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JP7137329B2 - ミシン - Google Patents

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JP7137329B2
JP7137329B2 JP2018052004A JP2018052004A JP7137329B2 JP 7137329 B2 JP7137329 B2 JP 7137329B2 JP 2018052004 A JP2018052004 A JP 2018052004A JP 2018052004 A JP2018052004 A JP 2018052004A JP 7137329 B2 JP7137329 B2 JP 7137329B2
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Description

本発明は、上送りを備えるミシンに関する。
必要に応じて上送りを行うために、上方退避位置と下方の送り位置との間で位置切り替え可能な上送り歯を有する上送り機構が搭載されたミシンが従来から使用されている。
このミシンの上送り機構は、上送り歯と、上送り歯に対して布送り方向に沿った往復動作を付与する送り動作機構と、上下方向に沿った往復動作を付与する上下動機構とを備えている。
そして、上送り歯は、上方の退避位置と送り位置との間で移動可能であり、上送り歯の非使用時には退避位置に配置し、使用時には送り位置に下降移動させていた(例えば特許文献1参照)。
特開2013-052122号公報
しかしながら、上記従来のミシンの上送り機構は、上送り歯を送り位置にセットする際に、布押さえが下方に下りたままの状態でいると、布押さえが妨げとなって、上送り歯を送り位置に配置することができなかった。
このため、上送り歯を送り位置にセットする場合には、予め、布押さえを上方に引き上げておかねばならず、煩雑且つ作業の負担となっていた。
本発明は、上送り歯の送り位置への切り替え作業の容易化をはかることをその目的とする。
請求項1記載の発明は、ミシンにおいて、
上送り歯で針板上の被縫製物を上から送る上送り機構と、
前記針板上の被縫製物を上から押さえる布押さえを有する布押さえ機構とを備えるミシンにおいて、
前記上送り機構は、前記上送り歯を上方の退避位置と下方の送り位置との間で手動操作により上下動可能に支持し、
前記布押さえ機構は、前記布押さえを上方に引き上げる駆動源を有し、
前記上送り機構に、前記上送り歯の前記退避位置からの下方への移動を検出する検出部を設け、
前記検出部による前記上送り歯の下方への移動の検出により、前記布押さえ機構の駆動源を制御して、前記布押さえを上方に引き上げる制御装置を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のミシンにおいて、
前記上送り機構は、前記上送り歯を前記退避位置と前記送り位置との間で上下動可能に支持する支持部材と、前記上送り歯を上方の前記退避位置側に引き戻すガタ取りバネとを有し、
前記支持部材は、前記上送り歯との間の凹凸の構造により当該上送り歯を前記送り位置に保持することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のミシンにおいて、
前記支持部材は、前記上送り歯を前記退避位置と前記送り位置との間で上下動可能に支持する長穴を有し、
前記長穴は、下端部で屈曲した形状に形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載のミシンにおいて、
前記支持部材は、ミシンアーム部において、上下動可能に支持されると共にその下端部が布送り方向に沿って揺動可能に支持されていることを特徴とする。
本発明は、上送り歯の下方への移動を検出すると、布押さえ機構の駆動源を制御して、布押さえを上方に移動させる制御を行うので、ユーザーが上送り歯を送り位置へ切り替える際の作業負担を軽減することが可能となる。
発明の実施形態であるミシンの内部構成の主要部を示した斜視図である。 布押さえ機構の斜視図である。 上送り歯及び支持部材の分解斜視図である。 上送り機構の一部の構成の図示を省略した斜視図である。 上送り機構の一部の構成の図示を省略した斜視図である。 上送り歯が退避位置にある場合の側面図である。 上送り歯が送り位置にある場合の側面図である。 上送り上下動作機構の一部の構成の斜視図である。 上送り水平動作機構の斜視図である。 上送り歯が退避位置に位置する場合の布押さえ周辺の斜視図である。 上送り歯が送り位置に位置する場合の布押さえ周辺の斜視図である。
