図1を参照して、本発明の空調システムの一実施形態である浴室暖房システム1を以下に説明する。浴室暖房システム1は、湯水を生成し、浴室BRに設置された浴槽BTに湯水を供給する湯張り運転を実行可能な給湯装置2と、浴室BRを暖房する暖房運転を実行可能な空調装置3とを備えている。
給湯装置2には、浴室BRの外部(屋外等)に設置される熱源機の一種であるガス給湯暖房機が採用されている。給湯装置2には、給水管41とガス供給管42とを介して上水と燃料ガスとが夫々供給され、給湯装置2は、図示省略の、ガスバーナ、給湯用熱交換器、暖房用熱交換器、各種配管、各種弁、及び各種センサ、給湯制御手段21等を備えている。給湯装置2と浴槽BTとの間には、給湯装置2で生成した湯水を浴槽BTに供給する第1往き管43が介設されている。また、給湯装置2と空調装置3との間には、給湯装置2で生成した湯水の一部を空調装置3に供給する第2往き管44と、空調装置3での熱交換後の湯水を給湯装置2に回収する戻り管45とが介設されている。
空調装置3は、浴室BRの天井上に設置され、図示省略の吸込み口、吹出し口及び換気口を有している。吸込み口及び吹出し口は共に浴室BR内に臨み、換気口は屋外に開放されている。また、空調装置3は、給湯装置2が生成する湯水の一部が内部を流通する、熱源としての温水コイル31、浴室BRの空気を吸い込み、吸い込んだ浴室BRの空気を吹出し口から浴室BRに吹き出すファン等の送風手段32、浴室BRの空気を換気口を通じて屋外に排気し、この排気に伴って浴室BR外の空気が浴室BRに導入されて浴室BRの空気を交換するファン等の換気手段33、空調制御手段34、赤外線受発光手段35等を備えている。そして、空調装置3は、暖房運転時、給湯装置2から供給される湯水を第2往き管44及び戻り管45を通じて温水コイル31の内部に流通させると共に、送風手段32の作動によって吸込み口から吸い込まれる浴室BRの空気を温水コイル31で加熱した後、温風を吹出し口から浴室BRに吹き出す。空調装置3は、暖房運転以外に、換気手段33により浴室BRの空気を浴室外の空気と交換する換気運転等も実行可能である。ここで、換気運転は、浴室BRを暖房しながら浴室BRの空気を交換する乾燥運転を含む。
浴室BRに隣接する脱衣室の内壁面には、空調装置3を手動操作する脱衣室リモコン36が設置されている。脱衣室リモコン36は、図示省略の、運転状態等を表示する表示画面、空調装置3の各運転を、ユーザーの手動操作により開始若しくは停止させ、又は調整する各種のスイッチ等を備えている。また、脱衣室リモコン36は空調装置3と有線接続され、上記スイッチの手動操作による入力信号が有線通信で空調装置3の空調制御手段34に入力される。
給湯制御手段21及び空調制御手段34は共に、CPU,ROM,RAM,A/Dコンバータ、インターフェース等を備えるマイクロコンピュータから構成され、夫々には、給湯装置2及び空調装置3の各運転の制御に対応するプログラムが予めインストールされている。
また、浴室暖房システム1は、浴室BRの内壁面に設置される浴室リモコン5と、台所の内壁面に設置される台所リモコン6とを備えている。浴室リモコン5及び台所リモコン6は共に、湯水の設定温度、現在の時刻等を表示する表示画面51,61と、給湯装置2及び空調装置3の各運転を、ユーザーの手動操作により開始若しくは停止させ、又は調整する各種のスイッチ52,62とを備えている。これらのスイッチ52,62の中に、給湯装置2及び空調装置3への電力供給を開始又は停止させる電源スイッチ52a,62a、給湯装置2に浴槽BTの湯張りを行わせる自動湯張りスイッチ52b,62b、空調装置3に暖房運転を自動的に実行させる自動暖房スイッチ52c,62c及び空調装置3の暖房運転を強制的に開始又は停止させる運転スイッチ52d,62dが設けられている。
浴室リモコン5及び台所リモコン6は互いに連動し、電源スイッチ52a,62a、自動湯張りスイッチ52b,62b、自動暖房スイッチ52c,62c及び運転スイッチ52d,62dは、浴室リモコン5又は台所リモコン6のいずれか一方でユーザーにより手動操作されると、浴室リモコン5及び台所リモコン6の両方が同時に操作された状態になる。また、浴室リモコン5及び台所リモコン6は給湯装置2と有線接続され、電源スイッチ52a,62a及び自動湯張りスイッチ52b,62bの手動操作による入力信号が給湯制御手段21に有線通信で送信される。
