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JP7182291B2 - 甲状軟骨の形状測定治具 - Google Patents

甲状軟骨の形状測定治具 Download PDF

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Description

本発明は、甲状軟骨の形状測定治具に関する。
声門が閉じすぎて声帯が振動しない等の痙攣性発声障害を改善するために、例えば下記特許文献1に示された発声障害治療具が提案されている。特許文献1に開示された発声障害治療具は、切開した甲状軟骨の両側の切断端部を挟持する2つのチタン製の挟持部と、前記2つの挟持部を架橋し、切開した甲状軟骨の切開間隔を保持するチタン製の架橋部とを備えている。前記挟持部は、切開された甲状軟骨の前面側に配される前面片と、甲状軟骨の後面側に配される後面片とを具備している。
そして、甲状軟骨の正中を切開し、甲状軟骨の切断端部を鉗子等により拡開し、拡げられた互いに対向する切断端部に挟持部を嵌合させて鉗子等を外す。そうすると、拡げられた切断端部が閉じる方向に弾性復帰するため、切断端部の間に治療具がしっかりと固定される。
更に、前面片に治療具の把持等の目的で形成された孔に縫合糸を通して、治療具と甲状軟骨と縫合する。これにより、設置された治療具の切断端部におけるズレをより確実に防止する。以上により、拡開させた甲状軟骨の間に治療具を確実に固定することができる。
治療具を設置すべき甲状軟骨における位置は、多くの場合甲状軟骨を正中切開した上端及び下端である。この設置部位における甲状軟骨の形状は患者によって異なる。特に、甲状軟骨の突出角度又は傾斜角度は男女又は人種によって大きく異なる。したがって、治療具は、挟持部の前面片を甲状軟骨の前面の形状に沿うように折り曲げられ、孔部が甲状軟骨の極力近くに位置して縫合により固定しやすくすることが望まれる。このため、甲状軟骨に設置する治療具の曲げ具合は予め一律にするのは困難で、患者ごとの軟骨の形状に応じて設定することが好ましい。
特開2005-330号公報
しかし、喉を切開して甲状軟骨を正面から見ただけでは、甲状軟骨の形状を把握することは困難である。また、プラスチック等の型取りジェルを甲状軟骨に当てて甲状軟骨の形状を特定することも考えられるが、型取りに時間が掛かるため好ましくないこと、当該ジェル成分が当該部位に及ぼす影響も考慮する必要がある。また、銅線等の様に、形状が容易に変えられる物を甲状軟骨の前面に当てて型を取ることもできるが、甲状軟骨に押し当てて型取りをすることより、甲状軟骨及び周辺組織に及ぼす影響が懸念される。また、銅線等の金属類は、曲げた後に幾分弾性復帰してしまうため、正確な型取りが難しい。
そこで本発明は、甲状軟骨の前面の形状を簡便に測ることのできる甲状軟骨の形状測定治具を提供することを課題とする。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具は、相対的にスライド可能な複数の可動部材を有し、前記複数の可動部材の先端面を甲状軟骨の前面に接触させて前記甲状軟骨の形状を表示させる表示部と、前記可動部材を一方向に配列して保持するとともにスライドさせた前記可動部材を固定可能な保持部とを有する。
この構成によれば、甲状軟骨の前面の形状を容易に測定することができる。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記表示部は、前記一方向に間隔を空けて2つ設けられていてもよい。
この構成によれば、切開される甲状軟骨の切断端部の両方の形状を一度にとらえることができる。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の2つの前記表示部同士の間を調整するスペーサが備えられてもよい。
この構成によれば、甲状軟骨の形状測定後に、甲状軟骨に設置する治療具の架橋部の長さに合わせて表示部同士の間を任意に設定することができ、治療具の前面片の曲げ具合をトレースしやすい。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記可動部材は、前記保持部に対して着脱自在に設けられていてもよい。
この構成によれば、甲状軟骨の形状測定治具の使用後に洗浄及び滅菌処理を行いやすい。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記保持部に配列された前記可動部材の厚さ寸法は0.5mm以上5mm以下であってもよい。
この構成によれば、設置部位における甲状軟骨の形状を正確にとらえやすい。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記保持部には、前記可動部材を摺動自在とする溝部が形成された挿通孔又は前記可動部材を一つずつ挿通させる挿通孔が形成されていてもよい。
