JP7205664B2 - Fe電気めっき鋼板,電着塗装鋼板,自動車部品,電着塗装鋼板の製造方法,およびFe電気めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
前記Si含有冷延鋼板の少なくとも片面に形成された,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上であるFe系電気めっき層とを有する,Fe系電気めっき鋼板。
C:0.8%以下,
Mn:1.0%以上12.0%以下,
P:0.1%以下,
S:0.03%以下,
N:0.010%以下および
Al:1.0%以下を含有し,残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する,前記[1]から[3]のいずれか1項に記載のFe系電気めっき鋼板。
B:0.005%以下,
Ti:0.2%以下,
Cr:1.0%以下,
Cu:1.0%以下,
Ni:1.0%以下,
Mo:1.0%以下,
Nb:0.20%以下,
V:0.5%以下,
Sb:0.200%以下,
Ta:0.1%以下,
W:0.5%以下,
Zr:0.1%以下,
Sn:0.20%以下,
Ca:0.005%以下,
Mg:0.005%以下および
REM:0.005%以下
からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する,前記[4]に記載のFe系電気めっき鋼板。
前記冷延鋼板の少なくとも片面に形成された,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上であるFe系電気めっき層とを有する,Fe系電気めっき鋼板。
ここで,前記冷延鋼板は,圧延直角方向を長手として50×150mmに切り出した試験片を,同サイズに切り出した溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板と重ねて板組とし,
次いで,サーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて,該抵抗溶接機の電極(先端径6mm)に対して前記板組を5°傾けた状態で,前記板組に,加圧力:3.5kN,ホールドタイム:0.1秒,並びに前記冷延鋼板の板厚をtとしてナゲット径が4.5√tmmになる溶接電流および溶接時間の条件にて抵抗溶接を施して溶接部付き板組とし,
次いで,前記溶接部付き板組を溶接部を含むように半切して,該溶接部の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察した場合に,0.1mm以上の長さのき裂が認められる冷延鋼板である。
前記化成処理鋼板に電着塗装処理を施して,前記化成処理皮膜上に電着塗装皮膜が形成された電着塗装鋼板を得る,電着塗装工程と,
を含む,電着塗装鋼板の製造方法。
次いで,前記Si含有冷延鋼板にFe系電気めっきを施して,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上のFe系電気めっき層が少なくとも片面に形成されたFe系電気めっき鋼板を得る,Fe系電気めっき鋼板の製造方法。
次いで,前記冷延鋼板にFe系電気めっきを施して,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上のFe系電気めっき層が少なくとも片面に形成されたFe系電気めっき鋼板を得る,Fe系電気めっき鋼板の製造方法。
ここで,前記冷延鋼板は,圧延直角方向を長手として50×150mmに切り出した試験片を,同サイズに切り出した溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板と重ねて板組とし,
次いで,サーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて,該抵抗溶接機の電極(先端径6mm)に対して前記板組を5°傾けた状態で,前記板組に,加圧力:3.5kN,ホールドタイム:0.1秒,並びに前記冷延鋼板の板厚をtとしてナゲット径が4.5√tmmになる溶接電流および溶接時間の条件にて抵抗溶接を施して溶接部付き板組とし,
次いで,前記溶接部付き板組を溶接部を含むように半切して,該溶接部の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察した場合に,0.1mm以上の長さのき裂が認められる冷延鋼板である。
