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JP7263287B2 - 作業機械 - Google Patents

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JP7263287B2
JP7263287B2 JP2020056820A JP2020056820A JP7263287B2 JP 7263287 B2 JP7263287 B2 JP 7263287B2 JP 2020056820 A JP2020056820 A JP 2020056820A JP 2020056820 A JP2020056820 A JP 2020056820A JP 7263287 B2 JP7263287 B2 JP 7263287B2
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Description

本発明はバケットの姿勢に関する情報を表示可能なモニタを備える作業機械に関する。
油圧ショベルに代表される多関節型の作業装置(フロント作業装置)を備えた作業機械では、オペレータによる操作レバー操作に基づいて作業装置が駆動され、施工対象となる地形が所望の形状に整形される。このような作業の支援を目的とした技術として、マシンガイダンス(Machine Guidance:MG)がある。MGは、最終的に実現したい施工対象面の所望の形状(目標面)を示す目標面データと、作業装置の先端に位置するフロント部材であるバケットの姿勢情報とを運転室内のモニタに表示することで、オペレータの操作支援を実現する技術である。MGにおいて、モニタに表示されるバケットの姿勢情報としては、例えば、バケットの形状を模式化したアイコンや、バケット底面と目標面の傾斜角の差分(すなわちバケットと目標面の角度差)等がある。
特許文献1には、目標施工面(目標面)の画像を画面に表示し、バケットを側面から見たときの底面に対応する部分を抽出して生成した直線画像を、目標施工面の画像とともに表示する掘削機械の表示システムが開示されている。
国際公開第2015/030266号
特許文献1に記載された技術は、バケットの底面を直線画像で強調して表示することにより、オペレータにバケットの底面と施工目標面の位置関係や角度を分かり易く伝えている。
しかしながら、実際のバケットを側面から見たときの底面の形状は直線ではなく複雑な形状をしていることが少なくない。例えば、爪付近の底面と、爪より後ろ側の底面とでは、傾斜角が異なっていることが多い。また、オペレータが掘削作業を進める際にバケット底面上で基準としたい面はオペレータごとに異なる。そのため、例えば、モニタ上でバケット底面を示す面としてメーカが予め決めた面がオペレータの意図する面と異なると、オペレータによるバケットと目標面の位置関係の正確な把握が困難になる可能性がある。
なお、バケットの姿勢に関する情報(姿勢情報)をモニタに表示する場合、上記特許文献1のように直線画像を表示するもののほか、バケット底面を実際と異なる形状(例えば直線状)に簡略して表現したバケットの画像(アイコン)を表示するものや、バケット底面における或る基準面と目標面との傾斜角の差分値を表示するもの等があるが、これらの表示方法においても上記と同様の課題が生じ得る。
本発明は、上記事項を鑑みてなされたものであり、バケット底面においてオペレータが意図する面の姿勢情報をモニタに表示できる作業機械を提供することを目的とする。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、バケットを含む複数のフロント部材を連結した作業装置と、前記複数のフロント部材の姿勢を検出する複数の姿勢センサと、前記作業装置を利用した作業に関する地形表面の形状を規定する地形データが記憶された記憶装置と、前記バケットを側面から見たときの前記バケットの底面として表示される線である基準ラインと前記地形表面の2次元形状とが表示されるモニタと、前記複数の姿勢センサにより検出された前記複数のフロント部材の姿勢データと、前記姿勢データから演算される前記バケットの回動中心と爪先の位置データと、前記地形データとに基づいて、前記モニタ上における前記基準ラインと前記地形表面との位置関係を演算し、演算した前記位置関係を前記モニタに表示させるコントローラとを備えた作業機械において、前記基準ラインは、前記モニタ上において、前記バケットを側面から見たときの前記バケットの爪先位置に一端が位置する直線であり、さらに、前記バケットの回動中心と前記バケットの爪先とを接続する第1直線と角度φを成す直線として前記コントローラに記憶されており、前記角度φを設定する際に操作されるスイッチを備え、前記コントローラは、前記スイッチが操作されたときに、前記姿勢データと前記地形データとに基づいて前記バケットの爪先と前記地形表面との距離を演算し、前記モニタ上で、前記地形データにおいて前記距離の演算に利用した部分と同じ傾斜角を有する第2直線が前記第1直線と成す角度を、前記角度φに代わる新たな角度φとして記憶し前記モニタ上において、前記バケットを側面から見たときの前記バケットの爪先位置に一端が位置し、前記第1直線と前記新たな角度φを成す直線を、前記基準ラインに代わる新たな基準ラインとして前記モニタに表示させる。
本発明によれば、バケット底面においてオペレータが意図する面の姿勢情報をモニタに表示できるので、オペレータが目標面とバケットの位置関係を正確に把握できる。
第1実施形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの外観を模式的に示す側面図。 第1実施形態に係る表示システムの機能ブロック図。 油圧ショベル100の側面図。 実際のバケット35の姿勢と、バケット35に設定された基準ライン72とを利用して、モニタ69の表示画面81にバケット35の画像85を表示するプロセスの説明図。 現況地形付近にフロント作業装置30がある場合の形状計測センサ68による形状計測結果を示す図。 現況地形付近にフロント作業装置30が無い場合の形状計測センサ68による形状計測結果を示す図。 第1実施形態に係る基準ライン設定部63の処理の詳細を示すフローチャート。 図7のステップS40での具体的事例を示す図。 図7のステップS50での具体的事例を示す図。 図7のステップS60での具体的事例を示す図。 第2実施形態に係る表示システムの機能ブロック図。 第2実施形態に係る基準ライン設定部63の処理の詳細を示すフローチャート。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの外観を模式的に示す側面図である。なお、以下ではフロント作業装置の先端に位置するアタッチメントとしてバケットを備える油圧ショベルについて説明するが、バケットの他にグラップル、ブレーカ、リフティングマグネットなど種々のアタッチメントに付け替え可能である。
