JP7353039B2 - 曲げ位相安定性に優れる同軸ケーブル - Google Patents
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Description
本発明に係る同軸ケーブル10は、図1に示すように、中心導体11と、中心導体11の外周に設けられる絶縁体12と、絶縁体12の外周に縦添えされる第1金属樹脂テープからなる第1外部導体13aと、第1外部導体13aの外周に横巻きして設けられる金属細線からなる第2外部導体13bと、第2外部導体13bの外周に横巻きして設けられる金属樹脂テープからなる第3外部導体13cと、第3外部導体13cの外周に横巻きして設けられる樹脂テープが融着層を介して第3外部導体13cに接着してなる外被体14とを備えている。
同軸ケーブル10は、図1に示すように、中心導体11と、中心導体11の外周に長手方向に連続して設けられた絶縁体12と、その絶縁体12の外周に設けられた外部導体13(13a~13c)と、その外部導体13の外周に設けられた外被体14とで構成されている。外部導体13は、第1外部導体13aと、第2外部導体13bと、第3外部導体13cとからなるものである。
中心導体11は、同軸ケーブル10の長手方向に延びる1本の素線で構成される、又は複数本の素線を撚り合わせて構成される。素線は、良導電性金属であればその種類は特に限定されないが、銅線、銅合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅アルミニウム複合線等の良導電性の金属導体、又はそれらの表面にめっき層が施されたものを好ましく挙げることができる。高周波用の観点からは、銅線、銅合金線が特に好ましい。めっき層としては、はんだめっき層、錫めっき層、金めっき層、銀めっき層、ニッケルめっき層等が好ましい。素線の断面形状も特に限定されないが、断面形状が円形又は略円形の線材であってもよいし、角形形状であってもよい。
絶縁体12は、中心導体11の外周に、長手方向に連続して設けられている低誘電率の絶縁層である。絶縁体12の材料は特に限定されず、要求されるインピーダンス特性に応じて任意に選択されるが、例えばPFA、ETFE、FEP等の低誘電率のフッ素系樹脂が好ましい。絶縁体12の材料に着色剤を含有させてもよい。絶縁体12の厚さも特に限定されず、要求されるインピーダンス特性に応じて任意に選択されるが、例えば0.15~1.5mm程度の範囲内とすることが好ましい。こうした絶縁体12の形成方法は特に限定されないが、押し出し、塗布等を挙げることができる。絶縁体12の構造形態は、中実構造でも中空構造でも発泡構造であってもよい。中空構造と発泡構造は、構造体内部に空隙を有するので誘電率をさらに小さくすることができる。なお、中空構造は、空隙部を、内環状部、外環状部及び連結部で囲む断面形態等を例示できる。
外部導体13は、絶縁体12の外周又は外周に設けられている。外部導体13は、絶縁体12上に、金属層面を外側にした第1金属樹脂テープを縦添えしてなる第1外部導体13aと、その第1外部導体13a上に、金属細線を横巻きしてなる第2外部導体13bと、その第2外部導体13b上に、金属層面を内側にした第2金属樹脂テープを横巻きしてなる第3外部導体13cとで3重構造に構成されている。このような3重構造からなる外部導体13は、導体断面積が大きくなり、挿入損失を低減することができる。なお、本願では、第1外部導体13aを構成する第1金属樹脂テープにも符号13aを使用し、第2外部導体13bを構成する金属細線にも符号13bを使用し、第3外部導体13cを構成する第2金属樹脂テープにも符号13cを使用することがある。
外被体14は、外部導体13の外周に設けられ、第3外部導体13cと融着することで第2外部導体13b(金属細線の横巻き)を締め付けることができる。外被体14は、絶縁性の融着層付きの樹脂テープの融着層の側を第3外部導体13cの側にして横巻きして形成されている。外被体14を構成する樹脂テープの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、エチレン-四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ素化樹脂共重合体(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂:PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、等を挙げることができる。