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JP7397419B1 - 感放射線性組成物、硬化膜及びその製造方法、半導体素子並びに表示素子 - Google Patents

感放射線性組成物、硬化膜及びその製造方法、半導体素子並びに表示素子 Download PDF

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JP7397419B1
JP7397419B1 JP2023091513A JP2023091513A JP7397419B1 JP 7397419 B1 JP7397419 B1 JP 7397419B1 JP 2023091513 A JP2023091513 A JP 2023091513A JP 2023091513 A JP2023091513 A JP 2023091513A JP 7397419 B1 JP7397419 B1 JP 7397419B1
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Abstract

【課題】感度、基板密着性、及び低アウトガス性を十分なレベルで発揮し得る硬化膜を形成可能な感放射線性組成物、当該感放射線性組成物から形成された硬化膜及びその製造方法、当該硬化膜を備える半導体素子、表示素子の提供。【解決手段】式(1)で表される基を有する構造単位(I)を含む重合体及びシロキサンポリマーよりなる群から選択される少なくとも1種であるケイ素含有重合体(A)と、1個以上の環構造及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物(B)(ただし、上記ケイ素含有重合体(A)を除く)と、光酸発生剤(C)と、を含有する感放射線性組成物。JPEG0007397419000045.jpg28141(式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基である。ただし、R1、R2及びR3のうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、感放射線性組成物、硬化膜及びその製造方法、半導体素子並びに表示素子に関する。
半導体素子や表示素子が有する硬化膜(例えば、層間絶縁膜やスペーサー、保護膜等)は一般に、重合体成分と感放射線性化合物(例えば、光酸発生剤や光重合開始剤等)とを含有する感放射線性組成物を用いて形成される。例えば、感放射線性組成物により形成された塗膜に対して放射線照射及び現像処理を施すことによってパターンを形成した後、加熱処理を行って熱硬化させることにより、パターン形状を有する硬化膜を得ることができる。
半導体素子や表示素子が有する硬化膜を形成する材料として、アルコキシシリル基等のケイ素含有官能基を有する重合体や、シロキサンポリマー等といったケイ素含有重合体と、キノンジアジドとを含む感放射線性組成物が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2021-009361号公報 特開2011-253035号公報
感光性シロキサン組成物を用いることにより、高耐熱性、高透明性、低誘電率性、高耐薬品性、及び高解像性を併せもった硬化膜を形成可能であるとされているが、一方で、現像処理の際に、膜と基板との界面から現像液が侵入し、膜と基板の密着性(基板密着性、現像密着性ともいう)が劣る場合があった。また、膜の吸水が、アウトガスの原因になる場合があった。
本発明は、基板密着性及び低アウトガス性を十分なレベルで発揮し得る硬化膜を形成可能な感放射線性組成物、当該感放射線性組成物から形成された硬化膜及びその製造方法、当該硬化膜を備える半導体素子、表示素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するエポキシ基含有化合物を感放射線性組成物に配合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、一実施形態において、
下記式(1)で表される基を有する構造単位(I)を含む重合体及びシロキサンポリマーよりなる群から選択される少なくとも1種であるケイ素含有重合体(A)と、
1個以上の環構造及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物(B)(ただし、上記ケイ素含有重合体(A)を除く)と、
光酸発生剤(C)と、
を含有する感放射線性組成物に関する。
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基である。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。「*」は、結合手であることを表す。)
本発明は、別の実施形態において、
上記感放射線性組成物を用いて塗膜を形成する工程と、
前記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程と、
放射線が照射された前記塗膜を現像する工程と、
現像された前記塗膜を加熱する工程と、
を含む、硬化膜の製造方法に関する。
本発明は、別の実施形態において、
上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜、当該硬化膜を備える、半導体素子、表示素子に関する。
本発明の感放射線性組成物によれば、基板密着性、低アウトガス性を満足する硬化膜を構築することができる。この理由は、以下のように推察される。現像処理時の基板密着性の低下は、未露光部の端部から現像液が染み込むことにより生じると考えられるが、本発明においては感放射線性組成物に含まれるエポキシ基含有化合物(B)が、疎水性が高い構造を有するため、基板界面が疎水的環境になり、現像処理時の膜と基板の界面への現像液の染み込みが抑制され、その結果、基板密着性の低下を抑制できると考えられる。また、エポキシ基含有化合物(B)の架橋効果により、アウトガスの量も抑制できると考えられる。
本発明の硬化膜の製造方法では、基板密着性、及び低アウトガス性に優れる硬化膜を形成可能な上記感放射線性組成物を用いているので、高品位の硬化膜を効率的に形成することができる。本発明の硬化膜は、上記感放射線性組成物を用いているので、感度、基板密着性、及び低アウトガス性に優れる。
本発明の半導体素子、表示素子は、基板密着性及び低アウトガス性に優れる硬化膜を備えるため、高品位なものである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「~」を用いて記載された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。「構造単位」とは、主鎖構造を主として構成する単位であって、少なくとも主鎖構造中に2個以上含まれる単位をいう。
本明細書において、「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。なお、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が有する環構造は、炭化水素構造からなる置換基を有していてもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリロ」は、「アクリロ」及び「メタクリロ」を包含する意味であり、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」を包含する意味である。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」を包含する意味である。
≪感放射線性組成物≫
本実施形態に係る感放射線性組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、下記式(1)で表される基を有する構造単位(I)を含む重合体(A-1)及びシロキサンポリマー(A-2)よりなる群から選択される少なくとも1種であるケイ素含有重合体(A)と、
1個以上の環構造及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物(B)(ただし、上記ケイ素含有重合体(A)を除く)と、
光酸発生剤(C)と、
を含有する。
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基である。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。「*」は、結合手であることを表す。)
<ケイ素含有重合体(A)>
ケイ素含有重合体(A)は、上記式(1)で表される基を有する構造単位(I)を含む重合体(A-1)及びシロキサンポリマー(A-2)よりなる群から選択される少なくとも1種である。
(重合体(A-1))
重合体(A-1)は、下記式(1)で表される基を有する構造単位(I)を含む重合体の集合体である(以下、この集合体を「ベース重合体」ともいう。)。重合体(A-1)に含まれる少なくとも一の重合体が、構造単位(I)を含んでいればよく、重合体(A-1)を構成する重合体全体として構造単位(I)を含んでいればよい。重合体(A)は、構造単位(I)以外の構造単位を含んでいてもよい。
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基である。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。「*」は、結合手であることを表す。)
以下、重合体(A-1)に含まれる各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される基を有する。
(式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基である。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。「*」は、結合手であることを表す。)
式(1)において、R~Rで表される炭素数1~6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、及びtert-ブトキシ基等が挙げられる。これらのうち、R~Rで表されるアルコキシ基は、炭素数1~3が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
~Rで表される炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。R~Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらのうち、R~Rで表されるアルキル基は、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。
~Rで表される基のうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。架橋構造の形成により耐熱性に優れた硬化膜を得る観点から、R~Rのうち2個以上が炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましく、全部が炭素数1~6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R~Rのうち1個又は2個が炭素数1~6のアルコキシ基である場合、残りの基は、ヒドロキシ基又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。
上記構造単位(I)において、式(1)で表される基は、芳香環基又は鎖状炭化水素基に結合していることが好ましい。なお、本明細書において「芳香環基」とは、芳香環の環部分からn個(nは整数)の水素原子を取り除いた基を意味する。当該芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。これらの環は、アルキル基等の置換基を有していてもよい。上記式(1)で表される基が鎖状炭化水素基に結合している場合、当該鎖状炭化水素基としては、アルカンジイル基、アルケンジイル基等が挙げられる。
式(1)で表される基は、上記のうち、ベンゼン環、ナフタレン環又はアルキル鎖に結合していることが好ましい。具体的には、構造単位(I)は、下記式(1-1)で表される基、下記式(1-2)で表される基及び下記式(1-3)で表される基よりなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
(式(1-1)、式(1-2)及び式(1-3)中、A及びAは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基である。n1は、0~4の整数である。n2は、0~6の整数である。ただし、n1が2以上の場合、複数のAは、互いに同一又は異なる。n2が2以上の場合、複数のAは、互いに同一又は異なる。Rは、アルカンジイル基である。R、R及びRは、上記式(1)と同義である。「*」は、結合手であることを表す。)
上記式(1-1)、式(1-2)において、A及びAにより表される炭素数1~6のアルコキシ基及び炭素数1~6のアルキル基の例示については、上記式(1)のR~Rとして例示した基と同様の基が挙げられる。n1は0又は1が好ましく、0がより好ましい。n2は、0~2が好ましく、0がより好ましい。
上記式(1-1)、式(1-2)において、芳香環に結合する基「-SiR」の位置は、A及びAを除く他の基の結合位置(すなわち、「*」で表される結合手の位置)に対し、いずれの位置であってもよい。例えば、上記式(1-1)の場合、「-SiR」の位置は、「*」で表される結合手の位置に対して、オルト位、メタ位及びパラ位のうちいずれでもよく、パラ位であることが好ましい。
上記式(1-3)において、Rは直鎖状であることが好ましい。得られる硬化膜の耐熱性を高くする観点から、Rは、炭素数1~6が好ましく、1~4がより好ましい。
構造単位(I)は、重合に関与する結合として重合性炭素-炭素不飽和結合を有する単量体(以下、「不飽和単量体」ともいう)に由来する構造単位であることが好ましく、具体的には、下記式(2-1)で表される構造単位及び下記式(2-2)で表される構造単位よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(式(2-1)及び式(2-2)中、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基又はトリフルオロメチル基である。R及びRは、それぞれ独立して、2価の芳香環基又は鎖状炭化水素基である。R、R及びRは、上記式(1)と同義である。)