なお,以下の説明において,Si含有冷延鋼板の成分組成の各元素の含有量,めっき層成分組成の各元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であり,特に断らない限り単に「%」で示す。また,本明細書中において,「~」を用いて表される数値範囲は,「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また,本明細書において,鋼板が「高強度」であるとは,JIS Z 2241(2011)に準拠して測定した鋼板の引張強さTSが590MPa以上であることを意味する。
図1に,本実施形態に係るFe系電気めっき鋼板1の断面の概要を示す。図1に示すように,Fe系電気めっき鋼板1は,Si含有冷延鋼板2の少なくとも片面に,Fe系電気めっき層3を有する。まず,Si含有冷延鋼板の成分組成について説明する。
Siは,加工性を大きく損なうことなく,固溶により鋼の強度を高める効果(固溶強化能)が大きいため,鋼板の高強度化を達成するのに有効な元素である。一方で,Siは化成処理性や塗装後耐食性,および溶接部における耐抵抗溶接割れ特性に悪影響を及ぼす元素でもある。Siを鋼板の高強度化を達成するために添加する場合には,0.5%以上の添加が必要である。また,Siが0.5%未満では,化成処理性および溶接部における耐抵抗溶接割れ特性に特に問題は生じず,本発明を適用する必要性に乏しい。一方,Siの含有量が3.0%を超えると,熱間圧延性および冷間圧延性が大きく低下し,生産性に悪影響を及ぼしたり,鋼板自体の延性の低下を招いたりする。よって,Siは0.5%以上3.0%以下の範囲で添加する。Si量は,好ましくは0.7%以上,より好ましくは0.9%以上とする。また,Si量は,好ましくは2.5%以下,より好ましくは2.0%以下,さらに好ましくは1.7%以下とする。
Cは,鋼組織としてマルテンサイトなどを形成させることで加工性を向上する。Cを含有させる場合,良好な溶接性を得るため,C量は0.8%以下とすることが好ましく,0.30%以下とすることがより好ましい。Cの下限は特に限定されないが,良好な加工性を得るためにはC量は0%超であることが好ましく,0.03%以上とすることがより好ましく,0.05%以上含有させることがさらに好ましい。
Mnは,鋼を固溶強化して高強度化するとともに,焼入性を高め,残留オーステナイト,ベイナイト,およびマルテンサイトの生成を促進する作用を有する元素である。このような効果は,Mnを1.0%以上添加することで発現する。一方,Mn量が12.0%以下であれば,コストの上昇を招かずに上記効果が得られる。よって,Mn量は1.0%以上とすることが好ましく,12.0%以下とすることが好ましい。Mn量は1.3%以上とすることがより好ましく,1.5%以上とすることがさらに好ましく,1.8%以上とすることが最も好ましい。また,Mn量は3.5%以下とすることがより好ましく,3.3%以下とすることがさらに好ましい。
Pの含有量を抑制することで,溶接性の低下を防ぐことができる。さらにPが粒界に偏析することを防いで,延性,曲げ性,および靭性が劣化することを防ぐことができる。
また,Pを多量に添加すると,フェライト変態を促進することで結晶粒径も大きくなってしまう。そのため,P量は0.1%以下とすることが好ましい。Pの下限は特に限定されず,生産技術上の制約から0%超であり得,0.001%以上であり得る。
S量は0.03%以下とすることが好ましく,0.02%以下とすることがより好ましい。S量を抑制することで,溶接性の低下を防ぐとともに,熱間時の延性の低下を防いで,熱間割れを抑制し,表面性状を著しく向上することができる。さらに,S量を抑制することで,不純物元素として粗大な硫化物を形成することにより,鋼板の延性,曲げ性,伸びフランジ性の低下を防ぐことができる。これらの問題はS量が0.03%を超えると顕著となり,Sの含有量は極力低減することが好ましい。Sの下限は特に限定されず,生産技術上の制約から0%超であり得,0.0001%以上であり得る。
Nの含有量は0.010%以下とすることが好ましい。Nの含有量を0.010%以下とすることで,NがTi,Nb,Vと高温で粗大な窒化物を形成することでTi,Nb,V添加による鋼板の高強度化の効果が損なわれることを防ぐことができる。また,Nの含有量を0.010%以下とすることで靭性の低下も防ぐことができる。さらに,Nの含有量を0.010%以下とすることで,熱間圧延中にスラブ割れ,表面疵が発生することを防ぐことができる。Nの含有量は,好ましくは0.005%以下であり,より好ましくは0.003%以下であり,さらに好ましくは0.002%以下である。Nの含有量の下限は特に限定されず,生産技術上の制約から0%超であり得,0.0005%以上であり得る。
