JP7238866B2 - 含フッ素エーテル化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
・環化体が表面処理剤に残留すると、環化体は基材に付着しないため、基材の表面に部分的に表面層が形成されない部分が生じる。
・低分子量体が表面処理剤に残留すると、低分子量体は耐摩擦性が不充分なため、表面層の耐摩擦性が低下する。
・高分子量体が表面処理剤に残留すると、高分子量体はたとえば真空蒸着をする際に飛びにくいため、均一な表面層を形成しにくい。
・目的の含フッ素エーテル化合物と環化体とは相対移動距離が近いため、環化体を分離しにくい。
・目的の含フッ素エーテル化合物と、環化体、低分子量体、高分子量体等を分離するのに時間がかかり、生産性が悪い。
・液状媒体を多量に消費するため、生産コストが高くなる。
・シリカゲルを用いているため、生産コストが高くなる。
・シリカゲルに目的の含フッ素エーテル化合物が吸着するため、目的の含フッ素エーテル化合物の収率が悪い。
[1]液体の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物(ただし、前記処理対象物は液状媒体を含まない。)を、前記液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記溶解用液状媒体に溶解したものと溶解しなかったものとに分離することを特徴とする含フッ素エーテル化合物の製造方法。 [2]前記処理対象物と前記溶解用液状媒体とを混合し、前記一部の含フッ素エーテル化合物が前記溶解用液状媒体に溶解した溶液と、前記溶解用液状媒体に溶解しなかった前記処理対象物の残部とを分離することによって、前記処理対象物から前記一部の含フッ素エーテル化合物を分離する、[1]の製造方法。
[3]前記液体の含フッ素エーテル化合物が、前記液体の含フッ素エーテル化合物の1種として環状含フッ素エーテル化合物を含み、前記環状含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記処理対象物から前記環状含フッ素エーテル化合物を分離する、[1]または[2]の製造方法。
[4]前記液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記処理対象物から前記一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を分離する、[1]または[2]の製造方法。
[5]前記液体の含フッ素エーテル化合物が、前記液体の含フッ素エーテル化合物の1種として環状含フッ素エーテル化合物を含み、前記環状含フッ素エーテル化合物と前記環状含フッ素エーテル化合物以外の含フッ素エーテル化合物のうち一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物とを溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記処理対象物から前記環状含フッ素エーテル化合物および前記一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を分離する、[1]または[2]の製造方法。
[6]前記一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物が、低分子量領域の含フッ素エーテル化合物である、[4]または[5]の製造方法。
[7]前記溶解用液状媒体のハンセン溶解度パラメータの分散項dDが12~20であり、水素結合項dHが0~28である、[1]~[6]のいずれかの製造方法。
[8]前記液体の含フッ素エーテル化合物が、末端に-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)X(ただし、R2は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、Xはハロゲン原子である。)を有する極性基含有含フッ素エーテル化合物を含む、[1]~[7]のいずれかの製造方法。
[9]前記極性基含有含フッ素エーテル化合物が、下式1で表される化合物である、[8]の製造方法。
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-B1 式1
ただし、A1は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基またはB1であり;Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり;R1は、炭素数1~6のアルキレン基であり;m1は、2以上の整数であり;m2は、0以上の整数であり;m1+m2は、2~200の整数であり;(Rf1O)m1は、2種以上のRf1Oからなるものであってもよく;(R1O)m2は、m2が2以上の整数のときに2種以上のR1Oからなるものであってもよく;B1は、-Rf2CH2-OR2、-Rf2-C(O)OR2、-Rf2-C(O)N(R2)2または-Rf2-C(O)Xであり;Rf2は、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり;R2は、水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり;Xは、ハロゲン原子である。
[10]前記液体の含フッ素エーテル化合物が、環状含フッ素エーテル化合物をさらに含む、[8]または[9]の製造方法。
[11]末端に-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)Xを有する前記含フッ素エーテル化合物から、前記末端に連結基を介して加水分解性シリル基を有する加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物を得る、[8]~[10]のいずれかの製造方法。
[12]前記加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物が、下式2で表される化合物である、[11]の製造方法。
A2-O-(RF1O)m-B2 式2
ただし、A2は、炭素数1~20のペルフルオロアルキル基またはB2であり;RF1は、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり;mは、2~200の整数であり;(RF1O)mは、2種以上のRF1Oからなるものであってもよく;B2は、下式g1~式g7のいずれかで表される基である。
-RF2-(X1)p-Q1-SiRnL3-n 式g1
-RF2-(X2)r-Q21-N[-Q22-SiRnL3-n]2 式g2
-RF2-[C(O)N(R31)]s-Q31-(O)t-C[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]3 式g3
-RF2-Q41-Si[-Q42-SiRnL3-n]3 式g4
-RF2-[C(O)N(R5)]v-Q51-Z[-Q52-SiRnL3-n]w 式g5
-RF2-Q61-G(R6)[-Q62-SiRnL3-n]2 式g6
-RF2-Q71-[CH2C(R71)(-Q72-SiRnL3-n)]y-R72 式g7
ただし、RF2は、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり;Rは、水素原子または1価の炭化水素基であり;Lは、加水分解性基であり;nは、0~2の整数である。
式g1において、X1は、エーテル性酸素原子または-C(O)N(R1)-(ただし、NはQ1に結合する。)であり、R1は、水素原子またはアルキル基であり、pは、0または1であり、Q1は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(X1)pと結合する側の末端に2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基である。
