以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[システムの概要]
図1は、本開示の一形態に係る地図情報管理装置(情報管理装置)を含む地図情報提供システムの利用環境について説明する図である。本実施形態で説明する地図情報提供システムは、例えば、車両・ロボット等の小型モビリティ、またはドローン等の飛行体などの移動経路に係る情報を移動体等の利用者に対して提供する装置である。近年、予め決められたエリア内を移動する移動体等を利用して、特定の目的地へ移動し何らかの処理を行うことが検討されている。本実施形態で説明する地図情報提供システムは、このような移動体等の利用者に対して、特定の目的地に対する移動経路に係る情報である経路情報を提供可能としている。
図1では、地図情報管理装置において管理する経路情報が記載された地図Mを示している。地図情報管理装置が利用者に対して提供する経路情報には、秘匿性を考慮した管理が要求される領域における経路が含まれ得ることを特徴としている。地図Mには、道路等の示された一般的に公開される地図(一般地図)上に、複数の個人の住宅Hが示されている。
ここで、ドローン等の飛行体からなる移動体Uが、出発地点Sから特定の住宅H1内の目的地点Gへ向かうとする。出発地点Sから目的地点Gへ向かう場合、移動体Uは、例えば、地図Mに示された道路L1を通って出発地点Sから住宅H1の近隣の所定の地点P1まで移動した後、住宅H1内を通る経路L2を通って目的地点Gに到達することが考えられる。しかしながら、住宅H1内を通る経路L2に係る情報はプライベートな情報である。図1に示すように、目的地点Gがプライベートな領域に設けられている場合、目的地点Gへの経路にはプライベートな領域を通る経路L2が含まれるが、プライベートな領域に係る情報は一般地図とは区別して管理することが望まれる。また、個人の住宅のような他の領域から区画された領域ではないが、移動体Uが特殊な用途のために移動するため、その移動経路を一般地図と同様に公開せずに秘匿しておきたい場合も存在すると考えられる。
また、例えば、図1に示す道路L1は車両が通行可能であるが、住宅H1内を通る経路L2は車両の通行ができないとする。このとき、移動体Uが車両である場合には、地図情報提供システムは、移動体Uに対して経路L2を経由して目的地点Gへ向かうという経路情報は提示しない構成とすることが求められる。一方、移動体Uが飛行体である場合には、地図情報提供システムは、経路L2を経由して目的地点Gへ向かう経路情報を移動体Uに対して適切に提示することが求められる。このように、移動体の種類に応じて移動可能な経路が異なる場合もあるから、地図情報提供システムから移動体に応じて適切な経路情報を選択して提示することが求められる。
そのため、以下で説明する地図情報提供システムでは、一般地図に対応する地図情報(以下、基盤経路情報として説明する)と、個別に管理すべき地図情報(以下、プライベート経路情報として説明する)と、を区分けして管理し、必要に応じてこれらの紐付け/分離を切り替える機能を有する。
[システムの構成]
図2を参照して、地図情報提供システム1の装置構成及び各部の機能について説明する。図2に示すように、地図情報提供システム1は、地図情報管理装置10(情報管理装置)と、プライベート経路情報管理装置20と、を含む。地図情報管理装置10は、一般地図に対応する基盤経路情報を保持する。また、地図情報管理装置10は、必要に応じてプライベート経路情報管理装置20において保持される情報を利用して、プライベートな経路を含む経路情報を作成し、利用者に対して出力する機能を有する。プライベート経路情報管理装置20は、秘匿性が高い経路に係る情報を保持する機能を有し、必要な場合には、地図情報管理装置10に対して当該情報を提供する機能を有する。地図情報管理装置10とプライベート経路情報管理装置20とは互いに独立した装置であり、地図情報管理装置10においてプライベート経路情報管理装置20は自装置とは異なる外部装置に相当する。地図情報管理装置10とプライベート経路情報管理装置20とは、例えば、無線または有線による通信接続が可能とされる。
本実施形態では、一般地図に対応する情報に基づいて作成された経路情報を「基盤経路情報」という。また、一般地図に記載された情報と区別して管理する経路に係る情報を「プライベート経路情報」という。一般地図に記載された情報、すなわち、基盤経路情報と区別して管理する経路に係る情報としては、上述のとおり、個人宅または民間のマンションの内部のようにプライベートな領域を通る経路に係る情報、移動体を利用して所定の業務を行う業者が利用する特定の目的地へ向かう経路に係る情報等が挙げられる。プライベート経路情報は、基盤経路情報と比較して秘匿性が高く、基盤経路情報に対して接続可能な領域における経路情報であり、基盤経路情報に対する副経路情報に相当する。副経路情報(プライベート経路情報)が「基盤経路情報と比較して秘匿性が高い」とは、副経路情報は基盤経路情報と比較して公開先に係る管理が必要であることを示す。なお、副経路情報(プライベート経路情報)は、基盤経路情報により特定される領域と比較して狭域の経路情報とされている場合もある。ただし、領域の大きさは特に限定されない。
