JP7343750B2 - 反射防止膜及びその製造方法、及びそれを用いた光学部材 - Google Patents
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Description
前記無機緻密層の最外層がフッ化物であり、
前記シリカ微粒子層は表面にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有し、屈折率が1.35~1.50であって、空隙率が5~25%であり、水の接触角が70~115°であることを特徴とする。
前記無機緻密層の最外層がフッ化物であり、
前記シリカ微粒子層は表面にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有し、屈折率が1.35~1.50であって、空隙率が5~25%であり、
前記シリカ微粒子層は表面にシラノール基をさらに有し、
前記シリカ微粒子層の上にベタイン構造とシラノール基を有する親水性膜が形成されており、
水の接触角が15°未満であることを特徴とする。
図1は本発明の一実施例による撥水性反射防止膜を備えた光学素子を示す図である。図1に示す光学素子は、基材10と、基材10の表面に形成された反射防止膜20とを有する。反射防止膜20は、基材10から順に、最外層がフッ化物である無機緻密層21と、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有するシリカ微粒子層22とが形成されている。
図1に示す基材10は平板状であるが、本発明はこれに限定されず、レンズ状でも良く、光学素子に用いる基材であれば適用可能である。例えば、表面に曲率を有するレンズ、プリズム、ライトガイド、フィルム又は回折素子でも良い。基材20は、波長587.56 nmのHe光源のd線(以下、単に「d線」とする。)に対して屈折率が1.45~1.95であるのが好ましい。
無機緻密層21は、少なくとも1層以上の緻密な無機層からなり、最外層はフッ化物である。フッ化物としては、例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ビスマス(BiF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化セリウム(CeF3)、チオライト(Na5Al3F14)、クライオライト(Na3AlF6)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化鉛(PbF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ネオジム(NdF3)又はフッ化ナトリウム(NaF)が挙げられるが、フッ化マグネシウム(MgF2)が特に好ましい。
シリカ微粒子層22はシリカ微粒子からなる多孔質層であり、少なくとも一部のシリカ微粒子に骨格を形成するケイ素原子にアルキル基及び/又はアルケニルが結合してなるアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基が存在している。そのため、シリカ微粒子層22の表面側に疎水性のアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基が配向することにより、反射防止膜20に撥水性の機能が付与される。
(4-1) 無機緻密層の形成方法
無機緻密層21は、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD法やCVD法の乾式プロセス、ゾル-ゲル法やSOG(Spin on glass)等の湿式プロセスにより形成することができる。光学特性や経済性の面から、真空蒸着法が特に好ましい。
シリカ微粒子層22は、湿式法により形成するのが好ましく、特にゾル-ゲル法が好ましい。すなわち、メチルトリアルコキシシラン等の3官能性アルコキシシランやテトラエトキシシラン等の4官能性アルコキシシランの加水分解重縮合物から得られた塗工液を塗布、乾燥及び焼成することにより形成する。ゾル-ゲル法は、例えば、国際公開第2002/018982号、国際公開第2006/030848号、特開2006-3562号、特開2006-215542号、特開2007-94150号、特開2008-225210号、特開2008-233403号、特開2009-75583号、特開2009-258711号、「ジャーナル・オブ・ゾルゲル・サイエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Sol-Gel Science and Technology)」,2000年,第18巻,219~224頁等に記載の方法により得ることができる。
(a) アルコキシシラン
