JP7290755B2 - 無菌製造品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、無菌製造品の製造方法に係り、特に、無菌環境設備内及び無菌環境設備外の両方で製造を行う無菌製造品の製造方法に関する。
薬剤を含んだ高アスペクト比の針状凸部が形成された経皮吸収シートが知られている。経皮吸収シートは、皮膚等の生体表面に貼付されることで、針状凸部の薬剤を生体内に投与することができる。
経皮吸収シートは、針状凸部の反転型である針状凹部が形成されたモールドの針状凹部内に薬剤を含んだ溶液を充填して溶媒を乾燥させた後、さらに賦形剤の溶液をモールドの針状凹部内に充填して溶媒を乾燥させ、モールドから剥離することで、製造することができる。
経皮吸収シートは医薬品であるため、経皮吸収シートは、無菌室等の設備を用いた無菌環境下で製造することが求められる。しかしながら、経皮吸収シートの製造の全工程を無菌環境下で行うと、無菌環境下とする設備を広くする必要がある。したがって、製造コスト及び設備コストを抑えるために、溶液を充填したモールドを乾燥容器に密閉し、無菌環境外で溶液の溶媒を乾燥させる工程を行うことが考えられる。そして、乾燥後に無菌環境下に再搬入する場合には、再搬入する前に乾燥用容器の表面を滅菌する必要がある。
例えば、下記の特許文献1及び特許文献2には、充填工程及び収納工程を無菌環境下で行い、乾燥工程を無菌環境外で行い、無菌環境下に戻す際に、乾燥用容器の表面の電子線照射等の無菌処理工程を行うことが記載されている。
上記特許文献1及び特許文献2に記載の経皮吸収シートの製造方法は、容器本体の開口部を、微生物不透過性及び気体透過性を有する多孔質シートを用いて閉塞することで、乾燥容器内を密閉している。多孔質シートは、乾燥用容器本体に、ヒートシールで接着されることから、乾燥工程後に多孔質シートを剥がすと、多孔質シートは歪んでしまうため、再利用は不可能であり、製造コストが膨らむ要因となっていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、乾燥用容器の再利用が可能な無菌製造品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するために、本発明に係る無菌製造品の製造方法は、第1ポリマー溶解液を無菌環境下で容器本体に収納し、容器本体の開口部の周囲に設けられた第1接着面で第1蓋体を接着し、開口部を第1蓋体で覆うことで、容器本体と第1蓋体とからなる第1乾燥用容器に第1ポリマー溶解液を収納する第1収納工程と、第1収納工程後の第1乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第1搬出工程と、第1搬出工程後に、第1ポリマー溶解液を乾燥させる第1乾燥工程と、第1乾燥工程後の第1乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第1電子線照射工程と、第1電子線照射工程後の第1乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第1搬入工程と、第1搬入工程後に第1蓋体を剥離し、第1乾燥用容器を開封する第1開封工程と、第2ポリマー溶解液を無菌環境下で容器本体に収納し、容器本体の開口部の周囲に設けられ、第1接着面と異なる第2接着面で第2蓋体を接着し、開口部を第2蓋体で覆うことで、容器本体と第2蓋体とからなる第2乾燥用容器に第2ポリマー溶解液を収納する第2収納工程と、第2収納工程後の第2乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第2搬出工程と、第2搬出工程後に、第2乾燥用容器に収納された第2ポリマー溶解液を乾燥させる第2乾燥工程と、第2乾燥工程後の第2乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第2電子線照射工程と、第2電子線照射工程後の第2乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第2搬入工程と、第2搬入工程後に第2蓋体を剥離し、第2乾燥用容器を開封する第2開封工程と、を有する。
本発明の目的を達成するために、本発明に係る無菌製造品の製造方法は、針状凹部を有するモールドの針状凹部に第1ポリマー溶解液を無菌環境下で充填する第1充填工程と、第1充填工程後のモールドを無菌環境下で容器本体に収納し、容器本体の開口部の周囲に設けられた第1接着面で第1蓋体を接着し、開口部を第1蓋体で覆うことで、容器本体と第1蓋体とからなる第1乾燥用容器にモールドを収納する第1収納工程と、第1収納工程後の第1乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第1搬出工程と、第1搬出工程後に、第1乾燥用容器に収納されたモールドの第1ポリマー溶解液を乾燥させ第1層を形成する第1乾燥工程と、第1乾燥工程後の第1乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第1電子線照射工程と、第1電子線照射工程後の第1乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第1搬入工程と、第1搬入工程後に第1蓋体を剥離し、第1乾燥用容器を開封する第1開封工程と、第1開封工程後の第1乾燥用容器からモールドを取り出す第1取出工程と、第1取出工程後のモールドの針状凹部に形成された第1層上に第2ポリマー溶解液を無菌環境下で充填する第2充填工程と、第2充填工程後のモールドを無菌環境下で容器本体に収納し、容器本体の開口部の周囲に設けられ、第1接着面と異なる第2接着面で第2蓋体を接着し、開口部を第2蓋体で覆うことで、容器本体と第2蓋体とからなる第2乾燥用容器にモールドを収納する第2収納工程と、第2収納工程後の第2乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第2搬出工程と、第2搬出工程後に、第2乾燥用容器に収納されたモールドの第2ポリマー溶解液を乾燥させ第2層を形成する第2乾燥工程と、第2乾燥工程後の第2乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第2電子線照射工程と、第2電子線照射工程後の第2乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第2搬入工程と、第2搬入工程後に第2蓋体を剥離し、第2乾燥用容器を開封する第2開封工程と、第2開封工程後の第2乾燥用容器からモールドを取り出す第2取出工程と、を有する。
本発明の一態様は、容器本体は、開口部の周囲に鍔部を有し、第2接着面は鍔部の開口部側に設けられ、第1接着面は第2接着面の外側に設けられることが好ましい。
本発明の一態様は、第2乾燥工程後で、第2電子線照射線工程前に、第2乾燥用容器の容器本体及び第2蓋体を、第2接着面上で切断する切断工程を有することが好ましい。
本発明の一態様は、第1蓋体及び第2蓋体が、微生物不透過性及び気体透過性の材料で形成されていることが好ましい。
本発明の一態様は、第1蓋体と第1接着面との接着、及び、第2蓋体と第2接着面との接着は、ヒートシールにより行われることが好ましい。
本発明の一態様は、容器本体は、さらに、蓋体と接着する接着面を開口部の周囲に1箇所以上有することが好ましい。
本発明の一態様は、電子線源の電圧が、200kV以下であることが好ましい。
本発明の一態様は、第1ポリマー溶解液は、薬剤を含むことが好ましい。
本発明の一態様は、無菌製造品が経皮吸収シートであることが好ましい。
本発明の一態様は、無菌製造品が、医薬品、医薬部外品、又は、化粧品であることが好ましい。
本発明によれば、乾燥用容器の容器本体を再利用することができ、製造コストを下げることができる。
以下、添付図面に従って、本発明に係る無菌製造品の製造方法の好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書において、「~」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
〔経皮吸収シートの製造方法〕
本発明に係る無菌製造品の製造方法の一例として、経皮吸収シートの製造方法で説明する。図1は、経皮吸収シート1の全体斜視図である。図1に示すように、経皮吸収シート1は、シート部2と、シート部2の表面に配置された複数の針状凸部10(微小針、又はマイクロニードルとも呼ばれる)とで構成されている。
本発明に係る無菌製造品の製造方法の一例として、経皮吸収シートの製造方法で説明する。図1は、経皮吸収シート1の全体斜視図である。図1に示すように、経皮吸収シート1は、シート部2と、シート部2の表面に配置された複数の針状凸部10(微小針、又はマイクロニードルとも呼ばれる)とで構成されている。
(モールドの作製)
