JP7260780B2 - 大入熱溶接用高強度鋼板 - Google Patents
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C :0.040%以上、0.200%以下、
Mn:0.30%以上、1.60%以下、
Ni:1.00%以上、2.50%未満、
Al:0.03%以上、0.10%以下、
Ti:0%以上、0.020%以下、
Cu:0%以上、0.60%未満、
Cr:0%以上、1.0%以下、
Mo:0%以上、1.0%以下、
W :0%以上、1.0%以下、
B :0%以上、0.0050%以下、
Co:0%以上、1.0%以下、
Nb:0%以上、0.10%以下、
V :0%以上、0.10%以下、
Ca:0%以上、0.005%以下、
Mg:0%以上、0.005%以下、
REM:0%以上、0.005%以下、
Zr:0%以上、0.005%以下、
を含有し、
Si:0.10%以下、
P :0.015%以下、
S :0.005%以下、
N :0.0060%以下、
O :0.0040%以下、
に制限され、
残部がFe及び不純物からなり、
Mn及びNiの含有量の比Mn/Niが0.80以下であり、
下記(1)式で計算される炭素当量CeqWESが0.40%以上、0.70%以下、の組成を有し、
金属組織は、低温変態相の体積率が70%以上であり、X線回折法によって求められるオーステナイトの体積率が2%以上である、
大入熱溶接用高強度鋼板。
CeqWES(%)=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(1)
ここで、上記(1)式中のC、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入する。
[2] 更に、質量%で、
Cr:0.1%以上、1.0%以下、
Mo:0.1%以上、1.0%以下、
W :0.1%以上、1.0%以下、
B :0.0003%以上、0.0050%以下、
Co:0.1%以上、1.0%以下、
Nb:0.005%以上、0.10%以下、
V :0.005%以上、0.10%以下、
の1種以上を含有する、上記[1]に記載の大入熱溶接用高強度鋼板。
[3] 更に、質量%で、
Ca:0.0001%以上、0.005%以下、
Mg:0.0001%以上、0.005%以下、
REM:0.0001%以上、0.005%以下、
Zr:0.0001%以上、0.005%以下、
の1種以上を含有する、上記[1]または[2]に記載の大入熱溶接用高強度鋼板。
ここで、上記(1)式中のC、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入する。
Ac3変態点=910-203√C+44.7Si-30Mn-400Al-15.2Ni+104V+31.5Mo+13.1W+11Cr+20Cu-700P-400Ti ・・・(3)
ここで、上記(2)式中及び上記(3)式中のC、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Nb、Al、B、W、Pは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入する。
Cは、鋼の焼入れ性を高めて高強度化に寄与し、また、オーステナイトの生成に影響を及ぼす元素である。本実施形態では、オーステナイトが安定化したMAの生成によってHAZ靭性を確保するという観点から、Cの含有量は0.040%以上である。Cの含有量は、好ましくは0.050%以上であり、より好ましくは0.060%以上である。一方、MAの硬化やセメンタイトの増加を抑制してHAZ靱性の低下を抑制するという観点から、本実施形態では、Cの含有量は0.200%以下である。Cの含有量は、好ましくは0.180%以下であり、より好ましくは0.160%以下である。
Siは、焼入れ性を高めた鋼板の大入熱HAZのMAの生成に極めて大きな影響を及ぼす元素である。本実施形態では、HAZ靭性を確保するために、Siの含有量は0.10%以下に制限される。Siの含有量は、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。Siの含有量の下限は限定されず、0%でもよい。製造コストの観点から、Siの含有量は、0.01%以上であってもよい。
Mnは、鋼の焼入れ性を高めて高強度化に寄与する元素であり、本実施形態では、Mnの含有量は0.30%以上である。Mnの含有量は、好ましくは0.50%以上であり、より好ましくは0.80%以上である。一方、大入熱HAZにおけるMAの生成を抑制し、靭性を確保するという観点から、本実施形態では、Mnの含有量は1.60%以下である。Mnの含有量は、好ましくは1.30%以下である。
