は気液分離器54aから冷媒合流部55側には冷媒が流れ、冷媒合流部55から気液分離器54b側へは流れないように配設されている。冷凍用キャピラリチューブ53aで低圧低温になった冷媒が第一冷却器14aを流れることで第一冷却器14aが低温となり、第一冷却器室8a(図2、図3B、図4参照)の空気を冷却することができる。この空気を製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、及び第二切替室6に送風することで、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、及び第二切替室6を冷却する。
三方弁52を流出口52b側に冷媒が流れるようにした場合、流出口52bから流出した冷媒は、冷蔵用キャピラリチューブ53b、第二冷却器14b、気液分離器54b、冷媒合流部55の順に流れた後、圧縮機24に戻る。冷蔵用キャピラリチューブ53bで低圧低温になった冷媒が第二冷却器14bを流れることで第二冷却器14bが低温となり、第二冷却器室8b(図2参照)の空気を冷却することができる。この空気を冷蔵室2に送風することで、冷蔵室2を冷却する。
図6は、壁面放熱配管50bと結露防止配管50cの配設位置を示す図である。図5で示したように、壁面放熱配管50b及び結露防止配管50cは、高温高圧の冷媒が流れる部材である。壁面放熱配管50b(図6中の点線)は、外箱10aと内箱10bとの間(図2参照)で、外箱10aの外表面に接するように配設されている。外箱10aは鋼板製であり、壁面放熱配管50b内の高温冷媒は、外箱10aの外表面を介して冷蔵庫1外の空気に放熱する。また、結露防止配管50c(図6中の一点鎖線)は、断熱仕切壁28、断熱仕切壁29、断熱仕切壁30及び断熱仕切壁30cの前方に配設されている。各断熱仕切壁28、29、30、30cの前面部は、図1、2で示したように、冷凍温度帯の製氷室3、冷凍室4、及び冷凍温度帯に設定可能な第一切替室5、第二切替室6の開口縁を形成しており、これらの貯蔵室により冷却されて開口縁に結露が生じないよう結露防止配管50cにより開口縁を加熱している。
ここで、本実施形態の冷蔵庫1では、第一切替室5、第二切替室6の何れも冷蔵温度帯と冷凍温度帯に設定可能な切替室であるが、第一切替室5の方が冷蔵温度帯を実現することが難しく、第二切替室6の方が冷凍温度帯を維持することが難しい。この理由を図7、図8を用いて説明していく。
図7は第一切替室5が冷蔵モード、第二切替室6が冷凍モード、図8は第一切替室5が冷凍モード、第二切替室6が冷蔵モードの場合の熱の流れを示す図である。矢印は第一冷凍室5及び第二切替室6に関する高温側から低温側への熱移動を示しており、特に温度差が大きい冷凍温度の貯蔵室と外気との熱移動を太い矢印で表している。尚、温度差の小さい室間(10℃以下)での熱移動は影響が小さいため省略している。
外気から第一切替室5及び第二切替室6への熱移動は図7、図8の何れのモードでも生じ、第一切替室5には前面(ドア5a)を介した熱移動、第二切替室6には前面(ドア6a)、下面(断熱箱体10の底面)、及び背面下部(機械室39と断熱箱体10を介して面する箇所)を介した熱移動により、外気から熱が侵入する。また、図示していないが左右の側面からも外気の熱が侵入する。
また、図7に示す第一切替室5を冷蔵モードとし、第二切替室6を冷凍モードとした場合、第一切替室5に対し、外気からの熱移動による加熱に加え、上面(断熱仕切壁30)、下面(断熱仕切壁29)、及び背面(風路構成部材20)を介した製氷室3及び冷凍室4、第二切替室6、第一冷却器14a及びその周辺空間(第一冷却器室8aなど)への熱移動(冷却)が生じる。すなわち第一切替室5は上面、下面、背面から冷却される。
図8に示す第一切替室5を冷凍モードとし、第二切替室6を冷蔵モードとした場合は、第一切替室5に対し、外気からの熱移動に加え、下面(断熱仕切壁30)を介した冷蔵温度帯の第二切替室6側からの熱移動が生じ,これにより第一切替室5は加熱される。また、第二切替室6に対し、外気からの熱移動(加熱)に加え、上面(断熱仕切壁30)を介した冷凍温度帯の第一切替室5への熱移動(冷却)と、背面上部を介した第一冷却器14a及びその周辺空間への熱移動(冷却)が生じる。