図2から図4は、経皮吸収シートを製造するためのモールド(型)の作製の工程を示す図である。図2に示すように、最初に、モールドを作製するための原版11を作製する。
図2から図4は、経皮吸収シートを製造するためのモールド(型)の作製の工程を示す図である。図2に示すように、最初に、モールドを作製するための原版11を作製する。
この原版11の作製方法は2種類ある。1つは、シリコン基板上にフォトレジストを塗布した後、露光及び現像を行い、続いてRIE(Reactive Ion Etching:リアクティブイオンエッチング)等によるエッチングを行うことにより、原版11の表面に円錐の形状部12(針状凸部)のアレイを作製する方法である。なお、RIE等のエッチングを行う際に、シリコン基板を回転させながら斜め方向からのエッチングを行うことにより、円錐の形状部12を形成することが可能である。
もう1つは、ニッケル等の金属基板に、ダイヤモンドバイト等の切削工具を用いた加工により、原版11の表面に四角錘等の形状部12のアレイを形成する方法がある。
次に、モールドの作製を行う。具体的には、図3に示すように、原版11によりモールド13を作製する。モールド13に原版11の形状が正確に転写され剥離することができ、しかも安価に製造することが可能な以下の方法が考えられる。
1番目の方法は、原版11にポリジメチルシロキサン(例えば、ダウ・コーニング社製のシルガード184)に硬化剤を添加したシリコン樹脂を流し込み、100℃で加熱処理し硬化した後に、原版11より剥離する方法である。
2番目の方法は、紫外線を照射することにより硬化するUV(ultraviolet)硬化樹脂を原版11に流し込み、窒素雰囲気中で紫外線を照射した後に、原版11より剥離する方法である。
3番目の方法は、ポリスチレン、又はポリメチルメタクリレート等のプラスチック樹脂を有機溶剤に溶解させたものを剥離剤の塗布された原版11に流し込み、乾燥させることにより有機溶剤を揮発させて硬化させた後に、原版11より剥離する方法である。
これにより、原版11の円錐又は角錐の反転形状である針状凹部15が2次元配列で配列されたモールド13が作製される。このようにして作製されたモールド13を図4に示す。なお、上記のいずれの方法においてもモールド13は、何度でも容易に作製することが可能である。
モールド13に用いる材料としては、弾性のある素材、金属製の素材を用いることができる。中でも弾性のある素材であることが好ましく、気体透過性の高い素材であることがさらに好ましい。気体透過性の代表である酸素透過性は、1×10-12mL/(s・m・Pa)より大きいことが好ましく、1×10-10mL/(s・m・Pa)より大きいことがさらに好ましい。気体透過性を上記範囲とすることにより、モールド13の針状凹部15に存在する空気をモールド13側から追い出すことができるので、欠陥の少ない医療用経皮吸収シートを製造することができる。
このような材料として、具体的には、シリコン樹脂(例えば、シルガード184、1310ST)、UV硬化樹脂、プラスチック樹脂(例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート)を溶融、又は溶剤に溶解させたもの等を挙げることができる。これらの中でもシリコンゴム系の素材は繰り返し加圧による転写に耐久性があり、且つ、素材との剥離性がよいため、好適に用いることができる。また、金属製の素材としては、Ni、Cu、Cr、Mo、W、Ir、Tr、Fe、Co、MgO、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、α-酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム、ステンレス(スタバックス材)等、又はその合金を挙げることができる。
(ポリマー溶解液)
経皮吸収シート1の材料となるポリマー樹脂の溶解液であるポリマー溶解液について説明する。ポリマー溶解液は、液中に薬剤を含む液(第1ポリマー溶解液に相当)と、主に、経皮吸収シートのシート部2の材料となり、薬剤を含まない基材液(第2ポリマー溶解液に相当)の2種類がある。
経皮吸収シート1の材料となるポリマー樹脂の溶解液であるポリマー溶解液について説明する。ポリマー溶解液は、液中に薬剤を含む液(第1ポリマー溶解液に相当)と、主に、経皮吸収シートのシート部2の材料となり、薬剤を含まない基材液(第2ポリマー溶解液に相当)の2種類がある。
ポリマー溶解液に用いられる樹脂ポリマーの素材としては、生体適合性のある樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、グルコース、マルトース、プルラン、デキストラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン等の糖類、ゼラチン等のタンパク質、ポリ乳酸、乳酸-グリコール酸共重合体等の生分解性ポリマーを使用することが好ましい。これらの中でも、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、又はデキストランを好適に使用することができる。また、ゼラチン系の素材は多くの基材と密着性をもち、ゲル化する材料としても強固なゲル強度を持つため、後述する剥離工程において、基材と密着させることができ、モールドから基材を用いてポリマーシートを剥離することができる。濃度は材料によっても異なるが、溶解液中に樹脂ポリマーが10~50質量%含まれる濃度とすることが好ましい。また、溶解に用いる溶媒は、温水以外であっても揮発性を有するものであればよく、メチルエチルケトン、アルコール等を用いることができる。そして、ポリマー樹脂の溶解液中には、用途に応じて体内に供給するための薬剤を共に溶解させることが可能である。
ポリマー溶解液の調製方法としては、水溶性の高分子(ゼラチン等)を用いる場合は、水溶性紛体を水に溶解し、溶解液に薬品を添加することで製造することができる。水に溶解しにくい場合、加温して溶解してもよい。温度は高分子材料の種類により、適宜選択可能であるが、約60℃以下の温度で加温することが好ましい。また、熱で溶融する高分子(マルトース等)を用いる場合は、原料と薬品を熱して溶解することで、製造することができる。加熱温度としては、原料が溶融する温度で行うことが好ましく、具体的には、約150℃である。
ポリマー樹脂の溶解液の粘度は、2000Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1000Pa・s以下とすることが好ましい。ポリマー樹脂の溶解液の粘度を適切に調整することにより、モールドの凹部に容易に溶解液を注入することができる。また、薬剤を含む液は、100Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10Pa・s以下とすることが好ましい。
(薬剤)
薬剤は、薬剤としての機能を有するものであれば限定されない。特に、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、ワクチン、水溶性低分子化合物に属する医薬化合物、及び化粧品成分から選択することが好ましい。薬剤を含むポリマー溶解液に含有させる水溶性の高分子物質は、含有させる薬剤と相互作用しないものを用いることが好ましい。例えば、タンパク質を薬剤として用いる場合、荷電性の高分子物質を混合すると、タンパク質と高分子物質が静電相互作用によって会合体を形成し凝集、沈殿してしまう。したがって、薬剤に荷電性の物質を用いる場合にはヒドロキシエチルデンプン、デキストラン等の電荷を持たない水溶性高分子物質を用いることが好ましい。
薬剤は、薬剤としての機能を有するものであれば限定されない。特に、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、ワクチン、水溶性低分子化合物に属する医薬化合物、及び化粧品成分から選択することが好ましい。薬剤を含むポリマー溶解液に含有させる水溶性の高分子物質は、含有させる薬剤と相互作用しないものを用いることが好ましい。例えば、タンパク質を薬剤として用いる場合、荷電性の高分子物質を混合すると、タンパク質と高分子物質が静電相互作用によって会合体を形成し凝集、沈殿してしまう。したがって、薬剤に荷電性の物質を用いる場合にはヒドロキシエチルデンプン、デキストラン等の電荷を持たない水溶性高分子物質を用いることが好ましい。
(経皮吸収シートの製造)
モールド13を用いた経皮吸収シートの製造方法について説明する。なお、本明細書において無菌環境とは、「無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法のグレードAに分類される製造区域のことをいい、具体的には、空気の清浄度が、非作業時及び作業時において、0.5μm以上の粒子が3520個/m3以下、5.0μm以上の粒子が20個/m3以下であり、作業時の環境微生物の許容基準が、空中微生物が浮遊菌1CFU(Colony forming unit)以下/m3、落下菌1CFU以下/プレートであり、表面付着微生物がコンタクトプレート1CFU以下/24~30cm2、手袋1CFU以下/5指である」ことをいう。
