本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る研削装置及び判別方法は、例えば、半導体デバイスが表面に形成されたウェーハを裏面側から研削して所定の厚さに薄化する研削装置に関する。図1は、本実施形態に係る研削装置2の構成を模式的に示す斜視図である。
研削装置2で研削されるウェーハ1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。該ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。
ウェーハ1の表面1aにはIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の複数のデバイス(不図示)が形成される。研削装置2によりウェーハ1を裏面1b側から研削して該ウェーハ1を薄化し、デバイス毎に該ウェーハ1を分割すると、個々のデバイスチップを形成できる。
研削装置2では、ウェーハ1の裏面1b側が上方に露出された状態で該裏面1bが研削される。ウェーハ1を研削する際に該ウェーハ1の表面1a側に形成されたデバイスを保護するために、ウェーハ1の表面1a側にはテープ状の保護部材3が貼着される。ウェーハ1は、例えば、複数のウェーハ1を収容できるカセット28aに収容されて運搬され、研削装置2に搬入される。
次に、本実施形態に係る研削装置2について詳述する。研削装置2は、各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前端にはカセット載置台26a,26bが固定されている。例えば、カセット載置台26a上には研削前のウェーハ1を収容したカセット28aが載置され、カセット載置台26b上には研削の終了したウェーハ1を収容するためのカセット28bが載置される。
基台4上のカセット載置台26a,26bに隣接した位置には、ウェーハ搬送ロボット30が据え付けられている。ウェーハ搬送ロボット30は、カセット載置台26aに載せられたカセット28aからウェーハ1を搬出し、基台4上の該ウェーハ搬送ロボット30に隣接した位置に設けられた位置決めテーブル32に該ウェーハ1を搬送する。
該位置決めテーブル32は、環状に並ぶ複数の位置決めピンを有する。該位置決めテーブル32は、中央の載置領域にウェーハ1が載置された際、それぞれの位置決めピンを径方向内向きに連動させて移動させることにより、ウェーハ1を予定された位置に位置付ける。
基台4の上面の該位置決めテーブル32に隣接した位置には、ローディングアーム34と、アンローディングアーム36と、が設けられる。位置決めテーブル32により予定された位置に位置付けられたウェーハ1は、該ローディングアーム34により搬送される。
基台4の中央上面には、円板状のターンテーブル6が水平面内において回転可能に設けられている。ターンテーブル6の上面には、例えば、円周方向に互いに120度離間した3個の保持テーブル8が備えられている。ターンテーブル6を回転させると、各保持テーブル8を移動できる。
各保持テーブル8は、一端が吸引源(不図示)と接続された吸引路(不図示)を内部に有し、該吸引路の他端が保持テーブル8上の保持面8aに接続されている。該保持面8aは、例えば、多孔質部材によって構成される。保持テーブル8は、保持面8a上に被保持物が載せられた際に該吸引源を作動させ、生じた負圧を該被保持物に該多孔質部材を通して作用させることで該被保持物を吸引保持できる。
保持テーブル8へのウェーハ1の搬出入は、ターンテーブル6のウェーハ搬入・搬出領域で実施される。ウェーハ搬入・搬出領域では、ローディングアーム34によりウェーハ1を保持テーブル8に搬入できるとともにアンローディングアーム36によりウェーハ1を保持テーブル8から搬出できる。ウェーハ搬入・搬出領域に位置付けられた保持テーブル8にローディングアーム34によりウェーハ1を搬入した後、ターンテーブル6を回転させて、該保持テーブル8を次の粗研削領域に移動させる。
基台4の後方側上面のターンテーブル6の外側には、粗研削領域に位置付けられた保持テーブル8に保持されたウェーハ1の裏面1b側を粗研削する第1の研削ユニット10aが配されている。第1の研削ユニット10aによりウェーハ1の粗研削が実施された後、ターンテーブル6を回転させて、該保持テーブル8を該粗研削領域に隣接する仕上げ研削領域に移動させる。
