JP7215157B2 - ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着フィルム、耐熱粘着フィルム用粘着剤組成物、マスキング用耐熱粘着フィルム、マスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法 - Google Patents
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Description
また、本発明者は、酸価と重量平均分子量との積が特定の値以上のポリエステル系樹脂を用いることにより、高温環境下にさらされても粘着力の増加を抑制することができるポリエステル系粘着剤組成物を得ることができることを見出し、第2発明を完成させた。
しかしながら、第1発明においては、あえて分子の末端や、分子内の側鎖に酸性基であるカルボキシ基を積極的に存在させて、これらの酸性基を架橋点にすることにより、充分な架橋密度を達成し、高温環境下に曝されても、それ以上粘着力が増加して剥がしにくくなることを抑制することのできるポリエステル系粘着剤組成物を得ることができることを見出したのである。
また、第2発明においては、ポリエステル系樹脂の酸価と重量平均分子量との関係に着目し、酸価が高く、重量平均分子量が大きいポリエステル系樹脂を用い、酸価と重量平均分子量との積が特定以上であると、高温環境下に曝されても、それ以上粘着力が増加して剥がしにくくなることを抑制することのできるポリエステル系粘着剤組成物を得ることができることを見出したのである。
また、第2発明のポリエステル系粘着剤組成物は、酸価(mgKOH/g)と重量平均分子量の積が35万以上であるポリエステル系樹脂を含有するものである。
そのため、上述のとおり、高温環境下にさらされても粘着力の増加が抑制され、粘着力の経時変化を抑制することができる。
したがって、本発明のポリエステル系粘着剤組成物が架橋されてなるポリエステル系粘着剤は、高温環境下で使用される場合であっても、粘着剤が被着体に残る等の汚染が生じにくく、粘着力の経時変化の少ないマスキング用耐熱粘着フィルムの粘着剤層に好適に用いられる。
また、第2発明の粘着剤組成物は、酸価(mgKOH/g)と重量平均分子量の積が35万以上であるポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする。
このような本発明のポリエステル系粘着剤組成物を構成する各成分について、以下、順次説明する。
本発明で用いるポリエステル系樹脂は、多価のカルボン酸およびその酸無水物(以下「カルボン酸類」と略すことがある)とポリオールを含む共重合成分を共重合することにより得られるものである。
一般的なポリエステル系樹脂は、多価のカルボン酸類として、通常、二価のカルボン酸類が用いられるところ、上記第1発明では、二価のカルボン酸類に加え、三価以上のカルボン酸類を用いることにより、ポリエステル系樹脂分子の側鎖および末端の少なくとも一方に、上記三価以上のカルボン酸類に由来するカルボキシ基を有するようにしたことを特徴とするものである。
また、上記第2発明においては、ポリエステル系樹脂の酸価と重量平均分子量との積が特定以上、すなわち、酸価が高く、重量平均分子量が大きいものを用いることを特徴とするものである。
ポリエステル系樹脂の構成原料として用いられる二価のカルボン酸類としては、例えば、マロン酸類、ジメチルマロン酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、トリメチルアジピン酸類、ピメリン酸類、2,2-ジメチルグルタル酸類、アゼライン酸類、セバシン酸類、デカンジカルボン酸類、フマル酸類、マレイン酸類、イタコン酸類、チオジプロピオン酸類、ジグリコール酸類、1,9-ノナンジカルボン酸類等の脂肪族ジカルボン酸類;
フタル酸類、テレフタル酸類、イソフタル酸類、ベンジルマロン酸類、ジフェン酸類、4,4’-オキシジ安息香酸類、さらに1,8-ナフタレンジカルボン酸類、2,3
-ナフタレンジカルボン酸類、2,7-ナフタレンジカルボン酸類等のナフタレンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類;
1,3-シクロペンタンジカルボン酸類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸類、1,3-シクロペンタンジカルボン酸類、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸類、2,5-ノルボルナンジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸類等の脂環族ジカルボン酸類;等が挙げられる。
これらの二価のカルボン酸類は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
ポリエステル系樹脂の構成原料として用いられる上記ポリオールとしては、例えば、直鎖構造の脂肪族ジオール、その他の二価アルコール、三価以上の多価アルコール等が挙げられる。
直鎖構造の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
その他の二価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の分岐構造を有する脂肪族ジオール;
1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4’-チオジフェノール、4,4’-メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、ビスフェノールフルオレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、o-,m-およびp-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ナフタレンジオール、p-キシレンジオール等の芳香族ジオール;およびこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体;等が挙げられる。
三価以上の多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6-ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
一般に、ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸類とポリオールとを任意に選び、これらを触媒存在下、公知の方法により重縮合反応させることにより製造することができ、重縮合反応に際しては、まずエステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂も、これに準じた方法によって製造することができる。