モールド13を用いた経皮吸収シートの製造方法について説明する。なお、本明細書において無菌環境とは、「無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法のグレードAに分類される製造区域のことをいい、具体的には、空気の清浄度が、非作業時及び作業時において、0.5μm以上の粒子が3520個/m3以下、5.0μm以上の粒子が20個/m3以下であり、作業時の環境微生物の許容基準が、空中微生物が浮遊菌1CFU(Colony forming unit)以下/m3、落下菌1CFU以下/プレートであり、表面付着微生物がコンタクトプレート1CFU以下/24~30cm2、手袋1CFU以下/5指である」ことをいう。
以下、各実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図5は、経皮吸収シートの製造方法のフローチャートである。図6から図8は、経皮吸収シートの製造方法を説明する図である。
図5は、経皮吸収シートの製造方法のフローチャートである。図6から図8は、経皮吸収シートの製造方法を説明する図である。
本実施形態に係る経皮吸収シートの製造方法は、第1充填工程(ステップS12)と、第1収納工程(ステップS14)と、第1搬出工程(ステップS16)と、第1乾燥工程(ステップS18)と、第1電子線照射工程(ステップS20)と、第1搬入工程(ステップS22)と、第1開封工程(ステップS24)と、第1取出工程(ステップS26)と、第2充填工程(ステップS28)と、第2収納工程(ステップS30)と、第2搬出工程(ステップS32)と、第2乾燥工程(ステップS34)と、切断工程(ステップS36)と、照射する第2電子線照射工程(ステップS38)と、第2搬入工程(ステップS40)と、第2開封工程(ステップS42)と、第2取出工程(ステップS44)と、剥離工程(ステップS46)と、からなる。
〔第1充填工程:ステップS12〕
第1充填工程は、モールド13の針状凹部15に薬剤を含む第1ポリマー溶解液22を無菌環境下で充填する工程である。
第1充填工程は、モールド13の針状凹部15に薬剤を含む第1ポリマー溶解液22を無菌環境下で充填する工程である。
図6に示すように、最初に無菌環境下である無菌室40の内部に、針状凹部15を有するモールド13を準備する。無菌室40としては、例えば、アイソレーターを挙げることができる。モールド13は、予め滅菌処理(無菌処理)を施して、モールド13に付着した菌を死滅させる。滅菌処理としては、オートクレーブ、又は電子線照射を挙げることができる。
このモールド13の針状凹部15に、薬剤を含む第1ポリマー溶解液22を充填する。充填する方法としては、スリットノズルの先端部をモールド13に接触させることで、針状凹部15のみに充填してもよい。また、モールド13上に第1ポリマー溶解液22をノズル、又はディスペンサー等で塗布して、ブレードをモールド13に接触させることで、針状凹部15に第1ポリマー溶解液22を充填してもよい。
〔第1収納工程:ステップS14〕
第1収納工程は、針状凹部15に第1ポリマー溶解液22が充填されたモールド13を無菌環境下で第1乾燥用容器28に収納する工程である。
第1収納工程は、針状凹部15に第1ポリマー溶解液22が充填されたモールド13を無菌環境下で第1乾燥用容器28に収納する工程である。
第1乾燥用容器28は、モールド13と同様に予め滅菌処理を施しておく。図9は、第1乾燥用容器28の断面図である。図9に示すように、第1乾燥用容器28は、容器本体24及び第1蓋体26から構成される。第1乾燥用容器28は、少なくとも一部が、微生物不透過性及び気体透過性の材料で形成される。図9においては、第1蓋体26を微生物不透過性及び気体透過性の材料としている。第1乾燥用容器28の一部を微生物不透過性及び気体透過性の材料で形成することで、第1ポリマー溶解液22の乾燥を行うことができ、かつ、第1乾燥用容器28外からの異物及び菌の混入を防止することができる。これにより、第1乾燥用容器28を無菌環境外に置いたとしても、第1乾燥用容器28内は無菌環境を維持することができる。「微生物不透過性」は、市販の滅菌包材(滅菌用バッグ等)が有する微生物不透過性のレベルであれば足りる。したがって、市販の滅菌包材の中から、目的に応じて、微生物不透過性のレベルを適宜選択すればよい。より具体的には、微生物不透過性として、LRV≧3.0である材料が好ましい。LRVは、下記式により求めることができる。
LRV=log10(A/B)
A:材料を透過する前の1mlあたりの微生物の数
B:材料を透過した後の1mlあたりの微生物の数
LRVが高い程、微生物が透過する数が少ないため、LRVの上限は特に限定されないが、上限はLRV≦9とすることが好ましい。このような微生物不透過性を確保するためには、孔径が0.2μmの材料を用いることが一般的である。また、微生物不透過性の材料は、気体中の微生物に対して使用される材料、及び、液体中の微生物に対して使用される材料のいずれの材料も用いることができる。
A:材料を透過する前の1mlあたりの微生物の数
B:材料を透過した後の1mlあたりの微生物の数
LRVが高い程、微生物が透過する数が少ないため、LRVの上限は特に限定されないが、上限はLRV≦9とすることが好ましい。このような微生物不透過性を確保するためには、孔径が0.2μmの材料を用いることが一般的である。また、微生物不透過性の材料は、気体中の微生物に対して使用される材料、及び、液体中の微生物に対して使用される材料のいずれの材料も用いることができる。
気体透過性のレベルも目的に応じ適宜選択することができる。気体透過性を有することで、第1乾燥用容器28内の乾燥により生じた気体を第1乾燥用容器28外に逃がすことができ、乾燥を進めることができる。気体透過性としては、TAPI T523に準拠して23℃、相対湿度85%の条件で測定した透湿度が1500~1640g/m2/24時間である材料が好ましく、1615g/m2/24時間である材料がさらに好ましい。
このような、微生物不透過性及び気体透過性を有する材料として、多孔質シートを用いることができ、具体的には、高密度ポリエチレン不織布シートを用いることができる。高密度ポリエチレン不織布シートは、繊維径0.5~10μmのポリエチレン極細長繊維をランダムに積層し、熱及び圧力のみで結合させたシートである。例えば、タイベックシート(登録商標)(デュポン社製)を挙げることができる。
図9に示す第1乾燥用容器28は、第1蓋体26を微生物不透過性及び気体透過性の材料としている。したがって、容器本体24としては、異物及び菌等が透過しない材料であれば、特に限定されず、例えば、樹脂又は金属を用いることができる。
容器本体24と第1蓋体26との接続は、容器本体24の開口部23の周囲に設けられた鍔部25を接続面として、接続される。鍔部25には、第1蓋体26が接着される第1接着面25A、及び、第2蓋体126が接着される第2接着面25Bが、開口部23の周囲に設けられる。図9においては、鍔部25の開口部23側に第2接着面25Bが設けられ、第2接着面25Bの外側に第1接着面25Aが設けられる。
第1収納工程においては、図6にも示すように、第1蓋体26と容器本体24とを接着させることで、第1蓋体26によって開口部23を閉塞し、第1乾燥用容器28の内部の空間を密閉する。第1収納工程は、無菌室40内で行っているため、第1乾燥用容器28の内部を無菌環境下とすることができる。容器本体24と第1蓋体26との接着は、例えば、ヒートシールにより行うことができ、第1接着面25Aには、熱により溶解する接着剤が設けられることが好ましい。
〔第1搬出工程:ステップS16〕
第1搬出工程は、モールド13が収納された第1乾燥用容器28を無菌室40の外部(無菌環境外)に搬出する工程である。モールド13は、第1収納工程において密閉された第1乾燥用容器28の内部に収納されているため、第1乾燥用容器28を無菌室40の外部に搬出しても、第1乾燥用容器28の内部の第1ポリマー溶解液22が、菌及び異物により汚染されることがない。
第1搬出工程は、モールド13が収納された第1乾燥用容器28を無菌室40の外部(無菌環境外)に搬出する工程である。モールド13は、第1収納工程において密閉された第1乾燥用容器28の内部に収納されているため、第1乾燥用容器28を無菌室40の外部に搬出しても、第1乾燥用容器28の内部の第1ポリマー溶解液22が、菌及び異物により汚染されることがない。
〔第1乾燥工程:ステップS18〕
第1乾燥工程は、第1乾燥用容器28に収納されたモールド13の針状凹部15の第1ポリマー溶解液22を無菌環境外で乾燥させる工程である。
第1乾燥工程は、第1乾燥用容器28に収納されたモールド13の針状凹部15の第1ポリマー溶解液22を無菌環境外で乾燥させる工程である。