基台4の後方側上面のターンテーブル6の外側には、仕上げ研削領域に位置付けられた保持テーブル8に保持されたウェーハ1の裏面1b側を仕上げ研削する第2の研削ユニット10bが配されている。第2の研削ユニット10bによりウェーハ1の仕上げ研削が実施された後、ターンテーブル6を回転させて、該保持テーブル8をウェーハ搬入・搬出領域に戻し、アンローディングアーム36により該ウェーハ1を保持テーブル8から搬出する。
基台4の上面のアンローディングアーム36と、ウェーハ搬送ロボット30と、の近傍には、研削されたウェーハ1を洗浄及びスピン乾燥するスピンナ洗浄装置38が配設されている。そして、スピンナ洗浄装置38により洗浄及び乾燥されたウェーハ1は、ウェーハ搬送ロボット30によりスピンナ洗浄装置38から搬送され、カセット載置台26bに載置されたカセット28bに収容される。
基台4の後部にはコラム22a,22bが立設されている。コラム22aの前面には、第1の研削ユニット10aを鉛直方向に沿って移動可能に支持する研削送りユニット24aが配設されている。コラム22bの前面には、第2の研削ユニット10bを鉛直方向に沿って移動可能に支持する研削送りユニット24bが配設されている。
研削送りユニット24aに支持された第1の研削ユニット10aは、鉛直方向に沿って伸長するスピンドル14aと、該スピンドル14aの上端に接続されたスピンドルモータ12aと、を備える。また、研削送りユニット24bに支持された第2の研削ユニット10bは、鉛直方向に沿って伸長するスピンドル14bと、該スピンドル14bの上端に接続されたスピンドルモータ12bと、を備える。
スピンドル14aの下端には、円板状のホイールマウント16aが配設され、該ホイールマウント16a下面には研削ホイール18aが固定されている。研削ホイール18aの下面には、円環状に並ぶ複数の研削砥石20aが装着されている。スピンドル14bの下端には、円板状のホイールマウント16bが配設され、該ホイールマウント16b下面には研削ホイール18bが固定されている。研削ホイール18bの下面には、円環状に並ぶ複数の研削砥石20bが装着されている。
スピンドルモータ12aを作動させスピンドル14aを鉛直方向の周りに回転させると、研削ホイール18aが回転して研削砥石20aが環状軌道上を移動する。そして、研削送りユニット24aを作動させて第1の研削ユニット10aを下降させ、研削砥石20aを保持テーブル8に保持されたウェーハ1の裏面1bに接触させると、該ウェーハ1が該裏面1b側から研削される。
また、スピンドルモータ12bを作動させスピンドル14bを鉛直方向の周りに回転させると、研削ホイール18bが回転して研削砥石20bが環状軌道上を移動する。そして、研削送りユニット24bを作動させて第2の研削ユニット10bを下降させ、研削砥石20bを保持テーブル8に保持されたウェーハ1の裏面1bに接触させると、該ウェーハ1が該裏面1b側から研削される。
第1の研削ユニット10aを使用したウェーハ1の研削では、研削送りユニット24aによる研削送りを比較的速い速度で実施してウェーハ1を粗研削する。第1の研削ユニット10aによる粗研削では、研削装置2で研削されて除去されるウェーハ1の厚さの大部分が効率的に除去される。
第2の研削ユニット10bを使用したウェーハ1の研削では、研削送りユニット24bによる研削送りを比較的低い速度で実施してウェーハ1を仕上げ研削する。第2の研削ユニット10bによる仕上げ研削では、ウェーハ1が予定された仕上げ厚さに高精度に研削される。
基台4の上面の第1の研削ユニット10aの近傍には、第1の研削ユニット10aにより粗研削されているウェーハ1の厚さを測定する第1の厚さ測定ユニット40が配設されている。第1の厚さ測定ユニット40は、例えば、ターンテーブル6の外側で鉛直方向に沿って立設されたポストと、該ポストの上端部から粗研削領域に位置付けられた保持テーブル8の上方に延びる2つのプローブと、を備える。それぞれのプローブはポストに対して鉛直方向に沿って移動可能である。
比較的上側に配されるプローブは、ウェーハ1の裏面1bに接触して該裏面1bの高さを測定する。また、比較的下側に配されるプローブは、保持テーブル8の保持面8aに接触して該保持面8aの高さを測定する。第1の厚さ測定ユニット40は、ウェーハ1の裏面1bの高さと、保持テーブル8の保持面8aの高さと、の差からウェーハ1の厚さを算出できる。ただし、第1の厚さ測定ユニット40は、接触式の厚さ測定器に限定されず、他の方式の厚さ測器であってもよい。
