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JP7212829B2 - 硬化性組成物及びその硬化物、並びに半導体用配線層 - Google Patents

硬化性組成物及びその硬化物、並びに半導体用配線層 Download PDF

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JP7212829B2 JP2018224805A JP2018224805A JP7212829B2 JP 7212829 B2 JP7212829 B2 JP 7212829B2 JP 2018224805 A JP2018224805 A JP 2018224805A JP 2018224805 A JP2018224805 A JP 2018224805A JP 7212829 B2 JP7212829 B2 JP 7212829B2
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Description

本開示は、硬化性組成物及びその硬化物、並びに半導体用配線層に関する。
半導体パッケージの高密度化及び高性能化を目的に、異なる性能のチップを一つのパッケージに混載する実装形態が提案されている。この場合、コスト面に優れた、チップ間の高密度インターコネクト技術が重要になっている(例えば、特許文献1参照)。
複数のチップを高密度で実装するための形態として、高密度配線を有する有機基板を用いたパッケージ技術、スルーモールドビア(TMV:Through Mold Via)を有するファンアウト型のパッケージ技術(FO-WLP:FanOut-Wafer Level Package)、シリコン又はガラスインターポーザを用いたパッケージ技術、シリコン貫通電極(TSV:Through Silicon Via)を用いたパッケージ技術、基板に埋め込まれたチップをチップ間伝送に用いるパッケージ技術等が提案されている。
特に半導体用配線層及びFO-WLPにおいて半導体チップ同士を搭載する場合、当該半導体チップ同士を高密度で導通させるための微細な配線層が必要となる(例えば、特許文献2参照)。配線層内には、例えば5μm以下のライン幅とスペース幅とを有する微細な配線が配置される。当該配線は、例えばトレンチ法を用いて形成される。トレンチ法とは、配線層間に形成される絶縁層(配線層間絶縁層)の表面にレーザ等で形成したトレンチ(溝)に配線となる金属層をめっき法等によって形成する方法である。
配線層間絶縁層においては、絶縁性が好適に維持される(絶縁信頼性に優れる)必要がある。例えば、特許文献3には、良好な絶縁信頼性を有する配線層間絶縁層等を提供することを目的として、硬化性樹脂と、硬化剤とを含有し、銅配線と接する配線層間絶縁層を形成するために用いられる樹脂組成物が開示されている。
特表2012-529770号公報 米国特許出願公開第2011/0221071号明細書 国際公開第2018/056466号
ところで、配線層間絶縁層を形成する場合、複数の成分を混合してワニス状の樹脂組成物を調製し、当該樹脂組成物を製膜することがある。したがって、上述したような特性を有する配線層間絶縁層を好適に得るためには、ワニス状の樹脂組成物を調製したときに、含有成分が互いに相溶している必要があり、また、製膜後にも、濁り、相分離等が生じないことが求められる。
そこで、本発明は、相溶性に優れ、良好に製膜することが可能な組成物を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、マレイミド化合物と、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレート化合物と、下記式(1)で表される基を有するナジイミド化合物と、光重合開始剤とを含有し、(メタ)アクリレート化合物のHLB値が3.0~10.0である、硬化性組成物である。
Figure 0007212829000001

式(1)中、R11はアリル基を表し、mは0又は1を表す。
マレイミド化合物のHLB値は、4.0~5.0であってよい。ナジイミド化合物のHLB値は、4.0~9.0であってよい。
マレイミド化合物は、下記式(IX)で表される化合物を含んでよい。
Figure 0007212829000002

式(IX)中、Z及びZは、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、Rは4価の有機基を表し、nは1~10の整数を表す。
本発明の他の一側面は、上記の硬化性組成物の硬化物である。硬化物の10GHzでの誘電率は、3.0以下であってよい。硬化物の10GHzでの誘電正接は、0.01以下であってよい。
本発明の他の一側面は、上記の硬化物を含む半導体用配線層である。
本発明によれば、相溶性に優れ、良好に製膜することが可能な組成物を提供することができる。加えて、この組成物から得られる硬化物は、低誘電特性を示すと共に絶縁信頼性に優れる。
半導体パッケージの一実施形態を示す模式断面図である。 図1の半導体パッケージが有する配線層積層体を示す模式断面図である。
一実施形態に係る組成物は、マレイミド化合物と、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレート化合物と、ナジイミド化合物と、光重合開始剤とを含有する。この組成物は、光(更には熱)により硬化し得る硬化性組成物である。この組成物では、ナジイミド化合物が、硬化剤として機能し得る。
組成物は、マレイミド化合物の1種類又は2種類以上を含有する。マレイミド化合物は、例えば、下記式(I)で表されるマレイミド基を少なくとも2つ有する。
Figure 0007212829000003
マレイミド化合物は、例えば、下記式(II)で表される化合物である。
Figure 0007212829000004

式中、Xは、2価の炭化水素基を含む2価の連結基である。
Xで表される連結基に含まれる2価の炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれであってもよい。2価の炭化水素基は、鎖状及び環状のいずれであってもよく、鎖状の2価の炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよい。環状の不飽和炭化水素基は、芳香族基であってよい。2価の炭化水素基は、これらの基の2種以上を含んでいてもよい。Xには1種又は2種以上の構造単位がそれぞれ複数含まれていてよく、この場合、式(II)で表される化合物は、マレイミド基を2つ有するマレイミド基含有ポリマと呼ぶことができる。
2価の炭化水素基は、組成物の可とう性、並びに、組成物から作製されるフィルムの取り扱い性(タック性、割れ、粉落ち等)及び強度を高めることが可能となる観点から、好ましくは鎖状の炭化水素基を含み、より好ましくは炭素数6以上の主鎖を有する鎖状のアルキレン基を含む。
炭素数6以上の主鎖を有する鎖状のアルキレン基は、-(CR-で表される(mは6以上の整数を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数m未満のアルキル基を表す)。当該アルキレン基の主鎖の炭素数(m)は、好ましくは4以上又は6以上であり、好ましくは20以下、15以下又は10以下である。
2価の炭化水素基の炭素数は、マレイミド化合物の分子構造を三次元化し易く、ポリマの自由体積を増大させて低密度化、すなわち低誘電率化できる観点から、好ましくは8以上、10以上又は15以上であり、好ましくは300以下、250以下、200以下、100以下、70以下又は50以下である。2価の炭化水素基の炭素数は、同様の観点から、好ましくは、8~300、8~250、8~200、又は8~100であってもよい。2価の炭化水素基は、好ましくは、炭素数8~300、8~250、8~200又は8~100の分岐を有していてもよいアルキレン基、より好ましくは、炭素数10~70の分岐を有していてもよいアルキレン基、更に好ましくは、炭素数15~50の分岐を有していてもよいアルキレン基である。
2価の炭化水素基は、高周波特性及び耐HAST(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test)性をより効果的に高める観点から、下記式(III)で表される基であってよい。
Figure 0007212829000005