図1において、油圧ショベル100は、垂直方向にそれぞれ回動する複数のフロント部材(ブーム31、アーム33、バケット35)を直列的に連結した多関節型のフロント作業装置(作業装置)30と、車両本体を構成する上部旋回体20及び下部走行体10とを備えている。上部旋回体20は下部走行体10に対して旋回可能に設けられている。上部旋回体20は、旋回フレーム21上に各部材を配置して構成されており、上部旋回体20を構成する旋回フレーム21が下部走行体10に対して旋回可能となっている。また、フロント作業装置30の基端部であるブーム31の基端は車両本体を構成する上部旋回体20の前部に垂直方向に回動可能に取り付けられており、アーム33の基端はブーム31の先端に垂直方向に回動可能に支持されており、アーム33の先端にはバケット35が垂直方向に回動可能に支持されている。
下部走行体10は、左右一対のクローラフレーム12a(12b)にそれぞれ掛け回された一対のクローラ11a(11b)と、クローラ11a(11b)をそれぞれ駆動する走行油圧モータ13a(13b)(図示しない減速機構を含む)とを備えている。なお、下部走行体10の各構成については、左右一対の構成のうちの一方のみを図示して符号を付し、他方の構成については図中に括弧書きの符号のみを示して図示を省略する。
ブーム31、アーム33、バケット35、及び下部走行体10は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36、及び左右の走行油圧モータ13a(13b)によりそれぞれ駆動される。また、上部旋回体20は油圧アクチュエータである旋回油圧モータ23により減速機構24を介して同様に駆動され、下部走行体10に対して左右方向のいずれかに旋回動作を行う。
上部旋回体20を構成する旋回フレーム21上には、フロント作業装置30(複数のフロント部材31、32、35)、上部旋回体20および下部走行体10を含む操作対象を操作するための操作レバー(操作装置)が搭載されたキャブ(運転室)25が配置されているほか、原動機であるエンジン22とともに、ブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36、旋回油圧モータ23及び左右の走行油圧モータ13a(13b)などの複数の油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを含む油圧回路システム41が搭載されている。
(IMU50(姿勢センサ))
上部旋回体20を構成する旋回フレーム21(車両本体)と、フロント作業装置30を構成する複数のフロント部材(ブーム31、アーム33、及びバケット35)には、それらの姿勢に関するデータ(以降、姿勢データと称する)を検出する姿勢センサとしてのIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)50a~50dが取り付けられている。なお、本実施形態では旋回フレーム21にIMU50dを取り付けたが、上部旋回体20(車両本体)上であればどこに取り付けてもかまわない。また、姿勢センサはIMUに限られるものではなく、例えば、傾斜角センサを姿勢センサとして用いることで各部材(車両本体およびフロント部材)の姿勢データを検出しても良い。以下の説明では、4つのIMU50a、50b、50c、50dをまとめてIMU50と表記することがある。IMU50a~50dには、それぞれ固有の識別情報が割り当てられており、各IMU50が姿勢データの検出結果に当該識別情報を付加して車載ネットワークに出力することにより、車載ネットワーク上を伝達される複数の姿勢データがそれぞれどのIMU50による検出結果であるかを識別することができる。
IMU50は、角速度及び加速度の計測が可能である。例えば、IMU50が配置されたフロント部材31、33、35や上部旋回体20などの被搭載部材が静止している場合を考えると、各IMU50に設定されたIMU座標系における重力加速度の方向(つまり、鉛直下向き方向)と、IMU50の取り付け状態(つまり、IMU50と被搭載部材との相対的な位置関係)とに基づき、姿勢データとしての各被搭載部材の向き(姿勢)を検出することができる。なお、図1においては、アーム33の先端にバケット35を接続するリンク機構の構成部材(バケットリンク部材)にバケット35の姿勢データを取得するためのIMU50cを配置した場合を例示しているが、油圧ショベルの設計データ等に基づいてバケット35の姿勢データを間接的に取得しているため、IMU50cがバケット35に搭載されていると取り扱うことができる。
(形状計測センサ68)
形状計測センサ68は、油圧ショベル100の前方又は周囲の掘削対象となる物体の形状を計測可能なセンサである。形状計測センサ68としては、例えば、図1に示すようにキャブ25上部に搭載され、油圧ショベル100の前方の物体の形状を計測できるLiDAR(Light Detection and Ranging または Laser Imaging Detection and Ranging)を利用できる。LiDARは、レーザ光を走査しながら物体に照射し、その散乱光や反射光を観測することで当該物体までの距離を計測でき、それにより当該物体の形状を計測できる。本実施形態のLiDARは上下方向にレーザ光を走査することで現況地形の2次元形状(図3,4参照)を計測する。
なお、形状計測センサ68は、LiDARの他にも、油圧ショベル100の前方10m程度の形状を2次元または3次元的に計測できるセンサ(例えば、ステレオカメラや超音波距離センサ)であれば種類や方法は問わない。
