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JP7186123B2 - 除染泥土の処理方法 - Google Patents

除染泥土の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、除染泥土の処理方法に関する。
放射能汚染地域内にダム、湖沼等の水域が存在する場合には、その水域における底質の除染作業が行われる。
湖沼底の除染作業のために浚渫した除去土壌(以下「除染泥土」と称する)は、水分を多量に含んだ泥状物であることから、そのままの状態で保管することは困難である。除染泥土の処理については、凝集させた後、凝集除染泥土を保管袋に収納し、更にコンクリート製容器に収納して保管する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
除染泥土の凝集に用いられる凝集剤としては、石膏粉末を配合した凝集剤がある(例えば、特許文献2、3、4参照)。
特開2016-17772号公報 特開2010-172883号公報 特開2010-172882号公報 特開2003-94100号公報
泥土の水分を低減することによって、運搬や保存等が容易になる。このため、泥水に含まれる泥等の固形分と水分とを迅速に分離して、早期に固液分離を図ることが望まれている。しかしながら、特許文献1~3に記載されている凝集剤は、対象を凝集させる際に時間を要することから、迅速な固液分離を行うのは困難とされていた。
本発明の目的は、より迅速に固形分と水分とを分離して、泥土の水分を低減できる除染泥土の処理方法を提供することにある。
本発明に係る除染泥土の処理方法は、除染泥土を含む泥水に、無水石膏を含む脱水促進材を添加する脱水促進工程と、前記泥水中の固形分と水分とを分離する固液分離工程とを含む除染泥土の処理方法であって、前記無水石膏は、平均粒子径D50が5~100μmであり、X線回折により求められるピーク強度のうち、(020)面のピーク強度(I(020))と、(102)面のピーク強度(I(102))との比(I(020)/I(102))が、5以上であることを特徴とする。
本発明によれば、より迅速に固形分と水分とを分離して、泥土の水分を低減できる除染泥土の処理方法が提供される。
天然無水石膏の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 工業無水石膏の表面のSEM写真である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の除染泥土の処理方法は、除染泥土を含む泥水に、無水石膏を含む脱水促進材を添加する脱水促進工程と、前記泥水中の固形分と水分とを分離する固液分離工程とを含む。それぞれの工程について、以下に説明する。
[脱水促進工程]
まず、除染泥土を含む泥水に所定の脱水促進材を添加する。所定の脱水促進材が添加されることによって、除染泥土の脱水が促進される。本発明で用いられる脱水促進材は、無水石膏にポリマー等の成分を混合して得ることができる。無水石膏としては、例えば、天然無水石膏(タイ産)が挙げられる。その物性を、工業無水石膏(旭硝子(株)製)と比較して以下に示す。
<天然無水石膏と工業無水石膏との比較>
(平均粒子径D50)
各無水石膏について、湿式粒度分布から求めた平均粒子径D50を、下記表1にまとめる。なお、分散媒としては水を用い、超音波分散による前処理を施した後、粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製)により求めた。
Figure 0007186123000001
天然無水石膏は、平均粒子径D50が工業無水石膏より著しく大きいことが確認された。平均粒子径D50が大きいことは、泥水への分散性が向上する点で有利となる。
なお、天然無水石膏の平均粒子径D50が5μm未満と小さい場合には、泥水に良好に分散せず、脱水剤の機能が損なわれるおそれがある。一方、天然無水石膏の平均粒子径D50が100μmを超えて大きい場合には、他の成分との粒径の乖離が発生し、偏析が起こりうるという点で好ましくない。したがって、本発明においては、平均粒子径D50が5~100μmの天然無水石膏が用いられる。天然無水石膏の平均粒子径D50は、好ましくは10~40μmであり、より好ましくは15~30μmである。
(乾式粒度)
下記表2には、各無水石膏の乾式粒度をまとめる。乾式粒度は、目開き150μmの篩と、目開き90μmの篩とを用いて測定した。