式g2において、X2は、エーテル性酸素原子、-NH-または-C(O)N(R2)-(ただし、NはQ21に結合する。)であり、R2は、水素原子またはアルキル基であり、rは、0または1(ただし、Q21が単結合の場合は0である。)であり、Q21は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-NH-、-C(O)-、-C(O)O-もしくは-OC(O)-を有する基であり、Q22は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-NH-もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、2個の[-Q22-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g3において、R31は、水素原子またはアルキル基であり、sは、0または1であり、Q31は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、tは、0または1(ただし、Q31が単結合の場合は0である。)であり、uは、0または1であり、Q32は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(O)uと結合する側の末端に-C(O)N(R32)-、2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基であり、R32は、水素原子またはアルキル基であり、3個の[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g4において、Q41は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Q42は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、3個の[-Q42-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g5において、R5は、水素原子またはアルキル基であり、vは、0または1であり、Q51は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Zは、(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基であり、Q52は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、wは、2~7の整数であり、w個の[-Q52-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g6において、Q61は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Gは、炭素原子またはケイ素原子であり、R6は、水酸基またはアルキル基であり、Q62は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、2個の[-Q62-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g7において、Q71は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、R71は、水素原子またはアルキル基であり、Q72は、単結合またはアルキレン基であり、R72は、水素原子またはハロゲン原子であり、yは、1~10の整数であり、2~10個の[-Q72-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
また、式g1で表される基を基g1と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本明細書における以下の用語の意味は、以下の通りである。
「含フッ素エーテル化合物」は、炭素原子に結合したフッ素原子およびエーテル性酸素原子を有する化合物を意味する。
オキシフルオロアルキレン基またはオキシアルキレン基の化学式は、その酸素原子をフルオロアルキレン基またはオキシアルキレン基の右側に記載して表す。
「エーテル性酸素原子」とは、炭素-炭素原子間においてエーテル結合(-O-)を形成する酸素原子を意味する。
「加水分解性シリル基」とは、加水分解反応してシラノール基(Si-OH)を形成し得る基を意味する。たとえば、式1中のSiRnL3-nである。
「表面層」とは、基材の表面に形成される層を意味する。
「ハンセン溶解度パラメータ」は、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、ハンセン(Hansen)が分散項dD、極性項dP、水素結合項dHの3成分に分割し、3次元空間に示したものである。分散項dDは、分散力のよる効果を示す。極性項dPは、双極子間力による効果を示す。水素結合項dHは、水素結合力の効果を示す。ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。
Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
ハンセン溶解度パラメータの文献値が知られていない液状媒体については、コンピュータソフトウエア(Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP))を用いて、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算できる。本発明においては、データベースに登録されている液状媒体についてはその値を、登録されていない液状媒体についてはHSPiPバージョン3による推算値を用いる。また、混合液状媒体については、各液状媒体のハンセン溶解度パラメータを体積平均した値を用いる。
含フッ素エーテル化合物の「数平均分子量」は、NMR分析法を用い、下記の方法で算出される。
1H-NMRおよび19F-NMRによって、末端基を基準にしてオキシフルオロアルキレン基の数(平均値)を求めて算出される。末端基は、たとえば式2中のA2のペルフルオロアルキル基またはB2のSiRnL3-nである。
本発明の含フッ素エーテル化合物の製造方法は、液体の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物(ただし、処理対象物は液状媒体を含まない。)を、液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、溶解用液状媒体に溶解したものと溶解しなかったものとに分離する方法である。
液体の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物および溶解用液状媒体を撹拌槽1に入れ、撹拌機等を用いて撹拌することによって、処理対象物と溶解用液状媒体とを混合する。混合時には、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。
処理対象物と溶解用液状媒体とを混合した後、混合物を分離槽2に移し、液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物が溶解用液状媒体に溶解した溶液と処理対象物の残部とが二層に分離するまで静置する。二層に分離した後、溶液と処理対象物の残部とをそれぞれ回収する。
回収された溶液を蒸留装置3に移し、蒸留によって一部の含フッ素エーテル化合物と溶解用液状媒体とに分離する。回収された溶解用液状媒体は、撹拌槽1に戻して再利用してもよい。回収された一部の含フッ素エーテル化合物は、必要に応じて処理対象物として撹拌槽1に戻してもよい。
回収された処理対象物の残部は、必要に応じて処理対象物として撹拌槽1に戻してもよい。
処理対象物と溶解用液状媒体との比率は、溶解用液状媒体の種類、一部の含フッ素エーテル化合物の種類または分子量等に応じて適宜決定すればよい。
溶液と処理対象物の残部とを分離する際の温度(以下、「分離時温度」と記す。)は、液体の含フッ素エーテル化合物および溶解用液状媒体が液体を維持できる温度であればよい。
溶液から一部の含フッ素エーテル化合物および溶解用液状媒体を回収する際には、蒸留、カラムクロマトグラフィ、膜分離、吸着剤透過、ろ過等の1種または2種以上の組み合わせを採用してもよい。
処理対象物は、液体の含フッ素エーテル化合物を含む。処理対象物は、液体の含フッ素エーテル化合物以外の成分(以下、「他の成分」とも記す。)を含んでいてもよい。ただし、処理対象物は液状媒体を含まない。
他の成分としては、液体の含フッ素エーテル化合物を合成するときに用いた、含フッ素エーテル化合物以外の原材料(触媒等に用いた金属化合物等に由来する金属塩等)、液体の含フッ素エーテル化合物を合成するときに副生した、含フッ素エーテル化合物以外の副生成物等が挙げられる。
液体の含フッ素エーテル化合物は、鎖状含フッ素エーテル化合物以外の含フッ素エーテル化合物(以下、「他の含フッ素エーテル化合物」とも記す。)を含んでいてもよい。
他の含フッ素エーテル化合物としては、液体の含フッ素エーテル化合物を合成するときに副生する含フッ素エーテル化合物(以下、「副生含フッ素エーテル化合物」とも記す。)、液体の含フッ素エーテル化合物を合成するときに原材料として用いた含フッ素エーテル化合物(単量体等)、単量体を合成したときに残存した含フッ素エーテル化合物等が挙げられる。
副生含フッ素エーテル化合物としては、原材料の単量体が複数縮合した環化体(たとえば、二量体、二十量体)、原材料の単量体の不飽和基に水素原子やフッ素原子が付加した飽和体等が挙げられる。
CHF2CF2OCF2CF2CF2CH2OH、
CHF2CHFOCF2CF2CF2CH2OH。
CHF2CF2CF2OCF(CF3)CH2OH、
CHF2CF2CF2OCF2CH2OH。
本発明の製造方法において処理対象物から得ることを目的とする含フッ素エーテル化合物としては、下記のものが挙げられる。
・処理対象物に含まれる液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物が溶解用液状媒体に溶解した溶液と、溶解用液状媒体に溶解しなかった処理対象物の残部とを分離して得られた処理対象物の残部に含まれる液体の含フッ素エーテル化合物。
・処理対象物に含まれる液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物が溶解用液状媒体に溶解した溶液と、溶解用液状媒体に溶解しなかった処理対象物の残部とを分離して得られた溶液に含まれる一部の含フッ素エーテル化合物。
