JP7302627B2 - 電線接続構造、電線接続方法、医療器具、及び医療器具の製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、電線接続構造、電線接続方法、医療器具、及び医療器具の製造方法に関する。

従来、検査や治療のために人体内に挿入される医療用のカテーテルケーブルには、複数の電線が管状のジャケットに一括して収容されたものがある。複数の電線は、カテーテルケーブルの端部においてジャケットから導出され、例えば基板に接続される。このような複数の電線と基板との接続構造として、特許文献１，２に記載のものが提案されている。

特許文献１に記載のものは、複数の同軸線が基板の厚さ方向に積層された複数の群に分けられ、各群の同軸線の中心導体が基板の表面に設けられた複数の接点導体にそれぞれ接続されている。同軸線の長さは群ごとに異なり、中心導体が各同軸線のそれぞれの先端部で基板の接点導体に接続されている。

特許文献２に記載のものは、撚線からなる芯線を基板の接続ランドに接続する際の作業性向上のため、絶縁材料からなる外皮が除去された部分の芯線を金属管に挿入し、金属管上から押圧しながら拡散接合又は超音波接合により基板の接続ランドと金属管及び芯線とを接合する。

特開２０１１－８２０４２号公報 国際公開第２０１８／１０５３９１号

医療用のカテーテルケーブルは、人体への負担軽減のため細径化が図られており、例えば特許文献１に記載されているようにＡＷＧ４６相当の極細の電線が用いられる。しかし、電線が細くなると基板との接続作業の困難性が増大してしまう。

そこで、本発明は、複数の電線と基板との接続を容易に行うことが可能な電線接続構造、電線接続方法、医療器具、及び医療器具の製造方法を提供することを目的とする。

本発明は、上記課題を解決することを目的として、芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線の前記芯線が基板に設けられた複数のパッドに接続された電線接続構造であって、前記複数の絶縁電線は、所定の並び方向に沿って並び、かつ互いに平行に配置されると共に、それぞれの長手方向の一部において前記絶縁被覆が除去されて前記芯線が露出し、当該露出した部分の前記芯線が前記複数のパッドにそれぞれ接続されており、前記複数の絶縁電線のうち一部の絶縁電線は、前記並び方向における両隣の他の絶縁電線の前記絶縁被覆が除去されていない部分で前記芯線が露出している、電線接続構造を提供する。

また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線の前記芯線を、基板に設けられた複数のパッドに接続する電線接続方法であって、前記複数の絶縁電線を互いに平行に所定の並び方向に沿って並べる整列工程と、前記複数の絶縁電線のそれぞれの長手方向の一部において前記絶縁被覆を除去して前記芯線を露出させる絶縁被覆除去工程と、前記複数の絶縁電線を前記並び方向が前記基板と平行となるように配置し、前記露出した前記芯線を前記複数のパッドにそれぞれ接続する接続工程とを有し、前記絶縁被覆除去工程において、前記複数の絶縁電線のうち一部の絶縁電線の前記芯線を、前記並び方向における両隣の他の絶縁電線の前記絶縁被覆が除去されない部分で露出させる、電線接続方法を提供する。

また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線を有するカテーテルケーブルと、前記複数の絶縁電線の前記芯線が接続される複数のパッドを有する基板とを備え、前記カテーテルケーブルの長手方向両端部のうち一方の端部が人体内に挿入される医療器具であって、前記複数の絶縁電線のそれぞれの芯線と前記複数のパッドとが上記の電線接続構造によって接続された、医療器具を提供する。

また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線を有するカテーテルケーブルと、前記複数の絶縁電線の前記芯線が接続される複数のパッドを有する基板とを備え、前記カテーテルケーブルの長手方向両端部のうち一方の端部が人体内に挿入される医療器具の製造方法であって、前記複数の絶縁電線のそれぞれの芯線と前記複数のパッドとを、上記の電線接続方法によって接続する、医療器具の製造方法を提供する。