Figure 0007186123000002
天然無水石膏は、150μm篩上の粒子の割合が工業無水石膏より少ないことが示された。この結果は、天然無水石膏の粒子径が、工業無水石膏より揃っていることを示している。天然無水石膏は、工業無水石膏より粒子径が大きいことが、図1と図2のSEM写真の比較からわかる。
下記表3には、天然無水石膏及び工業無水石膏に含まれる成分の含有量をまとめる。各成分の含有量は、ICP分析により求めた。
Figure 0007186123000003
CaOの含有量は、30~50%の範囲内であれば同等であるとみなすことができ、SOの含有量は、40~60%の範囲内であれば同等であるとみなすことができる。したがって、含有される成分に関しては、天然無水石膏は、工業無水石膏とは明確な差異は確認されない。なお、各無水石膏中の残部は不純分等である。
(結晶子測定)
全自動多目的X線解説装置(D8 ADVANCE ブルカー・エイエックス社製)を用いて、天然無水石膏(タイ産)及び工業無水石膏(旭硝子(株)製)の結晶子を測定した。測定条件は以下のとおりとした。
・管電圧、管電流:40kV、40mA
・走査範囲:20~50° ・ステップ幅:0.02° ・計測時間:1S/ステップ
・発散スリット、受光スリット:いずれも0.3°
結晶子は、(020)面のピークからシェラーの式より算出した。結晶子の算出は、装置による自動計算で行われる。
D=Kλ/(Bcosθ)
(D:結晶子サイズ、 K:シェラー定数(0.9)、 λ:X線波長
B:ピーク半地幅、 θ:ブラッグ角)
得られた結果を、下記表4にまとめる。
Figure 0007186123000004
天然無水石膏は、ピーク強度及び結晶子が工業無水石膏より大きいことが確認された。したがって、天然無水石膏は、工業無水石膏と比較して配向性が高いことがわかる。
天然無水石膏は、工業無水石膏より配向性が高いことから、長さ方向に成長した繊維状を有していると推測される。下記表5には、(020)面と(102)面との強度比を示す。
Figure 0007186123000005
上記表に示される結果に基づいて、天然無水石膏のピーク強度比は、X線回折により求められるピーク強度のうち、(020)面のピーク強度(I(020))と、(102)面のピーク強度(I(102))との比(I(020)/I(102))を5以上に規定した。比(I(020)/I(102))は、好ましくは50以下であり、より好ましくは10~40であり、最も好ましくは15~30である。
比(I(020)/I(102))が小さすぎる場合は、配向性が高くなく、長さ方向へ成長した繊維状を示さないことから、泥水への分散性に悪影響を及ぼすと考えられる。比(I(020)/I(102))を5以上に規定することにより、泥水への分散性が向上することが見出された。容易に測定可能な強度比の範囲を考慮すると、比(I(020)/I(102))の上限は50程度とすることができる。
天然無水石膏は、工業無水石膏と比較して平均粒子径D50が著しく大きいのに加え、結晶性が高く配向性も高いことが、以上の結果からわかる。天然無水石膏は、自然界で長期間かけて生成される。これに対し、工業無水石膏の場合、例えばリン酸石膏(phospho gypsum)では、リン鉱石と硫酸とを反応させてリン酸を製造する際、短期間に生成される。天然無水石膏と工業無水石膏との結晶の生成速度の違いに基づいて、特性の違いが生じること、こうした物性に起因して、天然無水石膏を含有する脱水促進材は、水への分散性が工業無水石膏より優れ、汚濁浮遊物が凝集する際の核として有効に作用することが推測される。
<ポリマー>
ポリマーは、凝集によるフロックの肥大化という効果を付与するが、過剰に配合されても効果が顕著に向上するわけではない。天然無水石膏100質量部に対して、10~15質量部のポリマーが用いられれば、所望の効果を十分に得ることができる。
ポリマーとしては、合成ポリマー及び天然ポリマーのいずれを用いてもよい。合成ポリマーとしては、重量平均分子量(Mw)が600万~1200万程度の低アニオン低分子ポリマーと、Mwが1300万~1600万程度の強アニオン高分子ポリマーとを組み合わせて用いることが好ましい。低分子ポリマーと高分子ポリマーとは、任意の割合で用いることができる。例えば、質量比(低分子ポリマー:高分子ポリマー)は80:20~40:60程度とすることができる。