キャブ25内には、バケット35と地形表面(現況地形や目標面)との位置関係情報(例えば、両者の相対位置や両者の角度差)が表示されるモニタ69と、当該位置関係情報を演算し、演算した位置関係情報をモニタ69に表示させる処理などを行うコントローラ60とが搭載されている。
図2は油圧ショベル100のコントロールシステムのうち、本実施形態に係る表示システムの構成を抜き出して模式的に示した機能ブロック図である。
図2に示す表示システムは、コントローラ60と、IMU50a~50dと、スイッチ67と、形状計測センサ68と、モニタ69とを備えており、IMU50a~50dと、スイッチ67と、形状計測センサ68と、モニタ69とはコントローラ60に接続されている。
IMU50a~50dは、その検出結果(姿勢データ)をCAN通信などの車載ネットワークに介してコントローラ60に出力している。
(スイッチ67)
スイッチ67は、油圧ショベル100に搭乗したオペレータ(ユーザ)がバケット35の底面側に設定される基準ライン72(図4等参照)を設定する際にオペレータによって操作されるスイッチであり、キャブ25内に設置されている。スイッチ67のON・OFF状態を示すON・OFF信号(電気信号)はコントローラ60(基準ライン設定部63)に出力されており、コントローラ60は当該信号によりスイッチ67のON・OFF状態を把握する。なお、スイッチ67は、押しボタン式の物理的なスイッチでも、例えばモニタ69に表示されタッチパネル操作で操作できる仮想的なスイッチであってもよい。
(コントローラ60)
コントローラ60は、コントローラ60内の記憶装置(例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを処理装置(例えばCPU)が実行することで、寸法・角度情報記憶部61、姿勢演算部62、基準ライン設定部63、形状計測部64、表示画面生成部65及び目標面生成部66として機能する。
(寸法・角度情報記憶部61)
寸法・角度情報記憶部61は、油圧ショベル100の寸法・角度情報(車体情報)を記憶するために、コントローラ60内の記憶装置に割り当てられた記憶領域である。
図3は油圧ショベル100の側面図である。図3に示すように、ブーム31の長さ、つまり、ブームピンP1からアームピンP2までの長さをL1とする。また、アーム33の長さ、つまり、アームピンP2からバケットピンP3までの長さをL2とする。また、バケット35の長さ、つまり、バケットピンP3からバケット先端(バケット35の爪先)P4までの長さをL3とする。寸法・角度情報記憶部61には、これらの長さL1,L2,L3の数値が予め記憶されている。
また、図3における点P0は、上部旋回体20(油圧ショベル100)に設定した車体座標系(ローカル座標系)の原点であり、上部旋回体20の旋回中心軸と下部走行体10の底面(接地面)の交点である。寸法・角度情報記憶部61には、車体座標系におけるブームピンP1の座標が予め記憶されている。
(姿勢演算部62)
姿勢演算部62は、IMU50で検出された姿勢データと、寸法・角度情報記憶部61に格納された寸法データ(L1,L2,L3の長さ)とに基づいて、油圧ショベル100の姿勢(例えば、車体本体の傾きや、油圧ショベル100に予め設定された座標系(車体座標系)における各フロント部材31、33、35の位置や傾きなど)を演算する。
ここで、4つのIMU50を利用して演算されるブーム角θ1,アーム角θ2,バケット角θ3,車体傾斜角θ4について図3を用いて説明する。図3において、地面に設定された座標系(例えばグローバル座標系)に対する上部旋回体20の傾斜、つまり、水平面鉛直方向(水平面に垂直な方向)と車体鉛直方向(旋回体20の旋回中心軸方向)のなす角度(ピッチ角)をθ4とし、これを車体傾斜角θ4とする。車体傾斜角θ4はIMU50dの検出データから演算可能である。なお、上部旋回体20の傾斜角としてはピッチ角の他にロール角もあるが、ここでは説明を簡単にするためにロール角はゼロとする。
また、ブームピンP1とアームピンP2を結んだ線分と車体鉛直方向のなす角度をθ1とし、これをブーム角θ1とする。ブーム角θ1は、例えばIMU50d及びIMU50aの検出データから演算可能である。アームピンP2とバケットピンP3を結んだ線分と、ブームピンP1とアームピンP2からなる直線とのなす角度をθ2とし、これをアーム角θ2とする。アーム角θ2は、例えばIMU50d、IMU50a及びIMU50bの検出データから演算可能である。バケットピンP3とバケット先端P4を結んだ線分と、アームピンP2とバケットピンP3からなる直線とのなす角度をθ3とし、これをバケット角θ3とする。バケット角度θ3は、例えばIMU50d、IMU50a、IMU50b及びIMU50cの検出データから演算可能である。
上記により、姿勢演算部62は、車体座標系におけるバケット爪先P4(図3参照)の座標及びバケット35の姿勢を、IMU50の検出データから演算されるブーム角θ1,アーム角θ2及びバケット角θ3と、予め記憶しておいた長さL1,L2,L3とから演算できる。
(目標面生成部66)
目標面生成部66は、施工対象の目標形状を3次元で規定した設計データから目標面70を生成する。設計データはコントローラ60内の記憶装置内に予め記憶されている。目標面生成部66は、フロント作業装置30を構成する3つのフロント部材31,33,35の中心を通過する面(フロント作業装置30の動作平面)と設計データとの交線を目標面70として演算し、本実施形態では当該目標面70を車体座標系に配置して目標面データとする。
(表示画面生成部65)
表示画面生成部65は、IMU50(姿勢センサ)の姿勢データと、バケット35に設定された基準ライン72の位置を示すデータ(例えば、点P3,P4の位置及び後述のバケット底面角φ)と、フロント作業装置30を利用した作業に関する地形表面(例えば、目標面70や現況地形)の形状を規定する地形データ(例えば、目標面データや現況地形データ)とに基づいて、基準ライン72と目標面70との位置関係情報を演算し、演算した位置関係情報をモニタ69に表示する。
図4を用いて基準ライン72と位置関係情報について説明する。図4は、実際のバケット35の姿勢(図4(a)参照)と、バケット35に設定された基準ライン72とを利用して、モニタ69の表示画面81にバケット35の画像(バケットアイコン)85を表示するプロセスの説明図である。