上記式(2-1)及び式(2-2)において、R、Rで表される2価の芳香環基は、置換若しくは無置換のフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフタレンジイル基であることが好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルコキシ基よりなる群から選択される1種以上が挙げられる。2価の鎖状炭化水素基は、炭素数1~6のアルカンジイル基であることが好ましく、炭素数1~4のアルカンジイル基であることがより好ましい。
上記式(2-1)で表される構造単位の具体例としては、下記式(2-1-1)及び式(2-1-2)のそれぞれで表される構造単位等が挙げられる。また、上記式(2-2)で表される構造単位の具体例としては、下記式(2-2-1)及び式(2-2-2)のそれぞれで表される構造単位等が挙げられる。
(式(2-1-1)、式(2-1-2)、式(2-2-1)及び式(2-2-2)中、R1a及びR2aは、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基である。R3aは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基又はヒドロキシ基である。n3は1~4の整数である。A、A、n1及びn2は、上記式(1-1)及び式(1-2)と同義である。Rは、上記式(2-1)及び式(2-2)と同義である。)
構造単位(I)を構成する単量体の具体例としては、
上記式(1-1)で表される基を有する化合物として、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルエチルジエトキシシラン、スチリルジメトキシヒドロキシシラン、スチリルジエトキシヒドロキシシラン、4-ビニルフェニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシフェニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシフェニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシフェニルメトキシジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシフェニルエチルジエトキシシラン等を;
上記式(1-2)で表される基を有する化合物として、トリメトキシ(4-ビニルナフチル)シラン、トリエトキシ(4-ビニルナフチル)シラン、メチルジメトキシ(4-ビニルナフチル)シラン、エチルジエトキシ(4-ビニルナフチル)シラン、(メタ)アクリロキシナフチルトリメトキシシラン等を;
上記式(1-3)で表される基を有する化合物として、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン等を;
また、その他の化合物として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
重合体(A-1)は、構造単位(I)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
構造単位(I)の含有割合(複数種含む場合は合計の含有割合)は、ベース重合体を構成する全構造単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。また、上記含有割合は、ベース重合体を構成する全構造単位に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、感度、低アウトガスの観点から好ましい。
[構造単位(II)]
重合体(A-1)は、構造単位(II)として、無置換マレイミド由来の構造単位又は酸基を有する構造単位を含有することが好ましい。構造単位(II)を含有することで、アルカリ現像液に対する重合体(A-1)の溶解性(アルカリ可溶性)を高めたり、硬化反応性を高めたりすることができる。なお、本明細書において「アルカリ可溶」とは、例えば、構造単位(II)を含む重合体(A―1)が、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ水溶液に溶解又は膨潤可能であることを意味する。
構造単位(II)における酸基を有する構造単位としては、酸基を有する限り特に限定されないが、カルボキシ基を有する構造単位、無置換マレイミド由来の構造単位、スルホン酸基を有する構造単位、及びフェノール性水酸基を有する構造単位よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、カルボキシ基を有する構造単位、無置換マレイミド由来の構造単位がより好ましい。なお、本明細書において「フェノール性水酸基」とは、芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等)に直接結合するヒドロキシ基を意味する。
酸基を有する構造単位としては、酸基を有する不飽和単量体に由来する構造単位であることが好ましい。酸基を有する不飽和単量体の具体例としては、
カルボキシ基を有する構造単位を構成する単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、4-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;
スルホン酸基を有する構造単位を構成する単量体として、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸等;
フェノール性水酸基を有する構造単位を構成する単量体として、例えば、4-ヒドロキシスチレン、o-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、p-イソプロペニルフェノール、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等、
をそれぞれ挙げることができる。
また、構造単位(II)における無置換マレイミド由来の構造単位を構成する単量体としては、マレイミドを挙げることができる。
これらの中でも、不飽和モノカルボン酸、マレイミドが好ましく、(メタ)アクリル酸、マレイミドがより好ましい。
重合体(A-1)は、構造単位(II)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
重合体(A-1)が構造単位(II)を含む場合、構造単位(II)の含有割合(複数種含む場合は合計の含有割合)は、アルカリ現像液への良好な溶解性を付与する観点から、ベース重合体を構成する全構造単位に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましく、10質量%以上が特に好ましい。一方、良好なパターン形状が得られる観点から、構造単位(II)の含有割合は、ベース重合体を構成する全構造単位に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
[構造単位(III)]
重合体(A-1)が、構造単位(III)として、オキシラニル基及びオキセタニル基よりなる群から選択される1種以上を有する構造単位を含むことが好ましい。なお、本明細書では、オキシラニル基及びオキセタニル基を包含して「エポキシ基」ともいう。
重合体(A-1)が、構造単位(III)を含むことにより、膜の解像性や密着性をより高めることができる点で好ましい。また、エポキシ基が架橋性基として作用することにより、耐薬品性が高く、長期間に亘って劣化が抑制される硬化膜を形成できる点で好ましい。構造単位(III)は、エポキシ基を有する不飽和単量体に由来する構造単位であることが好ましく、具体的には下記式(3-1)で表される構造単位及び下記式(3-2)で表される構造単位よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(式(3-1)及び式(3-2)中、R20は、オキシラニル基又はオキセタニル基を有する1価の基である。Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基又はトリフルオロメチル基である。Xは、単結合又は2価の連結基である。)
上記式(3-1)及び式(3-2)において、R20としては、オキシラニル基、オキセタニル基、3,4-エポキシシクロヘキシル基、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、3-エチルオキセタニル基等が挙げられる。
の2価の連結基としては、メチレン基、エチレン基、1,3-プロパンジイル基等のアルカンジイル基;アルカンジイル基の任意のメチレン基が酸素原子に置き換えられた2価の基等が好ましい。
エポキシ基を有する単量体の具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル[3,4-エポキシトリシクロ(5.2.1.02,6)デカン-9-イル]、メタクリル酸[3,4-エポキシトリシクロ(5.2.1.02,6)デカン-9-イル]、(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(オキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロイルオキシメチル-3-エチルオキセタン、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
ベース重合体は、構造単位(III)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
重合体(A-1)が構造単位(III)を含む場合、構造単位(III)の含有割合(複数種含む場合は合計の含有割合)は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、5質量%以上がより更に好ましく、10質量%以上が特に好ましい。また、構造単位(III)の含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、塗膜がより良好な解像性を示すとともに、得られる硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を十分に高くすることができる点で好ましい。
[構造単位(IV)]
上記重合体(A-1)は、更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミド化合物、複素環構造を有するビニル化合物、共役ジエン化合物、窒素含有ビニル化合物、及び不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する構造単位(IV)を含むことができる。これらの構造単位(IV)を重合体中に導入することにより、重合体(A-1)のガラス転移温度を調整し、得られる硬化膜のパターン形状性を向上させることができる点で好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル等を挙げることができる。
上記脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルシクロへキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,5]デカン-8-イルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等を挙げることができる。
上記芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
上記芳香族ビニル化合物として、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、t-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。
上記N-置換マレイミド化合物として、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロペンチルマレイミド、N-(2-メチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(4-メチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(4-エチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルシクロヘキシル)マレイミド、N-ノルボルニルマレイミド、N-トリシクロデシルマレイミド、N-アダマンチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-エチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等を挙げることができる。
上記複素環構造を有するビニル化合物として、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸-5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸-5-メチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、2-(メタ)アクリロキシメチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4,6]ウンデカン、(メタ)アクリル酸(γ-ブチロラクトン-2-イル)、(メタ)アクリル酸グリセリンカーボネート、(メタ)アクリル酸(γ-ラクタム-2-イル)、N-(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等を挙げることができる。
上記共役ジエン化合物として、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン等を、上記窒素含有ビニル化合物として、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等を、上記不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物として、例えば、イタコン酸ジエチル等をそれぞれ挙げることができる。また、その他の構造単位を構成する単量体としては、上記の他、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等の単量体が挙げられる。
上記構造単位(IV)を与える単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、及びN-置換マレイミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、スチレン、及びN-シクロヘキシルマレイミドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