図3は、地図情報提供システム1を構成する地図情報管理装置10及びプライベート経路情報管理装置20のハードウェア構成の一例を示す。例えば、地図情報管理装置10及びプライベート経路情報管理装置20は制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。
プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。具体的には、アプリケーションプログラムとは、特定の領域の経路情報である基盤経路情報を保持し、基盤経路情報と比較して秘匿性が高く、基盤経路情報に対して接続可能な領域における経路情報である副経路情報(プライベート経路情報)を取得して、基盤経路情報と副経路情報とを接続して所定の処理を行うことを地図情報管理装置10に実行させるためのプログラムである。
ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。一例では、プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、上記の各機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
地図情報管理装置10及びプライベート経路情報管理装置20は、それぞれ一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで論理的に一つの地図情報管理装置10または一つのプライベート経路情報管理装置20が構成される。
地図情報管理装置10またはプライベート経路情報管理装置20として機能するコンピュータは限定されない。例えば、地図情報管理装置10及びプライベート経路情報管理装置20はそれぞれ業務用サーバなどの大型のコンピュータで構成されてもよいし、パーソナルコンピュータや携帯端末(例えばスマートフォン、タブレット端末など)などの小型のコンピュータで構成されてもよい。
図2に戻り、地図情報管理装置10は、基盤経路情報管理部11と、基盤経路情報保持部12と、連携情報管理部13と、連携情報保持部14と、出力要求取得部15(接続処理部)と、出力情報作成部16と、出力部17と、を含んで構成される。また、プライベート経路情報管理装置20は、プライベート経路情報管理部21と、プライベート経路情報保持部22と、を含んで構成される。
地図情報管理装置10の基盤経路情報管理部11は、基盤経路情報保持部12において保持される基盤経路情報の管理を行う。具体的には、基盤経路情報の更新・追加・削除等を行う。
地図情報管理装置10の基盤経路情報保持部12は、基盤経路情報を保持する機能を有する。基盤経路情報についての詳細は後述する。
地図情報管理装置10の連携情報管理部13は、連携情報保持部14において保持される連携情報の管理を行う。具体的には、連携情報の更新・追加・削除等を行う。連携情報管理部13は、プライベート経路情報管理装置20との間で情報の送受信を行うことで、プライベート経路情報毎に対応する連携情報を作成し保持する機能を有する。連携情報管理部13は、連携情報の作成の際に、経路情報を利用する利用者等の外部の装置との間で通信を行って必要な情報取得して保持する機能を有していてもよい。
地図情報管理装置10の連携情報保持部14は、連携情報を保持する機能を有する。連携情報についての詳細は後述する。
プライベート経路情報管理装置20のプライベート経路情報管理部21は、プライベート経路情報保持部22において保持されるプライベート経路情報の管理を行う。具体的には、プライベート経路情報の更新・追加・削除等を行う。また、プライベート経路情報管理部21は、地図情報管理装置10からの要求に基づいてプライベート経路情報を地図情報管理装置10へ送信する等の処理も行う。また、プライベート経路情報管理部21が、プライベート経路情報の送信に係る認証処理等を行う構成としてもよい。
プライベート経路情報管理装置20のプライベート経路情報保持部22は、プライベート経路情報を保持する機能を有する。プライベート経路情報についての詳細は後述する。
次に、基盤経路情報、プライベート経路情報、及び、連携情報について、図4~図7を参照しながら説明する。