出発原料のアルコキシシランは、テトラアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。4官能のアルコキシシランを用いた場合、比較的大きな粒径を有するコロイド状シリカ粒子のゾルを得ることができる。テトラアルコキシシランは、Si(OR)4[Rは炭素数1~5のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、又は炭素数1~4のアシル基(アセチル等)]により表されるものが好ましい。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン等が挙げられる。中でもテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランが好ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコールが好ましく、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノールがより好ましい。
アルコキシシランに有機溶媒、酸性触媒及び水を添加することにより、加水分解重縮合が進行する。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。酸性触媒を含有するゾルは10~90℃で約15分~24時間加熱・撹拌するのが好ましい。加熱・撹拌により加水分解重縮合が進行する。
(a) アルコキシシラン
出発原料は、アルキル基及び/又はアルケニル基が修飾されたアルコキシシランのモノマー又はオリゴマー(縮重合物)が好ましい。アルキル基及び/又はアルケニル基はアルコキシシランに1つ結合しても良いし、アルキル基に関しては2つ結合しても良い。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコールが好ましく、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノールがより好ましい。
アルコキシシランに有機溶媒、酸性触媒及び水を添加することにより、加水分解重縮合が進行する。酸性触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸等が挙げられる。酸性触媒を含有するゾルは10~90℃で約15分~24時間加熱・撹拌するのが好ましい。加熱・撹拌により加水分解重縮合が進行する。
上記のようにして得られた第一のゾル及び第二のゾルを混合し、塗工液を作製する。第一及び第二の酸性ゾルを混合した後、10~30℃の室温で10分~3時間程度撹拌するのが好ましい。
塗工液を基材の表面に塗布する方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。レンズのような三次元構造物に塗布する場合、ディッピング法が好ましい。ディッピング法における引き上げ速度は約0.1~10 mm/秒であるのが好ましい。塗工液中のシリカの濃度は0.05~10質量%が好ましい。
塗布膜の焼成条件は所望の空隙率及び撥水度に応じて適宜選択する。シリカ微粒子層の空隙率(屈折率)は、シリカゾルを成膜後に焼成して焼き固める温度で制御できる。またシリカゾルの焼成温度が高いと、水酸基の残留が小さくなり、撥水度が大きくなる。焼成温度は250~400℃であるのが好ましい。焼成温度が250℃未満であると、耐擦傷性及び撥水性が不十分である。焼成温度が400℃超であると、シリカ微粒子層の空隙率が小さくなり、屈折率が大きくなる上に、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基のアルキル基及び/又はアルケニル基の焼失が起こり、撥水効果が低減する。焼成温度は300~350℃であるのがより好ましい。
図2は本発明の他の実施例による親水性反射防止膜を備えた光学素子を示す図である。図2に示す光学素子は、基材10と、基材10の表面に形成された反射防止膜30とを有する。反射防止膜30は、基材10から順に、最外層がフッ化物である無機緻密層31と、アルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基及びシラノール基を有するシリカ微粒子層32と、シリカ微粒子層32の表面に形成されたベタイン構造とシラノール基を有する親水性膜33とを有する。
基材10及び無機緻密層31は第一の実施態様の基材10及び無機緻密層21と同じものを用いることができる。
シリカ微粒子層32は、無機緻密層31と接する面と反対側の外表面にシラノール基を有する。無機緻密層31は外表面にシラノール基を有する以外は第一の実施態様の無機緻密層21と同じものを用いることができる。シリカ微粒子層32の外表面側に骨格として存在するケイ素原子にヒドロキシ基が結合してなるシラノール基が設けられている。それにより、ベタイン構造とシラノール基を有する親水性膜33との優れた密着性が得られる。