この構成によれば、可動部材を取り扱い易く、又は可動部材の一つを動かした際に他の可動部材が追従することを防止することができる。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記複数の可動部材には、前記可動部材同士が相対移動する方向に延びる長孔が形成されており、前記表示部を構成する複数の前記可動部材の前記長孔にリング部材が挿通されていてもよい。
この構成によれば、可動部材を表示部毎にまとめることができ、可動部材の取り扱いが容易となる。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記スペーサには孔が形成され、前記スペーサの前記孔に前記リング部材を挿通させた状態で前記スペーサが前記リング部材に回転自在に保持されており、前記スペーサには、前記孔を挿通している前記リング部材の箇所と異なる箇所に掛けることが可能な切欠きが形成されていてもよい。
この構成によれば、可動部材を表示部毎にリング部材によってまとめられる上に、スペーサもリング部材に連結させることができ、可動部材及びスペーサの取り扱いが容易になる。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記複数の可動部材のいずれかの可動部材の側面又は基端面には、他の可動部材と異なる色が付されていてもよい。
この構成によれば、甲状軟骨の形状測定治具の可動部材の視認が容易となり、甲状軟骨の形状測定治具の取り扱いが容易となる。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の前記複数の可動部材の側面には、これら複数の可動部材の基端面又は先端面を揃えて配列した状態で水平方向に直線状に延びる目盛が一定間隔で付されていてもよい。
この構成によれば、甲状軟骨の形状をトレースした際に、表示部の側面の目盛により、複数の可動部材が互いにどの程度相対移動したかを計算しやすくなる。
本発明は、甲状軟骨の前面の形状を簡便に測ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の使用状態を示す図である。 本発明の甲状軟骨の形状測定治具を用いて測定された甲状軟骨の形状が反映された発声障害治療具を示す斜視図である。 本発明の甲状軟骨の形状測定治具を用いて変形される発声障害治療具を甲状軟骨に設置した状態を示す図である。 (a)本発明の甲状軟骨の形状測定治具の可動部材を示す側面図及び(b)同可動部材の正面図である。 (a)本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の、甲状軟骨をトレースし、スペーサを配した状態を示す側面図である。(b)本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の、甲状軟骨をトレースし、スペーサを配した状態を示す正面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具を示す平面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具を示した側面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の保持部の変形例を示す平面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の保持部の変形例を示す平面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す側面図である。 本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す正面図である。 (a)-(c)本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具の変形例を示す平面図である。
本発明の甲状軟骨の形状測定治具の各実施形態について、その使用対象である発声障害治療具と共に、図を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態の甲状軟骨の形状測定治具(以下「測定治具」と称する)20は、図2に示す発声障害治療具(以下「治療具」という)Xの前面片1aの折り曲げる角度を測るために、甲状軟骨11の形状をトレースするものである。
まず、形状測定治具20の使用対象となる治療具Xについて説明する。
図2に示すように、治療具Xは、前面片1aと後面片1bとを具備し、切開された図3に示す甲状軟骨11の互いに対向する切断端部12、12のそれぞれに嵌合させる複数の(本実施形態では一対一組の)挟持部1、1と、複数の挟持部1、1を連結する架橋部2と、を備えている。