図4は、基盤経路情報、プライベート経路情報、及び、連携情報の関係を模式的に示す図であり、図1で示した地図Mのうち住宅H1の周辺に対応する図である。図4に示す例のうち、住宅H1の外側を通る経路に係る情報は基盤経路情報に含まれる。基盤経路情報において、経路を示す情報はノードNとリンクMLの組み合わせによって表現することができる。ノードNは、経路に沿って移動する移動体が何らかの動作(右折又は左折などの進路方向を変更する動作など)が発生し得る場所を示す。また、リンクMLは、隣接するノード間の経路を示す。したがって、リンクMLは、ノードN同士を接続するように設けられる。図4に示す例では、ノードN001,N002が設けられていて、ノードN001-N002間を接続するようにリンクML001が設けられている状態が示されている。
プライベート経路情報は、住宅H1で特定するプライベートな領域を通る経路に係る情報である。プライベート経路情報についても、ノードとリンクPLの組み合わせによって表現することができる。図4に示す例では、プライベート経路情報としてリンクPL001が設けられている状態が示されている。なお、図4に示す例ではノードが用いられていないが、基盤経路情報と同じように、ノードとリンクとを組み合わせて表現してもよい。
基盤経路情報とプライベート経路情報とを対応付けるのが連携情報である。図4に示す例では、プライベート経路情報であるリンクPL001は、プライベートな領域の外部を通るリンクML001上に設けられた連携ノードCN001において、リンクML001に対して接続されている。連携ノードとは、基盤経路情報に含まれる経路情報の特定の場所において、基盤経路情報に含まれる経路と、プライベート経路情報により特定される経路とを対応付けるノードであり、基盤経路情報とプライベート経路情報との間を接続する際の連携点に対応する。そして、連携情報とは、連携ノードCN001を特定する情報である。
このように、基盤経路情報、プライベート経路情報、及び、連携情報を組み合わせること、基盤経路情報において示された経路(図4では、リンクML001)及びプライベート経路情報において示された経路(図4では、リンクPL001)を、連携情報(により特定される連携ノードCN001)を用いて接続することができる。
図5(a)及び図5(b)は、地図情報管理装置10の基盤経路情報保持部12において保持される基盤経路情報の例を示している。図5(a)は基盤経路情報保持部12において保持されるノードに係る情報の例であり、図5(b)はリンクに係る情報の例である。ノードに係る情報は、図5(a)に示すように、ノードを識別する情報(ノードID)と、当該ノードが設けられている場所を特定する情報と、を含む。ノードが設けられている場所は、例えば、図5(a)に示すように地図上の所定の位置を基準とした2次元の座標を用いて表現してもよいし、緯度・経度を用いてもよい。リンクに係る情報は、図5(b)に示すように、リンクを識別する情報(リンクID)と、当該リンクが設けられている場所を特定する情報と、を含む。リンクが設けられている場所は、ノードに係る情報と同様に、例えば、所定の位置を基準とした2次元の座標を用いて表現してもよいし、緯度・経度を用いてもよい。
基盤経路情報は、上記のリンクに係る情報とノードに係る情報との組み合わせによって構成される。なお、基盤経路情報は、経路に係る情報を提供する対象となる利用者に応じて複数種類準備されていてもよい。例えば、経路に沿って移動する移動体の種類が異なると、利用可能な経路が異なることが考えられる。したがって、例えば、移動体の種類に応じて互いに異なる基盤経路情報を作成してもよい。また、移動体の種類に代えて、例えば、移動体とは別の利用者のカテゴリ(例えば、業種)に応じて、互いに異なる基盤経路情報を準備してもよい。
図6は、プライベート経路情報管理装置20のプライベート経路情報保持部22において保持されるプライベート経路情報の例を示している。図6に示すプライベート経路情報は、図5(b)に示した基盤経路情報におけるリンクに係る情報と同じように、リンクを識別する情報(リンクID)と、当該リンクが設けられている場所を特定する情報と、を含む。リンクが設けられている場所は、基盤経路情報と同様に、例えば、所定の位置を基準とした2次元の座標を用いて表現してもよいし、緯度・経度を用いてもよい。このようにプライベート経路情報保持部22において保持されるプライベート経路情報は、基盤経路情報に含まれる経路に係る情報(ノードに係る情報及びリンクに係る情報)と同様の情報が含まれている。なお、図6ではリンクに係る情報のみを示しているが、プライベート経路情報にノードに係るが含まれる場合には、上述のように図5(a)に示したノードに係る情報と同様の情報が用いられる。