(基準ライン)
図4(a)は図3からバケット35を抜き出した図であり(但し、バケット35の姿勢は図3と異なる)、バケット35を側面から見たときのバケット35の底面側に仮想的な直線である基準ライン72が設定されている。
基準ライン72は、バケット35に設定された座標系(バケット座標系)上に設定され、バケットシリンダ36の伸縮によるバケット35の回動とともに回動する。図4(a)に示した本実施形態のバケット座標系は、バケットピンP3を原点とし、P3からP4に向かう直線をx軸とし、これに直交する直線をz軸とする2次元の座標系である。
基準ライン72は、バケットピンP3とバケット先端(バケット爪先)P4とを接続する長さL3の直線P3P4をバケット先端P4を中心にして図4中の左回り(半時計回り)にφ度回転させた直線である。また、基準ライン72は、バケット先端P4を通過し、直線P3P4と角度φを成す直線とも換言できる。角度φの数値はコントローラ60内の記憶装置に記憶されており、本稿ではφをバケット底面角と称することがある。
基準ライン72は、オペレータによるスイッチ67の操作によって設定可能(変更可能)であるが、その手順は後で説明する。
(位置関係情報)
モニタ69に表示される位置関係情報としては、例えば、フロント作業装置30を利用した作業に関する地形表面(例えば、目標面70や現況地形90)と基準ライン72の位置関係や、地形表面と基準ライン72の角度差(両者の傾斜角の差分)ψがある。図4(b)の例では、目標面70と基準ライン72の位置関係がアイコン85で表示されており、目標面70と基準ライン72の角度差ψが数値で表示されている。
(位置関係情報1(バケットアイコン表示))
図4(b)では目標面70と基準ライン72の位置関係を表示するために、バケット35を模式的に示したバケットアイコン(バケット画像)85が用いられている。バケットアイコン85ではバケット底面がバケット爪先87を通過する直線86によって簡略して表現されている。
表示画面生成部65は、モニタ画面81上にバケットアイコン85を表示するに際して、姿勢演算部62で演算される車体座標系におけるバケットピンP3とバケット先端P4の位置を取得し、さらにバケット底面角φを取得する。コントローラ60に予め記憶したバケットアイコン85をモニタ画面81の縮尺に合わせて適宜拡大縮小し、バケットアイコン85の爪先87が点P4に位置するようにバケットアイコン85を表示し、さらに、そのバケットアイコン85の底面86が直線P3P4とバケット底面角φを成すようにバケットアイコン85を点P4を中心にして回転させる。なお、実際のバケット35が回動された際、画面81上のバケットアイコン85もバケットピンP3の座標を中心に回動される。
また、表示画面生成部65は、目標面生成部66で生成された目標面70もモニタ画面81の縮尺に合わせて適宜拡大縮小し、車体座標系において当該目標面70が位置する場所に表示する。
上記により、図4(a)に示した姿勢のバケット35が、図4(b)に示すようにモニタ69の画面81上にバケットアイコン85で表示される。このとき、バケット35に設定された基準ライン72がバケットアイコン85のバケット底面86に一致するようにバケットアイコン85が画面81上に表示される。
なお、モニタ画面81の縮尺はバケット35とこれに最も近い目標面70の距離に応じて変更させることで、画面81上に常にバケットアイコン85と目標面70が表示されるようにしても良い。
(位置関係情報2(角度差))
表示画面生成部65は、姿勢演算部62で演算される車体座標系におけるバケットピンP3とバケット先端P4の位置と、バケット底面角φとに基づいて、車体座標系における基準ライン72の位置を演算する。次に、表示画面生成部65は、演算した基準ライン72の位置と、目標面生成部66で車体座標系上に生成された目標面70の位置とに基づいて角度差ψを演算し、画面81上の角度差表示部82に表示する。図4(b)の例では角度差ψとして22度が演算されて角度差表示部82に表示されている。
次に形状計測部64と基準ライン設定部63に関する説明をしつつ、基準ライン72の設定手順について触れる。
(形状計測部64)
形状計測部64は、形状計測センサ68によって計測された物体の形状のデータを現況地形データ(地形データ)としてコントローラ60内の記憶装置に記憶する。ただし、形状計測部64は、形状計測センサ68の計測範囲内にフロント作業装置30が含まれるか否かを判定し、フロント作業装置30が含まれると判定した場合には、形状計測センサ68によって計測された物体の形状からフロント作業装置30の形状を除外した形状のデータを現況地形データ(地形データ)としてコントローラ60内の記憶装置に記憶することができる。形状計測センサ68の計測範囲内にフロント作業装置30が含まれるか否かの判定は、例えば、複数のIMU50の姿勢データから演算されるフロント作業装置30の姿勢(後述の例ではバケット35の姿勢)と、形状計測センサ68のレーザ光走査範囲(計測範囲)とに基づいて、レーザ光走査範囲(計測範囲)にフロント作業装置30が位置するか否かを判定することで可能である。
図5及び図6を用いて形状計測部64による処理の詳細について説明する。図5は現況地形付近にフロント作業装置30がある場合を示し、図6は現況地形付近にフロント作業装置30が無い場合を示す。
図5での現況地形90は、油圧ショベル100が接地する平坦な地面91と、ショベル前方の傾斜のある面(傾斜面)92で形成されている。形状計測センサ68は、例えば図5(a)に示した複数の一点鎖線のうち最も上に位置する線と最も下に位置する線の2つの一点鎖線に挟まれた範囲がレーザ光の走査範囲であり、この範囲内で物体の形状を計測できる。本稿ではこの範囲を計測範囲と称することがある。
フロント作業装置30が図5(a)の姿勢の場合、形状計測センサ68では、図5(a)中の太実線91a,92a,92c,93の形状を認識する。この場合、形状計測センサ68の前方にはバケット35が位置するため、バケット35の形状の一部93も認識してしまうことになる。なお、形状計測センサ68の前方にはバケット35は位置するもののブーム31及びアーム33は位置しない(ブーム31及びアーム33は形状計測センサ68の前方よりも右側に位置する)。そのため、ブーム31及びアーム33の形状は認識されない。