基台4の上面の第2の研削ユニット10bの近傍には、第2の研削ユニット10bにより仕上げ研削されているウェーハ1の厚さを測定する非接触式の第2の厚さ測定ユニット42が配設されている。第2の厚さ測定ユニット42は、例えば、ターンテーブル6の外側で鉛直方向に沿って立設されたポストと、該ポストの上端部から仕上げ研削領域に位置付けられた保持テーブル8の上方に延びる腕部と、を備える。そして、該腕部の先端には円筒状のヘッド部が設けられている。
第2の厚さ測定ユニット42は、例えば、ウェーハ1の裏面1bにレーザビームを照射して反射された該レーザビームを検出することで、ウェーハ1の裏面1bの高さを測定するレーザ厚さ測定ユニット(分光干渉レーザ変位計)である。または、第2の厚さ測定ユニット42は、ウェーハ1の裏面1bに超音波を送り、ウェーハ1の裏面1bで反射された超音波を検出してウェーハ1の裏面1bの高さを測定する超音波式の厚さ測定ユニットである。ただし、第2の厚さ測定ユニット42はこれに限定されない。
第1の研削ユニット10aは、第1の厚さ測定ユニット40により測定されるウェーハ1の厚さを参照しつつ、ウェーハ1が所定の厚さになるまでウェーハ1を粗研削する。また、第2の研削ユニット10bは、第2の厚さ測定ユニット42により測定されるウェーハ1の厚さを参照しつつ、ウェーハ1が仕上げ厚さになるまでウェーハ1を仕上げ研削する。
研削砥石20a,20bは、例えば、ダイヤモンド等でなる砥粒が結合材中に分散されて形成されている。研削砥石20a,20bのウェーハ1に接触する接触面には砥粒が適度に結合材から露出しており、露出した砥粒がウェーハ1に接触することでウェーハ1が研削される。ウェーハ1の研削が進行すると、砥粒が摩耗したり結合材から脱落したりするが、結合材もまた消耗して次々に新しく砥粒が該接触面に露出するため、研削砥石20a,20bの研削能力は維持される。この作用は、自生発刃と呼ばれる。
そして、目詰まりや目潰れ等の異常が研削砥石20a,20bに生じ、自生発刃の作用のみでは研削砥石20a,20bの研削能力を十分に維持できない場合、該研削砥石20a,20bにドレッシングボードを研削させる。このドレッシングボードを研削する作業は、ドレッシングと呼ばれる。ドレッシングを実施すると、研削砥石20a,20bの結合材が積極的に消耗して自生発刃の作用が促され、該研削砥石20a,20bの研削能力が回復する。
研削砥石20a,20bには、結合材の材質や砥粒の分布状態等が異なる様々な品種が存在する。そして、被加工物の材質や研削加工の内容に合わせて加工に適した品種の研削砥石が選択されて研削装置2に装着される。例えば、ウェーハ1の粗研削に使用される研削砥石20aと、ウェーハ1の仕上げ研削に使用される研削砥石20bと、は品種が異なる場合がある。
研削砥石20a,20bのドレッシング等に使用されるドレッシングボードの一例を図4に示す。図4には、ドレッシングボード5を模式的に示す斜視図が示されている。ドレッシングボード5は、支持基台7と、該支持基台7に支持された円板状のドレッシング部材9と、を含む。
支持基台7は、塩化ビニル等の樹脂で形成された円板状の部材であり、その外径は保持テーブル8の保持面8aの径に対応する。ドレッシングボード5を保持面8aの上に搬入して保持テーブル8の吸引保持機構を作動させると、支持基台7に負圧が作用してドレッシングボード5が保持テーブル8に保持される。
各ドレッシングボード5の支持基台7の大きさは、保持テーブル8の吸引源で生じた負圧を漏らさないように保持テーブル8の保持面8aを覆う大きさとされるため、ドレッシングボードの品種に関わらず概略一定とされる。
支持基台7に支持されるドレッシング部材9は、結合材中に砥粒が分散されて形成されている。そして、研削砥石20a,20bをドレッシングする際には、ドレッシング部材9を研削砥石20a,20bに研削させる。
ドレッシングボード5には、ドレッシング部材9の結合材の材質や砥粒の分布状態等が異なる様々な品種が存在する。ドレッシングの対象となる研削砥石20a,20bの品種に合う適切な品種のドレッシングボード5が選択されてドレッシングに使用される。ここで、ドレッシング部材9の外径サイズは、ドレッシングボード5の品種により決まっている。