合成ポリマーとしては、従来公知のものを使用することができる。例えば、アクリル酸ナトリウム等のカルボン酸塩系の重合体、カルボン酸塩とアクリルアミドとの共重合体、スルホン酸塩とアクリルアミドとの共重合体、アルキルアミノアクリレート塩とアクリルアミドとの共重合体、アルキルアミノメタクリレート塩とアクリルアミドとの共重合体等が挙げられる。このうち、ポリカルボン酸塩系物質、即ち、カルボン酸塩の重合体、及び、カルボン酸塩とアクリルアミドとの共重合体が好ましい。
カルボン酸塩とアクリルアミドとの共重合体におけるポリカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
また、スルホン酸塩とアクリルアミドとの共重合体におけるスルホン酸としては、例えば、アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等を挙げることができる。
アルキルアミノアクリレート塩とアクリルアミドとの共重合体におけるアルキルアミノアクリレート塩としては、アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイル2-ヒドロキシプロピルリド等を挙げることができる。
アルキルアミノメタクリレート塩とアクリルアミドとの共重合体におけるアルキルアミノメタクリレート塩としては、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、メタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタアクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メタアクリロイル2-ヒドロキシプロピルリド等を挙げることができる。合成ポリマーは、その効果を逸脱しない範囲において、適宜その構成を変更することができる。
天然ポリマーの例としては、グアーガム、ローストグアガム、ローストビンガムなどの種子多糖類、アラビノガラクタンガム、アラビヤガムなどの樹脂多糖類、アルギン酸、キトサンなどの海草多糖類、ペクチン、サイリュームガムなどの果実多糖類、澱粉、コンニャクなどの根茎多糖類、セルロースなどの繊維多糖類、微生物系のザンサンガム、ザンコート、ザンフロー、カードラン、サクシノグルカンなど、動物系のゼラチン、カゼイン、アルブミン、シュラックなどが挙げられる。また、澱粉、グアーガム、ローストグアガム、セルロース、アルギン酸などに酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、リン酸化、カチオン化などの処理を施すことによって得られる澱粉誘導体、グアーガム誘導体、ローストグアガム誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸誘導体などを用いてもよい。天然ポリマーは、その効果を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
<その他の成分>
本発明に用いられる脱水促進材には、硫酸アルミニウム、ソーダ灰、粉末ポリ塩化アルミニウム(PAC)、珪藻土(P1200)等が含有されていてもよい。こうした成分は、天然無水石膏100質量部に対して、それぞれ以下の割合で用いることが好ましい。
硫酸アルミニウム:15~30質量部
アルギン酸:1~10質量部
ソーダ灰:10~20質量部
粉末PAC:0.5~10質量部
珪藻土:5~20質量部
<脱水促進材>
脱水促進材は、天然無水石膏に対し、所定量のポリマー、及び硫酸アルミニウム等の成分を配合し、粉体用混合機等を用いて混合することによって作製することができる。
脱水促進材は、除染泥土を含む泥水100質量部に対して、0.01~0.1質量部添加すれば、所望の効を十分に得ることができる。所定の容器内に泥水とともに脱水促進材を収容し、例えば撹拌羽根等を用いて100~400rpmで攪拌する。混合後、20秒~2分程度経過すると、フロックが生じて沈降する。フロックの沈降時間やフロックの質量に基づいて、除染泥土の脱水促進を判断することができる。
[固液分離工程]
除染泥土の脱水が促進された泥水は、透水部材を用いて固形分と水分とを分離する。透水部材としては、例えば、篩を用いることができる。篩の目開きは、適宜選択することができるが、0.25mm~1.8mmの範囲内であることが好ましく、0.4mm~1.2mmの範囲内が更に好ましい。所定の目開きの篩上に泥水を供給すると固形分と水分とが分離されて、水分の低減されたフロックが篩上に得られる。
