以下、本発明の仮固定用テープについて詳細に説明する。
まず、本発明の仮固定用テープを説明するのに先立って、本発明の仮固定用テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の仮固定用テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
半導体装置10は、図1に示すように、電極パッド26(バンプ)を備える半導体素子20と、半導体素子20の上面側を封止する封止部27(モールド部)と、半導体素子20の下面を被覆し、かつ半導体素子20が備える電極パッド26を露出させるように設けられた、開口部251を備えるインターポーザー25(基板)と、開口部251を埋め、かつインターポーザー25の一部を覆うことで電極パッド26に電気的に接続された配線23と、配線23に電気的に接続されたバンプ(端子)21と、配線23を被覆し、かつバンプ21を露出させるように設けられた被覆部22とを有している。
半導体素子20(半導体チップ)は、電極パッド26をその下面側に有しており、この電極パッド26に対応してインターポーザー25が備える開口部251が配置するように、インターポーザー25が半導体素子20の下面に接して形成されている。
かかる位置に半導体素子20に対してインターポーザー25が配置された状態で、封止部27は、半導体素子20およびインターポーザー25の上面側をほぼ全て覆うように形成される。
インターポーザー25は、半導体素子20の下面側に配置された基板であり、その平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされ、平面視において半導体素子20を包含するように半導体素子20に対して大きく形成され、これにより、インターポーザー25を覆うように形成される配線23、ひいては、この配線23に電気的に接続して設けられるバンプ21を形成する位置の選択性の幅が広がる。このインターポーザー25には、半導体素子20が備える電極パッド26に対応して、その厚さ方向に貫通する複数(本実施形態では3つ)の開口部(スルーホール)251が形成されている。
また、インターポーザー25の下面には、所定形状に形成された配線23が開口部251を埋めるように設けられ、この配線23が開口部251における上側の端部で、電極パッド26と電気的に接続される。
さらに、配線23の下面には、バンプ21が電気的に接続されており、これにより、半導体素子20とバンプ21とが、電極パッド26および配線23を介して電気的に接続される。
そして、バンプ21をその下側から露出させるための開口部221を備える被覆部22が配線23を被覆するように設けられている。
なお、上述した半導体装置10が備える各部のうち、配線23、被覆部22およびバンプ21により半導体素子20に電気的に接続された配線層が構成される。
かかる構成の半導体装置10は、例えば、本発明の仮固定用テープを用いて、例えば、以下のようにして製造される。
<半導体装置の製造方法>
図2~図4は、図1に示す半導体装置を、本発明の仮固定用テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図2~図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1A]まず、複数の半導体素子20が作り込まれた半導体用ウエハ7、および、支持基材82と、支持基材82の上面(一方の面)に積層された粘着層81とを有する仮固定用テープ200を用意し、半導体用ウエハ7の表面(保護面)71に、仮固定用テープ200の粘着層81を表面71側にして、仮固定用テープ200を押圧することで、積層(貼付)する(図2(a)参照)。
すなわち、半導体用ウエハ7を仮固定用テープ200に仮固定する。
なお、本工程では、半導体用ウエハ7への仮固定用テープ200の仮固定に先立って、仮固定用テープ200を少なくとも一方向に伸ばす伸長力を仮固定用テープ200に付与し、その後、半導体用ウエハ7に仮固定用テープ200が仮固定される。この場合、仮固定用テープ200に伸長力を付与する方向は、仮固定用テープ200が半導体用ウエハ7の形状に対応して円盤状をなす場合、仮固定用テープ200の中心から放射線状をなす方向であってもよいし、仮固定用テープ200の中心を通る一方向であってもよい。さらに、仮固定用テープ200の平面形状が長方形のシート状をなす場合、長手方向および短手方向のうちの何れか一方または双方であってもよい。
また、複数の半導体素子20は、半導体用ウエハ7の表面71側に作り込まれ、半導体素子20が備える電極パッド26(図2、図3中には示さず)が表面71側に位置し、半導体用ウエハ7は、この電極パッド26(バンプ)に起因する複数の突起物を有する凹凸を、表面71に備えている。
[2A]次に、半導体用ウエハ7の表面71とは反対側の裏面(加工面)72を、表面71側に仮固定用テープ200(本発明の仮固定用テープ)を貼付した状態で、研削または研磨(バックグラインド)する(図2(c)参照)。
この半導体用ウエハ7の裏面72の研削・研磨は、図2(b)に示すように、例えば、研削装置(グラインダー)を用いて行うことができる。
かかる裏面72の研削・研磨により、半導体用ウエハ7の厚さは、半導体装置10が適用される電子機器によっても異なるが、好ましくは50μm以上600μm以下程度に設定され、より好ましくは50μm以上200μm以下程度に設定される。これにより、得られる半導体素子20の薄型化が行われ、かかる半導体素子20を備える半導体装置10、さらには、ICパッケージの小型化が実現される。
このように、半導体用ウエハ7を研削・研磨する際に、本発明の仮固定用テープ200を用いることで、より優れた研削精度で半導体用ウエハ7を研削し得るとともに、この研削・研磨の後に、仮固定用テープ200を優れた剥離性をもって剥離することができるが、その詳細な説明は、後に行うこととする。
[3A]次に、基材4と、基材4の上面に積層された粘着層2とを有する半導体用ウエハ加工用粘着テープ100(以下、単に「粘着テープ100」ということもある。)を用意し、図示しないダイサーテーブルの上に、粘着テープ100を設置し、その中心部122に裏面(仮固定用テープ200が積層されている表面71と反対側の面)72を、粘着層2の上に置き、軽く押圧することで、半導体用ウエハ7を積層(貼付)する(図2(d)参照)。
なお、粘着テープ100に半導体用ウエハ7を予め貼着した後に、ダイサーテーブルに設置しても良い。
[4A]次に、粘着層81に支持基材82を介してエネルギー線を照射し、粘着層81の半導体用ウエハ7に対する粘着力を低下させることで、図2(e)に示すように、仮固定用テープ200を半導体用ウエハ7から剥離する。
すなわち、半導体用ウエハ7の仮固定用テープ200への仮固定の状態を解除する。
なお、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、特に、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線によれば、粘着層81の半導体用ウエハ7に対する粘着性を効率よく低下させることができる。
[5A]次に、粘着層2の外周部121をウエハリング9で固定し、その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて半導体用ウエハ7を切断(ダイシング)して半導体用ウエハ7を個片化する(図3(a)参照)。
これにより、複数の半導体素子20が、粘着テープ100上で、粘着層2に粘着した状態で形成される。
また、ブレードを用いた半導体用ウエハ7の切断は、図3(a)に示すように、基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施される。これにより、半導体用ウエハ7の個片化を確実に実施することができる。
[6A]次に、粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体素子20(個片化された半導体用ウエハ7)に対する粘着性を低下させる。
これにより、粘着層2と半導体素子20との間で剥離が生じる状態とする。
粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着層2にエネルギー線を照射する方法、粘着層2を加熱する方法等が挙げられる。
また、エネルギー線としては、前記工程[4A]で説明したのと同様のものが挙げられる。
[7A]次に、粘着テープ100を図示しないエキスパンド装置で放射状に伸ばして、半導体素子20(個片化された半導体用ウエハ7)を一定の間隔に開き(図3(b)参照)、その後、この半導体素子20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(図3(c)参照)。
[8A]次に、ピックアップした半導体素子20を、半導体素子20が備える電極パッド26に対応する位置に、予め開口部251が形成されたインターポーザー25(基板)上に、配置する(図4(a)参照)。
このインターポーザー25としては、特に限定されないが、例えば、コア材で構成されるコア基板、ビルドアップ材で構成されるビルドアップ基板のようなリジット基板(硬性基板)またはフレキシブル基板(可撓性基板)が用いられる。
[9A]次に、インターポーザー25の上面、すなわち半導体素子20が配置されている側の面に、インターポーザー25と半導体素子20とを覆うように封止部27を形成する(図4(b)参照)。
封止部27を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、金型が備える凹部内に顆粒状のエポキシ樹脂組成物を収納した状態で、インターポーザー25、半導体素子20を覆うようにインターポーザー25の上面を、このエポキシ樹脂組成物に接触させた後、金型を用いてエポキシ樹脂組成物を加熱・圧縮成形する方法(コンプレッションモールド成形方法)が挙げられる。