前面片1aは、平面視で略短冊状の板状に形成されている。前面片1aの長手方向の基端側は、折り曲げられて図3に示す甲状軟骨11の切断端面12aに当接させる端面部1cを形成している。前面片1aの端面部1cよりも先端側は、甲状軟骨11の前面11aに設置させる表面設置部1dを形成している。
前面片1aには、長手方向に間隔を置いて孔3が複数(本実施形態では2つ)形成されている。前面片1aの基端側の孔3は、表面設置部1dを平面視した際の基端縁から2mm程度の位置に形成され、先端側の孔3は、基端側の孔3から2mm程度の間隔を空けて形成されている。これらの孔3、3は、縫合糸(不図示。以下同様)を挿通させることができるようになっており、縫合針を挿通できるよう1.0mm~2.0mmの大きさに形成されている。
図2及び図3に示すように、後面片1bは、前面片1aの端面部1cから図3に示す甲状軟骨11の後面11b側に向かって折れ曲がった部分である。
前面片1aと後面片1bとは一体的に形成されて挟持部1を構成しており、挟持部1は全体として略J字状(略逆J字状)に形成されている。
挟持部1において、前面片1aの長さは、甲状軟骨11を挟持するのに必要十分であって、甲状軟骨の形態に沿える程度の長さであればよく、具体的には、8mm~12mm程度に設定されていることが好ましい。また、後面片1bは、甲状軟骨11の切断端部12の端縁から甲状軟骨11の下にある軟部組織15の端縁に触れる程度の長さとなっていることが好ましく、具体的には、1.5mm~3.5mm程度であることが好ましい。
図3に示すように、挟持部1は、前面片1aが甲状軟骨11の前面11a側及び切断端面12aに配され、後面片1bが甲状軟骨11の後面11b側に配され、互いに対向する甲状軟骨11の切断端部12、12のそれぞれに嵌合し得るように、左右対称に一対設けられている。また、一対の挟持部1、1は、架橋部2によって連結されている。
図2に示すように、架橋部2は、挟持部1を連結する部分であり、端面部1cの延出方向中間部で挟持部1を連結している。架橋部2の長さd、すなわち両挟持部1、1の間隔Dは、図3に示す拡開した甲状軟骨11の切断端部12、12同士の間の距離に相当し、発声障害を持つ患者の症状、患者の体型、発声状態に応じて異なるが、一般に2~6mmの範囲に設定される。
好ましい態様において、治療具Xの挟持部1及び架橋部2は、いずれもチタンで構成されている。
治療具Xに用いられるチタン金属は、純金属としてのチタンに限定されず、生体用金属材料として人工骨、人工関節、人工歯根にも利用されているチタン合金を包含する。具体的には、発ガン性やアレルギーの原因が指摘されているNiを含まず、生体適合性に優れたチタン合金として知られているTi-6Al-4Vなどを用いることができる。チタン又はチタン合金は、摩耗や溶出を防止するために、NやCのイオン注入により表面改質されたものを用いてもよい。
表面設置部1dと後面片1bとの間隔(端面部1cの幅寸法)tは、図3に示す甲状軟骨11の厚さ寸法よりも僅かに大きいことが好ましく、具体的には2~4mm程度であることが好ましい。間隔tが図3に示す甲状軟骨11の厚さ寸法よりも小さいと、甲状軟骨11を締め付け、挟持部1が甲状軟骨11を長期間圧迫し続けることになり、甲状軟骨11の摩減や損傷を招くおそれがあるからである。一方、表面設置部1dと後面片1bとの間隔tが甲状軟骨11の厚さ寸法と比べて大き過ぎると、実質的に甲状軟骨11を挟持し難く、甲状軟骨11に対して挟持部1が相対的に位置ずれ(スライド)しやすくなるからである。
次に、測定治具20の構成について説明する。
図1に示すように、測定治具20は、偏平面を重ね合わせて一方向に配列した複数の可動部材21を甲状軟骨11の前面11aに接触させてその形状を表わす表示部22と、可動部材21を保持しかつ固定可能な保持部23とを備えている。
本実施形態においては、表示部22は可動部材21の配列方向に間隔を空けて2つ設けられている。
図4(a),(b)に示すように、個々の可動部材21は、偏平な略矩形の板状に形成されている。可動部材21は、偏平面21a,21aと、側面21c,21cと、先端面21tと、基端面21bとを有している。
図5(a)に示すように、表示部22は、可動部材21の偏平面21aが対向するように複数の可動部材21を重ね合わせて形成されている。
一つの表示部22は、各々の可動部材21の厚さ寸法にもよるが、例えばトレースしたい図1に示す甲状軟骨11の前面11aを切断仮想線Yで分けた左右の2つの領域の一方に当てることができるように、2以上の可動部材21を備えている。具体的には、表示部22は、可動部材21の配列方向の全体の長さが3mm以上、好ましくは6mm以上になる個数の可動部材21を備えているとよい。例えば、表示部22は、可動部材21の厚さが1mmである場合には、3個以上、好ましくは6-10個の可動部材21を備えているとよい。本実施形態では、1mmの厚さを有する可動部材21を8つ備えて一つの表示部22を構成している。