また、第1発明で用いるポリエステル系樹脂は、分子の側鎖および末端の少なくとも一方に、三価以上のカルボン酸およびその酸無水物の少なくとも一方に由来するカルボキシ基を有するものであり、第2発明においても、このようなポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
上記の特徴を有するポリエステル系樹脂は、例えば、二価のカルボン酸とポリオールとをエステル化反応させて得られる、繰り返し単位が1~10程度の水酸基含有プレポリマーを、例えば、テトラカルボン酸の2無水物のような、三価以上のカルボン酸の酸無水物で鎖延長させる方法により製造することができる。
上記溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、プソイドクメン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等が挙げられる。しかしながら、エステル系溶剤およびアルコール系溶剤等の、ポリエステル系樹脂と反応するおそれのある溶媒は使用しないことが好ましい。
上記ポリエステル系樹脂の酸価は、JIS K0070に基づき中和滴定により求められるものである。
上記酸価の調整は、例えば、三価以上のカルボン酸およびその酸無水物の仕込量、反応条件(鎖延長反応の反応時間)等によって行うことができる。
なお、一般的なポリエステル系樹脂は、その分子末端にしかカルボキシ基を有しないために酸価が低く、酸価と重量平均分子量との積で35万以上を達成するのは困難である。
上記のような、酸価と重量平均分子量との積が35万以上のポリエステル系樹脂とするには、分子の側鎖および末端の少なくとも一方に、三価以上のカルボン酸およびその酸無水物の少なくとも一方に由来するカルボキシ基を有することが好ましい。
Q20を用いて測定されるものである。なお、測定温度範囲は-90℃から100℃で、温度上昇速度は10℃/分である。
上記架橋剤としては、ポリエステル系樹脂に含まれる官能基と反応性を有する官能基を含有する化合物であればよく、例えば、ポリエステル系樹脂中のカルボキシ基と反応性を有する官能基を含有する化合物が用いられる。
このような架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミノ系架橋剤、金属系架橋剤等が挙げられる。
中でも加熱後の粘着力増加が少なく、耐熱汚染性が良好である点で1,3’-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミンが好ましい。
これらの中でも耐熱性の点でヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体や2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、テトラメチルキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が好ましい。
架橋剤が多すぎると逆に架橋が起こらなくなり、粘着剤層と基材の密着性、耐水性が低下する傾向があり、少なすぎると架橋不足となり密着性、耐水性が低下する傾向がある。
ここで、上記有機溶剤は、アルコール系溶剤を含む混合溶剤であることが好ましく、かかるアルコール系溶剤の含有割合としては、有機溶剤中、10~80重量%が好ましく、特には20~70重量%、更には30~60重量%が好ましい。
すなわち、第3発明の粘着剤組成物は、酸価が5mgKOH/g以上で、重量平均分子量が2,000以上のポリエステル系樹脂とエポキシ系架橋剤とアルコール系溶剤を含有するものである。
本発明の粘着剤組成物においては、酸化防止剤を含有することにより、耐熱環境下におけるポリエステル系樹脂の分子量低下を抑制することができ、耐熱性が向上するとともに、被着体への糊残り防止性に優れるようになる。
本発明で用いられる酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤等が挙げられる。中でもアミン系酸化防止剤およびリン酸系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、とりわけヒンダードフェノール系化合物からなる酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、フェノールの水酸基が結合した芳香族環上の炭素原子の隣接炭素原子の少なくとも一方に、ターシャリーブチル基等の立体障害の大きな基が結合したヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤が挙げられる。
かかる含有量が少なすぎると被着体への糊残りが発生しやすくなる傾向があり、多すぎると粘着物性が低下する傾向がある。
なお、本発明において「フィルム」とは、「シート」や「テープ」をも含めた意味である。
上記粘着フィルムは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着フィルムの製造方法としては、公知一般の粘着フィルムの製造方法にしたがって製造することができ、例えば、基材の一方の面に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥して、粘着剤層を形成し、その表面(基材に接する面の反対面)に離型シートを貼着し、必要により養生することで基材上に、粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤を含有する粘着剤層を有する本発明の粘着フィルムが得られる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;
ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;
ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;
三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;
ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;
ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド;シクロオレフィンポリマー等の合成樹脂フィルム;アルミニウム、銅、鉄の金属箔;上質紙、グラシン紙等の紙;硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材は、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。
