JP7253462B2 - 電動式手持ち作業機 - Google Patents

Description

本発明は、電動式の手持ち作業機に関するものである。

電動式の手持ち作業機としては、ヘッジトリマーと呼ばれる刈り込み機（下記特許文献１参照）、チェンソー（下記特許文献２）、刈り払い機（下記特許文献３）などが知られている。

これらの電動式手持ち作業機は、操作ハンドルを備えるハウジング内に作業部の駆動源であるモータとバッテリーが配備されており、一般には、ハウジング内部にモータ収容室とバッテリー収容室が設けられている。また、バッテリー収容室の上面が開口して、バッテリー収容室からモータ収容室に空気を取り込むことで、モータ収容室内のモータや制御基板を冷却するものなどが知られている（下記特許文献２参照）。

特開２０１１－１３５８４０号公報 米国特許第９１３８８８４号明細書 特開２０１９－６２７６４号公報

前述した従来技術のように、ハウジング内にモータとバッテリーの両方を収容すると、ハウジング内のスペースにモータとバッテリーの実質体積に対して余裕を持たせた収容スペースを確保する必要があるので、ハウジングの大型化が避けられない問題がある。前述した手持ち作業機において、操作ハンドルを備えるハウジングの大型化は、作業機のハンドリングを悪化させる要因にもなる。

このような問題に対しては、バッテリーをハウジングの外に取り付けることが考えられる。しかしながら、屋外仕様が前提の手持ち作業機において、バッテリーをハウジングの外に取り付けると、ハウジングの外側に設けられるバッテリーの接続端子が雨水に曝されない構造が必要になる。また、ハウジングの外側にバッテリーを取り付けるに際して、連続作業時間を確保するために大型のバッテリーを採用すると、ハウジング表面のかなりの部分がバッテリーで覆われることになり、ハウジング内に冷却空気を取り込む冷却風流路を設ける箇所が設定し難くなる問題が生じる。

また、電動作業機を連続運転させるには、モータや制御基板を適正に冷却することが不可欠であり、電動作業機では、ハウジングの表面に吸気口を設けて、ハウジング内のモータや制御基板を吸気口の近くに配置する構造が一般に採用されている。この際、前述した従来技術のような手持ち作業機は、刈草や塵や埃などの異物が周囲に舞う環境下での作業になるため、ハウジングの表面に設けた吸気口が異物で詰まりやすくなり、また、吸気口に異物が侵入してしまうと、吸気口の近くに配置されているモータや制御基板に異物が付着して適正な冷却ができなくなってしまう問題が生じる。

本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、電動式の手持ち作業機において、モータが収容されるハウジングの外側にバッテリーを取り付ける構造を採用してハウジングのコンパクト化を図りながら、簡単な構造でバッテリーの接続端子が雨水に曝されるのを抑止し、また、内部のモータなどを冷却する空気を取り込む冷却風流路を、ハウジング内への雨水の浸入を防ぎながら、スペース効率良く設けること、ハウジングに設ける吸気口を異物で詰まりにくく且つ異物が侵入しにくい位置に設けて、連続運転時にモータや制御基板を適正に冷却できるようにすること、などを課題としている。

このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
作業部の駆動源であるモータが操作ハンドルを備えるハウジング内に配備されている電動式手持ち作業機であって、前記ハウジングは、外表面に前記モータに給電するバッテリーを取り付ける取り付け部を備え、前記取り付け部には、前記バッテリーに接続される接続端子が設けられ、前記取り付け部における前記接続端子の上方には、水滴を側方に排水する排水流路となる段差部が設けられ、前記取り付け部の側方には、前記排水流路に繋がる開口が設けられ、前記開口は、前記取り付け部に取り付けられたバッテリーの背面と前記取り付け部間の外表面との隙間を流路とする冷却風流路に繋がっていることを特徴とする電動式手持ち作業機。

このような特徴を備えた本発明によると、電動式の手持ち作業機において、モータが収容されるハウジングの外側にバッテリーを取り付ける構造を採用してハウジングのコンパクト化を図りながら、簡単な構造でバッテリーの接続端子が雨水に曝されるのを抑止し、また、内部のモータなどを冷却する空気を取り込む冷却風流路を、ハウジング内への雨水の浸入を防ぎながら、排水流路と共用化することでスペース効率良く設けることができる。