本発明に係る電線接続構造、電線接続方法、医療器具、及び医療器具の製造方法によれば、複数の電線と基板との接続を容易に行うことが可能となる。

（ａ）は、本発明の実施の形態に係る医療器具の一例としての多電極カテーテルの使用状態を示す説明図である。（ｂ）は、カテーテルケーブルの断面図である。 （ａ）及び（ｂ）は、ハンドル内における複数の絶縁電線の一部と基板とを示す斜視図である。 （ａ）～（ｃ）は、図２（ｂ）のＡ－Ａ線、Ｂ－Ｂ線、及びＣ－Ｃ線の断面図である。 複数の絶縁電線を第１及び第２の治具によって把持した状態を示す斜視図である。 第１及び第２の治具の下側把持具を示す斜視図である。 （ａ）～（ｃ）は、整列工程を示す説明図である。（ｄ）は、絶縁被覆除去工程を示す説明図である。 比較例に係る電線接続構造を示す断面図である。 （ａ）は、変形例１に係る電線接続構造を示す構成図である。（ｂ）は、変形例１に係る基板を示す平面図である。 （ａ）は、変形例２に係る電線接続構造を示す構成図である。（ｂ）は、変形例２に係る基板を示す平面図である。

［実施の形態］
図１（ａ）は、本発明の実施の形態に係る医療器具の一例としての多電極カテーテルの使用状態を示す説明図である。図１（ｂ）は、カテーテルケーブルの断面図である。

多電極カテーテル１は、カテーテルケーブル１０と、医師等のオペレータが操作するハンドル１１とを有している。カテーテルケーブル１０は、長手方向の一方の端部がハンドル１１内に収容され、長手方向の他方の端部が検査や治療の対象者Ｐの人体内に挿入されている。図１（ａ）では、対象者Ｐの人体内に挿入された部分のカテーテルケーブル１０を破線で示している。

図１（ｂ）に示すように、カテーテルケーブル１０は、複数の絶縁電線２からなる電線束２０と、電線束２０の外周に巻きつけられたバインドテープ３と、バインドテープ３の外周に配置されたシールド導体４と、シールド導体４の外周に配置された管状のジャケット５とを有している。ジャケット５は、例えばフッ素樹脂からなり、電線束２０、バインドテープ３、及びシールド導体４を収容している。本実施の形態では、１０本の絶縁電線２が束ねられて電線束２０を構成している。なお、バインドテープ３の内側における複数の絶縁電線２の間に、繊維状あるいは紐状の介在を配置してもよい。

絶縁電線２は、銅等の良導電性の金属からなる芯線２１と、芯線２１を被覆する絶縁被覆２２とを有している。本実施の形態では、絶縁電線２がエナメル線であり、断面円形状の単線からなる芯線２１がポリウレタン等の樹脂組成物からなる絶縁被覆２２に覆われている。芯線２１の直径は、例えば０．０２ｍｍ以上０．１０ｍｍ以下である。本実施の形態では、芯線２１がＡＷＧ（American Wire Gauge）の規格によるＡＷＧ４８に相当するものであり、導体径が０．０３２ｍｍである。絶縁被覆２２の厚みは、例えば０．００８ｍｍである。

複数の絶縁電線２は、ハンドル１１内でジャケット５から導出されている。ハンドル１１からは、カテーテルケーブル１０よりも太いコンソールケーブル１２が導出されており、このコンソールケーブル１２によってハンドル１１と不図示のコンソールとが接続されている。コンソールは、マイクロプロセッサやメモリ等を備えた情報処理装置であり、例えば複数の絶縁電線２を介して対象者Ｐの人体から送られる信号を増幅し、増幅した信号によって得られる対象者Ｐの体内の状態をディスプレイに表示するための画像信号を出力する。

ハンドル１１には、複数の絶縁電線２の芯線２１が接続された複数のパッドを有する基板が収容されている。対象者Ｐの人体から送られる信号は、この基板によって中継され、コンソールケーブル１２によってコンソールに送られる。次に、複数の絶縁電線２の芯線２１が基板の複数のパッドに接続された電線接続構造について説明する。

図２（ａ）及び（ｂ）は、ハンドル１１に収容された基板６及び複数の絶縁電線２の一部を示す斜視図である。図２（ａ）では、複数の絶縁電線２と基板６とが対向配置された状態を示し、図２（ｂ）では、複数の絶縁電線２の芯線２１が基板６の複数のパッド６２に接続された状態を示している。図３（ａ）～（ｃ）は、図２（ａ）のＡ－Ａ線、Ｂ－Ｂ線、及びＣ－Ｃ線の断面図である。