ベース重合体は、構造単位(IV)を1種又は2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
重合体(A-1)が構造単位(IV)を含む場合、構造単位(IV)の含有割合(複数種含む場合は合計の含有割合)は、重合体(A-1)のガラス転移温度を適度に高くする観点から、重ベース重合体を構成する全構造単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、上記含有割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
[その他の構造単位]
上記重合体(A-1)は、上記構造単位(I)~(IV)以外の構造単位も含むことができる。そのほかの構造単位としては、例えば、酸解離性基を有する構造単位(V)や、下記式(1’)で表される基を有する構造単位(VI)(但し、構造単位(I)、構造単位(V)を除く)を挙げることができる。
[構造単位(V)]
酸解離性基は、カルボキシ基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、スルホン酸基等の酸性基が有する水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基である。本発明の組成物によれば、組成物に放射線を照射することによって発生した酸により酸解離性基が脱離して酸性基が生じる。これにより、重合体(A-1)の現像液への溶解性を変化させることができ、パターンが形成された硬化膜を得ることができるため、好ましい。
構造単位(V)は、中でも、酸の作用により酸解離性基が脱離してカルボキシ基を生じる構造単位(以下、「構造単位(V-1)」ともいう)、又は酸の作用により酸解離性基が脱離してフェノール性水酸基を生じる構造単位(以下、「構造単位(V-2)」ともいう)であることが好ましい。
前記構造単位(V-1)としては、保護された不飽和カルボン酸に由来する構造単位が挙げられる。使用する不飽和カルボン酸は特に限定されず、例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和酸無水物、不飽和多価カルボン酸等が挙げられる。
これらの具体例としては、不飽和モノカルボン酸として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、桂皮酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-コハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-フタル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチルエステル、4-ビニル安息香酸等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。不飽和多価カルボン酸としては、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
構造単位(V-1)に含まれる酸解離性基としては、例えば、アセタール系官能基、第3級アルキル基、第3級アルキルカーボネート基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。これらのうち、酸により解離しやすい点で、アセタール系官能基が好ましい。
酸解離性基がアセタール系官能基である場合、構造単位(V-1)は、保護されたカルボキシ基として、カルボン酸のアセタールエステル構造を有することが好ましく、具体的には、下記式(X-1)で表される基を有することが好ましい。
(式(X-1)中、R31、R32及びR33は、次の(1)又は(2)である。
(1)R31は、水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基である。R32及びR33は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数7~20のアラルキル基である。
(2)R31は、水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基である。R32及びR33は、互いに合わせられR32及びOR33が結合する炭素原子とともに構成される環状エーテル構造を表す。
「*」は結合手を表す。)
31、R32及びR33で表される炭素数1~12のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。R31、R32及びR33で表される炭素数1~12のアルキル基の具体例としては、上記式(1)で表されるR~Rで例示されたものと同じものを挙げることができる。
31、R32及びR33で表される炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。R32及びR33で表される炭素数7~20のアラルキル基としては、フェニルメチル基、フェニルエチル基、メチルフェニルメチル基等が挙げられる。
32及びR33が互いに合わせられて構成される環状エーテル構造は、環員数5以上であることが好ましい。具体的には、例えばテトラヒドロフラン環構造、テトラヒドロピラン環構造等が挙げられる。
酸により解離しやすい点で、R31は中でも、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
構造単位(V-1)で表されるカルボン酸のアセタールエステル構造の具体例としては、1-メトキシエトキシカルボニル基、1-エトキシエトキシカルボニル基、1-プロポキシエトキシカルボニル基、1-ブトキシエトキシカルボニル基、1-シクロヘキシルオキシエトキシカルボニル基、2-テトラヒドロフラニルオキシカルボニル基、2-テトラヒドロピラニルオキシカルボニル基、1-フェニルメトキシエトキシカルボニル基等を挙げることができる。
構造単位(V-1)は、上記の中でも、下記式(Y-1)で表される構造単位及び式(Y-2)で表される構造単位が好ましい。
(式(Y-1)中、R30は、水素原子又はメチル基である。X30は、単結合又はアリーレン基である。R40は、水素原子又はアルキル基である。R41及びR42は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数7~20のアラルキル基である。)
(式(Y-2)中、R30は、水素原子又はメチル基である。X31は、単結合又はアリーレン基である。R43~R49は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。kは1又は2である。)
構造単位(V-1)の好ましい具体例としては、下記式で表される構造単位が挙げられる。なお、式中、R30は、水素原子又はメチル基である。
構造単位(V-2)は、保護されたフェノール性水酸基を有していればよい。構造単位(V-2)は、中でも、ヒドロキシスチレン又はその誘導体に由来する構造単位及びヒドロキシベンゼン構造を有する(メタ)アクリル化合物に由来する構造単位よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
構造単位(V-2)が有する酸解離性基は特に限定されないが、アセタール系官能基が好ましい。構造単位(V-2)に用いることのできるアセタール系官能基としては、構造単位(V-1)に用いることができる酸解離性基と同様の基を挙げることができる。中でも、「-O-C(R31)(R32)(OR33)」(ただし、R31、R32及びR33は式(X-1)と同義である)で表される基により保護されたフェノール性水酸基であることが好ましい。この場合、構造単位(V-2)に含まれる保護されたフェノール性水酸基は、下記式(Z-1)で表すことができる。
(式(Z-1)中、Arはアリーレン基である。R31、R32及びR33は式(X-1)と同義である。「*」は結合手を表す。)
構造単位(V-2)に含まれる「-C(R31)(R32)(OR33)」で表される基の好ましい具体例としては、1-アルコキシアルキル基及び1-アリールアルコキシアルキル基等を挙げることができる。具体的には、例えば、1-エトキシエチル基、1-メトキシエチル基、1-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-(2-エチルヘキシルオキシ)エチル基、1-プロポキシエチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル基、1-ベンジルオキシエチル基等が挙げられる。
構造単位(V-2)の好ましい具体例としては、下記式で表される構造単位が挙げられる。なお、式中、R30は、水素原子又はメチル基である。
重合体(A-1)が構造単位(V)を含む場合、本発明の効果を損なわない範囲で添加できる。
[構造単位(VI)]
重合体(A-1)は、下記式(1’)で表される基を有する構造単位(VI)を含むことができる。
(式(1’)中、R1’、R2’及びR3’は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~20の1価の炭化水素基、又は当該炭化水素基が有する水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換された基である。Rは、2価の芳香環基である。nは0又は1である。「*」は結合手であることを表す。ただし、nが0の場合、式(1)中のケイ素原子は、マレイミド環の窒素原子に結合している。)
上記式(1)のR1’~R3’において、1価の炭化水素基としては、炭素数1~20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数4~20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。これらの具体例としては、炭素数1~20の鎖状炭化水素基として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基等が挙げられる。
炭素数4~20の脂環式炭化水素基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環の脂環式炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の多環の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
1’~R3’が、炭素数1~20の炭化水素基が有する水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換された基である場合、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシ基等が挙げられる。
上記式(1)において、Rの2価の芳香環基は、置換又は無置換の芳香環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基である。当該芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。Rが有する芳香環が置換基を有する場合、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
構造単位(VI)は、上記式(1)中のnが1である基を有することが好ましく、具体的には、下記式(1-1)で表される基及び下記式(1-2)で表される基よりなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
(式(1-1)及び式(1-2)中、A1’及びA2’は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基である。n4は0~4の整数である。n5は0~6の整数である。ただし、n4が2以上の場合、複数のA1’は、互いに同一の基又は異なる基である。n5が2以上の場合、複数のA2’は、互いに同一の基又は異なる基である。R1’、R2’及びR3’は、上記式(1)と同義である。「*」は、結合手であることを表す。)
上記式(1-1)、式(1-2)において、A1’及びA2’の炭素数1~6のアルキル基及び炭素数1~6のアルコキシ基の具体例については、上記式(1)のR1’~R3’のアルキル基、アルコキシ基として例示した基が挙げられる。
芳香環に結合する基「-O-SiR1’2’3’」の位置は、A1’及びA2’を除く他の基に対していずれの位置であってもよい。例えば上記式(1-1)の場合、「-O-SiR1’2’3’」の位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、パラ位であることが好ましい。
上記式(1)中の基「-SiR1’2’3’」は、酸解離性基であることが好ましい。構造単位(VI)において、基「-SiR1’2’3’」が酸解離性基として機能することにより、上記式(1)中のnが1の場合には、放射線照射に伴い光酸発生剤(C)から生じた酸の作用によりフェノール性水酸基が生成され、上記式(1’)中のnが0の場合には-NH-が生成される。これにより、重合体(A-1)のアルカリ現像液に対する溶解性(アルカリ可溶性)及び硬化反応性を高めることができる。なお、本明細書において、「酸解離性基」とは、カルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基等の極性の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。「アルカリ可溶」とは、前述の通り、重合体(A―1)が、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ水溶液に溶解又は膨潤可能であることを意味する。
構造単位(VI)は、重合性炭素-炭素不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位であることが好ましい。具体的には、構造単位(VI)は、下記式(1’-1A)で表される構造単位及び下記式(1’-2A)で表される構造単位よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(式(1’-1A)及び式(1’-2A)中、Rは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基又はトリフルオロメチル基である。R’、R’及びR’は、上記式(1’)と同義である。A’、A’、n4及びn5は、上記式(1’-1)、式(1’-2)と同義である。)