第1乾燥工程は、温度及び湿度の調整が可能な乾燥庫で行うことが好ましい。第1ポリマー溶解液22の乾燥速度が速くなると、乾燥による収縮が急に進み、針状凹部15の形状に沿った針状凸部10(図1参照)を形成することが難しくなるため、ゆっくり乾燥させる必要がある。
第1ポリマー溶解液22の乾燥は、約3時間かかるが、本実施形態によれば、第1乾燥工程を無菌室40の外部で行うことで、無菌室40の内部で次のモールド13を用いて第1充填工程を行うことができる。したがって、第1乾燥工程の終了を待つことなく、次の経皮吸収シート1の製造を行うことができ、生産性を向上させることができる。
〔第1電子線照射工程:ステップS20〕
第1乾燥工程により第1ポリマー溶解液22の乾燥が終了した後、図7に示すように、第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に戻す。第1電子線照射工程は、モールド13が収納された第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に搬入する前に、第1乾燥用容器28の表面に向けて電子線源50から電子線を照射して第1乾燥用容器28の表面を滅菌処理する工程である。
第1乾燥工程により第1ポリマー溶解液22の乾燥が終了した後、図7に示すように、第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に戻す。第1電子線照射工程は、モールド13が収納された第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に搬入する前に、第1乾燥用容器28の表面に向けて電子線源50から電子線を照射して第1乾燥用容器28の表面を滅菌処理する工程である。
図10は、第1電子線照射工程における電子線源50と第1乾燥用容器28との配置の一例を示す図である。ここでは、第1乾燥用容器28に対して等角3方向に配置された3つの電子線源50A、50B、及び50Cから第1乾燥用容器28の表面に向けて電子線を照射している。第1乾燥用容器28の支持方法については特に限定されず、第1乾燥用容器28の表面に電子線が照射できればよい。電子線は散乱しやすいため、電子線の照射方向は問題にならず、図10に示す配置で第1乾燥用容器28の表面を滅菌することができる。滅菌のためには、第1乾燥用容器28の表面に照射される電子線源50A、50B、及び50Cの電圧が200kV以下であることが好ましい。電圧を200kV以下とすることで、第1乾燥用容器28の表面の滅菌効果を得ることができる。電圧が200kVを超えると、第1乾燥用容器28内部に電子線が到達するため好ましくない。電子線量は、第1乾燥用容器28の表面に15kGy(キログレイ)以上の電子線量が照射されることが好ましく、本実施形態では、第1乾燥用容器28の表面に15kGyの電子線量が照射される。
図11は、第1電子線照射工程により照射される電子線を示す概略図である。図11においては、電子線量の変化を説明するため、電子線源50Aが第1乾燥用容器28の上部に配置された図で説明する。図11に示すように、電子線源50Aから電子線が射出され、15kGyの電子線量が第1蓋体26に照射される。これにより、第1蓋体26が滅菌処理される。また、電子線源50Aから射出された電子線は、第1蓋体26により遮蔽され、針状凹部15の内部に照射される電子線量は、1kGy以下となる。即ち、第1蓋体26は電子線源50Aと針状凹部15とを結ぶ直線上の位置に配置されている遮蔽物として機能する。これにより、針状凹部15の内部の乾燥した第1ポリマー溶解液22(中間体、製剤)、及び第1ポリマー溶解液22に含まれる薬剤(原材料)へ電子線が照射されることによる悪影響を抑制することができる。
また、図11では示していないが、電子線源50B及び50Cからそれぞれ電子線が射出され、15kGyの電子線量が容器本体24に照射される。これにより、容器本体24が滅菌処理される。また、電子線源50B及び50Cから射出された電子線は、容器本体24により遮蔽される。このため、電子線源50B及び50Cから射出され、針状凹部15の内部に照射される電子線量は1kGy以下となる。即ち、容器本体24は電子線源50B及び50Cと針状凹部15とを結ぶ直線上の位置に配置されている遮蔽物として機能する。これにより、電子線による針状凹部15の内部の第1ポリマー溶解液22、及び第1ポリマー溶解液22に含まれる薬剤への影響を抑制することができる。
なお、ここでは複数の電子線源50A、50B、及び50Cを用いたが、第1乾燥用容器28の周りを1つの電子線源50が移動することで第1乾燥用容器28の複数方向から電子線を照射してもよいし、一方向に電子線を照射する1つの電子線源50に対して第1乾燥用容器28の向きを変更して第1乾燥用容器28の複数方向から電子線を照射してもよい。
〔第1搬入工程:ステップS22〕
第1搬入工程は、第1電子線照射工程の後に滅菌処理された第1乾燥用容器28を無菌環境下に搬入する工程である。図7に示すように、第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に搬入する。第1電子線照射工程により第1乾燥用容器28の表面を滅菌してあるため、第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に戻しても、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができる。
第1搬入工程は、第1電子線照射工程の後に滅菌処理された第1乾燥用容器28を無菌環境下に搬入する工程である。図7に示すように、第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に搬入する。第1電子線照射工程により第1乾燥用容器28の表面を滅菌してあるため、第1乾燥用容器28を無菌室40の内部に戻しても、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができる。
〔第1開封工程:ステップS24〕
第1開封工程は、第1搬入工程により無菌室40に搬入された第1乾燥用容器28の第1蓋体26を開封する工程である。モールド13は、第1収納工程において無菌環境下で第1乾燥用容器28に収納されている。したがって、その後の第1搬出工程、第1乾燥工程、第1電子線照射工程及び第1搬送工程においても、第1乾燥用容器28内は、無菌状態が維持されている。また、第1電子線照射工程により、第1乾燥用容器28の表面が滅菌処理されているため、第1開封工程により第1乾燥用容器28の第1蓋体26を開封しても、無菌室40及び第1乾燥用容器28内の無菌状態を維持することができる。
第1開封工程は、第1搬入工程により無菌室40に搬入された第1乾燥用容器28の第1蓋体26を開封する工程である。モールド13は、第1収納工程において無菌環境下で第1乾燥用容器28に収納されている。したがって、その後の第1搬出工程、第1乾燥工程、第1電子線照射工程及び第1搬送工程においても、第1乾燥用容器28内は、無菌状態が維持されている。また、第1電子線照射工程により、第1乾燥用容器28の表面が滅菌処理されているため、第1開封工程により第1乾燥用容器28の第1蓋体26を開封しても、無菌室40及び第1乾燥用容器28内の無菌状態を維持することができる。
〔第1取出工程:ステップS26〕
第1取出工程は、第1乾燥用容器28の容器本体24からモールド13を取り出す工程である。第1電子線照射工程により第1乾燥用容器28の表面を滅菌しているため、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができ、モールド13を第1乾燥用容器28から無菌室40に取り出しても、モールド13の無菌状態を維持することができる。
第1取出工程は、第1乾燥用容器28の容器本体24からモールド13を取り出す工程である。第1電子線照射工程により第1乾燥用容器28の表面を滅菌しているため、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができ、モールド13を第1乾燥用容器28から無菌室40に取り出しても、モールド13の無菌状態を維持することができる。
〔第2充填工程:ステップS28〕
第2充填工程は、モールド13の針状凹部15に第2ポリマー溶解液32(基材液)を充填する工程である。モールド13の針状凹部15には、第1ポリマー溶解液22が乾燥した層であって、薬剤を含む層(第1層)30が形成されている。この薬剤を含む層30上に第2ポリマー溶解液32を充填する。
第2充填工程は、モールド13の針状凹部15に第2ポリマー溶解液32(基材液)を充填する工程である。モールド13の針状凹部15には、第1ポリマー溶解液22が乾燥した層であって、薬剤を含む層(第1層)30が形成されている。この薬剤を含む層30上に第2ポリマー溶解液32を充填する。