溶解用液状媒体に溶解させる一部の含フッ素エーテル化合物としては、副生含フッ素エーテル化合物、および液体の含フッ素エーテル化合物に含まれる一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物のいずれか一方または両方が挙げられる。
一部の含フッ素エーテル化合物として溶解用液状媒体に溶解させる副生含フッ素エーテル化合物としては、環化体が好ましい。
一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物は、低分子量体であっても、高分子量体であっても、目的の分子量の含フッ素エーテル化合物であってもよい。
方法I:環化体を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、処理対象物から環化体を分離する方法。
方法II:一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、処理対象物から一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を分離する方法。
方法IIa:低分子量体を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、低分子量体が含まれる溶液と、低分子量体以外の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物の残部とを分離する方法。
方法IIb:高分子量体を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、高分子量体が含まれる溶液と、高分子量体以外の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物の残部とを分離する方法。
方法IIc:高分子量体以外の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、高分子量体以外の含フッ素エーテル化合物が含まれる溶液と、高分子量体が含まれる処理対象物の残部を得る方法。
方法IId:低分子量体以外の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、低分子量体以外の含フッ素エーテル化合物が含まれる溶液と、低分子量体が含まれる処理対象物の残部を得る方法。
・方法IIaによって得られた高分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物の残部から、方法IIbによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる処理対象物の残部を得る。
・方法IIaによって得られた高分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物の残部から、方法IIcによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる溶液の残部を得る。
・方法IIbによって得られた低分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物の残部から、方法IIaによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる処理対象物の残部を得る。
・方法IIbによって得られた低分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物の残部から、方法IIdによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる溶液を得る。
・方法IIcによって得られた低分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む溶液から、溶解用液状媒体を除去し、次いで方法IIaによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる処理対象物の残部を得る。
・方法IIcによって得られた低分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む溶液から、溶解用液状媒体を除去し、次いで方法IIdによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる溶液を得る。
・方法IIdによって得られた高分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む溶液から、溶解用液状媒体を除去し、次いで方法IIbによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる処理対象物の残部を得る。
・方法IIdによって得られた高分子量体および目的の分子量の含フッ素エーテル化合物を含む溶液から、溶解用液状媒体を除去し、次いで方法IIcによって目的の分子量の含フッ素エーテル化合物が含まれる溶液を得る。
方法III:環化体と環化体以外の含フッ素エーテル化合物のうち一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物とを溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、処理対象物から環化体および一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を分離する方法。
環化体の分子量と一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物の分子量にもよるが、通常であれば方法IIIで処理対象物から分離できるのは、環化体と低分子量体である。
溶解用液状媒体は、混合時温度および分離時温度において液体のものである。溶解用液状媒体が混合時温度および分離時温度において液体であれば、処理対象物と溶解用液状媒体との混合、および一部の含フッ素エーテル化合物が溶解用液状媒体に溶解した溶液と処理対象物の残部との分離が容易になる。
含フッ素有機溶媒としては、フッ素化アルカン、塩素化フッ素化アルカン、フッ素化芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フッ素化アルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
フッ素化アルカンとしては、炭素数4~8の化合物が好ましい。市販品としては、C6F13H(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC-2000)、C6F13C2H5(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C2F5CHFCHFCF3(ケマーズ社製、バートレル(登録商標)XF)等が挙げられる。
塩素化フッ素化アルカンとしては、ジクロロペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AK-225)等が挙げられる。
フッ素化芳香族化合物としては、ヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4~12の化合物が好ましい。市販品としては、CF3CH2OCF2CF2H(旭硝子社製、アサヒクリン(登録商標)AE-3000)、C4F9OCH3(3M社製、ノベック(登録商標)7100)、C4F9OC2H5(3M社製、ノベック(登録商標)7200)、C2F5CF(OCH3)C3F7(3M社製、ノベック(登録商標)7300)等が挙げられる。
フッ素化アルキルアミンとしては、ペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
フルオロアルコールとしては、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
塩素化アルカンとしては、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエチレン等が挙げられる。
炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカン、ベンゼン、トルエン等が挙げられる。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンゾイルアルコール等が挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、エチルメチルケトン等が挙げられる。
エーテルとしては、テトラヒドロフラン(以下、「THF」とも記す。)、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル等が挙げられる。
エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
含窒素化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、エチルメチルスルフィド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