図7は、地図情報管理装置10の連携情報保持部14において保持される連携情報の例を示している。連携情報とは、具体的には、連携ノードに係る情報である。図7に示すように、連携ノードに係る情報には、連携ノードを特定する情報(ID)と、連携ノードが設けられる場所を示す情報と、連携先のプライベート経路情報を特定する情報(連携先リンク)と、連携元の基盤経路情報に含まれる経路を特定する情報(連携元リンク)と、が含まれる。さらに、図7に示す例では、プライベート経路の利用に係る情報が含まれる。プライベート経路の利用に係る情報には、連携ノードを介して基盤経路情報とプライベート経路とを連携させる場合の制限に係る情報、及び、プライベート経路及び連携ノードの秘匿性に係る情報が含まれている。
図7に示す例では、連携ノードを特定する情報(ID)として「CN001」が記載されている。また、連携ノードが設けられる場所を示す情報として「ML001,60%」が記載されている。これは、連携ノードが設けられるリンクを特定するとともに、リンク上で連携ノードが設けられる場所を百分率で示している例である。具体的には、図8(a)に示すように、リンクML001の一方の端部を0%とし、他方の端部を100%としたときの特定の割合を指定することで、リンク上の特定の場所を指定することができる。連携ノードCN001が設けられる場所が「ML001,60%」とされている場合、図8(a)に示す位置に連携ノードが設けられることを示している。なお、連携ノードが設けられる場所を特定する方法は、上記の方法に限定されない。図8(b)に示す例では、リンクML001上に、予めそれぞれ0~5の数値で特定された、ノードが設置可能な接続点が6つ設けられている。したがって、リンクML001を特定した上で、接続点を特定することにより、連携ノードが設けられる場所を特定することができる。例えば、連携ノードCN001が設けられる場所を「ML001,接続点1」と記載することで、図8(b)に示す場所を特定することができる。このように、連携ノードが設けられる場所を特定する方法は特に限定されない。連携ノードが設けられる場所として、ノードまたはリンクの場所を特定する際と同様に、所定の位置を基準とした2次元の座標を用いて表現してもよいし、緯度・経度を用いてもよい。
また、図7に示す例では、連携先のプライベート経路情報を特定する情報(連携先リンク)、及び、連携元の基盤経路情報に含まれる経路を特定する情報(連携元リンク)として、それぞれリンクのID「PL001」及び「ML001」が記載されている。上記の連携ノードを特定する情報(ID)と、連携ノードが設けられる場所を示す情報と、連携先のプライベート経路情報を特定する情報(連携先リンク)と、連携元の基盤経路情報に含まれる経路を特定する情報(連携元リンク)と、を用いることで、連携ノードを介して基盤経路情報に含まれる経路とプライベート経路情報により特定される経路と、を連携(接続)することが可能となる。
図7に示す例では、プライベート経路の利用に係る情報として、連携ノードを利用することができる利用者の業種を特定する情報(業種)、連携ノードを利用して連携するプライベート経路を利用することができるモビリティの種類を特定する情報(モビリティ種類)、プライベート経路に関する秘匿性を示す情報(公開/非公開)、及び、プライベート経路の利用可能な時間帯を特定する情報(利用可能時間)が含まれる。
このうち、連携ノードを利用することができる利用者の業種を特定する情報、及び、連携ノードを利用して連携するプライベート経路を利用することができるモビリティの種類を特定する情報、及び、プライベート経路の利用可能な時間帯を特定する情報は、連携ノードを介して対象のプライベート経路を連携してよいかを特定する条件に相当する。図7に示す例では、連携ノードを利用することができる利用者の業種を特定する情報として、「宅配」が記載されている。また、連携ノードを利用して連携するプライベート経路を利用することができるモビリティの種類を特定する情報として、「ドローン」が記載されている。また、プライベート経路の利用可能な時間帯を特定する情報として、「12時~18時」が記載されている。
また、プライベート経路に関する秘匿性を示す情報とは、連携情報またはプライベート経路情報の第三者に対する秘匿性を示す情報である。ここでは、プライベート経路に関する秘匿性を示す情報として、「連携先は非公開」と記載されている。これは、連携先に係る具体的な情報は、プライベート経路情報を利用しない第三者等には公開しない、ということを示している。プライベート経路に関する秘匿性としては、第三者がどの情報を参照することができるか、という観点で複数のレベルを設定することができる。図9は、秘匿性のレベル(セキュリティレベル)の設定例である。図9では、連携ノード自体の情報、及び、連携ノードにより連携可能なプライベート経路(リンク)に係る情報が開示可能かという観点で5つのレベルを設定している。