JP7130997B2 - ジアミノ-p-クォーターフェニルの製造方法 - Google Patents
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Description
下記一般式(3)で表される、アミノ基が保護されたジアミノ-p-クォーターフェニル化合物を得る第一の工程、および、
(B)前記一般式(3)で表される、アミノ基が保護されたジアミノ-p-クォーターフェニル化合物の脱保護反応により、下記一般式(4)で表されるジアミノ-p-クォーターフェニルを得る第二の工程、
下記一般式(3)で表される、アミノ基が保護されたジアミノ-p-クォーターフェニル化合物を得る第一の工程、および、
(B)前記一般式(3)で表される、アミノ基が保護されたジアミノ-p-クォーターフェニル化合物の脱保護反応により、下記一般式(4)で表されるジアミノ-p-クォーターフェニルを得る第二の工程、
以下に、ジアミノ-p-クォーターフェニルの製造方法を詳細に説明する。
本発明で使用するパラジウム触媒はパラジウム金属を含むものであれば特に限定されないが、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム等のハロゲン化パラジウム;酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウム等のパラジウム有機酸塩;硝酸パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム無機酸塩;ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ビス(1,1,1-5,5,5-ヘキサフルオロアセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム(II)錯体;テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等のパラジウム(0)錯体;炭素やアルミナなどの担体に担持させたパラジウム炭素やパラジウムアルミナ等が挙げられるが、好ましくはパラジウム(II)錯体やパラジウム(0)錯体が使用される。本発明においては、特にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。
使用される塩基としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムなどの金属炭酸水素塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化タリウムなどの金属水酸化物、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化セシウムおよび臭化セシウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物、リン酸カリウムおよびリン酸水素カリウムなどの金属リン酸塩、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの金属酢酸塩、ナトリウムメトキシド、t-ブトキシリチウム、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム、フェノキシカリウムなどの金属アルコキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの有機アミンなどが挙げられる。本発明においては金属炭酸塩が好ましい。
使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水および有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては水溶性のものおよび水不溶性のものを用いることができる。有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン)、脂肪族炭化水素類(例えば、n-ペンタン、n-へキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’-ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくは水、アミド類、尿素類、スルホキシド類が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用することができる。本発明においては、アミド類溶媒、特に、N,N-ジメチルホルムアミドを使用することが、反応に用いる化合物に対する高い溶解性をもつ点から好ましい。
具体的には、酸化合物の存在下で、保護基と酸が反応することにより脱保護することができる。
使用される酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クロロ硫酸、硝酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸類、イオン交換樹脂、硫酸シリカゲル、ゼオライト、酸性アルミナ等が挙げられるが、好ましくは鉱酸類、ハロゲン化カルボン酸類、更に好ましくはハロゲン化カルボン酸類が使用される。なお、これらの酸は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されず、例えば、水および有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては水溶性のものおよび水不溶性のものを用いることができる。有機溶媒の例としては、ケトン類(例えば、アセトン、ブタノン、シクロヘキサノン)、脂肪族炭化水素類(例えば、n-ペンタン、n-へキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン等)、アミド類(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、尿素類(N,N’-ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-メチレンジオキシベンゼン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン等)、ニトロ化芳香族炭化水素類(例えば、ニトロベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。好ましくはエーテル類、ハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステルが使用される。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用することができる。本発明においては、ハロゲン化炭化水素を使用することが、簡便な後処理の点から好ましい。
<ジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメートの合成(製造例1)>