例えば、本発明のマスキング用耐熱粘着フィルムを、その粘着剤層の粘着力を利用して被着体に貼り付け、上記被着体に貼り付けられたマスキング用耐熱粘着フィルムを上記被着体ごと120℃以上に加熱し、この加熱を経由したマスキング用耐熱粘着フィルムを上記被着体から剥離することにより、マスキングが正確に行われ、かつ、粘着剤層に汚染されていない被着体を得ることができる。
アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、マグネシウム、ニッケル、チタン等の金属板あるいは金属箔;
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、エステルアクリレート等のポリエステル系樹脂;
ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルフォン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-イソブチルアクリレート共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、ポリアロマーポリブチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;
ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン-4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂;
ポリスチレン、ポリαメチルスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合体;
ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のポリアルキル(メタ)アクリレートやメチルメタクリレート-スチレン共重合体、メチルメタクリレート-α-メチルスチレン共重合体等のアクリル系樹脂;
ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、ABS変性ポリ塩化ビニル、後塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル-アクリル樹脂アロイ、塩化ビニル-プロピレン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のポリ塩化ビニル重合体およびその誘導体;
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ビニロン等のポリ酢酸ビニル、およびその誘導体;
ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルケトン;
ポリホルムアルデヒド、アセタールコポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、塩素化ポリエーテル、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサオド等のポリエーテル;
ポリテロラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体等のフッ化樹脂;
ポリカーボネート、ポリカーボネートABSアロイ;
ナイロン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6/6,6共重合体、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12、ナイロン-11、ナイロン-12等のナイロン(ポリアミド)類;
ブタジエン-スチレン共重合体、ブタジエン系プラスチック;
ポリイミドおよびその誘導体、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、高アクリルニトリル共重合体;
珪素樹脂、半無機および無機高分子;
フェノール樹脂、フェノール-フルフラール樹脂、変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂およびその誘導体;
フラン樹脂、キシレン樹脂、アニリン樹脂、アセトンホルムアルデヒド樹脂等のホルマリン樹脂;
不飽和ポリエステルとアルキッド樹脂;
ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂複合材料、脂環エポキシ樹脂、エポキシノボラック、ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート等のエポキシ樹脂;
ポリウレタン、発泡ウレタン、ウレタンアクリレート等のポリウレタン;
ジアリルフタレート樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、ポリアリルスルホン、アリルジグリコールカーボネート、ポリアリルエーテル、ポリアリレート等のアリル樹脂;
セルロース系プラスチック、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、ニトロセルロースとセルロイド等のセルロース系樹脂。
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、エステルアクリレート等のポリエステル系樹脂;
ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン-4フッ化エチレン共重合体等のポリフッ化エチレン系樹脂;
ポリイミドおよびその誘導体;
ビスフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ樹脂複合材料、脂環エポキシ樹脂、エポキシノボラック、ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート等のエポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
加熱工程のあるフィルムや箔のカール、シワ、汚染防止の為の保護フィルム;
プリント基板ハンダメッキ用保護フィルム;
耐熱トランス等の絶縁および耐熱保護用フィルム;
電子回路基板のハンダリフロー工程中のマスキング用フィルム;
各種の仮固定や部品保護用フィルム;
スルーホールのシール用フィルム;
ITO透明電極層等のタッチパネル関連部材の表面保護フィルム等の用途が挙げられ、耐熱を要するマスキング用途や仮固定用途全般に広く用いることが可能である。特に、マスキング用耐熱粘着フィルムが好ましい。