例えば、セキュリティレベル1では、連携ノードの有無、連携ノード自体の場所、及び、連携先の具体的な情報についても第三者からの閲覧を可能とするものである。また、連携先の具体的な情報、連携ノード自体の場所、連携ノードの有無の順に秘匿性が求められる情報であるので、これらの参照可否に基づいて、5段階のセキュリティレベルを設定することができる。連携ノードに対応付けてプライベート経路に係る秘匿性を示す情報を保持することで、地図情報管理装置10では各プライベート経路に係る情報の開示を管理し、秘匿性を維持することを可能とする。なお、セキュリティレベルが高く(例えば、レベル2以上)設定されているプライベート経路情報に関しては、プライベート経路情報の利用に際しても秘匿性を維持するための処理等を追加することができる。例えば、プライベート経路を利用する際には、セキュリティレベルに応じて、プライベート経路情報管理装置20などにより予め定められている認証処理を必須な構成とすることもできる。
なお、連携情報保持部14において保持される情報には、上述のように秘匿性のレベルが互いに異なる情報が含まれる。また、連携情報保持部14において保持される情報は、プライベート経路情報に関連する情報であるため、プライベート経路情報管理装置20の操作者等の指示に基づき、連携情報管理部13による連携情報保持部14において保持される情報の更新が行われる場合もある。このような事情から、地図情報管理装置10の連携情報管理部13及び連携情報保持部14は、地図情報管理装置10の他の機能部とは独立して動作し、必要な場合を除いて他の機能部とは連携を取らない構成としてもよい。また、連携情報管理部13及び連携情報保持部14のセキュリティレベルについても、地図情報管理装置10の他の機能部とは区別して設定・管理する構成としてもよい。例えば、連携情報管理部13及び連携情報保持部14に限り、特定の第三者(例えば、権限を付与した外部の装置)からのアクセスを許容すると共に、連携情報保持部14に保持される情報の更新の有無は、他の機能部は把握できない構成としてもよい。
図2に戻り、地図情報管理装置10の出力要求取得部15は、利用者からの経路に係る情報の出力要求を取得する機能を有する。利用者からの出力要求には、経路を特定するための情報として、例えば、出発地点と目的地点とを特定する情報等が含まれる。また、プライベート経路情報を利用するための認証処理等が必要な場合には、出力要求取得部15において利用者から当該認証処理に係る情報等を取得する構成とすることができる。
地図情報管理装置10の出力情報作成部16は、利用者からの出力要求に基づいて、出力する経路情報を作成する。具体的には、基盤経路情報保持部12において保持されている基盤経路情報と、連携情報保持部14において保持されている連携情報と、プライベート経路情報管理装置20のプライベート経路情報保持部22において保持されているプライベート経路情報とを組み合わせて、出力要求に対応した経路情報を作成する。また、出力情報作成部16は、出力情報を作成する際には、プライベート経路情報管理装置20との間で、プライベート経路情報の利用のための認証処理等を行う場合もある。このように、出力情報作成部16は、基盤経路情報に対して接続可能なプライベート経路情報を取得し、基盤経路情報とプライベート経路情報とを接続して所定の処理を行う接続処理部としての機能を有する。
地図情報管理装置10の出力部17は、出力情報作成部16において作成された経路情報を、出力要求を送信した利用者に対して送信する。
[地図情報提供システムにおける各処理の手順]
次に、図10及び図11を参照しながら、地図情報提供システム1における処理の手順について説明する。ここでは、個人の住居への物品の宅配にプライベート経路情報を利用する場合を想定して説明する。前提として、個人の住居に係る情報はプライベートな情報であり、プライベート経路情報は、住居を管理する管理会社が管理しているとする。したがって、住居の管理会社がプライベート経路情報管理装置20のプライベート経路情報保持部22の情報を更新することを想定する。一方、地図情報管理装置10は、基盤経路情報を管理する住居の管理会社とは別の管理者が管理することを想定する。
まず、図10を参照しながら、地図情報提供システム1に対してプライベート経路情報を保持させる手順について説明する。