そこで、本実施形態に係る研削装置2では、研削砥石20a,20bのドレッシングを実施する際に、使用されるドレッシングボード5のドレッシング部材9の外径サイズが算出される。そして、ドレッシング部材9の外径サイズからドレッシングボード5の品種を判別する。この場合、ドレッシングの対象となる研削砥石20a,20bのドレッシングに適したドレッシングボード5であるか否かを判定できる。
研削装置2の基台4上のウェーハ搬送ロボット30に隣接した位置には、検出ユニット46が組付けられている。検出ユニット46は、ドレッシングボード5の品種を判別する際に、ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズの算出に使用される。
検出ユニット46は、例えば、被検出物の各部の厚さを測定できる厚さ測定ユニットである。検出ユニット46にドレッシングボード5が搬入されていると、該ドレッシングボード5の各部の厚さを測定できる。図4には、検出ユニット46と、該検出ユニット46に搬入されたドレッシングボード5と、の斜視図が模式的に示されている。
検出ユニット46は、例えば、ドレッシングボード5が載せられるステージ46aと、ステージ46aに載せられたドレッシングボード5のドレッシング部材9の外径サイズの算出に使用できる厚さ測定部52と、を備える。ステージ46aの後端部には、支持部46bが立設しており、支持部46bの内部には、厚さ測定部52を移動できる移動機構48が収容されている。
検出ユニット46は、さらに、Y軸方向に沿って伸長し先端に厚さ測定部52が配設された支持部材50を備える。移動機構48を作動させると、支持部材50と、該支持部材50の先端に配設された該厚さ測定部52がX軸方向に沿って移動する。厚さ測定部52は、ドレッシングボード5の厚さを非接触で測定できる。
例えば、検出ユニット46は、厚さ測定部52からレーザビームを出射し、ドレッシングボード5に該レーザビームを照射して反射された該レーザビームを検出することでドレッシングボード5の高さを測定するレーザ厚さ測定ユニット(分光干渉レーザ変位計)である。または、厚さ測定部52からドレッシングボード5に超音波を送り、ドレッシングボード5で反射された超音波を検出してドレッシングボード5の高さを測定する超音波式の厚さ測定ユニットである。
検出ユニット46は、移動機構48を作動させて厚さ測定部52をドレッシングボード5の上方でX軸方向に沿って移動させつつドレッシングボード5の各部の厚さを測定する。
ドレッシングボード5は、ドレッシング部材9が存在する部分は比較的厚く、ドレッシング部材9が存在しない部分は比較的薄くなる。そのため、ドレッシングボード5の比較的厚いと観測される部分と、比較的薄いと観測される部分と、の境界がドレッシング部材9の外周の位置となる。ドレッシング部材9の外周の位置が判明すると、ドレッシング部材9の外径サイズを計算できる。すなわち、検出ユニット46は、ドレッシング部材9の外径サイズの計算に使用される。
ただし、検出ユニット46はこれに限定されない。例えば、検出ユニット46は、搬入されたドレッシングボード5の上面を撮像できる撮像カメラでもよい。検出ユニット46が撮像カメラである場合、ドレッシングボード5の上面を撮像して撮像画像を形成し、該撮像画像からドレッシング部材9の外周の位置を検出することで、ドレッシング部材9の外径サイズを計算できる。
次に、研削装置2が備える制御ユニット44について説明する。制御ユニット44は研削装置2の各構成要素に接続されており各構成要素を制御する機能を有する。例えば、制御ユニット44は、研削装置2に接続されたコンピュータにより構成される。該コンピュータは、CPUやメモリ、記憶装置等を有する。制御ユニット44には予めウェーハ1を加工するための加工条件が登録されており、制御ユニット44は該加工条件に従って各構成要素を制御する。
また、制御ユニット44は、ドレッシング部材9の外径サイズを品種毎に記憶する記憶部44bと、保持テーブル8に被保持物として保持されるドレッシング部材9の外径サイズを検出ユニット46を使用して算出する外径サイズ算出部44aと、を含む。さらに、制御ユニット44は、算出されたドレッシング部材9の外径サイズからドレッシングボード5の品種を判別する判別部44cを含む。
好ましくは、制御ユニット44は、判別部44cが判別したドレッシングボード5の品種が、ドレッシングの対象となる研削砥石20a,20bのドレッシングに適したドレッシングボード5の品種であるか否かを判定する判定部44dを含む。以下、制御ユニット44の各構成について説明する。外径サイズ算出部44aは、ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズを検出ユニット46を使用して算出する。