一つの可動部材21の厚さ寸法Lは、特に限定されないが、厚さ寸法Lが小さいほど、細かな形状変化を表すことができる。厚さ寸法Lは、0.5mm以上2mm以下であることが好ましく、0.5mm又は1mmに設定されていることがより好ましい。特に、可動部材21の厚さ寸法Lが0.5mm又は1mmに設定されていると、特定の箇所(例えば仮想線Yなど)から形状が変化している位置までの距離を容易に計算することができる。
可動部材21の偏平面21aの寸法は、甲状軟骨11に可動部材21を当てる際の操作性及び切開した皮膚の開口部の大きさ、深さ等の観点から、可動部材21を把持し易くかつ切開した開口部に挿入し易い大きさに形成されていればよい。可動部材21の偏平面21aの寸法は、横方向(すなわち短手方向)の寸法を2mm以上10mm以下、縦方向(すなわち長手方向)の寸法を30mm以上100mm以下とすることが好ましい。横方向の寸法を2mm以上10mm以下とするのは、可動部材21の先端面21tを甲状軟骨11の前面11aに当てた際の安定性を保ちかつ甲状軟骨11の前面11aの凹凸に対応し易くするためである。縦方向の寸法を30mm以上100mmとするのは、切開した皮膚の開口部から甲状軟骨11に到達する長さを担保し、かつ医師等の施術者が取り扱いやすくするためである。
図4に示す例において、可動部材21の先端面21tは、側面視で滑らかな円弧形状、つまり、角をとった形状になるように形成されている。このように可動部材21の先端面21tを形成することにより、甲状軟骨11の前面11aに接触させた際に甲状軟骨11に傷等が付くことを防止できる。
可動部材21の材質は、滅菌可能で容易に折れ曲がったり変質又は破損したりすることのない剛性を有する樹脂又は金属を用いることができ、具体的には例えばSUS又は治療具Xに用いられるのと同様の材質等を用いることができる。
図6に示すように、保持部23は、一つの表示部22を構成する複数の可動部材21を互いに相対的にスライド可能にかつ不用意に移動不能に保持可能な大きさの挿通孔24を有した枠状の部材である。挿通孔24は可動部材21の配列方向に間隔を空けて2つ形成されている。
保持部23は、具体的には、表示部22の周囲すなわち偏平面21a同士を重ね合わせた状態の複数の可動部材21の周囲を取り囲んで保持する外壁部25と2つの表示部22,22間を区切る内壁部26,26とを有している。
外壁部25及び内壁部26により形成される挿通孔24は、一つの表示部22の平面視の形状と略同形状かつ同寸法に形成され、重ねられた複数の可動部材21がスライド可能にかつ不用意には動かないようにタイトに保持できるようになっている。
図5(a)に示すように、内壁部26,26間は、これらの間隔を調整するためのスペーサ40を配することができるように分離自在になっている。図5に示す例では、内壁部26,26同士は、少なくとも一部にマグネットを備えており、互いに着脱自在になっている。内壁部26,26の厚さは、図2に示す治療具Xの架橋部2の幅寸法dの最小幅(約1mm)以下の寸法に設定されているとよい。
スペーサ40は、保持部23,23の間隔を調整するための板部材である。スペーサ40の厚さは、特に限定されないが、保持部23,23の間隔を0.5mm又は1mm毎に調整できるように、0.5mm又は1mmに形成されている。スペーサ40は、保持部23,23がスペーサ40の長手方向に対してほぼ同じ位置に取り付けられるように、長手方向の少なくともいずれか一方の端部(本実施形態では両端)に、保持部23の端面に係合させる係合部40aを有しているとよい。
図5(b)に示すように、スペーサ40の短手方向の寸法(すなわち可動部材21の横方向に対応する方向の寸法)は、特に限定されないが、保持部23の対応する横方向の寸法よりも大きく形成され、可動部材21を取り付けやすくなっている。
また、図5に示す例において、スペーサ40は、内壁部26のマグネット部に取り付けられるよう金属を含んで形成されている。
次に、測定治具20の使用方法について説明する。
まず、図7に示すように、測定治具20の保持部23,23を揃えて内壁部26,26同士をマグネットの磁力で密着させ、可動部材21の先端面21t及び基端面21bを側面視で直線状に揃えておく。その上で、図1に示すように、測定治具20を、甲状軟骨11を切断する前面11aの仮想線Y上に内壁部26,26の間が位置するように配置する。そして、表示部22の複数の可動部材21の先端面21tを甲状軟骨11の前面11aに接触させ、前面11aから浮いている可動部材21をスライドさせて全ての可動部材21の先端面21tを前面11aに接触させる。