表1に主な液状媒体の分散項dD、水素結合項dHおよび極性項dPを示す。
一部の含フッ素エーテル化合物が環化体である場合の溶解用液状媒体の分散項dDは、処理対象物に含まれる環化体を選択的に低減できる点から、14~20が好ましく、水素結合項dHは、0~6が好ましい。極性項dPは0~5が好ましい。
一部の含フッ素エーテル化合物が低分子量体である場合の溶解用液状媒体の分散項dDは、処理対象物に含まれる低分子量体を選択的に低減できる点から、14~18が好ましく、水素結合項dHは、0~25が好ましく、0~23が特に好ましい。極性項dPは3.5~9が好ましい。
一部の含フッ素エーテル化合物が高分子量体である場合の溶解用液状媒体の分散項dDは、処理対象物に含まれる低分子量体を選択的に低減できる点から、15~20が好ましく、水素結合項dHは、0~25が好ましい。極性項dPは5~8が好ましい。
一部の含フッ素エーテル化合物が環化体および低分子量体である場合の溶解用液状媒体の分散項dDは、処理対象物に含まれる環化体および低分子量体を選択的に低減できる点から、14~18が好ましく、水素結合項dHは、0~10が好ましい。極性項dPは2~8が好ましい。
環化体を溶解し得る溶解用液状媒体と、一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体とが同じ場合で、かつ一部の含フッ素エーテル化合物が環化体および一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物である場合は、方法Iを行った後に方法IIを行っても、方法IIを行った後に方法Iを行っても、方法IIIのみを行ってもよい。
以上説明した本発明の含フッ素エーテル化合物の製造方法にあっては、液体の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物(ただし、処理対象物は液状媒体を含まない。)を、液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、溶解用液状媒体に溶解したものと溶解しなかったものとに分離しているため、従来のシリカゲルを用いたクロマトグラフィに比べ、目的の含フッ素エーテル化合物とこれ以外の含フッ素エーテル化合物とを分離しやすい。
また、従来のシリカゲルを用いたクロマトグラフィに比べ、目的の含フッ素エーテル化合物とこれ以外の含フッ素エーテル化合物とを分離するのに時間がかからず、生産性がよい。
また、従来のシリカゲルを用いたクロマトグラフィに比べ、液状媒体の使用量を低減でき、またシリカゲルを用いないため、生産コストが低くなる。
また、シリカゲルを用いないため、従来のシリカゲルを用いたクロマトグラフィに比べ、目的の含フッ素エーテル化合物のロスが少なく、目的の含フッ素エーテル化合物の収率が高い。
鎖状含フッ素エーテル化合物としては、後述する極性基含有含フッ素エーテル化合物、後述する加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物等が挙げられる。処理対象物に含まれる鎖状含フッ素エーテル化合物としては、加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物の中間体として有用であり、また本発明の効果が発揮されやすい点から、極性基含有含フッ素エーテル化合物が好ましい。
極性基含有含フッ素エーテル化合物は、末端に-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)X(ただし、R2は水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、Xはハロゲン原子である。)(以下、これらの基をまとめて「極性基」とも記す。)を有する。
極性基含有含フッ素エーテル化合物の数平均分子量は、2,000~10,000が好ましく、2,100~9,000がより好ましく、2,400~8,000が特に好ましい。
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-B1 式1
ただし、A1は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基またはB1であり;Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり;R1は、炭素数1~6のアルキレン基であり;m1は、2以上の整数であり;m2は、0以上の整数であり;m1+m2は、2~200の整数であり;(Rf1O)m1は、2種以上のRf1Oからなるものであってもよく;(R1O)m2は、m2が2以上の整数のときに2種以上のR1Oからなるものであってもよく;B1は、-Rf2CH2-OR2、-Rf2-C(O)OR2、-Rf2-C(O)N(R2)2または-Rf2-C(O)Xであり;Rf2は、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり;R2は、水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり;Xは、ハロゲン原子である。
m1+m2は、5~150の整数が好ましく、10~100の整数が特に好ましい。
CHFCF2O-CH2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}、
CF2CF2O-CF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}、
(CF2CHFO-CF2CF2CF2CH2O)x3CF2CHFO、
(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O、
(CF2CF2O)x4、
(CF2CF2CF2O)x5、
(CH2O-CH2CF2CF2CF2CH2O)x6CH2O、
(CF2CHFO-CF2CF2CF2CF2CF2CH2O)x7CF2CHFO、
(CF2O-CF2CF2CF2CF2CF2O)x6CF2O、
(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2CF2CF2O)x7CF2CF2O。
ただし、x1およびx2は、それぞれ1以上の整数であり、x1+x2は、2~198の整数であり、x3、x6およびx7は、それぞれ1~199の整数であり、x4およびx5は、それぞれ2~200の整数である。
Rf2は、直鎖状でも分岐状でもよい。Rf2としては、化合物1を製造しやすい点から、-CF2CF2CF2-、-CF2-、-CF2CF2-が好ましい。
R2がアルキル基の場合、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。アルキル基の炭素数は、1~3が好ましい。
Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-Rf2CH2-OR2 式1a、
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-Rf2-C(O)OR2 式1b、
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-Rf2-C(O)N(R2)2 式1c、
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-Rf2-C(O)X 式1d。
R8-O-(CF2CHFO-CF2CF2CF2CH2O)x3CF2CHFO-CF2CF2CF2CH2-OH 式1a-1
RF8-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2-OC(O)RF9 式1e-1
RF8-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2-C(O)OR2a 式1b-1
RF8-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2CH2-OH 式1a-2
RF8-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2-C(O)N(R2)2 式1c-1
RF8-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2-C(O)F 式1d-1
HO-CH2CF2-O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2CH2-OH 式1a-3
RF8-O-CHFCF2OCH2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2CH2-OH 式1a-4
RF8-O-CF2CF2OCF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2CF2-OC(O)RF9 式1e-2
RF8-O-CF2CF2OCF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-C(O)OR2a 式1b-2
RF8-O-CF2CF2OCF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2CH2-OH 式1a-5