構造単位(VI)を与える単量体の具体例としては、上記式(1’)中のnが1である場合の例として、4-イソプロペニルフェニルオキシトリメチルシラン、4-イソプロペニルフェニルオキシトリエチルシラン、4-イソプロペニルフェニルオキシメチルジエチルシラン、4-イソプロペニルフェニルオキシジメチルエチルシラン、3-イソプロペニルフェニルオキシトリメチルシラン、4-イソプロペニルナフチルオキシトリメチルシラン、4-ビニルフェニルオキシトリメチルシラン、4-ビニルフェニルオキシトリエチルシラン、4-ビニルフェニルオキシメチルジエチルシラン、4-ビニルフェニルオキシジメチルエチルシラン、3-ビニルフェニルオキシトリメチルシラン、4-ビニルナフチルオキシトリメチルシラン、4-トリメチルシリルオキシ-N-フェニルマレイミド、4-トリメチルシリルオキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記式(1’)中のnが0である場合の例として、N-トリメチルシリルマレイミド、N-トリエチルシリルマレイミド、N-メチルジエチルシリルマレイミド等が挙げられる。
重合体(A-1)が構造単位(VI)を含む場合、本発明の効果を損なわない範囲で添加できる。
(重合体(A-1)の合成方法)
重合体(A-1)は、例えば、上述した各構造単位を導入可能な不飽和単量体を用い、適当な溶媒中、重合開始剤等の存在下で、ラジカル重合等の公知の方法に従って製造することができる。
上記重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する単量体の全量100質量部に対して、0.01~30質量部であることが好ましい。
重合溶媒としては、例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類等が挙げられる。重合溶媒の使用量は、反応に使用する単量体の合計量が、反応溶液の全体量に対して、0.1~60質量%になる量にすることが好ましい。
重合において、反応温度は、通常、30℃~180℃である。反応時間は、重合開始剤及び単量体の種類や反応温度に応じて異なるが、通常、0.5~10時間である。重合反応により得られた重合体は、反応溶液に溶解された状態のまま感放射線性組成物の調製に用いられてもよいし、反応溶液から単離された後、感放射線性組成物の調製に用いられてもよい。重合体の単離は、例えば、反応溶液を大量の貧溶媒中に注ぎ、これにより得られる析出物を減圧下乾燥する方法、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法等の公知の単離方法により行うことができる。
重合体成分に含まれる重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、2,000以上であることが好ましい。Mwが2,000以上であると、耐熱性や耐薬品性が十分に高く、かつ良好な現像性を示す硬化膜を得ることができる点で好ましい。重合体のMwは、より好ましくは5,000以上であり、更に好ましくは6,000以上であり、特に好ましくは7,000以上である。また、Mwは、成膜性を良好にする観点から、好ましくは50,000以下であり、より好ましくは30,000以下であり、更に好ましくは20,000以下であり、特に好ましくは15,000以下である。
また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。なお、ベース重合体が2種以上の重合体からなる場合、各重合体のMw及びMw/Mnがそれぞれ上記範囲を満たすことが好ましい。
(シロキサンポリマー(A-2))
シロキサンポリマー(A-2)は、加水分解縮合によって硬化膜を形成可能であれば特に限定されない。シロキサンポリマー(A-2)は、下記式(4)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解することにより得られる重合体であることが好ましい。
(R21Si(OR224-r (4)
(式(4)中、R21は、非加水分解性の1価の基である。R22は、炭素数1~4のアルキル基である。rは0~3の整数である。ただし、rが2又は3の場合、式中の複数のR21は、互いに同一又は異なる。rが0~2の場合、式中の複数のR22は、互いに同一又は異なる。)
21としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基、(メタ)アクリロイル基を有する基、及びエポキシ基を有する基が挙げられる。
22としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。これらのうち、加水分解性が高い点で、R22は、メチル基又はエチル基が好ましい。
rは、好ましくは0~2、より好ましくは0又は1、更に好ましくは1である。
シロキサンポリマーを構成する単量体の具体例としては、
4個の加水分解性基を有するシラン化合物として、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシメトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン等を;
3個の加水分解性基を有するシラン化合物として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ-i-プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ-i-プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等を;
2個の加水分解性基を有するシラン化合物として、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等を;
1個の加水分解性基を有するシラン化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等を、それぞれ挙げることができる。
シロキサンポリマーは、上記の加水分解性シラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で加水分解・縮合させることにより得ることができる。加水分解・縮合反応に際し、水の使用割合は、加水分解性シラン化合物が有する加水分解性基(-OR22)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1~3モルであり、より好ましくは0.2~2モルであり、更に好ましくは0.5~1.5モルである。このような量の水を使用することにより、加水分解縮合の反応速度を最適化することができる。
加水分解・縮合反応の際に使用する触媒としては、例えば、酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物等を挙げることができる。触媒の使用量は、触媒の種類、温度といった反応条件等により異なり、適宜に設定されるが、加水分解性シラン化合物1モルに対して、好ましくは0.0001~0.2モルであり、より好ましくは0.0005~0.1モルである。
上記の加水分解・縮合反応の際に使用する有機溶媒としては、例えば、炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコール等を挙げることができる。これらのうち、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましく、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル化合物等が挙げられる。有機溶媒の使用割合は、反応に使用する加水分解性シラン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは10~10,000質量部であり、より好ましくは50~1,000質量部である。
加水分解・縮合反応時には、反応温度を130℃以下とすることが好ましく、40~100℃とすることがより好ましい。反応時間は、0.5~24時間とすることが好ましく、1~12時間とすることがより好ましい。反応中は、混合液を撹拌してもよいし、還流下に置いてもよい。加水分解縮合反応後には、反応溶液中に脱水剤を加え、次いでエバポレーションすることにより、水及び生成したアルコールを反応系から除去してもよい。
シロキサンポリマーにつき、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、500以上であることが好ましい。Mwが500以上であると、耐熱性や耐溶剤性が十分に高く、かつ良好な現像性を示す硬化膜を得ることができる点で好ましい。Mwは、より好ましくは1000以上である。また、Mwは、成膜性を良好にする観点及び感放射線性の低下を抑制する観点から、好ましくは10000以下であり、より好ましくは5000以下である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。
ケイ素含有重合体(A)の含有割合は、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量(すなわち、感放射線性組成物中の溶剤以外の成分の合計質量)に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体(A)の含有割合は、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量に対して、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。重合体(A)の含有割合を上記範囲とすることにより、耐熱性及び耐薬品性が十分に高く、かつ良好な現像性及び透明性を示す硬化膜を得ることができる。
<エポキシ基含有化合物(B)>
感放射線性組成物は、上記ケイ素含有重合体(A)と供に、エポキシ基含有化合物(B)を含有する。エポキシ基含有化合物(B)は、1個以上の環構造及び2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではない。ただし、上記ケイ素含有重合体(A)を除くものである。上記エポキシ基含有化合物(B)は、2個以上のエポキシ基を有するため、架橋反応を起こして、感放射線性組成物の硬化反応を促進する作用を奏する成分である。
上記エポキシ基含有化合物(B)は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)であってもよいし、高分子化合物(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)であってもよい。
上記エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ基の数は、2個以上であれば良いが、基板密着性の観点から3個以上であることが好ましい。
上記エポキシ基含有化合物(B)の環構造の数は、1個以上であれば良いが、基板密着性の観点から3個以上であることが好ましい。
上記環構造としては、脂環構造、芳香環構造、複素環構造又はこれらの組み合わせのいずれでもよい。組み合わせの場合、環構造が鎖状構造で結合した構造であってもよく、2つ以上の環構造が縮合環構造や有橋環構造を形成していてもよい。また、環構造の炭素原子上の水素原子が他の置換基で置換されていてもよい。
上記脂環構造としては、炭素数3~20のn価の脂環式炭化水素基が挙げられる。n価の脂環式炭化水素基とは、脂環式炭化水素からn個(nは整数)の水素原子を取り除いた基を意味する。また、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよい。上記脂環式炭化水素としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン等のシクロアルカン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等のシクロアルケン等が挙げられる。
上記芳香環構造としては、炭素数6~30のn価の芳香族炭化水素基を挙げられる。n価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素からn個(nは整数)の水素原子を取り除いた基を意味する。上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、アントラセン等を挙げることができる。
上記複素環構造としては、芳香族複素環構造から水素原子をn個取り除いた基及び脂環複素環構造から水素原子をn個取り除いた基が挙げられる。ヘテロ原子を導入することで芳香族性を有する5員環の芳香族構造も複素環構造に含まれる。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
上記芳香族複素環構造としては、例えば、フラン、ピラン、ベンゾフラン、ベンゾピラン等の酸素原子含有芳香族複素環構造;ピロール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナジン、カルバゾール等の窒素原子含有芳香族複素環構造;チオフェン等の硫黄原子含有芳香族複素環構造;
チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジン、オキサジン等の複数のヘテロ原子を含有する芳香族複素環構造等が挙げられる。
上記脂環複素環構造としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、ジオキサン等の酸素原子含有脂環複素環構造;アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の窒素原子含有脂環複素環構造;チエタン、チオラン、チアン等の硫黄原子含有脂環複素環構造;モルホリン、1,2-オキサチオラン、1,3-オキサチオラン等の複数のヘテロ原子を含有する脂環複素環構造;ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造等が挙げられる。
上記環構造としては、炭素数3~20のn価の脂環式炭化水素基、炭素数6~30のn価の芳香族炭化水素基が好ましく、脂環式炭化水素としてはシクロヘキサンが好ましく、芳香族炭化水素としてはベンゼンが好ましい。
上記エポキシ基含有化合物(B)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールAD型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、環式脂肪族系エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型化合物、テトラグリシジルアミン型エポキシ化合物、テトラフェニルエタン型エポキシ化合物、エポキシ化油、エポキシノボラック化合物等のエポキシ化合物及びその臭素化物;トリスフェノール型エポキシ化合物;トリス(グリシジルフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ基含有化合物;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ラクトン変性エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール等の脂環式エポキシ化合物類;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油等を挙げることができる。これらの中でも、アルカリ現像液への溶解性の観点から、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、テトラグリシジルアミン型エポキシ化合物、テトラフェニルエタン型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、及びトリスフェノール型エポキシ化合物よりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