Alは熱力学的に最も酸化しやすいため,SiおよびMnに先だって酸化し,SiおよびMnの鋼板最表層での酸化を抑制し,SiおよびMnの鋼板内部での酸化を促進する効果がある。この効果はAl量が0.01%以上で得られる。一方,Al量が1.0%を超えるとコストアップになる。したがって,添加する場合,Al量は1.0%以下とすることが好ましい。Al量は0.1%以下とすることがより好ましい。Alの下限は特に限定されず,0%超であり得,0.001%以上であり得る。
Bは鋼の焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。焼入れ性を向上するためには,B量は0.0003%以上とすることが好ましく,0.0005%以上とすることがより好ましい。しかし,Bを過度に添加すると成形性が低下するため,B量は0.005%以下とすることが好ましい。
Tiは鋼の析出強化に有効である。Tiの下限は特に限定されないが,強度調整の効果を得るためには,0.005%以上とすることが好ましい。しかし,Tiを過度に添加すると,硬質相が過大となり,成形性が低下するため,Tiを添加する場合,Ti量は0.2%以下とすることが好ましく,0.05%以下とすることがより好ましい。
Cr量は0.005%以上とすることが好ましい。Cr量を0.005%以上とすることで,焼き入れ性を向上し,強度と延性とのバランスを向上することができる。添加する場合,コストアップを防ぐ観点から,Cr量は1.0%以下とすることが好ましい 。
Cu量は0.005%以上とすることが好ましい。Cu量を0.005%以上とすることで,残留γ相の形成を促進することができる。また,Cu量を添加する場合,コストアップを防ぐ観点から,Cu量は1.0%以下とすることが好ましい。
Ni量は0.005%以上とすることが好ましい。Ni量を0.005%以上とすることで,残留γ相の形成を促進することができる。また,Niを添加する場合,コストアップを防ぐ観点から,Ni量は1.0%以下とすることが好ましい。
Mo量は0.005%以上とすることが好ましい。Mo量を0.005%以上とすることで,強度調整の効果を得ることができる。また,Moを添加する場合,コストアップを防ぐ観点から,Mo量は1.0%以下が好ましい。
Nbは,0.005%以上含有することで強度向上の効果が得られる。また,Nbを含有する場合,コストアップを防ぐ観点から,Nb量は0.20%以下とすることが好ましい。
Vは,0.005%以上含有することで強度向上の効果が得られる。また,Vを含有する場合,コストアップを防ぐ観点から,V量は0.5%以下とすることが好ましい。
Sbは鋼板表面の窒化,酸化,あるいは酸化により生じる鋼板表面の数十ミクロン領域の脱炭を抑制する観点から含有することができる。Sbは,鋼板表面の窒化および酸化を抑制することで,鋼板表面においてマルテンサイトの生成量が減少するのを防止し,鋼板の疲労特性および表面品質を改善する。このような効果を得るために,Sb量は0.001%以上とすることが好ましい。一方,良好な靭性を得るためには,Sb量は0.200%以下とすることが好ましい。
Taは,0.001%以上含有することで強度向上の効果が得られる。また,Taを含有する場合,コストアップを防ぐ観点から,Ta量は0.1%以下とすることが好ましい。
Wは,0.005%以上含有することで強度向上の効果が得られる。また,Wを含有する場合,コストアップを防ぐ観点から,W量は0.5%以下とすることが好ましい。
Zrは,0.0005%以上含有することで強度向上の効果が得られる。また,Zrを含有する場合,コストアップを防ぐ観点から,Zr量は0.1%以下とすることが好ましい。
Snは脱窒,脱硼等を抑制して,鋼の強度低下抑制に有効な元素である。こうした効果を得るにはそれぞれ0.002%以上とすることが好ましい。一方,良好な耐衝撃性を得るために,Sn量は0.20%以下とすることが好ましい。
Caは,0.0005%以上含有することで硫化物の形態を制御し,延性,靭性を向上させることができる。また,良好な延性を得る観点から,Ca量は0.005%以下とすることが好ましい。
Mgは,0.0005%以上含有することで硫化物の形態を制御し,延性,靭性を向上させることができる。また,Mgを含有する場合,コストアップを防ぐ観点から,Mg量は0.005%以下とすることが好ましい。
REMは,0.0005%以上含有することで硫化物の形態を制御し,延性,靭性を向上させることができる。また,REMを含有する場合,良好な靭性を得る観点から,REM量は0.005%以下とすることが好ましい。
Fe系電気めっき層:15.0g/m2以上