甲状軟骨11の前面11aの形状をトレースできたら、その状態で可動部材21が動かないように測定治具20を甲状軟骨11から取り外す。甲状軟骨11は、図3に示すように切開しておき、切断端部12,12同士を広げる寸法を決定する。決定された寸法よりも内壁部26,26の厚さ分小さい厚さのスペーサ40を内壁部26,26の間に配する。
以上により、甲状軟骨11の前面11aの形状と切断端部12,12間の寸法が測定治具20の表示部22,22及びスペーサ40に表れるので、治療具Xの左右の前面片1a,1aを可動部材21の先端面21t又は基端面21bの描く形状に合わせて変形させる。このようにして治療具Xを変形させることにより、図3に示すように所定の間隔を空けた切断端部12,12同士の間に変形させた治療具Xを甲状軟骨11の前面11aにフィットするように設置することができる。
測定治具20の使用後は、保持部23から可動部材21を引き抜いてばらし、一つ一つを洗浄及び滅菌処理する。
このように、本発明の測定治具20によれば、治療具Xを設置する甲状軟骨11の切断端部12の前面11aの形状を容易かつ必要十分な精度で測定することができるという効果を奏する。
また、測定治具20を容易に分解及び組立できるようにしていることにより、測定治具20の洗浄及び滅菌処理等を適切に行って、衛生的に繰り返し使用することができるという効果を奏する。
なお、上記実施形態では、切断端部12,12間の寸法に合わせて所定の寸法に予め設定された1つのスペーサ40を用いた例を示したが、スペーサ40は、図8に示すように、例えば0.5mm又は1mm等、厚さが一定に設定された複数の板部材を重ね合わせて形成されていてもよい。スペーサ40をこのような構成にすると、甲状軟骨11の切断端部12,12間の拡開寸法に合わせて内壁部26,26間の寸法を任意に設定しやすくなるという効果を奏する。
また、内壁部26に近くに配された可動部材21の少なくとも基端面21b又は側面21cには、他の可動部材21とは異なる色を付していてもよい。このような構成とすることで、比較的小さな測定治具20の更に小さな構成である可動部材21の中心が視認しやすくなり、測定治具20を甲状軟骨11の前面11aに設置し易くなるという効果を奏する。
また、図9に示すように、表示部22を構成する可動部材21の側面21cには、これらの可動部材21の先端面21tを揃えた状態で複数の可動部材21間で直線となる線状の表示30が設けられていてもよい。
側面21cに付した直線状の表示30を有していれば、甲状軟骨11の前面11aの形状をトレースした結果を可動部材21の側面21cに表すこともできるという効果を奏する。
また、図9に示すように、可動部材21の厚みを形成している側面21cに、可動部材21間で水平方向に直線上に延びる目盛Mが一定の間隔で付されていてもよい。目盛Mの間隔は特に限定されないが、例えば0.5mmごとに付されていると可動部材21,21同士の相対的な移動寸法を容易に把握することができる。
また、図6に示す例では、上記で示した実施形態の測定治具20は、挿通孔24を形成する外壁部25の内壁面が平坦に形成されているが、図10に示すように、挿通孔24の内壁面25aに可動部材21の側面21cの形状に対応して可動部材21を摺動させる溝部35が形成されていてもよい。このような溝部35が形成されている場合には、可動部材21のスライド時に可動部材21が摺動すべき方向と異なる方向にぶれることを防止して、保持部23の挿通孔24の軸線方向に可動部材21をスライドさせることができる。これにより、測定治具20による甲状軟骨11の前面11a形状の測定がより正確になるという効果を奏する。
図11に示すように、保持部23は可動部材21の縦方向に間隔を空けて複数設置されていてもよい。この場合、スペーサ40は、一方の保持部23にのみ配されていても、双方の保持部23,23に亘って配されてもどちらでも構わない。このように保持部23を設置した場合には、スライド時の可動部材21のぐらつきを防止して、安定的に可動部材21の先端面21tを甲状軟骨11の前面11aに接触させることができる。また、可動部材21をより確実に保持することが可能となる。
この場合、保持部23の一方をシリコンその他の摩擦係数の高い樹脂等により形成し、可動部材21を段階的に締め付けることができる固定手段としてもよい。
このように保持部23を形成することで、保持部23を可動部材21の確実な固定手段とすることができ、甲状軟骨11の前面11aの形状をとらえた後に可動部材21が動いてしまう事を防止することができる。なお、保持部23を一つだけ設けた場合にもこのような構成を適用してもよい。
又は、測定治具20は、図12に示すように、可動部材21毎に個別に挿通孔24が形成された保持部23を有していてもよい。挿通孔24同士の間隔の寸法は特に限定されないが、0.5mmから1mm程度に設定されているとよい。挿通孔24同士の間隔をこのように設定することで、測定治具20は、形状の変化の概要をとらえやすく、甲状軟骨11の前面11aの曲り具合が現われている箇所を容易に把握することができる。