[発明の実施形態の概略]
以下、図面を参照して、本発明にかかるミシンについて説明する。図1はミシン10の内部構成の主要部を示した斜視図である。
ミシン10は、図示しないミシンモーターにより回転駆動を行う上軸12と、当該上軸12から回転力が伝達されて回転駆動を行う下軸13と、上送り歯21で針板11上の被縫製物(図示略)を上から送る上送り機構20と、針板11上の被縫製物を上から押さえる布押さえ61を有する布押さえ機構60と、針板上の被縫製物を下から送り歯で送る主送り機構と、制御装置26とを備えている。
なお、ミシン10は、上記主送り機構、縫い針を備える針棒を上下動させる針棒上下動機構、縫い針から上糸を捕捉して下糸のループにくぐらせる釜機構(又はルーパ機構)、上糸の引き上げを行う天秤機構、上糸に張力を付与する糸調子器、ミシンの各構成を格納保持するミシンフレーム等も備えているが、これらはいずれも周知の構成なので、説明は省略する。
なお、以下の説明では、水平且つ被縫製物を送る布送り方向をX軸方向、水平且つ布送り方向に直交する方向をY軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向とする。また、X軸方向であって布送り方向下流側を「前」、逆側を「後」とする。また、Y軸方向であって前方を向いた状態で左手側を「左」、右手側を「右」とする。また、Z軸方向であって鉛直上方を「上」、下方を「下」とする。
[上軸及び下軸]
図1に示すように、上軸12は、ミシンアーム部内において、Y軸方向に沿った状態で回転可能に支持されている。上軸12は、図示しないミシンモーターにより回転駆動が行われる。
下軸13は、ミシンベッド部内において、Y軸方向に沿った状態で回転可能に支持されている。
上軸12から下軸13へは、例えば、図示しないベルト機構や縦軸を用いた傘歯車機構により回転が伝達される。
[布押さえ機構]
図2は布押さえ機構60の斜視図である。
布押さえ機構60は、被縫製物を上から押さえる布押さえ61と、布押さえ61を下端部で保持する押さえ棒62と、押さえ棒62の途中に固定装備された棒抱き63と、押さえ棒62を貫通させた状態で当該押さえ棒62に設けられた押さえ台64と、布押さえ61の昇降動作の駆動源となる押さえモーター65と、押さえモーター65から動力を得て、押さえ台64を昇降させる梃子状の押さえ上げ桿66と、押さえモーター65の回転を減速する押さえ上げギア67と、押さえ上げ桿66に設けられ、押さえ上げギア67に噛合する扇形ギア68と、手動の回動操作により布押さえ61を上方に引き上げる押さえ上げレバー69とを備えている。
上記布押さえ機構60は、その構成の殆どがミシンフレームのミシンアーム部の内側に格納されており、布押さえ61と、押さえ棒62の下部と、押さえ上げレバー69の先端のみが外部に露出している。
布押さえ61は、いわゆる舟形の布押さえであり、前端部には切り欠きが形成されている。後述する上送り歯21は、その先端部を布押さえ61の切り欠きの内側に挿入し、被縫製物の上から接して送りを行う。
押さえ棒62は、丸棒状であり、その長手方向がZ軸方向に沿った状態で、且つZ軸方向に沿って滑動可能な状態でミシンアーム部に支持されている。
なお、押さえ棒62は、後述する押さえバネ71により下方に押圧されており、この押さえバネ71の加圧力が布押さえ61の押さえ圧となっている。
棒抱き63は、ミシンアーム部の内部において、押さえ棒62の上下方向中間部に抱き締め固定されている。この棒抱き63は、押さえ上げレバー69側(前方)に向かって延出された延出部631が設けられている。
押さえ上げレバー69は、その一端部がミシンアーム部内においてY軸回りに回動可能に支持されており、他端部はミシンアーム部の外部前方に延出されている。
また、押さえ上げレバー69には、棒抱き63の延出部631の下面に当接するカム部691が形成されている。そして、押さえ上げレバー69の他端部を手動により上方に回動操作すると、カム部691が棒抱き63の延出部631を上方に押し上げて、前述した押さえバネに抗して、布押さえ61を上方の布解放位置まで押し上げることができる。
押さえ台64は、断面コ字状の枠体であり、X-Y平面に沿った一対の対向する平面部641,642を上下に備えている。そして、一対の平面部641,642にはいずれも貫通孔が形成されており、一対の平面部641,642の間に棒抱き63を擁した状態で押さえ棒62が挿通されている。
