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JP7275687B2 - 多孔質膜および、その製造方法 - Google Patents

多孔質膜および、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質膜および、その製造方法に関する。
従来から、ポリエチレン樹脂製の多孔質膜が、電池用セパレータ、電解コンデンサー用隔離膜、液体フィルタ用濾過膜、ハウスラップ、透湿防水衣料などの用途に使用されている。これらポリエチレン樹脂製の多孔質膜のうち、超高分子量ポリエチレンを含有する樹脂組成物を湿式法(詳細は後述)で製膜した多孔質膜は、孔径分布の狭い微細空孔を表面/内部に有し、機械特性(引張強伸度、耐水圧など)にも優れるとの特徴を有し、上述した用途に好適に使用されている。
一方、ポリエチレン樹脂は疎水性を示すため、上述した用途のうち、例えば水溶液系の電解液を用いた電池のセパレータ、水処理用のフィルタ用濾過膜など親水性を必要とする用途に使用する場合は、超高分子量ポリエチレンを含有する多孔質膜を親水化処理した後に用いられることがある。
上述した親水化処理がなされた多孔質膜として、例えば、湿式法により製膜した超高分子量ポリエチレンを含有するポリエチレン多孔質膜にアクリル系モノマーをグラフト重合した親水性ポリエチレン多孔質膜が提案されている(特許文献1)。
特開平9-31226号公報
上記特許文献1に記載の親水性ポリエチレン多孔質膜においては、疎水性であるポリエチレンを親水化処理するため、ポリエチレン多孔質膜に電子線を照射した後、アクリル系モノマー水溶液に浸漬することにより親水性官能基であるカルボキシル基(COOH基)をグラフト重合している。
しかし、本発明者らの知見によると、本方法のように、電子線を照射した疎水性のポリエチレン多孔質膜をアクリル系モノマー水溶液に浸漬し、カルボキシル基(COOH基)をグラフト重合しただけでは、必ずしも親水化処理が充分ではなく、親水性に劣る、すなわち、水接触角が高く、さらに吸水率も劣る多孔質膜となる傾向にあるとの課題がある。
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、水接触角が低く、吸水率の高い多孔質膜および、その製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するため、次のような構成を採用する多孔質膜および、その製造方法である。すなわち、
(1)少なくとも一方の面の水接触角が、80°以下であり、かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上である多孔質膜、
(2)ポリエチレンを含有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10以上であり、前記ポリエチレンは、COONa基を有している多孔質膜、
(3)前記多孔質膜が備える空孔の細孔径が、20~100nmである(1)または(2)の多孔質膜、
(4)前記多孔質膜の少なくとも一方の面の水接触角が、80°以下であり、
かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上である(1)~(3)いずれかの多孔質膜、
(5)少なくとも、ポリエチレンを含有する多孔質膜に、電離性放射線を照射する工程Iと、前記多孔質膜を、アクリル系モノマーを含有する溶液に浸漬する工程IIと、前記多孔質膜を、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する工程IIIと、をこの順に有し、前記ポリエチレンが、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10以上である多孔質膜の製造方法、
(6)前記工程IIを経た後の前記多孔質膜のグラフト率が15~40重量%である(5)の多孔質膜の製造方法である。
本発明によれば、水接触角が低く、吸水率の高い多孔質膜および、その製造方法を提供することができる。

本発明の多孔質膜は、少なくとも一方の面の水接触角が、80°以下であり、
かつ、JIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上である。
また、本発明の多孔質膜は、ポリエチレンを含有し、前記ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレンを含有し、前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10以上であり、前記ポリエチレンは、COONa基を有している多孔質膜である。