[10A]次に、インターポーザー25の半導体素子20とは反対の面側に、開口部251で露出する電極パッド26に電気的に接続するように、所定形状にパターニングされた配線23を、開口部251を埋めて電極パッド26に接続した状態で形成する(図4(c)参照)。
この配線23は、例えば、各種メッキ法を用いて形成することができる。
[11A]次に、インターポーザー25の半導体素子20とは反対の面側に、配線23の一部が露出するように、開口部221を備える被覆部22を形成する(図4(d)参照)。
なお、この開口部221は、次工程[12A]において、バンプ21を形成する位置に対応するように形成される。
この被覆部22の形成は、例えば、感光性を有する絶縁性材料を含有する液状材料(ワニス)を、塗布法等を用いてインターポーザー25の半導体素子20とは反対の面側に供給し、次いで、形成すべき開口部221の形状に対応するフォトマスクを介して露光した後、現像液(エッチング液)で開口部221とすべき領域を除去することにより行うことができる。
[12A]次に、開口部221から露出する配線23に電気的に接続するようにバンプ21を形成する(図4(e)参照)。
ここで、本実施形態のように、電極パッド26とバンプ21との接続を、配線23を介して行う構成とすることにより、バンプ21を、インターポーザー25の面方向において、開口部251とは異なる位置に配置することができる。換言すれば、バンプ21と開口部251との中心部が重ならないように、これらを配置することができる。したがって、得られる半導体装置10における下面の所望の位置にバンプ21を形成することができる。
このバンプ21を配線23に接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、バンプ21と配線23との間に、粘性を有するフラックスを介在させることにより行われる。
また、バンプ21の構成材料としては、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材等が挙げられる。
以上のような工程を経ることで、半導体装置10が製造される。
次に、このような半導体装置10の製造方法に用いられる仮固定用テープ200(本発明の仮固定用テープ)について説明する。
<仮固定用テープ>
図5は、本発明の仮固定用テープの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
仮固定用テープ200は、図5に示すように、支持基材82と、この支持基材82の上面(一方の面)に積層された粘着層81とを備え、電極パッド26を一方の面の表面に有する半導体用ウエハ7を加工するためにこの半導体用ウエハ7を、粘着層81を介して支持基材82に仮固定し、半導体用ウエハ7の加工後に粘着層81にエネルギー線を照射することで半導体用ウエハ7を支持基材82から離脱させるために用いられるものであり、本発明では、支持基材82は、半導体用ウエハ7を支持する第1の層821と、第1の層821と粘着層81との間に位置し、クッション性を有する第2の層822とを有し、半導体用ウエハ7を、前記一方の面側で粘着層81に接合したとき、電極パッド26の先端が粘着層81を貫通して、クッション性を有する第2の層822内に位置しており、前記エネルギー線の照射後における粘着層81の粘着力をF1[N/25mm]とし、第2の層822の粘着力をF2[N/25mm]としたとき、F1>F2なる関係を満足することを特徴とする。
このように、仮固定用テープ200を用いて半導体用ウエハ7を仮固定する際に、本発明では、電極パッド26は、粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態となっている。そして、このような状態として、前記工程[2A]において、半導体用ウエハ7を研削・研磨することにより、半導体用ウエハ7の裏面72の全面に亘って、均一な押圧力を付与することができるため、厚みムラを生じさせることなく、均一な厚さで薄くすることができる。したがって、半導体用ウエハ7の研削・研磨の研削精度の向上が図られることとなる。
さらに、本発明では、電極パッド26が粘着層81を貫通し、かつ、電極パッド26の先端が第2の層822内に位置した状態で、F1>F2なる関係を満足することから、前記工程[4A]において、仮固定用テープ200を剥離させる際に、電極パッド26に対する粘着層81および第2の層822の引っ掛かりに起因する電極パッド26の汚染の発生を的確に抑制または防止することができる。そのため、電極パッド26の導電特性に影響をおよぼすことなく、優れた剥離性をもって仮固定用テープ200を剥離することができる。
以下、このような仮固定用テープ(バックグラインドテープ)200が有する、支持基材82および粘着層81について、詳述する。
<支持基材82>
支持基材82は、前述の通り、本発明では、半導体用ウエハ7を支持する第1の層821と、クッション性を有する第2の層822とを有する積層体で構成される。この支持基材82は、前記工程[2A]において、半導体用ウエハ7の裏面72を研削・研磨する際に、半導体用ウエハ7を、粘着層81を介して支持する支持層(支持基板)としての機能を、主として第1の層821により発揮し、また、半導体用ウエハ7の表面71側における、電極パッド26(突起物)に対応する位置と、対応しない位置とにおいて、差が生じることなく、半導体用ウエハ7が研削される側の研削面(裏面72)の全面に亘って、均一な押圧力を付与するクッション層としての機能を主として第2の層822により発揮する。
以下、これら第1の層821および第2の層822について詳述する。
<<第1の層821>>
第1の層821は、この支持基材82上に設けられた粘着層81、ひいては、粘着層81上に貼付される半導体用ウエハ7を支持する機能を有している。
この第1の層821は、第2の層822と比較して、その弾性率が高く設定され、例えば、熱可塑性樹脂を主材料として含有するものが好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリカーボネートおよびポリアミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第1の層821には、熱可塑性樹脂の他に、後述する第2の層822に記載される軟化剤、充填材、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、中和剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
なお、第1の層821は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。さらに、前記樹脂材料をドライブレンドしたブレンドフィルムで構成されるものであってもよい。
この第1の層821の25℃(常温)における弾性率は、1000MPa以上5000MPa以下であることが好ましく、1500MPa以上4300MPa以下であることがより好ましい。これにより、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の研削・研磨の際に、半導体用ウエハ7をより確実に支持することができる。
また、第1の層821の厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上120μm以下であるのが好ましく、20μm以上100μm以下であるのがより好ましい。第1の層821の厚さがこの範囲内であると、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の研削・研磨を、優れた作業性により実施することができる。また、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の研削・研磨の際に、半導体用ウエハ7をより確実に支持することができる。
<<第2の層822>>
第2の層822は、前述の通り、半導体用ウエハ7が研削される際に、第2の層822の上面が、半導体用ウエハ7の表面71に突起物(電極パッド26)が位置することにより形成された凹凸に対して追従し、かつ、第2の層822の下面が平坦面で構成された状態となっている。そのため、第2の層822は、半導体用ウエハ7の表面71側の電極パッド26(突起物)に対応する位置と、対応しない位置とにおいて、差が生じることなく、半導体用ウエハ7の研削面(裏面72)の全面に亘って、均一な押圧力を付与して、より優れた研削精度で裏面72を研削するためのクッション層としての機能を有する。
この第2の層822は、例えば、熱可塑性エラストマーを主材料として含有するものが好ましく用いられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーのようなオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第2の層822には、熱可塑性エラストマーの他に、鉱油、プロセスオイルのような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、石油樹脂、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ロジンエステル、フェノール樹脂のようなタッキファイヤ、フタル酸エステルや非晶性ポリプロピレンのような可塑剤等の添加剤が添加されていてもよい。