20Lの四つ口フラスコにアルゴン雰囲気下で4,4’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル175g(560mmol)、tert-ブチル(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバメート393g(1.23mol)を添加し、N,N-ジメチルホルムアミド8392mLに溶かし、アルゴンで溶液をバブリングした。その溶液に炭酸ナトリウム183g(1.73mol)を含む水溶液2097mLを加えて、アルゴンでバブリングした。次にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム19.9g(17mmol)を添加し、100℃で20時間撹拌した。この反応溶液をろ過してろ物をTHFとイオン交換水で洗浄して、真空下で加熱乾燥し、灰色固体としてジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメート246gを得た(取得収率81.7%)。
20Lの四つ口フラスコにアルゴン雰囲気下で4,4’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル179g(573mmol)、tert-ブチル(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバメート404g(1.27mol)を添加し、N,N-ジメチルホルムアミド8450mLに溶かし、アルゴンで溶液をバブリングした。その溶液に炭酸ナトリウム188g(1.78mol)を含む水溶液2151mLを加えて、アルゴンでバブリングした。次にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム20g(17mmol)を添加し、100℃で20時間撹拌した。この反応溶液をろ過してろ物をTHFとイオン交換水で洗浄して、真空下で加熱乾燥し、灰色固体としてジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメート270gを得た(取得収率87.4%)。
10Lの四つ口フラスコにアルゴン雰囲気下、製造例1と2で合成したジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメート384g(716mmol)をジクロロメタン2918mLに懸濁させて、トリフルオロ酢酸3840g(33.8mol)を添加し、室温で20時間撹拌した。反応終了後の溶液にイオン交換水5.4Lを加えて、析出固体をろ過し、析出固体をイオン交換水3.8Lで洗浄し、続いてジクロロメタン、THFで洗浄した。2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液10.4Lに、先ほど析出した固体を添加して室温で20時間撹拌した。懸濁液をろ過し、イオン交換水でろ液が中性になるまで洗浄し、続いてジクロロメタン、THFで洗浄した。得られた固体をDMF12kgに溶解させ、活性炭250gを添加し、室温で3時間撹拌して、ろ過を行った。得られたろ液にイオン交換水7.1kgを加えて析出した固体をろ過し、真空下で加熱乾燥し、薄肌色固体187gを得た。続いて昇華精製を行なうことで淡黄色固体として1H-NMR純度99%以上で4,4’’’-ジアミノ-p-クォーターフェニル157gを得た(ジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメート基準の取得収率64.6%)。
1H-NMR(DMSO-d6,σ(ppm)); 5.27(s,4H),6.67(d,J=8.5Hz,4H),7.42(d,J=8.5Hz,4H),7.63(d,J=8.5Hz,2H),7.69(d,J=8.5Hz,2H)
DI-MS(m/z); 337(M+1)
ジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメートの合成
200mLの四つ口フラスコにアルゴン雰囲気下で4,4’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル1g(3.21mmol)、tert-ブチル(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバメート2.15g(6.74mmol)を添加し、N,N-ジメチルホルムアミド48mLに溶かし、アルゴンで溶液をバブリングした。その溶液に炭酸ナトリウム1.03g(9.73mol)を含む水溶液12mLを加えて、アルゴンでバブリングした。次にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.11g(0.096mmol)を添加し、100℃で20時間撹拌した。この反応溶液をろ過してろ物をTHFとイオン交換水で洗浄して、真空下で加熱乾燥し、灰色固体としてジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメート1.30gを得た(取得収率75.5%)。
得られたジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメートを、実施例1と同様な方法によって脱保護することにより、4,4’’’-ジアミノ-p-クォーターフェニルを得ることができた。
ジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメートの合成
200mLの四つ口フラスコにアルゴン雰囲気下で4,4’-ジブロモ-1,1’-ビフェニル1g(3.21mmol)、tert-ブチル(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)カルバメート2.15g(6.74mmol)を添加し、THF60mLを添加し、アルゴンで反応系内のバブリングを行なった。フッ化セシウム1.46g(9.61mol)を加えて、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.11g(0.096mmol)を添加し、65℃で48時間撹拌した。反応系には原料化合物が多く残存しており、目的物であるジ-tert-ブチル[1,1’:4’,1’’,:4’’,1’’’-クォーターフェニル]-4,4’’’-ジイルジカルバメートの生成を確認出来なかった。
Claims (3)
- (A)アミド類溶媒中、パラジウム触媒および金属炭酸塩の存在下で、下記一般式(1)で表されるビフェニル化合物と下記一般式(2)で表されるホウ酸エステル化合物とを反応させて、
下記一般式(3)で表される、アミノ基が保護されたジアミノ-p-クォーターフェニル化合物を得る第一の工程、および、
(B)前記一般式(3)で表される、アミノ基が保護されたジアミノ-p-クォーターフェニル化合物の脱保護反応により、下記一般式(4)で表されるジアミノ-p-クォーターフェニルを得る第二の工程、
- 前記アミド類溶媒がN,N-ジメチルホルムアミドである、請求項1に記載のジアミノ-p-クォーターフェニルの製造方法。
- 前記第一の工程における反応温度が70~150℃である、請求項1又は2に記載のジアミノ-p-クォーターフェニルの製造方法。
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