基板６は、ポリイミド等の絶縁体からなる平板状の基材６１の一方の主面６１ａに、複数のパッド６２が設けられている。複数のパッド６２は、基材６１の一方の主面６１ａに密着した長方形状の金属箔である。なお、基板６には、複数のパッド６２から延びる配線パターンや、基材６１を厚さ方向に貫通するスルーホール等が設けられているが、図２（ａ）及び（ｂ）では、これらの図示を省略している。

複数の絶縁電線２は、複数のパッド６２との接続箇所を含むその前後の部分が基板６と平行な所定の並び方向に沿って並び、かつ互いに平行に配置される。図２（ａ）及び（ｂ）では、この並び方向Ｄを両矢印で示している。また、複数の絶縁電線２は、それぞれの長手方向の一部において絶縁被覆２２が除去されて芯線２１が露出しており、この露出した部分の芯線２１が複数のパッド６２にそれぞれ接続されている。

複数の絶縁電線２のうち一部の絶縁電線２は、並び方向Ｄにおける両隣の他の絶縁電線２の絶縁被覆２２が除去されていない部分で芯線２１が露出している。本実施の形態では、芯線２１が露出した部分である露出部分２３が、並び方向Ｄに対して垂直な方向（絶縁電線２の長手方向）に所定の間隔を有する第１位置Ｐ_１及び第２位置Ｐ_２に、並び方向Ｄに沿って千鳥状に交互に並んでいる。より具体的には、第１位置Ｐ_１において芯線２１が露出した５本の絶縁電線２と、第２位置Ｐ_２において芯線２１が露出した５本の絶縁電線２とが、並び方向Ｄに沿って交互に並んでいる。

図３（ａ）に示すように、並び方向Ｄにおける複数の絶縁電線２の間隔Ｉ_０は、絶縁電線２の外径ＯＤよりも小さい。間隔Ｉ_０は、例えば絶縁電線２の外径ＯＤの２０～８０％である。前述のように、芯線２１の外径が０．０３２ｍｍ（３２μｍ）、絶縁被覆２２の厚みが０．００８ｍｍ（８μｍ）である場合、絶縁電線２の外径ＯＤは０．０４８ｍｍ（４８μｍ）である。なお、それぞれの絶縁電線２と基板６とは、並び方向Ｄの相対的な位置ずれが、露出した芯線２１とパッド６２とが基板６の厚さ方向に向かい合う範囲において許容される。並び方向Ｄにおける複数の絶縁電線２の間隔Ｉ_０が均一ではない場合、この間隔Ｉ_０の平均値が絶縁電線２の外径ＯＤよりも小さければよい。

図３（ａ）に示すように、絶縁電線２の長手方向の第１位置Ｐ_１において並び方向Ｄに沿って隣り合う二つのパッド６２の間隔Ｉ_１は、絶縁電線２の外径ＯＤよりも大きい。また、図３（ｂ）に示すように、絶縁電線２の長手方向の第２位置Ｐ_２において並び方向Ｄに沿って隣り合う二つのパッド６２の間隔Ｉ_２は、絶縁電線２の外径ＯＤよりも大きい。

図２（ａ）に示すように、第１位置Ｐ_１で露出した芯線２１が接続される複数のパッド６２と、第２位置Ｐ_２で露出した芯線２１が接続される複数のパッド６２との間には、複数の絶縁電線２の長手方向に所定の幅Ｗを有するパッド非形成領域６３が設けられている。幅Ｗは、パッド非形成領域６３を挟む複数のパッド６２の間で、後述する図７に示すような半田ブリッジが発生することを防ぐことが可能な寸法である。

絶縁電線２の長手方向において、露出部分２３は、複数の絶縁電線２のぞれぞれの最先端部を除く部位に形成されている。換言すれば、絶縁電線２の最先端部では、芯線２１が絶縁被覆２２に被覆されている。絶縁電線２の最先端部は、露出した芯線２１を基板６のパッド６２に接続する際に後述する治具に把持される部分である。次に、複数の絶縁電線２の芯線２１を基板６の複数のパッド６２に接続する電線接続方法について説明する。

この電線接続方法は、複数の絶縁電線２を互いに平行に並び方向Ｄに沿って並べる整列工程と、複数の絶縁電線２のそれぞれの長手方向の一部において絶縁被覆２２を除去して芯線２１を露出させる絶縁被覆除去工程と、複数の絶縁電線２を並び方向Ｄが基板６と平行となるように配置し、露出した芯線２１を複数のパッド６２にそれぞれ接続する接続工程とを有している。