なお、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)の部分水添物、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)の完全水添物、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-プロピレン-ブチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられ、これらの中でも、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)の部分水添物、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)の完全水添物、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
また、これらの熱可塑性エラストマーは、光(可視光線、近赤外線、紫外線)、X線、電子線等のエネルギー線を透過し得る材料であることから、前記工程[4A]において、エネルギー線を第2の層822側から第2の層822を透過させて粘着層81に照射させることができる。
さらに、第2の層822は、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
また、第2の層822は、その表面に、粘着層81に含まれる構成材料と反応性を有する、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していることが好ましい。この場合、例えば、第2の層822表面にコロナ処理を行うことによって、官能基を露出させることができる。
さらに、第2の層822は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。さらに、前記樹脂材料をドライブレンドしたブレンドフィルムで構成されるものであってもよい。
この第2の層822の45℃における弾性率は、1MPa以上50MPa以下であることが好ましく、5MPa以上11MPa以下であることがより好ましい。これにより、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7を仮固定用テープ200に仮固定する際に、半導体用ウエハ7の表面71から突出する電極パッド26(突起物)の先端を、粘着層81の厚さ方向において、粘着層81を貫通させつつ、第2の層822自体の上面の形状を、電極パッド26(突起物)の形状により確実に追従(合致)させることができる。
また、第2の層822の25℃(室温)における弾性率は、6MPa以上100MPa以下であることが好ましく、10MPa以上16MPa以下であることがより好ましい。これにより、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の研削・研磨の際に、第2の層822にクッション層としての機能をより確実に発揮させて、半導体用ウエハ7の裏面72の全面に亘って、より均一な押圧力を付与することができるため、半導体用ウエハ7の研削・研磨の研削精度のさらなる向上を図ることができる。
さらに、第2の層822は、その25℃(室温)における弾性率をM1[MPa]とし、45℃における弾性率をM2[MPa]としたとき、M1-M2が1MPa以上50MPa以下であることが好ましく、2MPa以上5MPa以下であることがより好ましい。これにより、第2の層822の25℃(室温)および45℃における弾性率を、前記範囲内に設定することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
第2の層822の厚さT2[μm]は、半導体用ウエハ7の表面71に形成されている電極パッド26(突起物)の高さをH[μm]としたとき、-60<T2-2H<200なる関係を満足することが好ましく、0<T2-2H<50なる関係を満足することがより好ましい。かかる関係を満足することで、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の研削・研磨の際に、電極パッド26が粘着層81を貫通し、かつ、電極パッド26の先端が第2の層822内に位置した状態で、第2の層822にクッション層としての機能を確実に発揮させることができるため、半導体用ウエハ7の裏面72の全面をより均一な厚さで薄くすることができる。
具体的には、第2の層822の厚さは、例えば、50μm以上600μm以下であるのが好ましく、200μm以上550μm以下であるのがより好ましい。第2の層822の厚さがこの範囲内であることで、第2の層822に前記クッション層としての機能を確実に発揮させることができるため、半導体用ウエハ7の裏面72の全面をより均一な厚さで薄くすることができる。
<粘着層81>
粘着層81は、前記工程[2A]において、半導体用ウエハ7の裏面72を研削・研磨する際に、半導体用ウエハ7の表面71に貼付して、半導体用ウエハ7をこのものを介して支持基材82により支持する機能を有し、本発明では、半導体用ウエハ7の表面71に仮固定用テープ200を貼付させ(接合し)たとき、半導体集積回路が有する電極パッド26(バンプ)に由来する突起物が粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態となっている。このように、半導体用ウエハ7の表面71の突起物が形成されている位置において、突起物が粘着層81を貫通し、さらに、貫通した突起物の先端が第2の層822内に位置する構成とすることで、第2の層822にクッション層としての機能を確実に発揮させることができる。そのため、前記工程[2A]において、半導体用ウエハ7の裏面72の全面に亘って、均一な押圧力を付与した状態で、半導体用ウエハ7の厚さを薄くすることができる。
また、この粘着層81は、前記工程[4A]において、この粘着層81に対するエネルギー線の照射により半導体用ウエハ7への粘着性が低下し、これにより、粘着層81と半導体用ウエハ7との間で容易に剥離を生じさせ得る状態となるものである。
そして、本発明では、エネルギー線の照射後における粘着層81の粘着力をF1[N/25mm]とし、第2の層822の粘着力をF2[N/25mm]としたとき、F1>F2なる関係を満足している。すなわち、粘着層81の粘着力F1よりも第2の層822の粘着力F2の方が小さくなっている。
ここで、本発明では、前述の通り、前記工程[1A]において、仮固定用テープ200を用いて半導体用ウエハ7を仮固定する際に、電極パッド26(バンプ)に由来する突起物が粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態となる。そのため、この状態で、前記工程[4A]において、仮固定用テープ200を剥離させる際に、半導体用ウエハ7の表面71から突起物として突出している電極パッド26には、粘着力F1より低い粘着力F2を有している第2の層822が接触していることから、電極パッド26に対する粘着層81および第2の層822の引っ掛かりに起因する電極パッド26の汚染の発生を的確に抑制または防止することができる。そのため、電極パッド26の導電特性に影響をおよぼすことなく、優れた剥離性をもって仮固定用テープ200を剥離することができる。
このような粘着層81は、例えば、(1)アクリル系共重合体と、(2)エネルギー線の照射により重合するエネルギー線重合性化合物と、(3)エネルギー線重合開始剤と、(4)架橋剤とを主材料として含有する樹脂組成物で構成される。
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、詳述する。
(1)アクリル系共重合体
アクリル系共重合体(アクリル系樹脂)は、粘着性を有し、粘着層81へのエネルギー線の照射前に、半導体用ウエハ7に対する粘着性を粘着層81に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。また、樹脂組成物に、アクリル系共重合体が含まれることで、粘着層81の耐熱性の向上を図ることができる。
このアクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとする共重合体のことを言う。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
また、アクリル系共重合体は、ポリマーを構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルの他に、共重合性モノマーを含むものを用いることもできる。
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー(水酸基含有(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド基含有モノマー(アミド基含有(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、共重合性モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマーのうちの少なくとも1種を含むのが好ましい。これにより、これらのモノマーに由来する共重合体をアクリル系共重合体として含有する粘着層81を、半導体用ウエハ7の表面71から突出する電極パッド26により、確実に貫通させることができる。
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系共重合体を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、共重合性モノマーは、アクリル系共重合体を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、このようなアクリル系共重合体(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