RF8-O-CF2CF2OCF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-C(O)N(R2)2 式1c-2
RF8-O-CF2CF2OCF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}-CF2-C(O)F 式1d-2
加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物は、極性基含有含フッ素エーテル化合物の-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)Xを有する末端に、連結基を介して加水分解性シリル基を導入したものである。
加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物としては、表面層における初期の撥水撥油性、耐摩擦性および指紋汚れ除去性がさらに優れる点から、PFPE鎖の一端が炭素数1~20のペルフルオロアルキル基であり、PFPE鎖の他端に連結基を介して加水分解性シリル基が結合している化合物が好ましい。
連結基に結合する加水分解性シリル基の数は、本発明の効果を充分に発揮できる点から、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、2または3が特に好ましい。
加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物の数平均分子量は、2,000~10,000が好ましい。数平均分子量が前記範囲内であれば、表面層における耐摩擦性がさらに優れる。加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物の数平均分子量は、2,100~9,000がより好ましく、2,400~8,000が特に好ましい。
A2-O-(RF1O)m-B2 式2
ただし、A2は、炭素数1~20のペルフルオロアルキル基またはB2であり;RF1は、炭素数1~20のペルフルオロアルキレン基であり;mは、2~200の整数であり;(RF1O)mは、2種以上のRF1Oからなるものであってもよく;B2は、基g1~基g7のいずれかである。
-RF2-(X1)p-Q1-SiRnL3-n 式g1
-RF2-(X2)r-Q21-N[-Q22-SiRnL3-n]2 式g2
-RF2-[C(O)N(R31)]s-Q31-(O)t-C[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]3 式g3
-RF2-Q41-Si[-Q42-SiRnL3-n]3 式g4
-RF2-[C(O)N(R5)]v-Q51-Z[-Q52-SiRnL3-n]w 式g5
-RF2-Q61-G(R6)[-Q62-SiRnL3-n]2 式g6
-RF2-Q71-[CH2C(R71)(-Q72-SiRnL3-n)]y-R72 式g7
ただし、RF2は、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり;Rは、水素原子または1価の炭化水素基であり;Lは、加水分解性基であり;nは、0~2の整数である。
式g1において、X1は、エーテル性酸素原子または-C(O)N(R1)-(ただし、NはQ1に結合する。)であり、R1は、水素原子またはアルキル基であり、pは、0または1であり、Q1は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(X1)pと結合する側の末端に2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基である。
式g2において、X2は、エーテル性酸素原子、-NH-または-C(O)N(R2)-(ただし、NはQ21に結合する。)であり、R2は、水素原子またはアルキル基であり、rは、0または1(ただし、Q21が単結合の場合は0である。)であり、Q21は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-NH-、-C(O)-、-C(O)O-もしくは-OC(O)-を有する基であり、Q22は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-NH-もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、2個の[-Q22-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g3において、R31は、水素原子またはアルキル基であり、sは、0または1であり、Q31は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、tは、0または1(ただし、Q31が単結合の場合は0である。)であり、uは、0または1であり、Q32は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(O)uと結合する側の末端に-C(O)N(R32)-、2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基であり、R32は、水素原子またはアルキル基であり、3個の[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g4において、Q41は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Q42は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、3個の[-Q42-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g5において、R5は、水素原子またはアルキル基であり、vは、0または1であり、Q51は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Zは、(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基であり、Q52は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、wは、2~7の整数であり、w個の[-Q52-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g6において、Q61は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、Gは、炭素原子またはケイ素原子であり、R6は、水酸基またはアルキル基であり、Q62は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、2個の[-Q62-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g7において、Q71は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、R71は、水素原子またはアルキル基であり、Q72は、単結合またはアルキレン基であり、R72は、水素原子またはハロゲン原子であり、yは、1~10の整数であり、2~10個の[-Q72-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
mは、5~150の整数が好ましく、10~100の整数が特に好ましい。
CF2CF2O-CF2CF2O{(CF2O)x1(CF2CF2O)x2}、
(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O、
(CF2CF2O)x4、
(CF2CF2CF2O)x5、
(CF2O-CF2CF2CF2CF2CF2O)x6CF2O、
(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2CF2CF2O)x7CF2CF2O。
ただし、x1およびx2は、それぞれ1以上の整数であり、x1+x2は、2~198の整数であり、x3、x6およびx7は、それぞれ1~199の整数であり、x4およびx5は、それぞれ2~200の整数である。
A2としては、CF3-、CF3CF2-、CF3CF2CF2-、CF3CF2CF2CF2-、CF3CF2CF2CF2CF2-、CF3CF2CF2CF2CF2CF2-、CF3CF(CF3)-等が挙げられる。
A2としては、表面層における初期の撥水撥油性、耐摩擦性および指紋汚れ除去性がさらに優れる点からは、CF3-、CF3CF2-、CF3CF2CF2-が好ましい。
RF2は、直鎖状でも分岐状でもよい。RF2としては、化合物2を製造しやすい点から、-CF2CF2CF2-、-CF2-、-CF2CF2-が好ましい。
Lとしては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、イソシアナート基(-NCO)等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子が特に好ましい。