冷蔵温度帯に設定している図7の第一切替室5と図8の第二切替室6に対する壁面間の熱移動を比較すると、図7の第一切替室5は上面、下面、背面から冷却され、前面と側面から加熱されるのに対し、図8の第二切替室6は上面と背面上部から冷却され、前面、側面、底面、背面下部から加熱される。図8の第二切替室6に比べて図7の第一切替室5の方が、加熱される壁面面積が小さく、冷却される壁面面積が大きいことから、図7の第一切替室5の方が低温になり易い。冷蔵温度帯の場合、過度に低温になると食品が凍結等により劣化してしまうことがあることから、例えば電気ヒータ46aでの加熱が必要となり消費電力量の増加を招くことがある。
また、何れも冷凍温度帯の図7の第二切替室6と図8の第一切替室5に対する壁面間の熱移動を比較すると、図8の第一切替室5は下面を第二切替室6との熱交換、前面、側面を外気との熱交換で加熱されるのに対し、図7の第二切替室6は上面を第一切替室5との熱交換、前面、側面、さらに底面、背面下部を外気との熱交換により加熱される。すなわち、図7の第二切替室6の方が、壁面を介した加熱量、特に温度差の大きい外気からの加熱量が大きくなり易く、図7の第二切替室6の方が低温を維持するために必要な冷却量が多くなり易い。
加えて、図7と図8の第一切替室5と第二切替室6に対する外気からの熱移動量を比較すると、何れも第一切替室5には前面と側面、第二切替室6には前面、側面、下面、及び背面下部を介した熱移動が発生する。壁面を介した熱移動量は温度差によって大きくなることから、熱移動が生じる壁面面積の大きい第二切替室6が低温の場合、すなわち第二切替室6を冷凍モードにしている図7の方が熱移動量が大きくなり易く、外気からの熱の侵入が多くなり易い。従って、庫内の温度を維持するために必要な冷却量、すなわち圧縮機24で消費する電力量は図7の第一切替室5が冷蔵、第二切替室6が冷凍モードの場合の方が、図8の第一切替室5が冷凍、第二切替室6が冷蔵モードの場合よりも多くなり易い。
以上から、何れも切替室ではあるが、第一切替室5の方が冷蔵温度帯を実現するための配慮、すなわち電気ヒータ46aの加熱を抑えながら低温になり過ぎないような配慮が必要であり、第二切替室6の方が冷凍温度帯(低温)を維持するための配慮が必要となる。
図9Aは図2の拡大図で断熱仕切壁30周辺の拡大図である。
冷蔵庫1は、断熱仕切壁30の前面側(ドア4a,5a側)で主に断熱箱体10の開口縁を構成する断熱仕切部材30aと、製氷室3及び冷凍室4と第一切替室5間を仕切る断熱仕切部材30bの2つの部材で断熱仕切壁30を構成している。なお、下記に示す本発明は、必ずしも2つの部材に分かれている必要はない。
断熱仕切部材30aの外表面は前面側を鋼板製の仕切カバー203、その他を樹脂部材202により構成している。断熱仕切部材30a内部は、前面側で仕切カバー203の近傍に、圧縮機24で高温高圧となった冷媒が流れる結露防止配管50cが設けられている。なお、本実施形態に関わる冷蔵庫1の仕切カバー203は鋼板製であるが、これに限定されず、熱伝導性の高い金属等の材料で構成すればよい。また、結露防止配管50cを除く断熱仕切部材30aの内部には、例えば発泡成形したポリスチレンフォーム(発泡スチロール)製の断熱部材201を設けている。
断熱仕切壁30は、冷凍温度帯に維持している、或いは設定可能な製氷室3、冷凍室4及び第一切替室5に隣接しているので、断熱仕切壁30は製氷室3、冷凍室4及び第一切替室5の低温空気により冷却される。そのため、断熱仕切壁30に加熱手段を備えていない場合、開口縁を形成する仕切カバー203の表面温度は外気よりも低温となり、冷蔵庫1の周囲の外気が高湿であると露点温度を下回ることがある。すなわち、加熱手段を備えていない場合、仕切カバー203近傍の空気中の水分によって仕切カバー203の表面に結露が発生することがある。それに対して、図5で示したように、キャピラリチューブ53a,53bで減圧される前の高温の冷媒が流れる結露防止配管50cを開口縁を形成する仕切カバー203の近傍に設け、仕切カバー203を冷媒によって加熱することで、仕切カバー203に発生する結露を抑制している。一方、高温冷媒が流れる結露防止配管50cの熱が庫内に侵入して、特に冷凍温度帯の貯蔵室を加熱しないよう、結露防止配管50cの略背部には断熱部材201を設けている。加えて、断熱部材201は製氷室3及び冷凍室4と第一切替室5間の熱移動の抑制にも寄与している。