形状計測部64は、姿勢演算部62で演算されるバケット35の姿勢に基づいて、形状計測センサ68の計測範囲内にバケット35が位置するか否かを判定する。計測範囲内にバケット35が位置する判定した場合には、バケット35の計測結果93(図5(b)中の点線部参照)を全体の計測結果から除外する。
形状計測センサ68によって計測された全体の形状からバケット35の形状93を除外し、その除外後の形状を現況地形データとしてコントローラ60内の記憶装置に記憶しても良い。ただし、形状計測センサ68の計測結果が当該除外によって1欠落した部分の形状については当該計測結果が得られた部分の形状に基づいて補完することが好ましい。そこで図5(c)の例では、形状計測部64は、欠落部分の両端(すなわち、太実線92aの端と太実線92cの端)を結ぶ直線部94によって形状計測センサ68の計測結果の補完を行っている。本実施形態のように基準ライン72の再設定を行う場面は、現況地形90を目標面70の形状に概ね近づけ終わった後の仕上作業の開始直前であることが予測され、バケット35は図5(a)に示すように現況地形90の近くに位置することが多いと推測される。また、仕上作業の直前では現況地形90は平坦な目標面70に近づいているため上記のように直線で補完しても支障が少ない。そのため、バケット35により現況地形90の計測が不可能だった部分を上記のように補完でき、形状計測センサ68の計測範囲外にバケット35を移動させるためだけのフロント作業装置30の操作が不要になり、仕上作業を速やかに開始できる。
ところで、図6に示すように、バケット35が形状計測センサ68の計測範囲外にある場合、つまり、姿勢演算部62で演算されたバケット35の位置姿勢情報によりバケット35が形状計測センサ68の計測範囲外にあると判定された場合には、形状計測部64は形状計測センサ68で計測した形状(図6の太実線部)が現況地形90であると認識し、そのまま記憶装置に現況地形データとして記憶する。
(基準ライン設定部63)
基準ライン設定部63は、スイッチ67が押下されたとき(OFF状態からON状態に切り替わったとき)のバケット35の姿勢でバケット35の爪先位置P4を通過する直線であって、形状計測センサ68によって計測されコントローラ60内に記憶された現況地形90の地形表面と同じ傾斜角を有する直線を基準ライン72として設定する。
ただし、このように現況地形90の地形表面に基づいて基準ライン72を設定するのは、バケット35の爪先P4と現況地形90との距離Dが所定の距離閾値d0以下の場合であって、スイッチ67が押下されたときの基準ライン72と現況地形90との角度差Δαが所定の角度閾値δ0以下の場合に限っても良い。バケット35の爪先P4と現況地形90との距離は、複数のIMU50の姿勢データと、形状計測部64が記憶した現況地形データとに基づいて演算できる。また、スイッチ67が押下されたときの基準ライン72と現況地形90との角度差Δαは、複数のIMU50の姿勢データと、基準ライン72の位置データと、形状計測部64が記憶した現況地形データとに基づいて演算できる。
基準ライン設定部63の処理の詳細についてフローチャートを用いて説明する。図7は基準ライン設定部63の処理の詳細を示すフローチャートである。基準ライン設定部63は図7のフローチャートを所定の制御周期(例えば10ミリ秒)で実行する。
まず、ステップS10では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、形状計測部64が記憶した現況地形90の形状(地形表面の形状)を取り込む。
つづいてステップS20に進み、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、スイッチ67から入力されるON・OFF信号に基づいてスイッチ67が押されたか否かを判定する。スイッチ67が押されていないと判定された場合には処理を終了する。一方、ステップS20でスイッチが押されたと判定された場合は、ステップS40に進む。
ステップS40では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、姿勢演算部62で計算されたバケット先端(バケット爪先)P4の位置と、ステップS10で取り込んだ現況地形90との距離Dが所定の距離閾値d0以下であるかを判定する。すなわち、スイッチ67が押されたときの距離Dが距離閾値d0以下か否かを判定する。
距離Dは、例えば図8に示すように、バケット先端P4から現況地形90に向かって垂線を下ろしたときの当該垂線の長さとして演算できる。バケット先端P4から鉛直下方に直線を延ばし、当該直線と現況地形90の交点を求め、当該交点とバケット先端P4の距離を距離Dとすることもできる。
距離閾値d0としては、例えば5cmが選択可能であるが、ある一定の範囲内の値であればユーザが距離閾値d0を変更可能にしてもよい。
ステップS40で、バケット先端P4と現況地形90の距離Dが距離閾値d0を超える(距離閾値d0以下でない)と判定された場合は、処理を終了する。一方、バケット先端P4と現況地形90の距離Dが距離閾値d0以下であると判定された場合は、ステップS50に進む。
ステップS50では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、スイッチ67が押されたときに姿勢演算部62で演算されたバケット姿勢における基準ライン72の対地角(水平面に対する傾斜角)α1と、形状計測部64により記憶された現況地形90の水平面に対する傾斜角α2との差(角度差)が所定の角度閾値δ0以下か否かを判定する。現況地形90の傾斜角α2としては、例えば、現況地形においてバケット先端P4から最も近い点における傾斜角を利用できる。角度閾値δ0は、バケット35の形状や大きさに応じて変化し得るが、例えば10度前後の角度が選択可能である。なお、ある一定の範囲内の値であればユーザが角度閾値δ0を変更可能にしてもよい。
図9はステップS50での具体的事例を示す図である。基準ライン72はバケット先端P4を通過する直線として設定されている。ステップS50では、基準ライン72が水平面と成す角度、つまり基準ライン72の対地角α1と、形状計測部64で記憶された現況地形90が水平面と成す角度α2とを比較し、両角度α1,α2の差分が角度閾値δ0以下か否かを判定する。