式中、R及びRは、それぞれ独立にアルキレン基を表し、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基を表す。
又はRで表されるアルキレン基の炭素数は、柔軟性の更なる向上及び合成の容易性の観点から、好ましくは4~50、より好ましくは5~25、更に好ましくは6~10、特に好ましくは7~10である。R及びRで表されるアルキレン基は、好ましくは、上述した炭素数6以上の主鎖を有する鎖状のアルキレン基である。
又はRで表されるアルキル基の炭素数は、柔軟性の更なる向上及び合成の容易性の観点から、好ましくは4~50、より好ましくは5~25、更に好ましくは6~10、特に好ましくは7~10である。
マレイミド化合物は、高周波特性及び伸び率をより効果的に高める観点から、好ましくは、2価の炭化水素基を複数有している。この場合、複数の2価の炭化水素基は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。マレイミド化合物は、好ましくは2~40個、より好ましくは2~20個、更に好ましくは2~10個の2価の炭化水素基を有する。
2価の炭化水素基は、例えば、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、イコシレン基、ヘンイコシレン基、ドコシレン基、トリコシレン基、テトラコシレン基、ペンタコシレン基、ヘキサコシレン基、ヘプタコシレン基、オクタコシレン基、ノナコシレン基、トリアコンチレン基等のアルキレン基;ベンジレン基、フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ベンジルプロピレン基、ナフチレンメチレン基、ナフチレンエチレン基等のアリーレンアルキレン基;フェニレンジメチレン基、フェニレンジエチレン基等のアリーレンジアルキレン基等であってもよい。
Xで表される連結基は、上記の2価の炭化水素基のみからなっていてもよく、上記の2価の炭化水素基に加えてその他の有機基を含んでいてもよい。その他の有機基は、例えば、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の有機基である。
少なくとも2つのイミド結合を有する2価の有機基は、例えば、下記式(IV)で表される基であってよい。
Figure 0007212829000006

式中、Rは、4価の有機基を表す。
で表される4価の有機基は、例えば、取り扱い性の観点から、炭化水素基であってよい。当該炭化水素基の炭素数は、例えば、1~100、2~50又は4~30であってよい。
当該炭化水素基は、置換されていてもよく、例えば、置換又は非置換のシロキサン基を含んでいてもよい。シロキサン基としては、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン等に由来する基が挙げられる。
置換基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、ヘテロ環基、置換ヘテロ環基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、アリールオキシ基、置換アリールオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミノ基、アミド基、-C(O)H、-C(O)-、-S-、-S(O)-、-OC(O)-O-、-C(O)-NR、-NRC(O)-N(R、-OC(O)-N(R、アシル基、オキシアシル基、カルボキシル基、カルバメート基、スルホニル基、スルホンアミド基、スルフリル基等であってもよい。ここで、Rは、水素原子又はアルキル基を表す。これらの置換基は、目的、用途等に合わせて、1種類又は2種類以上を選択できる。
で表される4価の有機基は、例えば、1分子中に2個以上の無水物環を有する酸無水物の4価の残基、すなわち、酸無水物から酸無水物基(-CO(=O)OC(=O)-)を2個除いた4価の基であってもよい。酸無水物としては、後述するような化合物が例示できる。
で表される有機基は、高周波特性に優れる観点から、好ましくは4価の芳香族基、より好ましくは、無水ピロメリット酸から2つの酸無水物基を取り除いた残基である。少なくとも2つのイミド結合を有する2価の有機基は、好ましくは、下記式(V)で表される基である。
Figure 0007212829000007
少なくとも2つのイミド結合を有する2価の有機基は、誘電特性に優れる観点から、下記式(VI)又は(VII)で表される基であってもよい。
Figure 0007212829000008

Figure 0007212829000009
マレイミド化合物は、高周波特性に優れ、組成物がその他の樹脂(特に高分子量の熱可塑性エラストマ樹脂)を更に含有する場合にその他の樹脂との相溶性に優れる観点から、好ましくは、少なくとも2つのイミド結合を有する2価の有機基を複数有する。この場合、複数の当該2価の有機基は、互いに同一であってもよく異なっていてもよい。マレイミド化合物は、好ましくは2~40個、より好ましくは2~20個、更に好ましくは2~10個の当該2価の有機基を有する。
マレイミド化合物は、より具体的には、一実施形態において、例えば、下記式(VIII)で表される化合物であってよく、下記式(IX)で表される化合物であってよい。
Figure 0007212829000010