以上、説明したモノマー成分を重合することにより得られるアクリル系共重合体としては、炭素-炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているアクリル系共重合体(「二重結合導入型アクリル系共重合体」と言うこともある。)であることが好ましい。アクリル系共重合体が二重結合導入型アクリル系共重合体である場合には、後述するエネルギー線重合性化合物(硬化性樹脂)の添加を省略したとしても、得られる粘着層81に、上述した粘着層81としての機能を発揮させることができる。
また、アクリル系共重合体の重量平均分子量としては、好ましくは30万~500万に設定され、より好ましくは40万~300万に設定され、さらに好ましくは50万~150万に設定される。アクリル系共重合体の重量平均分子量を前記範囲内に設定することにより、前記工程[4A]において、半導体用ウエハ7から仮固定用テープ200を剥離する際に、粘着層81が接触する表面71に粘着層81の一部が残存するのを的確に抑制または防止することができる。
なお、アクリル系共重合体は、ヒドロキシル基やカルボキシル基(特に、ヒドロキシル基)のような、架橋剤やエネルギー線重合開始剤(光重合開始剤)に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤やエネルギー線重合開始剤がポリマー成分であるアクリル樹脂に連結するため、粘着層81からこれら架橋剤やエネルギー線重合開始剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。その結果、前記工程[4A]におけるエネルギー線照射時により、粘着層81の半導体用ウエハ7の表面71に対する粘着性が確実に低下する。
また、アクリル系共重合体は、粘着層81(樹脂組成物)において、30wt%以上70wt%以下で配合されることが好ましく、35wt%以上65wt%以下で配合されることがより好ましく、49.5wt%で配合されることがさらに好ましい。
上記のようにアクリル系共重合体の配合量を調整することにより、前記工程[4A]における、仮固定用テープ200の半導体用ウエハ7からの剥離を、粘着層81が接触する半導体用ウエハ7の表面71から粘着層81の一部が残存することなく、優れた精度で実施することができるようになる。また、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7に仮固定用テープ200を貼付した際に、電極パッド26が粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態とすることができる。そのため、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の裏面72の研削・研磨の際に、研削水が電極パッド26に対して浸入するのをより的確に抑制または防止することができるとともに、半導体用ウエハ7の裏面72の全面を、均一な厚さで薄くした状態で、その薄型化を実現することができる。
(2)エネルギー線重合性化合物
エネルギー線重合性化合物は、エネルギー線の照射により重合し、その結果、硬化する硬化性を備えるものである。この重合に起因する硬化によってアクリル系共重合体がエネルギー線重合性化合物の架橋構造に取り込まれ、その結果、粘着層81の粘着力が低下する。
このようなエネルギー線重合性化合物としては、例えば、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素-炭素二重結合を、官能基として少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。
具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、エステルアクリレートオリゴマー、2-プロペニル-ジ-3-ブテニルシアヌレート等の炭素-炭素二重結合含有基を有しているシアヌレート系化合物、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、2-ヒドロキシエチル ビス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2-アクリロキシエチル) 2-[(5-アクリロキシヘキシル)-オキシ]エチルイソシアヌレート、トリス(1,3-ジアクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(1-アクリロキシエチル-3-メタクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(4-アクリロキシ-n-ブチル)イソシアヌレートのような炭素-炭素二重結合含有基を有しているイソシアヌレート系化合物、市販のオリゴエステルアクリレート、芳香族系、脂肪族系等のウレタンアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、官能基数が6官能以上であるオリゴマーが含まれることが好ましく、官能基数が15官能以上であるオリゴマーが含まれることがより好ましい。これにより、エネルギー線の照射によりエネルギー線重合性化合物をより確実に硬化させることができる。また、このようなエネルギー線重合性化合物は、ウレタンアクリレートオリゴマーであることが好ましい。これにより、粘着層81に、適度な柔軟性を付与することができる。そのため、前記工程[1A]において、仮固定用テープ200を用いて半導体用ウエハ7を仮固定する際に、電極パッド26(バンプ)に由来する突起物により粘着層81を貫通させて、電極パッド26(突起物)の先端を第2の層822内に位置させることができる。
なお、このウレタンアクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル型またはポリエーテル型等のポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物(例えば、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、1,3-キシリレンジイソシアナート、1,4-キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4-ジイソシアナート等)を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等)を反応させて得られたものが挙げられる。
エネルギー線重合性化合物は、その重量平均分子量が100~10000程度であることが好ましく、200~5000程度であることがより好ましい。さらに、エネルギー線重合性化合物の官能基数は、1~10官能基程度であることが好ましく、2~6官能基程度であることがより好ましい。かかる関係を満足することにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
また、エネルギー線重合性化合物は、粘着層81(樹脂組成物)において、30wt%以上60wt%以下で配合されることが好ましく、35wt%以上55wt%以下で配合されることがより好ましく、42.4wt%で配合されることがさらに好ましい。
上記のようにエネルギー線重合性化合物の配合量を調整することにより、前記工程[4A]における、仮固定用テープ200の半導体用ウエハ7からの剥離を、粘着層81が接触する半導体用ウエハ7の表面71から粘着層81の一部が残存することなく、優れた精度で実施することができるようになる。また、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7に仮固定用テープ200を貼付した際に、電極パッド26が粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態とすることができる。そのため、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の裏面72の研削・研磨の際に、研削水が電極パッド26に対して浸入するのをより的確に抑制または防止することができるとともに、半導体用ウエハ7の裏面72の全面を、均一な厚さで薄くした状態で、その薄型化を実現することができる。
なお、このエネルギー線重合性化合物は、前述したアクリル系樹脂として、二重結合導入型アクリル系樹脂を用いた場合、すなわち、炭素-炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているものを用いた場合には、その樹脂組成物中への添加を省略することができる。これは、アクリル系樹脂が二重結合導入型アクリル系樹脂である場合には、エネルギー線の照射により、二重結合導入型アクリル系樹脂が備える炭素-炭素二重結合の機能によって、粘着層81が硬化し、これにより、粘着層81の粘着力が低下することによる。
(3)エネルギー線重合開始剤
また、粘着層81は、エネルギー線の照射により半導体用ウエハ7に対する粘着性が低下するものであるが、エネルギー線として紫外線等を用いる場合には、樹脂組成物には、エネルギー線重合性化合物の重合開始を容易とするためにエネルギー線重合開始剤(光重合開始剤)を含有することが好ましい。