ステップS50で角度差が角度閾値δ0を超えると判断された場合には、処理を終了する。一方、ステップS50で角度差が角度閾値δ0以下であると判定された場合は、ステップS60に進む。
ステップS60では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、スイッチ67が押下されたときのバケット35の姿勢でバケット先端P4を通過する直線であって、現況地形と同じ傾斜角を有する直線を新たな基準ライン72として設定する。
図10はステップS60での具体的事例を示す図である。図中の現況地形90aと現況地形90bは、異なる時刻に形状計測部64で計測された傾斜角(勾配)が異なる現況地形を示す(傾斜角の異なる2つの現況地形が同時に計測されたことを示しているのではない)。例えば、ステップS10で現況地形90aが取得された後にステップS60まで処理が進んだ場合には、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、現況地形90aと同じ傾斜角の基準ライン72aを設定する。一方、ステップS10で現況地形90bが取得された場合には、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、現況地形90bと同じ傾斜角の基準ライン72bを設定する。
コントローラ60への基準ライン72の位置の記憶はバケット底面角φによって行うことができる。図10で基準ライン72aが設定された場合のバケット底面角はφaであり、基準ライン72bが設定された場合のバケット底面角はφbである。
以上の処理により、スイッチ67が押されたタイミングのバケット35の姿勢でバケット先端P4を通過する直線であって、現況地形と同じ傾斜角を有する直線が新たな基準ライン72として設定される。これによりモニタ69には新たな基準ライン72をバケット底面86に一致させたバケットアイコン85が表示される。
なお、ステップS20でスイッチ67が押されているにもかかわらず、ステップS40の判定又はステップS50の判定が否定され、基準ライン72の変更がなされなかった場合には、その旨をモニタ69に表示してもよい。また、ステップS50で判定が肯定されて基準ライン72が変更された場合も、その旨をモニタ69に表示しても良い。
(基準ラインを再設定する場面及び効果)
本実施形態において基準ライン72を再設定する場面として想定している典型的な場面は、現況地形90の形状を目標面70の形状に概ね近づけた後のタイミングであって仕上作業の開始前のタイミングである。仕上作業の直前での現況地形90は、目標面70と多少のズレはあるが概ね平坦であり、その傾斜角は一様になっている。オペレータは、仕上作業の開始前に基準ライン72の再設定作業を行うにあたって、自分が基準としているバケット底面が現況地形と略平行になるようにキャブ25内の操作レバー(図示せず)を利用してフロント作業装置30を操作する。このとき、バケット底面と現況地形が実際に平行である必要はなく、あくまでオペレータが自分の感覚でバケット底面が現況地形と平行になっていると考える姿勢をバケット35にとらせれば足りる。なお、このとき、オペレータが自分でバケット底面と思う部分を現況地形に接触させても良い。
オペレータがバケット底面と現況地形が平行になったと認識できた状態でスイッチ67を押下すると、コントローラ60は、形状計測センサ68が計測した現況地形90の形状を取得し、バケット爪先と現況地形の距離Dが閾値d0以下かつ基準ライン72と現況地形の角度差が閾値δ0以下の場合には、そのときのバケット35の姿勢でバケット爪先P4を通過する直線であって、現況地形90と同じ傾斜角を有する直線を新たな基準ライン72として設定する。これによりオペレータが意図するバケット底面を底面としたバケットアイコン85がモニタ69の画面81上に表示される。すなわち、オペレータが意図するバケット底面を基準とした位置関係情報(バケット35と目標面70の位置関係や角度差ψ)がモニタ69に表示されることになるので、オペレータが目標面70とバケット35の位置関係を正確に把握できる。
ただし、上記の実施形態では、基準ライン設定部63の処理にステップS40及びステップS50、すなわちバケット爪先と現況地形の距離が近く(閾値d0以下)、かつ、基準ライン72と現況地形の角度差が小さいこと(閾値δ0以下)が、基準ライン72の再設定される条件とした。このような条件を付加すると、基準ライン72が誤って再設定されることを防止でき、また、実際の現況地形と大きく乖離した基準ライン72が設定されることを防止できる。なお、これらの条件は省略することもできる。
また、上記の実施形態では、形状計測センサ68の計測範囲内にバケット35が含まれるか否かを判定し、含まれていると判定された場合には、バケット35によって計測されなかった現況地形の形状を補完することとした。これによりバケット35を形状計測センサ68の計測範囲外に移動するためだけの操作が不要になるため、基準ライン72の再設定作業を速やかに開始でき、当該再設定作業の完了後は仕上作業を速やかに開始することができるようになる。なお、先述のとおり、基準ライン72が再設定される状態では現況地形90は平坦であることが多いため、補完により現況地形90を特定しても実際の現況地形との乖離は少なく基準ライン72の設定精度への影響は少ない。
なお、本実施形態が利用可能な場面は上記で触れた仕上作業の開始直前に限られない。例えば、現況地形の上に鉄板等の板部材を置いておき、その板部材を基準にして基準ライン72の再設定を行ってもよい。このようにすると、現況地形を平らにする必要がないので、オペレータの技量が高くない場合や仕上作業の開始直前以外の場合にも基準ライン72を再設定することができるようになる。
上記では形状計測センサ68を油圧ショベル100に搭載して現況地形データを取得したが、現況地形データは油圧ショベル100の外部から取得しても良い。具体的には、現況地形を記憶しているサーバや、形状計測センサ68を搭載したトータルステーションやドローンから通信により現況地形データを取得しても良い。その他の取得方法としては、複数のIMU50の検出データに基づいてバケット35の爪先P4の移動軌跡を演算し、演算した移動軌跡を現況地形データとしてコントローラ60内の記憶装置に記憶するものがある。この方法によれば油圧ショベル以外に特別なハードウェアを用意する必要が無く、油圧ショベル100単独で現況地形データを取得できる。