図9Bは図9Aと同様の図2の拡大図で断熱仕切壁29周辺の拡大図である。断熱仕切壁30と同様、断熱仕切壁29は、主に断熱箱体10の開口縁を構成する断熱仕切部材29aと、第一切替室5と第二切替室6間を仕切る断熱仕切部材29bの2つの部材で構成されており、断熱仕切部材29aの内部に設けた結露防止配管50cにより、開口縁を形成する鋼板製の仕切カバー203を加熱し、仕切カバー203の結露を抑制している。また断熱仕切部材29aの内部で結露防止配管50cを除く空間に断熱部材201を設けているのも同様である。
ここで、本実施形態の冷蔵庫1では、図7、図8を用いて説明したように、第一切替室5は冷蔵温度帯に設定可能な貯蔵室で、冷蔵温度帯に設定した際に温度が低下しやすい貯蔵室であることから、結露防止配管50cを用いて第一切替室5の加熱を行っている。具体的には断熱部材201の表面に、結露防止配管50cの略背面から第一切替室5側(断熱仕切部材30a下部及び断熱仕切部材29aの上部)へと熱を伝導する熱伝導部材200を設けている。熱伝導部材200により結露防止配管50cから第一切替室5側に熱を伝導させることで、結露防止配管50cの熱を第一切替室5の加熱手段として用いることができ、第一切替室5を冷蔵温度帯に維持するための電気ヒータ46aによる加熱量、すなわち電気ヒータ46aの消費電力量を低減することができるため、省エネルギー性能を向上させることができる。また、加熱手段が増えたことで、熱伝導部材200を用いない場合に比べ、電気ヒータ46aに必要な最大の電力量や加熱範囲を低減でき、電気ヒータ46aの低コスト化も可能となる。なお、本実施形態では、熱伝導部材200として、厚さ0.1mmの金属テープ(金属部材に粘着部を設けたもの)であるアルミニウムテープを用いており、熱伝導率の高い材料としつつ、断熱部材201への設置性を高めている。
以上のように、本実施形態では、断熱仕切部材30a内部に熱伝導部材200を設けることで、放熱配管である結露防止配管50cを第一切替室5の加熱手段として用いることができ、省エネルギー性能の向上、さらには電気ヒータ46aのコスト低減を行うことができる。なお、放熱配管により第一切替室5内を加熱する手段として、放熱配管を延長し第一切替室5内の壁面に放熱配管を設けることも考えられるが、この場合、冷媒配管延長によるコストの増加や適性冷媒量の増加が生じる。すなわち、熱伝導部材200を用いた本発明により、冷媒配管を延長して貯蔵室の加熱を行う場合に比べ、コストや冷媒量の増加を抑えた冷蔵庫を提供することができる。
また、本実施形態では結露防止配管50cによって第一切替室5を加熱することで、第一切替室5と結露防止配管50cとの熱交換により結露防止配管50c内の冷媒が冷却される。従って、冷媒の放熱量が増えることによる冷凍サイクルの効率向上効果も得られる。
ここで、熱伝導部材200を断熱仕切部材30a上部よりも下部を長く、断熱仕切部材29aの下部よりも上部を短くすることで、製氷室3、冷凍室4、第二切替室6に比べ、第一切替室5に結露防止配管50cからの熱が伝わり易くなり、第一切替室5の加熱を促進することができることから、本実施形態では、図9A、図9Bに示すように、熱伝導部材200は断熱仕切部材30a上部(製氷室3、冷凍室4側)、及び断熱仕切部材29aの下部(第二切替室6)には設けないようにしている。すなわち、常に低温が求められる冷凍温度帯の製氷室3、冷凍室4、及び図7、図8で示したように低温を維持するための配慮が必要な第二切替室6に対しては、結露防止配管50cによる加熱を抑えて低温を維持し易い構成とし、冷え過ぎを抑えたい第一切替室5には熱が伝わり易い構成としている。特に、本実施形態のように、熱伝導部材200を断熱仕切部材30a上部、断熱仕切部材29aの下部に設けないようにすることで、熱伝導部材200を設けても第一切替室5を除く冷凍温度帯の貯蔵室への結露防止配管50cによる熱の侵入を抑えられ、効率よく庫内の温度を維持することができる。
なお、本実施形態では、断熱仕切部材29aと断熱仕切部材30aの両方に熱伝導部材200を設けたが何れか一つでも有効である。必要な加熱量に応じて、断熱仕切部材29aと断熱仕切部材30aの両方に熱伝導部材200を設けるか、何れか一方に設けるかを選択すればよい。なお、何れか一方に熱伝導部材200を設ける場合は、第一切替室5の下側の断熱仕切部材29aに設ける方が効果的である。低温になり易い貯蔵室は、冷気が送風されている時間が短く、自然対流による温度分布で上部よりも下部が低温になり易いことから、食品が低温になり易い第一切替室5下部を加熱した方が効率的に食品の過度な低温化を抑制することができる。