第2ポリマー溶解液32を充填する方法としては、ディスペンサーによって塗布する方法を適用することができる。また、ディスペンサーによる塗布に加えて、バー塗布、スピン塗布、又はスプレー等による塗布等を適用することができる。
〔第2収納工程:ステップS30〕
第2収納工程は、第2ポリマー溶解液32が充填されたモールド13を無菌環境下で第2乾燥用容器128に収納する工程である。第1収納工程と同様に、第2充填工程後のモールド13を開口部23から容器本体24に収納し、第2蓋体126によって開口部23を閉塞する。これにより、第2乾燥用容器128の内部を無菌環境下とする。
第2収納工程は、第2ポリマー溶解液32が充填されたモールド13を無菌環境下で第2乾燥用容器128に収納する工程である。第1収納工程と同様に、第2充填工程後のモールド13を開口部23から容器本体24に収納し、第2蓋体126によって開口部23を閉塞する。これにより、第2乾燥用容器128の内部を無菌環境下とする。
第2収納工程に用いられる第2乾燥用容器128は、第1収納工程から第1搬入工程に用いられた容器本体24と、第2蓋体126により構成される。容器本体24は、図9に示すように、開口部23の周囲に設けられた鍔部25に第1接着面25A及び第2接着面25Bを有する。第2収納工程においては、図12に示すように、第2接着面25Bにより第2蓋体126と接続する。これにより、開口部23が閉塞され、第2乾燥用容器128の内部を無菌環境下とする。鍔部25の第1接着面25Aが設けられた領域は、第1開封工程において、第1蓋体26が剥離されることにより形状が変形する場合がある。その場合、第1接着面25Aで第2蓋体126と接着させても、完全に密着させることができず、微生物不透過性を確保した第2蓋体126との接着が困難な場合がある。第2接着面25Bで接着させることで、確実に密閉することができる。
容器本体24に、第1蓋体26と第2蓋体126とを接着するための異なる第1接着面25A及び第2接着面25Bを設けることで、容器本体24を繰り返し使用することができ、経皮吸収シートを製造する際のコストを下げることができる。
〔第2搬出工程:ステップS32〕
第2搬出工程は、図7に示すように、モールド13が収納された第2乾燥用容器128を無菌室40の外部(無菌環境外)に搬出する工程である。モールド13は、第2収納工程において密閉された第2乾燥用容器128の内部に収納されているため、第2乾燥用容器128を無菌室40の外部に搬出しても、第2乾燥用容器128の内部の第2ポリマー溶解液32等が、菌及び異物により汚染されることがない。
第2搬出工程は、図7に示すように、モールド13が収納された第2乾燥用容器128を無菌室40の外部(無菌環境外)に搬出する工程である。モールド13は、第2収納工程において密閉された第2乾燥用容器128の内部に収納されているため、第2乾燥用容器128を無菌室40の外部に搬出しても、第2乾燥用容器128の内部の第2ポリマー溶解液32等が、菌及び異物により汚染されることがない。
〔第2乾燥工程:ステップS34〕
第2乾燥工程は、第2乾燥用容器128に収納されたモールド13の針状凹部15の第2ポリマー溶解液32を無菌環境外で乾燥させる工程である。第2乾燥工程は、第1乾燥工程と同様の方法により行うことができる。第2乾燥工程終了後のモールド13には、薬剤を含む層30と薬剤を含まない層(第2層)34とから構成される経皮吸収シート36が形成される(図8参照)。
第2乾燥工程は、第2乾燥用容器128に収納されたモールド13の針状凹部15の第2ポリマー溶解液32を無菌環境外で乾燥させる工程である。第2乾燥工程は、第1乾燥工程と同様の方法により行うことができる。第2乾燥工程終了後のモールド13には、薬剤を含む層30と薬剤を含まない層(第2層)34とから構成される経皮吸収シート36が形成される(図8参照)。
第2ポリマー溶解液32の乾燥は、7~8時間かかるが、第2乾燥工程を無菌室40の外部で行うことで、無菌室40の内部で第1充填工程、又は第2充填工程を行うことができる。したがって、第2乾燥工程の終了を待つことなく、次の経皮吸収シート1の製造を行うことができ、生産性を向上させることができる。
このように、第1乾燥工程及び第2乾燥工程を、無菌室40の外部に搬出し、無菌環境外で行うことができるので、無菌室40は、充填工程(第1充填工程及び第2充填工程)、及び収納工程(第1収納工程及び第2収納工程)を行うスペースがあればよく、乾燥工程(第1乾燥工程及び第2乾燥工程)を行うスペースは不要である。したがって、製造設備において、無菌室40等の無菌環境エリアを狭くすることができるので、製造設備コストを下げることができる。
〔切断工程:ステップS36〕
切断工程は、第2乾燥用容器128の鍔部25の外周部を第2接着面25B上から切断する工程である。図12に示すように、第2収納工程においては、容器本体24と第2蓋体126との接着は、第2接着面25Bで行われるため、第2接着面25Bの外側(第1接着面25Aが設けられていた領域)には、第2蓋体126と鍔部25とが接着されない領域が形成される。図13に示すように、切断工程においては、第2接着面25B上から第2蓋体126及び鍔部25を切断することで、第2接着面25Bより外側の領域を切断することができる。これにより、次の第2電子線照射工程において、電子線が照射されない死角、すなわち、第2接着面25Bより外側の第2蓋体126と鍔部25とが接着されていない部分を切断することができる。また、容器本体24の第1蓋体26との接着面である第1接着面25Aに糊残りが発生した場合、無菌環境外に搬出することで、第1接着面25Aに菌が付着する場合がある。切断工程で、第2接着面25Bより外側の鍔部25を切断することで、第1接着面25Aに付着した菌を除くことができる。なお、切断工程は、第2乾燥用容器128の全表面に電子線を照射することができ、全表面を滅菌処理することができれば省略することもできる。
切断工程は、第2乾燥用容器128の鍔部25の外周部を第2接着面25B上から切断する工程である。図12に示すように、第2収納工程においては、容器本体24と第2蓋体126との接着は、第2接着面25Bで行われるため、第2接着面25Bの外側(第1接着面25Aが設けられていた領域)には、第2蓋体126と鍔部25とが接着されない領域が形成される。図13に示すように、切断工程においては、第2接着面25B上から第2蓋体126及び鍔部25を切断することで、第2接着面25Bより外側の領域を切断することができる。これにより、次の第2電子線照射工程において、電子線が照射されない死角、すなわち、第2接着面25Bより外側の第2蓋体126と鍔部25とが接着されていない部分を切断することができる。また、容器本体24の第1蓋体26との接着面である第1接着面25Aに糊残りが発生した場合、無菌環境外に搬出することで、第1接着面25Aに菌が付着する場合がある。切断工程で、第2接着面25Bより外側の鍔部25を切断することで、第1接着面25Aに付着した菌を除くことができる。なお、切断工程は、第2乾燥用容器128の全表面に電子線を照射することができ、全表面を滅菌処理することができれば省略することもできる。
〔第2電子線照射工程:ステップS38〕
図8に戻り、第2電子線照射工程から剥離工程について説明する。第2電子線照射工程は、モールド13が収納された第2乾燥用容器128を、次工程の第2搬入工程で無菌室40の内部に搬入する前に、第2乾燥用容器128の表面に向けて電子線源50から電子線を照射して第2乾燥用容器128の表面を滅菌処理する工程である。第2電子線照射工程は、第1電子線照射工程と同様の方法により行うことができる。
図8に戻り、第2電子線照射工程から剥離工程について説明する。第2電子線照射工程は、モールド13が収納された第2乾燥用容器128を、次工程の第2搬入工程で無菌室40の内部に搬入する前に、第2乾燥用容器128の表面に向けて電子線源50から電子線を照射して第2乾燥用容器128の表面を滅菌処理する工程である。第2電子線照射工程は、第1電子線照射工程と同様の方法により行うことができる。
また、切断工程において、第2乾燥用容器128の鍔部25の外周部を切断することで、電子線が照射されない死角を無くすことができ、全表面を確実に電子線照射により滅菌することができる。
〔第2搬入工程:ステップS40〕
第2搬入工程は、第2電子線照射工程の後に滅菌処理された第2乾燥用容器128を無菌環境下に搬入する工程である。図8に示すように、第2乾燥用容器128を無菌室40の内部に搬入する。第2電子線照射工程により第2乾燥用容器128の表面を滅菌してあるため、第2乾燥用容器128を無菌室40の内部に戻しても、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができる。
第2搬入工程は、第2電子線照射工程の後に滅菌処理された第2乾燥用容器128を無菌環境下に搬入する工程である。図8に示すように、第2乾燥用容器128を無菌室40の内部に搬入する。第2電子線照射工程により第2乾燥用容器128の表面を滅菌してあるため、第2乾燥用容器128を無菌室40の内部に戻しても、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができる。