Figure 0007212829000011

式中、Z、Z及びZは、それぞれ独立に上述した2価の炭化水素基を表し、Rは式(IV)中のRと同義であり、nは1~10の整数を表す。nが2以上である場合、複数のZは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
マレイミド化合物は、例えば市販品を購入して使用可能である。市販品としては、例えば、式(VIII)で表されるマレイミド化合物である、BMI-TMH、BMI-1000,BMI-1000H,BMI-1100,BMI-1100H,BMI-2000,BMI-2300,BMI-3000,BMI-3000H,BMI-4000,BMI-5100,BMI-7000,BMI-7000H(いずれも商品名、大和化成工業株式会社製),BMI,BMI-70,BMI-80(いずれも商品名、ケイ・アイ化成株式会社製)等が挙げられる。市販品としては、例えば、式(IX)で表されるマレイミド化合物である、SFR2300(商品名、日立化成株式会社製)、BMI-1500、BMI-1700、BMI-3000、BMI-5000及びBMI-9000(いずれも商品名、Designer Molecules Inc.(DMI)製)等が挙げられる。
マレイミド化合物のHLB値は、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上であり、硬化性組成物の硬化物の耐水性が更に良好になる観点から、好ましくは7.0以下、より好ましくは5.0以下である。マレイミド化合物のHLB値は、好ましくは3.0~7.0、より好ましくは3.0~5.0、更に好ましくは4.0~5.0であってもよい。
本明細書における「HLB値」とは、「有機概念図-基礎と応用-」(1984年三共出版発行、甲田善生著)に記載されている無機性基表から有機性値(OV)及び無機性値(IV)を用いて、下記式で計算することができる。
HLB値=10×(IV)/(OV)
HLB値は、親水性と親油性とのバランスを示す指標であって、一般に、HLB値が大きいほど親水性が高いことを意味する。
マレイミド化合物の重量平均分子量Mwは、1000以上、1500以上又は3000以上であってよく、30000以下、20000以下又は15000以下であってよい。マレイミド化合物の重量平均分子量Mwは、溶剤に対する溶解性、及び、モノマ、樹脂等の他の成分との相溶性の観点から、好ましくは1000~30000、より好ましくは1500~20000である。
マレイミド化合物の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。GPCの測定条件は下記のとおりである。
ポンプ:L-6200型[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
検出器:L-3300型RI[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
カラムオーブン:L-655A-52[株式会社日立ハイテクノロジーズ製]
ガードカラム及びカラム:TSK Guardcolumn HHR-L+TSKgel G4000HHR+TSKgel G2000HHR[すべて東ソー株式会社製、商品名]
カラムサイズ:6.0×40mm(ガードカラム)、7.8×300mm(カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
試料濃度:30mg/5mL
注入量:20μL
測定温度:40℃
マレイミド化合物の含有量は、組成物中の固形分全量を基準として、例えば、10質量%以上、40質量%以上、又は80質量%以上であってよく、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。
組成物は、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレート化合物(以下「多官能(メタ)アクリレート」ともいう)の1種類又は2種類以上を含有する。
組成物における各成分の互いの相溶性を向上させ、良好な製膜を可能にする観点から、多官能(メタ)アクリレートとして、特定のHLB値を有する多官能(メタ)アクリレートを用いる。多官能(メタ)アクリレートのHLB値は、3.0以上であり、好ましくは、4.0以上、4.2以上、4.4以上、4.6以上、4.8以上、又は5.0以上である。多官能(メタ)アクリレートのHLB値は、10.0以下であり、相溶性(特にマレイミド化合物との相溶性)を更に向上させ、より好適に良好な製膜を可能にする観点から、好ましくは、9.0以下、8.9以下、8.8以下、8.7以下、8.6以下、又は8.5以下である。多官能(メタ)アクリレートのHLB値は、好ましくは3.0~10.0、より好ましくは3.0~9.0、更に好ましくは4.0~9.0であってもよい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、上記のHLB値を有する多官能(メタ)アクリレートであれば使用可能である。多官能(メタ)アクリレートは、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を有するシルセスキオキサン誘導体等であってよい。
多官能(メタ)アクリレートは、耐熱性に優れる観点から、好ましくは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリロイル基を有するシルセスキオキサン誘導体であり、好適なHLB値を示す観点から、より好ましくは、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、又はトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートである。
多官能(メタ)アクリレートの含有量は、マレイミド化合物と多官能(メタ)アクリレートと(メタ)アクリロイル化合物との合計を100質量部としたときに、0.1質量部以上、2質量部以上、5質量部以上、又は20質量部以上であってよく、98質量部以下、50質量部以下、又は40質量部以下であってよく、低誘電特性と高耐熱性の両方を有する配線層間絶縁層を更に好適に形成できる観点から、好ましくは20~40質量部である。
組成物は、ナジイミド化合物の1種類又は2種類以上を含有する。ナジイミド化合物は、下記式(1)で表される基を有する化合物である。
Figure 0007212829000012

式(1)中、R11はアリル基を表し、mは0又は1を表す。
ナジイミド化合物は、式(1)で表される基を1つ有していてよく、2つ以上有していてよく、好ましくは2つ有する。ナジイミド化合物は、好ましくは、下記式(2)で表される化合物である。
Figure 0007212829000013

式(2)中、R11及びmは、それぞれ独立に、式(1)中のR11及びmとそれぞれ同義であり、R12は、2価の有機基を表す。
12で表される2価の有機基は、芳香族炭化水素基(芳香族環)を有していてよい。芳香族炭化水素基(芳香族環)は、ベンゼン残基、トルエン残基、キシレン残基、ナフタレン残基等であってよい。当該2価の有機基は、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基を有していてよい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基であってよい。当該2価の有機基は、上記の芳香族炭化水素基(芳香族環)及び脂肪族炭化水素基の両方を有していてもよい。
12で表される2価の有機基は、炭素原子及び水素原子のみを含む2価の炭化水素基であってよく、炭素原子及び水素原子に加えてその他の原子を含む2価の有機基であってもよく、好ましくは、2価の炭化水素基である。
2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であってよく、下記の構造を有する2価の脂肪族炭化水素基であってよい。
Figure 0007212829000014

式中、nは1~10の整数である。
2価の炭化水素基は、好ましくは、芳香族炭化水素基(芳香族環)を有する2価の炭化水素基であり、より好ましくは、下記の構造のいずれかを有する2価の炭化水素基である。
Figure 0007212829000015
その他の原子を含む2価の有機基は、炭素原子及び水素原子に加えて、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子等の原子の1種又は2種以上を含んでいてよい。その他の原子を含む2価の有機基は、好ましくは、下記の構造のいずれかを有する2価の炭化水素基である。
Figure 0007212829000016
ナジイミド化合物は、好ましくは、下記式(3)で表されるビスアリルナジイミド化合物(式(2)におけるmが1である化合物)である。
Figure 0007212829000017