図４は、複数の絶縁電線２を第１及び第２の治具７，８によって把持した状態を示す斜視図である。第１及び第２の治具７，８は、それぞれ下側把持具７１，８１及び上側把持具７２，８２を有しており、下側把持具７１，８１と上側把持具７２，８２との間に複数の絶縁電線２が把持されている。

図５は、第１及び第２の治具７，８の下側把持具７１，８１を示す斜視図である。第１の治具７の下側把持具７１には、複数の絶縁電線２を等間隔に把持するための複数の溝７１１が形成されている。また、第２の治具８の下側把持具８１にも、同数の溝８１１が形成されている。複数の絶縁電線２の長手方向から見た溝７１１，８１１の形状は、一例として、図５に示すようにＶ字状である。第１及び第２の治具７，８の上側把持具７２，８２は、下側把持具７１，８１との対向面が平面状に形成されており、下側把持具７１，８１との間に複数の絶縁電線２を挟持する。なお、上側把持具７２，８２にも、下側把持具７１，８１と同様の溝を形成してもよい。

図６（ａ）～（ｃ）は、整列工程を示す説明図である。図６（ａ）には、整列工程の第１段階を示している。この第１段階では、カテーテルケーブル１０の一方の端部のジャケット５をバインドテープ３及びシールド導体４と共に除去して電線束２０を露出させ、第１及び第２の治具７，８の下側把持具７１，８１の複数の溝７１１，８１１のそれぞれに絶縁電線２を収容する。

整列工程の第２段階では、図６（ｂ）に示すように、下側把持具７１，８１と上側把持具７２，８２との間に複数の絶縁電線２を挟み込む。第１の治具７は、複数の絶縁電線２のぞれぞれの最先端部を把持し、第２の治具８は、第１の治具７よりもジャケット５側で複数の絶縁電線２を把持する。図６（ｂ）に示す例では、第２の治具８が第１の治具７と隣接した位置で複数の絶縁電線２を把持している。

整列工程の第３段階では、図６（ｃ）に示すように、第１の治具７により複数の絶縁電線２のぞれぞれの最先端部を把持したまま、第２の治具８をジャケット５側に移動させ、第１の治具７と第２の治具８との間隔を広げる。これにより、複数の絶縁電線２を、長手方向における最先端部と当該最先端部から長手方向に離間した２位置で把持する。第２の治具８を移動させる際には、第２の治具８の把持力を、下側把持具８１の溝８１１から絶縁電線２が外れることなく、かつ複数の絶縁電線２の長手方向に沿って第２の治具８をスライド移動させることが可能な大きさに調節する。

図６（ｄ）は、絶縁被覆除去工程を示す説明図である。絶縁被覆除去工程では、複数の絶縁電線２のうち一部の絶縁電線２の芯線２１を、並び方向Ｄにおける両隣の他の絶縁電線２の絶縁被覆２２が除去されない部分で露出させる。本実施の形態では、１０本の絶縁電線２のうち、並び方向Ｄの両端部にあたる２本の絶縁電線２を除き、並び方向Ｄにおける両隣の他の絶縁電線２の絶縁被覆２２が除去されない部分で芯線２１を露出させる。これにより、芯線２１が露出した部分が千鳥状に形成される。

絶縁被覆２２を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えばレーザ光を照射することにより、絶縁電線２の長手方向の一部において絶縁被覆２２を除去することができる。なお、絶縁被覆除去工程では、絶縁被覆２２を絶縁電線２の全周にわたって除去してもよいが、パッド６２に対向する部分の絶縁被覆２２のみを除去してもよい。この場合でも、芯線２１をパッド６２に接続することができる。ただし、絶縁電線２の全周にわたって絶縁被覆２２を除去すれば、接続工程において芯線２１とパッド６２との接続を行いやすくなると共に、芯線２１とパッド６２との接続状態の確認が容易となる。

接続工程では、第１及び第２の治具７，８に把持された絶縁電線２の長手方向の２位置の間で、複数の絶縁電線２の芯線２１を複数のパッド６２にそれぞれ接続する。芯線２１とパッド６２との接続は、半田付けにより行ってもよいが、導電性接着剤によって芯線２１とパッド６２とを接続してもよい。半田付けにより芯線２１とパッド６２とを接続する場合、例えばパッド６２に予め塗布しておいたクリーム半田に芯線２１を接触させ、その状態でクリーム半田を加熱して溶融させることで、芯線２１とパッド６２とを接続することができる。