更に、浴室リモコン5には、空調装置3の赤外線受発光手段35と赤外線の送受信が双方向で可能な赤外線受発光手段53が設けられている。電源スイッチ52a,62a、自動暖房スイッチ52c,62c及び運転スイッチ52d,62dが手動操作されると、操作内容に対応する入力信号が赤外線受発光手段53から赤外線受発光手段35に無線通信で送信される。また、赤外線受発光手段35からは、空調装置3の最大暖房能力等に関する情報信号が赤外線受発光手段53に無線通信で送信される。更にまた、浴室リモコン5には、浴室BRの浴室温を検知する室温検知手段としての温度センサ54と、浴室BRの湿度を検知する湿度センサ55とが設けられてもいる。
そして、浴室暖房システム1は、給湯装置2及び空調装置3の各運転を制御する制御手段7を備え、制御手段7は浴室リモコン5に内蔵されている。制御手段7もまた、給湯制御手段21及び空調制御手段34と同様に、CPU,ROM,RAM,A/Dコンバータ、インターフェース等を備えるマイクロコンピュータから構成され、給湯装置2及び空調装置3の各運転の制御に対応するプログラムが予めインストールされている。
制御手段7は、空調装置3の暖房制御を実行する。制御手段7が実行する暖房制御は、温度センサ54が検知した浴室BRの検知浴室温が暖房開始閾値以下であるとき、空調装置3を暖房運転させて浴室温を目標温度に調整するというものである。この暖房制御を実行可能にするために、制御手段7は、予め設定された浴室温の目標温度及び暖房開始閾値を記憶している。目標温度は、入浴に際して浴室BRに入室するユーザーの大多数が冷感を感じないであろうと見積もられる温度に設定されているが、上記の如く、ユーザーの体感温度は各人や同一人でも異なることから、ユーザーの好みに応じた温度に例えば1℃以上を単位として設定を変更できるようにしている。一方、暖房開始閾値は、暖房運転しないときの浴室温の年間変化を集計し、入浴に際して浴室BRに入室するユーザーの大多数が冷感を感じるであろうと見積もられる基準温度として予め設定されている。例えば10℃,15℃の5℃刻み等の温度として設定されている。但し、浴室暖房システム1では、前述の従来の暖房システムと異なり、制御手段7が記憶している暖房開始閾値もまた、ユーザーの好みに応じて例えば1℃等を単位として設定を変更できるようにしている。
また、浴室暖房システム1は人感センサ8を備えてもいる。人感センサ8は、浴室扉付近の浴室BRの天井に設置され、浴室BRへのユーザーの入退室を検知する。人感センサ8は、制御手段7と有線接続され、ユーザーの入退室の検知信号を制御手段7に出力する。人感センサ8には、赤外線方式、超音波方式等の各種のものを採用することができる。浴室暖房システム1では、人感センサ8、又は人感センサ8と湿度センサ55とから入浴検知手段が構成されている。
次に、図2を参照して、浴室暖房システム1の制御手段7が実行する暖房制御について説明する。図1に示す電源スイッチ52a,62aのいずれか一方がユーザーの手動操作によってONにされると、給湯制御手段21及び空調制御手段34を介して給湯装置2及び空調装置3に電力が供給され、両装置2,3は待機状態になる。
この後、自動暖房スイッチ52c,62cのいずれか一方がユーザーの手動操作によってONにされると(STEP1)、空調装置3は自動暖房モードに入り、入浴開始推定時刻が浴室リモコン5及び台所リモコン6の表示画面51,61に表示される。自動暖房モードは、自動暖房スイッチ52c,62cのいずれか一方がユーザーの手動操作によってOFFにされない限り継続される。この自動暖房モードでは、制御手段7が、入浴開始推定時刻に基づいて設定されて記憶している、暖房制御の実行開始時刻に浴室BRの暖房制御を自動的に実行する。ここで、入浴開始推定時刻とは、制御手段7が、1日以上の所定期間に亘り入浴開始時刻を記憶して取得し、取得した入浴開始時刻を例えば平均値の算出等の統計処理を実行して推定した時刻である。このため、浴室暖房システム1を導入した初日の入浴には、自動暖房モードでの暖房制御が実行されない場合がある。然し、制御手段7に入浴開始予定時刻を設定して記憶させることが可能な場合、上記入浴開始予定時刻を初日の入浴開始推定時刻として看做し、疑似的な自動暖房モードでの暖房制御は実行可能である。尚、自動暖房スイッチ52c,62cのいずれか一方がONにされないと、空調装置3は、自動暖房モードに入らず、暖房運転の開始及び停止は、脱衣室リモコン36のスイッチをユーザーが手動操作することによって実行できる。