〔第2開封工程:ステップS42〕
第2開封工程は、第2搬入工程により無菌室40に搬入された第2乾燥用容器128の第2蓋体126を開封する工程である。モールド13は、第2収納工程において無菌環境下で第2乾燥用容器128に収納されている。したがって、その後の第2搬出工程、第2乾燥工程、第2電子線照射工程及び第2搬送工程においても、第2乾燥用容器128内は、無菌状態が維持されている。また、第2電子線照射工程により、第2乾燥用容器128の表面が滅菌処理されているため、第2開封工程により第2乾燥用容器128の第2蓋体126を開封しても、無菌室40及び第2乾燥用容器128内の無菌状態を維持することができる。
第2開封工程は、第2搬入工程により無菌室40に搬入された第2乾燥用容器128の第2蓋体126を開封する工程である。モールド13は、第2収納工程において無菌環境下で第2乾燥用容器128に収納されている。したがって、その後の第2搬出工程、第2乾燥工程、第2電子線照射工程及び第2搬送工程においても、第2乾燥用容器128内は、無菌状態が維持されている。また、第2電子線照射工程により、第2乾燥用容器128の表面が滅菌処理されているため、第2開封工程により第2乾燥用容器128の第2蓋体126を開封しても、無菌室40及び第2乾燥用容器128内の無菌状態を維持することができる。
〔第2取出工程:ステップS44〕
第2取出工程は、第2乾燥用容器128の容器本体24からモールド13を取り出す工程である。第2電子線照射工程により第2乾燥用容器128の表面を滅菌しているため、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができ、モールド13を第2乾燥用容器128から無菌室40に取出しても、モールド13の無菌状態を維持することができる。
第2取出工程は、第2乾燥用容器128の容器本体24からモールド13を取り出す工程である。第2電子線照射工程により第2乾燥用容器128の表面を滅菌しているため、無菌室40の内部の無菌環境を維持することができ、モールド13を第2乾燥用容器128から無菌室40に取出しても、モールド13の無菌状態を維持することができる。
〔剥離工程:ステップS46〕
剥離工程は、経皮吸収シート36をモールド13から剥離する工程である。剥離する方法は特に限定されない。剥離の際に、薬剤を含む層30及び薬剤を含まない層(第2層)34が曲がったり折れたりしないことが望まれる。剥離工程を無菌室40内で行うことで、経皮吸収シート36の表面に、異物及び菌が付着することを防止することができる。
剥離工程は、経皮吸収シート36をモールド13から剥離する工程である。剥離する方法は特に限定されない。剥離の際に、薬剤を含む層30及び薬剤を含まない層(第2層)34が曲がったり折れたりしないことが望まれる。剥離工程を無菌室40内で行うことで、経皮吸収シート36の表面に、異物及び菌が付着することを防止することができる。
図8に、モールド13及び経皮吸収シート36の断面MAで示すように、第2取出工程により第2乾燥用容器128から取り出されたモールド13には、薬剤を含む層30と薬剤を含まない層34とから構成される経皮吸収シート36が形成される。モールド13から経皮吸収シート36の剥離は、断面MBで示すように、経皮吸収シート36に吸盤(不図示)で基板38を載置し、エアーで吸引しながら垂直に引き上げる方法を敵用することができる。この方法で剥離することで、薬剤を含む層30及び薬剤を含まない層34が曲がることを防止することができる。
図8の断面MCは、モールド13から剥離された経皮吸収シート36を示す図である。経皮吸収シート36は、薬剤を含む層30と、実質的に薬剤を含まない層34とで構成される。経皮吸収シート36は、図1に示す経皮吸収シート1に相当し、薬剤を含まない層34の一部によってシート部2が構成され、薬剤を含む層30と、薬剤を含まない層34の一部によって針状凸部10が構成される。
なお、剥離工程は、上述したエアーで基板を吸引して剥離する方法の他に、図14に示すように、経皮吸収シート36の裏面(薬剤を含まない層34側の面)に、粘着性の粘着層が形成されているシート状の基板38を付着させた後、端部から基板38をめくるように剥離を行うことができる。
本実施形態のように、アスペクト比の高い針状凸部の構造物をモールド13から剥離する場合では、接触面積が大きいことから、強い応力が加わる。針状凸部10が破壊され、モールド13から剥離されることなく針状凹部15内に残存し、作製される経皮吸収シートは欠陥を有することが懸念される。本実施形態においては、モールド13を構成する材料を、剥離しやすい材料により構成することが好ましい。また、モールド13を構成する材料を弾性が高く軟らかい材料とすることにより、剥離する際における針状凸部10に加えられる応力を緩和することができる。
以上、説明したように、本実施形態の無菌製造品の製造方法によれば、容器本体24を、第1開封工程で第蓋体26を剥離した後においても、第2収納工程で繰り返し使用することができるので、乾燥用容器のコストを下げることができる。したがって。無菌製造品の製造コストを下げることができる。
以上、本発明に係る無菌製造品の製造方法について説明したが、本発明は上記の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
上記実施形態においては、容器本体24は、鍔部25に第1接着面25A及び第2接着面25Bの2箇所の接着面を有する構成であるが、蓋体と接着する接着面は、2箇所に限定されない。第2接着面25Bの内側(開口部23側の周囲)に、蓋体との接着面をさらに、1箇所以上設けてもよい。蓋体との接着面を設けることで、容器本体24の再利用回数を増やすことができる。
第2取出工程後の無菌室40内においては、剥離工程の他に、包装工程を行うことができる。包装工程を無菌室40内で行うことで、経皮吸収シートが非無菌環境への露出を無くすことができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、モールド13をそのままハンドリングしているが、モールド13を搭載させる搬送用治具を用いてもよい。
第1実施形態では、モールド13をそのままハンドリングしているが、モールド13を搭載させる搬送用治具を用いてもよい。
図15は、搬送用治具60の斜視図である。図16は、図15の16-16断面図である。搬送用治具60は、台座部62及びキャップ部64から構成される。台座部62及びキャップ部64は、それぞれ樹脂又は金属によって形成されている。
台座部62には、モールド13が載置される。モールド13を台座部62に載置した状態で、第1充填工程(ステップS12)、及び第2充填工程(ステップS28)を行うことができる。
キャップ部64は、台座部62に取り付けられ、モールド13の針状凹部15の上面を覆う。キャップ部64は、第1充填工程(ステップS12)の後であって第1収納工程(ステップS14)の前、及び第2充填工程(ステップS28)の後であって第2収納工程(ステップS30)の前において取り付けられる。モールド13は、搬送用治具60のキャップ部64が取り付けられた状態で、第1収納工程(ステップS14)、及び第2収納工程(ステップS30)において第1乾燥用容器28、及び第2乾燥用容器128に収納される。
キャップ部64の天面には、鉛直方向に延びる複数の貫通孔66(連通路の一例)が設けられている。貫通孔66は、乾燥の際の水蒸気の抜け道となる。キャップ部64を連通する貫通孔66の大きさ、数、及び配置等を適切に設けることにより、第1乾燥工程(ステップS18)における第1ポリマー溶解液22の乾燥時間、及び第2乾燥工程(ステップS34)における第2ポリマー溶解液32の乾燥時間を適切な時間に調整することができる。
搬送用治具60は、電子線の遮蔽物として機能する。搬送用治具60の側面及び下面から15kGyの電子線量が照射されても、搭載されたモールド13の針状凹部15の内部に照射される電子線量は1kGy以下となる。
図17は、搬送用治具60を用いた場合の第1電子線照射工程によって照射される電子線を示す概略図である。なお、第2電子線照射工程においても、同様に搬送用治具を用いて行うことができる。図17に示すように、第1乾燥用容器28の中には、搬送用治具60に搭載されたモールド13が複数収納される。
図17に示すように、電子線源50Aから電子線が射出され、15kGyの電子線量が第1蓋体26に照射される。この電子線は、第1蓋体26よって遮蔽される。このため、電子線源50Aから射出され、針状凹部15の内部に照射される電子線量は1kGy以下となる。なお、第2電子線照射工程においても、同様に、電子線が第2蓋体126によって遮蔽される。
<第3実施形態>