また、バッテリーを取り付ける取り付け部の側方に設けた開口から、取り付け部に取り付けられたバッテリーの背面と取り付け部間の外表面との隙間を流路とする冷却風流路が形成されているので、刈草や塵や埃などの異物が周囲に舞う環境下での作業であっても、前述した開口や隙間がフィルターの機能になって、ハウジング内に異物が入り難い構造になっている。更に、取り付け部の上方に、冷却風流路を通ってハウジング内に流入する冷却風の吸気口を設けることで、ハウジング内に異物が入りにくい吸気口の位置を作業の邪魔にならない適正な位置に設けて、連続運転時にハウジング内のモータや制御基板を適正に冷却することができる。

本発明の実施形態に係る電動式手持ち作業機の一例を示した全体斜視図。 電動式手持ち作業機の駆動部の側面図。 駆動部におけるバッテリー取り付け部を示した斜視図。 バッテリー取り付け部の部分断面図。

以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。ここでは、電動式手持ち作業機として、往復動刈刃式の手持ち作業機（刈り払い機）を例にして説明するが、作業機の形態はこれに限定されるものではない。

図１に示す電動式手持ち作業機（以下、単に作業機という）１０は、操作桿１１を備えており、操作桿１１の先端に往復動刈刃装置１が装備され、操作桿１１の基端に電動式の駆動部１２が装備されている。駆動部１２には、作業部である往復動刈刃装置１の駆動源であるモータが配備されている。

往復動刈刃装置１は、刈刃２が支持部材３に往復移動自在に支持されており、支持部材３は、伝動ケース４に取り付けられている。伝動ケース４は、操作桿１１内の駆動軸から動力が伝達される伝動機構を備えている。伝動機構は駆動軸の回転を往復動に変換するものであり、駆動軸の駆動力によって、伝動機構に連結されている刈刃２がその長手方向に沿って往復移動する。

操作桿１１の先端部は、伝動ケース４に装備される操作桿装着部４３に装着されている。操作桿装着部４３は、角度調整機構４３Ａを介して伝動ケース４に装備されており、角度調整機構４３Ａによって、刈刃２の作業面に対する操作桿１１の立ち角度が調整できるようになっている。

操作桿１１の基端には、駆動軸を駆動する駆動部１２が配備され、更に、操作桿１１の基端側には、フロントハンドル１３が設けられている。フロントハンドル１３は、操作桿１１の上側に把持部１３Ａを有している。

駆動部１２は、操作桿１１内の駆動軸を介して、前述したように往復動刈刃装置１の刈刃２を駆動するものであり、操作桿１１と略同軸に配置されるモータが内部に配備されるハウジング１４を備えている。ハウジング１４は、往復動刈刃装置１をオンオフ操作する操作スイッチ１４Ｂを具備した操作ハンドル（リアハンドル）１４Ａを備え、また、ハウジング１４内のモータに給電するバッテリー１５が外付けされている。

駆動部１２のハウジング１４は、図２～図４に示すように、バッテリー１５を取り付ける取り付け部１４Ｃを備えている。取り付け部１４Ｃには、バッテリー１５に接続される接続端子１６が設けられ、取り付け部１４Ｃにおける接続端子１６の上方には、段差部２０が設けられている。また、取り付け部１４Ｃの側方には開口２１が設けられている。

ここで、段差部２０は、取り付け部１４Ｃ間の外表面１４Ｄ上に付いた水滴を側方に排水する排水流路になっている。すなわち、図示例では、段差部２０の上面は、中央部が高く側方が低くなる傾斜面になっており、外表面１４Ｄ上を経由して水滴が降りてくると、段差部２０の上面がこれを受け止めて傾斜面に沿って側方に流すようになっている。ここでの段差部２０の上面は、図示の例に限らず、一方の側方に向けて流れるような傾斜面であってもよい。