親水性膜33は、優れた親水性を発揮し得るベタイン構造と、シリカ微粒子層32との密着性に優れた末端シラノール基とを有する。ベタイン構造は、親水性ポリマーとして一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばベタイン基を含むメタクリル酸エステルが挙げられる。ベタイン基は、例えばカルボキシベタイン基が挙げられる。
(4-1) 無機緻密層の形成方法
無機緻密層31は第一の実施態様の無機緻密層21と同様に形成することができる。
シリカ微粒子層32は、第一の実施態様のシリカ微粒子層22と同様に形成した後、外表面にシラノール基を形成する工程を行う。シラノール基の形成方法は、例えば、シリカ微粒子層32の外表面に酸素プラズマを照射することにより、外表面のアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基のSi-C結合を切断し、そこに新たにシラノール基を形成する方法が挙げられる。酸素プラズマは、例えばプラズマクリーナーを用いて、酸素を50~100cc/分の流量で供給しながら、10~100 Paの減圧下、100~1500 Wの照射強度で0.5~10分間酸素プラズマを照射するのが好ましい。
親水性膜形成用ゾルを塗工液としてシリカ微粒子層32の表面に塗布する。塗布方法としては、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、印刷法等が挙げられる。基材10がレンズのような三次元構造物に塗布する場合、ディッピング法が好ましい。ディッピング法における引き上げ速度は約0.1~10 mm/秒であるのが好ましい。
[1-1 緻密層の形成]
BK7ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.518)上に、表1に示す層構成になるように、電子ビーム式の蒸着源を有する真空蒸着装置を用いて、真空蒸着法によりMgF2単層の緻密層を形成した。
100 mlの二口ナスフラスコにテトラエトキシシラン3.91 gとpH2の塩酸水溶液1.35 gを入れ、アリーン冷却器をつけて、60℃で2時間撹拌・還流した。こうして得られたゾルに、エタノール4.62 gと2-プロパノール10.73 gを添加し10分間撹拌して、テトラエトキシシランが加水分解重合したゾルAを得た。続いて、新たに100 mlの二口ナスフラスコを用意し、そこにメチルトリエトキシシラン10.3 gとpH3の酢酸水溶液3.04 gを入れ、アリーン冷却器をつけて、60℃で2時間撹拌・還流した。こうして得られたゾルに、エタノール1.08 g、2-プロパノールを2.52 gを添加し10分間撹拌して、メチルトリエトキシシランが加水分解重合したゾルBを得た。これらとは別に、2-プロパノール64.71 gと1-ブタノール7.42 gを100 mlディスポビーカーに入れて撹拌し、予め撥水性シリカゾルの展開溶媒を作製した。この展開溶媒に、上記で作製したゾルAを4.12 g、ゾルBを3.33 g添加して、更に10分間撹拌して、撥水性シリカゾルを作製した。
作製した撥水性シリカゾルを、MgF2膜が真空蒸着されたBK7ガラス基板上に、引き上げ速度1mm/秒でディップコートしてコーティングし、得られた成膜基板をイナートオーブンに投入し、200℃で1.5時間焼成し、図1に示す表面にメチルシリル基を有するシリカ微粒子層が成膜された撥水性反射防止膜20を作製した。
焼成温度を350℃にした以外は実施例1と同様の工程で、撥水性反射防止膜20を作製した。
イナートオーブンの代わりに電気炉を使用し、焼成温度を500℃にした以外は実施例1と同様の工程で、撥水性反射防止膜20を作製した。
ガラス基板をFK5ガラス平板(直径:30 mm、屈折率:1.489)に変更し、緻密層を表1に示す最外層はMgF2膜である6層緻密層に変更した以外は実施例2と同様に工程で、撥水性反射防止膜20を作製した。
実施例2と同様の工程で作製した撥水性反射防止膜20に、ヤマト科学(株)製のプラズマクリーナー(型番:PDC210)を用いて、酸素を100 cc/分の流量で供給しながら、48 Paの減圧下、500 Wの照射強度で5分間酸素プラズマを照射した。この成膜基板を、シラノール基を有するベタイン基含有親水性ポリマーからなる親水膜形成用ゾル(LAMBIC-771W,大阪有機化学工業(株)製)を純水で2倍希釈した溶液中に、引き上げ速度3.0 mm/秒でディップコートし、更にその成膜基板を120℃で30分加熱後、純水でリンスすることで、親水性反射防止膜30を作製した。
実施例3と同様の工程で作製した撥水性反射防止膜20を用いた以外は実施例4と同様の工程で、親水性反射防止膜30を作製した。
実施例1の[1-1]で作製した、MgF2膜がBK7ガラス基板上に真空蒸着された基板を比較例1のサンプルとした。
[(1-1) 有機修飾シリカ湿潤ゲルの作製(TMCSによる表面修飾)]
(1-1-1) シリカ湿潤ゲルの作製
扶桑化学工業(株)製のメチルシリケート51(テトラメトキシシランの平均4量体)5.90 gと和光純薬工業(株)製のメタノール(特級)50.55 gの混合物に和光純薬工業(株)製の28%アンモニア(特級)から調整した0.10 Nのアンモニア水3.20 gを添加し10分間攪拌した。その後、室温にて3日間静置して加水分解重縮合反応を促進させエージングした。