自動暖房モードに入った後、運転スイッチ52d,62dのいずれか一方がユーザーの手動操作によってONにされると(STEP2)、この時に温度センサ54が検知した浴室温Thが暖房開始閾値よりも高い場合、暖房開始閾値を1℃上げて更新し(STEP3)、空調装置3に通常の暖房運転をさせる(STEP4)。STEP3は、ユーザーが、体感温度等により浴室BRの浴室温Thが低く、入浴開始時刻までに浴室BRが快適と感じる程度に暖房されないと判断する場合を想定した制御である。本実施形態では、自動暖房モードでの暖房開始閾値は10℃,15℃の5℃刻みの基準温度に設定されている。従って、制御手段7では、運転スイッチ52d,62dのいずれか一方のユーザーによるON操作回数は4回を上限とし、暖房開始閾値を4℃まで上げる、即ち、14℃,19℃にまで設定を変更できるようにしている。尚、空調装置3の通常の暖房運転は空調制御手段34によって制御される。
運転スイッチ52d,62dの両方がOFFの状態で、自動湯張りスイッチ52b,62bのいずれか一方がユーザーの手動操作によってONにされると(STEP5)、制御手段7は、この時に温度センサ54が検知した浴室温Thが暖房開始閾値(本実施形態では15℃)以下であると判定する場合(STEP6)、空調装置3を暖房運転させ、浴室温Thを目標温度に調整する暖房制御を実行する(STEP7)。一方、浴室温Thが15℃よりも高いと判定する場合、STEP8の制御に移行する。このSTEP8の制御への移行は、STEP5で自動湯張りスイッチ52b,62bがOFFのままである場合にも同様に行われる。STEP8では、制御手段7が、温度センサ54が検知した浴室温Thが15℃以下であるか否か、又は自動暖房モードでの暖房運転を同日に一度でも実行したことがあるか否か(自動暖房運転実行の有無)の判定を行う。浴室温Thが15℃以下であるか、又は自動暖房運転実行有りと判定する場合、空調装置3は暖房運転を実行すべく待機する。一方、浴室温Thが15℃よりも高いか、又は自動暖房運転実行無しと判定する場合、STEP1に戻る。制御手段7は、自動暖房運転実行の有無の判定を行うために、自動暖房運転の実行履歴を記憶するようにプログラミングされている。
次いで、制御手段7は、入浴開始推定時刻(上記入浴開始予定時刻も含む)が所定時間前であるか否かの判定を行う(STEP9)。本実施形態では上記所定時間を30分間に設定している。但し、上記所定時間は、空調装置3の最大暖房能力や、浴室BRの広さ、方角等を考慮して適宜な時間に設定することができ、制御手段7に記憶させることができる。ここで、入浴開始推定時刻の所定時間前の時刻は、暖房運転開始時刻に相当する。従って、制御手段7は、入浴開始推定時刻と上記所定時間とから暖房運転開始時刻を算出し、算出した暖房運転開始時刻を記憶するようにプログラミングされてもいる。そして、入浴開始推定時刻の30分前(暖房運転開始時刻)であると判定する場合、制御手段7は、空調装置5を暖房運転させる(STEP7)。入浴開始推定時刻の30分前でないと判定する場合はSTEP1に戻る。上記の如く、本実施形態では、入浴開始推定時刻の推定後、制御手段7は、入浴開始推定時刻までに浴室温が目標温度になるように暖房運転の開始時刻を設定するようにしている。尚、自動運転モードにおける空調装置3の暖房運転時間は、入浴開始推定時刻までに浴室温が目標温度になると共に、入浴中にもユーザーに十分な温感を感じさせることができる程度の時間に設定することができる。本実施形態では、空調装置3の暖房運転時間を60分間に設定している。この空調装置3の暖房運転時間は空調制御手段34に予め記憶されている。
この後、STEP4での空調装置3による通常の暖房運転も含めて、制御手段7は、入浴であるか否かの判定、即ち、入浴検知の有無を判定する(STEP10)。この入浴検知の有無の判定の一形態を、図3を参照して説明する。