式(3)中、R12は、式(2)中のR12と同義である。
ナジイミド化合物は、より好ましくは、式(3)におけるR12が芳香族炭化水素基(芳香族環)を有する2価の炭化水素基であるビスアリルナジイミド化合物であり、より好ましくは、下記式(3-1)又は(3-2)で表されるビスアリルナジイミド化合物であり、UV硬化性及びマレイミド化合物との相溶性に優れ、かつ低誘電特性を示す配線層間絶縁層を更に好適に形成できる観点から、より好ましくは、下記式(3-1)の点で表されるビスアリルナジイミド化合物である。
Figure 0007212829000018
ナジイミド化合物のHLB値は、好ましくは3.0以上、より好ましくは、4.0以上、5.0以上、又は6.0以上であり、相溶性(特にマレイミド化合物との相溶性)を更に向上させる観点から、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、8.0以下、又は7.0以下である。ナジイミド化合物のHLB値は、好ましくは3.0~10.0、より好ましくは3.0~9.0、更に好ましくは4.0~9.0であってもよい。
ナジイミド化合物の含有量は、マレイミド化合物と多官能(メタ)アクリレートとナジイミド化合物との合計を100質量部としたときに、耐熱性を十分に向上できる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、好ましくは90質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
組成物は、光重合開始剤の1種類又は2種類以上を含有する。光重合開始剤は、例えば光ラジカル重合開始剤であってよい。光ラジカル重合開始剤は、例えば、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤等であってよい。
アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤は、例えば、BASF社製のIrgacure651、Irgacure184、DAROCURE1173、Irgacure2959、Irgacure127、DAROCUREMBF、Irgacure907、Irgacure369、Irgacure379EG等として購入可能である。アシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤は、BASF社製のIrgacure819、LUCIRINTPO等として購入可能である。
光ラジカル重合開始剤は、BASF社製のIrgacure784、IrgacureOXE01、Irgacure OXE02、IrgacureOXE03、IrgacureOXE04、Irgacure754等として購入可能なその他の光ラジカル重合開始剤であってもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、感度が高い観点から、好ましくは、Irgacure907、Irgacure369、Irgacure379EG、IrgacureOXE01、Irgacure OXE02が好ましく用いられ、溶剤に対する溶解性の観点から、Irgacure907、Irgacure379EG、IrgacureOXE02がより好ましく用いられる。これらの光ラジカル重合開始剤は、目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量は、マレイミド化合物と多官能(メタ)アクリレートとナジイミド化合物との合計を100質量部としたときに、十分に硬化性組成物を硬化させられる観点から、好ましくは、0.1質量部以上であってよく、10質量部以下であってもよく、未反応物が更に残存しにくい観点から、より好ましくは、1質量部以上であってよく、6質量部以下であってもよい。
組成物は、カップリング剤を更に含有してもよい。カップリング剤は、例えばシランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤は、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、ウレイド基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、メルカプト基等を有していてよい。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1003,KBE-1003(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製。以下同様。)等が挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-303,402,403,KBE-402,403,X-12-981S,X-12-984S等が挙げられる。スチリル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-1403等が挙げられる。メタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-502,503,KBE-502,503等が挙げられる。アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、KBM-5103,X-12-1048,X-12-1050等が挙げられる。アミノ基を有するシランカップリング剤としては、KBM-602,603,903,573,575,KBE-903,9103P,X-12-972F等が挙げられる。ウレイド基を有するシランカップリング剤としては、KBE-585等が挙げられる。イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、KBE-9007,X-12-1159L等が挙げられる。イソシアヌレート基を有するシランカップリング剤としては、KBM-9659等が挙げられる。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、KBM-802,803,X-12-1154,X-12-1156等が挙げられる。これらは、目的、用途等に合わせて、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、マレイミド化合物とナジイミド化合物との合計を100質量部としたときに、ガラス、シリカ等との密着性を向上させる観点から、好ましくは、0.01質量部以上であってよく、5質量部以下であってもよく、未反応物が更に残存しにくい観点から、より好ましくは、0.1質量部以上であってよく、2質量部であってもよい。
組成物は、硬化剤として、ナジイミド化合物及び光重合開始剤に加えて、その他の硬化剤を更に含有してもよい。その他の硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン等の芳香族アミン化合物、ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン化合物、メラミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン化合物などが挙げられる。その他の硬化剤は、良好な反応性及び耐熱性が得られる観点から、好ましくは芳香族アミン化合物である。
組成物は、低吸湿性及び低透湿性を付与する観点から、フィラー(充填材)を更に含有してもよい。フィラーは、無機材料からなる無機フィラーでもよく、有機材料からなる有機フィラーでもよい。これらのフィラーは、好ましくは絶縁性のフィラーである。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、セラミック等が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、カーボン、ゴム系フィラー等が挙げられる。フィラーは、種類・形状等にかかわらず特に制限なく使用することができる。