エネルギー線重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α´-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ミヒラーズケトン、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾイン、ジベンジル、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン、2-ナフタレンスルホニルクロリド、1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4,4'-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、o-アクリルオキシベンゾフェノン、p-アクリルオキシベンゾフェノン、o-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2-エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8-オクタンジオールモノ(メタ)アクリラートのようなアクリラートのベンゾフェノン-4-カルボン酸エステル、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、β-クロールアンスラキノン、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ポリビニルベンゾフェノン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,4,5-トリアリ-ルイミダゾール二量体、等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの中でも、ベンゾフェノン誘導体およびアルキルフェノン誘導体であることが好ましい。これらの化合物は分子中に反応性官能基として水酸基を生成するものを備えるものであり、この反応性官能基を介して、アクリル系共重合体やエネルギー線重合性化合物に連結することができ、エネルギー線重合開始剤としての機能をより確実に発揮させることができる。
また、エネルギー線重合開始剤は、粘着層81(樹脂組成物)において、1wt%以上5wt%以下で配合されることが好ましく、1.5wt%以上4.5wt%以下で配合されることがより好ましく、2.8wt%で配合されることがさらに好ましい。
上記のようにエネルギー線重合開始剤の配合量を調整することにより、前記工程[4A]における、仮固定用テープ200の半導体用ウエハ7からの剥離を、粘着層81が接触する半導体用ウエハ7の表面71から粘着層81の一部が残存することなく、優れた精度で実施することができるようになる。また、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7に仮固定用テープ200を貼付した際に、電極パッド26が粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態とすることができる。そのため、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の裏面72の研削・研磨の際に、研削水が電極パッド26に対して浸入するのをより的確に抑制または防止することができるとともに、半導体用ウエハ7の裏面72の全面を、均一な厚さで薄くした状態で、その薄型化を実現することができる。
(4)架橋剤
架橋剤は、樹脂組成物に含まれることで、エネルギー線重合性化合物の硬化性の向上を図るためのものである。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物の三量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、多価イソシアネートとして、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-〔2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの縮合化合物、2,6-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの縮合化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも2,4-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの縮合化合物、および、2,6-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの縮合化合物から成る群より選択される少なくとも1種の多価イソシアネートが好ましい。
また、架橋剤は、粘着層81(樹脂組成物)において、0.5wt%以上6.5wt%以下で配合されることが好ましく、1.0wt%以上5.5wt%以下で配合されることがより好ましく、5.3wt%で配合されることがさらに好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することにより、前記工程[4A]における、仮固定用テープ200の半導体用ウエハ7からの剥離を、粘着層81が接触する半導体用ウエハ7の表面71から粘着層81の一部が残存することなく、優れた精度で実施することができるようになる。また、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7に仮固定用テープ200を貼付した際に、電極パッド26が粘着層81を貫通し、かつ、その先端が第2の層822内に位置した状態とすることができる。そのため、前記工程[2A]における半導体用ウエハ7の裏面72の研削・研磨の際に、研削水が電極パッド26に対して浸入するのをより的確に抑制または防止することができるとともに、半導体用ウエハ7の裏面72の全面を、均一な厚さで薄くした状態で、その薄型化を実現することができる。
(5)その他の成分
さらに、粘着層81を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(4)の他に他の成分として、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
なお、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、前述の通り、本発明では、エネルギー線の照射後における粘着層81の粘着力をF1[N/25mm]とし、第2の層822の粘着力をF2[N/25mm]としたとき、F1>F2(F1-F2>0)なる関係を満足することで、電極パッド26に対する粘着層81および第2の層822の引っ掛かりに起因する電極パッド26の汚染の発生を的確に抑制または防止することができるが、エネルギー線の照射後における粘着層81の粘着力F1[N/25mm]と、第2の層822の粘着力F2[N/25mm]とは、F1-F2>0.18なる関係を満足することが好ましく、F1-F2≧0.27なる関係を満足することがより好ましい。
また、かかる関係を満足する際の第2の層822の粘着力F2は、0.003N/25mm以下であることが好ましく、0.001N/25mm未満であることがより好ましい。これにより、電極パッド26に対する第2の層822の引っ掛かりに起因する電極パッド26の汚染の発生をより的確に抑制または防止することができる。
さらに、エネルギー線の照射前における粘着層81の粘着力をF1P[N/25mm]としたとき、エネルギー線の照射後における粘着層81の粘着力F1[N/25mm]との関係式F1/F1Pは、0.50以下であることが好ましく、0.30以下であることがより好ましい。これにより、エネルギー線の照射前(特に、前記工程[1A])において、半導体用ウエハ7を仮固定用テープ200に確実に仮固定することができるともに、エネルギー線の照射後(前記工程[4A])において、半導体用ウエハ7から仮固定用テープ200を、より優れた精度で剥離させることができる。
なお、エネルギー線の照射前および照射後における粘着層81の粘着力、ならびに、第2の層822の粘着力は、それぞれ、JIS Z 0237(2009)の粘着力の測定方法に準拠して測定することができる。
また、かかる構成の粘着層81を含む第2の層822との積層体は、高さ200μm、幅400μm、ピッチ(間隔)1.0mmの四角いピラー状をなす突起物(凸条)に対する、その厚さ方向における追従率が70%以上となっていることが好ましく、90%以上となっていることがより好ましい。かかる関係を満足していれば、各種半導体素子20を備える半導体用ウエハ7に形成された、サイズの異なる電極パッド26に由来する突起物に対しても、粘着層81を貫通しつつ、第2の層822の上面を突起物に確実に追従させることができる。そのため、仮固定時には、半導体用ウエハ7が備える突起物に対して、水が浸入してしまうのを的確に抑制または防止することができるとともに、半導体用ウエハ7の裏面72の全面に亘って、より均一な押圧力を付与することができるため、半導体用ウエハ7の研削・研磨の研削精度のさらなる向上を図ることができる。
なお、粘着層81の追従率は、本発明では、高さ200μm、幅400μm、ピッチ(間隔)1.0mmの四角いピラー状をなす突起物(凸条)を表面71に複数備える半導体用ウエハ7を用意し、この半導体用ウエハ7の表面71に、仮固定用テープ200を貼付した際の仮固定用テープ200に、粘着層81の全体(上面と下面との双方)が凸条に追従して形成された凹部の深さを、凸条高さで除することにより算出される。
また、粘着層81は、エネルギー線の照射前において、その45℃における破断伸度(ASTM-D-882に準拠)が5%以上55%以下であることが好ましく、25%以上55%以下であることがより好ましい。これにより、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7を仮固定用テープ200に仮固定する際に、半導体用ウエハ7の表面71から突出する電極パッド26(突起物)に対応して、粘着層81に破断を確実に生じさせて、電極パッド26により粘着層81を確実に貫通させることができる。
さらに、粘着層81の45℃における弾性率は、0.01MPa以上10MPa以下であることが好ましく、0.03MPa以上0.1MPa以下であることがより好ましい。これにより、前記工程[1A]において、半導体用ウエハ7を仮固定用テープ200に仮固定する際に、電極パッド26により破断された粘着層81を、電極パッド26が貫通した形状となるように、確実に追従させることができる。