この段差部２０は、接続端子１６の上方に設けられているので、ハウジング１４が雨水で濡れて、取り付け部１４Ｃ間の外表面１４Ｄを経由して水が降下してきた場合であっても、外表面１４Ｄを経由した水滴は、段差部２０によって取り付け部１４Ｃの側方に向けて排水されることになる。これによって、外表面１４Ｄを経由して水が降下してきた場合にも接続端子１６を濡らすことがない。

取り付け部１４Ｃにバッテリー１５を取り付けると、図４に示すように、バッテリー１５の背面１５Ｐと取り付け部１４Ｃ間の外表面１４Ｄとの間に隙間ができるようになっている。そして、取り付け部１４Ｃの側方に設けられた開口２１は、この隙間に繋がるように形成されている。

前述した隙間と取り付け部１４Ｃの側方に設けられた開口２１は、ハウジング１４に付着した水を接続端子１６に影響することなく排水する機能を有している。すなわち、開口２１が、段差部２０が形成する排水流路に繋がるように形成されていることで、段差部２０の上面の傾斜面に沿って流れてきた水は、開口２１を通って取り付け部１４Ｃの外に排水される。このように、取り付け部１４Ｃにバッテリー１５を取り付けた状態で取り付け部１４Ｃ間にできる隙間と取り付け部１４Ｃの側方に形成された開口２１は、ハウジング１４に付着して取り付け部１４Ｃ間に入った水（雨水など）を外に排水する排水流路として機能している。

そして、図示の例では、取り付け部１４Ｃの上方に、ハウジング１４内に冷却風を流入する吸気口１４Ｅが下向きに設けられている。これにより、開口２１は、取り付け部１４Ｃに取り付けられたバッテリー１５の背面１５Ｐと取り付け部１４Ｃ間の外表面１４Ｄとの隙間を流路とする冷却風流路に繋がった吸気口としても機能している。この際、開口２１から前述した隙間を通って吸気口１４Ｅに至る冷却風流路は、上向きの風の流れになっていて、ハウジング１４への吸気口１４Ｅが下向きに形成されているので、吸気口１４Ｅからハウジング１４内に雨水が浸入するのを抑止することができる。

取り付け部１４Ｃの上方に設けた吸気口１４Ｅは、大きめのバッテリー１５を取り付け部１４Ｃに取り付けると、その外側がバッテリー１５で覆われることになるが、前述した開口２１の機能によって、開口２１からバッテリー１５の背面１５Ｐと取り付け部１４Ｃ間の外表面１４Ｄとの隙間を通って吸気口１４Ｅに流入する冷却風流路が形成されるので、ハウジング１４の内部のモータなどを冷却する空気を取り込む冷却風流路を、ハウジング１４内への雨水の浸入を防ぎながら、スペース効率良くハウジング１４に設けることができる。

図１に示した作業機１０は、往復動刈刃装置１を備えた電動式の刈り払い機であり、刈刃２の長手方向が操作桿１１の長手方向に対して交差する方向に配備されていることで、操作桿１１の先端に往復動刈刃装置１がＴ字状に装備されている。この作業機１０は、フロントハンドル１３とハウジング１４の操作ハンドル（リアハンドル）１４Ａを作業者が手で持って、操作桿１１を地面に対して所定の立ち角度にした状態で、往復動刈刃装置１を駆動して、往復動刈刃装置１を地面に沿って移動しながら刈り払い作業を行う。

このような作業機１０によると、操作桿１１を左右に振らなくても、往復動刈刃装置１の刈刃２の長手方向の幅が作業幅になり、作業者は、操作桿１１を前方に押しながら作業するだけで、前述した作業幅での刈り払い作業を行うことができる。このため、往復動刈刃装置１を素早く前進させながら作業を行うことが可能になり、作業効率の高い刈り払い作業を実現することができる。また、往復動刈刃で刈り払い作業を行うので、作業中の飛散物の発生を抑えることができる。これによって、作業者及びその周囲の安全を確保することができると共に、作業現場近くの他人の資産を傷付けることなく、刈り払い作業を行うことが可能になる。