例えば、図2(A)に模式的に示すドレッシングボード5aの各領域の高さを検出ユニット46に測定させると、ドレッシング部材9aが存在する領域は、比較的高さの高い領域として検出される。また、ドレッシング部材9aが存在しない領域は、比較的高さの低い領域として検出される。図2(A)には、高さの高い領域として検出される箇所の上方に比較的太い線の破線矢印を示し、高さの低い領域として検出される箇所の上方に比較的細い線の破線矢印を示している。
この場合、ドレッシングボード5aの高さの高い領域と、高さの低い領域と、の境界がドレッシング部材9aの外周の位置となる。そして、外径サイズ算出部44aは、検出ユニット46が検出したドレッシング部材9aの外周の位置からドレッシング部材9aの外径サイズ11aを算出する。
ここで、ドレッシング部材9の外径サイズとは、例えば、ドレッシング部材9を上面から見たときの直径で表される数値である。または、外径サイズは、ドレッシング部材9の半径、曲率半径、面積等の数値で表されてもよい。外径サイズは、ドレッシング部材9の大きさを示すこれらの数値であり、ドレッシングボードの品種により定められている。そのため、ドレッシング部材9の外径サイズが算出されると、該ドレッシングボード5の品種を判別できる。
なお、ドレッシング部材9の外径サイズの算出に使用される検出ユニット46が撮像カメラである場合、外径サイズ算出部44aは、該撮像カメラにより取得されたドレッシングボード5が写る撮像画像を解析する。そして、ドレッシング部材9の外周の位置を検出し、ドレッシング部材9の外径サイズを算出する。
記憶部44bは、研削砥石20a,20bのドレッシングに使用されるドレッシングボード5の品種毎に該ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズを記憶する。記憶部44bには、予め、研削装置2の製造者や管理者等により各ドレッシングボード5のドレッシング部材9の外径サイズが登録されている。さらに、記憶部44bには、それぞれの品種のドレッシングボード5を使用してドレッシングできる研削砥石の品種が登録されていてもよい。記憶部44bは、制御ユニット44の各部にこれらの情報を提供する。
ドレッシングボードの品種を判別する際には、まず、外径サイズ算出部44aに該ドレッシングボード5のドレッシング部材9の外径サイズを算出させ、該外径サイズを外径サイズ算出部44aから取得する。そして、判別部44cは、外径サイズ算出部44aが算出したドレッシング部材9の外径サイズに対応するドレッシングボード5の品種に関する情報を記憶部44bから取得する。
そして、判別部44cは、検出ユニット46を使用してドレッシング部材9の外径サイズが算出されたドレッシングボード5の品種が記憶部44bから送られた該情報に係るドレッシングボード5の品種であると判別する。そして、判別部44cは、判別したドレッシングボード5の品種に関する情報を判定部44dに送る。制御ユニット44には、予めドレッシングの対象となる研削砥石20a,20bの品種に関する情報が登録されており、判定部44dは、保持テーブル8に保持されたドレッシングボード5の品種が該研削砥石20a,20bのドレッシングに適しているか否かを判定する。
制御ユニット44は、該ドレッシングボード5の品種がドレッシングの対象となる研削砥石20a,20bのドレッシングに適していると判定部44dが判定する場合、研削ユニットを制御して、該研削砥石20a,20bのドレッシングを実施させる。その一方で、制御ユニット44は、該ドレッシングボードの品種がドレッシングに適していないと判定部44dが判定する場合、研削砥石20a,20bのドレッシングを実施しない。
そして、研削装置2は、各種の警告を管理者や使用者に報知する表示ユニットや警報ランプ、または、警報アラームを備えてもよく、判定部44dの判定結果を表示ユニット等により研削装置2の管理者等に報知してもよい。
本実施形態に係る研削装置2は、このように、研削砥石20a,20bのドレッシングを実施する前に、ドレッシングボード5の品種を判別でき、該ドレッシングボード5の適否を判定できる。そのため、例えば、不適切な品種のドレッシングボードが保持テーブル8に搬送されることはなく、該ドレッシングボードで研削砥石20a,20bのドレッシングを実施するおそれがない。