片面あたりの付着量が15.0g/m2以上のFe系電気めっき層を有することで,焼鈍時に鋼板表面に形成されたSi含有酸化物層を被覆して化成処理性および塗装後耐食性を向上させることができる。また,Fe系電気めっき層は軟質であるため,溶接時に鋼板表面に付与される応力を緩和することができ,抵抗溶接部の残留応力を低減することにより,溶接部における耐抵抗溶接割れ特性,特に内割れを防ぐ特性を向上させることができていると考えられる(応力緩和効果)。さらに,Fe系電気めっき層はSi欠乏層として働くため,Si固溶による溶接部の靭性低下を抑制し,溶接部における耐抵抗溶接割れ特性に優れた鋼板を得ることができる。片面あたりの付着量が15.0g/m2以上のFe系電気めっき層により溶接部における耐抵抗溶接割れ特性が向上するメカニズムは明らかではないが,鋼板表面における固溶Si量が多い場合には溶接部で靭性が低下して溶接部における耐抵抗溶接割れ特性が劣化するものと考えられる。これに対し,一定量以上のFe系電気めっき層を鋼板表面に有する場合,該Fe系電気めっき層が固溶Si欠乏層として働き,溶接部に固溶するSiが減少するため,溶接部の靭性の低下が抑制されて溶接部における耐抵抗溶接割れ特性,特に内割れを防ぐ特性が改善すると考えられる(靭性低下抑制効果)。また,焼鈍後にFe系電気めっき層を施すことにより,Fe系電気めっき層とSi含有冷延鋼板との界面においてFe系電気めっき層とSi含有冷延鋼板との結晶方位が一体化する割合を低減することができる。そのため,溶解した亜鉛めっき層がFe系電気めっき鋼板の結晶粒界を経由してSi含有冷延鋼板の結晶粒界に侵入することを防ぐことができ,溶接部における耐抵抗溶接割れ特性,特に内割れを防ぐ特性を改善することができると考えられる(亜鉛の粒界侵入抑制効果)。これらFe系電気めっき層付与による応力緩和効果,靭性低下抑制効果,および亜鉛の粒界侵入抑制効果の耐抵抗溶接割れ特性への寄与は複雑ゆえ定量的には明らかではないが,複合的に作用して耐抵抗溶接割れ特性を改善しているものと考えられる。Fe系電気めっき層の片面あたりの付着量が3g/m2以上であれば,優れた化成処理性および塗装後耐食性が得られるが,溶接部における耐抵抗溶接割れ特性を向上させる効果を生じさせるためには,Fe系電気めっき層の片面あたりの付着量を15.0g/m2以上とすることが必要である。Fe系電気めっき層の片面あたりの付着量の上限は特に限定されないが,コストの観点から,Fe系電気めっき層の片面あたりの付着量を60g/m2以下とすることが好ましい。Fe系電気めっき層の付着量は,好ましくは15g/m2超,より好ましくは17g/m2以上,さらに好ましくは20g/m2以上,最も好ましくは25g/m2以上,あるいは30g/m2以上とする。Fe系電気めっき鋼板は,好ましくはSi含有冷延鋼板の表裏両面にFe系電気めっき層を有する。Fe系電気めっき層の付着量を25g/m2以上とすることで,溶接部における耐抵抗溶接割れ特性,特に内割れを防ぐ特性が特に良好となる。
(Fe系電気めっき層とSi含有冷延鋼板との界面においてFe系電気めっき層とSi含有冷延鋼板との結晶方位が一体化している割合)=(Fe系電気めっき層とSi含有冷延鋼板との界面のうち,Fe系電気めっき層とSi含有冷延鋼板との結晶方位が一体化している箇所の長さ)÷(観察視野での界面の長さ)×100・・・(1)
次に,Fe系電気めっき鋼板の製造方法を説明する。
一実施形態に係るFe系電気めっき鋼板の製造方法は,Siを0.5質量%以上3.0質量%以下含有するSi含有焼鈍前冷延鋼板を焼鈍してSi含有冷延鋼板とし,
次いで,前記Si含有冷延鋼板にFe系電気めっきを施して,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上のFe系電気めっき層が少なくとも片面に形成されたFe系電気めっき鋼板を得る,Fe系電気めっき鋼板の製造方法であり得る。
一例において,焼鈍工程は,水素濃度が1.0体積%以上30.0体積%以下の還元性雰囲気中で行い得る。水素は,焼鈍工程中のSi含有焼鈍前冷延鋼板表面のFeの酸化を抑制し,鋼板表面を活性化するために必要である。水素濃度が1.0体積%以上であれば,鋼板表面のFeが酸化することによりFe系電気めっき層の密着性が劣化することを回避することができる。よって,焼鈍工程は水素濃度1.0体積%以上の還元性雰囲気にて行うことが好ましく,2.0体積%以上の還元性雰囲気にて行うことがより好ましい。焼鈍工程における水素濃度の上限は特に限定されないが,コストの観点から,水素濃度は30.0体積%以下とすることが好ましく,20.0体積%以下とすることがより好ましい。焼鈍雰囲気の水素以外の残部は,窒素とすることが好ましい。