また、粘着層81の厚さをT1[μm]とし、半導体用ウエハ7の表面71に形成されている電極パッド26(突起物)の高さをH[μm]としたとき、H-T1>150なる関係を満足することが好ましく、H-T1≧190なる関係を満足することがより好ましい。これにより、半導体用ウエハ7の表面71に形成されている電極パッド26(突起物)により、粘着層81を確実に貫通させることができるとともに、その先端を高い追従率で第2の層822の上面側に追従させることができ、その結果、電極パッド26で粘着層81を貫通しつつ、電極パッド26の先端を、第2の層822内に確実に位置させることができる。
さらに、粘着層81の厚さをT1[μm]とし、第2の層822の厚さをT2[μm]としたとき、T2-T1>400なる関係を満足することが好ましく、T2-T1≧420なる関係を満足することがより好ましい。これにより、電極パッド26で粘着層81を貫通しつつ、電極パッド26の先端を、第2の層822内により確実に位置させることができる。
また、粘着層81の厚さは、具体的には、3μm以上50μm未満であるのが好ましく、5μm以上15μm以下であるのがより好ましい。粘着層81の厚さをかかる範囲内とすることで、半導体用ウエハ7の表面71に形成されている電極パッド26(突起物)により、粘着層81を確実に貫通させることができるため、電極パッド26で粘着層81を貫通しつつ、電極パッド26の先端を、第2の層822内に確実に位置させることができる。さらに、粘着層81は、粘着層81へのエネルギー付与前には、良好な粘着力を発揮するとともに、粘着層81へのエネルギー付与後には、粘着層81と半導体用ウエハ7との間において、良好な剥離性を発揮する。
なお、粘着層81は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
また、仮固定用テープ200は、半導体用ウエハ7への貼付より前には、粘着層81に対して、セパレーターが積層されていることが好ましい。これにより、仮固定用テープ200の保管・輸送時等において、粘着層81に埃等が不本意に付着するのを確実に防止することができる。
さらに、セパレーターとしては、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられる。
また、セパレーターは、仮固定用テープ200の使用時に剥がされるために、表面を離型処理されたものを使用してもよい。離型処理としては離型剤をセパレーター表面にコーティングする処理や、セパレーター表面に細かい凹凸をつける処理等が挙げられる。なお、離型剤としては、シリコーン系、アルキッド系、フッ素系等のものが挙げられる。
なお、本実施形態では、半導体装置10を、上述した図1に示す構成のものとし、この半導体装置10を、仮固定用テープ200を用いて製造する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、各種の形態の半導体パッケージの製造に、仮固定用テープ200を適用することができ、例えば、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、ロー・プロファイル・クワッド・フラット・パッケージ(LQFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子に適用することができる。
以上、本発明の仮固定用テープを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、本発明の仮固定用テープにおいて、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.第2の層の粘着性に関する検討
1.1.粘着層形成のための原材料の準備
まず、各実施例および比較例の仮固定用テープの製造の際に、粘着層形成のために用いた原材料を以下に示す。
(アクリル系共重合体A)
アクリル系共重合体Aとして、90重量部のブチルアクリレートと、10重量部のアクリル酸からなるブロック共重合体を含有するものを用意した。
なお、このアクリル系共重合体Aの重量平均分子量は、600,000であった。
(エネルギー線重合性化合物A)
エネルギー線重合性化合物Aとして、15官能のオリゴマーのウレタンアクリレート(Miwon Specialty Chemical社製、品番:Miramer SC2152)を用意した。
(架橋剤A)
架橋剤Aとして、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン縮合化合物(東ソー株式会社製、品番:コロネートL)を用意した。
(エネルギー線重合開始剤A)
エネルギー線重合開始剤Aとして、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(IGM社製、品番:OMNIRAD651)を用意した。
1.2.支持基材が備える第1の層形成のための原材料の準備
次に、各実施例および比較例の仮固定用テープの製造の際に、支持基材が備える第1の層を形成するために用いた原材料を以下に示す。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレン(PP、住友化学社製、品番:FS2011DG3)を用意した。
1.3.支持基材が備える第2の層形成のための原材料の準備
次に、各実施例および比較例の仮固定用テープの製造の際に、支持基材が備える第2の層を形成するために用いた原材料を以下に示す。
(プロピレン・α-オレフィン共重合体)
プロピレン・α-オレフィン共重合体(住友化学社製、品番:タフセレンH3712D)を用意した。
(プロピレン・α-オレフィン共重合体)
プロピレン・α-オレフィン共重合体(住友化学社製、品番:タフセレンH3714D)を用意した。
(プロピレン・α-オレフィン共重合体)
プロピレン・α-オレフィン共重合体(住友化学社製、品番:タフセレンH3002)を用意した。
(水添スチレン系熱可塑性エラストマー)
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製、品番:S1605)を用意した。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレン(PP、住友化学社製、品番:FS2011DG3)を用意した。
(水素添スチレン系熱可塑性エラストマー)
水素添スチレン系熱可塑性エラストマー(クラレ社製、品番:ハイブラー7125)を用意した。
(高分子型帯電防止剤)
高分子型帯電防止剤(三洋化成工業社製、品番:ペレクトロンPVL)を用意した。
(アクリル系共重合体A)
アクリル系共重合体Aとして、90重量部のブチルアクリレートと、10重量部のアクリル酸からなるブロック共重合体を含有するものを用意した。
なお、このアクリル系共重合体Aの重量平均分子量は、600,000であった。
(架橋剤A)
架橋剤Aとして、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン縮合化合物(東ソー株式会社製、品番:コロネートL)を用意した。
1.4.仮固定用テープの作製
[実施例1A]
[1A]まず、第1の層の形成材料としてポリプロピレンと、第2の層の形成材料としてプロピレン・α-オレフィン共重合体(タフセレンH3712D)とを、それぞれ、2つの押し出し機に収納した。
[2A]次に、2つの押し出し機から、これらを溶融状態としたものを押し出すことで、共押し出しTダイから、これらが層状に積層された溶融状態の積層体を得た後、この積層体を冷却することで、支持基材82を得た。なお、支持基材82における第1の層821の厚さは50.0μmであり、第2の層822の厚さは430.0μmであった。
[3A]次に、アクリル系共重合体A(52.2wt%)、エネルギー線重合性化合物A(31.3wt%)、架橋剤A(13.0wt%)およびエネルギー線重合開始剤A(3.5wt%)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。
この液状材料を、離型PETフィルムにダイコート塗工した後、80℃で1分間乾燥する搬送速度で、離型PETフィルムの上面(一方の面)に粘着層81を形成した。なお、粘着層81の厚さは10.0μmであった。
その後、離型PETフィルム上の粘着層81が支持基材82の第2の層822に接するようにラミネートして、支持基材82の上面に粘着層81が形成された実施例1Aの仮固定用テープを作製した。
[実施例2A]
第2の層の形成材料として、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(S1605)を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例3A]
第2の層の形成材料として、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(S1605;85.0wt%)および高分子型帯電防止剤(ペレクトロンPVL;15.0wt%)の混練物を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例4A]
第2の層の形成材料として、水素添スチレン系熱可塑性エラストマー(ハイブラー7125;80.0wt%)およびポリプロピレン(PP;20.0wt%)の混練物を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例5A]
第2の層の形成材料として、水素添スチレン系熱可塑性エラストマー(ハイブラー7125;70.0wt%)およびポリプロピレン(PP;30.0wt%)の混練物を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例6A]