つまり、本発明の多孔質膜は、後述する未処理の多孔質膜が含有するポリエチレンに親水性官能基を導入して得られるものである。ここで、上記のポリエチレンが上記の親水性官能基としてCOONa基を含むことにより、親水性に優れた多孔質膜を得られるものである。以下、順に説明する。
<親水性官能基>
本発明の多孔質膜の含有するポリエチレンは、COONa基を有するものであることを特徴とする。COONa基は、疎水性のポリエチレン多孔質膜に親水性を付与し、多孔質膜の少なくとも一方の面と水との親和性を向上させる役割を果す。すなわち、本発明のように多孔質膜が有するポリエチレンがCOONa基を含むことにより、多孔質膜の親水性が大きく向上する。
親水性が向上する理由については定かではないが、一般的な親水性官能基であるヒドロキシ基(OH基)、カルボキシル基(COOH基)が、水との間に水素結合を形成することにより、親水性が発現するのに対し、COONa基はNaのイオン化傾向が高いため、水と接した際にCOO-とNa+に電離し、各イオンが水分子と親和性を示すことより親水性が大きく向上すると推定する。
上記原理から、COO-の対イオンとしてH(水素)よりイオン化傾向の高い元素(例えばカリウムなど)を選定すれば同様の効果が得られると推定する。
また、本発明の多孔質膜が含有するポリエチレンは、COONa基の他にも、ヒドロキシ基(OH基)やカルボキシル基(COOH基)などの親水性官能基を有していてもよい。
<本発明の多孔質膜>
次に、本発明の多孔質膜の特性等について説明する。
本発明の多孔質膜が備える空孔の細孔径は20~100nmであることが好ましい。細孔径が20nmを下回ると、例えば水処理用のフィルタ用濾過膜に用いた場合に目詰まりし易く、濾過膜としての寿命が短くなる傾向にあり、また、水溶液系電解液を用いた電池のセパレータに用いた場合にイオン透過性が劣る傾向にある。さらに、細孔径が小さくなることにより、透気度(一定量の空気が透過するために要する時間)が上昇する傾向にあるため、透気性が必要とされる用途に不向きな多孔質膜となる。一方、細孔径が100nmを上回ると、例えば、水溶液系の電解液を用いた電池のセパレータに用いた場合に非常時に孔が閉塞するシャットダウン性能に劣る傾向にある。これら細孔径は、処理前の多孔質膜の細孔径とグラフト率により決定されるため、使用する用途に応じて上述した範囲で適宜決定することが好ましい。
また、本発明の多孔質膜の少なくとも一方の表面は、親水性の指標である水接触角が80°以下であり、かつJIS K7209に準じて測定した吸水率が50%以上であることが好ましい。
水接触角は多孔質膜の表面の親水性の状態を示し、吸水率は多孔質膜内部の親水性の状態を示す指標であるため、水接触角と吸水率が前記範囲となることにより、多孔質膜の表面および多孔質膜が備える細孔の内部が充分に親水化された状態となり、親水性が必要となる用途に特に好適な多孔質膜となる。
以下、本発明の多孔質膜の製造方法について説明する。
本発明の多孔質膜は、ポリエチレンを含有する多孔質膜に、少なくとも、下記に詳細を説明する工程I、IIおよびIIIをこの順に施すことで得られる。また、便宜上、以下、工程I、IIおよびIIIを施す前のポリエチレンを含有する多孔質膜を「未処理の多孔質膜」と称することがある。
<未処理の多孔質膜>
本発明の未処理の多孔質膜は、超高分子量ポリエチレンを含有し、膜の表面から裏面まで貫通する空孔を有するものであれば特に限定されることはないが、孔径分布の狭い微細空孔を表面/内部に有し、機械特性(引張強伸度、耐水圧など)にも優れるとの観点から湿式法で製膜されたものであることが好ましい。ここで、湿式法とはポリエチレン樹脂組成物をポリエチレン樹脂組成物と相溶性のある溶媒に加熱溶解した溶液からゲル状シートを成形/延伸した後に溶媒を洗浄し除去することにより多孔質膜を製膜する方法である。
本発明で使用する超高分子量ポリエチレンを含有する未処理の多孔質膜が備える空孔の細孔径は、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましい。一方、上限は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。未処理の多孔質膜の細孔径が上述した範囲を下回ると、後述する親水化処理工程において、アクリル系モノマー溶液が浸透し難くなり、親水性が低下する傾向にある。逆に細孔径が上述した範囲を上回ると、親水化処理した後の保水率が低下する傾向にある。