一例において,焼鈍工程は,焼鈍雰囲気の露点を30℃以下として行い得る。焼鈍工程において,焼鈍雰囲気の露点を30℃以下とすることで,Si含有焼鈍前冷延鋼板表面の酸化を防ぎ,Fe系電気めっき層の密着性をより向上することができるため,焼鈍雰囲気の露点は30℃以下とすることが好ましい。焼鈍雰囲気の露点は,より好ましくは20℃以下である。焼鈍雰囲気の露点の下限は特に定めないが,-80℃未満は工業的に実現が困難であるため,-80℃以上とする。焼鈍雰囲気の露点は好ましくは-55℃以上である。
焼鈍工程において,650℃以上900℃以下の温度域での保持時間を,30秒以上600秒以下とすることが好ましい。当該温度域での保持時間を30秒以上とすることで,Si含有焼鈍前冷延鋼板表面に形成したFeの自然酸化膜を好適に除去し,後に形成するFe系電気めっき層の直下に酸化膜が形成されることを防いで,Fe系電気めっき層の密着性を向上することができる。よって,当該温度域での保持時間は30秒以上とすることが好ましい。当該温度域での保持時間の上限は特に定めないが,生産性の観点から,当該温度域での保持時間は600秒以下とすることが好ましい。
Si含有焼鈍前冷延鋼板の最高到達温度は特に限定されないが,650℃以上900℃以下とすることが好ましい。Si含有焼鈍前冷延鋼板の最高到達温度を650℃以上とすることで,鋼板組織の再結晶が好適に進み,好適な強度を得ることができる。また,鋼板表面に形成したFeの自然酸化膜を好適に還元させ,Fe系電気めっき層の密着性がより向上する。また,Si含有焼鈍前冷延鋼板の最高到達温度が900℃以下であれば,鋼中のSi及びMnの拡散速度が極端に増加することを防ぎ,鋼板表面へのSi及びMnの拡散を防ぐことができるため,Fe系電気めっき層の密着性がより向上する。また,最高到達温度が900℃以下であれば,熱処理炉の炉体ダメージを防ぐことができ,コストダウンすることもできる。よって,Si含有焼鈍前冷延鋼板の最高到達温度は900℃以下とすることが好ましい。なお,上記最高到達温度は,Si含有焼鈍前冷延鋼板の表面にて測定された温度を基準とする。
また,本実施形態によれば,上述したFe系電気めっき鋼板上に,前記Fe系電気めっき層に接触して形成された化成処理皮膜と,該化成皮膜上に形成された電着塗装皮膜とをさらに有する電着塗装鋼板を提供することもできる。本実施形態に係るFe系電気めっき鋼板は,化成処理性,塗装後耐食性,および溶接部における耐抵抗溶接割れ特性に優れるため,該Fe系電気めっき鋼板を用いて形成した電着塗装鋼板は,自動車部品への適用に特に好適である。本実施形態に係る電着塗装鋼板は,Fe系電気めっき層の上に,直接化成処理皮膜が形成されていることが好ましい。換言すれば,本実施形態に係る電着塗装鋼板は,Fe系電気めっき層の他に,追加のめっき層を有さないことが好ましい。化成処理皮膜,および電着塗装皮膜の種類は特に限定されず,公知の化成処理皮膜,および電着塗装皮膜とすることができる。化成処理皮膜としては,リン酸亜鉛皮膜,ジルコニウム皮膜等が使用できる。電着塗装皮膜としては,自動車用の電着皮膜であれば特に限定されない。電着皮膜の厚みは,用途により異なるが,乾燥状態の塗膜で10μm以上30μm以下程度とすることが好ましい。また,本実施形態によれば,電着塗装を施すための電着塗装用Fe系電気めっき鋼板を提供することもできる。
次いで,上述した電着塗装鋼板の製造方法について説明する。上述した電着塗装鋼板は,Fe系電気めっき鋼板に追加のめっき処理を施さずに化成処理を施して,前記Fe系電気めっき層に接触して化成処理皮膜が形成された化成処理鋼板を得る,化成処理工程と,前記化成処理鋼板に電着塗装処理を施して,前記化成処理皮膜上に電着塗装皮膜が形成された電着塗装鋼板を得る,電着塗装工程と,を含む,電着塗装鋼板の製造方法によって製造することができる。化成処理,および電着塗装処理は,公知の方法によることができる。なお,化成処理を施す前の処理として,Fe系電気めっき鋼板表面を清浄化するための脱脂処理,水洗および必要に応じて表面調整処理を施すことができる。これらの前処理に引き続いて化成処理を実施する。脱脂処理および水洗の方法は特に限定されず,通常の方法を用いることができる。表面調整処理においては,Tiコロイド,あるいはリン酸亜鉛コロイドを有する表面調整剤等を使用できる。これらの表面調整剤を施すに際して,特別な工程を設ける必要はなく,常法に従い実施すればよい。例えば,所望の表面調整剤を所定の脱イオン水に溶解させ,十分攪拌したのち,既定の温度(通常は常温,25~30℃)の処理液とし,該処理液中に鋼板を所定時間(20~30秒)浸漬させる。引き続き乾燥させることなく,次工程の化成処理を行う。化成処理においても,常法に従い実施すればよい。例えば,所望の化成処理剤を所定の脱イオン水に溶解させ,十分攪拌したのち,所定の温度(通常35~45℃)の処理液とし,該処理液中に鋼板を所定時間(60~120秒)浸漬させる。化成処理剤としては,例えば鋼用のリン酸亜鉛処理剤,鋼・アルミニウム併用型のリン酸亜鉛処理剤,およびジルコニウム処理剤等を使用できる。引き続き,次工程の電着塗装を行う。電着塗装も,常法に従い実施すればよい。必要に応じて水洗処理等の前処理を施したのち,十分攪拌された電着塗料に鋼板を浸漬し,電着処理によって所望の厚みの電着塗装を得る。電着塗装としては,カチオン型の電着塗装の他,アニオン型電着塗装を使用できる。さらに,用途に応じて電着塗装後に上塗り塗装などを施してもよい。