次に、本実施形態に係るドレッシングボードの品種を判別する判別方法について説明する。本実施形態に係る判別方法は、研削装置に装着された研削砥石のドレッシングに使用されるドレッシングボードの品種を判別する判別方法である。例えば、該判別方法は、図1に示す研削装置2において実施される。そして、図3は、該判別方法のフローを示すフローチャートである。
該判別方法では、まず、準備ステップS1を実施する。準備ステップS1では、ドレッシングボード5の品種毎に該ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズが記憶された記憶部44bを準備する。該記憶部44bは、例えば、研削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット44が備える。
準備ステップS1では、例えば、制御ユニット44の記憶部44bにドレッシングボード5の品種毎に該ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズを登録する。または、準備ステップS1では、ドレッシングボード5の品種毎に該ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズが予め登録された記憶部44bを準備する。
次に、該判別方法では、ドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズの算出に使用できる検出ユニット46に該ドレッシングボード5を搬入する搬入ステップS2を実施する。
次に、該判別方法では、検出ユニット46に搬入されたドレッシングボード5に含まれるドレッシング部材9の外径サイズを算出する外径サイズ算出ステップS3を実施する。例えば、検出ユニット46は、該検出ユニット46に搬入されたドレッシングボード5の各部の厚さを測定できる厚さ測定ユニットである。検出ユニット46を使用してドレッシングボード5の各領域の厚さを測定し、厚さの分布からドレッシング部材9の外周の位置を特定する。そして、特定されたドレッシング部材9の外周の位置から該ドレッシング部材9の外径サイズを算出する。
例えば、外径サイズ算出ステップS3は、検出ユニット46に搬入されたドレッシングボード5の各部の厚さを測定する厚さ測定ステップと、該ドレッシング部材9の外周の位置を検出する外周検出ステップと、を含む。該外周検出ステップでは、該厚さ測定ステップにて測定した各部の厚さと、厚さの測定が実施された位置と、の関係から該ドレッシング部材9の外周の位置を検出する。そして、該外周検出ステップで検出された該ドレッシング部材9の外周の位置から該ドレッシング部材9の外径サイズを算出する。
外径サイズ算出ステップS3を実施した後、ドレッシングボード5の品種を判別する判別ステップS4を実施する。判別ステップS4では、算出された該外径サイズを該記憶部44bに記憶されたドレッシングボードの品種毎の該ドレッシング部材の外径サイズと照合することで該検出ユニット46に搬入された該ドレッシングボード5の品種を判別する。
外径サイズ算出ステップS3及び判別ステップS4について図2(A)、図2(B)、及び図2(C)を用いてさらに説明する。
図2(A)、図2(B)、及び図2(C)には、それぞれ、ドレッシングボード5a,5b,5cの一例の断面図が模式的に示されている。ドレッシングボード5a,5b,5cは、それぞれ、支持基台7a,7b,7cと、該支持基台7a,7b,7cに支持されたドレッシング部材9a,9b,9cと、を有する。ドレッシング部材9aは外径サイズ11aを有し、ドレッシング部材9bは外径サイズ11bを有し、ドレッシング部材9cは外径サイズ11cを有する。
外径サイズ算出ステップS3において、品種の判別対象であるドレッシングボードのドレッシング部材が外径サイズ11bを有すると算出される場合について説明する。この場合、判別ステップS4では、該ドレッシングボードの品種が図2(B)に示すドレッシングボード5bの品種であると判別される。また、外径サイズ算出ステップS3において、品種の判別対象であるドレッシングボードのドレッシング部材が外径サイズ11cを有すると算出される場合について説明する。この場合、判別ステップS4では、該ドレッシングボードの品種は図2(C)に示すドレッシングボード5cの品種であると判別される。