また、駆動部１２のハウジング１４は、バッテリー１５を外付けする取り付け部１４Ｃを備えているので、操作ハンドル１４Ａを備えるハウジング１４をコンパクトに形成することができ、ハンドリングの良好な作業機１０を得ることができる。

更に、取り付け部１４Ｃにおいて、バッテリー１５を取り付けた際にできる隙間と取り付け部１４Ｃの側方に形成された開口２１が、作業中にハウジング１４に付着した雨水を排水する排水経路になると同時に、ハウジング１４内に冷却風を取り込む冷却風流路になっているので、作業中には、外付けしたバッテリー１５の接続端子１６が雨等で濡れるのを抑止しながら、ハウジング１４内への雨水の浸入を防いだ状態で、ハウジング１４の内部のモータなどを冷却する空気をスペース効率良く取り込むことができる。

また、バッテリー１５を取り付ける取り付け部１４Ｃの側方に設けた開口２１から、取り付け部１４Ｃに取り付けられたバッテリー１５の背面と取り付け部間の外表面１４Ｄとの隙間を流路とする冷却風流路が形成されているので、刈草や塵や埃などの異物が周囲に舞う環境下での作業であっても、開口２１や前述した隙間がフィルターの機能になって、ハウジング１４内に異物が入り難い構造になっている。更に、取り付け部１４Ｃの上方に、冷却風流路を通ってハウジング内に流入する冷却風の吸気口１４Ｅを設けることで、ハウジング内に異物が入りにくい吸気口１４Ｅの位置を作業の邪魔にならない適正な位置に設けて、連続運転時にハウジング内のモータや制御基板を適正に冷却することができる。

更に、作業中に周囲に舞う異物は、主に開口２１に溜まることになるが、取り付け部１４Ｃからバッテリー１５を取り外すことで、取り付け部１４Ｃの内側からエアを吹き付けるなどして容易に異物を除去することができる。このように、作業機１０は、異物溜まりに対してのメンテナンスもし易い構造になっている。

以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。

１：往復動刈刃装置，２：刈刃，３：支持部材，
４：伝動ケース，４３：操作桿装着部，４３Ａ：角度調整機構，
１０：手持ち作業機，１１：操作桿，１２：駆動部，
１３：フロントハンドル，１３Ａ：把持部，
１４：ハウジング，
１４Ａ：操作ハンドル（リアハンドル），１４Ｂ：操作スイッチ，
１４Ｃ：取り付け部，１４Ｄ：外表面，１４Ｅ：吸気口，
１５：バッテリー，１５Ｐ：背面，１６：接続端子，
２０：段差部，２１：開口

Claims (5)

1. 作業部の駆動源であるモータが操作ハンドルを備えるハウジング内に配備されている電動式手持ち作業機であって、
   前記ハウジングは、外表面に前記モータに給電するバッテリーを取り付ける取り付け部を備え、
   前記取り付け部には、前記バッテリーに接続される接続端子が設けられ、
   前記取り付け部における前記接続端子の上方には、水滴を側方に排水する排水流路となる段差部が設けられ、
   前記取り付け部の側方には、前記排水流路に繋がる開口が設けられ、
   前記開口は、前記取り付け部に取り付けられたバッテリーの背面と前記取り付け部間の外表面との隙間を流路とする冷却風流路に繋がっていることを特徴とする電動式手持ち作業機。
2. 前記段差部の上面は、側方が低くなる傾斜面になっていることを特徴とする請求項１記載の電動式手持ち作業機。
3. 前記取り付け部の上方には、前記冷却風流路を通って前記ハウジング内に流入する冷却風の吸気口が設けられていることを特徴とする請求項１又は２記載の電動式手持ち作業機。
4. 前記ハウジングは、操作桿の基端に接続されており、
   前記モータは、前記操作桿内の駆動軸を介して前記操作桿の先端に装備された作業部を駆動することを特徴とする請求項１～３のいずれか１項記載の電動式手持ち作業機。
5. 前記作業部は、前記操作桿の長手方向に交差する方向に延設された往復動刈刃を具備する往復動刈刃装置であることを特徴とする請求項４記載の電動式手持ち作業機。

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