また、下記実施例中におけるポリエステル系樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度、酸価、粘着剤のゲル分率の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
以下の製造例においては、エステル化反応に使うカルボン酸類の合計を1モルとして各成分を配合した。
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、二価のカルボン酸類としてセバシン酸(SebA)495部(0.9モル)、イソフタル酸(IPA)45部(0.1モル)、ポリオールとしてネオペンチルグリコール(NPG)283部(1モル)、1,6-ヘキサンジオール(1,6HG)64部(0.2モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が260℃となるまで2時間かけて昇温し、260℃で3時間エステル化反応を行った。
その後、内温を170℃まで下げ、三価以上のカルボン酸の酸無水物として、ピロメリット酸無水物(PMAn)113部(0.19モル)を添加し1時間鎖延長反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-1)を製造した。
上記ポリエステル系樹脂(A-1)の重量平均分子量は28,900、ガラス転移温度(Tg)は-32℃、酸価は70.1mgKOH/gであった。また、でき上がり組成(%)は、SebA/IPA/NPG/1,6HG/PMAn=45.7/4.0/30.8/7.0/12.5であった。なお、酸価と重量平均分子量との積は2,025,890であった。
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、二価のカルボン酸類としてセバシン酸(SebA)543部(0.9モル)、イソフタル酸(IPA)50部(0.1モル)、ポリオールとしてネオペンチルグリコール(NPG)286部(1モル)、1,6-ヘキサンジオール(1,6HG)63部(0.2モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、内温が260℃となるまで2時間かけて昇温し、260℃で3時間エステル化反応を行った。
その後、内温を170℃まで下げ、三価以上のカルボン酸の酸無水物として、ピロメリット酸無水物(PMAn)59部(0.09モル)を添加し1時間鎖延長反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-2)を製造した。
上記ポリエステル系樹脂(A-2)の重量平均分子量は25,700、ガラス転移温度(Tg)は-42℃、酸価は49.0mgKOH/gであった。また、でき上がり組成(%)は、SebA/IPA/NPG/1,6HG/PMAn=51.1/4.5/31.7/7.1/5.6であった。なお、酸価と重量平均分子量との積は1,259,300であった。
上記ポリエステル系樹脂(A-1)の製造において、内温を140℃まで下げてピロメリット酸無水物を添加して鎖延長反応を行った以外は同様にして、ポリエステル系樹脂(A-3)を製造した。
上記ポリエステル系樹脂(A-3)の重量平均分子量は5,500、ガラス転移温度(Tg)は-30℃、酸価は96mgKOH/gであった。なお、酸価と重量平均分子量との積は528,000であった。
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類として、イソフタル酸9.6部(0.2モル)およびセバシン酸46.8部(0.8モル)、ポリオールとしてネオペンチルグリコール27.1部(0.9モル)、1,4-ブタンジオール13.0部(0.5モル)、1,6-ヘキサンジオール3.0部(0.087モル)およびトリメチロールプロパン0.5部(0.013モル)、触媒として、テトラブチルチタネート0.01部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温を260℃まで上げ、触媒として、テトラブチルチタネート0.01部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A’-1)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A’-1)の重量平均分子量は70,000、ガラス転移温度は-50℃、酸価は0.4mgKOH/gであった。なお、酸価と重量平均分子量との積は28,000であった。
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類として、プリポール1009を680.6部(1.0モル)、ポリオールとして、プリポール2033を319.4部(0.5モル)、触媒として、テトラブチルチタネート0.2部を仕込み、内温240℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。その後、内温240℃で、1.33hPaまで減圧し、3時間かけてエステル化反応を継続し、ポリエステル系樹脂(A’-2)を製造した。
上記ポリエステル系樹脂(A’-2)の重量平均分子量は4,340、ガラス転移温度は-45℃、酸価は66.6mgKOH/gであった。また、でき上がり組成(%)は、プリポール1009/プリポール2033=66.8/33.2であった。なお、酸価と重量平均分子量との積は289,044であった。
上記で得られたポリエステル系樹脂(A-1)~(A-3)および(A’-2)をメ
チルエチルケトン:2-プロパノール=1:1の溶液を用いてそれぞれ固形分濃度50%に希釈し、(A’-1)を酢酸エチルで固形分濃度50%に希釈して、以下の実施例および比較例で使用した。
上記で得られたポリエステル系樹脂(A-1)溶液の固形分100部に対して、エポキシ系架橋剤(三菱ガス化学社製、テトラッドX)5部、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(BASF社製、IRGANOX1010)0.1部を配合し、ポリエステル系粘着剤組成物を得た。
得られたポリエステル系粘着剤組成物を乾燥後の厚みが約50μmになるように、基材としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み100μm)に塗布した後、100℃で3分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その後、上記粘着剤層に、離型処理されたPETフィルム(離型フィルム)を貼着してその表面を保護し、温度40℃の雰囲気下で10日間養生し、粘着フィルム(耐熱粘着フィルム)を得た。