一対の平面部641,642の上下の間隔は、棒抱き63の上下幅よりも広く、上側の平面部641と棒抱き63との間には、円筒状のブッシュ70が介挿されている。なお、ブッシュ70の上下長さは、一対の平面部641,642の上下の間隔から棒抱き63の上下幅を減じた幅よりも短く、僅かながら、押さえ台64は棒抱き63に対して上下動することが可能となっている。
さらに、押さえ台64の上側の平面部641には、上下方向に沿った長穴643が形成されている。この長穴643には押さえ上げ桿66の一端部が挿入され、当該押さえ上げ桿66の一端部の上方への揺動により、押さえ台64が上方に引き上げられ、押さえ台64の下側の平面部642が棒抱き63に当接し、押さえ棒62及び布押さえ61を上方に引き上げることができる。
なお、長穴643は、押さえ上げ桿66の一端部の上下幅よりも上下に長く、押さえ上げ桿66に対して押さえ台64は、幾分上下動を行うことが可能となっている。
押さえモーター65は、ミシンフレームの立胴部の内部に、その出力軸をX軸方向に向けた状態で支持されている。
この押さえモーター65は、ステッピングモーターであり、その回転量を任意に制御することが可能である。また、押さえモーター65の出力軸には図示しない小歯車が装備されている。
押さえ上げギア67は、歯数の多い大歯車と端数の少ない小歯車とが同心で一体化されており、大歯車が押さえモーター65の出力軸に設けられた小歯車と噛合している。
さらに、押さえ上げギア67の小歯車は、当該小歯車よりもピッチ径が十分に大きな扇形ギア68に噛合している。
これにより、押さえ上げギア67は、押さえモーター65の出力回転を二段階で減速して扇形ギア68に伝達している。
押さえ上げ桿66は、Y軸方向に沿って配置された長尺の部材であり、長手方向中間部に設けられた支軸661により、ミシンアーム部の内側において、その両端部が揺動可能となるように支持されている。
上記支軸661は、X軸方向に沿っており、これにより、押さえ上げ桿66の両端部は、いずれも上下に揺動可能となっている。
押さえ上げ桿66の一端部は、前述したように、押さえ台64の長穴643に遊挿され、さらにその先端部は半長円状の切り欠きによって二又部662が形成されている。この二又部662は、その内側に押さえ棒62が遊挿されており、当該二又部662と押さえ台64の上側の平面部641との間には圧縮バネ71が介挿されている。
この圧縮バネ71は、平面部641からブッシュ70を介して棒抱き63を下方に押圧し、布押さえ61に押さえ圧を付与している。
また、押さえ上げ桿66の他端部は、前述したように扇形ギア68が設けられ、当該扇形ギア68は、押さえ上げギア67に噛合している。従って、押さえモーター65の駆動により、押さえ上げ桿66に揺動動作が付与され、押さえ上げ桿66の左端部を下方に揺動させることで、二又部662が圧縮バネ71を圧縮し、布押さえ61が針板11上の被縫製物を上方から押圧する押さえ圧を付与するとともに、押さえモーター65の駆動量に応じた押さえ圧の調整が可能となる(押さえ位置)。また、押さえモーター65の駆動により、押さえ上げ桿66の左端部を上方に揺動させることで、長穴643を介して押さえ台64を上方に引き上げて、棒抱き63を介して布押さえ61を上方の布解放位置に引き上げることができる。
[上送り機構]
上送り機構20は、図1に示すように、針板上の被縫製物に上から接してX軸方向に沿って送る上送り歯21と、当該上送り歯21を上方の退避位置と下方の送り位置との間で上下動可能に支持する支持部材22と、上送り歯21に対して上下動動作を付与する上送り上下動作機構30と、上送り歯21に対して送り方向の往復動作を付与する上送り水平動作機構40とを備えている。
なお、上送り歯21の送り位置とは、針板11上の被縫製物に対する送り動作を行う位置であり、退避位置とは、針板11に対して上方に離間して送り動作を行わない位置である。
[上送り歯]
図3は上送り歯21及び支持部材22の分解斜視図、図4は上送り機構20の一部の構成の図示を省略した斜視図、図5は上送り機構20の一部の構成の図示を省略した斜視図、図6は上送り歯21が退避位置にある場合の側面図、図7は上送り歯21が送り位置にある場合の側面図である。
上送り歯21は、図3に示すように、上送り歯本体211と、送り歯本体211を支持部材に連結する左右一対の連結板212,213と、カバー体214とを備えている。
上送り歯本体211は、下端部が楔状であってその底部に鋸歯状の歯先が形成されており、当該歯先が被縫製物に対して上から当接し、送りを行う。