まず、人感センサ8が、ユーザーが浴室BRの入室を検知したか否か(入室検知の有無)の判定を行う(STEP31)。入室検知有りの判定の場合、制御手段7は、人感センサ8の検知信号が入力された時刻をユーザーの入室時刻tとして記憶すると共に、湿度センサ55が検知した浴室BRの絶対湿度を初期絶対湿度M0として記憶する(STEP32)。本実施形態では、絶対湿度は容積絶対湿度であり、単位はg/m3にしている。
次いで、制御手段7は、ユーザーの浴室滞在時間を積算すると共に、滞在中の最大絶対湿度M1を初期絶対湿度M0との比較に基づいて記憶する(STEP33)。制御手段7は、上記浴室滞在時間の積算等を実現するためにタイマー機能を有してもいる。この後、制御手段7は、ユーザーの浴室滞在時間が第1所定時間以上であるか否か、又は第2所定時間以上の滞在時間且つ最大絶対湿度M1と初期絶対湿度M0との差(M1-M0)が所定値以上であるか否かを判定する(STEP34)。本実施形態では、入浴検知の判定を行うに当たってのユーザーの浴室滞在の第1所定時間を10分間、第2所定時間を7分間に設定し、最大絶対湿度M1と初期絶対湿度M0との差(M1-M0)を5g/m3に設定している。これらの第1所定時間、第2所定時間及び最大絶対湿度M1と初期絶対湿度M0との差(M1-M0)は、入浴に関する一般的な傾向から推測されるサンプルデータであり、制御手段7に記憶されている。浴室BRへのユーザーの入室目的は、入浴、浴室清掃、洗濯物の浴室乾燥等に分類することができ、定性的ではあるが、入浴の場合、他の目的の入室と比較して滞在時間が長く、湯水使用量が多い等の理由により絶対湿度が高いという傾向にある。この傾向に基づいて第1所定時間、第2所定時間及び最大絶対湿度M1と初期絶対湿度M0との差(M1-M0)が設定されている。
浴室滞在時間が10分間以上であるか、又は7分間以上の浴室滞在且つ最大絶対湿度M1と初期絶対湿度M0との差(M1-M0)が5g/m3以上であると判定する場合、入浴であるとして、制御手段7は、先に記憶した入室時刻tを入浴開始時刻として記憶して取得する(STEP35)。一方、上記条件を満たしていないと判定する場合、入浴以外の目的でのユーザーの浴室BRへの入室であるとして、制御手段7は先に記憶した入室時刻t、初期絶対湿度M0及び最大絶対湿度M1を全て消去する。この後、ユーザーが退室すると、人感センサ8は再度検知信号を制御手段7に出力する(退室検知)。制御手段7はこの退室検知の有無を判定する(STEP36)。制御手段7が退室検知有りと判定する場合が入浴終了に対応する。退室検知無しの判定は、例えば、人感センサ8からの検知信号の再入力時刻から所定時間(例えば10分間等)以上人感センサ8から検知信号が制御手段7に入力されない場合等に行うことが例示される。この場合、所定時間は予め設定されて制御手段7に記憶させることができる。そして、STEP36で退室検知無しと判定する場合、ユーザーが浴室BRに滞在中、即ち、入浴中に対応するため、STEP33に戻る。図2に示す入浴検知の判定(STEP10)は、上記の如く例示される。
図2に戻って、STEP10での入浴検知に基づく入浴であるか否かの判定後の制御について説明する。入浴であると判定する場合、その時の入浴について、制御手段7は、図3に示すSTEP35で取得した入浴開始時刻を上記の如く統計処理し、次回の入浴開始時刻を推定して入浴開始推定時刻を記憶する(STEP11)。入浴開始時刻のより確実な推定には1週間を単位として数週間程度の所定期間を要するが、所定期間後の入浴開始推定時刻は、ユーザーの1日毎の入浴傾向にマッチしたものになる。尚、入浴開始時刻の推定のための所定期間も制御手段7に予め設定されて記憶されている。