また,本実施形態によれば,上述した電着塗装鋼板を少なくとも一部に用いてなる自動車部品を提供することができる。本実施形態に係るFe系電気めっき鋼板は,化成処理性,塗装後耐食性,および溶接部における耐抵抗溶接割れ特性に優れるため,該Fe系電気めっき鋼板を用いた電着塗装鋼板は,自動車部品への適用に特に好適である。電着塗装鋼板を用いてなる自動車部品は,本実施形態に係る電着塗装鋼板以外の鋼板を,素材として含んでいてもよい。本実施形態に係る電着塗装鋼板は溶接部における耐抵抗溶接割れ特性に優れるため,該Fe系電気めっき鋼板を用いてなる自動車部品が溶接相手として高強度亜鉛めっき鋼板を含んでいる場合であっても,溶接部におけるもらい割れが好適に防がれる。電着塗装鋼板を少なくとも一部に用いてなる自動車部品の種類は特に限定されないが,例えば,サイドシル部品,ピラー部品および自動車車体等であり得る。
次に,本発明の実施形態2に係るFe系電気めっき鋼板について説明する。
本実施形態に係るFe系電気めっき鋼板は,
冷延鋼板と,
冷延鋼板の少なくとも片面に形成された,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上であるFe系電気めっき層とを有する,Fe系電気めっき鋼板である。
ここで,前記冷延鋼板は,圧延直角方向を長手として50×150mmに切り出した試験片を,同サイズに切り出した溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板と重ねて板組とし,
次いで,サーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて,該抵抗溶接機の電極(先端径6mm)に対して前記板組を5°傾けた状態で,前記板組に,加圧力:3.5kN,ホールドタイム:0.1秒,並びに前記冷延鋼板の板厚をtとしてナゲット径が4.5√tmmになる溶接電流および溶接時間の条件にて抵抗溶接を施して溶接部付き板組とし,
次いで,前記溶接部付き板組を溶接部を含むように半切して,該溶接部の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察した場合に,0.1mm以上の長さのき裂が認められる冷延鋼板である。
図8を用いて,溶接部における耐抵抗溶接割れ特性の評価方法について説明する。圧延直角方向(TD)を長手として50×150mmに切り出した試験片6を,同サイズに切り出した,溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板5と重ねて板組とする。板組は,試験片6の評価対象面(Fe系電気めっき層)と,試験用合金化溶融亜鉛めっき鋼板5の亜鉛めっき層とが向かい合うように組み立てる。当該板組を,厚さ2.0mmのスペーサー7を介して,固定台8に固定する。スペーサー7は,長手方向50mm×短手方向45mm×厚さ2.0mmの一対の鋼板であり,図8(a)に示すように,一対の鋼板各々の長手方向端面が,板組短手方向両端面とそろうように配置する。よって,一対の鋼板間の距離は60mmとなる。固定台8は,中央部に穴が開いた一枚の板である。
○ : ホールドタイム0.02秒で0.1mm以上の長さのき裂が認められない
△ : ホールドタイム0.02秒で0.1mm以上の長さのき裂が認められるが,ホールドタイム0.1秒で0.1mm以上の長さのき裂が認められない
× : ホールドタイム0.1秒で0.1mm以上の長さのき裂が認められる
一実施形態に係るFe系電気めっき鋼板の製造方法は,焼鈍前冷延鋼板を焼鈍して冷延鋼板とし,
次いで,前記冷延鋼板にFe系電気めっきを施して,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上のFe系電気めっき層が少なくとも片面に形成されたFe系電気めっき鋼板を得る,Fe系電気めっき鋼板の製造方法であり得る。
ここで,前記冷延鋼板は,圧延直角方向を長手として50×150mmに切り出した試験片を,同サイズに切り出した溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板と重ねて板組とし,