Niは、鋼の焼入れ性を高めて高強度化に寄与する元素であり、同時に、大入熱HAZの靱性を高める元素でもある。強度および靭性を確保するという観点から、本実施形態において、Niの含有量は、1.00%以上である。Niの含有量は、好ましくは1.20%以上である。一方、Niは高価な元素であり、製造コストの上昇を抑制するという観点から、本実施形態では、Niの含有量は2.50%未満である。Niの含有量は、好ましくは2.00%以下である。
Mn及びNiはともに鋼の高強度化に寄与する元素であるが、大入熱HAZにおいて、MnはNiに比べてMAの生成を促進しやすいことから、Mnの含有量はNiの含有量より少ないことが好ましい。大入熱HAZの高強度化を図りつつ靱性を確保するという観点から、本実施形態の鋼板において、鋼中のMnの含有量をNiの含有量で除した比であるMn/Niは0.80以下である。Mn/Niは、好ましくは0.70以下であり、より好ましくは0.60以下である。なお、Mn/Niの下限は特に限定されず、Mnの含有量の下限及びNiの含有量の上限によって定められる0.12超であってもよい。Mn/Niは0.20以上であってもよい。
Pは、靭性に有害な不純物である。Pの含有量は、大入熱HAZの靱性を安定的に確保するために制限する必要があり、本実施形態では、0.015%以下である。Pの含有量は、好ましくは0.010%以下である。Pの含有量の下限は限定されないが、製造コストの観点から、Pの含有量は0.001%以上であってもよい。
Sは、不純物であり、鋼中に多量に含有されると粗大な介在物を形成して靭性を低下させる場合がある。したがって、Sの含有量は、大入熱HAZの靱性を安定的に確保するために制限する必要があり、本実施形態では、Sは0.005%以下である。Sの含有量は、好ましくは0.004%以下である。S量の下限は限定されないが、製造コストの観点から、Sの含有量は0.0001%以上であってもよい。Sの含有量は0.001%以上であってもよい。
Alは、酸化物及び窒化物を形成する元素であり、主に、脱酸に用いられる。本実施形態では、Alの含有量は0.03%以上である。一方、母材及び溶接部の靱性を確保するという観点から、本実施形態では、Alの含有量は0.10%以下である。Alの含有量は、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.06%以下である。
Tiは、酸化物及びTiNを形成する元素であり、脱酸や組織の微細化のために用いられる。一方、母材及びHAZの靭性の劣化や鋳片の表面品質の劣化を抑制するという観点から、本実施形態では、Tiの含有量は0.020%以下である。Tiの含有量は、好ましくは0.018%以下であり、より好ましくは0.016%以下である。Tiの含有量は0%でもよいが、結晶粒を微細化するために、好ましくは0.005%以上である。Tiの含有量は、より好ましくは0.007%以上である。
Nは、不純物であり、破壊の起点となる粗大な窒化物の形成を抑制し、靱性を確保するという観点から、Nの含有量は、本実施形態では0.0060%以下である。Nの含有量は、好ましくは0.0050%以下であり、より好ましくは0.0040%以下である。一方、Nの含有量は、組織の粗大化を抑制するTiNを生成させるという観点から、0.0010%以上であってもよい。
Oは、不純物であり、破壊の起点となる粗大な酸化物の形成を抑制し、靱性を確保するという観点から、本実施形態では、Oの含有量は0.0040%以下である。Oの含有量は、好ましくは0.0035%以下であり、より好ましくは0.0030%以下である。一方、Oの含有量は、製造コストの観点から、0.0001%以上であってもよく、0.0005%以上であってもよい。
炭素当量CeqWESは、鋼板(母材)の強度及びHAZの結晶粒径に影響を及ぼす。HAZでの焼入れ性を確保し、結晶粒を細粒化させるという観点から、本実施形態では、炭素当量CeqWESは0.40%以上である。炭素当量CeqWESは、好ましくは0.45%以上であり、より好ましくは0.50%以上である。一方、大入熱HAZの硬化を抑制して、靱性を確保するという観点から、本実施形態では、炭素当量CeqWESは0.70%以下である。炭素当量CeqWESは、好ましくは0.65%以下であり、より好ましくは0.60%以下である。なお、炭素当量CeqWESは、合金元素の含有量によって下記(1)式で計算される。
ここで、上記(1)式中のC、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入する。
Cuは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Cuの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Cuは、溶接性やHAZの靱性に対する悪影響が小さく、母材の強度や靭性を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Cuの含有量は0.10%以上であってもよい。ただし、合金コストの上昇を抑制するという観点から、本実施形態では、Cuの含有量は0.60%未満である。Cuの含有量は、好ましくは0.50%以下である。