また、上送り歯本体211の上端部には凹部211aと凸部211bが前後に並んで形成されており、支持部材22の下端部に前後に並んで形成された凸部221と凹部222とに嵌合して、送り位置に送り歯21を保持することができる。
左右一対の連結板212,213の下端部は、上送り歯本体211を左右両側から挟むようにしてネジ止めにより上送り歯本体211に固定されている。
また、左右一対の連結板212,213の上端部は、板状の支持部材22を左右両側から挟んだ状態で、連結板213に設けられた連結ピン213aにより支持部材22に対して連結されている。
連結板213の連結ピン213aは丸棒状であり、Y軸方向に沿って左方に向かって延出されている。連結板212は、連結ピン213aを挿通させる挿通孔212aが形成されている。
なお、この連結ピン213aは、十分に長く、一対の連結板212,213を上送り歯本体211に固定した状態で、連結板212の左方に突出する。そして、その突出端部には、上送り歯21を上方へ付勢するためのガタ取りバネ23の下端部が連結されている(図4参照)。なお、このガタ取りバネ23の上端部は、支持部材22の上端部に設けられたピン223に連結されている。
カバー体214は、一対の連結板212,213が固定された上送り歯本体211の下から装着することができ、装着時には、上記上送り歯本体211の左右両面を覆った状態となる。
このカバー体214の前側には、上送り歯21を退避位置と送り位置との間で手動操作により移動させる際の摘み214aが形成されている(図10参照)。
また、カバー体214の左側には、X-Z平面に沿った平滑な被検出面214bが形成されている。この被検出面214bは、上送り歯21が退避位置に位置する場合に後述する光学式の近接センサー25(図10参照)により検出される。
[支持部材]
支持部材22は、図3に示すように、X-Z平面に沿った平板状であり、その下端部には前後に並んで前述した凸部221と凹部222が形成され、上端部であって左面側には前述したピン223が左方に向かって凸設されている。
また、支持部材22の下端部近傍には、Y軸方向に沿って貫通した支持孔224が形成されている。支持部材22は、この支持孔224により、押さえ棒62の下端部近傍に設けられた滑り子24が有するY軸方向に沿った支軸241に揺動可能に軸支されている(図4参照)。
また、滑り子24は、押さえ棒62に沿って滑動可能である。従って、支持部材22は、滑り子24を介して上下動可能且つ滑り子24の支軸241によりY軸回りに揺動可能となっている。
また、支持部材22には、上下方向に沿った長穴225がY軸方向に貫通して形成されている。この長穴225は下端部が上側に屈曲した形状となっている。長穴225には、上送り歯21の連結ピン213aが挿入され、上送り歯21の退避位置と送り位置との間で上下動をガイドする。
また、上送り歯21の上下動において、上送り歯本体211の上端部が支持部材22の前側の外縁部に沿って滑動する。
つまり、上送り歯21は、その上端部と連結ピン213aの二点で支持部材22に支持されている。
そして、支持部材22の前側の外縁部の上端部には、前方に向かって突出した突起状のストッパー226が形成されており、上送り歯21が上方に移動した場合に退避位置に停止させる。
また、上送り歯21は下方に移動した場合には、上送り歯21の凹部211aと凸部211bとが、支持部材22の凸部221と凹部222とに嵌合する。
このとき、上送り歯21の連結ピン213aは、長穴225に沿って下降し、その屈曲部によって形成された上方に向かって凹状となる部位225aに嵌合し、ガタ取りバネ23の張力によって上方に押し付けられた状態で保持される。従って、上送り歯21は、送り位置において、凹部211a及び凸部211bの嵌合位置と連結ピン213aの嵌合位置とによる複数位置で支えられ、その姿勢にぐらつきが生じないよう、強固に保持される。
また、支持部材22の右側面の上端部近傍には、右方に突出した連結軸227が形成されている。この連結軸227は、上送り水平動作機構40に連結され、支持部材22に対して前後方向の往復動作が入力される。この前後方向の往復動作の入力により、支持部材22は、滑り子24の支軸241回りに揺動し、送り位置に保持された上送り歯21に対して前後方向の往復動作が付与される。
[上送り上下動作機構]
図8は上送り上下動作機構30の一部の構成の斜視図である。