フィラーは、所望する機能に応じて使い分けてもよい。例えば、無機フィラーは、配線層間絶縁層に熱伝導性、低熱膨張性、低吸湿性等を付与する目的で添加される。有機フィラーは、例えば、配線層間絶縁層に靭性等を付与する目的で添加される。フィラーは、無機フィラー及び有機フィラーの少なくともいずれかを含んでいればよい、フィラーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。フィラーは、配線層間絶縁層に求められる、熱伝導性、低吸湿特性、絶縁性等を付与できる観点から、好ましくは無機フィラーであり、樹脂ワニスに対する分散性が良好である観点と、加熱時に高い接着力を付与できる観点とから、より好ましくは、シリカフィラー及びアルミナフィラーの少なくともいずれかである。
フィラーの平均粒子径は、例えば10μm以下であり、フィラーの最大粒子径は、例えば30μm以下である。フィラーの平均粒子径が5μm以下であり、フィラーの最大粒子径が20μm以下であることが好ましい。平均粒子径が10μm以下であり、かつ最大粒子径が30μm以下であることにより、配線層間絶縁層の破壊靭性向上の効果を良好に発揮できると共に、配線層間絶縁層の接着強度の低下及びばらつきの発生を抑えることができ、また、配線層間絶縁層の表面が粗くなり、接着強度が低下することも抑制できる。フィラーの平均粒子径の下限、及び最大粒子径の下限は、特に制限はないが、どちらも0.001μm以上であってよい。
フィラーの平均粒子径及び最大粒子径の測定方法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、20個程度のフィラーの粒子径を測定する方法等が挙げられる。SEMを用いた測定方法としては、例えば、フィラーが含まれた組成物を加熱硬化(好ましくは150~180℃で1~10時間)させたサンプルを作製し、このサンプルの中心部分を切断して、その断面をSEMで観察する方法等が挙げられる。このとき、断面における粒子径30μm以下のフィラーの存在確率が、全フィラーの80%以上であることが好ましい。
フィラーの含有量は、付与する特性、又は機能に応じて適宜決められる。フィラーの含有量は、例えば、組成物の質量を基準として、好ましくは、1質量%~70質量%、又は2質量%~60質量%、より好ましくは5質量%~50質量%である。フィラーの含有量を増加させることにより、配線層間絶縁層の高弾性率化が図られる。これにより、ダイシング性(ダイサー刃による切断性)、ワイヤボンディング性(超音波効率)、及び加熱時の接着強度を有効に向上できる。熱圧着性の低下を抑制する観点から、フィラーの含有量は、上記の上限値以下であることが好ましい。求められる特性のバランスをとるべく、最適なフィラー含有量を決定してもよい。フィラーの混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行ってよい。
組成物は、保存安定性、エレクトロマイグレーション防止、及び金属導体回路の腐食防止の観点から、酸化防止剤を更に含有してもよい。酸化防止剤としては、特に制限はなく、例えばベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダートアミン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、添加による効果及び耐熱性、コスト等の観点から、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部~10質量部である。
組成物は、硬化を更に促進させるために、触媒を更に含有してもよい。触媒としては、例えば、過酸化物、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第二級アミン、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。触媒は、反応性の観点から、好ましくは、過酸化物、イミダゾール系化合物及び有機リン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、特にマレイミド基の自己重合性及びマレイミド基とアクリロイル基との反応に寄与する観点から、より好ましくは過酸化物である。
組成物は、難燃剤を更に含有してもよい。難燃剤としては、特に限定されないが、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤等の含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物は、紫外線吸収剤を更に含有してもよい。紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
組成物は、蛍光増白剤を更に含有してもよい。蛍光増白剤としては、特に限定されないが、例えば、スチルベン誘導体が挙げられる。
組成物は、フィルム状であっても、ワニス状(液状)であってもよい。この組成物は、含有成分の相溶性に優れているため、ワニス状であっても好適に使用することができる。
ワニスの調製手段、条件等は、特に限定されない。例えば、所定配合量の各主成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練し、得られた混練物を更に冷却及び粉砕する方法が挙げられる。混練方法は、特に限定されない。
組成物がワニスである場合、溶剤は、例えば有機溶媒であってよい。有機溶媒は、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;トルエン、キシレン、メシチレン、リモネン等の芳香族炭化水素;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素などであってよい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。有機溶媒は、溶解性の点で、好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、リモネン又はメシチレンであり、毒性が低い点で、より好ましくは、シクロペンタノン、リモネン又はメシチレンである。
有機溶媒は、例えば、ワニス中の組成物の固形分量が5~90質量%となるような量で使用することが好ましく、ワニスの取り扱い性及び塗布・塗工性を良好に保つ点から、当該固形分量が10~60質量%となるような量で使用することがより好ましい。
組成物の硬化物は、130℃、相対湿度85%の雰囲気に200時間置かれた後の吸湿率が、好ましくは1質量%以下である。組成物の硬化物の、130℃、相対湿度85%の環境に200時間置かれた後の吸湿率は、実施例の記載の方法で測定することができる。
配線層間のクロストークを抑制できる点で、組成物の硬化物の10GHzでの誘電率は、3.6以下、3.2以下、又は3.0以下であることが好ましく、更に電気信号の信頼性を向上できる点で2.8以下であることがより好ましい。当該誘電率は、1.0以上であってよい。組成物の硬化物の10GHzでの誘電正接は、好ましくは0.012以下、より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.008以下、更に好ましくは0.005以下であり、例えば0.0001以上であってよい。当該誘電率及び誘電正接は、実施例に記載の方法で測定することができる。
組成物の硬化物のガラス転移温度は、温度サイクル時のクラックを抑制する観点から120℃以上であることが好ましく、配線への応力を緩和できる点で140℃以上であることがより好ましい。組成物の硬化物のガラス転移温度は、低温でのラミネートを可能にする点で240℃以下であることが好ましく、硬化収縮を抑制できる点で220℃以下であることがより好ましい。組成物の硬化物のガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