地図情報管理装置10では、基盤経路情報管理部11によって基盤経路情報保持部12における情報が管理されている(S01)。ここでの基盤経路情報の管理とは、情報の更新等も含まれる。また、地図情報管理装置10は、個人の住居に係る情報を管理する管理会社に対して、連携ノードの作成権限を付与する(S02)。連携ノードの作成権限の付与の手法等は特に限定されないが、例えば、管理会社に対して、地図情報管理装置10の連携情報管理部13及び連携情報保持部14へのアクセス権限を付与する等の方法を用いることができる。管理会社は、連携ノードの作成権限を取得することで、プライベート経路情報管理装置20において保持するプライベート経路情報を、基板経路情報と連携させることができる。なお、この段階で、プライベート経路情報管理装置20の操作権限の付与等を行ってもよい。このとき、管理会社毎に互いに異なるプライベート経路情報管理装置20を設けるような構成としてもよい。さらに、プライベート経路情報の作成手順(データ形式等を含む)を地図情報管理装置10から管理会社に対して提供する構成としてもよい。
ここで、管理会社の管理対象である住居を使用する個人が、管理会社に対してプライベート経路情報を利用した物品の宅配を希望して、プライベート経路情報の利用を申請したとする(S03)。これに対して、管理会社はプライベート経路情報管理装置20を利用して、当該個人に係るプライベート経路情報を作成する(S04)。この結果、プライベート経路情報保持部22に、この個人に係るプライベート経路情報が保持されることになる。なお、プライベート経路情報の作成(S04)は、連携ノードの作成権限の取得(S02)よりも前にプライベート経路情報管理装置20において行われていてもよい。
管理会社によってプライベート経路情報管理装置20に保持される個人に係るプライベート経路情報が更新されると、更新されたプライベート経路情報に対応する連携ノードの作成が行われる(S05)。具体的には、基盤経路情報に含まれる経路の特定の位置に、連携ノードに対応した連携情報を作成すると共に、連携ノードを利用して基盤経路情報とプライベート経路情報との対応付けに係る情報を作成する。この段階で、セキュリティレベルに係る設定等も併せて行うことができる。上記の処理により、連携情報保持部14において保持される情報が更新されることになる。ただし、上述のように、連携情報保持部14の情報の更新は、地図情報管理装置10の他の機能部において把握しない構成としてもよい。地図情報管理装置10側に連携情報保持部14において保持される情報の更新が行われたことを通知するか否かは、例えば、情報の秘匿性に応じて変更してもよい。なお、図10では、連携ノードの作成(S05)は、プライベート経路情報管理装置20及び管理会社側で行う場合を示しているが、プライベート経路情報管理装置20から通知を受けた地図情報管理装置10側で情報の更新に係る処理を行ってもよい。
以上のように、プライベート経路情報の作成(更新)・保持と、連携情報の作成(更新)・保持と、を行うことにより、経路情報の作成の際に必要な情報が準備された状態となる。
次に、図11を参照しながら、プライベート経路情報を含む経路情報を利用者に対して提供する手順について説明する。
ここでは、個人が利用者による物品の宅配を希望した状態を想定する。この状態では、小型モビリティ等を利用して個人に対して物品の宅配を行う宅配業者等が、経路情報の利用者となり、地図情報管理装置10に対して経路情報の要求を行うことになる。このような場合、まず、個人が物品の宅配を行う宅配業者(利用者)に対して、物品の宅配を要求する(S11)。ここで、個人がプライベート経路情報を利用した宅配を求めている場合、個人から宅配業者(利用者)に対して、プライベート経路情報の利用を許可することを示す情報を送信する。宅配業者は、経路情報の利用者として、地図情報管理装置10に対して個人の住居へ物品を宅配するための経路情報の出力を地図情報管理装置10に対して要求する(S12)。利用者からの経路情報の出力要求(経路探索要求)には、経路の起点と終点とを特定する情報、業種、使用するモビリティ、経路を利用する時間等、経路情報の作成に必要な情報が含まれる。また、プライベート経路情報を利用する場合には、プライベート経路情報の利用に必要な情報(例えば、個人が利用者許可していることを示す情報等)が利用者から地図情報管理装置10に対して送信される。
地図情報管理装置10の出力要求取得部15において利用者からの出力要求を取得すると、出力情報作成部16において出力情報の作成に係る処理が行われる。まず、出力情報作成部16では、連携情報保持部14において保持される情報に基づいて、プライベート経路情報と関連性の高い連携ノードを特定する(S13)。連携ノードの特定の方法としては、例えば、経路の終点とを特定する情報(例えば、住所情報)から、終点に近い連携ノードを選択する方法が挙げられる。このとき、出力要求を送信した利用者が利用可能な連携ノードから、連携ノードを選択する構成とすることで、利用者に応じた適切な連携ノードの特定が可能となる。また、利用可能なプライベート経路情報を特定する情報(例えば、プライベート経路情報のIDを特定する情報など)が利用者等から提供された場合には、当該情報に基づいて、連携ノードを特定する方法を用いもよい。連携ノードを特定する方法は適宜変更することができる。なお、後述の出力情報の作成の手順を進めた際に、当初特定された連携ノードとは異なる連携ノードを特定することが必要となった場合には、連携ノードの特定処理を繰り返して行ってもよい。