なお、本実施形態に係る判別方法では、判別ステップS4を実施した後、該判別ステップS4にて判別したドレッシングボードの品種が研削装置2に装着された研削砥石のドレッシングに適しているか否かを判定する判定ステップS5をさらに実施してもよい。例えば、研削装置2の制御ユニット44には研削砥石の品種に関する情報、または、該研削砥石のドレッシングに適したドレッシングボードの品種に関する情報が登録されている。
そして、判定ステップS5では、判別ステップS4により判別したドレッシングボードの品種が研削砥石のドレッシングに適した品種であるか否かを判定する。判定ステップS5において、ドレッシングボードの品種がドレッシングの対象となる研削砥石のドレッシングに適した品種であると判定される場合、該判定ステップS5の後に該ドレッシングボードで該研削砥石のドレッシングを実施するドレッシングステップをさらに実施してもよい。
その一方で、判定ステップS5においてドレッシングボードの品種が対象となる研削砥石のドレッシングに適した品種ではないと判定される場合、その旨を研削装置2の使用者等に警告する警告ステップを実施してもよい。
このように、本実施形態に係る研削装置及び判別方法によると、研削砥石をドレッシングする前に、ドレッシングに使用されるドレッシングボードの品種を判別できる。そのため、該ドレッシングボードが該研削砥石のドレッシングに適さない場合に、ドレッシングを実施せずに研削装置の使用者に警告できる。したがって、不適切なドレッシングが実施されるのを防止でき、研削装置及び研削砥石の不具合を防止でき、結果として研削装置による研削の効率を向上できる。
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、ドレッシングボードのドレッシング部材の外径サイズを算出して該ドレッシングボードの品種を判別する場合について説明した。ところが、例えば、ドレッシング部材の外径サイズが同様である複数の品種のドレッシングボードが存在する場合がある。この場合、ドレッシング部材の外径サイズを算出できてもドレッシングボードの品種を完全には特定できない。
しかしながら、この場合においても検出ユニット46に搬入されたドレッシングボード5の品種をいくつかの候補に絞ることはできる。そのため、検出ユニット46に搬入されたドレッシングボードの品種として挙げられる候補の中にドレッシングの対象となる研削砥石のドレッシングに適したドレッシングボードの品種が含まれない場合、ドレッシングの実施を中止できる。
本発明の一態様では、このように、ドレッシングボードの品種が一つの品種に完全に特定される必要はない。すなわち、本発明の一態様においてドレッシングボードの品種の判別とは、ドレッシングボードの品種の候補の範囲を狭めることをも含む。
例えば、ウェーハ1の粗研削に使用される研削砥石20aのドレッシングに使用されるドレッシングボードでは、ドレッシング部材の外径サイズが統一されている場合がある。それと同時に、ウェーハ1の仕上げ研削に使用される研削砥石20bのドレッシングに使用されるドレッシングボードでは、ドレッシング部材の外径サイズが統一されている場合がある。
そして、研削砥石20a及び研削砥石20bのドレッシングにそれぞれ使用されるドレッシングボードのドレッシング部材の外径サイズが異なる場合において、本発明の一態様は作用効果を奏する。
例えば、研削砥石20aのドレッシングに使用されるドレッシングボードで研削砥石20bのドレッシングを実施しようとするとき、本発明の一態様によると、ドレッシングボードの品種が不適切であることを検出できる。また、研削砥石20bのドレッシングに使用されるドレッシングボードで研削砥石20aのドレッシングを実施しようとするとき、本発明の一態様によると、ドレッシングボードの品種が不適切であることを検出できる。これらの場合においても、不適切なドレッシングが実施されるのを防止できる。
さらに、上記実施形態では、ドレッシングボードのドレッシング部材の外径サイズを算出する際に検出ユニット46を使用する場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、ドレッシングボードのドレッシング部材の外径サイズを算出する際に、例えば、第1の厚さ測定ユニット40または第2の厚さ測定ユニット42を使用してもよい。この場合、研削装置2の基台4の上には検出ユニット46が設けられていなくてもよい。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。