上記エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ当量としては、特に限定されないが、80g/当量以上であることが好ましく、100g/当量以上であることがより好ましい。また、1000g/当量以下であることが好ましく、800g/当量以下であることがより好ましく、500g/当量以下であることが更に好ましい。エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ当量が前記範囲にあることにより、低吸水性かつ熱架橋性に優れた硬化膜が得られるため好ましい。ここでのエポキシ当量は、JISK7236に準拠し測定することができる。
上記エポキシ基含有化合物(B)は、下記式(B1)~(B8)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有することが好ましい。
(式(B3)中、iは0~300の整数である。)
(式(B4)中、jは0~300の整数である。)
(式(B5)中、R11は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、kは0~100の整数である。)
(式(B7)中、mは0~50の整数である。)
(式(B8)中、pは0~300の整数である。)
上記式(B3)~(B5)、(B7)、(B8)で表される化合物はそれぞれ、i、j、km又はpの値が異なる2種以上の化合物の混合物であることもできる。
上記式(B1)の市販品としては、JER1032H60(三菱ケミカル(株)製)、上記式(B2)の市販品としては、YH-434(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、上記式(B3)の市販品としては、JER834、JER828、JER1001(いずれも、三菱ケミカル(株)製)、上記式(B4)の市販品としては、YX8000(三菱ケミカル(株)製)、上記式(B5)の市販品としては、JER152(三菱ケミカル(株)製)、上記式(B6)の市販品としては、JER1031S(三菱ケミカル(株)製)、上記式(B7)の市販品としては、JER157S65(三菱ケミカル(株)製)、上記式(B8)の市販品としては、JER806(三菱ケミカル(株)製)を挙げることができる。エポキシ基含有化合物(B)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
エポキシ基含有化合物(B)の含有量(複数種含む場合は合計の含有量)は、ケイ素含有重合体(A)100重量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。また、ケイ素含有重合体(A)100重量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましく、15質量部以下であることが特に好ましい。エポキシ基含有化合物(B)の添加量を前記範囲にすることで、感度と基板密着性とアウトガス性の全て効果がバランスよく発現することができる観点から好ましい。
<光酸発生剤(C)>
感放射線性組成物は、上記重合体(A)、エポキシ基含有化合物(B)と供に、光酸発生剤(C)を含有する。
光酸発生剤(C)は、放射線照射により酸を発生する化合物であればよく、特に限定されない。光酸発生剤(C)としては、例えば、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、及びカルボン酸エステル化合物の具体例としては、特開2014-157252号公報の段落[0078]~[0106]に記載された化合物、国際公開第2016/124493号に記載された化合物等が挙げられる。光酸発生剤としては、放射線感度の観点から、オキシムスルホネート化合物及びスルホンイミド化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
オキシムスルホネート化合物は、下記式(5)で表されるスルホネート基を有する化合物であることが好ましい。
(式(5)中、R23は、1価の炭化水素基、又は当該炭化水素基が有する水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換された1価の基である。「*」は結合手であることを表す。)
上記式(5)において、R23の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基、炭素数4~12のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基等が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、オキソ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物を例示すると、(5-プロピルスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-オクチルスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(カンファースルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(5-p-トルエンスルホニルオキシイミノ-5H-チオフェン-2-イリデン)-(2-メチルフェニル)アセトニトリル、(2-[2-(4-メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)]-2,3-ジヒドロチオフェン-3-イリデン]-2-(2-メチルフェニル)アセトニトリル)、2-(オクチルスルホニルオキシイミノ)-2-(4-メトキシフェニル)アセトニトリル、国際公開第2016/124493号に記載の化合物等が挙げられる。オキシムスルホネート化合物の市販品としては、BASF社製のIrgacure PAG121等が挙げられる。
スルホンイミド化合物を例示すると、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、トリフルオロメタンスルホン酸-1,8-ナフタルイミド(N-ヒドロキシナフタルイミドトリフラート)が挙げられる。
光酸発生剤(C)としては、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、及びカルボン酸エステル化合物のうち1種以上と、キノンジアジド化合物とを併用してもよい。また、キノンジアジド化合物を単独で用いてもよい。
キノンジアジド化合物は、放射線の照射によりカルボン酸を発生する感放射線性酸発生体である。キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下「母核」ともいう)と、オルソナフトキノンジアジド化合物との縮合物が挙げられる。これらのうち、使用するキノンジアジド化合物は、母核としてのフェノール系水酸基を有する化合物と、オルソナフトキノンジアジド化合物との縮合物が好ましい。母核の具体例としては、例えば、特開2014-186300号公報の段落0065~0070に記載された化合物が挙げられる。オルソナフトキノンジアジド化合物は、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドが好ましい。
キノンジアジド化合物としては、母核としてのフェノール性化合物又はアルコール性化合物と、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を好ましく使用でき、フェノール性化合物と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物をより好ましく使用できる。
キノンジアジド化合物の具体例としては、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,3,4,2’,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、4,6-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-1,3-ジヒドロキシベンゼン、及び4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールから選ばれるフェノール性水酸基含有化合物と、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドとのエステル化合物が挙げられる。
上記縮合物を得るための縮合反応において、母核と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの割合は、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドの使用量を、母核中のOH基の数に対して、好ましくは30~85モル%、より好ましくは50~70モル%に相当する量とする。なお、上記縮合反応は、公知の方法に従って行うことができる。
上記光酸発生剤(C)の含有量(複数種含む場合は合計の含有量)は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることが更に好ましい。また、光酸発生剤(C)の含有割合は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが好ましい。光酸発生剤(C)の含有割合を0.01質量部以上とすると、放射線の照射によって酸が十分に生成し、アルカリ溶液に対する、放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差を十分に大きくできる。これにより、良好なパターニングを行うことができるため、好ましい。また、重合体成分との反応に関与する酸の量を多くでき、耐熱性及び耐溶剤性を十分に確保できるため、好ましい。一方、光酸発生剤(C)の含有割合を20質量部以下とすることにより、露光後において未反応の光酸発生剤の量を十分に少なくでき、光酸発生剤(C)の残存による現像性の低下を抑制できる点で好適である。
本発明の感放射線性組成物は、上記ケイ素含有重合体(A)、エポキシ基含有化合物(B)、光酸発生剤(C)を含有すれば良いものであり、その他の成分については特に限定されないが、例えば、基板密着性向上の観点からは、密着助剤(D)やオルトエステル化合物(E)を含有することが好ましく、塗布性の観点から溶剤(F)を含有することが好ましい。
<密着助剤(D)>
密着助剤(D)は、感放射線性組成物を用いて形成される硬化膜と基板との接着性を向上させる成分である。密着助剤(D)としては、例えば、カルド構造を有するカルド化合物や、反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤を好ましく使用できる。
(官能性シランカップリング剤)
官能性シランカップリング剤が有する反応性官能基としては、カルボキシ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基等が挙げられる。
官能性カップリング剤の具体例としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(カルド化合物)
カルド化合物は、アルコキシシリル基、オキシラニル基、オキセタニル基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基(X)と、カルド構造とを有する。
カルド構造は、第1の環構造、第2の環構造及び第3の環構造を有し、第1の環構造の環骨格に含まれる同一炭素原子に対し、第2の環構造及び第3の環構造が直接結合した構造を有する。カルド構造は、具体的には下記式(10)で表すことができる。
(式(10)中、A10は、A11及びA12が結合する炭素原子と共に形成される環状基である。A11及びA12は、それぞれ独立して2価の環状基である。「*」は結合手を表す。)
上記式(10)において、A11及びA12で表される2価の環状基は、脂環式基及び芳香環基のいずれでもよい。脂環式基は、置換又は無置換の脂肪族炭化水素環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基であり、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基のいずれでもよい。2価の脂環式基が多環式炭化水素基である場合、多環式炭化水素基は、有橋脂環式炭化水素基及び縮合脂環式炭化水素基のいずれでもよく、また飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよい。なお、縮合脂環式炭化水素基とは、複数の脂環が辺(隣接する2つの炭素原子間の結合)を共有する形で構成された多環性の脂環式炭化水素基をいう。
単環の脂環式炭化水素基の具体例としては、飽和炭化水素基として、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基及びシクロオクタンジイル基等を;不飽和炭化水素基として、シクロペンテンジイル基、シクロヘキセンジイル基、シクロヘプテンジイル基、シクロオクテンジイル基、シクロペンタジエンジイル基及びシクロヘキサジエンジイル基等が挙げられる。多環の脂環式炭化水素基の具体例としては、有橋脂環式飽和炭化水素基として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,2-ジイル基(ノルボルナン-2,2-ジイル基)、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,2-ジイル基、及びトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン-2,2-ジイル基(アダマンタン-2,2-ジイル基)等を;縮合脂環式炭化水素基として、デカヒドロナフタレンジイル基等を、それぞれ挙げることができる。