工程(1-1-1) で作製したシリカ湿潤ゲルを2cm角程度の大きさに切り出し、それを結晶皿にとり、和光純薬工業(株)製のエタノール(特級)を添加し、マグネティックスターラーを用いて300 rpmでゆっくり1日間攪拌して、シリカ湿潤ゲル中の溶媒をエタノールに置換した。置換後デカンテーションすることで、エタノール溶媒置換されたシリカ湿潤ゲルを得た。溶媒置換に用いたエタノールは、シリカ湿潤ゲル20 gに対して100 mlの割合で添加した。
工程(1-1-2) で作製した湿潤ゲル60 gを結晶皿にとり、東京化成工業(株)製のトリメチルクロロシランと和光純薬工業(株)製の4-メチル-2-ペンタノン(特級)からなる混合液体を添加し、マグネティックスターラーを用いて300 rpmでゆっくり1日間攪拌して、シリカ湿潤ゲル中の酸化ケイ素末端を有機修飾した。有機修飾後デカンテーションすることで、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。トリメチルクロロシランと4-メチル-2-ペンタノンの混合液の作製は、体積比にして5ml:95 mlの割合で混合した。シリカ湿潤ゲルの有機修飾は、シリカ湿潤ゲル20 gに対して、トリメチルクロロシランと4-メチル-2-ペンタノンの混合液が100 mlの割合で添加した。
工程(1-1-3) で作製した湿潤ゲル60 gを結晶皿にとり、和光純薬工業(株)製の4-メチル-2-ペンタノン(特級)を添加し、マグネティックスターラーを用いて300 rpmでゆっくり1日間攪拌して、有機修飾シリカ湿潤ゲルを洗浄した。その後、デカンテーションすることで、有機修飾剤及び副生成物の除去された有機修飾湿潤ゲルを得た。洗浄に用いた4-メチル-2-ペンタノンは、シリカ湿潤ゲル20 gに対して100 mlの割合で添加した。
工程(1-1) で作製した有機修飾シリカ湿潤ゲルを100 mlディスポビーカーにとり、和光純薬工業(株)製の4-メチル-2-ペンタノン(特級)を添加し、マグネティックスターラーを用いて700 rpmで攪拌しながら(株)日本精機製作所の超音波分散装置(定格出力:600 W、発振周波数:19.5 KHz ±1KHz)で2時間超音波分散した。分散溶液の濃度は、固形分濃度にして3.5 wt%になるように調整し、シリカ多孔質膜作製用塗工液を得た。分散溶液の固形分濃度は、有機修飾シリカ湿潤ゲルを120℃の送風定温恒温機(イナートオーブン)に2時間入れて乾燥したときの、乾燥前後の質量から算出した固形分から調製した。
実施例1の工程[1-1]で作製したBK7ガラス基板上に真空蒸着されたMgF2膜上に、上記工程(1-2) で作製したシリカ多孔質膜作製用塗工液をスピンコート法により塗布し、自然乾燥して比較例2のサンプルを得た。
比較例2で作製したサンプルを電気炉に投入し、400℃で1.5時間焼成することで、比較例3のサンプルとした。
実施例1~5,参考例1及び比較例2及び3で作製したサンプルについて、分光反射率の測定を行った。分光反射率は、レンズ反射率測定機(型番:USPM-RU、オリンパス株式会社製)を使用して、380~780 nmの波長域について入射角0°で測定した。また上記実施例,参考例及び比較例について、基材の分光反射率及び基材にMgF2単層を形成した場合の分光反射率も同様の方法で測定した。得られた結果を図3~図10に示す。
実施例,参考例及び比較例で作製したサンプルのHAZE値(曇価)を(株)村上色彩技術研究所_HM-150を用いて測定し、純水の接触角測定を協和科学(株)製接触角測定装置を用いて測定した。得られた結果を表2に示す。
基材表面の反射防止膜を、1kg/cm2の圧力をかけながら3600 mm/分の速度で20 mm×20 mmの不織布(商品名「スピックレンズワイパー」、小津産業(株)製)で30回擦り、表面の傷及び剥離状況を目視で確認し以下の基準で評価した。得られた結果を表2に示す。
<判定基準>
反射防止膜の一部に傷は付いたが剥離はしなかった・・・○
反射防止膜に傷が付き一部剥離または反射色が変化した・・・△
反射防止膜が全部剥離した・・・×
20,30・・・反射防止膜
21,31・・・無機緻密層
22,32・・・シリカ微粒子層
33・・・親水性膜
Claims (17)
- 基材の表面上に形成される1層以上からなる無機緻密層と、その上に形成されたシリカ微粒子層とを有する反射防止膜であって、
前記無機緻密層の最外層がフッ化物であり、
前記シリカ微粒子層は表面にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有し、屈折率が1.35~1.50であって、空隙率が5~25%であり、
水の接触角が70~115°であることを特徴とする反射防止膜。 - 請求項1に記載の反射防止膜において、前記シリカ微粒子層の表面のケイ素原子の20~80%がアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を構成していることを特徴とする反射防止膜。