組成物の硬化物の破断伸びは、配線層間絶縁層の反りを低減できる観点から、好ましくは5%以上であり、銅配線への応力を緩和できる観点から、より好ましくは10%以上であり、配線層積層体の温度サイクル信頼性を向上できる観点から、更に好ましくは15%以上である。上記破断伸びは、200%以下であってもよい。上記破断伸びは、実施例に記載の方法で測定することができる。
組成物の硬化物の5%重量減少温度は、耐熱信頼性の観点から、例えば300℃以上である。組成物の硬化物の5%重量減少温度は、180℃で2時間の加熱により組成物を硬化して得た厚さ300μmの硬化物をサンプルとして、示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度:10℃/分、窒素フロー:400mL/分の条件下で測定することができる。
組成物の硬化物の40℃における貯蔵弾性率は、10MPa~5GPaであってよい。
以上説明した組成物は、以下で説明するような半導体用の配線層に好適に用いられる。
図1は、半導体パッケージの一実施形態を示す模式断面図であり、図2は、図1の半導体パッケージが有する配線層積層体を示す模式断面図である。図1に示されるように、半導体パッケージ100は、基板1と、基板1上に設けられた配線層積層体10と、配線層積層体10上に搭載された半導体チップ2A,2Bとを備える。
基板1は、半導体チップ2C,2Dと電極5A,5Bとを絶縁材料4で封止して形成された封止体である。基板1内の半導体チップ2C,2Dは、絶縁材料4から露出した電極を介して外部装置と接続可能になっている。電極5A,5Bは、例えば、配線層積層体10と外部装置とが互いに電気的接続するための導電路として機能する。半導体チップ2A,2Bは、対応するアンダーフィル3A,3Bによって配線層積層体10上にそれぞれ固定されており、配線層積層体10内に設けられる表面配線(図示しない)を介して互いに電気的接続されている。半導体チップ2A~2Dのそれぞれは、配線層積層体10内の配線のいずれかに電気的に接続される。
半導体チップ2A~2Dのそれぞれは、例えば、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphic Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)若しくはSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RFチップ、シリコンフォトニクスチップ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、センサーチップなどである。半導体チップ2A,2Bの厚さは、例えば、30μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
アンダーフィル3A,3Bは、例えば、キャピラリーアンダーフィル(CUF)、モールドアンダーフィル(MUF)、ペーストアンダーフィル(NCP)、フィルムアンダーフィル(NCF)、又は感光性アンダーフィルである。アンダーフィル3A,3Bは、それぞれ液状硬化型樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を主成分として構成される。絶縁材料4は、例えば、絶縁性を有する硬化性樹脂である。
配線層積層体10は、図2に示されるように、有機絶縁層21,22、有機絶縁層21,22内に埋め込まれた銅配線13,14、及び銅配線13,14と有機絶縁層21,22との間に設けられたバリア金属膜15、16をそれぞれ含む複数の配線層41,42と、配線層41,42に隣接する配線層間絶縁層17,18と、有機絶縁層21,22、及び配線層間絶縁層17,18を貫通するスルー配線19とを備える(これらの各層をまとめて配線層ともいう)。有機絶縁層21,22と配線層間絶縁層17,18が基板11上に交互に積層されている。銅配線13,14の表面の一部が配線層41,42の一方の主面側に露出し、露出した銅配線13,14の表面に配線層間絶縁層17,18が接している。配線層間絶縁層17,18は、上述した組成物の硬化物である。有機絶縁層21,22は、感光性絶縁樹脂から形成された層であることができる。銅配線は、配線層の両方の主面側に露出し、露出した銅配線の表面に配線層間絶縁層が接していてもよい。
基板11は、配線層積層体10を支持する支持体である。基板11の平面視における形状は、例えば、円形状又は矩形状である。円形状である場合、基板11は、例えば、200mm~450mmの直径を有する。矩形状である場合、基板11の一辺は、例えば、300mm~700mmである。
基板11は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、又はピーラブル銅箔であってよい。基板11としてシリコン基板又はガラス基板等が用いられる場合、配線層積層体10と基板11とを仮固定する図示しない仮固定層が設けられてもよい。この場合、仮固定層を除去することによって、配線層積層体10から基板11を容易に剥離できる。ピーラブル銅箔とは、支持体、剥離層、及び銅箔が順に重なった積層体である。ピーラブル銅箔においては、支持体が基板11に相当し、銅箔がスルー配線19の一部を構成することができる。
有機絶縁層21(第1の有機絶縁層)は、基板11側に位置する第3の有機絶縁層23と、第2の有機絶縁層22側に位置する第4の有機絶縁層24とを含んでいる。第1の有機絶縁層21は、対応する銅配線13が配置された複数の溝部21a(第1の溝部)を有する。第4の有機絶縁層24は、溝部21aに対応する複数の開口部が設けられている。これらの開口部によって露出する第3の有機絶縁層23の表面が、溝部21aの内面における底面を構成している。溝部21aの側面は、第4の有機絶縁層24によって構成されている。
第3の有機絶縁層23及び第4の有機絶縁層24の厚さは、例えば、それぞれ0.5μm~10μmであってよい。第1の有機絶縁層21の厚さは、例えば、1μm~20μmであってよい。
複数の溝部21aは、第1の有機絶縁層21において基板11と反対側の表面に設けられている。溝部21aの延在方向に直交する方向に沿った断面において、溝部21aのそれぞれは略矩形状を有している。溝部21aの内面は、側面及び底面を有している。複数の溝部21aは、所定のライン幅L及びスペース幅Sを有している。ライン幅L及びスペース幅S、それぞれ独立に、例えば0.5μm~10μmであってよい。ライン幅Lは、平面視にて溝部21aの延在方向に直交する方向における溝部21aの幅に相当する。スペース幅Sは、隣り合う溝部21a同士の距離に相当する。溝部21aの深さは、例えば、第4の有機絶縁層24の厚さに相当する。
有機絶縁層22(第2の有機絶縁層)は、配線層間絶縁層17(第1の配線層間絶縁層)を挟んで第1の有機絶縁層21上に積層されている。第2の有機絶縁層22は、対応する銅配線14が配置された複数の溝部22a(第2の溝部)を有する。
第2の有機絶縁層22の厚さは、例えば、1μm~10μmであってよい。第2の有機絶縁層22の一部には、溝部22aに対応する複数の開口部が設けられている。これらの開口部によって露出する第1の配線層間絶縁層17の表面が、溝部22aの内面における底面を構成している。溝部22aの各側面は、第2の有機絶縁層22によって構成されている。複数の溝部22aのライン幅及びスペース幅は、溝部21aのライン幅L及びスペース幅Sと一致している。
銅配線13は、上述したように対応する溝部21a内に設けられ、配線層積層体10内部における導電路として機能する。銅配線13の幅は、溝部21aのライン幅Lと略一致しており、隣り合う銅配線13同士の間隔は、溝部21aのスペース幅Sと略一致している。銅配線14は、上述したように対応する溝部22a内に設けられ、配線層積層体10内部における導電路として機能する。このため、銅配線13の幅は、溝部22aのライン幅と略一致しており、隣り合う銅配線14同士の間隔は、溝部22aのスペース幅と略一致している。銅配線14は、銅配線13と同様の金属材料を含有している。