また、保持部23の挿通孔24を可動部材21毎に形成し、可動部材21同士の間に隙間を形成した構成を採用することにより、可動部材21を摺動させた際に隣り合う可動部材21が追従して動いてしまう事を防止することができる。また、可動部材21同士が離れているので、厚さが小さく設定された可動部材21の取り扱いが容易となるという効果が得られる。
なお、本変形例において、保持部23として、可動部材21毎に挿通孔24が形成された構成を例示したが、保持部23は、図示しないが、保持部23の内壁面に可動部材21を摺動させる溝部を形成し、その溝部同士の間に隙間を形成して可動部材21同士の間に隙間が形成されるようにしてもよい。
また、上記実施形態及びその変形例においては、表示部22を2つ設けた例を示したが、測定治具は、表示部22を一つだけ有するものであってもよい。この場合、測定治具20により、図1に示す甲状軟骨11の切断面が形成される仮想線Yを中心として、甲状軟骨11の前面11aの形状を左右別々に測定することができる。
また、可動部材21は、図示しないが保持部23の挿通孔24からの抜けを防止する係止凸部等が形成されていてもよい。
また、図13に示すように、保持部23は、2分割できるようになっていてもよい。2分割される一方の分割体36の分割面36aには、嵌合凸部37が形成され、同他方の分割体36の分割面36aには、嵌合凸部37に対応する嵌合凹部38が形成されているとよい。これらの嵌合凸部37及び嵌合凹部38が嵌合することにより、複数の可動部材21を挟み込んだ状態で分割体36が容易に分割しないように一体の保持部23にすることができる。
また、図14に示すように、可動部材21の基端面21b側には、一つの表示部22を構成する全ての可動部材21に連通する長孔39が形成され、この長孔39に複数の可動部材21をまとめて束ねておくリング部材45が挿通されていてもよい。この場合、長孔39は、可動部材21の先端面21tをそろえて配置した際にほぼ各可動部材21間でほぼ同じ位置になるように開口され、かつ、可動部材21を例えば図1に示す甲状軟骨11の前面11aに配置して型を取る際に、可動部材21の長手方向に可動部材21を十分に相対移動させ得る長さで開口されているとよい。
リング部材45は、耐劣化性がある金属又は硬質な樹脂により環状に形成された部材である。リング部材45は、可動部材21を表示部22毎に引き抜いて持ち上げた状態で可動部材21の先端面21tを揃え易いように、直線部分45aを有しているとよい。また、リング部材45は、リングを開けて可動部材21をバラバラにすることができるようになっていてもよい。
このような構成によれば、甲状軟骨11の形状のトレース時には長孔39の範囲で可動部材21のそれぞれを自由に相対移動させることができる。そして、甲状軟骨11の形状のトレース後には、リング部材45を持って表示部22毎に保持部23の挿通孔24から引き抜き、表示部22を可動部材21ごとにバラバラにすることなくまとめて効率的に洗浄等することができるという効果を奏する。また、表示部22の洗浄後は、直線部45aにより複数の可動部材21を揃えて保持部23の挿通孔24に再び挿通しやすく、取扱いが非常に便利になるという効果を奏する。
また、保持部23とスペーサ40とは、マグネットの磁力により付く構成に限らず、互いに接する面に対応する凹凸形状を形成し、保持部23及びスペーサ40の一方を同他方にタイトに嵌合させる構成に形成していてもよい。このような構成によっても、保持部23とスペーサ40とを容易に組み合わせて測定治具20を使用することができる。
また、測定治具20は、図15又は図16(a)-(c)に示すように、可動部材21及び保持部23に連通する長孔39を形成してリング部材45を通し、このリング部材45に更にスペーサ40を通したものであってもよい。
この場合、可動部材21及び保持部23は、上記で説明した実施態様又はその変形例のいずれかと略同様の構成に加え、可動部材21及び保持部23の厚さ方向にリング部材45を挿通させる長孔39を設けた構成になっている。長孔39は、可動部材21を図1に示す甲状軟骨11の前面11aに配置して型を取る際に、可動部材21の長手方向に可動部材21を十分に相対移動させ得る長さで開口されているとよい。
また、本変形例のスペーサ40は、保持部23,23の間隔の調整が容易な0.5mm又は1mmの厚さで板状に形成されている。
スペーサ40の厚さ方向には、リング部材45を挿通させる孔41が形成されている。また、スペーサ40には、孔41に通されたリング部材45の位置に対向する位置に引っ掛けるための切欠き42が形成されている。
なお、図16の例において、リング部材45には、必須ではないが、スペーサ40のリング部材45上におけるある程度の位置決めをするために、スペーサ40の両サイドにストッパー43,43が設けられている。