また、本発明の多孔質膜は、超高分子量ポリエチレンを含有することにより機械特性(引張強伸度、耐水圧)に優れたものとなるが、本発明では重量平均分子量(Mw)1×10以上を超高分子量と定義し、本発明の多孔質膜に含有する超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10~5×10であることが好ましく、1×10~3×10であることがより好ましい。
さらに、超高分子量ポリエチレンの含有量は、未処理の多孔質膜に含まれるポリエチレン樹脂の全体を100質量%とした場合に5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。ポリエチレン樹脂中、すなわち、未処理の多孔質膜に含まれる超高分子量ポリエチレンの含有量が5質量%を下回ると、分子鎖の絡み合いの効果が十分得られず多孔質膜の機械特性が低下する傾向にある。一方、上限には特に制限はなく、必要となる機械特性に合わせて適宜選定すれば良い。
一般的に樹脂の溶融粘度が分子量に依存し、溶融粘度が大きく異なる樹脂同士は均一に混ざり難い傾向にあるとの観点から、超高分子量ポリエチレンを除く、他のポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、5×10~9×10であることが、親水化処理を施した多孔質膜とした際の各種特性バラツキを抑制する観点から好ましい。
本発明で使用する未処理の多孔質膜の厚みは5μm以上であれば特に制限はないが、機械特性、耐熱性などを考慮すると10μm以上であることが好ましい。厚みを10μm以上とすることで、親水化処理工程での耐熱性、取扱い性が特に優れたものとなる。一方、上限は特に制限がなく使用される用途に合わせて適宜選定すれば良い。
<電離性放射線の照射工程(工程I)>
本発明の多孔質膜の製造方法は、未処理の多孔質膜に電離性放射線を照射する工程I、アクリル系モノマーの溶液に浸漬し多孔質膜の中間体を作製する工程II、前記多孔質膜の中間体を水酸化ナトリウム溶液に浸漬する工程IIIを少なくとも含むものである。
上記の製造方法における電離性放射線を照射する工程Iでは、未処理の多孔質膜に電離性放射線を照射し、未処理の多孔質膜に含有されるポリエチレンの側鎖のH(水素)を切断し、ラジカルを形成する。電離性放射線には、α線、β線、γ線、電子線を挙げることができるが、易取扱い性の観点から電子線を用いることが好ましい。照射する電子線の加速電圧は100~500keVであることが好ましい。また、電子線量としては10~100kGyであることが好ましく、10~50kGyであることがより好ましい。電子線量が10kGyを下回ると親水化に充分なラジカルが発生せず、100kGyを上回ると基材である多孔質膜へのダメージが大きくなり、機械特性が低下する傾向にある。
<アクリル系モノマーの溶液への浸漬工程(工程II)>
次に、工程Iを経た、多孔質膜を、アクリル系モノマーの溶液に浸漬する工程について説明する。本工程では、工程Iにより、多孔質膜に含有されるポリエチレンの側鎖に発生したラジカルに、COOH基をグラフト重合し、COOH基を有するポリエチレンを含有する多孔質膜を作製する。
上記の工程IIで使用するアクリル系モノマーとして、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどが挙げられ、これら1種または2種以上のモノマー混合物を使用しても良い。COOH基をグラフト重合する際、アクリル系モノマーの主鎖(アクリル酸であればCHCH)もグラフト重合されるため、最も主鎖の短いアクリル酸を用いることが好ましい。
本発明では上述したアクリル系モノマーを溶媒に希釈し溶液として使用する。アクリル系モノマーを希釈する溶媒としては、有機溶媒を用いることが好ましく、易取扱い性を有するアルコール系溶媒を用いることがさらに好ましい。水を溶媒に用いた場合、疎水性であるポリエチレン多孔質膜に浸透し難く、空孔内部を均一に親水化することが困難となる傾向にある。
アクリル系モノマーの溶液の濃度について特に制限は無いが、20~50質量%の間で適宜選定すれば良い。後述するグラフト率は、ラジカルの発生量(つまり、工程Iの電子線強度)が同一であれば、アクリル系モノマーの溶液の濃度および、浸漬時間により決定されるため、アクリル系モノマーの材料費、加工費の観点から、適宜アクリル系モノマーの濃度および、浸漬時間を決定すればよい。
前記アクリル系モノマーの溶液に工程Iで作製した多孔質膜を浸漬することにより、多孔質膜の表面および多孔質膜が備える細孔の内部においてまで、多孔質膜が含有するポリエチレンにCOOH基をグラフト重合することができる。次に、グラフト重合した、COOH基を有する多孔質膜を洗浄し、多孔質膜の表面および多孔質膜が備える細孔から余剰なアクリル系モノマーを除去した後、この多孔質膜を乾燥させることにより、次の工程IIIに処するためのCOOH基を有するポリエチレンを含有する多孔質膜(以下、中間体と称することがある)を得ることができる。