架橋剤の配合量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして粘着フィルム(耐熱粘着フィルム)を得た。
ポリエステル系樹脂として表1に示すものを用い、架橋剤を表1に示すとおりに配合した以外は、実施例1と同様にして粘着フィルム(耐熱粘着フィルム)を得た。
上記で得られたポリエステル系樹脂(A’-1)溶液の固形分100部に対して、表1に示す量のイソシアネート系架橋剤(東ソー社製、コロネートHX)を配合し、ポリエステル系粘着剤組成物を得た以外は、実施例1と同様にして粘着フィルム(耐熱粘着フィルム)を得た。
被着体としてSUS-BAと無アルカリガラスを準備した。上記で得られた粘着フィルム(耐熱粘着フィルム)を23℃、50%RHの環境下で25×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側をSUS-BAまたは無アルカリガラスに当接させ、2kgローラーを往復させ加圧貼付けした。そして、同雰囲気下で30分間静置した後に、オートグラフ(島津製作所社製、オートグラフAGS-H 500N)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:0.3N/25mm以下。
○:0.3N/25mmを超え、0.5N/25mm以下。
×:0.5N/25mmを超える。
上記と同様に各粘着フィルム(耐熱粘着フィルム)を各被着体に貼り付けた。そして、150℃の保温器で1日(24時間)保管した後に、23℃、50%RHの環境下で30分間静置した後に、オートグラフ(島津製作所社製、オートグラフAGS-H 500N)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:2.5N/25mm以下。
○:2.5N/25mmを超え、10N/25mm以下。
×:10N/25mmを超える。
上記の耐熱粘着力を測定後の被着体を目視にて観察し、糊残りの有無を下記の基準で評価した。
○:糊残りが全く見えない。
△:うっすら貼り後が見える。
×:糊残りがはっきりと見える。
得られた各粘着剤フィルム(耐熱粘着フィルム)に対し、離型フィルム側から粘着フィルムの上に2kgローラーを転がし、目視にてその粘着剤層を観察し、以下の基準で評価した。
○:変化なし。
×:打痕あり。
したがって、これに用いるポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、耐熱粘着フィルム用粘着剤組成物は、マスキング用耐熱粘着フィルムの粘着剤層として好適であることがわかる。
これに対し、従来品である比較例1~3は、粘着剤層が柔らかすぎてPETフィルムを剥離することができなかったり、打痕が生じたりするものであり、かつ、粘着力が高くて、マスキング用として不向きであった。特に、比較例1は、剥離フィルムをスムーズに剥離することができず、無理に剥離すると粘着剤層が凝集破壊したため、粘着力および耐熱粘着力を測定すること自体ができなかった。また、比較例4および5は、耐熱後の粘着力が増加しすぎるものであり、ともに耐熱粘着フィルムとしての使用に耐えがたいものであった。
○:混合した後2時間経っても大きな増粘は認められない。
×:混合した後2時間以内に明らかな増粘が認められる。
Claims (12)
- 分子の側鎖および末端の少なくとも一方に、三価以上のカルボン酸無水物に由来するカ ルボキシ基を有するポリエステル系樹脂と、架橋剤とを含有し、前記ポリエステル系樹脂が、多価カルボン酸類とポリオールとを反応させて得られた水酸基含有プレポリマーを、三価以上のカルボン酸無水物を用いた開環付加反応によって鎖延長させたポリエステル系樹脂であり、前記架橋剤がエポキシ系架橋剤であり、前記ポリエステル系樹脂中のカルボキシ基量と架橋剤中のエポキシ基量のモル比が100/20~100/600であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
- 分子の側鎖および末端の少なくとも一方に、三価以上のカルボン酸無水物に由来するカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂と、架橋剤とを含有し、前記ポリエステル系樹脂が、多価カルボン酸類とポリオールとを反応させて得られた水酸基含有プレポリマーを、三価以上のカルボン酸無水物を用いた開環付加反応によって鎖延長させたポリエステル系樹脂であり、前記三価以上のカルボン酸無水物が、テトラカルボン酸の二無水物であることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
- 上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が-90~20℃であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 上記ポリエステル系樹脂の酸価が5mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 上記ポリエステル系樹脂の重量平均分子量が2,000~500,000であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 上記架橋剤がエポキシ基を有する化合物であることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が架橋されてなることを特徴するポリエステル系粘着剤。
- 上記ポリエステル系粘着剤のゲル分率が70重量%以上であることを特徴とする請求項7記載のポリエステル系粘着剤。
- 請求項7または請求項8記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着フィルム。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物を用いてなることを特徴とする耐熱粘着フィルム用粘着剤組成物。
- 請求項10記載の耐熱粘着フィルム用粘着剤組成物からなる耐熱粘着フィルム用粘着剤層を有することを特徴するマスキング用耐熱粘着フィルム。
- 請求項11記載のマスキング用耐熱粘着フィルムを上記耐熱粘着フィルム用粘着剤層の粘着力を利用して被着体に貼り付ける工程と、上記被着体に貼り付けられたマスキング用耐熱粘着フィルムを上記被着体ごと120℃以上に加熱する加熱工程と、加熱工程を経由したマスキング用耐熱粘着フィルムを上記被着体から剥離する工程とを備えることを特徴とするマスキング用耐熱粘着フィルムの使用方法。
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