図18は、第3実施形態の第1電子線照射工程により照射される電子線を示す概略図である。図18に示す第1乾燥用容器28の中には、搬送用治具60に搭載されたモールド13が複数収納される。また、第1蓋体26と搬送用治具60との間には、1枚の多孔質シート29が設けられている。なお、第2電子線照射工程においても同様の構成とすることができる。
図18は、第3実施形態の第1電子線照射工程により照射される電子線を示す概略図である。図18に示す第1乾燥用容器28の中には、搬送用治具60に搭載されたモールド13が複数収納される。また、第1蓋体26と搬送用治具60との間には、1枚の多孔質シート29が設けられている。なお、第2電子線照射工程においても同様の構成とすることができる。
図18に示すように、電子線源50Aから電子線が照射され、15kGyの電子線量が第1蓋体26に照射される。これにより、第1蓋体26が滅菌処理される。第1蓋体26で十分に電子線を遮蔽することができない場合、第1蓋体26を通過した電子線は、電子線を遮蔽する遮蔽物が無い場合には、鉛直方向に延びる貫通孔66を通過して、モールド13の針状凹部15に照射される。第3実施形態においては、第1蓋体26と針状凹部15とを結ぶ直線上の位置に、遮蔽物として多孔質シート29を配置している。
第1蓋体26だけでは十分に電子線を遮蔽することができない場合においても、さらに多孔質シート29を配置することで、針状凹部15の内部に照射される電子線量は1kGy以下とすることができる。これにより、針状凹部15の内部の乾燥した第1ポリマー溶解液22、及び第1ポリマー溶解液22に含まれる薬剤への電子線による影響を抑制することができる。
多孔質シート29は、第1収納工程(ステップS14)及び第2収納工程(ステップS30)において、モールド13を開口部23から容器本体24に収納した後、モールド13の上に載置すればよい。搬送用治具60を用いている場合には、搬送用治具60の上に載置すればよい。これにより、第1電子線照射工程において第1乾燥用容器28の上面に配置された第1蓋体26を透過する電子線を、針状凹部15の上に載置した多孔質シート29によって遮蔽することができる。
ここでは遮蔽物として多孔質シート29を配置したが、樹脂製又は金属製の板又はシート等、電子線を遮蔽できるものであればよい。なお、第1ポリマー溶解液22を適切に乾燥させるという観点からは、水分の蒸発を妨げない多孔質のものが好ましく、さらに気体透過性が高いものが好ましい。
<第4実施形態>
図15及び図16に示す搬送用治具60は、キャップ部64の天面に鉛直方向に延びる複数の貫通孔66を有しているため、上面から照射される電子線に対して遮蔽物として機能しなかったが、以下のようは変形例も可能である。
図15及び図16に示す搬送用治具60は、キャップ部64の天面に鉛直方向に延びる複数の貫通孔66を有しているため、上面から照射される電子線に対して遮蔽物として機能しなかったが、以下のようは変形例も可能である。
図19は、搬送用治具68を説明するための図であり、図16と同様の断面図である。搬送用治具68のキャップ部64には、貫通孔66が設けられていない。このため、キャップ部64は、上面から照射される電子線に対して遮蔽物として機能し、上面から15kGyの電子線量が照射されても、搭載されたモールド13の針状凹部15の内部に照射される電子線量は1kGy以下となる。側面及び下面についても同様である。このように貫通孔66を設けない構成とすることで、搬送用治具68を遮蔽物として機能させることができる。
図20は、搬送用治具70の内部を説明するための図であり、図16と同様の断面図である。搬送用治具70のキャップ部64には、キャップ部64の天面内側から側面外側へ延びる複数の貫通孔66が設けられている。したがって、キャップ部64の上面から照射される電子線はキャップ部64によって遮蔽することができ、キャップ部64の内部には電子線が直接入射しない。このように、貫通孔66を電子線源50と針状凹部15とを結ぶ直線とは非平行に配置することで、搬送用治具70を遮蔽物として機能させることができる。
図21は、搬送用治具72の内部を説明するための図であり、図16と同様の断面図である。搬送用治具72のキャップ部64には、キャップ部64の側面内側から側面外側へ水平方向に延びる複数の貫通孔66が設けられている。したがって、キャップ部64の上面から照射される電子線はキャップ部64によって遮蔽することができ、キャップ部64の内部には電子線が直接入射しない。このように、貫通孔66を電子線源50と針状凹部15とを結ぶ直線とは非平行に配置することで、搬送用治具72を遮蔽物として機能させることができる。
上記の実施形態においては、モールド13を用いて、その反転形状である針状凸部を有する経皮吸収シート1(36)を製造する方法で説明したが、これに限定されない。第1ポリマー溶解液及び第2ポリマー溶解液を無菌環境下で乾燥させ、無菌製造品を製造する場合に、本発明を適用することができる。無菌製造品として、医薬品、医薬部外品、又は、化粧品等を例として挙げることができる。
図22は、他の無菌製造品の製造方法のフローチャートである。図22に示すように、変形例の無菌製造品の製造方法は、第1ポリマー溶解液を無菌環境下で容器本体に収納し、容器本体の開口部の周囲に設けられた第1接着面で第1蓋体を接着し、開口部を第1蓋体で覆うことで、容器本体と第1蓋体とからなる第1乾燥用容器に第1ポリマー溶解液を収納する第1収納工程(ステップS112)と、第1収納工程後の第1乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第1搬出工程(ステップS114)と、第1搬出工程後に、第1ポリマー溶解液を乾燥させる第1乾燥工程(ステップS116)と、第1乾燥工程後の第1乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第1電子線照射工程(ステップS118)と、第1電子線照射工程後の第1乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第1搬入工程(ステップS120)と、第1搬入工程後に第1蓋体を剥離し、第1乾燥用容器を開封する第1開封工程(ステップS122)と、第2ポリマー溶解液を無菌環境下で容器本体に収納し、容器本体の開口部の周囲に設けられ、第1接着面と異なる第2接着面で第2蓋体を接着し、開口部を第2蓋体で覆うことで、容器本体と第2蓋体とからなる第2乾燥用容器に第2ポリマー溶解液を収納する第2収納工程(ステップS124)と、第2収納工程後の第2乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第2搬出工程(ステップS126)と、第2搬出工程後に、第2乾燥用容器に収納された第2ポリマー溶解液を乾燥させる第2乾燥工程(ステップS128)と、第2乾燥工程後の第2乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第2電子線照射工程(ステップS130)と、第2電子線照射工程後の第2乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第2搬入工程(ステップS132)と、第2搬入工程後に第2蓋体を剥離し、第2乾燥用容器を開封する第2開封工程(ステップS134)と、を有する。なお、第1開封工程及び第2開封工程後に、無菌室40内で第1ポリマー溶解液及び第2ポリマー溶解液の処理を行う場合は、第1取出工程及び第2取出工程を行ってもよい。また、第2乾燥工程後で、第2電子線照射工程前に第2接着面上で切断する切断工程を行ってもよい。第2開封工程後の無菌室40内においては、例えば、包装工程などを行うことができ、包装工程が、例えば、充填工程を有する場合、打栓などを行う。
また、製造される無菌製造品によっては、第1乾燥工程及び第2乾燥工程を凍結乾燥とすることができる。凍結乾燥を行う場合は、第1乾燥用容器及び第2乾燥用容器は樹脂又は金属等の気体を透過しない材料とし、第1乾燥用容器及び第2乾燥用容器に、内部を真空にするための吸引口を設ける。吸引口には、開閉手段を設け、内部の無菌環境を維持できるようにする。
凍結乾燥は、まず、第1ポリマー溶解液及び第2ポリマー溶解液を凍結する。凍結するための冷却は、第1乾燥用容器及び第2乾燥用容器の内部が無菌環境であるため、無菌室40外で行うことができる。凍結乾燥は、常法により行うことができ、例えば、吸引口から吸引しながら、溶媒の融点より低い温度で真空乾燥を行い、さらに、室温(20℃)で真空乾燥行うことにより、凍結乾燥を行うことができる。
1、36 経皮吸収シート
2 シート部
10 針状凸部
11 原版
12 形状部
13 モールド
15 針状凹部
22 第1ポリマー溶解液
23 開口部
24 容器本体
26 第1蓋体
28 第1乾燥用容器
29 多孔質シート
30 薬剤を含む層
32 第2ポリマー溶解液
34 薬剤を含まない層
38 基板
40 無菌室
50、50A、50B、50C 電子線源