図３（ａ）及び（ｂ）では、芯線２１とパッド６２とを半田９によって接続した場合を図示している。なお、絶縁被覆２２の耐熱温度は、半田９の融点よりも高く、絶縁電線２の芯線２１の半田付けの際、その絶縁電線２に隣り合う他の絶縁電線２の絶縁被覆２２に溶けた半田が接しても、絶縁被覆２２は溶解しない。

図３（ａ）及び（ｂ）に示すように、第１位置Ｐ_１において並び方向Ｄに沿って隣り合う二つのパッド６２の間には、第２位置Ｐ_２のパッド６２に接続される絶縁電線２の絶縁被覆２２を有する部分が配置されている。また、第２位置Ｐ_２において並び方向Ｄに沿って隣り合う二つのパッド６２の間には、第１位置Ｐ_１のパッド６１に接続される絶縁電線２の絶縁被覆２２を有する部分が配置されている。並び方向Ｄに沿って隣り合う二つのパッド６２の間に絶縁電線２の絶縁被覆２２が介在することにより、溶けた半田の流動を制止し、半田ブリッジ（ショート）の発生を抑制することが可能となる。

また、接続工程では、複数の絶縁電線２に長手方向の張力を付与した状態で、複数の絶縁電線２の芯線２１を複数のパッド６２にそれぞれ接続する。複数の絶縁電線２に張力を付与することで、絶縁電線２の弛みによって芯線２１とパッド６２との位置がずれてしまうことを防ぐことができる。

（比較例）
図７は、互いに平行に配置された一対の絶縁電線２の芯線２１が、一対の絶縁電線２の並び方向に並ぶ位置で露出して基板６０のパッド６２に半田付けされた比較例を示す断面図である。このように芯線２１が半田付けされると、隣り合うパッド６２の間隔が狭くなり、図７に示すように半田ブリッジが発生しやすくなってしまう。

（実施の形態の効果）
以上説明した実施の形態によれば、複数の絶縁電線２の芯線２１が絶縁被覆２２から露出した部分が並び方向Ｄに隣り合わないので、並び方向Ｄにおけるパッド６２同士の間隔Ｉ_１，Ｉ_２を絶縁電線２の外径ＯＤ以上に広げることができ、半田ブリッジの発生を防ぎやすくなる。このため、複数の絶縁電線２の芯線２１とパッド６２との接続を容易に行うことが可能となる。また、芯線２１とパッド６２との接続を、手作業に限らず、自動化することも可能となる。

（変形例１）
図８（ａ）は、変形例１に係る電線接続構造を示す構成図である。図８（ｂ）は、変形例１に係る電線接続構造の基板６Ａを示す平面図である。上記の実施の形態では、１０本の絶縁電線２の芯線２１を基板６のパッド６２に接続する接続構造について説明したが、この変形例１では、１１本の絶縁電線２の芯線２１が基板６Ａのパッド６２に接続されている。また、上記の実施の形態では、複数の絶縁電線２の長手方向の第１位置Ｐ_１及び第２位置Ｐ_２で芯線２１が露出した場合について説明したが、変形例１では、複数の絶縁電線２の長手方向の第１位置Ｐ_１、第２位置Ｐ_２、及び第３位置Ｐ_３で芯線２１が露出している。

図８（ａ）に示すように、１１本の絶縁電線２のうち、４本の絶縁電線２は第１位置Ｐ_１で芯線２１が絶縁被覆２２から露出し、他の３本の絶縁電線２は第２位置Ｐ_２で芯線２１が絶縁被覆２２から露出し、残りの４本の絶縁電線２は第３位置Ｐ_３で芯線２１が絶縁被覆２２から露出している。第１位置Ｐ_１、第２位置Ｐ_２、及び第３位置Ｐ_３では、芯線２１が露出した部分が並び方向Ｄに隣り合わないように複数の絶縁電線２が互いに平行に配置されている。