少なくとも一部が透水部材からなる袋体に泥水を収容して、固液分離を行うこともできる。この場合の透水部材としては、目開きが0.25~1.8mmのメッシュ材、好ましくは0.4mm~1.2mmのメッシュ材が挙げられる。メッシュ材は、袋体の底部を構成していることが好ましく、袋体の全体がメッシュ材であることがより好ましい。
袋体に泥水を収容し、例えば上方から吊り下げることで水分が排出されて、脱水された泥土を得ることができる。泥土は既に袋体に収容されているため、脱水後の運搬や保存等の作業が容易となる。
泥水が収容された袋体を加圧した場合には、水分の排出が加速されるので、より迅速に固液分離を行うことができる。また、泥水が収容された袋体を回転させて遠心分離処理を行った場合にも、水分の排出を加速することができる。
以下に本発明の具体例を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
<使用する石膏の選定>
まず、天然無水石膏と工業無水石膏について、脱水性能の確認を行った。具体的には、ため池底質に天然無水石膏と工業無水石膏とをそれぞれ添加し、フロックの形成試験、及び沈降試験を行った。
(試料の作製)
ため池底質25gに水475gを加えて、泥水500gを調製した。得られた泥水に、天然無水石膏(タイ産)を0.3g添加して試料を作製した。
(試験の内容)
フロック形成試験:作製した試料(天然無水石膏が添加された泥水)を、汎用攪拌機(新東科学株式会社製 汎用撹拌機BL300)を用いて混合速度200rpmで撹拌した。1分後、篩(篩目850μm)を用いて泥水を漉して固液分離し、篩上のフロックの質量を測定した。
さらに、篩の目開きを変更する以外は前述と同様にしてフロック形成試験を行い、篩上のフロックの質量を測定した。その結果を、下記表6に示す。篩上のフロックが多いほど、脱水が促進されたことを示す。
Figure 0007186123000006
比較のために、前述と同様の泥水(500g)に工業無水石膏(旭硝子社製)を0.3g添加して、同様にフロック形成試験を行った。固液分離には、目開きは850μmの篩を用いた。篩上のフロックの質量は、下記表に示すとおりである。
Figure 0007186123000007
上記表に示されるように、天然無水石膏を用いた試料は、工業無水石膏を用いた試料に比べて、篩上に残った全質量及び全質量から水分を抜いた乾燥質量のいずれも大きい。これは、天然無水石膏を添加した試料が、工業無水石膏を用いた試料に比べて好適にフロックを形成し、泥水中の固形分(乾燥質量に含まれる材)をフロック中により多く取り込んで、泥水中の固形分が篩を通過することを抑制することに基づく。即ち、工業無水石膏に比べて天然無水石膏の方が、汚濁浮遊物が凝集する際の核として有効に作用して大きなフロックを形成しやすく、故に泥水に対する脱水促進性能が高いことが示された。
沈降性試験:フロック形成試験で作製した試料と同じ試料を、フロック形成試験と同様に撹拌した後に500mlのメスシリンダーに投入・静置し、沈降量を測定した。本試験では併せて原水(石膏無添加の泥水)についても測定を行った。測定結果を下記表8に示す。
Figure 0007186123000008
上記表に示されるように、天然無水石膏を用いた試料は、10秒強で約70%が沈降し、1分では80%が沈降している。これに対して工業無水石膏を用いた試料は、70%沈降するのに30秒強、80%沈降するのに5分経過している。天然無水石膏を用いた試料は、工業無水石膏に比べて泥水中の固形分を早期に凝集して沈降させることができ、脱水促進性能が高い。これは、天然無水石膏が工業無水石膏に比べて水への分散性が優れ、かつ大きなフロックをできることに基づいている。
以上の結果に示されるように、天然無水石膏は、工業無水石膏に比べて脱水促進性能が優れている。したがって、天然無水石膏を含有する脱水促進材を用いた本発明の方法で処理することによって、より迅速に固形分と水分とを分離して泥土の水分を低減できることが期待される。
以下においては、天然無水石膏または工業無水石膏を含有する脱水促進材を製造し、得られた脱水促進材を用いて、除染泥土を処理する。
<脱水促進材の作製>
天然無水石膏100質量部に対し、下記表9に示す質量部で、ポリマー、硫酸アルミニウム、アルギン酸(粗粉)、ソーダ灰、粉末ポリ塩化アルミニウム(PAC)、珪藻土(P1200)を配合して、サンプル1~10の脱水促進材を作製した。
Figure 0007186123000009
比較のために、天然無水石膏を工業無水石膏に変更した以外はサンプル3と同様の処方で、サンプル11の脱水促進材を作製した。
<泥水の処理>