バリア金属膜15(第1のバリア金属膜)は、銅配線13と第1の有機絶縁層21(すなわち、溝部21aの内面)とを仕切るように設けられる金属膜である。第1のバリア金属膜15は、銅配線13からの第1の有機絶縁層21への銅の拡散を防止するための膜であり、溝部21aの内面に沿って形成されている。このため、第1のバリア金属膜15は、有機絶縁層へ拡散しにくい金属材料(例えば、チタン、クロム、タングステン、パラジウム、ニッケル、金、タンタル又はこれらを含む合金)を含んでいる。
第1のバリア金属膜15の厚さは、溝部21aの幅の半分未満且つ溝部21aの深さ未満である。銅配線13同士の導通を防ぐ観点及び銅配線13の抵抗上昇を抑制する観点から、第1のバリア金属膜15の厚さは、例えば、0.001μm~0.5μmであってよい。
第2のバリア金属膜16は、銅配線14と第2の有機絶縁層22(すなわち、溝部22aの内面)とを仕切るように設けられる金属膜である。第2のバリア金属膜16は、銅配線14からの第2の有機絶縁層22への銅の拡散を防止するための膜であり、溝部22aの内面に沿って形成されている。このため、第2のバリア金属膜16は、第1のバリア金属膜15と同様に、有機絶縁層へ拡散しにくい金属材料を含んでいる。第2のバリア金属膜16の厚さは、第1のバリア金属膜15と同様に、溝部22aの幅の半分未満且つ溝部22aの深さ未満であり、例えば、0.001μm~0.5μmであってよい。
第1の配線層間絶縁層17は、銅配線13からの第1の有機絶縁層21及び第2の有機絶縁層22への銅の拡散を防止するための絶縁膜である。第1の配線層間絶縁層17は、配線層41(第1の配線層)と配線層42(第2の配線層)との間に、銅配線13と第2の有機絶縁層22とを仕切るように設けられている。第1の配線層間絶縁層17は、第1の配線層41の基板11とは反対側の主面に露出した銅配線13の表面と接している。配線層積層体10を薄くできる観点から、第1の配線層間絶縁層17の厚さは、例えば50μm以下であってよい。
第2の配線層間絶縁層18は、銅配線14からの第2の有機絶縁層22への銅の拡散を防止するための絶縁膜である。第2の配線層間絶縁層18は、第2の配線層42の基板11とは反対側の主面に露出した銅配線14の表面と接しながら、第2の配線層42上に設けられている。第2の配線層間絶縁層18は、第1の配線層間絶縁層17と同様の材料を含んでおり、且つ、第1の配線層間絶縁層17と同様の特性を有している。
スルー配線19は、配線層41,42、及び配線層間絶縁層17,18を貫通するビア31に埋め込まれる配線であり、外部装置への接続端子として機能する。
半導体パッケージにおける銅配線は、上述したように、トレンチ法により形成されてもよく、他の一実施形態においては、SAP(Semi Additive Process)により形成されてもよい。いずれの場合であっても、上述した組成物は、半導体用の配線層の形成に好適に用いられる。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の各成分を用いた。
(A):下記式で表されるマレイミド化合物(n=1~10の混合物、重量平均分子量:15000~20000程度、HLB値:4.4、日立化成株式会社製、商品名:SFR2300)
Figure 0007212829000019
(B-1):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(HLB値:5.7、新中村化学工業株式会社製、商品名:A-DCP)
(B-2):トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(HLB値:5.1、新中村化学工業株式会社製、商品名:DCP)
(B-3):エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(HLB値:8.4、新中村化学工業株式会社製、商品名:ABE-300)
(B-4):エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(HLB値:8.5、新中村化学工業株式会社製、商品名:BPE-200)
(B-5):トリメチロールプロパントリアクリレート(HLB値:7.7、新中村化学工業株式会社製、商品名:A-TMPT)
(B-6):ネオペンチルジアクリレート(HLB値:7.9、日本化薬株式会社製、商品名:KAYATAD NPGDA)
(b-1):エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(HLB値:12.1、新中村化学工業株式会社製、商品名:A-9300)
(b-2):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(HLB値:10.2、新中村化学工業株式会社製、商品名:A-DPH)
(b-3):ポリエチレングリコールジアクリレート(HLB値:16.4、新中村化学工業株式会社製、商品名:A-200)
(b-4):ペンタエリスリトールテトラアクリレート(HLB値:10.2、新中村化学工業株式会社製、商品名:A-TMMT)
(C):下記式(3-1)で表されるナジイミド化合物(HLB値:6.5、丸善石油化学株式会社製、商品名:BANI-X)
Figure 0007212829000020
(D-1):光ラジカル重合開始剤(BASF社製、商品名:IrgacureOXE02)
(D-2):光ラジカル重合開始剤(BASF社製、商品名:Irgacure379EG)
<ワニス状の硬化性組成物の調製>
50mLフラスコ内で、表1,2に示す配合比(質量部)に従って各成分を配合し、ミックスロータ(アズワン株式会社製、商品名:MR-5)上で、1時間、常温(25℃)、ロータ回転数:40rpmの条件で攪拌及び混合して、ワニス状の硬化性組成物(以下、単に「ワニス」ともいう)を得た。
<相溶性の評価>
得られた各ワニスを1時間静置した後、目視によってワニスを観察し、濁り、相分離及び沈殿が生じなかった場合を「A」、濁り、相分離及び沈殿のいずれかが生じた場合を「B」として、相溶性を評価した。評価がAであれば、相溶性が良好であるといえる。
<製膜性の評価>
得られた各ワニスをピーラブル銅箔上に下記条件でスピンコートし、次いで、下記条件で乾燥及び露光を順に行って硬化膜を得た。その後、目視で硬化膜の外観を観察し、濁り及び相分離が生じなかった場合を「A」、濁り及び相分離が生じた場合を「B」として、製膜性を評価した。評価がAであれば、製膜性が良好であるといえる。
・スピンコート条件
Step.1:400rpm/5秒
Step.2:800rpm/30秒
SLOPE:5秒間
・乾燥条件
90℃、5分間
120℃、5分間
・露光条件
露光量:200mJ/cm
ブロードバンド露光
実施例については、以下の各特性も評価した。
<誘電特性の評価>
上記で得られた硬化膜を所定のサイズに切り出した評価用サンプルを用いて、SPDR法にて誘電特性(誘電率Dk及び誘電正接Df)を測定した。SPDRにはアジレント・テクノロジー株式会社製のSPDR誘電体共振器を、測定器にはアジレント・テクノロジー株式会社製ベクトル型ネットワークアナライザE8364Bを、測定プログラムにはCPMA-V2をそれぞれ使用した。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
<絶縁信頼性(b-HAST耐性)の評価>