Crは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Crの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Crは、母材の強度を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Crの含有量は0.1%以上であってもよい。Crの含有量は、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.3%以上である。ただし、大入熱HAZの靱性や溶接性の劣化抑制の観点から、本実施形態では、Crの含有量は、1.0%以下である。Crの含有量は、好ましくは0.8%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。
Moは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Moの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Moは、母材の強度及び靱性を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Moの含有量は0.1%以上であってもよい。Moの含有量は、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.3%以上である。ただし、大入熱HAZの靱性や溶接性の劣化抑制、合金コストの上昇抑制の観点から、本実施形態では、Moの含有量は1.0%以下である。Moの含有量は、好ましくは0.9%以下であり、より好ましくは0.8%以下である。
Wは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Wの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Wは、母材の強度及び靱性を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Wの含有量は0.1%以上であってもよい。Wの含有量は、好ましくは0.2%以上であり、より好ましくは0.3%以上である。ただし、大入熱HAZの靱性や溶接性の劣化抑制、合金コストの上昇抑制の観点から、本実施形態では、Wの含有量は1.0%以下である。Wの含有量は、好ましくは0.9%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。
Bは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。Bの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Bは、鋼の焼入れ性を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Bの含有量は0.0003%以上であってもよい。Bの含有量は、好ましくは0.0005%以上である。一方、大入熱HAZの靱性や溶接性の劣化を抑制するという観点から、本実施形態では、Bの含有量は0.0050%以下である。Bの含有量は、好ましくは0.0030%以下である。
Coは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Coの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Coは、溶接性やHAZの靱性に対する悪影響が小さく、母材の強度や靱性を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Coの含有量は0.1%以上であってもよい。ただし、溶接性の悪化抑制や合金コストの上昇抑制の観点から、本実施形態では、Coの含有量は1.0%以下である。Coの含有量は、好ましくは0.5%以下である。
Nbは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Nbの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Nbは、母材の強度及び靱性を向上させる元素でもある。そのため、本実施形態では、Nbの含有量は0.005%以上であってもよい。ただし、大入熱HAZの靱性や溶接性の劣化抑制の観点から、Nbの含有量は0.10%以下である。Nbの含有量は、好ましくは0.05%以下であり、より好ましくは0.03%以下である。