次いで,サーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて,該抵抗溶接機の電極(先端径6mm)に対して前記板組を5°傾けた状態で,前記板組に,加圧力:3.5kN,ホールドタイム:0.1秒,並びに前記冷延鋼板の板厚をtとしてナゲット径が4.5√tmmになる溶接電流および溶接時間の条件にて抵抗溶接を施して溶接部付き板組とし,
次いで,前記溶接部付き板組を溶接部を含むように半切して,該溶接部の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察した場合に,0.1mm以上の長さのき裂が認められる冷延鋼板である。
〔電解条件〕
浴温:50℃
pH:2.0
電流密度:45A/dm2
Fe系電気めっき浴:Fe2+イオンを1.5mol/L含む
電極(陽極):酸化イリジウム電極
(1)化成処理
上記Fe系電気めっき鋼板から採取した試験片に,脱脂処理,表面調整処理,および化成処理を施して,試験片の表裏両面に化成処理皮膜を有する化成処理試験片を製造した。まず,上記Fe系電気めっき鋼板から採取した試験片を脱脂剤に浸漬させ,以下の標準的な条件で,脱脂処理を施した。
[脱脂処理]
・脱脂剤:FC-E2011(日本パーカライジング社製)
・処理温度:43°C
・処理時間:120秒
[表面調整処理]
・表面調整剤:プレパレンX(PL-X:日本パーカライジング社製)
・pH:9.5
・処理温度:室温
・処理時間:20秒
[化成処理]
・化成処理剤:パルボンドPB-SX35(日本パーカライジング社製)
・化成処理液の温度:35℃
・処理時間:90秒
上記化成処理試験片の表面に,関西ペイント社製の電着塗料:GT-100を用いて,膜厚が15μmとなるように電着塗装を施して電着塗装試験片とした。該電着塗装試験片を,後述する塩温水浸漬試験に供した。
上記化成処理試験片(n=1)の表面を,倍率×1000倍にてSEM観察し,以下の基準で評価した。なお,◎または○であれば化成処理性に優れると判断した。
◎ : 化成結晶の粒径が5μm以下かつ未析出部が認められない
○ : 化成結晶の粒径が5μm以上だが,未析出部が認められない
× : 化成結晶の粒径が5μm以上かつ,未析出部が認められる
上記電着塗装試験片(n=1)の表面に,カッターで長さ45mmのクロスカット疵を付与した後,この試験片を,5mass%NaCl溶液(60℃)に360時間浸漬し,その後,水洗し,乾燥した。次いで,試験片のクロスカット疵部に粘着テープを貼り付けた後,引き剥がすテープ剥離試験を行い,クロスカット疵部の左右を合わせた電着塗装皮膜の最大剥離全幅を測定した。電着塗装皮膜の最大剥離全幅を以下の基準で評価した。なお,◎または○であれば塗装後耐食性に優れると判断した。
◎ : 最大剥離全幅が3.0mm以下
○ : 最大剥離全幅が5.0mm以下
× : 最大剥離全幅が5.0mm超
として評価した。
Fe系電気めっき鋼板について,上述した方法に従って,板組相手が,引張強さが980MPa級,および片面あたりの付着量が50g/m2の合金化溶融亜鉛めっき鋼板(板厚1.4mm)である場合の溶接部における耐抵抗溶接割れ特性を評価した。溶接時間は18cycle(50Hz)とし,実施例No.毎に溶接電流を変化させてナゲット径を測定し,ナゲット径が5.3mmとなる溶接電流にて評価した。
2 Si含有冷延鋼板
3 Fe系電気めっき層
5 試験用合金化溶融亜鉛めっき鋼板
6 試験片
7 スペーサー
8 固定台
9 電極
10 ナゲット
11 き裂
Claims (11)
- Siを0.5質量%以上3.0質量%以下含有するSi含有冷延鋼板と,
前記Si含有冷延鋼板の少なくとも片面に形成された,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上であり、Fe及び不可避不純物からなるFe電気めっき層とを有する,Fe電気めっき鋼板。 - 前記Fe電気めっき層と前記Si含有冷延鋼板との界面において前記Fe電気めっき層と前記Si含有冷延鋼板との結晶方位が一体化している割合が50%以下である,請求項1に記載のFe電気めっき鋼板。
- 前記Fe電気めっき層の片面あたりの付着量が,25g/m2以上である,請求項1または2に記載のFe電気めっき鋼板。
- 前記Si含有冷延鋼板は,前記Siに加えて,質量%で,
C:0.8%以下,
Mn:1.0%以上12.0%以下,
P:0.1%以下,
S:0.03%以下,
N:0.010%以下および