SAPを用いて作製された櫛状配線上に、スピンコートにて上記のワニスを塗布し、続いて、乾燥、露光及びPEBを経て、評価用サンプルを作製した。なお、スピンコート、乾燥、露光及び露光後ベークの条件は、それぞれ上記の硬化膜の条件と同じとした。湿度85%、130℃の条件下において、作製した櫛状配線に3.3Vの電圧を印加した状態で静置した。陽極と陰極との間の抵抗値を予定の時間ごとに測定し、当該抵抗値が、300時間以上1×10Ω以上であったもの「A」(絶縁信頼性(b-HAST耐性)あり)とし、そうでなかったものを「B」(絶縁信頼性(b-HAST耐性)なし)として評価した。
<ガラス転移温度の測定>
誘電特性の評価用サンプルと同様にして作製した評価サンプルを、8mm×3cmの大きさに切り出した。このサンプルについて、DMA(動的粘弾性測定)装置(株式会社ユービーエム製、商品名:Rheogel-E4000)を用い、チャック間距離20mm、周波数10Hz、昇温速度10℃/分、温度範囲-30~300℃の条件で引っ張り法にて測定した、tanδが最大値を示す温度をガラス転移温度(℃)として記録した。
<線膨張率の測定>
誘電特性の評価用サンプルと同様にして作製した評価サンプルを、4mm×3cmの大きさに切り出し、TMA(熱機械的分析)装置(セイコーインスツル株式会社製、商品名:TMA/SS6000)を用いて、荷重10mNかつ下記の温度条件で、引っ張り法にて、50℃~70℃における線膨張率α1(10-6/K)及び200℃~220℃における線膨張率α2(10-6/K)を測定した。
・温度条件
30℃→200℃ (昇温速度10℃/分)
200℃→30℃ (降温速度20℃/分)
30℃→260℃ (昇温速度5℃/分)
260℃→30℃ (降温速度20℃/分)
<スパッタ耐性>
シリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)上に、スピンコートにて上記のワニスを塗布し、90℃/3分加熱乾燥して、シリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。高精度平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM-1172-B-∞)を用いて1000mJ/cmで露光した。さらに、100℃/1分の条件で追加加熱を行った後、220℃/2時間更に加熱してサンプルを得た。
得られたサンプルの樹脂膜上に、50nmのチタン膜をスパッタで製膜し、次いで、150nmの銅膜をスパッタで製膜した。冷却後、サンプルを取り出し、スパッタ膜における割れ又はシワの有無を顕微鏡にて観察した。スパッタ膜に割れ又はシワが観察されたかったものを「A」(スパッタ耐性あり)、割れ又はシワが観察されたものを「B」(スパッタ耐性なし)として評価した。
<吸湿率の測定>
ウェハ(6インチ径、厚さ400μm)にスピンコータを用いて上記のワニスを塗布し、90℃/3分乾燥させて樹脂層を形成した。1000mJ/cmで露光して硬化させた後、220℃/2時間加熱することによって、試料を作製した。この試料を、相対湿度85%、130℃に設定された恒温恒湿槽(エスペック株式会社製、商品名:EHS-221MD)内にて、200時間静置した。そして、恒温恒湿槽内を50℃まで下げた後、試料を取り出し、シリコンウェハ上から樹脂の一部を削り取った。削り取られた樹脂の一部を示差熱熱重量同時測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製、商品名:TG/DTA6300)を用いて、昇温速度:10℃/分、窒素フロー:400mL/分、温度範囲:25℃~150℃の条件下で測定した。一方で、同様に作製した試料を、130℃で2時間乾燥させ、同様の方法でTG-DTAを測定した。これらの150℃における重量減少率の差を吸湿率として算出した。
<伸び率の測定>
ピーラブルコア上に上記のワニスをスピンコートし、乾燥させた。次に露光する際、長さ30mm、幅5mmのマスクを介して露光した。得られた資料を現像したのち、220℃で2時間硬化させた。以降は上記と同様に銅箔部をエッチングすることで樹脂フィルムを得た。得られたサンプルを、小型卓上試験機(株式会社島津製作所製、商品名:EZ-S)にて送り速度5mm/分にて測定したときの破断伸びを測定した。この方法で作製した樹脂フィルムは、端部がなめらかであるため、カッターなどの刃物を用いて切り出したサンプルと比較して、より高い伸び率が得られた。
<微細配線形成性の評価>
シリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)上に、スピンコートにてワニスを塗布し、90℃/3分加熱乾燥して、シリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。その際、乾燥後の樹脂の膜厚は5μmとなるようにスピンコート条件を調整した。次に、Line/Space(L/S(μm/μm))が200/200、100/100、80/80、60/60、50/50、40/40、30/30、20/20、10/10、7/7、5/5、4/4、3/3で、ビア径が50、40、30、20、10、7、5、4、3μmとなるネガ型用パターンマスクを載せ、高精度平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM-1172-B-∞)を用いて1000mJ/cmで露光した。さらに、100℃/1分の条件で追加加熱を行い、サンプルを得た。得られたサンプルをシクロペンタノンに室温(25℃)で60秒、揺動しながら浸漬、次いでシクロペンタノンでリンスしてからイソプロピルアルコールに室温(25℃)で5秒間浸漬した。その後、圧空を吹きかけるなどしてイソプロピルアルコールを揮発させた。
微細配線形成性は、樹脂膜のウェハ上から剥離、樹脂膜のひび割れ、パターン端部の荒れの有無、及び、樹脂を現像したパターン底部の残渣の有無を金属顕微鏡で確認した。これらの不具合が確認できなかった最小のL/S及びビア径を微細加工性とした。
以上説明した各特性の評価結果を表1,2に示す。
Figure 0007212829000021
Figure 0007212829000022
1…基板、2A~2D…半導体チップ、3A,3B…アンダーフィル、4…絶縁材料、10…配線層積層体、11…基板、13…銅配線、14…銅配線、15,16…バリア金属膜、17,18…配線層間絶縁層、21…有機絶縁層、21a…溝部、22…有機絶縁層、22a…溝部、100…半導体パッケージ、L…ライン幅、S…スペース幅。

Claims (7)

  1. マレイミド化合物と、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレート化合物と、下記式(1)で表される基を有するナジイミド化合物と、光重合開始剤とを含有し、
    前記マレイミド化合物が、下記式(IX)で表される化合物を含み、
    前記(メタ)アクリレート化合物のHLB値が3.0~10.0である、硬化性組成物。
    Figure 0007212829000023

    [式(1)中、R11はアリル基を表し、mは0又は1を表す。]
    Figure 0007212829000024

    [式(IX)中、Z 及びZ は、それぞれ独立に2価の炭化水素基を表し、R は4価の有機基を表し、nは1~10の整数を表す。]
  2. 前記マレイミド化合物のHLB値が4.0~5.0である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記ナジイミド化合物のHLB値が4.0~9.0である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
  5. 10GHzでの誘電率が3.0以下である、請求項に記載の硬化物。
  6. 10GHzでの誘電正接が0.01以下である、請求項又はに記載の硬化物。
  7. 請求項のいずれか一項に記載の硬化物を含む、半導体用配線層。
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