なお、この中間体の時点でのグラフト率は15~40質量%であることが好ましい。グラフト率が15質量%以上であることで、この後の工程である工程IIIで、中間体を水酸化ナトリウム溶液に浸漬することで、高い親水性(水接触角、保水率)を備える多孔質膜を得ることができる。一方、グラフト率を40質量%以下とすることで、多孔質膜が備える細孔が、COOH基により閉塞されることや、孔径が小さくなることが抑制できる。ここでグラフト率とは、グラフト重合前の多孔質膜の質量に対する、グラフト重合により多孔質膜に接合されたアクリル系モノマー(COOH基を含む)の質量の比である。そして、グラフト率は、グラフト重合後の多孔質膜の質量から、グラフト重合前の多孔質膜の質量を引いた値をグラフト重合前の多孔質膜の質量で除したものをいう。
<水酸化ナトリウム水溶液への浸漬工程(工程III)>
次に、この中間体を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することにより、COOH基をCOONa基に置換する。水酸化ナトリウム水溶液の濃度については特に制限はないが、0.05~1mol/Lであることが好ましい。水酸化ナトリウム水溶液の濃度を0.05mol/L以上とすることでCOOH基のCOONa基への置換がより確実に起こり、多孔質膜の親水性がより高度なものとなる。一方で、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1mol/L以下とすることで、材料費対効果の観点で、より効率的にCOOH基のCOONa基への置換を実行することができる。
以下に本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、実施例中に示す特性値の測定方法は次のとおりである。
A.細孔径
(1)測定方法
パームポロメーター「CFP-1500(PMI社製)を用い試験体の細孔径をWet加圧/Dry加圧法で測定した。
(2)測定条件
・試験液 :Galwick(15.9DYNES/CM)
・測定圧力:500~2700kPa
・解析法 :細孔(DIST)の最大値を読み取り、試験体の細孔径とする。
B.水接触角
(1)測定方法
接触角計「DropMasterDMs-400(協和界面科学株式会社製)」
を用い試験体表面の水接触角を液滴法で測定した。
(2)測定条件
・試験液 :蒸留水、1μL
・測定時期:試験液滴下後1000mS
・解析法 :θ/2法
・n数 :3 。
C.吸水率
(1)測定方法
i)50℃に調整したオーブンで試験体を24時間乾燥させる。
ii)デシケーターに投入し、室温まで冷却し、試験体の重量を測定する。
iii)上記i)、ii)の作業を試験体の重量が±0.1mg以内で一定になるまで行い初期重量(m1)とする。
iV)試験体を蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し、表面の水分を拭き取る(キムタオル)。1分以内に吸水後の重量を測定し、吸水後重量(m2)とする。
V)((m2-m1)/m1)×100により、吸水率を算出する。
(2)引用規格:JIS K7209-2000に準拠
D.多孔質膜の組成
(1)測定方法
フーリエ変換赤外分光光度計「IR Prestige-21(株式会社島津製作所製)を用い赤外吸収スペクトルを測定し、ポリエチレン由来のピーク(2960cm-1、2870cm-1付近)の有無を確認した。
(2)測定条件
・ユニット: ATR法ユニット(MIRacleA)
・測定波数: 400~4000cm-1
E.重量平均分子量
(1)測定方法
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製)を用
い重量平均分子量を測定した。
(2)測定条件
・溶媒 : o―ジクロロベンゼン
・温度 : 135℃
・流量 : 1.0ml/min 。
F.COONa基の定性
(1)測定方法
フーリエ変換赤外分光光度計「IR Prestige-21(株式会社島津製作所製)を用い赤外吸収スペクトルを測定し、COONa由来のピーク(1550cm-1付近)の有無を確認した。
(2)測定条件
・ユニット: ATR法ユニット(MIRacleA)
・測定波数: 400~4000cm-1
(3)その他
・上記測定方法で組成の定性が困難な場合、NMRなどの既知の方法を併用してもよい。
[実施例1]
<未処理の多孔質膜>