Al:1.0%以下を含有し,残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する,請求項1から3のいずれか1項に記載のFe電気めっき鋼板。 - 前記成分組成がさらに,質量%で,
B:0.005%以下,
Ti:0.2%以下,
Cr:1.0%以下,
Cu:1.0%以下,
Ni:1.0%以下,
Mo:1.0%以下,
Nb:0.20%以下,
V:0.5%以下,
Sb:0.200%以下,
Ta:0.1%以下,
W:0.5%以下,
Zr:0.1%以下,
Sn:0.20%以下,
Ca:0.005%以下,
Mg:0.005%以下および
REM:0.005%以下
からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する,請求項4に記載のFe電気めっき鋼板。 - 冷延鋼板と,
前記冷延鋼板の少なくとも片面に形成された,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上であり、Fe及び不可避不純物からなるFe電気めっき層とを有する,Fe電気めっき鋼板。
ここで,前記冷延鋼板は,圧延直角方向を長手として50×150mmに切り出した試験片を,同サイズに切り出した溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板と重ねて板組とし,
次いで,サーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて,該抵抗溶接機の電極(先端径6mm)に対して前記板組を5°傾けた状態で,前記板組に,加圧力:3.5kN,ホールドタイム:0.1秒,並びに前記冷延鋼板の板厚をtとしてナゲット径が4.5√tmmになる溶接電流および溶接時間の条件にて抵抗溶接を施して溶接部付き板組とし,
次いで,前記溶接部付き板組を溶接部を含むように半切して,該溶接部の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察した場合に,0.1mm以上の長さのき裂が認められる冷延鋼板である。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載のFe電気めっき鋼板上に,前記Fe電気めっき層に接触して形成された化成処理皮膜と,該化成処理皮膜上に形成された電着塗装皮膜とをさらに有する,電着塗装鋼板。
- 請求項7に記載の電着塗装鋼板を少なくとも一部に用いてなる,自動車部品。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載のFe電気めっき鋼板に追加のめっき処理を施さずに化成処理を施して,前記Fe電気めっき層に接触して化成処理皮膜が形成された化成処理鋼板を得る,化成処理工程と,
前記化成処理鋼板に電着塗装処理を施して,前記化成処理皮膜上に電着塗装皮膜が形成された電着塗装鋼板を得る,電着塗装工程と,
を含む,電着塗装鋼板の製造方法。 - Siを0.5質量%以上3.0質量%以下含有するSi含有焼鈍前冷延鋼板を焼鈍してSi含有冷延鋼板とし,
次いで,前記Si含有冷延鋼板にFe電気めっきを施して,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上あり、Fe及び不可避不純物からなるFe電気めっき層が少なくとも片面に形成されたFe電気めっき鋼板を得る,Fe電気めっき鋼板の製造方法。 - 焼鈍前冷延鋼板を焼鈍して冷延鋼板とし,
次いで,前記冷延鋼板にFe電気めっきを施して,片面あたりの付着量が15.0g/m2以上あり、Fe及び不可避不純物からなるFe電気めっき層が少なくとも片面に形成されたFe電気めっき鋼板を得る,Fe電気めっき鋼板の製造方法。
ここで,前記冷延鋼板は,圧延直角方向を長手として50×150mmに切り出した試験片を,同サイズに切り出した溶融亜鉛めっき層の片面あたりの付着量が50g/m2である溶融亜鉛めっき鋼板と重ねて板組とし,
次いで,サーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて,該抵抗溶接機の電極(先端径6mm)に対して前記板組を5°傾けた状態で,前記板組に,加圧力:3.5kN,ホールドタイム:0.1秒,並びに前記冷延鋼板の板厚をtとしてナゲット径が4.5√tmmになる溶接電流および溶接時間の条件にて抵抗溶接を施して溶接部付き板組とし,
次いで,前記溶接部付き板組を溶接部を含むように半切して,該溶接部の断面を光学顕微鏡(200倍)で観察した場合に,0.1mm以上の長さのき裂が認められる冷延鋼板である。
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