- 基材の表面上に形成される1層以上からなる無機緻密層と、その上に形成されたシリカ微粒子層とを有する反射防止膜であって、
前記無機緻密層の最外層がフッ化物であり、
前記シリカ微粒子層は表面にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有し、屈折率が1.35~1.50であって、空隙率が5~25%であり、
前記シリカ微粒子層は表面にシラノール基をさらに有し、
前記シリカ微粒子層の上にベタイン構造とシラノール基を有する親水性膜が形成されており、
水の接触角が15°未満であることを特徴とする反射防止膜。 - 請求項3に記載の反射防止膜において、前記親水性膜の光学膜厚は5nm以下であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1~4のいずれかに記載の反射防止膜において、前記シリカ微粒子層の光学膜厚は20~100 nmであることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1~5のいずれかに記載の反射防止膜において、前記フッ化物が、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ビスマス(BiF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化セリウム(CeF3)、チオライト(Na5Al3F14)、クライオライト(Na3AlF6)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化鉛(PbF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ネオジム(NdF3)又はフッ化ナトリウム(NaF)であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項1~6のいずれかに記載の反射防止膜において、前記フッ化物以外の前記無機緻密層の材料が、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2、ZnO、Ta2O5、Nb2O5、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、Y2O3、Pr6O11及びSb2O3からなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする反射防止膜。
- 請求項3又は4に記載の反射防止膜を製造する方法であって、
基材上に無機緻密層を成膜し、
前記無機緻密層の上にアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を有するシリカ微粒子層を湿式プロセスで成膜し、焼成した後、
酸素プラズマを照射することにより、前記シリカ微粒子層の表面にシラノール基を形成し、
前記シリカ微粒子層の表面にベタイン構造とシラノール基を有する親水性部材を塗布し、焼成することにより、前記親水性膜を形成することを特徴とする反射防止膜の製造方法。 - 請求項8に記載の反射防止膜の製造方法において、
焼成した後酸素プラズマを照射する前に、前記無機緻密層の上に成膜するシリカ微粒子層は、表面のケイ素原子の20~80%がアルキルシリル基及び/又はアルケニルシリル基を構成していることを特徴とする反射防止膜の製造方法。 - 請求項8又は9に記載の反射防止膜の製造方法において、前記シリカ微粒子層の焼成を150℃以上400℃以下の温度で行うことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 請求項10に記載の反射防止膜の製造方法において、前記親水性膜の焼成を80℃以上130℃未満の温度で行うことを特徴とする反射防止膜の製造方法。
- 基材と、前記基材の表面上に形成された請求項1~7のいずれかに記載の反射防止膜とを有することを特徴とする光学素子。
- 請求項12に記載の光学素子において、前記基材の屈折率が1.45~1.95であることを特徴とする光学素子。
- 請求項12又は13に記載の光学素子において、ヘーズ値が0.3%以下であることを特徴とする光学素子。
- 請求項12~14のいずれかに記載の光学素子において、前記基材は、ガラス、石英、シリコン又はカルコゲナイドからなることを特徴とする光学素子。
- 請求項12~15のいずれかに記載の光学素子において、前記基材は平板状又はレンズ状であることを特徴とする光学素子。
- 請求項12~16のいずれかに記載の光学素子において、波長域が300 nm~2000 nmの光線に使用されることを特徴とする光学素子。
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