図4、図5、図8に示すように、上送り上下動作機構30は、上軸12に設けられた偏心カム31と、後述する上送り水平動作機構40の第二伝達軸47に対して回動可能に取り付けられた上下腕32と、送り台64に支持されたベルクランク状の変換リンク33と、上下腕32と変換リンク33とを連結する水平連結リンク34と、変換リンク33と前述した滑り子24とを連結する上下連結リンク35とを備えている。
上下腕32は、左方に向かって延出され、偏心カム31の外周に下から当接する第一腕部321と、下方に向かって延出され、水平連結リンク34の一端部に連結された第二腕部322とを備えている。
そして、上下腕32には、第一腕部321が偏心カム31に当接する方向に回動を付与する図示しない弾性体が設けられている。
これにより、上軸12が回転駆動を行うと、偏心カム31が回転し、第一腕部321に上軸12と同周期で往復回動動作が入力され、第二腕部322も同時に往復回動を行う。このとき、第一腕部321は上下に回動し、第二腕部322は前後に回動する。
変換リンク33は、三角形の頂点となる三点の内の一箇所が水平連結リンク34の他端部に連結され、他の一箇所が送り台64に連結され、残る一箇所が上下連結リンク35の上端部に連結されている。これらはいずれもY軸回りに回動可能に連結されている。
変換リンク33は、水平連結リンク34を介して上下腕32の第二腕部322から前後方向の往復動作が入力されると、送り台64との連結部を支点として、上下方向に往動動作を変換して上下連結リンク35に伝える。
これにより、上下連結リンク35を介して往復の上下動動作が滑り子24に伝達され、支持部材22及び上送り歯21に対して上下方向の往復動作が付与される。
[上送り水平動作機構]
図9は上送り水平動作機構40の斜視図である。
上送り水平動作機構40は、図9に示すように、下軸13に設けられた偏心カム41と、偏心カム41の外周に摺接する揺動台42と、揺動台42の後端部の揺動方向を調節する上送り調節体43と、上送り調節体43を回動させる上送り調節モーター44と、揺動台42の前端部から往復回動が入力される第一伝達軸45と、第一伝達軸45から往復上下動が伝達される連結リンク46と、連結リンク46から往復回動が入力される第二伝達軸47と、第二伝達軸47に軸支された水平送り腕48と、水平送り腕48の回動端部と支持部材22の上端部の連結軸227とを連結する連結リンク49とを備えている。
揺動台42は、X軸方向に沿って配置され、その後端部が上送り調節体43の長溝に沿って滑動可能且つY軸回りに回動可能に連結されている。また、揺動台42の前端部は、第一伝達軸45から下方に延出された入力腕451に対してY軸回りに回動可能に連結されている。
揺動台42は、X軸方向の中間部の上面が偏心カム41の外周に摺接し、これにより、上軸12及び下軸13の回転と同期して往復の上下動動作が入力される。
揺動台42の前端部は、第一伝達軸45の左端部から下方に延出された入力腕451の回動端部に連結されているので、入力腕451の回動方向、即ち、前後方向に規制されている。
一方、揺動台42の後端部は、上送り調節体43の長溝の向きに応じて、その往復動作方向をX-Z平面に沿った任意の方向に調節することができる。
この場合、上送り調節体43の長溝がZ軸方向に向けられると、揺動台42の前端部には往復動作が発生しない。そして、上送り調節体43の長溝がZ軸方向に対して傾斜すると揺動台42の前端部にはX軸方向に沿った往復動作が生じ、上送り調節体43の長溝の傾斜角度に応じて、その往復動作のストロークが変動する。
揺動台42の前端部のX軸方向に沿った往復動作により、第一伝達軸45の入力腕451が往復回動する。第一伝達軸45の右端部には後方に延出された出力腕452が固定装備され、その回動端部には連結リンク46の下端部が連結されている。
従って、第一伝達軸45の入力腕451が往復回動すると、出力腕452の回動端部は上下に往復回動し、連結リンク46には往復の上下動が伝達される。
連結リンク46の上端部は、第二伝達軸47の右端部から後方に延出された入力腕471に連結されている。従って、連結リンク46の往復上下動により連結リンク46を通じて第二伝達軸47に往復の回動動作が入力される。
図4に示すように、第二伝達軸47の左端部には、下方に延出された水平送り腕48が固定装備されており、第二伝達軸47の往復回動により、水平送り腕48の回動端部は前後方向に回動する。
水平送り腕48の回動端部は、連結リンク49を介して支持部材22の上端部の連結軸227に連結されているので、水平送り腕48から支持部材22の上端部に前後方向の往復動作が入力される。