基板６Ａには、図８（ｂ）に示すように、芯線２１が露出した位置に対応して、絶縁電線２と同数のパッド６２が設けられている。第１位置Ｐ_１で露出した芯線２１が接続される複数のパッド６２と第２位置Ｐ_２で露出した芯線２１が接続される複数のパッド６２との間、及び第２位置Ｐ_２で露出した芯線２１が接続される複数のパッド６２と第３位置Ｐ_３で露出した芯線２１が接続される複数のパッド６２との間には、所定の幅Ｗを有するパッド非形成領域６３がそれぞれ設けられている。

この変形例１によっても、上記の実施の形態と同様、複数の絶縁電線２の芯線２１が絶縁被覆２２から露出した部分が並び方向Ｄに隣り合わないので、並び方向Ｄにおけるパッド６２同士の間隔を広げることができ、半田ブリッジの発生を防ぎやすくなる。このため、複数の絶縁電線２の芯線２１とパッド６２との接続を容易に行うことが可能となる。

なお、変形例１に係る電線接続構造も、上記の実施の形態と同様の整列工程、絶縁被覆除去工程、接続工程により、複数の絶縁電線２が互いに平行に整列し、絶縁被覆２２の一部が除去されて芯線２１が露出し、露出した芯線２１がパッド６２にそれぞれ接続されている。次に述べる変形例２についても同様である。

（変形例２）
図９（ａ）は、変形例２に係る電線接続構造を示す構成図である。図９（ｂ）は、変形例２に係る電線接続構造の基板６Ｂを示す平面図である。上記の実施の形態では、同じ大きさのパッド６２が第１位置Ｐ_１及び第２位置Ｐ_２に千鳥状に並ぶ場合について説明したが、この変形例２では、並び方向Ｄの幅が異なる複数種類のパッド（狭幅パッド６２１及び広幅パッド６２２）が基板６Ｂに設けられている。また、変形例２では、６本の絶縁電線２の芯線２１が基板６Ｂの狭幅パッド６２１及び広幅パッド６２２に接続されている。

狭幅パッド６２１は、上記の実施の形態の基板６のパッド６２と同じく、絶縁電線２の外径と同程度の幅で形成されている。広幅パッド６２２は、狭幅パッド６２１の２倍程度の幅で形成されている。基板６Ｂには、複数の絶縁電線２の長手方向の第１位置Ｐ_１及び第２位置Ｐ_２に対応する部位に、それぞれ一つずつの狭幅パッド６２１及び広幅パッド６２２が設けられている。

６本の絶縁電線２のうち、３本の絶縁電線２は第１位置Ｐ_１で芯線２１が露出し、他の３本の絶縁電線２は第２位置Ｐ_２で芯線２１が露出している。第１位置Ｐ_１で芯線２１が露出した３本の絶縁電線２のうち、１本の絶縁電線２の芯線２１は狭幅パッド６２１に接続され、他の２本の絶縁電線２の芯線２１は広幅パッド６２２に共に接続されている。また、第２位置Ｐ_２で芯線２１が露出した３本の絶縁電線２のうち、１本の絶縁電線２の芯線２１は狭幅パッド６２１に接続され、他の２本の絶縁電線２の芯線２１は広幅パッド６２２に共に接続されている。

広幅パッド６２２に芯線２１が接続された絶縁電線２は、例えば人体内に挿入される電子機器（例えばＣＣＤカメラ）に電源を供給するために用いられる。また、狭幅パッド６２１に芯線２１が接続された絶縁電線２は、例えば電子機器への入力信号又は電子機器からの出力信号を伝送するための信号を伝送する信号線として用いられる。

この変形例２によっても、狭幅パッド６２１に芯線２１が接続された絶縁電線２は、その芯線２１が露出した部分が、他の絶縁電線２において芯線２１が露出した部分と並び方向Ｄに隣り合わないので、上記の実施の形態と同様、複数の絶縁電線２の芯線２１と基板６Ｂの狭幅パッド６２１及び広幅パッド６２２との接続を容易に行うことが可能となる。

（実施の形態及び変形例のまとめ）
次に、以上説明した実施の形態及び変形例から把握される技術思想について、実施の形態及び変形例における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。