また、本実施形態では、ユーザーの手動操作による運転スイッチ52d,62dのON/OFF判定(STEP2)は、自動暖房モードでの浴室温判定又は自動暖房運転実行の有無の判定(STEP8)よりも前に行うようにしているため、制御手段7は、温度センサ54が検知する浴室温が暖房開始閾値よりも高くても、空調装置3の通常の暖房運転を自動運転モードでの暖房制御よりも優先させて浴室BRを暖房する。また、ユーザーの手動操作による自動湯張りスイッチ52b,62bのON/OFF判定(STEP5)は、STEP2とSTEP8との間で行うようにしているため、制御手段7は、入浴開始推定時刻に基づかずに湯張り運転の開始時刻、即ち、自動湯張りスイッチ52b,62bのいずれか一方がONにされた時刻から空調装置3の暖房制御を実行する。この場合の制御手段7の暖房制御には、上記の如く、STEP6の浴室温判定に基づくものも含まれる。
STEP10で入浴ではないと判定する場合、制御手段7は、所定時間(例えば60分間等)、空調装置3に暖房運転を継続させ(STEP12)、所定時間経過後に暖房運転を停止させて(STEP13)、STEP1に戻り、空調装置3は、入浴まで待機状態になる。一方、STEP12で所定時間未満であると判定する場合、STEP10に戻り、入浴検知の判定を継続して行う。尚、入浴ではないと判定する場合の空調装置3の暖房運転を継続させる上記所定時間も予め設定され、空調制御手段34に記憶されている。
そして、制御手段7は、1日の最後の入浴開始推定時刻以後、人感センサ8から浴室BRへのユーザーの入室による検知信号が入力された後、再度人感センサ8から検知信号が入力されたか否か、即ち、図3に示すSTEP36と同様な退室者検知の有無を判定する(STEP14)。この判定は、退室者が1日の入浴者の中の最終入浴者であり、最終入浴者の入浴が終了したか否かの判定と同義である。STEP14で1日の最後の入力が終了したと制御手段7が判定する場合、換気手段33を作動させて空調装置3を換気運転(送風手段32も作動させる場合には乾燥運転)させる(STEP15)。入浴後の空調装置3の換気運転時間は、空調制御手段34に予め記憶されている。換気運転時間が経過すると、空調装置3は、換気運転を停止してSTEP1に戻り、次の入浴まで待機状態になる。一方、STEP14で、人感センサ8から退室者検知が入力されたものの、退室者が最終入浴者ではないと判定する場合、空調装置3の暖房運転を停止させて制御手段7による暖房制御はSTEP1に戻り、次の入浴まで空調装置3は待機状態になる。
以上の暖房制御を繰り返すことによって、同日に入浴が複数回行われる場合、各入浴に対して1つの入浴開始推定時刻が得られ、1日毎の入浴開始推定時刻が得られると共に、各入浴開始推定時刻に基づく制御手段7の暖房制御は個別に行われる。具体的には、同日にSTEP13,15からSTEP1に戻った後の暖房制御では、暖房開始閾値は初期値(本実施形態では15℃)であり、暖房開始閾値の変更は、上記の如く、各入浴開始推定時刻に対して等しく最大4回まで行うことができる。つまり、制御手段7は、各入浴開始推定時刻に1つの暖房開始閾値を紐づけて記憶する。
浴室暖房システム1では、運転スイッチ52d,62dにより暖房開始が手動操作されると、温度センサ54による検知室温に関わらず、制御手段7は、空調装置3の暖房運転の自動制御を実行せずに空調装置3の暖房運転を開始させる。このため、浴室暖房システム1による暖房は、制御手段7による自動制御ばかりでなく、ユーザー各自の判断によっても行うことができる。また、運転スイッチ52d,62dにより暖房開始が手動操作されたとき、制御手段7は、暖房開始閾値を手動操作直前の値よりも高くして更新するため、運転スイッチ52d,62dによる暖房開始の手動操作以後、制御手段7の暖房開始閾値はユーザーの好みに応じた値になる。従って、浴室暖房システム1は、ユーザーの好みに応じた暖房制御の自動制御も行うことができる。
また、制御手段7は、入浴開始推定時刻に基づいて空調装置3の暖房運転の開始時刻を自動的に設定するため、ユーザーは、入浴開始推定時刻までに浴室温が目標温度になるように、暖房運転の開始時刻を制御手段7に手動設定する必要がなく、ユーザーの使い勝手が向上する。
更に、制御手段7は、給湯装置2と通信可能なため、空調装置3の暖房運転を給湯装置2の給湯運転と連動させることができる。即ち、制御手段7は、給湯装置2による湯張り開始時刻から空調装置3の暖房制御を実行する。このため、入浴時の浴室BRはすでに暖房されている状態になり、浴室BRに入室したユーザーに冷感を感じさせることがほとんどなくなる。