硬さや伸びの点において、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等である。これらの樹脂テープは通常は単層であるが、目的に応じて2層以上としてもよい。樹脂テープの厚さは、必要な絶縁耐圧を確保できるだけの厚さであれば特に限定されないが、0.004~0.01mm程度の範囲内とすることができる。樹脂テープは着色されていてもよい。着色は、着色剤を樹脂テープ内に含有させたり、着色剤を樹脂テープ上に塗布や印刷したりして設けることができる。樹脂テープを着色するによって、得られた同軸ケーブル10に別々の色を付与でき、その色によって個々の役割を持つ同軸ケーブル10を識別することができる。
曲げ位相は、長さ700mmの同軸ケーブル10を曲率半径50mmの円を形成するように曲げて、26.5GHzの周波数でネットワーク解析して得ることができる。図2は、その測定系体の例を示す説明図である。この測定により得られた曲げ位相は、8(deg)以下であることが好ましい。図2中、符号20は曲げ位相測定方法であり、符号21はネットワークアナライザであり、符号22は測定用ケーブルであり、符号23は測定する同軸ケーブルであり、符号24は測定ケーブルと測定する同軸ケーブルとのコネクタである。
先ず、図1に示す形態の同軸ケーブル10を作製した。中心導体11として、直径0.203mmの銀めっき軟銅線を用いた。次に、中心導体11の外周に厚さ0.21mmのPFA樹脂(デュポン社製)層を押出し形成して外径を0.623mmにした。次に、第1外部導体13a、第2外部導体13b及び第3外部導体13cからなる3重構造の外部導体13を形成した。第1外部導体13aは、厚さ0.004mmのPET基材の上に厚さ0.008mmの銅箔が設けられた幅2.5mmで合計厚さ0.02mmの第1金属樹脂テープを用い、銅箔側が外側(その後に設けられる第2外部導体13bの側)になるようにして0.631mmの幅だけ重なるようにして縦添えした。第2外部導体13bは、直径0.05mmの錫めっき軟銅線(金属細線。TCWと略す。)を38本用いて14mmのピッチで左巻きし、第2外部導体13bを形成した後の外径を0.763mmとした。次に、第3外部導体13cは、厚さ0.004mmのPET基材の上に厚さ0.008mmの銅箔が設けられた幅3mmで合計厚さ0.02mmの第2金属樹脂テープを用い、銅箔側が第2外部導体13bの側になるようにして4mmのピッチで1/2ラップとなるように右巻きした。3重構造の外部導体13を設けた後の外径は0.8mmであった。その後、外被体14として、厚さ0.04mmで幅3mmの融着層付きPETテープ(樹脂テープ)を用い、融着層の側を第2金属樹脂テープ側にして、第2金属樹脂テープの巻き方向とは逆の左巻きとした。そのときの横巻ピッチは2mmで1/2ラップとした。同軸ケーブル10の外径は0.85mmであった。
実施例1において、中心導体11の直径を0.287mmに変更し、第2外部導体13bにおける金属細線の本数を55本及び第2外部導体13bを形成した後の外径を1.01mmに変更し、第3外部導体13cのピッチ4mmで1/3ラップに変更した。それ以外は実施例1と同様にして、外径1.12mmとなる実施例2の同軸ケーブルを作製した。
実施例1において、絶縁体12を厚さ0.21mmの中空構造体に変更し、第2外部導体13bにおける金属細線の本数を35本及び第2外部導体13bを形成した後の外径を0.66mmに変更し、第3外部導体13cを厚さ0.004mmのPET基材の上に厚さ0.008mmの銅箔が設けられた幅3mmで合計厚さ0.02mmの第2金属樹脂テープを用い、1.9mmピッチで1/2ラップに変更し、外被体14として厚さ0.025mmで幅3mmの融着層付きPETテープ(樹脂テープ)を用いて横巻ピッチ1.5mmで1/2ラップとした。なお、中空構造体からなる絶縁体12は、中空構造体形成用のダイスニップルにて350℃でPFA樹脂(デュポン社製)を押出しして、空隙部が、厚さ0.05mmの内環状部、厚さ0.05mmの外環状部及び厚さ0.05mmの連結部で囲まれた断面形態となる中空構造を成形したものであり、空隙率は54%である。それ以外は実施例1と同様にして、外径0.76mmとなる実施例3の同軸ケーブルを作製した。