［１］芯線（２１）及び前記芯線（２１）を被覆する絶縁被覆（２２）を有する複数の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）が基板（６，６Ａ，６Ｂ）に設けられた複数のパッド（６２，６２１，６２２）に接続された電線接続構造であって、前記複数の絶縁電線（２）は、所定の並び方向（Ｄ）に沿って並び、かつ互いに平行に配置されると共に、それぞれの長手方向の一部において前記絶縁被覆（２２）が除去されて前記芯線（２１）が露出し、当該露出した部分の前記芯線（２１）が前記複数のパッド（２）にそれぞれ接続されており、前記複数の絶縁電線（２）のうち一部の絶縁電線（２）は、前記並び方向（Ｄ）における両隣の他の絶縁電線（２）の前記絶縁被覆（２２）が除去されていない部分で前記芯線（２１）が露出している、電線接続構造。

［２］前記並び方向（Ｄ）における前記複数の絶縁電線（２）の間隔（Ｉ_０）が、前記絶縁電線（２）の外径（ＯＤ）よりも小さい、上記［１］に記載の電線接続構造。

［３］前記芯線（２１）の外径が０．１ｍｍ以下である、上記［２］に記載の電線接続構造。

［４］前記芯線（２１）が露出した部分が、前記並び方向（Ｄ）に対して垂直な方向に所定の間隔（Ｗ）を有する第１位置（Ｐ_１）及び第２位置（Ｐ_２）に、前記並び方向（Ｄ）に沿って交互に並んでいる、上記［１］乃至［３］の何れかに記載の電線接続構造。

［５］前記芯線（２１）が露出した部分は、前記複数の絶縁電線（２）のぞれぞれの最先端部を除く部位に形成されている、上記［１］乃至［４］の何れかに記載の電線接続構造。

［６］芯線（２１）及び前記芯線（２１）を被覆する絶縁被覆（２２）を有する複数の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）を、基板（６，６Ａ，６Ｂ）に設けられた複数のパッド（６２，６２１，６２２）に接続する電線接続方法であって、前記複数の絶縁電線（２）を互いに平行に所定の並び方向に沿って並べる整列工程と、前記複数の絶縁電線（２）のそれぞれの長手方向の一部において前記絶縁被覆（２２）を除去して前記芯線（２１）を露出させる絶縁被覆除去工程と、前記複数の絶縁電線（２）を前記並び方向（Ｄ）が前記基板（６，６Ａ，６Ｂ）と平行となるように配置し、前記露出した前記芯線（２１）を前記複数のパッド（６２，６２１，６２２）にそれぞれ接続する接続工程とを有し、前記絶縁被覆除去工程において、前記複数の絶縁電線（２）のうち一部の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）を、前記並び方向（Ｄ）における両隣の他の絶縁電線（２）の前記絶縁被覆（２２）が除去されない部分で露出させる、電線接続方法。

［７］前記接続工程において、前記複数の絶縁電線（２）に長手方向の張力を付与した状態で、前記複数の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）を前記複数のパッド（６２，６２１，６２２）にそれぞれ接続する、上記［６］に記載の電線接続方法。

［８］前記整列工程において、前記複数の絶縁電線（２）を、長手方向における最先端部と当該最先端部から長手方向に離間した２位置で把持し、前記接続工程において、前記２位置の間で前記複数の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）を前記複数のパッド（６２，６２１，６２２）にそれぞれ接続する、上記［７］に記載の電線接続方法。

［９］芯線（２１）及び前記芯線（２１）を被覆する絶縁被覆（２２）を有する複数の絶縁電線（２）を有するカテーテルケーブル（１０）と、前記複数の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）が接続される複数のパッド（６２，６２１，６２２）を有する基板（６，６Ａ，６Ｂ）とを備え、前記カテーテルケーブル（１０）の長手方向両端部のうち一方の端部が人体内に挿入される医療器具（多電極カテーテル１）であって、前記複数の絶縁電線（２）のそれぞれの前記芯線（２１）と前記基板（６，６Ａ，６Ｂ）の前記複数のパッド（６２，６２１，６２２）とが、上記［１］乃至［６］の何れかに記載の電線接続構造によって接続された、医療器具（多電極カテーテル１）。

［１０］芯線（２１）及び前記芯線（２１）を被覆する絶縁被覆（２）を有する複数の絶縁電線（２）を有するカテーテルケーブル（１０）と、前記複数の絶縁電線（２）の前記芯線（２１）が接続される複数のパッド（６２，６２１，６２２）を有する基板（６，６Ａ，６Ｂ）とを備え、前記カテーテルケーブル（１０）の長手方向両端部のうち一方の端部が人体内に挿入される医療器具（多電極カテーテル１）の製造方法であって、前記複数の絶縁電線（２）のそれぞれの芯線（２１）と前記複数のパッド（６２，６２１，６２２）とを、上記［６］乃至［８］の何れかに記載の電線接続方法によって接続する、医療器具（多電極カテーテル１）の製造方法。