60、68、70、72 搬送用治具
62 台座部
64 キャップ部
66 貫通孔
126 第2蓋体
128 第2乾燥用容器
130 切断手段
2 シート部
10 針状凸部
11 原版
12 形状部
13 モールド
15 針状凹部
22 第1ポリマー溶解液
23 開口部
24 容器本体
26 第1蓋体
28 第1乾燥用容器
29 多孔質シート
30 薬剤を含む層
32 第2ポリマー溶解液
34 薬剤を含まない層
38 基板
40 無菌室
50、50A、50B、50C 電子線源
60、68、70、72 搬送用治具
62 台座部
64 キャップ部
66 貫通孔
126 第2蓋体
128 第2乾燥用容器
130 切断手段
Claims (11)
- 第1ポリマー溶解液を無菌環境下で容器本体に収納し、前記容器本体の開口部の周囲に設けられた第1接着面で第1蓋体を接着し、前記開口部を前記第1蓋体で覆うことで、前記容器本体と前記第1蓋体とからなる第1乾燥用容器に前記第1ポリマー溶解液を収納する第1収納工程と、
前記第1収納工程後の前記第1乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第1搬出工程と、
前記第1搬出工程後に、前記第1ポリマー溶解液を乾燥させる第1乾燥工程と、
前記第1乾燥工程後の前記第1乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第1電子線照射工程と、
前記第1電子線照射工程後の前記第1乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第1搬入工程と、
前記第1搬入工程後に前記第1蓋体を剥離し、前記第1乾燥用容器を開封する第1開封工程と、
第2ポリマー溶解液を無菌環境下で前記容器本体に収納し、前記容器本体の前記開口部の周囲に設けられ、前記第1接着面と異なる第2接着面で第2蓋体を接着し、前記開口部を前記第2蓋体で覆うことで、前記容器本体と前記第2蓋体とからなる第2乾燥用容器に前記第2ポリマー溶解液を収納する第2収納工程と、
前記第2収納工程後の前記第2乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第2搬出工程と、
前記第2搬出工程後に、前記第2乾燥用容器に収納された前記第2ポリマー溶解液を乾燥させる第2乾燥工程と、
前記第2乾燥工程後の前記第2乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第2電子線照射工程と、
前記第2電子線照射工程後の前記第2乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第2搬入工程と、
前記第2搬入工程後に前記第2蓋体を剥離し、前記第2乾燥用容器を開封する第2開封工程と、
を有する無菌製造品の製造方法。 - 針状凹部を有するモールドの前記針状凹部に第1ポリマー溶解液を無菌環境下で充填する第1充填工程と、
前記第1充填工程後の前記モールドを無菌環境下で容器本体に収納し、前記容器本体の開口部の周囲に設けられた第1接着面で第1蓋体を接着し、前記開口部を前記第1蓋体で覆うことで、前記容器本体と前記第1蓋体とからなる第1乾燥用容器に前記モールドを収納する第1収納工程と、
前記第1収納工程後の前記第1乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第1搬出工程と、
前記第1搬出工程後に、前記第1乾燥用容器に収納された前記モールドの前記第1ポリマー溶解液を乾燥させ第1層を形成する第1乾燥工程と、
前記第1乾燥工程後の前記第1乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第1電子線照射工程と、
前記第1電子線照射工程後の前記第1乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第1搬入工程と、
前記第1搬入工程後に前記第1蓋体を剥離し、前記第1乾燥用容器を開封する第1開封工程と、
前記第1開封工程後の前記第1乾燥用容器から前記モールドを取り出す第1取出工程と、
前記第1取出工程後の前記モールドの前記針状凹部に形成された前記第1層上に第2ポリマー溶解液を無菌環境下で充填する第2充填工程と、
前記第2充填工程後の前記モールドを無菌環境下で前記容器本体に収納し、前記容器本体の前記開口部の周囲に設けられ、前記第1接着面と異なる第2接着面で第2蓋体を接着し、前記開口部を前記第2蓋体で覆うことで、前記容器本体と前記第2蓋体とからなる第2乾燥用容器に前記モールドを収納する第2収納工程と、
前記第2収納工程後の前記第2乾燥用容器を、無菌環境外に搬出する第2搬出工程と、
前記第2搬出工程後に、前記第2乾燥用容器に収納された前記モールドの前記第2ポリマー溶解液を乾燥させ第2層を形成する第2乾燥工程と、
前記第2乾燥工程後の前記第2乾燥用容器の表面に向けて電子線源から電子線を照射する第2電子線照射工程と、
前記第2電子線照射工程後の前記第2乾燥用容器を無菌環境下に搬入する第2搬入工程と、
前記第2搬入工程後に前記第2蓋体を剥離し、前記第2乾燥用容器を開封する第2開封工程と、
前記第2開封工程後の前記第2乾燥用容器から前記モールドを取り出す第2取出工程と、
を有する無菌製造品の製造方法。 - 前記容器本体は、前記開口部の周囲に鍔部を有し、
前記第2接着面は前記鍔部の前記開口部側に設けられ、前記第1接着面は前記第2接着面の外側に設けられる、
請求項1又は2に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記第2乾燥工程後で前記第2電子線照射線工程前に、前記第2乾燥用容器の前記容器本体及び前記第2蓋体を、前記第2接着面上で切断する切断工程を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記第1蓋体及び第2蓋体が、微生物不透過性及び気体透過性の材料で形成されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記第1蓋体と前記第1接着面との接着、及び、前記第2蓋体と前記第2接着面との接着は、ヒートシールにより行われる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記容器本体は、さらに、蓋体と接着する接着面を前記開口部の周囲に1箇所以上有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記電子線源の電圧が、200kV以下である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記第1ポリマー溶解液は、薬剤を含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記無菌製造品が経皮吸収シートである、
請求項1から9のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。 - 前記無菌製造品が、医薬品、医薬部外品、又は、化粧品である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の無菌製造品の製造方法。
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WO2019146277A1 (ja) | 2018-01-25 | 2019-08-01 | 富士フイルム株式会社 | 経皮吸収シートの製造方法 |
WO2019171842A1 (ja) | 2018-03-07 | 2019-09-12 | 富士フイルム株式会社 | 経皮吸収シートの製造方法 |
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- 2021-01-29 WO PCT/JP2021/003331 patent/WO2021157488A1/ja active Application Filing
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JP2008200960A (ja) | 2007-02-19 | 2008-09-04 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 再封機能付き底材及びこれを用いた包装体 |
WO2019146277A1 (ja) | 2018-01-25 | 2019-08-01 | 富士フイルム株式会社 | 経皮吸収シートの製造方法 |
WO2019171842A1 (ja) | 2018-03-07 | 2019-09-12 | 富士フイルム株式会社 | 経皮吸収シートの製造方法 |
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