そして、制御手段7は、1日の最後の入浴終了の判定に基づいて空調装置3を自動的に換気運転させるため、1日の最後の入浴後にユーザーが換気運転を手動操作する必要がなく、ユーザーの使い勝手が更に向上する。
以上、本発明を一実施形態に関して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、運転スイッチ52d,62dにより暖房停止が手動操作されると、制御手段7は、空調装置3の暖房運転の自動制御を実行せずに空調装置3の暖房運転を停止させることができる。暖房停止の手動操作以後、空調装置3は、脱衣室リモコン36のスイッチによって手動操作できる。また、給湯装置2には、電気給湯器若しくはヒートポンプの単体又はこれらとガス給湯暖房機等のハイブリッド熱源機を採用してもよい。更に、空調装置3の熱源には電気ヒータを用いてもよい。この場合、第2往き管44及び戻り管45を省略できる。更にまた、空調装置3用の熱源には、空気を加熱するものばかりでなく、冷却するもの又はこれらの両方を採用することができる。空気を冷却する熱源を用いる場合、空調装置3は浴室BRを冷房でき、浴室暖房システム1は浴室冷房システムに変更される。空気を加熱する熱源と空気を冷却する熱源との両方を用いる場合、空調装置3は浴室BRを冷暖房でき、例えば、空調装置3には、室内機と室外機とからなるエアコンを採用することができる。この場合、浴室暖房システム1は浴室空調システムに変更される。
尚、上記浴室冷房システム又は上記浴室空調システムの場合、制御手段7に冷房開始閾値を予め設定して記憶させることができ、冷房開始閾値としては20℃等を例示できる。また、浴室リモコン5及び台所リモコン6の夫々にはスイッチ52,62の中に自動冷房スイッチを設けることができる。上記自動冷房スイッチをユーザーが手動操作すると、制御手段7は自動冷房モードに入り、冷房制御を実行できる。更に、スイッチ52,62の中に設けられる運転スイッチ52d,62dは、ユーザーの手動操作による空調装置3の冷房運転の開始又は停止を兼用することができる。そして、運転スイッチ52d,62dにより冷房開始が手動操作されたとき、制御手段7は、温度センサ54の検知室温が冷房開始閾値よりも低くても、空調装置3を冷房運転させると共に、冷房開始閾値を手動操作直前の値よりも低くして更新することができるようにする。また、運転スイッチ52d,62dにより冷房停止が手動操作されると、制御手段7は、空調装置3の冷房運転の自動制御を実行せずに空調装置3の冷房運転を停止させることができる。冷房停止の手動操作以後、空調装置3は、脱衣室リモコン36のスイッチによって手動操作できる。
加えて、自動暖房スイッチ52c,52d、上記自動冷房スイッチ及び運転スイッチ52d,62dは、脱衣室リモコン36にも設けることができる。また、温度センサ54、湿度センサ55及び人感センサ8は、検知対象を確実に検知できる限り、特に設置場所は制限されない。例えば、空調装置3の内部に設置しても構わない。更に、空調装置3には、給湯装置2と有線でインテリジェント通信できるものも採用できる。この場合、赤外線受発光手段35,53は不要になり、浴室リモコン5又は台所リモコン6のいずれか一方のスイッチがユーザーによる手動操作でONにされると、空調装置3の空調制御手段34への制御信号を給湯装置2の給湯制御手段21経由で送信できる。
そして、制御手段7は、台所リモコン6又は空調装置3等に内蔵されてもよく、空調装置3に内蔵される場合、制御手段7は空調制御手段34に併合可能である。また、冷暖房対象の部屋は浴室BRに限定されない。建物内のいずれかの部屋であればよく、部屋が浴室BR以外の場合、給湯装置2を省略できる。この場合、浴室暖房システム1は空調システムに変更される。更に、空調装置3は、ワイヤレスリモコンでも操作可能である。この場合、空調装置3をIoTにすることも可能であり、携帯情報端末と制御手段7とを通信可能にして、携帯情報端末にインストールした空調システム用のアプリを起動させることによって携帯情報端末をワイヤレスリモコンとして使用できる。また、IoTは空調装置3を対象とするばかりでなく、給湯装置2も対象にすることが可能であり、従って、浴室暖房システム1及び浴室冷房システムを含む空調システム全体をIoTとすることもできる。