Vは、スクラップ等から不純物として鋼板に混入する場合がある元素である。しかし、Vの含有量の下限値は限定されず、0%であってもよい。また、Vは、母材の強度を向上させる元素である。そのため、本実施形態では、Vの含有量は0.005%以上であってもよい。ただし、大入熱HAZの靱性や溶接性の劣化抑制、合金コストの上昇抑制の観点から、Vの含有量は、0.10%以下である。Vの含有量は、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.06%以下である。
Caは、酸化物や硫化物、酸硫化物を形成して粗大介在物の生成を抑制し、母材及びHAZの靱性を高める元素である。そのため、本実施形態では、Caの含有量は0.0001%以上であってもよい。ただし、脆性破壊の発生起点として作用するCa系介在物の増加を抑制するという観点から、本実施形態では、Caの含有量は0.005%以下である。Caの含有量は、好ましくは0.004%以下である。なお、Caの含有量は0%であってもよい。
Mgは、Caと同様に、酸化物や硫化物、酸硫化物を形成して粗大介在物の生成を抑制し、母材及びHAZの靱性を高める元素である。そのため、本実施形態では、Mgの含有量は0.0001%以上であってもよい。ただし、脆性破壊の発生起点として作用するMg系介在物の増加を抑制する観点から、Mgの含有量は0.005%以下である。Mgの含有量は、好ましくは0.003%以下である。なお、Mgの含有量は0%であってもよい。
REM(希土類元素)とは、Sc、Yの2元素と、La、CeやNdなどのランタノイド15元素の総称を意味する。本実施形態でいうREMとは、これら希土類元素から選択される1種以上で構成されるものであり、以下に説明するREMの含有量とは、希土類元素の含有量の合計である。
REMは、CaやMgと同様に、酸化物や硫化物、酸硫化物を形成して粗大介在物の生成を抑制し、母材及びHAZの靱性を高める元素である。そのため、本実施形態では、REMの含有量は0.0001%以上であってもよい。ただし、脆性破壊の発生起点として作用するREM系介在物の増加を抑制するという観点から、REMの含有量は0.005%以下である。REMの含有量は、好ましくは0.003%以下である。なお、REMの含有量は0%であってもよい。
Zrは、CaやMgやREMと同様に、酸化物や硫化物や酸硫化物を形成して粗大介在物の生成を抑制し、母材及びHAZの靱性を高める元素である。そのため、本実施形態では、Zrの含有量は0.0001%以上であってもよい。ただし、脆性破壊の発生起点として作用するZr系介在物の増加を抑制するという観点から、Zrの含有量は0.005%以下である。Zrの含有量は、好ましくは0.003%以下である。なお、Zrの含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係る大入熱溶接用高強度鋼板の金属組織は、強度を確保するために、体積率で70%以上の低温変態相を有する。低温変態相は、鋼を加熱後、冷却時に低温での相変態によって生成する金属組織であり、後述するベイナイト及びマルテンサイトの総称である。強度を高めるという観点から、低温変態相の体積率は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上である。ただし、低温変態相の体積率が多くなると、相対的にMAに含まれるオーステナイトの体積率が減少する。HAZ靭性の低下の抑制に寄与するMAに含まれるオーステナイトを確保するという観点から、低温変態相の体積率は、好ましくは90%以下である。定量金属組織学によれば、金属組織の体積率(%)は面積率(%)と等しい数値となる。したがって、本実施形態では、低温変態相の体積率は、光学顕微鏡を用いて公知の方法で測定された低温変態相の面積率である。
本実施形態に係る大入熱溶接用高強度鋼板の金属組織は、HAZ靭性を確保するために、体積率で2%以上のオーステナイトを有する。靭性を高めるという観点から、オーステナイトの体積率は、好ましくは4%以上である。一方、母材の引張強度を確保するという観点から、オーステナイトの体積率は、好ましくは8%以下である。オーステナイトの体積率は、X線回折法によって測定される。
ここで、Vγはオーステナイトの体積率(%)、Rαはαの結晶学的理論計算値、Iγはγの積分強度、Rγはγの結晶学的理論計算値、である。
ここで、上記(4)式中のC、Si、Mn、Ni、Cu、Cr、Moは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入する。
ここで、上記式(1)中のC、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入した。
