JP7175426B2 - 環状オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
代表的な環状オレフィン共重合体として、透明樹脂として広く使用される、環状オレフィンとエチレンとの共重合体がある。環状オレフィンとエチレンとの共重合体は、そのガラス転移温度を環状オレフィンとエチレンとの共重合組成に応じて変えることが可能なため、広い温度領域でガラス転移温度(Tg)を調整した共重合体を製造することができる(例えば、非特許文献1を参照)。
しかしながら、環状オレフィン共重合体の製造効率を高める目的で、活性の高い触媒を用いて重合を行うと、生成する共重合体の分子量の制御が難しく、過度に高分子量化した共重合体がしばしば得られる。
また、環状オレフィン共重合体の製造効率を高める目的で、活性の高い触媒を用いて重合を行うと、ポリエチレン様の不純物が生成しやすい場合がある。環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれると、環状オレフィン共重合体を溶媒に溶解させた場合に濁りが生じる。このような現象からも理解できる通り、環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれると、環状オレフィン共重合体の透明性の低下が懸念される。さらに、ポリエチレン様の不純物が生成すると、環状オレフィン共重合体を製造する一般的な製造プロセスにおいて、不溶なポリエチレン様の不純物をろ過・除去するという製造コストの増大を招くプロセスが必要である。
少なくとも、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことと、
重合容器内のモノマーを、メタロセン触媒と、アルキル金属化合物との存在下に重合させることと、を含み、
アルキル金属化合物が、Al原子に結合するアルキル基を少なくとも1つ有するアルキルアルミニウム化合物、及びZn原子に結合するアルキル基を少なくとも1つ有するアルキル亜鉛化合物の少なくとも一方を含み、
メタロセン触媒が、シクロペンタジエン環を含む配位子と、N、O、S、又はPであるヘテロ原子が周期律表第IV族遷移金属とsp2炭素とに結合した構造と、を有している、製造方法。
式(a1a)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数であり、
式(a1b)中、Ra9、及びRa10は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra9、及びRa10の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるメタロセン化合物である、(1)に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
環状オレフィン共重合体の製造方法では、ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体を製造する。
当該製造方法は、
少なくとも、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことと、
重合容器内のモノマーを、メタロセン触媒と、アルキル金属化合物との存在下に重合させることと、を含む。
以下、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことを仕込み工程とも称する。また、重合容器内のモノマーを、メタロセン触媒と、アルキル金属化合物との存在下に重合させることを重合工程とも称する。
重合に使用されるメタロセン触媒は、シクロペンタジエン環を含む配位子と、N、O、S、又はPであるヘテロ原子が周期律表第IV族遷移金属とsp2炭素とに結合した構造と、を有する。
仕込み工程では、ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込む。重合容器には、本発明の目的を阻害しない範囲で、ノルボルネン単量体、及びエチレン以外の他の単量体が仕込まれてもよい。環状オレフィン共重合体における、ノルボルネン単量体に由来する構成単位の比率と、エチレンに由来する構成単位の比率との合計は、典型的には、全構成単位に対して、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。
ノルボルネン単量体としては、例えば、ノルボルネン及び置換ノルボルネンが挙げられ、ノルボルネンが好ましい。ノルボルネン単量体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R5~R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R1~R4及びR9~R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3,7-ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3,8-ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3-エン;5-シクロペンチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-フェニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-プロペニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エンといった4環の環状オレフィン;
8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキシル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキセニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ-4,9,11,13-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]-4-ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]-4-ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-5-エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]-14-エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
重合工程では、重合容器内のモノマーをそれぞれ所定の要件を満たすメタロセン触媒及びアルキル金属化合物の存在下に重合させる。