2価の芳香環基は、置換又は無置換の芳香環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基であり、単環式及び多環式のいずれでもよい。2価の芳香環基が多環式炭化水素基である場合、多環式炭化水素基は、有橋芳香族炭化水素基及び縮合芳香族炭化水素基のいずれでもよい。
単環の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基等が挙げられる。多環の芳香族炭化水素基は、縮合芳香環炭化水素基が好ましく、例えば、ナフタニレン基、アントラセンジイル基、フルオレンジイル基、フェナレンジイル基等が挙げられる。
2価の脂環式基及び芳香環基が環部分に置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
11及びA12で表される2価の環状基は、中でも、2価の芳香環基が好ましく、置換又は無置換のフェニレン基が特に好ましい。
10は、A11及びA12が結合する炭素原子と共に形成される環状基である。A10で表される環状基の具体例としては、A11及びA12で表される2価の環状基として例示した2価の脂環式基及び2価の芳香環基と同様のものが挙げられる。これらのうち、A10で表される環状基の好ましい具体例としては、下記式(10a-1)~式(10a-6)で表される基及びこれらの基の環部分に置換基が導入された基が挙げられる。
(式中、「*」は結合手を表す。)
10で表される環状基としては、上記の中でも、上記式(10a-1)~式(10a-3)のそれぞれで表される基及びこれらの環部分に置換基が導入された基が好ましく、フルオレン構造を有する基(すなわち、上記式(10a-1)で表される基及び環部分に置換基が導入された基)が特に好ましい。
上記式(10)で表されるカルド構造は、本発明の組成物を用いて得られる膜の基板密着性及び硬化密着性の改善効果が高い点で、中でも、下記式(10-1)で表される構造が好ましい。
(式(10-1)中、Ar11及びAr12は、それぞれ独立して、2価の芳香環基である。R68及びR69は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。a1及びa2は、それぞれ独立して0~3の整数である。a1が2又は3の場合、複数のR68は同一又は異なる。a2が2又は3の場合、複数のR69は同一又は異なる。「*」は結合手を表す。)
カルド化合物が有する官能基(X)は、アルコキシシリル基、オキシラニル基、オキセタニル基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びアミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種である。
アルコキシシリル基は、アルコキシ基がケイ素原子に結合した構造を有していればよく、例えば、式「-Si(R61)(R62)(R63)」で表される基が挙げられる。ここで、R61、R62及びR63は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基であり、R61、R62及びR63のうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。アルコキシシリル基の具体例としては、上記式(1)で表される基と同様のものが挙げられる。これらのうち、R61、R62及びR63は、1個が炭素数1~6のアルコキシ基であり、残りが炭素数1~6のアルコキシ基又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。中でも、R61、R62及びR63のうち1個が炭素数1~3のアルコキシ基であり、残りが炭素数1~3のアルコキシ基又は炭素数1~3のアルキル基であることが、基板密着性及び硬化密着性の改善効果をより高くできる点で好ましい。
本発明の組成物を用いて得られる膜の基板密着性及び硬化密着性をより優れたものとすることができる点で、官能基(X)は、中でも、アルコキシシリル基、オキシラニル基、オキセタニル基及び(メタ)アクリロイル基よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルコキシシリル基が特に好ましい。
本組成物に含まれるカルド化合物は、1分子内にカルド構造及び官能基(X)をそれぞれ1個以上有していればよく、他の部分の構造は特に限定されない。カルド化合物としては、例えば、カルド構造を有する構造単位を含むオリゴマー、及びカルド構造を有するシランカップリング剤が挙げられる。カルド化合物は、具体的には、下記式(11)で表される化合物及び下記式(12)で表される化合物等が挙げられる。また、カルド化合物として、国際公開第2009/119622号に記載のフルオレン骨格を有する化合物と四塩基酸二無水物とを反応させて得られる高分子化合物に、カルボン酸反応性(メタ)アクリレート化合物を付加させて得られる感光性樹脂を用いることができ、例えば同公報の実施例2に記載された感光性樹脂(A2)を用いることができる。
(式(11)中、Y61及びY62は、それぞれ独立して、炭素数1以上の2価の有機基である。X61及びX62は、それぞれ独立して、アルコキシシリル基、オキシラニル基、オキセタニル基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はアミノ基である。b1及びb2は、それぞれ独立して、1~5の整数である。Ar11、Ar12、R68、R69、a1及びa2は、上記式(10-1)と同義である。)
(式(12)中、Y63及びY64は、それぞれ独立して、炭素数1以上の2価の有機基である。Z61及びX63は、それぞれ独立して、アルコキシシリル基、オキシラニル基、オキセタニル基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はアミノ基である。n1は、2~100の整数である。Ar11、Ar12、R68、R69、a1及びa2は、上記式(10-1)と同義である。)
上記式(11)及び式(12)において、Y61~Y64で表される2価の有機基としては、炭素数1~40の2価の炭化水素基、当該炭化水素基の少なくとも1個のメチレン基がヘテロ原子含有基で置き換えられた2価の基等が挙げられる。ヘテロ原子含有基としては、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR67CO-、-CONR67-、-NR67-COO-、-OCO-NR67-等(ただし、R67は水素原子又はアルキル基)が挙げられる。
カルド化合物は、本発明の組成物により形成される膜の基板密着性及び硬化密着性をより高くできる点で、上記のうち、上記式(11)で表される化合物が好ましく、上記式(11)においてX61及びX62がアルコキシシリル基である化合物が特に好ましい。
カルド化合物としては、市販品を使用してもよい。カルド化合物の市販品としては、商品名で、例えば、オグソールSC-001、オグソールEA-0200、オグソールEA-0300、及びオグソールCR1030(以上、大阪ガスケミカル(株)製);WR-301((株)ADEKA製);V-259ME(新日鉄住金化学(株)製);オンコートEXシリーズ(ナガセケムテックス(株)製)等が挙げられる。
本発明の感放射線性組成物に密着助剤(D)を配合する場合、密着助剤(D)の含有量(複数種含む場合は合計の含有量)は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、1質量部以上であることが更に好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。また、密着助剤(D)の含有量は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に好ましい。密着助剤(D)の含有量を前記範囲とすることにより、本発明の組成物により形成される膜の基板密着性がより向上するため好ましい。
<オルトエステル化合物(E)>
オルトエステル化合物(E)としては、3個の基「-OR30」(ただし、R30は1価の炭化水素基である)が同一の炭素に結合した構造を有する化合物であり、一般式:R31-C(OR30で表される。ここで、R31は、水素原子又は1価の有機基である。オルトエステル化合物(E)は、酸の存在下で吸水性を発現し、加水分解してエステルに変わる。こうしたオルトエステル化合物(E)を、ケイ素含有重合体(A)と共に感放射線性組成物に含有させることにより、光酸発生剤(C)から発生した酸(換言すれば、放射線の照射)によりオルトエステル化合物(E)の吸水作用が発現され、オルトエステル化合物(E)の吸水作用によって塗膜の現像密着性を向上させることができるため、好ましい。また、オルトエステル化合物(E)は、アルカリ現像液に対し安定で疎水的であり、未露光部に及ぼす影響(例えば、感度への影響)も少ない点で好ましい。
オルトエステル化合物が有する基「-OR30」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、フェノキシ基、メチルフェニル基等が挙げられる。これらのうち、オルトエステル化合物が有する基「-OR30」は、アルコキシ基が好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基がより好ましい。なお、オルトエステル化合物(E)が有する3個の基「-OR30」は、互いに同一の基又は異なる基である。
31としては、例えば、水素原子、1価の鎖状炭化水素基、当該鎖状炭化水素基の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化鎖状炭化水素基、1価の芳香環基等が挙げられる。これらのうち、R31は、水素原子、1価の鎖状炭化水素基又は1価の芳香環基が好ましく、具体的には、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基が挙げられる。
オルトエステル化合物(E)の具体例としては、オルトクロロ酢酸トリエチル、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリイソプロピル、オルト蟻酸トリブチル、オルト蟻酸ジエチルフェニル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルトジクロロ酢酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト吉草酸トリメチル、オルト吉草酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルト安息香酸トリメチル、オルト安息香酸トリエチル等が挙げられる。
オルトエステル化合物としては、上記の中でも、下記式(6)で表される化合物を好ましく使用することができる。
33-C-(OR32 (6)
(式(6)中、R32は、炭素数1~4のアルキル基又はフェニル基である。R33は、水素原子、炭素数1~4の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香環基である。式中の3個のR32は、互いに同一の基又は異なる基である。)
上記式(6)において、R32のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。塗膜の現像密着性を改善する効果が高い点、及び感度への影響がより小さい点で、R32は、メチル基、エチル基又はフェニル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
33の鎖状炭化水素基は、炭素数1~4の鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。R33の芳香環基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R33は、塗膜の現像密着性を改善する効果が高い点で、1価の芳香環基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
塗膜の現像密着性をより高くできる点で、オルトエステル化合物(E)としては、芳香環基を有する化合物を好ましく使用できる。芳香環基を有する化合物の具体例としては、上記式(6)においてR32及びR33の少なくとも一方が芳香環基である化合物が挙げられる。なお、オルトエステル化合物(E)が芳香環を有する場合、オルトエステル化合物(E)の疎水性向上によりオルトエステル化合物(E)が膜中に残存しやすくなり、未露光部の端部の脱水が十分に行われることによるものと考えられる。
芳香環基を有するオルトエステル化合物(E)の具体例としては、オルト安息香酸トリメチル、オルト安息香酸トリエチル、オルト蟻酸ジエチルフェニル等を挙げることができる。これらのうち、塗膜の現像密着性の改善効果が高い点、及び感度をより良好に維持できる点で、オルト安息香酸トリメチル及びオルト安息香酸トリエチルが特に好ましい。
オルトエステル化合物(E)は、沸点がプレベーク温度よりも高温であることが好ましい。プレベーク温度に対し十分に高い沸点を有するオルトエステル化合物(E)を用いることにより、塗膜の現像密着性をより高めることができる。具体的には、オルトエステル化合物(E)の沸点は、105℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることが更に好ましい。なお、オルトエステル化合物(E)の沸点がプレベーク温度に対し十分に高い場合、プレベーク時にオルトエステル化合物(E)の揮発が抑制され、オルトエステル化合物(E)がプレベーク後においても膜中に残存しやすくなり、これにより未露光部の端部の脱水が十分に行われることによるものと考えられる。
沸点が105℃以上であるオルトエステル化合物(E)の具体例としては、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルトジクロロ酢酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト吉草酸トリメチル、オルト安息香酸トリメチル、オルト安息香酸トリエチル等が挙げられる。なお、本明細書において沸点は1気圧下での値である。
本発明の感放射線性組成物にオルトエステル化合物(E)を配合する場合、オルトエステル化合物(E)の含有量(複数種含む場合は合計の含有量)は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが更に好ましい。また、オルトエステル化合物(E)の含有量は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。オルトエステル化合物(E)の含有量を前記範囲とすることにより、本発明の組成物により形成される膜の基板密着性がより向上するため好ましい。
<溶剤(F)>