これにより、支持部材22の下端部の送り位置に保持された上送り歯21は、前後方向に沿った往復動作が入力される。
前述したように、支持部材22には、上送り上下動作機構30により、上軸12の回転数に同期した上下動動作が入力される。一方、支持部材22には、上送り水平動作機構40により、下軸13の回転数に同期した前後方向の往復動作が入力される。上軸12と下軸13は同期して回転するので、上送り歯21には、同期した往復上下動動作と往復前後動作とが入力される。従って、往復上下動動作と往復前後動作の位相を適宜調整することにより、X-Z平面に沿った長円運動を行うことができる。このとき、長円の上部で後方に向かい、下部で前方に向かう方向に周回するように位相を調整することで、上送り歯21は針板11上の被縫製物に上から接して前方に送りを行うことができる。
なお、上送り水平動作機構40は、上送り調節体43の長溝の傾斜角度を上送り調節モーター44により任意に調節することで、第二伝達軸47の往復回動角度を任意に調節できる。これにより、上送り水平動作機構40の各部材を経て上送り歯21に伝わる前後方向の往復動作のストロークを任意に調節することができ、上送り歯21による送りピッチを任意に調節することができる。
[上送り歯の近接センサー]
図10は上送り歯21が退避位置に位置する場合の布押さえ61周辺の斜視図、図11は上送り歯21が送り位置に位置する場合の布押さえ61周辺の斜視図である。
上記上送り機構20は、上送り歯21の退避位置からの下方への移動を検出する検出部としての光学式の近接センサー25を備えている。
この近接センサー25は、図10に示すように、上送り歯21が退避位置に位置する場合に上送り歯21の被検出面214bが近接センサー25の検出部を遮蔽し、図11に示すように、上送り歯21が送り位置に向かって下降移動すると近接センサー25の検出部が遮蔽されなくなる配置で図示しないミシン10の機枠に支持されている。
従って、上送り歯21が手動操作により退避位置から送り位置に位置切り替え操作が行われると、下方への移動の開始時点で近接センサー25によりその操作を検出することができる。
上記近接センサー25の検出信号は、図1に示すように、制御装置26に入力される。
なお、近接センサー25は、上送り歯21の存在を検出することが可能なあらゆるセンサーを使用することができる。例えば、磁気を検出する近接センサーにより磁性体からなる上送り歯21の存在を検出しても良いし、マイクロスイッチ等の上送り歯21の接触により上送り歯21の存在を検出しても良い。
[ミシンの動作]
上記ミシン10は、当初は上送り歯21が退避位置にあり、近接センサー25によりその存在が検出されている。
そして、上送り歯21を使用して上送りを伴う縫製を行う場合には、手動操作により摘み214aを掴んでガタ取りバネ23に抗して上送り歯21を送り位置に向かって引き下げる。
上送り歯21の退避位置からの下降移動が開始されると、近接センサー25により上送り歯21の位置切り替えが検出され、制御装置26に入力される。
制御装置26は、近接センサー25から上送り歯21の退避位置の不存在の検出信号が入力されると、布押さえ機構60の押さえモーター65を駆動させて、押さえ位置から布解放位置へ上昇させる。
押さえモーター65の駆動により、押さえ上げ桿66の左端部が上方に揺動し、長穴643を介して押さえ台64が引き上げられる。このとき、押さえ台64の下側の平面部642が棒抱き63に当接し、押さえ棒62を介して布押さえ61を布解放位置まで引き上げる。
これにより、布押さえ61に妨げられることなく、上送り歯21を送り位置まで下降させることができる。
このとき、支持部材22の長穴225に沿って上送り歯21の連結ピン213aが下方に移動し、その屈曲部によって形成された上方に向かって凹状となる部位225aに嵌合する。また、上送り歯21の凹部211a及び凸部211bは支持部材22の凸部221と凹部222とに嵌合し、上送り歯21はガタ取りバネ23の張力によって上方に付勢された状態で送り位置に保持される。
[発明の実施形態の技術的効果]
上記ミシン10は、近接センサー25が上送り歯21の退避位置から下方への移動を検出すると、布押さえ機構60の押さえモーター65を制御して、布押さえ61を上方の布解放位置に引き上げる制御装置26を備えている。
このため、上送り歯21を送り位置にセットする場合に、予め、布押さえ61を上方に引き上げておく操作を行う必要がなくなり、煩雑性を解消し、上送り歯21の位置切り替え操作を容易に行うことができ、操作性の向上を図ることが可能となる。