第2の層の形成材料として、プロピレン・α-オレフィン共重合体(タフセレンH3714D)を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例7A]
第2の層の形成材料として、プロピレン・α-オレフィン共重合体(タフセレンH3002)を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
[比較例1A]
第2の層の形成材料として、アクリル系共重合体A(90.1wt%)および架橋剤A(9.9wt%)が配合された樹脂組成物を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして仮固定用テープを作製した。
1.5.仮固定用テープの評価
1.5.1 エネルギー線の照射前における粘着層の粘着力の評価
各実施例および比較例の仮固定用テープを作製する際に用意した、粘着層を形成するための原材料を用いて粘着層81を形成した。次いで、この粘着層81のエネルギー線の照射前における粘着力を、JIS Z 0237(2009)の粘着力の測定方法に準拠して、卓上型精密万能試験機装置 AUTOGRAPH(SHIMADZU社製、「AGS-X」)を用いて測定した。
1.5.2 エネルギー線の照射後における粘着層の粘着力の評価
各実施例および比較例の仮固定用テープを作製する際に用意した、粘着層を形成するための原材料を用いて粘着層81を形成した。次いで、この粘着層81に対して、エネルギー線として紫外線を、照度:25mW、積算光量:500mJ/cm2で照射した後における粘着力を、JIS Z 0237(2009)の粘着力の測定方法に準拠して、卓上型精密万能試験機装置 AUTOGRAPH(SHIMADZU社製、「AGS-X」)を用いて測定した。
1.5.3 第2の層の粘着力の評価
各実施例および比較例の仮固定用テープを作製する際に用意した、第2の層を形成するための原材料を用いて第2の層822を形成した。次いで、この第2の層822の粘着力を、JIS Z 0237(2009)の粘着力の測定方法に準拠して、卓上型精密万能試験機装置 AUTOGRAPH(SHIMADZU社製、「AGS-X」)を用いて測定した。
1.5.4 仮固定用テープの埋込み性の評価
高さ200μm、幅400μm、ピッチ1.0mmの四角いピラー状をなす突起物(凸条)を表面に複数備える透明ガラス基板を用意し、この透明ガラス基板の表面に、実施例1A~7Aおよび比較例1Aで得られた仮固定用テープを、離型PETフィルムを剥離させた後に、45℃にステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaで押し付けることで貼付した。
そして、仮固定用テープにおいて、粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従して形成された凹部の深さを、突起物高さで除することにより仮固定用テープの追従率を算出し、この得られた追従率で仮固定用テープ200に対する突起物の埋込み性を、以下の評価基準に基づいて評価した。
<仮固定用テープの埋込み性の評価基準>
◎:粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従しており、
かつ、仮固定用テープの突起物に対する追従率が90%以上である。
〇:粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従しており、
かつ、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%以上90%未満である。
×:粘着層が貫通しておらず、
さらに、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%未満である。
評価結果を表1に示す。
1.5.5 半導体用ウエハにおける厚みムラ発生の有無の評価
高さ200μm、幅400μm、ピッチ1.0mmの大きさで縦横に格子状をなして設けられた半球状をなす突起物(凸部)を表面71に複数備える直径300mmの半導体用ウエハ7を用意し、この半導体用ウエハ7の表面71に、各実施例および比較例で得られた仮固定用テープ200を、離型PETフィルムを剥離させた後に、45℃にステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで貼付した。
その後、研磨装置(ディスコ社製、「製品名:DAG810」)を用いて、半導体用ウエハ7の裏面72を、その厚さが50μmとなるまで研磨した。
そして、研磨後における半導体用ウエハ7について、高精度厚み・形状測定装置(神津精機社製、「型番 DY-3000」)を用いて、縦横に格子状をなすように等間隔を空けて、合計10000箇所の厚さを測定した。そして、測定された10000箇所の厚さのうち最大値と最小値から、最大値と最小値との差を算出することで、半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさを求めた。
<半導体用ウエハにおける厚みムラの有無の評価基準>
◎:半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさが5μm以下である。
〇:半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさが5超10μm未満である。
×:半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさが10μm以上である。
評価結果を表1に示す。
1.5.6 仮固定用テープの剥離性の有無の評価
高さ200μm、幅400μm、ピッチ1.0mmの大きさで縦横に格子状をなして設けられた半球状をなす突起物(凸部)を表面71に複数備える直径300mmの半導体用ウエハ7を用意し、この半導体用ウエハ7の表面71に、各実施例および比較例で得られた仮固定用テープ200を、離型PETフィルムを剥離させた後に、45℃にステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで貼付した後に、1時間静置した。
その後、粘着層81に対して、エネルギー線として紫外線を照度:70mW、積算光量:600mJ/cm2で照射した後、仮固定用テープ200を半導体用ウエハ7から剥離させた。そして、仮固定用テープ200が剥離された半導体用ウエハ7が備える突起物(凸部)における汚染の有無を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
<仮固定用テープの剥離性の評価基準>
◎:半導体用ウエハ7が備える突起物において、
粘着層または第2の層に由来する汚染が認められない。
〇:半導体用ウエハ7が備える突起物において、粘着層または第2の層に由来する
汚染が若干認められるものの、突起物の導電特性に影響をおよぼさない程度である。
△:半導体用ウエハ7が備える突起物において、粘着層または第2の層に由来する
汚染が認められ、突起物の導電特性に若干ではあるが影響をおよぼしてしまう。
×:半導体用ウエハ7が備える突起物において、粘着層または第2の層に由来する
明確な汚染が認められ、突起物の導電特性に明らかな影響をおよぼしてしまう。
評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例では、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%以上となっており、かつ、突起物の先端が粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従した状態で、粘着テープが半導体用ウエハ7を被覆している。これにより、半導体用ウエハにおける厚みムラの大きさが小さくなっており、半導体用ウエハ7を優れた研削精度で研削し得る結果が得られた。
さらに、各実施例では、上記のような状態で、半導体用ウエハ7を被覆しつつ、F1>F2なる関係を満足していることにより、粘着層または第2の層に由来する汚染を突起物に若干認めることがあるものの、半導体用ウエハから粘着テープを優れた剥離性をもって剥離させることができる結果が得られた。
これに対して、比較例では、各実施例と同様に、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%以上となっており、かつ、突起物の先端が粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従した状態で、粘着テープが半導体用ウエハ7を被覆していることにより、半導体用ウエハにおける厚みムラの大きさを小さくすることができ、半導体用ウエハ7を優れた研削精度で研削し得る結果が得られた。しかしながら、F1>F2なる関係を満足しておらず、粘着層または第2の層に由来する汚染が突起物に明らかに認められ、半導体用ウエハから粘着テープを優れた剥離性をもって剥離させることができなかった。
2.粘着層の貫通性に関する検討
2.1.粘着層形成のための原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の仮固定用テープの製造の際に、粘着層形成のために用いた原材料を以下に示す。
(アクリル系共重合体A)
アクリル系共重合体Aとして、90重量部のブチルアクリレートと、10重量部のアクリル酸からなるブロック共重合体を含有するものを用意した。
なお、このアクリル系共重合体Aの重量平均分子量は、600,000であった。
(エネルギー線重合性化合物A)
エネルギー線重合性化合物Aとして、15官能のオリゴマーのウレタンアクリレート(Miwon Specialty Chemical社製、品番:Miramer SC2152)を用意した。