処理対象としては、除染泥土(福島県の所定のため池から採取した底質土)25gと水道水475gとを混合して、500gの泥水を調製した。天然無水石膏を含有するサンプル1~10を用いた処理は実施例1~10とし、工業無水石膏を含有するサンプル11を用いた処理は比較例とする。
まず、泥水に各脱水促進材をそれぞれ加えて脱水を促進した後、固液分離を行った。フロック形成速度、フロックの大きさ、上水のpH、及び上水の透明度を総合的に判断して処理性能を評価した。具体的には、1リットルのガラスビーカーに上記泥水を収容し、0.3g(0.06質量%)の脱水促進材をそれぞれ加えた。汎用撹拌機(新東科学株式会社製 BL300)を用いて、目視により観察しつつ、回転数200rpmで攪拌して脱水促進材と泥水とを混合した。
泥水中の脱水促進材の分散状態を目視により観察したところ、サンプル1~10の脱水促進材は、サンプル11の脱水促進材より良好に分散していることが確認された。
(フロック形成速度)
混合開始からフロックが形成されるまでの時間(tF)を測定し、以下のようにフロック形成速度を評価した。
◎:tF≦30sec
○:30sec<tF≦60sec
△:60sec<tF≦120sec
×:tF>120sec
なお、フロックが形成されない場合も、フロック形成速度は“×”とした。
フロック形成速度は、“△”、“○”、“◎”を合格とする。フロック形成速度が短いほど、脱水促進性能が優れており、処理時間の短縮にもつながる。
(フロックの大きさ)
フロックを含有する泥水を目開き850μmの円形篩を用いて、固形分(フロック)と水分とを分離し、篩上に残ったフロックの大きさを測定した。フロックの大きさとは、泥水中に形成されたフロックの大きさをさし、目視及びビーカーの外からの計測により求めた。フロックの大きさが5mm以上10mm以下であれば“大”とし、1mm以上5mm未満であれば“小”とする。形成されるフロックが大きいほど、固液分離を迅速に行うことができる。
(篩下の水分の評価)
篩下の水分のpHは、卓上型pHメーターにより測定した。pHは、5~9程度であることが好ましく、5.8~8.6程度であることがより好ましい。
篩下の水分の透明度は、目視により調べ、以下の基準により評価した。
◎:浮遊物が見られず、水が透明になる
○:浮遊物が若干あるが、水がほぼ透明になる
△:浮遊物が若干あり、水に若干の濁りがある
×:浮遊物があり、水に濁りがある
透明度が優れていることは、泥水中の汚濁浮遊物が沈降したこと、即ち、脱水が促進されたことに相当する。
フロック生成速度、フロックの大きさ、上水のpH、及び上水の透明度を、処理性能の総合評価とともに下記表10にまとめる。なお、総合評価は、フロック形成速度及びフロックの大きさを主とし、上水の透明度及びpHを従として総合的に判断して求めた。
Figure 0007186123000010
上記表10に示されるように、天然無水石膏を含有する脱水促進材を用いた実施例1~10では、工業無水石膏を含有する脱水促進材を用いた比較例よりも、泥土中の固形分と水分とを迅速に分離することができ、脱水性能が向上することが確認された。

Claims (4)

  1. 放射能に汚染された除染泥土の処理方法であって、
    除染泥土を含む泥水に、無水石膏を含む脱水促進材を添加する脱水促進工程と、前記泥水中の固形分と水分とを分離する固液分離工程とを含
    前記無水石膏は、湿式粒度分布から求めた平均粒子径D50が5~100μmの天然無水石膏(タイ産)であり、X線回折により求められるピーク強度のうち、(020)面のピーク強度(I(020))と、(102)面のピーク強度(I(102))との比(I(020)/I(102))が、5以上であり、篩を用いた乾式粒度測定の結果、目開き150μmの篩を通過しない粒子が0.1%未満であって、目開き90μmの篩を通過する粒子が98.7%以上であ
    ことを特徴とする除染泥土の処理方法。
  2. 前記比(I(020)/I(102))が50以下であることを特徴とする請求項1に記載の除染泥土の処理方法。
  3. 前記固液分離工程は、少なくとも一部が透水部材からなる袋体を用いて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の除染泥土の処理方法。
  4. 前記透水部材は、目開きが0.25~1.8mmのメッシュ材であることを特徴とする請求項に記載の汚染泥土の処理方法。
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