現況地形データの取得が難しい場合には、目標面70の傾斜角を基準にして基準ライン72の再設定を行うこともできる。次にこの方法について説明する。
<第2実施形態>
本発明の第2の実施の形態について図11を用いて説明する。図11は油圧ショベル100のコントロールシステムのうち、第2実施形態に係る表示システムの構成を抜き出して模式的に示した機能ブロック図である。本実施形態では主に第1実施形態との相違点について説明するものとし、本実施形態で用いる図面において第1実施形態と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。なお、図11に示した部分を以外は第1実施形態と同じである。
本実施形態では、第1実施形態の構成から形状計測センサ68とコントローラ60内の形状計測部64を省略しており、基準ライン72の再設定に現況地形90ではなく目標面生成部66で生成される目標面70を利用している点に特徴がある。
第2実施形態における基準ライン設定部63の処理の詳細についてフローチャートを用いて説明する。図12は第2実施形態における基準ライン設定部63の処理の詳細を示すフローチャートである。基準ライン設定部63は図12のフローチャートを所定の制御周期(例えば10ミリ秒)で実行する。
まず、ステップS11では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、目標面生成部66が記憶した目標面70の形状(地形表面の形状)を取り込む。
つづいてステップS20に進み、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、スイッチ67から入力されるON・OFF信号に基づいてスイッチ67が押されたか否かを判定する。スイッチ67が押されていないと判定された場合には処理を終了する。一方、ステップS20でスイッチが押されたと判定された場合は、ステップS41に進む。
ステップS41では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、姿勢演算部62で計算されたバケット先端(バケット爪先)P4の位置と、ステップS11で取り込んだ目標面70との距離Dtが所定の距離閾値dt0以下であるかを判定する。すなわち、スイッチ67が押されたときの距離Dが距離閾値dt0以下か否かを判定する。なお、距離Dtは、第1実施形態の距離Dと同様に演算できる。距離閾値dt0も第1実施形態のd0と同様に設定できる。
ステップS41で、バケット先端P4と目標面70の距離Dtが距離閾値dt0を超える(距離閾値dt0以下でない)と判定された場合は、処理を終了する。一方、バケット先端P4と目標面70の距離Dtが距離閾値dt0以下であると判定された場合は、ステップS51に進む。
ステップS51では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、スイッチ67が押されたときに姿勢演算部62で演算されたバケット姿勢における基準ライン72の対地角(水平面に対する傾斜角)α1と、目標面生成部66により生成された目標面70の水平面に対する傾斜角α3との差(角度差)が所定の角度閾値δt0以下か否かを判定する。目標面70の傾斜角α3としては、例えば、目標面においてバケット先端P4から最も近い点における傾斜角を利用できる。角度閾値δt0は、第1実施形態のδ0と同様に設定できる。
ステップS51で角度差が角度閾値δt0を超えると判断された場合には、処理を終了する。一方、ステップS51で角度差が角度閾値δt0以下であると判定された場合は、ステップS61に進む。
ステップS61では、基準ライン設定部63(コントローラ60)は、スイッチ67が押下されたときのバケット35の姿勢でバケット先端P4を通過する直線であって、目標面70と同じ傾斜角を有する直線を新たな基準ライン72として設定する。
以上の処理により、スイッチ67が押されたタイミングのバケット35の姿勢でバケット先端P4を通過する直線であって、目標面70と同じ傾斜角を有する直線が新たな基準ライン72として設定される。これによりモニタ69には新たな基準ライン72をバケット底面86に一致させたバケットアイコン85が表示される。
本実施形態において基準ライン72を再設定する場面として想定しているのは、第1実施形態と同様に仕上作業の開始前のタイミングである。仕上作業の直前での現況地形90は、多少のズレはあるが概ね目標面70と一致している。そこで本実施形態では、オペレータの操作は第1実施形態と同様に自分が基準としているバケット底面を現況地形90と略平行にする操作とするが、コントローラ60での処理は現況地形90の代わりに目標面70を利用し、スイッチ67を押したときのバケット35の姿勢でバケット爪先P4を通過する直線であって、目標面70と同じ傾斜角を有する直線を新たな基準ライン72として設定する。これにより形状計測センサ68を利用しなくても、オペレータが意図するバケット底面を基準とした位置関係情報(バケット35と目標面70の位置関係や角度差ψ)がモニタ69に表示され、それによりオペレータが目標面70とバケット35の位置関係を正確に把握できるので、第1実施形態よりもコストを抑えることができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施の形態に係る構成の一部を、他の実施の形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
上記では、説明を簡単にするために車体座標系上に目標面70や現況地形90を設定する場合を例示して説明したが、作業現場に座標を設定した現場座標系や、地球に座標を設定したグローバル座標系(地理座標系)などの任意の座標系に目標面70や現況地形90を設定しても良い。但し、この場合には、油圧ショベル100(上部旋回体20)のグローバル座標を取得する必要があるため、GNSSアンテナと受信機を油圧ショベル100に搭載する必要がある。