本発明の感放射線性組成物は、配合される成分が、好ましくは溶剤(F)に溶解又は分散された液状の組成物である。使用する溶剤(F)としては、本発明の感放射線性組成物に配合される各成分を溶解し、かつ各成分と反応しない有機溶媒が好ましい。
溶剤(F)の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレンジグリコールモノメチルエーテル、エチレンジグリコールエチルメチルエーテル、ジメチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらのうち、溶剤(F)は、エーテル類及びエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明の感放射線性組成物は、上記各成分以外にも、例えば、酸拡散制御剤を適宜含有することができる。
<酸拡散制御剤>
酸拡散制御剤は、露光により光酸発生剤(C)から発生した酸の拡散長を制御する成分である。感放射線性組成物に酸拡散制御剤を配合することにより、酸の拡散長を適度に制御することができ、パターン現像性を改善できる点で好ましい。
酸拡散制御剤としては、化学増幅レジストにおいて用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。塩基性化合物としては、例えば、脂肪酸アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、4級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸4級アンモニウム塩等が挙げられる。塩基性化合物の具体例としては、特開2011-232632号公報の[0128]~[0147]に記載された化合物等が挙げられる。酸拡散制御剤としては、芳香族アミン及び複素環式アミンよりなる群から選択される少なくとも1種を好ましく使用することができる。
芳香族アミン及び複素環式アミンとしては、例えば、アニリン、N-メチルアニリン、N-エチルアニリン、N-プロピルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、2-メチルアニリン、3-メチルアニリン、4-メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2-ニトロアニリン、3-ニトロアニリン、4-ニトロアニリン、2,4-ジニトロアニリン、2,6-ジニトロアニリン、3,5-ジニトロアニリン、N,N-ジメチルトルイジン等のアニリン誘導体;イミダゾール、4-メチルイミダゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、トリフェニルイミダゾール、N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-フェニルベンゾイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ピロール、2H-ピロール、1-メチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、N-メチルピロール等のピロール誘導体;ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4-(1-ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3-メチル-2-フェニルピリジン、3-メチル-4-フェニルピリジン、4-tert-ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1-メチル-2-ピリドン、4-ピロリジノピリジン、1-メチル-4-フェニルピリジン、2-(1-エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン、ニコチン等のピリジン誘導体の他、特開2011-232632号公報に記載の化合物が挙げられる。
感放射線性組成物に酸拡散制御剤を配合する場合、酸拡散制御剤の含有量は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることが更に好ましい。また、酸拡散制御剤の含有量は、ケイ素含有重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の感放射線性組成物は、上記各成分以外にも、例えば、酸化防止剤、架橋剤等を適宜含有することができる。
<感放射線性組成物の調製方法>
上記感放射線性組成物は、例えば、ケイ素含有重合体(A)、エポキシ基含有化合物(B)、光酸発生剤(C)と、必要に応じてその他の任意成分とを所定の割合で混合することにより調製できる。上記感放射線性組成物は、混合後に、例えば、孔径0.05μm~0.4μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。上記感放射線性組成物の固形分濃度(感放射線性組成物中の溶剤以外の成分の合計質量が、感放射線性組成物の全質量に対して占める割合)は、粘性や揮発性等を考慮して適宜に選択される。感放射線性組成物の固形分濃度は、好ましくは5~60質量%の範囲であり、より好ましくは10~55質量%であり、更に好ましくは12~50質量%である。固形分濃度が5質量%以上であると、感放射線性組成物を基板上に塗布した際に塗膜の膜厚を十分に確保できる。また、固形分濃度が60質量%以下であると、塗膜の膜厚が過大となりすぎず、更に感放射線性組成物の粘性を適度に高くでき、良好な塗布性を確保できる。
≪硬化膜及びその製造方法≫
本発明の硬化膜は、上記のように調製された感放射線性組成物により形成される。上記感放射線性組成物は、放射線感度が高いものである。また、当該感放射線性組成物を用いることにより、現像後にも基板に対して高い密着性を示し、低アウトガス性に優れたパターン膜を形成することができる。したがって、上記感放射線性組成物は、例えば、層間絶縁膜、平坦化膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜、隔壁、バンク等の形成材料として好ましく用いることができる。
硬化膜の製造に際し、上記の感放射線性組成物を用いることにより、感光剤の種類に応じてポジ型の硬化膜を形成することができる。硬化膜は、上記感放射線性組成物を用いて、例えば以下の工程1~工程4を含む方法により製造することができる。
(工程1)上記感放射線性組成物を用いて塗膜を形成する工程。
(工程2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程。
(工程3)放射線が照射された塗膜を現像する工程。
(工程4)現像された塗膜を加熱する工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
[工程1:塗布工程]
本工程では、膜を形成する面(以下、「被成膜面」ともいう)に上記感放射線性組成物を塗布し、好ましくは加熱処理(プレベーク)を行うことにより溶媒を除去して被成膜面上に塗膜を形成する。被成膜面の材質は特に限定されない。例えば、層間絶縁膜を形成する場合、TFT等のスイッチング素子が設けられた基板上に上記感放射線性組成物を塗布し、塗膜を形成する。基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板が用いられる。塗膜を形成する基板の表面には、用途に応じた金属薄膜が形成されていてもよく、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理等の各種表面処理が施されていてもよい。
感放射線性組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、スリットダイ塗布法又はバー塗布法により行うことが好ましい。プレベーク条件としては、感放射線性組成物における各成分の種類及び含有割合等によっても異なるが、例えば、60~130℃で0.5~10分である。形成される塗膜の膜厚(すなわち、プレベーク後の膜厚)は、0.1~12μmが好ましい。被成膜面に塗布した感放射線組成物に対しては、プレベーク前に減圧乾燥(VCD)を行ってもよい。
[工程2:露光工程]
本工程では、上記工程1で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜に対し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより、パターンを有する硬化膜を形成することができる。放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの中でも紫外線が好ましく、例えば、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)が挙げられる。放射線の露光量としては、0.1~20,000J/mが好ましい。
[工程3:現像工程]
本工程では、上記工程2で放射線を照射した塗膜を現像する。具体的には、工程2で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の照射部分を除去するポジ型現像を行う。現像液としては、例えば、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、特開2016-145913号公報の段落[0127]に例示されたアルカリが挙げられる。アルカリ水溶液におけるアルカリ濃度としては、適度な現像性を得る観点から、0.1~5質量%が好ましい。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法が挙げられる。現像時間は、組成物の組成によっても異なるが、例えば、30~120秒である。なお、現像工程の後、パターニングされた塗膜に対して流水洗浄によるリンス処理を行うことが好ましい。
[工程4:加熱工程]
本工程では、上記工程3で現像された塗膜を加熱する処理(ポストベーク)を行う。ポストベークは、例えば、オーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて行うことができる。ポストベーク条件について、加熱温度は、例えば、120~250℃である。加熱時間は、例えば、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には5~40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には10~80分である。
以上のようにして、目的とするパターンを有する硬化膜を基板上に形成することができる。硬化膜が有するパターンの形状は特に限定されず、例えば、ライン・アンド・スペースパターン、ドットパターン、ホールパターン、格子パターンが挙げられる。
≪半導体素子≫
本発明の半導体素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備える。当該硬化膜は、好ましくは、半導体素子中の配線間を絶縁する層間絶縁膜である。本発明の半導体素子は、公知の方法を用いて製造することができる。
≪表示素子≫
本発明の表示素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備える。また、本発明の表示素子は、本発明の半導体素子を備えることにより、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備えるものであってもよい。また更に、本発明の表示素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜として、TFT基板上に形成される平坦化膜を備えていてもよい。表示素子としては、例えば、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。本実施例において、重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は以下の方法により測定した。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
重合体のMw及びMnは、下記方法により測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・装置:昭和電工(株)製のGPC-101
・GPCカラム:(株)島津ジーエルシー製のGPC-KF-801、GPC-KF-802、GPC-KF-803及びGPC-KF-804を結合
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/分
・試料濃度:1.0質量%
・試料注入量:100μL
・検出器:示差屈折計
・標準物質:単分散ポリスチレン
<重合体(A)を構成する単量体>
重合体(A)の合成に用いた単量体の略称は以下のとおりである。
(構造単位(I)を与える単量体)
・MPTMS:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
・MPTES:3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
・STMS:p-スチリルトリメトキシシラン
・SDMS:p-スチリルジメトキシヒドロキシシラン
・STES:p-スチリルトリエトキシシラン
(構造単位(II)を与える単量体)
・MA:メタクリル酸
・MI:マレイミド
(構造単位(III)を与える単量体)
・OXMA:OXE-30(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
・GMA:メタクリル酸グリシジル(大阪有機化学工業(株)製)
・EDCPMA:メタクリル酸[3,4-エポキシトリシクロ(5.2.1.02,6)デカン-9-イル]
(構造単位(IV)を与える単量体)
・MMA:メタクリル酸メチル
・ST:スチレン
<重合体(A)の合成>
[合成例1]重合体(A-1)の合成
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル200部を仕込んだ。引き続き、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン20部、メタクリル酸15部、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート30部、メタクリル酸グリシジル30部、及びメタクリル酸メチル5部を仕込み、窒素置換した後、緩やかに撹拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体(A-1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.0質量%であり、重合体(A-1)のMwは10,800、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