(架橋剤A)
架橋剤Aとして、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン縮合化合物(東ソー株式会社製、品番:コロネートL)を用意した。
(エネルギー線重合開始剤A)
エネルギー線重合開始剤Aとして、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(IGM社製、品番:OMNIRAD651)を用意した。
2.2.支持基材が備える第1の層形成のための原材料の準備
次に、各実施例および各比較例の仮固定用テープの製造の際に、支持基材が備える第1の層を形成するために用いた原材料を以下に示す。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレン(PP、住友化学社製、品番:FS2011DG3)を用意した。
2.3.支持基材が備える第2の層形成のための原材料の準備
次に、各実施例および各比較例の仮固定用テープの製造の際に、支持基材が備える第2の層を形成するために用いた原材料を以下に示す。
(プロピレン・α-オレフィン共重合体)
プロピレン・α-オレフィン共重合体(住友化学社製、品番:タフセレンH3712D)を用意した。
2.4.仮固定用テープの作製
[実施例1B]
[1B]まず、第1の層の形成材料としてポリプロピレンと、第2の層の形成材料としてプロピレン・α-オレフィン共重合体(タフセレンH3712D)とを、それぞれ、2つの押し出し機に収納した。
[2B]次に、2つの押し出し機から、これらを溶融状態としたものを押し出すことで、共押し出しTダイから、これらが層状に積層された溶融状態の積層体を得た後、この積層体を冷却することで、支持基材82を得た。なお、支持基材82における第1の層821の厚さは50.0μmであり、第2の層822の厚さは430.0μmであった。
[3B]次に、アクリル系共重合体A(52.2wt%)、エネルギー線重合性化合物A(31.3wt%)、架橋剤A(13.0wt%)およびエネルギー線重合開始剤A(3.5wt%)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。
この液状材料を、離型PETフィルムにダイコート塗工した後、80℃で1分間乾燥する搬送速度として、離型PETフィルムの上面(一方の面)に粘着層81を形成した。なお、粘着層81の厚さは10.0μmであった。
その後、離型PETフィルム上の粘着層81が支持基材82の第2の層822に接するようにラミネートして、支持基材82の上面に粘着層81が形成された実施例1Bの仮固定用テープを作製した。
[実施例2B]
粘着層81を形成するための液状材料として、アクリル系共重合体A(43.6wt%)、エネルギー線重合性化合物A(37.7wt%)、架橋剤A(16.4wt%)およびエネルギー線重合開始剤A(2.3wt%)が配合された樹脂組成物を用いたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例3B]
粘着層81を形成するための液状材料として、アクリル系共重合体A(35.2wt%)、エネルギー線重合性化合物A(49.3wt%)、架橋剤A(13.2wt%)およびエネルギー線重合開始剤A(2.3wt%)が配合された樹脂組成物を用いたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして仮固定用テープを作製した。
[実施例4B]
粘着層81を形成するための液状材料として、アクリル系共重合体A(40.3wt%)、エネルギー線重合性化合物A(56.5wt%)、架橋剤A(0.5wt%)およびエネルギー線重合開始剤A(2.7wt%)が配合された樹脂組成物を用いたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして仮固定用テープを作製した。
[比較例1B]
形成する粘着層81の厚さを50.0μmとしたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして仮固定用テープを作製した。
[比較例2B]
形成する粘着層81の厚さを100.0μmとしたこと以外は、前記実施例1Bと同様にして仮固定用テープを作製した。
2.5.仮固定用テープの評価
2.5.1 第2の層の弾性率の評価
各実施例および各比較例の仮固定用テープを作製する際に用意した、第2の層を形成するための原材料を用いて第2の層822を形成した。次いで、第2の層822の25℃および45℃における弾性率を粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、「型番DMS6100」)を用いて測定した。
2.5.2 粘着層の弾性率の評価
各実施例および各比較例の仮固定用テープを作製する際に用意した、粘着層を形成するための原材料を用いて粘着層81を形成した。次いで、粘着層81の45℃における弾性率を粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、「型番DMS6100」)を用いて測定した。
2.5.3 粘着層の破断伸度の評価
各実施例および各比較例の仮固定用テープを作製する際に用意した、粘着層を形成するための原材料を用いて粘着層81を形成した。次いで、粘着層81の45℃における破断伸度を卓上型精密万能試験機装置 AUTOGRAPH(SHIMADZU社製、「AGS-X」)を用いて測定した。
2.5.4 仮固定用テープの埋込み性の評価
高さ200μm、幅400μm、ピッチ1.0mmの四角いピラー状をなす突起物(凸条)を表面に複数備える透明ガラス基板を用意し、この透明ガラス基板の表面に、実施例1B~4Bおよび比較例1B、2Bで得られた仮固定用テープを、離型PETフィルムを剥離させた後に、45℃にステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaで押し付けることで貼付した。
そして、仮固定用テープにおいて、粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従して形成された凹部の深さを、突起物高さで除することにより仮固定用テープの追従率を算出し、この得られた追従率で仮固定用テープに対する突起物の埋込み性を、以下の評価基準に基づいて評価した。
<仮固定用テープの埋込み性の評価基準>
◎:粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従しており、
かつ、仮固定用テープの突起物に対する追従率が90%以上である。
〇:粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従しており、
かつ、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%以上90%未満である。
×:粘着層が貫通しておらず、
さらに、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%未満である。
評価結果を表2に示す。
2.5.5 半導体用ウエハにおける厚みムラ発生の有無の評価
高さ200μm、幅400μm、ピッチ1.0mmの大きさで縦横に格子状をなして設けられた半球状をなす突起物(凸部)を表面71に複数備える直径300mmの半導体用ウエハ7を用意し、この半導体用ウエハ7の表面71に、各実施例および各比較例で得られた仮固定用テープを、離型PETフィルムを剥離させた後に、45℃にステージを加熱した状態で、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで貼付した。
その後、研磨装置(ディスコ社製、「製品名:DAG810」)を用いて、半導体用ウエハ7の裏面72を、その厚さが50μmとなるまで研磨した。
そして、研磨後における半導体用ウエハ7について、高精度厚み・形状測定装置(神津精機社製、「型番 DY-3000」)を用いて、縦横に格子状をなすように等間隔を空けて、合計10000箇所の厚さを測定した。そして、測定された10000箇所の厚さのうち最大値と最小値から、最大値と最小値との差を算出することで、半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさを求めた。
<半導体用ウエハにおける厚みムラの有無の評価基準>
◎:半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさが5μm以下である。
〇:半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさが5超10μm未満である。
×:半導体用ウエハ7における厚みムラの大きさが10μm以上である。
評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、各実施例では、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%以上となっており、かつ、突起物の先端が粘着層を貫通しつつ、第2の層の上面が突起物に追従した状態で、粘着テープが半導体用ウエハ7を被覆している。これにより、半導体用ウエハにおける厚みムラの大きさが小さくなっており、半導体用ウエハ7を優れた研削精度で研削し得る結果が得られた。
これに対して、各比較例では、粘着層の厚さT1が厚く設定されていることに起因して、突起物の先端が粘着層を貫通しておらず、さらに、仮固定用テープの突起物に対する追従率が70%未満となっている状態で、粘着テープが半導体用ウエハ7を被覆していることにより、半導体用ウエハにおける厚みムラの大きさを小さくすることができず、半導体用ウエハ7を優れた研削精度で研削することができなかった。