以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。

また、上記の実施の形態では、本発明を医療器具の一種である多電極カテーテル１に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば本発明を内視鏡に適用してもよく、医療器具以外の機器に本発明を適用してもよい。

１…多電極カテーテル（医療器具） １０…カテーテルケーブル
２…絶縁電線 ２１…芯線
２２…絶縁被覆 ６，６Ａ，６Ｂ…基板
６２…パッド ６２１…狭幅パッド
６２２…広幅パッド

Claims (8)

1. 芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線の前記芯線が基板に設けられた複数のパッドに接続された電線接続構造であって、
   前記複数の絶縁電線は、前記絶縁電線の外径よりも小さい間隔をあけて所定の並び方向に沿って並び、かつ互いに平行に配置されると共に、それぞれの長手方向の一部において前記絶縁被覆が除去されて前記芯線が露出し、当該露出した部分の前記芯線が前記複数のパッドにそれぞれ接続されており、
   前記芯線が露出した部分は、前記複数の絶縁電線のぞれぞれの最先端部を除く部位に形成されており、
   前記複数の絶縁電線のうち一部の絶縁電線は、前記並び方向における両隣の他の絶縁電線の前記絶縁被覆が除去されていない部分で前記芯線が露出している、
   電線接続構造。
2. 前記複数の絶縁電線の間に空間が形成されている、
   請求項１に記載の電線接続構造。
3. 前記並び方向における前記複数の絶縁電線の間隔が、前記絶縁電線の外径の２０％以上８０％以下である、
   請求項１又は２に記載の電線接続構造。
4. 前記芯線の外径が０．１ｍｍ以下である、
   請求項３に記載の電線接続構造。
5. 前記芯線が露出した部分が、前記並び方向に対して垂直な方向に所定の間隔を有する第１位置及び第２位置に、前記並び方向に沿って交互に並んでいる、
   請求項１乃至４の何れか１項に記載の電線接続構造。
6. 芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線の前記芯線を、基板に設けられた複数のパッドに接続する電線接続方法であって、
   前記複数の絶縁電線を、長手方向における最先端部と当該最先端部から長手方向に離間した２位置で把持し、前記絶縁電線の外径よりも小さい間隔をあけて互いに平行に所定の並び方向に沿って並べる整列工程と、
   前記複数の絶縁電線のそれぞれの長手方向の一部において前記絶縁被覆を除去して前記芯線を露出させる絶縁被覆除去工程と、
   前記複数の絶縁電線を前記並び方向が前記基板と平行となるように配置し、前記複数の絶縁電線に長手方向の張力を付与した状態で、前記露出した前記芯線を前記複数のパッドにそれぞれ接続する接続工程とを有し、
   前記絶縁被覆除去工程において、前記複数の絶縁電線のうち一部の絶縁電線の前記芯線を、前記並び方向における両隣の他の絶縁電線の前記絶縁被覆が除去されない部分で露出させる、
   前記接続工程において、前記２位置の間で前記複数の絶縁電線の前記芯線を前記複数のパッドにそれぞれ接続する、
   電線接続方法。
7. 芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線を備えたカテーテルケーブルと、前記複数の絶縁電線の前記芯線が接続される複数のパッドを有する基板とを備え、前記カテーテルケーブルの長手方向両端部のうち一方の端部が人体内に挿入される医療器具であって、
   前記複数の絶縁電線のそれぞれの前記芯線と前記基板の前記複数のパッドとが、請求項１乃至５の何れか１項に記載の電線接続構造によって接続された、
   医療器具。
8. 芯線及び前記芯線を被覆する絶縁被覆を有する複数の絶縁電線を有するカテーテルケーブルと、前記複数の絶縁電線の前記芯線が接続される複数のパッドを有する基板とを備え、前記カテーテルケーブルの長手方向両端部のうち一方の端部が人体内に挿入される医療器具の製造方法であって、
   前記複数の絶縁電線のそれぞれの芯線と前記複数のパッドとを、請求項６に記載の電線接続方法によって接続する、
   医療器具の製造方法。

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