Lとしては、工業的な製造が容易な点から、炭素数1~4のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましい。Lとしては、塗布時のアウトガスが少なく、化合物2の保存安定性に優れる点から、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、化合物2の長期の保存安定性が必要な場合にはエトキシ基が特に好ましく、塗布後の反応時間を短時間とする場合にはメトキシ基が特に好ましい。
Rとしては、1価の炭化水素基が好ましく、1価の飽和炭化水素基が特に好ましい。1価の飽和炭化水素基の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が特に好ましい。
Rとしては、合成が簡便である点から、炭素数が1~6のアルキル基が好ましく、炭素数が1~3のアルキル基がより好ましく、炭素数が1~2のアルキル基が特に好ましい。
nが1以下である場合、1分子中に存在する複数のLは互いに同じであっても異なっていてもよい。原材料の入手容易性や製造容易性の点からは、互いに同じであることが好ましい。
A2-O-(RF1O)m-RF2-(X1)p-Q1-SiRnL3-n 式2a、
A2-O-(RF1O)m-RF2-(X2)r-Q21-N[-Q22-SiRnL3-n]2 式2b、
A2-O-(RF1O)m-RF2-[C(O)N(R31)]s-Q31-(O)t-C[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]3 式2c、
A2-O-(RF1O)m-RF2-Q41-Si[-Q42-SiRnL3-n]3 式2d、
A2-O-(RF1O)m-RF2-[C(O)N(R5)]v-Q51-Z[-Q52-SiRnL3-n]w 式2e、
A2-O-(RF1O)m-RF2-Q61-G(R6)[-Q62-SiRnL3-n]2 式2f、
A2-O-(RF1O)m-RF2-Q71-[CH2C(R71)(-Q72-SiRnL3-n)]y-R72 式2g。
基g1、基g3におけるジアルキルシリレン基は、-Si(Rc)2-(ただし、Rcはアルキル基である。)で表される基である。Rcは、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Q1としては、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(X1)pと結合する側の末端に2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基が好ましい。Q1としては、化合物2aを製造しやすい点から、(X1)pが単結合の場合は、-CH2OCH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2-が好ましく、(X1)pが-O-の場合は、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2CH2-が好ましく、(X1)pが-C(O)N(R1)-の場合は、炭素数2~6のアルキレン基が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。
R2としては、水素原子または炭素数1~4のアルキル基が好ましく、化合物2bを製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
Q21としては、(X2)rが単結合の場合は、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは-NH-を有する基が好ましく、化合物2bを製造しやすい点から、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2-、-CH2NHCH2CH2-が特に好ましい(ただし、右側がNに結合する。)。
Q22としては、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは-NH-を有する基が好ましく、化合物2bを製造しやすい点から、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2CH2-が特に好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。
-Q31-としては、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基が好ましい。-Q31-(O)t-としては、化合物2cの製造のしやすさの点から、sが0の場合は、単結合、-CH2O-、-CH2OCH2-、-CH2OCH2CH2O-、-CH2OCH2CH2OCH2-が好ましく(ただし、左側がRf7に結合する。)、sが1の場合は、単結合、-CH2-、-CH2CH2-が好ましい。
R32としては、水素原子または炭素数1~4のアルキル基が好ましく、化合物2cを製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
Q32としては、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(O)uと結合する側の末端に-C(O)N(R32)-、2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基が好ましい。-(O)u-Q32-としては、化合物2cの製造のしやすさの点から、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2CH2CH2CH2-、-OCH2CH2CH2-、-OSi(CH3)2CH2CH2CH2-、-OSi(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2Si(CH3)2PhSi(CH3)2CH2CH2-が好ましい(ただし、右側がSiに結合する。)。
Q42はとしては、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基が好ましく、化合物2dを製造しやすい点から、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2OCH2CH2CH2-が好ましい(ただし、右側がSiRnL3-nに結合する。)。
Q51はとしては、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基が好ましく、化合物2eを製造しやすい点から、-CH2OCH2CH2CH2-、-CH2OCH2CH2OCH2CH2CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-が好ましい(ただし、右側がZに結合する。)。
Q52はとしては、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基が好ましく、化合物2eを製造しやすい点から、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-が好ましい。
Zの(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基としては、下記の基が挙げられる。ただし、下式におけるRaは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはフェニル基である。Raのアルキル基およびアルコキシ基の炭素数は、1~10が好ましく、1が特に好ましい。
G(R6)としては、化合物2fを製造しやすい点から、C(OH)またはSi(R6a)(ただし、R6aはアルキル基である。炭素数は1~10が好ましく、1が特に好ましい。)が好ましい。
Q62としては、炭素数1~10のアルキレン基、または炭素数2~10のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基が好ましく、化合物2fを製造しやすい点から、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-が好ましい。
R71としては、水素原子または炭素数1~10のアルキル基が好ましく、化合物2gを製造しやすい点から、水素原子が好ましい。R71のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
Q72としては、単結合または炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、化合物2gを製造しやすい点から、単結合または-CH2-が好ましい。
R72としては、化合物2gを製造しやすい点から、水素原子が好ましい。
公知の製造方法としては、たとえば、下記の方法が挙げられる。
・末端に-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)Xを有する極性基含有含フッ素エーテル化合物の末端に、公知の方法によって炭素-炭素不飽和二重結合を導入して不飽和二重結合末端含フッ素エーテル化合物を得た後、不飽和二重結合末端含フッ素エーテル化合物とHSiRnL3-nとをヒドロシリル化反応させる方法。
・ヨウ素末端含フッ素エーテル化合物を開始剤としてCH2=CH-SiRnL3-n、CH2=CHCH2-SiRnL3-n等を重合させる方法。