また、熱伝導部材200を用いた結露防止配管50cによる加熱方法は、冷蔵温度帯の貯蔵室の加熱手段として、どのような形態の冷蔵庫においても有効であるが、図7に示す冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵モードの第一切替室5)の上下に、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室3、冷凍室4、及び冷凍モードの第二切替室6)を配している冷蔵庫において特に有効である。図7で示したように、上下に冷凍温度帯の貯蔵室が設けられた冷蔵温度帯の貯蔵室は低温になり易く、電気ヒータ46aによる加熱量が多くなり易い。すなわち、熱伝導部材200を介した結露防止配管50cによる冷蔵温度帯の貯蔵室の加熱により、電気ヒータ46aの消費電力量を抑えることが省エネルギー性能向上に有効である。また、冷蔵温度帯の貯蔵室が、冷蔵室よりも温度が高めのセラー室の場合や、本実施形態の野菜モードのように野菜の収納を想定した貯蔵室である場合、冷蔵室よりもさらに冷え過ぎに対して配慮する必要があることから、より本発明の効果は重要となる。
また、本実施形態では、前述の発明に加え、第一切替室5を低温になり難くするための配慮として、第二切替室ドア6aに比べて第一切替室ドア5aの断熱性能を低くしている。具体的には、第二切替室ドア6aに設けた真空断熱材25に比べ、第一切替室ドア5aに設けた真空断熱材25を薄くし、第二切替室ドア6aよりも第一切替室ドア5aを介した外気からの加熱が多くなるようにしている。すなわち、冷凍温度帯(低温)を維持するための配慮が重要な第二切替室6に対しては外気からの熱の侵入を抑えつつ、低温になり易い第一切替室5に対しては外気の熱を利用して電気ヒータ46aの加熱量を抑え、省エネルギー性能を高めている。加えて、第一切替室ドア5aの真空断熱材25を薄くすることで、真空断熱材25の使用量低減によるコスト低減効果も得られる。なお、この効果は第一切替室5内に真空断熱材25を設けない、或いは真空断熱材25の幅や高さを短くすることでも得られる。ただし、第一切替室5によって第一切替室ドア5aは冷却されるため、第一切替室ドア5aの断熱性能を過度に低下させると、第一切替室ドア5aの表面が低温になり、第一切替室ドア5aに結露が生じることが考えられる。特に本実施形態のように、第一切替室5が切替室の場合、第一切替室5を冷凍モードとした際に第一切替室5の冷却量が多く、第一切替室ドア5aの表面が低温になり易いことから、断熱性能を低下させられる範囲は限定的になる。また、外気による加熱では、前述した結露防止配管50cを用いて加熱した場合に得られる冷凍サイクルの効率向上効果は得られない。従って、結露防止配管50cを用いた加熱と併用することが効果的である。
また、本実施形態では、仕切カバー203への結露に対しても配慮している。図10は断熱仕切部材29a周辺を拡大した正面図である。断熱仕切部材29aの内部に熱伝導部材200を貼付している箇所は破線、ドアセンサ45を設けている箇所は点線で示している。本実施形態では、第二切替室ドア6aの開閉を検知するドアセンサ45を断熱仕切部材29a内に設けている。ドアセンサ45は、第二切替室ドア6aに設けた磁石に反応して第二切替室ドア6aの開閉を検知する磁気センサである。前述のように仕切カバー203は基本的には鋼板製であるが、ドアセンサ45の前面は、磁気センサの誤検知防止のために樹脂製の仕切カバー203aを用いている。鋼板に比べて樹脂は熱伝導率が低いことから、断熱仕切部材29a内部の結露防止配管50a(図9B参照)による加熱が行いにくく、鋼板製の仕切カバー203に比べて樹脂製の仕切カバー203aは低温になり易い。そのため、熱伝導部材200を介した熱交換により、外気に比べて低温な第一切替室5に冷却されて露点を下回らないよう、低温になり易い樹脂製の仕切カバー203aの背面側には熱伝導部材200を設けず、結露防止配管50aによる加熱がし易く低温になり難い鋼板製の仕切カバー203の背面側に熱伝導部材200を設けるようにしている。なお、同様に断熱仕切部材30aも、ドアセンサ45の前方に樹脂製の仕切カバー203aを設けており、鋼板製の仕切カバー203の背面側に熱伝導部材200を設けるようにしている。