上述のように、金属組織の体積率は面積率(%)と等しい数値となる。低温変態相の体積率は、板厚方向の断面を観察面とし、表面から板厚の1/4の部位の金属組織を光学顕微鏡によって観察し、測定された。低温変態相の面積率は、フェライト、パーライト、MAを除外した部分の面積から算出される。フェライト及びパーライトを除外した部分の面積は、鏡面仕上した試料にナイタールによるエッチングを施し、光学顕微鏡によって撮影された、拡大率が400倍の5視野の写真を用いて測定される。MAの面積の測定は、再研磨、レペラーによるエッチングが施された試料を用いて、フェライト及びパーライトを除外した部分の面積の測定と同様にして、同一の視野で行われた。また、鋼板の表面から板厚の1/4の位置が測定部位となる試料が採取され、上述のように、X線回折法によって、オーステナイトの体積率が測定された。
母材の機械特性の評価、すなわち、引張試験及びシャルピー衝撃試験に用いた試験片は、厚鋼板の板厚の1/4の位置から採取された。
引張試験は、JIS Z 2241:2011に準拠し、2本の試験片を用いて室温で行われた。YS(0.2%降伏強度)及びTS(引張強度)は、それぞれ2本の試験片の平均値である。YR(降伏比)は、TSに対するYSの割合であり、百分率、すなわち、100×(YS/TS)で表される。YR(降伏比)の単位は%である。
シャルピー衝撃試験では、JIS Z 2242:2018に準拠し、3本のVノッチ試験片を用いて行われ、吸収エネルギーが測定された。試験温度は0℃である。母材の吸収エネルギー(KV2(0℃))は、このようにして測定された3本の試験片の吸収エネルギーの平均値(相加平均)である。
溶接継手のHAZ靭性の評価は、エレクトロスラグ溶接法(ESW)によって作製された各厚鋼板の溶接継手を用いて行われた。
エレクトロスラグ溶接法(ESW)によって、図1に例示されるT字継手が作製された。溶接は1パスで行われ、溶接入熱量が70kJ/mm以上、150kJ/mm以下である大入熱溶接が適用された。入熱量は、図1に示すT字継手の溶接全長における入熱量の平均値である。
なお、表5及び表6において、ノッチ位置をFL上とした場合とノッチ位置をFLから1mm離れたHAZ部分とした場合とで、0℃でのHAZ靱性が100J未満の場合には下線を引いた。
2・・・ダイヤフラム
3、4・・・裏当金
5・・・溶接金属部
6・・・溶接熱影響部(HAZ)
7・・・試験片
Claims (3)
- 質量%で、
C :0.040%以上、0.200%以下、
Mn:0.30%以上、1.60%以下、
Ni:1.00%以上、2.50%未満、
Al:0.03%以上、0.10%以下、
Ti:0%以上、0.020%以下、
Cu:0%以上、0.60%未満、
Cr:0%以上、1.0%以下、
Mo:0%以上、1.0%以下、
W :0%以上、1.0%以下、
B :0%以上、0.0050%以下、
Co:0%以上、1.0%以下、
Nb:0%以上、0.10%以下、
V :0%以上、0.10%以下、
Ca:0%以上、0.005%以下、
Mg:0%以上、0.005%以下、
REM:0%以上、0.005%以下、
Zr:0%以上、0.005%以下、
を含有し、
Si:0.10%以下、
P :0.015%以下、
S :0.005%以下、
N :0.0060%以下、
O :0.0040%以下、
に制限され、
残部がFe及び不純物からなり、
Mn及びNiの含有量の比Mn/Niが0.80以下であり、
下記(1)式で計算される炭素当量CeqWESが0.40%以上、0.70%以下、の組成を有し、
金属組織は、低温変態相の体積率が70%以上であり、X線回折法によって求められるオーステナイトの体積率が2%以上である
大入熱溶接用高強度鋼板。
CeqWES(%)=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14 ・・・(1)
ここで、上記(1)式中のC、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vは質量%で表した各元素の鋼板中の含有量であり、含有しない元素の項には0を代入する。 - 更に、質量%で、
Cr:0.1%以上、1.0%以下、
Mo:0.1%以上、1.0%以下、
W :0.1%以上、1.0%以下、
B :0.0003%以上、0.0050%以下、
Co:0.1%以上、1.0%以下、
Nb:0.005%以上、0.10%以下、
V :0.005%以上、0.10%以下、
の1種以上を含有する、請求項1に記載の大入熱溶接用高強度鋼板。 - 更に、質量%で、
Ca:0.0001%以上、0.005%以下、
Mg:0.0001%以上、0.005%以下、
REM:0.0001%以上、0.005%以下、
Zr:0.0001%以上、0.005%以下、
の1種以上を含有する、請求項1または請求項2に記載の大入熱溶接用高強度鋼板。
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