上記の手順で、連携ノードを特定した場合には、地図情報管理装置10の出力情報作成部16は、プライベート経路情報を管理するプライベート経路情報管理装置20を管理する管理会社等からプライベート経路情報の利用に係る許可を取得する。具体的な手順としては、例えば、管理会社の管理下にあるプライベート経路情報管理装置20に対して、地図情報管理装置10の出力情報作成部16からプライベート経路情報の利用要求を送信する(S14)。プライベート経路情報管理装置20のプライベート経路情報管理部21では、地図情報管理装置10からのプライベート経路情報の利用要求に対して、所定の要件を満たす場合には利用権限の付与を行う(S15)。上記の利用権限の付与に係る処理(S14,S15)は、地図情報管理装置10の出力情報作成部16とプライベート経路情報管理装置20との間でのプライベート経路情報の利用に係る認証処理に相当し、プライベート経路情報の利用の前に行われる。なお、付与される利用権限とは、プライベート経路情報を今後継続して利用可能とするものではなく、例えば、回数または時間を制限したものとされる。これにより、今回の利用要求において想定されている用途(物品の宅配)以外においてプライベート経路情報が利用されることを防ぐことができる。
利用権限が付与されると、地図情報管理装置10の出力情報作成部16は、プライベート経路情報管理装置20において保持されているプライベート経路情報も利用して出力要求に対応する出力情報の作成を行う(S16)。すなわち、基盤経路情報とプライベート経路情報とを組み合わせて、利用者に対して出力する経路情報となる経路探索結果を作成する。作成された経路情報は、経路探索の結果として、地図情報管理装置10の出力部17から利用者である宅配業者に対して出力される(S17)。なお、利用者に対して経路情報を出力した後、地図情報管理装置10におけるプライベート経路情報の利用は終了される(S18)。プライベート経路情報の利用の終了は地図情報管理装置10において自発的に行われてもよいし、付与された利用権限の制限時間の経過等に基づいて強制的に終了されてもよい。
出力情報として経路探索結果を取得した利用者(宅配業者)は、取得した情報に基づいて、小型モビリティ等を利用して個人の住居に対して物品を配達する(S19)。また、利用者は、物品を配達された個人から物品の受領確認を取得する(S20)。これにより、地図情報管理装置10から提供された出力情報(経路探索結果)の利用が終了する。なお、利用者が取得した出力情報(経路探索結果)には個人の住居に係るプライベート経路情報が含まれている。この場合、プライベート経路情報が想定外の用途で利用されること等を防ぐために、所定時間が経過すると出力情報の利用が制限されるようなデータ加工を施して地図情報管理装置10から利用者に対して出力する構成としてもよい。また、プライベート経路情報の利用が終了したことを示す処理を行うことを契機として、プライベート経路情報が利用不可となるような構成としてもよい。図11に示す例では、個人からの物品の受領確認の取得(S20)を契機として、利用者における出力情報(経路探索結果)の利用が制限されるような構成とすることができる。
なお、図10及び図11に示す例では、個人の住居に対して物品を宅配する例について説明したが、地図情報管理装置10から利用者に対して出力情報を提供する状況は物品を宅配する場合とは異なる場合でも発生し得る。このような状況として、例えば、小型モビリティが所定の経路を移動して店舗内に設置された現金自動預け払い機(ATM)を巡回して現金を輸送するケースが考えられる。小型モビリティが現金を輸送するケースでは、ATMの場所が特定された経路情報などはプライベート経路情報として管理することが望まれるが、基盤経路情報に含まれるような公道も移動することが求められる。したがって、上記実施形態で説明した物品の宅配と同様に基盤経路情報とプライベート経路情報とを組み合わせて経路情報を作成して利用することが考えられる。ただし、プライベート経路情報を管理する者(図10及び図11に示す例では管理会社)と利用者との関係は、事例によって変化し得るので、事例に応じて情報の受け渡しの流れは変更され得る。
[本実施形態の効果]
以上説明したように、地図情報提供システム1に含まれる地図情報管理装置10は、特定の領域における経路情報である基盤経路情報を保持する基盤経路情報保持部12と、基盤経路情報と比較して秘匿性が高く、基盤経路情報に対して接続可能な領域における経路情報である副経路情報としてのプライベート経路情報を取得し、基盤経路情報と副経路情報とを接続して所定の処理を行う接続処理部に対応する出力情報作成部16と、を有する。