実施例1において、中心導体11として直径0.127mmの銀めっき軟銅線7本を5mmピッチで撚った外径0.381mmのものに変更し、絶縁体の厚さを0.380mmに変更し、第2外部導体13bにおける金属細線の本数を44本及び第2外部導体13bを形成した後の外径を1.32mmに変更し、第3外部導体13cを厚さ0.004mmのPET基材の上に厚さ0.008mmの銅箔が設けられた幅3.5mmで合計厚さ0.02mmの第2金属樹脂テープを用い、4.0mmピッチで1/3ラップに変更し、外被体14として厚さ0.05mmで幅3.5mmの融着層付きPETテープ(樹脂テープ)を用いて横巻ピッチ4mmで1/3ラップとした。それ以外は実施例1と同様にして、外径1.40mmとなる実施例4の同軸ケーブルを作製した。
実施例1において、中心導体11と第1外部導体13aは同じとし、その第1外部導体13a上に金属細線編組を設けた。金属細線編組は、直径0.05mmの錫めっき軟銅線(金属細線)を持数4、打数16、ピッチ6mmで編組し、外径0.91mmとした。その第2外部導体13b上には、第3外部導体13cを設けずに外被体14を設けた。外被体14は、厚さ0.1mmでFEPをシース押し出しした。押し出し後の同軸ケーブルの外径は1.11mmであった。こうして比較例1の同軸ケーブルを作製した。
実施例1及び比較例1の同軸ケーブルについて、曲げ位相を測定した。測定は、図2に示すような測定系で行った。曲げ位相は、得られた同軸ケーブルを長さ700mmに切断し、コネクタ24を付けた後の同軸ケーブル23を曲率半径50mmの円を形成するように曲げて、26.5GHzの周波数でネットワーク解析して得た。ネットワーク解析は、ネットワークアナライザ21(株式会社KEYSIGHT製)を用い、測定ケーブル22とコネクタ25はネットワークアナライザの附属のものを使用した。ネットワーク解析では、同軸ケーブル23に高周波正弦波信号を入射した場合の反射測定と伝送測定とで、信号の振幅と位相の変化を測定することができる。変化した振幅及び位相の測定結果は、ネットワークアナライザ内部で演算され、同軸ケーブル特性(減衰量、位相)を得ることができる。
11 中心導体
12 絶縁体
13 外部導体
13a 第1外部導体(第1金属樹脂テープ)
13b 第2外部導体(金属細線)
13c 第3外部導体(第2金属樹脂テープ)
14 外被体
20 曲げ位相測定方法
21 ネッドワークアナライザ
22 測定用ケーブル
23 測定する同軸ケーブル
24 コネクタ
Claims (5)
- 中心導体と、該中心導体の外周に設けられる絶縁体と、該絶縁体の外周に縦添えされる第1金属樹脂テープからなる第1外部導体と、該第1外部導体の外周に横巻きして設けられる金属細線からなる第2外部導体と、該第2外部導体の外周に横巻きして設けられる第2金属樹脂テープからなる第3外部導体と、該第3外部導体の外周に横巻きして設けられる融着層付き樹脂テープが該融着層の側を前記第3外部導体の側にして該第3外部導体に接着固定してなる外被体と、を備え、
前記第1外部導体は、0.1~3mmの範囲内の幅で一部重なるように前記絶縁体に縦添えされており、
前記融着層付き樹脂テープは、前記融着層で接着固定された前記樹脂テープが1/5~1/2のラップで重ね巻きされた上で、その下に位置する前記第2金属樹脂テープを前記融着層を介して接着固定して、前記第1~第3外部導体を横巻して覆って一体的な構造形態とする、ことを特徴とする同軸ケーブル。 - 前記第2外部導体は、10~20mmの範囲内のピッチで横巻きされている、請求項1に記載の同軸ケーブル。
- 前記第3外部導体は、1.5~5mmの横巻ピッチで1/5~1/2のラップで横巻きされている、請求項1又は2に記載の同軸ケーブル。
- 前記外被体は、1.5~5mmの横巻ピッチで横巻きされている、請求項1~3のいずれか1項に記載の同軸ケーブル。
- 長さ700mの前記同軸ケーブルを曲率半径50mmの円を形成するように曲げて、26.5GHzの周波数でネットワーク解析して得られた曲げ位相が、8(deg)以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の同軸ケーブル。
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