また、上送り機構20は、上送り歯21を上方の退避位置側に引き戻すガタ取りバネ23を有し、凹部211a、凸部211b、凸部221、凹部222等の支持部材22との間の凹凸の構造により上送り歯21を送り位置に保持する構造のため、ガタ取りバネ23に抗して、上送り歯21を送り位置まで引き下げれば、ガタ取りバネ23の張力によって送り位置に保持することができる。
このため、簡単な操作により上送り歯21の送り位置への切り替え操作を行うことが可能となり、操作性がさらに向上する。
また、上記支持部材22は、上送り歯21を退避位置と送り位置との間で上下動可能に支持する長穴225を有し、長穴225は、下端部で屈曲した形状に形成されている。このため、長穴225の内部に挿入される上送り歯21の連結ピン213aが、長穴225の下端部で屈曲した部分に嵌合するため、前述した凸部221と凹部222の嵌合に合わせて送り位置に安定的に上送り歯21を保持することが可能となる。
また、支持部材22は、ミシンアーム部において、上下動可能に支持されると共にその下端部が布送り方向に沿って揺動可能に支持されている。このため、支持部材22に対して、上送り上下動作機構30から上下動動作が入力され、上送り水平動作機構40から前後方向の往復動作が入力されることにより、上送り歯21の送り方向への周回移動を容易に実現することが可能となる。
また、仮に、支持部材22が上下前後に往動しないように固定され、上送り歯21に対して上下前後の往動が入力される構造とした場合には、上送り歯21を二位置間で移動可能且つ上下前後に往動可能な構造とする必要があり、上送り歯21の支持構造が複雑化する。これに対して、ミシン10のように、上送り歯21を二位置切り替え可能に支持する支持部材に対して、上下前後の往動が入力される構造とした場合には、上送り歯21は二位置切り替え可能に支持され、支持部材22は上下前後に往動可能に支持される構造とし、支持構造を二部材に分けることができるため、支持構造が一箇所に集中せず、構造の簡易化を行うことが可能となる。また、これに伴い、メンテナンスが容易となり、故障の発生を低減することが可能となる。
[その他]
なお、検出部としての近接センサー25は、上送り歯21から直接的にではなく、上送り歯21と連動する他の部材から、退避位置からの下降移動を検出する構成としても良い。
10 ミシン
11 針板
20 上送り機構
21 上送り歯
211a 凹部
211b 凸部
213a 連結ピン
22 支持部材
221 凸部
222 凹部
225 長穴
23 ガタ取りバネ
25 近接センサー(検出部)
26 制御装置
30 上送り上下動作機構
40 上送り水平動作機構
60 布押さえ機構
65 押さえモーター(駆動源)
214 カバー体
214b 被検出面

Claims (4)

  1. 上送り歯で針板上の被縫製物を上から送る上送り機構と、
    前記針板上の被縫製物を上から押さえる布押さえを有する布押さえ機構とを備えるミシンにおいて、
    前記上送り機構は、前記上送り歯を上方の退避位置と下方の送り位置との間で手動操作により上下動可能に支持し、
    前記布押さえ機構は、前記布押さえを上方に引き上げる駆動源を有し、
    前記上送り機構に、前記上送り歯の前記退避位置からの下方への移動を検出する検出部を設け、
    前記検出部による前記上送り歯の下方への移動の検出により、前記布押さえ機構の駆動源を制御して、前記布押さえを上方に引き上げる制御装置を備えることを特徴とするミシン。
  2. 前記上送り機構は、前記上送り歯を前記退避位置と前記送り位置との間で上下動可能に支持する支持部材と、前記上送り歯を上方へ付勢するガタ取りバネとを有し、
    前記支持部材は、前記上送り歯との間の凹凸の構造により当該上送り歯を前記送り位置に保持することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記支持部材は、前記上送り歯を前記退避位置と前記送り位置との間で上下動可能に支持する長穴を有し、
    前記長穴は、下端部で屈曲した形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記支持部材は、ミシンアーム部において、上下動可能に支持されると共にその下端部が布送り方向に沿って揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン。
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