化合物2aは、たとえば、特許文献1または特開2012-072272号等に記載の方法にしたがい、化合物1a-2、化合物1a-5、化合物1b-1、化合物1b-2、化合物1d-1、化合物1d-2等を出発物質として製造できる。
化合物2bは、たとえば、国際公開第2017/038832号に記載の方法にしたがい、化合物1a-2、化合物1a-5等を出発物質として製造できる。
化6に示す化合物2cは、たとえば、特開2016-204656号公報に記載の方法にしたがい、化合物1b-1、化合物1b-2等を出発物質として製造できる。
化7に示す化合物2cは、たとえば、国際公開第2017/038830号に記載の方法にしたがい、化合物1b-1、化合物1b-2等を出発物質として製造できる。
化合物2eは、たとえば、特開2012-072272号公報に記載の方法にしたがい、化合物1a-2、化合物1a-5等を出発物質として製造できる。
G(R6)がC(OH)である化合物2fは、たとえば、特開2016-037541号公報に記載の方法にしたがい、化合物1b-1、化合物1b-2等を出発物質として製造できる。
以下、「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
例1は製造例であり、例2~6は実施例である。
(数平均分子量)
含フッ素エーテル化合物の数平均分子量は、1H-NMRおよび19F-NMRによって、末端基を基準にしてオキシフルオロアルキレン基の数(平均値)を求めることによって算出した。
処理対象物または処理対象物の残部中の環化体の含有量は、ガスクロマトグラフィ(GC)によって求めた。なお、例2、3における環化体は、化1に示す化合物である。
処理対象物、ならびに回収された溶液および処理対象物の残部の分子量分布は、GPC法によってポリスチレン換算で求めた。
特許文献1の例1-1と同様にしてCF2=CFOCF2CF2CF2CH2OHを得た。これを用い、特許文献1の例6-1を参照して化合物1-1および副生成物を含む処理対象物を得た。なお、処理対象物は、化合物1-1を得る反応を行った後、分液処理し、水洗し、有機相を回収してエバポレータで濃縮して得た。処理対象物は液状媒体を含んでいない。
CH3-O-(CF2CHFO-CF2CF2CF2CH2O)x3CF2CHFO-CF2CF2CF2CH2-OH 式1-1
単位数x3の平均値:15、化合物1-1の数平均分子量:4,480。
(例2-1)
処理対象物の10mLおよびクロロホルムの50mLをバイアル瓶に入れ、メカニカルスターラを用いて毎分400回転、温度25℃で30秒間撹拌した。混合物を静置し、処理対象物の一部がクロロホルムに溶解した溶液からなる上層と、クロロホルムに溶解しなかった処理対象物の残部からなる下層との二層に分離させた。処理対象物の残部を回収し、回収された処理対象物の残部をGCで分析し、処理対象物の残部中の環化体の含有量を求めた。
回収された処理対象物の残部を再び処理対象物として用い、同様の精製操作を合計で5回繰り返した。精製操作を行う前の処理対象物中の環化体の含有量、各回の精製操作後の、処理対象物の残部中の環化体の含有量を表2に示す。
クロロホルムを以下に示す液状媒体に変更した以外は、例2-1と同様にして精製操作を行った。例2-2:n-ヘキサン、例2-3:四塩化炭素、例2-4:AK-225。結果を表2に示す。
ただし、例2-2のn-ヘキサンは環化体の溶解性が低いため、精製操作の繰り返し回数を増やす必要がある。例2-4のAK-225は、目的の含フッ素エーテル化合物および環化体の溶解性が高いため、目的の含フッ素エーテル化合物の収率がやや低下する。
例2-4の5回目の精製操作で得た処理対象物の残部を処理対象物とした。
処理対象物の分子量分布を求めた。分子量分布のピークトップの分子量を表3に示す。 図1に示すフローの装置を組み立てた。この装置を用い、環化体が検出限界未満の処理対象物について、目的の分子量の化合物1-1と低分子量体とを分離した。
処理対象物の10mLおよびクロロホルムの300mLを撹拌槽に入れ、毎分50回転、温度25℃で6時間撹拌した。混合物を分離槽に移し、静置して、処理対象物の一部がクロロホルムに溶解した溶液からなる上層と、クロロホルムに溶解しなかった処理対象物の残部からなる下層との二層に分離させた。溶液および処理対象物の残部を回収し、それぞれの分子量分布を求めた。また、処理対象物に対する溶液中の溶解物の割合、対象処理物に対する処理対象物の残部の割合を求めた。結果を表3に示す。
クロロホルムを以下に示す液状媒体に変更した以外は、例3-1と同様にして精製操作を行った。例3-2:メタノール、例3-3:n-ヘキサン、例3-4:n-ヘキサン:ベンジルアルコール=52:48(体積比率)。結果を表3に示す。
例2-4の5回目の精製操作で得た処理対象物の残部を処理対象物とした。例3と同じ装置を用い、環化体が検出限界未満の処理対象物について、目的の分子量の化合物1-1と高分子量体とを分離した。
クロロホルムをクロロホルム:アセトン=50:50(体積比率)に変更した以外は、例3-1と同様にして精製操作を行った。結果を表3に示す。
日本特許第5761305号公報の合成例11記載の平均組成CF3O(CF2CF2O)15(CF2O)16CF2CH2OHを用いて例3-3(n-ヘキサン)と同様の操作を行った。その結果、溶液中の溶解物/対象処理物は18%、ピークトップの分子量は1,100であり、処理対象物の残部/対象処理物は82%、ピークトップの分子量は2,980のように分離した。
特開2016-132719号公報の実施例4に記載の化合物CF3CF2CF2O(CF2CF2CF2O)20CF2CF2CH2OHを用いて例3-4(n-ヘキサンとベンジルアルコールの混合液状媒体)と同様の操作を行った。その結果、溶液中の溶解物/対象処理物は24%、ピークトップの分子量は1,550であり、処理対象物の残部/対象処理物は76%、ピークトップの分子量は2,850のように分離した。
分子量分布を狭くしたい場合、例3-1が最も好ましく、次いで例3-4、例3-2、例3-3の順に好ましい。例3-3のn-ヘキサンは低分子量体の溶解性が低いため、低分子量体の低減量がやや少ない。
例3-5、例3-6においては、精製操作によって、目的の分子量の化合物を含む処理対象物の残部と、低分子量体を含む溶液とを分離できた。
例4においては、精製操作によって目的の分子量の化合物1-1を含む処理対象物の残部と高分子量体を含む溶液とを分離できた。
例2-4の5回目の精製操作で得た処理対象物の残部を用い、国際公開第2017/38830号の例11に記載の方法と同様にして化合物2-1を得た。
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2-C(O)NH-CH2-C[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]3 式2-1
単位数x3の平均値:15、化合物2-1の数平均分子量:5,570。
例2-4の5回目の精製操作で得た処理対象物の残部を用い、国際公開第2017/38832号の例3に記載の方法と同様にして化合物2-2を得た。
CF3-O-(CF2CF2O-CF2CF2CF2CF2O)x3CF2CF2O-CF2CF2CF2-CH2-N[CH2CH2CH2-Si(OCH3)3]2 式2-2
単位数x3の平均値:15、化合物2-2の数平均分子量:4,780。
例3-5で得た処理対象物の残部から国際公開第2015/087902号の[0110]に記載の手法を参考にしてCF3O(CF2CF2O)15(CF2O)16CF2CH2OCH2CH=CH2を得て、日本特許第5761305号公報の合成例15の手法を用いて、分子量3,560のCF3O(CF2CF2O)15(CF2O)16CF2CH2OCH2CH2CH2Si[CH2CH2CH2Si(OCH3)3]3を合成した。
Claims (9)
- 液体の含フッ素エーテル化合物を含む処理対象物(ただし、前記処理対象物は液状媒体を含まない。)を、前記液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記溶解用液状媒体に溶解したものと溶解しなかったものとに分離することを特徴とし、
前記液体の含フッ素エーテル化合物が、末端に-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)Xを有する極性基含有含フッ素エーテル化合物を含み、
前記極性基含有含フッ素エーテル化合物が、下式1で表される化合物であり、
前記溶解用液状媒体のハンセン溶解度パラメータの分散項dDが12~20であり、水素結合項dHが0~28であり、極性項dPが0~10である、含フッ素エーテル化合物の製造方法。
A1-O-[(Rf1O)m1(R1O)m2]-B1 式1
ただし、
A1は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のフルオロアルキル基またはB1であり、
Rf1は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
R1は、炭素数1~6のアルキレン基であり、
m1は、2以上の整数であり、
m2は、0以上の整数であり、
m1+m2は、2~200の整数であり、
(Rf1O)m1は、2種以上のRf1Oからなるものであってもよく、
(R1O)m2は、m2が2以上の整数のときに2種以上のR1Oからなるものであってもよく、