この構成により、本応用例の測定治具20は、図16(a)に示すように、隣接させた保持部23,23の接面の延長面上に相当するリング部材45の位置にスペーサ40を設置し、保持部23,23間にスペーサ40を介装させ得るようになっている。具体的には、図16(a)に示すように、可動部材21を備えた2つの保持部23,23を揃えて図1に示す甲状軟骨11の設置部位の前面11aの型取りをする。そして、図16(b)に示すように、定められた甲状軟骨11の切断端面12a,12a間の距離に合わせて保持部23,23間を空け、図15及び図16(c)に示すように、スペーサ40を介装させる。この際、スペーサ40は、保持部23,23間において、切欠き42をリング部材45に引っ掛けて保持部23,23間に保持する。
このように、図15及び図16に示した測定治具20によれば、上記で示した実施形態の機能及び効果に加え、複数の部品からなる測定治具20をより容易に取り扱うことができるという効果を奏する。
なお、図16(a)-(c)では、リング部材45を2つ挿通させた例を示したが、スペーサ40は、1枚又は3枚以上であってもよい。また、スペーサ40の厚さは、0.5mmに限らず、保持部23,23の間を調整しやすい適宜の寸法に形成されていればよい。
また、リング部材45は、保持部23の挿通孔24の軸線がリング部材45に囲まれた面に対して常に直交する方向を向かせるように、少なくとも一部が長孔39に沿った直方体又は楕円等に形成されていてもよい。リング部材45の一部をこのように構成することで、保持部23及び可動部材21がリング部材45に対して徒に回転することを防止することができる。
11 甲状軟骨
11a 前面
20 測定治具(甲状軟骨の形状測定治具)
21 可動部材
21b 基端面
21c 側面
21t 先端面
22 表示部
23 保持部
24 挿通孔
35 溝部
39 長孔
40 スペーサ
41 孔
42 切欠き
45 リング部材
M 目盛

Claims (10)

  1. 相対的にスライド可能な複数の可動部材を有し、前記複数の可動部材の先端面を甲状軟骨の前面に接触させて前記甲状軟骨の形状を表わす表示部と、
    前記可動部材を一方向に配列して保持するとともにスライドさせた前記可動部材を固定可能な保持部とを有する甲状軟骨の形状測定治具。
  2. 前記表示部は、前記一方向に間隔を空けて2つ設けられている請求項1に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  3. 前記表示部同士の間を調整するスペーサが備えられている請求項2に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  4. 前記可動部材は、前記保持部に対して着脱自在に設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  5. 前記保持部に配列された前記可動部材の厚さ寸法は0.5mm以上5mm以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  6. 前記保持部には、前記可動部材を摺動自在とする溝部が形成された挿通孔又は前記可動部材を一つずつ挿通させる挿通孔が形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  7. 前記複数の可動部材には、前記可動部材同士が相対移動する方向に延びる長孔が形成されており、
    前記表示部を構成する複数の前記可動部材の前記長孔にリング部材が挿通されている請求項1から6のいずれか一項に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  8. 前記スペーサには孔が形成され、
    前記スペーサの前記孔に前記リング部材を挿通させた状態で前記スペーサが前記リング部材に回転自在に保持されており、
    前記スペーサには、前記孔を挿通している前記リング部材の箇所と異なる箇所に掛けることが可能な切欠きが形成されている請求項3を引用する請求項7に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  9. 前記複数の可動部材のいずれかの可動部材の側面又は基端面には、他の可動部材と異なる色が付されている請求項1から8のいずれか一項に記載の甲状軟骨の形状測定治具。
  10. 前記複数の可動部材の側面には、これら複数の可動部材の基端面又は先端面を揃えて配列した状態で水平方向に直線状に延びる目盛が一定間隔で付されている請求項1から9のいずれか一項に記載の甲状軟骨の形状測定治具。

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