[合成例2~14、比較合成例1、2]重合体(A-2)~(A-14)、(CA-1)、(CA-2)の合成
表1に示す種類及び配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は合成例1と同様の手法にて、重合体(A-1)と同等の固形分濃度、重量平均分子量及び分子量分布を有する重合体(A-2)~(A-14)、(CA-1)、(CA-2)をそれぞれ含む重合体溶液を得た。なお、表1中、「-」は該当する成分を用いなかったことを示す。
[合成例15]重合体(A-15)の合成
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル24部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン39部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達した後、ギ酸0.1部、水19部を仕込み、緩やかに撹拌しつつ、溶液の温度を75℃に上昇させ、この温度を2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸トリメチル28質量部を加え、1時間撹拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水、及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去することにより、重合体(A-15)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は35質量%であり、重合体(A-15)の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
[合成例16]重合体(A-16)の合成
使用する単量体をフェニルトリメトキシシラン39部、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18部に変更したこと以外は合成例1と同様の手法にて、重合体(A-15)と同等の固形分濃度、重量平均分子量及び分子量分布を有する重合体(A-16)を得た。
<感放射線性組成物の調製>
感放射線性組成物の調製に用いた重合体(A)、エポキシ基含有化合物(B)、光酸発生剤(C)、添加剤(X)を以下に示す。
(重合体(A))
A-1~A-16:合成例1~16で合成した重合体(A-1)~(A-16)
CA-1~CA-2:比較合成例1~2で合成した重合体(CA-1)、(CA-2)
(エポキシ基含有化合物(B))
B-1:JER834(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:230~270、式(B3)に該当する化合物)
B-2:JER828(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:184~194、式(B3)に該当する化合物)
B-3:JER1001(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:475、式(B3)に該当する化合物)
B-4:JER152(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:176~178、式(B5)に該当する化合物)
B-5:JER1031S(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:180~220、式(B6)に該当する化合物)
B-6:JER1032H60(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:163~175、式(B1)に該当する化合物)
B-7:JER157S65(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:210、式(B7)に該当する化合物)
B-8:YX8000(三菱ケミカル(株)製、式(B4)に該当する化合物(jは約 ))
B-9:YH-434(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製、エポキシ当量:115~119、式(B2)に該当する化合物)
B-10:JER806(三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:160~170、式(B8)に該当する化合物)
(光酸発生剤(C))
C-1:国際公開第2016/124493号に記載のOS-17
C-2:国際公開第2016/124493号に記載のOS-25
C-3:Irgacure PAG121(BASF社製)
C-4:NIT(N-ヒドロキシナフタルイミドトリフラート)
C-5:特許第5914663号のB-9
C-6:特許第5650078号のA-1
(その他の添加剤)
X-1:カルド化合物(WR-301、(株)ADEKA製)
X-2:カルド化合物(オグソール CR1030、大阪ガスケミカル(株)製)
X-3:カルド化合物(V-259ME、新日鉄住金化学(株)製)
X-4:カルド化合物(オグソール SC001、大阪ガスケミカル(株)製)
X-5:コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(アロニックス TO-756、東亜合成(株)製)
[実施例1]
上記合成例1で得られた重合体(A-1)を含有する重合体溶液に、重合体(A-1)100部(固形分)に相当する量に対して、エポキシ基含有化合物(B-1)5部、光酸発生剤(C-1)1部、オルトギ酸トリメチル10部、及びオルト安息香酸トリメチル5部を混合し、最終的な固形分濃度が20質量%になるように、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルを1:1の質量比で添加した。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、感放射線性組成物を調製した。
[実施例2~37、比較例1~4]
表2に示す種類及び配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様の手法にて、実施例2~37、比較例1~4の感放射線性組成物をそれぞれ調製した。なお、表2中、「-」は該当する成分を用いなかったことを示す。
<評価>
実施例1~37及び比較例1~4の感放射線性組成物を用いて、以下に説明する手法により下記項目を評価した。評価結果を表3に示す。
[放射線感度]
スピンナーを用い、60℃で60秒間HMDS処理したシリコン基板上に感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって所定量の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液を現像液として用いて、25℃で60秒間、現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定した。最小量の測定値が50J/m以下の場合を「A」、50J/mより大きく100J/m以下の場合を「B」、100J/mより大きい場合を「C」と判定した。
[基板密着性(現像密着性)の評価]
スピンナーを用い、HMDS処理を実施していないシリコン基板上に感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅1~50μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって365nmにおける露光量が400J/mの紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液を現像液として用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、基板上から剥がれずに残っているライン・アンド・スペースパターンの最小幅を測定した。このとき、基板上から剥がれずに残っているライン・アンド・スペースパターンの最小幅を測定した最小幅の測定値が2μm以下の場合を「AA」、2μmより大きく5μm以下の場合を「A」、5μmより大きく10μm以下の場合を「B」、10μmより大きい場合を「C」と判定した。AA、A又はBの場合に基板密着性が良好であり、Cの場合に基板密着性が不良であると評価できる。
[アウトガス特性]
スピンナーを用い、シリコン基板上に感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。更に、230℃に加温したオーブンを用いて30分間焼成し、硬化膜を形成した。続いて、シリコン基板を1cm×5cmの大きさにカットした後、日本分析工業(株)製JTD-505と(株)島津製作所製GC-QP-2010とからなるP&T-GCMS装置を用いて、230℃で15分間ベークを行い、クロマトグラムを得た。硬化膜を用いて測定したクロマトグラムのC18のピーク面積と、別途同装置を用いて測定した標準試料C18のクロマトグラムのピーク面積を用いて、下記数式(I)よりアウトガス量を算出した。なお、「標準試料の導入量」とは、標準試料C18のクロマトグラムを得る際に装置に導入した標準試料の導入量のことである。
アウトガス量(μg)=(硬化膜のクロマトグラムのピーク面積/標準試料のピーク面積)×標準試料の導入量(μg) …(I)
このとき、アウトガス量が5μg以下の場合を「A」、5μgより大きく10μg以下の場合を「B」、10μgより大きい場合を「C」と判定した。
なお、表3中、「-」は、感度評価において解像しなかったため、評価できなかったことを示す。
表3に示されるように、実施例1~37の各感放射線性組成物は、実用特性として放射線感度、基板密着性、及びアウトガスの評価がいずれも良好であり、各種特性のバランスが取れていた。これに対し、比較例1~2は基板密着性及びアウトガスが劣った。比較例3~4は露光によって解像しなかった。

Claims (9)

  1. 表示素子用硬化膜を形成するための感放射線性組成物であって、
    下記式(1)で表される基及び重合性炭素-炭素不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位(I)と、
    オキシラニル基及びオキセタニル基よりなる群から選択される1種以上の基及び重合性炭素-炭素不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位(III)を含む重合体(A-1)であるケイ素含有重合体(A)と、
    1個以上の環構造及び2個以上のエポキシ基を有するエポキシ基含有化合物(B)(ただし、上記ケイ素含有重合体(A)を除く)と、
    光酸発生剤(C)と、
    オルトエステル化合物(E)と、を含有し、
    上記エポキシ基含有化合物(B)が、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、テトラグリシジルアミン型エポキシ化合物、テトラフェニルエタン型エポキシ化合物、水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、及びトリスフェノール型エポキシ化合物よりなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、
    上記光酸発生剤(C)は、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、及びカルボン酸エステル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記表示素子用硬化膜が、層間絶縁膜、平坦化膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜、隔壁、又はバンクである感放射線性組成物。
    Figure 0007397419000038
    (式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキル基、又はフェニル基である。ただし、R、R及びRのうち少なくとも1つは、炭素数1~6のアルコキシ基である。「*」は、結合手であることを表す。)
  2. 上記エポキシ基含有化合物(B)が、下記式(B1)~(B7)で表される化合物より
    なる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する、請求項1に記載の感放射線性
    組成物。
    Figure 0007397419000039
    (式(B3)中、iは0~300の整数である。)
    Figure 0007397419000040
    (式(B4)中、jは0~300の整数である。)
    Figure 0007397419000041
    (式(B5)中、R11は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子又はメチル基を示し、kは0~100の整数である。)
    Figure 0007397419000042
    Figure 0007397419000043
    (式(B7)中、mは0~50の整数である。)
    Figure 0007397419000044
    (式(B8)中、pは0~300の整数である。)
  3. 上記エポキシ基含有化合物(B)の含有量が、上記ケイ素含有重合体(A)100重量部に対して、1質量部以上50質量部以下である、請求項1に記載の感放射線性組成物。
  4. 上記重合体(A-1)が、さらに、無置換マレイミド由来の構造単位又は酸基及び重合性炭素-炭素不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位(II)を含む、請求項1に記載の感放射線性組成物。
  5. 上記ケイ素含有重合体(A)の含有量が、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量に対して20質量%以上である、請求項1に記載の感放射線性組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の感放射線性組成物を用いて塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程と、
    放射線が照射された前記塗膜を現像する工程と、
    現像された前記塗膜を加熱する工程と、
    を含む、硬化膜の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜。
  8. 請求項7に記載の硬化膜を備える半導体素子。
  9. 請求項7に記載の硬化膜を備える表示素子。
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