上記では、図4に示したようにモニタ画面81に目標面70を表示したが、現況地形90を表示しても良い。
また、上記のコントローラ60に係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、上記のコントローラ60に係る構成は、演算処理装置(例えばCPU)によって読み出し・実行されることで当該コントローラ60の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。
また、上記の各実施の形態の説明では、制御線や情報線は、当該実施の形態の説明に必要であると解されるものを示したが、必ずしも製品に係る全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
10…下部走行体,20…上部旋回体,21…旋回フレーム,25…キャブ(運転室),30…フロント作業装置(作業装置),31…ブーム,32…ブームシリンダ,33…アーム,34…アームシリンダ,35…バケット,36…バケットシリンダ,41…油圧回路システム,60…コントローラ,61…寸法・角度情報記憶部,62…姿勢演算部,63…基準ライン設定部,64…形状計測部,65…表示画面生成部,66…目標面生成部,67…スイッチ,68…形状計測センサ,69…モニタ,70…目標面,72…基準ライン,81…モニタ画面,82…角度差表示部,85…バケット画像(バケットアイコン),86…アイコンにおけるバケット底面,87…アイコンにおけるバケット爪先,90…現況地形,100…油圧ショベル

Claims (8)

  1. バケットを含む複数のフロント部材を連結した作業装置と、
    前記複数のフロント部材の姿勢を検出する複数の姿勢センサと、
    前記作業装置を利用した作業に関する地形表面の形状を規定する地形データが記憶された記憶装置と、
    前記バケットを側面から見たときの前記バケットの底面として表示される線である基準ラインと前記地形表面の2次元形状とが表示されるモニタと、
    前記複数の姿勢センサにより検出された前記複数のフロント部材の姿勢データと、前記姿勢データから演算される前記バケットの回動中心と爪先の位置データと、前記地形データとに基づいて、前記モニタ上における前記基準ラインと前記地形表面との位置関係を演算し、演算した前記位置関係前記モニタに表示させるコントローラとを備えた作業機械において、
    前記基準ラインは、前記モニタ上において、前記バケットを側面から見たときの前記バケットの爪先位置に一端が位置する直線であり、さらに、前記バケットの回動中心と前記バケットの爪先とを接続する第1直線と角度φを成す直線として前記コントローラに記憶されており、
    前記角度φを設定する際に操作されるスイッチを備え、
    前記コントローラは、
    前記スイッチが操作されたときに、前記姿勢データと前記地形データとに基づいて前記バケットの爪先と前記地形表面との距離を演算し、
    前記モニタ上で、前記地形データにおいて前記距離の演算に利用した部分と同じ傾斜角を有する第2直線が前記第1直線と成す角度を、前記角度φに代わる新たな角度φとして記憶し
    前記モニタ上において、前記バケットを側面から見たときの前記バケットの爪先位置に一端が位置し、前記第1直線と前記新たな角度φを成す直線を、前記基準ラインに代わる新たな基準ラインとして前記モニタに表示させる
    ことを特徴とする作業機械。
  2. 請求項1の作業機械において、
    前記地形データによって規定される前記地形表面の形状は、現況地形の形状であり、
    前記作業機械の周囲の物体の形状を計測可能な形状計測センサをさらに備え、
    前記コントローラは、前記形状計測センサによって計測された前記物体の形状のデータを前記地形データとして前記記憶装置に記憶する
    ことを特徴とする作業機械。
  3. 請求項2の作業機械において、
    前記コントローラは、
    前記形状計測センサの計測範囲内に前記作業装置が含まれるか否かを判定し、
    前記計測範囲内に前記作業装置が含まれると判定された場合には、前記形状計測センサによって計測された前記物体の形状から前記作業装置の形状を除外した形状のデータを前記地形データとして前記記憶装置に記憶する
    ことを特徴とする作業機械。
  4. 請求項3の作業機械において、
    前記コントローラは、前記姿勢データから演算される前記作業装置の姿勢と前記計測範囲とに基づいて、前記計測範囲内に前記作業装置が含まれるか否かを判定する
    ことを特徴とする作業機械。
  5. 請求項4の作業機械において、
    前記コントローラは、前記計測範囲内に前記作業装置が含まれると判定された場合には、前記作業装置の形状の除外によって前記形状計測センサの計測結果が欠落した部分の形状のデータを前記形状計測センサの計測結果が得られた部分の形状に基づいて補完する
    ことを特徴とする作業機械。
  6. 請求項1の作業機械において、
    前記地形データによって規定される前記地形表面の形状は現況地形の形状であり、
    前記コントローラは、前記姿勢データに基づいて前記バケットの爪先の移動軌跡を演算し、演算した前記移動軌跡を前記地形データとして前記記憶装置に記憶する
    ことを特徴とする作業機械。
  7. 請求項1の作業機械において、
    前記地形データによって規定される前記地形表面の形状は、施工対象の目標形状を示す目標面の形状である
    ことを特徴とする作業機械。
  8. 請求項1の作業機械において、
    前記コントローラは、さらに、
    前記姿勢データと、前記基準ラインの位置データと、前記地形データとに基づいて、前記スイッチが操作されたとき前記基準ラインと前記地形表面との角度差を演算し、
    前記距離が所定の距離閾値以下の場合であって、前記角度差が所定の角度閾値以下の場合に、前記角度φに代えて前記新たな角度φを記憶し、
    記憶した前記新たな角度φに基づいて前記新たな基準ラインを前記モニタに表示させる
    ことを特徴とする作業機械。
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