厚み:12μm、融点:137℃、細孔径:40μm、水接触角:110°、吸水率:2%、引張強度:212MPa、引張伸度:117%の重量平均分子量(MW)2.0×10-6の超高分子量ポリエチレンを25質量%、3.0×10-5の高密度ポリエチレンを75質量%含有する未処理の多孔質膜を基材に用いた。
<電離性放射線の照射工程(工程I)>
前記未処理の多孔質膜に電子線(加速電圧:100keV、電子線強度:20kGy)を照射し、ラジカルを形成した。
<アクリル系モノマーの溶液への浸漬工程(工程II)>
前記ラジカルを形成した多孔質膜を濃度35質量%のアクリル酸アルコール溶液に120分間浸漬した後、50℃オーブンで乾燥させ中間体を得た。なお、グラフト率は16%であった。
<水酸化ナトリウム水溶液への浸漬工程(工程III)>
親水性ポリエチレン多孔質膜中間体を0.1M/Lの水酸化ナトリウム水溶液に12時間浸漬した後、蒸留水で洗浄し、50℃オーブンで乾燥させ試験体を得た。
[実施例2]
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を40質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は19%であった。
[実施例3]
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を45質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は23%であった。
[実施例4]
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を50質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は33%であった。
[実施例5]
工程IIにおけるアクリル酸アルコール溶液の濃度を60質量%に変更したことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。なお、工程II終了時点のグラフト率は44%であった。
[比較例1]
水酸化ナトリウム水溶液への浸漬(工程III)を行わないことを除き、実施例1と同一の方法で試験体を得た。
実施例1~5、および比較例1の各試験体について、上述した測定方法を用い、細孔径、水接触角、吸水率を測定した結果を表1に示す。
親水性官能基にCOONa基を有する実施例1は、水接触角=79°、吸水率=54%であり、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬していない親水性官能基がCOOH基の比較例1(水接触角=94°、吸水率=35%)対比で高い親水性を有することを確認した。
また、中間体のグラフト率を19質量%、23質量%、33質量%とした実施例2、3、4は、グラフト率16質量%の実施例1と比較して、親水性(水接触角、吸水率)に優れる傾向であった。
一方、グラフト率の向上(実施例1→実施例5)に伴い、細孔径が小さくなる傾向にあるため、必要とする親水性と透気性の観点から適宜選定することが好ましい。
なお、水酸化ナトリウム水溶液へ浸漬(工程III)した実施例1~5はいずれも1550cm-1付近にCOONa由来のピークを有し、水酸化ナトリウム水溶液へ浸漬していない比較例1はCOONa由来のピークを有していないことを確認した。
Figure 0007275687000001
本発明の多孔質膜は、水接触角、および吸水率を高いレベルで備え、親水性に優れているので、水溶液系の電解液を用いた電池のセパレータ、水処理用のフィルタ用濾過膜など親水性を必要とする用途に好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 少なくとも、ポリエチレンを含有する多孔質膜に、電離性放射線を照射する工程Iと、前記多孔質膜を、アクリル系モノマーを含有する溶液に浸漬する工程IIと、前記多孔質膜を、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する工程IIIと、をこの順に有し、
    前記ポリエチレンが、超高分子量ポリエチレンを含有し、
    前記超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、1×10 以上であり、
    前記水酸化ナトリウム水溶液の濃度が0.05~1mol/Lであることを特徴とする、多孔質膜の製造方法。
  2. 前記工程IIを経た後の前記多孔質膜のグラフト率が15~40重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質膜の製造方法。
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