ここで、例えば図11のような構成でも上記した効果を得ることができる。図11は断熱仕切壁29の別の実施形態例を示す図である。図11の例は、鋼板製の仕切カバーを活用したもので、仕切カバー203bは、図9Bで示した仕切カバー203よりも上部(第一切替室5側)のフランジ部(開口縁から庫内側への曲げ部)を長く、すなわち第二切替室6側(下部)よりも第一切替室5側(上部)の鋼鈑面積を大きくしている。これにより、仕切カバー203bのフランジ部を介して結露防止配管50cの熱を第一切替室5に伝熱し、第一切替室5を加熱することができる。なお、仕切カバー203から断熱仕切部材29aの上部へと熱を延伸する熱伝導部材を設けても同様の構成となる。すなわち、仕切カバー203と熱伝導部材を介して結露防止配管50cの熱を第一切替室5に伝熱し、第一切替室5を加熱するようにしてもよい。
ただし、図9Bに示した本実施形態と比べると、図11の構成は仕切カバー203bの結露を抑制する難易度が高くなる。鋼板製の仕切カバー203bの上面が第一切替室5によって冷却されるため、開口縁を形成する仕切カバー203bの前面部の特に上部の箇所は低温になり易いことから、過度に第一切替室5と熱交換しないようフランジ長さを設計する必要がある。特に、本実施形態のように、加熱する貯蔵室が冷凍温度帯にも設定可能な切替室の場合、より低温な冷凍温度帯に設定した際に仕切カバー203bの上面が低温になり易く、仕切カバー203bと第一切替室5との熱交換は、冷凍温度帯を想定して結露が発生しない程度に抑える必要がある。一方、図9Bに示す本実施形態では、第一切替室5との熱交換で熱伝導部材200の上部が冷却されるが、基本的に仕切カバー203は結露防止配管50aの前面側と熱交換し、熱伝導部材200は結露防止配管50aの背面側と熱交換しており、低温の熱伝導部材200の上部と仕切カバー203とは熱的に分離されており、熱伝導部材200から仕切カバー203への熱的影響は少ない。なお、結露防止配管50a内を流れる冷媒は基本的に気液二層域の冷媒で、結露防止配管50aが冷却されても基本的に冷媒温度は変わらない。従って、熱伝導部材200を介して結露防止配管50a背面が冷却されても結露防止配管50aの温度低下は少なく、結露防止配管50cによる仕切カバー203の加熱量に対する影響も少ない。すなわち、図9Bで示した本実施形態の方が、仕切カバー203の結露に対する配慮の必要性が少なく、より結露防止配管50aを用いた第一切替室5の加熱がし易い構成であり、特に第一切替室5からの冷却量が大きくなる冷凍温度帯にも設定可能な切替室を備えた冷蔵庫において、熱伝導部材200を用いる図9Bに示した形態の方が有効である。一方、図11で示した形態にすることで、本実施形態に比べ、熱伝導部材200を配設することに伴う部材数の増加や製造時の作業数を抑えることができる。
また、本実施形態では、結露防止配管50cの熱を用いて第一切替室5の加熱を行っているが、例えば外箱10aから加熱したい貯蔵室の左右壁面(内箱10b)に伝熱するように熱伝導部材を設けてもよい。すなわち、図6に示した前面側で開口縁に近い壁面放熱配管50bや結露防止配管50cの熱を用いて第一切替室5の左右の壁面を加熱しても同様の効果は得られる。ただし、外箱10aと内箱10bとの間に発泡断熱材を充填して断熱箱体10を形成することから、外箱10aと内箱10bの密閉性が重要となり、内部に熱伝導部材を設けることが難しく、製造性から本実施形態では結露防止配管50cの熱を用いている。加えて、前述したように貯蔵室の下部を加熱した方が効率的であることから、断熱仕切部材29aに熱伝導部材200を設けることが特に効果的である。
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、本実施形態の冷蔵庫では切替室(第一切替室5と第二切替室6)を設けているが、冷蔵モードの第一切替室5及び第二切替室6は冷蔵室や野菜室、冷凍モードの第一切替室5及び第二切替室6は冷凍室に置換した構成であってもよい。また冷凍室4が切替室であってもよい。また、複数の冷却器(第一冷却器14aと第二冷却器14b)を備えたものを例に挙げて説明したが、1つの冷却器で全ての貯蔵室を冷却する構成であってもよい。