地図情報管理装置10によれば、基盤経路情報と、基盤経路情報に対して秘匿性が高い副経路情報とを接続して、所定の処理を行うことができるため、基盤経路情報には記載されていない情報にも基づいた経路情報に係る処理を行うことができる。また、副経路情報が基盤経路情報を管理している装置とは異なる外部装置において管理されている場合にも、当該情報を取得して、両者を接続することが可能な構成である。そのため、副経路情報が必要な場合のみ外部装置から当該情報を取得して利用することができることから、基盤経路情報を保持する地図情報管理装置での副経路情報の管理を行わない構成とすることができる。また、上記の構成を有していると、個別の事情に応じて基盤経路情報と副経路情報との接続または切離しを容易に行うことができるため、基盤経路情報と副経路情報との組み合わせに応じて多様な処理を行うことが可能となる。したがって、基盤経路情報と副経路情報とを接続した情報をより幅広い場面で利用することができる。
また、接続処理部としての出力情報作成部16は、外部装置としてのプライベート経路情報管理装置20から副経路情報としてのプライベート経路情報を取得する前に、外部装置との間で認証処理を行う構成とすることができる。このような構成とすることで、例えば、副経路情報の利用が制限されている場合に地図情報管理装置が当該情報を利用してしまうことを防ぐことが可能となる。このように、副経路情報を取得する前に認証処理を行う構成とした場合、副経路情報の管理及び利用をより適切に行うことができる。
また、接続処理部としての出力情報作成部16は、所定の処理が終了した後に、基盤経路情報と、副経路情報としてのプライベート経路情報と、の接続を終了する構成とすることができる。このような構成とすることで、副経路情報の利用が制限されている場合に地図情報管理装置が当該情報を利用してしまうことを防ぐことが可能となる。このように、所定の処理が終了した後に、基盤経路情報と副経路情報との接続を終了する構成とした場合、副経路情報の管理及び利用をより適切に行うことができる。
また、地図情報管理装置10は、基盤経路情報と副経路情報(プライベート経路情報)との接続を行う連携点に係る情報である連携情報を保持する連携情報保持部14をさらに有し、接続処理部としての出力情報作成部16は、連携情報に基づいて基盤経路情報と副経路情報とを接続する構成とすることができる。このような構成とすることで、基盤経路情報を管理する地図情報管理装置10において、副経路情報との接続を速やか且つ正確に行うことが可能となるため、基盤経路情報及び副経路情報を組み合わせた所望の処理をより迅速且つ適切に行うことが可能となる。
連携情報及び副経路情報(プライベート経路情報)には、それぞれ当該情報の秘匿性を示す情報が対応付けられ、接続処理部としての出力情報作成部16は、当該秘匿性を示す情報に基づいて第三者に対する連携情報及び副経路情報の開示を制限する態様とすることができる。このような構成とすることで、第三者に対する副経路情報に関連する情報の秘匿性を適切に管理することができる。すなわち、副経路情報が想定していない第三者に対して開示されることを防ぐことができるとともに、副経路情報に応じて秘匿性の管理を柔軟に行うことが可能となる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、地図情報提供システム1として地図情報管理装置10とプライベート経路情報管理装置20とが含まれる構成について説明したが、地図情報管理装置10とプライベート経路情報管理装置20とが少なくとも物理的に分離された装置であればよい。例えば、地図情報管理装置10としての機能が複数の装置に分散されていてもよい。
また、上記実施形態では、地図情報管理装置10において基盤経路情報と副経路情報(プライベート経路情報)とを組み合わせて経路探索を行う場合について説明したが、地図情報管理装置10が行う「所望の処理」は、経路探索とは異なる処理であってもよい。例えば、地図情報管理装置が基盤経路情報と副経路情報とを接続して行う処理として、これらの情報が含まれる地図情報の描画/表示を行ってもよい。
また、上記実施形態では、地図情報管理装置10において、基盤経路情報と副経路情報とを接続する場合について説明したが、基盤経路情報及び副経路情報に代えて、少なくともこれらの情報が含まれる地図情報を使用する構成としてもよい。
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、車線変更に係る適切な運転支援の実現に有効な地図情報管理装置の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。