B1は、-Rf2CH2-OR2、-Rf2-C(O)OR2、-Rf2-C(O)N(R2)2または-Rf2-C(O)Xであり、
Rf2は、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
R2は、水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、
Xは、ハロゲン原子である。 - 前記処理対象物と前記溶解用液状媒体とを混合し、前記一部の含フッ素エーテル化合物が前記溶解用液状媒体に溶解した溶液と、前記溶解用液状媒体に溶解しなかった前記処理対象物の残部とを分離することによって、前記処理対象物から前記一部の含フッ素エーテル化合物を分離する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記液体の含フッ素エーテル化合物が、前記液体の含フッ素エーテル化合物の1種として環状含フッ素エーテル化合物を含み、
前記環状含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記処理対象物から前記環状含フッ素エーテル化合物を分離する、請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記液体の含フッ素エーテル化合物のうち一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記処理対象物から前記一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を分離する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記液体の含フッ素エーテル化合物が、前記液体の含フッ素エーテル化合物の1種として環状含フッ素エーテル化合物を含み、
前記環状含フッ素エーテル化合物と前記環状含フッ素エーテル化合物以外の含フッ素エーテル化合物のうち一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物とを溶解し得る溶解用液状媒体を用いて、前記処理対象物から前記環状含フッ素エーテル化合物および前記一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物を分離する、請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記一部の分子量領域の含フッ素エーテル化合物が、低分子量領域の含フッ素エーテル化合物である、請求項4または5に記載の製造方法。
- 前記液体の含フッ素エーテル化合物が、環状含フッ素エーテル化合物をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 末端に-OR2、-C(O)OR2、-C(O)N(R2)2または-C(O)Xを有する前記含フッ素エーテル化合物から、前記末端に連結基を介して加水分解性シリル基を有する加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物を得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記加水分解性シリル基含有含フッ素エーテル化合物が、下式2で表される化合物である、請求項8に記載の製造方法。
A2-O-(RF1O)m-B2 式2
ただし、
A2は、炭素数1~20のペルフルオロアルキル基またはB2であり、
RF1は、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、
mは、2~200の整数であり、
(RF1O)mは、2種以上のRF1Oからなるものであってもよく、
B2は、下式g1~式g7のいずれかで表される基である。
-RF2-(X1)p-Q1-SiRnL3-n 式g1
-RF2-(X2)r-Q21-N[-Q22-SiRnL3-n]2 式g2
-RF2-[C(O)N(R31)]s-Q31-(O)t-C[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]3 式g3
-RF2-Q41-Si[-Q42-SiRnL3-n]3 式g4
-RF2-[C(O)N(R5)]v-Q51-Z[-Q52-SiRnL3-n]w 式g5
-RF2-Q61-G(R6)[-Q62-SiRnL3-n]2 式g6
-RF2-Q71-[CH2C(R71)(-Q72-SiRnL3-n)]y-R72 式g7
ただし、
RF2は、炭素数1~6のペルフルオロアルキレン基であり、
Rは、水素原子または1価の炭化水素基であり、
Lは、加水分解性基であり、
nは、0~2の整数である。
式g1において、
X1は、エーテル性酸素原子または-C(O)N(R1)-(ただし、NはQ1に結合する。)であり、
R1は、水素原子またはアルキル基であり、
pは、0または1であり、
Q1は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(X1)pと結合する側の末端に2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基である。
式g2において、
X2は、エーテル性酸素原子、-NH-または-C(O)N(R2)-(ただし、NはQ21に結合する。)であり、
R2は、水素原子またはアルキル基であり、
rは、0または1(ただし、Q21が単結合の場合は0である。)であり、
Q21は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-NH-、-C(O)-、-C(O)O-もしくは-OC(O)-を有する基であり、
Q22は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子、-NH-もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、
2個の[-Q22-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g3において、
R31は、水素原子またはアルキル基であり、
sは、0または1であり、
Q31は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、
tは、0または1(ただし、Q31が単結合の場合は0である。)であり、
uは、0または1であり、
Q32は、アルキレン基、炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくはシルフェニレン骨格を有する基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間もしくは(O)uと結合する側の末端に-C(O)N(R32)-、2価のオルガノポリシロキサン残基もしくはジアルキルシリレン基を有する基であり、
R32は、水素原子またはアルキル基であり、
3個の[-(O)u-Q32-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g4において、
Q41は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、
Q42は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、
3個の[-Q42-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g5において、
R5は、水素原子またはアルキル基であり、
vは、0または1であり、
Q51は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、
Zは、(w+1)価のオルガノポリシロキサン残基であり、
Q52は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、
wは、2~7の整数であり、
w個の[-Q52-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g6において、
Q61は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、
Gは、炭素原子またはケイ素原子であり、
R6は、水酸基またはアルキル基であり、
Q62は、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子もしくは2価のオルガノポリシロキサン残基を有する基であり、
2個の[-Q62-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
式g7において、
Q71は、単結合、アルキレン基、または炭素数2以上のアルキレン基の炭素-炭素原子間にエーテル性酸素原子を有する基であり、
R71は、水素原子またはアルキル基であり、
Q72は、単結合またはアルキレン基であり、
R72は、水素原子またはハロゲン原子であり、
yは、1~10の整数であり、
2~10個の[-Q72-SiRnL3-n]は、同一であっても異なっていてもよい。
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