重合時の温度は特に限定されない。環状オレフィン共重合体の収率が良好であること等から、重合時の温度は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、60℃以上がさらにより好ましく、70℃以上が特に好ましい。重合時の温度は80℃以上であってもよい。
重合時の温度の上限は特に限定されない、重合時の温度の上限は、例えば200℃以下であってよく、140℃以下であってもよく、120℃以下であってもよい。
かかる触媒を用いることにより、ポリエチレン様の不純物の生成を抑制しつつ、環状オレフィン共重合体を効率良く製造することができる。
なお、本明細書においてsp2炭素とはsp2混成軌道を形成する炭素原子のことを指す。
Ra1~Ra5は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基である。Ra1~Ra5のうちの5員環上で隣接する2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。
Xは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又はハロゲン原子である。
式(a1a)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数である。
式(a1b)中、Ra9、及びRa10は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基である。
Ra9、及びRa10の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基については、有機置換基がヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ヘテロ原子の具体例としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、及びハロゲン原子等が挙げられる。
無機置換基の具体例としては、ハロゲン原子、ニトロ基、無置換のアミノ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Xとしてはハロゲン原子が好ましく、塩素原子、及び臭素原子がより好ましく、塩素原子が特に好ましい。
式(a1a)中のRa6~Ra8についての上記の基の具体例及び好ましい例としては、Ra1~Ra5についての上記の基の具体例及び好ましい例と同様である。
Ra9、及びRa10としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例は、Ra1~Ra5としての、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基の具体例及び好ましい例と同様である。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたモノ置換アミノ基、及び炭素原子数1~20の炭化水素基で置換されたジ置換アミノ基も、有機置換基として好ましい。
式(a1b)中のRa9、及びRa10としてのモノ置換アミノ基、又はジ置換アミノ基について、窒素原子に結合する炭素原子数1~20の炭化水素基の好適な例は、Ra1~Ra5についての有機置換基の好適な例に含まれる炭化水素基が挙げられる。
Ra9、及びRa10としての、無機置換基の具体例は、Ra1~Ra5としての、無機置換基の具体例同様である。
アルキル金属化合物は、Al原子に結合するアルキル基を少なくとも1つ有するアルキルアルミニウム化合物、及びZn原子に結合するアルキル基を少なくとも1つ有するアルキル亜鉛化合物の少なくとも一方を含む。
上記のメタロセン触媒と、アルキル金属化合物とを組み合わせて用いることにより、ポリエチレン様の不純物の生成と、分子量の過度の上昇とを抑制しつつ、ノルボルネン単量体と、エチレンとを含むモノマーを共重合させて環状オレフィン共重合体を効率良く製造できる。
(R01)z1AlX3-z1 (II)
(式(II)中、R01は炭素原子数が1~15のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、z1は1~3の整数である。)
(R02)z2ZnX2-z2 (III)
(式(II)中、R02は炭素原子数が1~15、好ましくは1~8のアルキル基であり、Xはハロゲン原子又は水素原子であり、z2は1~3の整数である。)
ここで、イオン化合物は、メタロセン触媒との反応によりカチオン性遷移金属化合物を生成させる化合物である。
アルミノキサンとしては、従来より種々のオレフィンの重合において助触媒等として使用されている種々のアルミノキサンを特に制限なく用いることができる。典型的には、アルミノキサンは有機アルミノキサンである。
触媒組成物の製造に際して、アルミノキサンは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン化合物は、メタロセン触媒との反応によりカチオン性遷移金属化合物を生成する化合物である。
かかるイオン化合物としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのアニオン、ジメチルフェニルアンモニウムカチオン((CH3)2N(C6H5)H+)のような活性プロトンを有するアミンカチオン、(C6H5)3C+のような三置換カルボニウムカチオン、カルボランカチオン、メタルカルボランカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等のイオンを含むイオン性化合物を用いることができる。
フェノール性水酸基とハロゲン原子とを有する上記の芳香族化合物において、フェノール性水酸基とハロゲン原子とは、単環であっても縮合環であってもよい同一の芳香環上に結合する。
ヒンダードフェノールとは、フェノール性水酸基の2つの隣接位の少なくとも一方に、かさ高い置換基を有するフェノール類である。かさ高い置換基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル木等のメチル基以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環式基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキルチオ基、並びにアリールチオ基等が挙げられる。
これらの中では、分子量が小さく、少量の使用によりヒンダードフェノールの使用による所望する効果を得やすいことから、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(BHT)、及び2,6-ジ-tert-ブチルフェノールが好ましい。
ヒンダードフェノールは、重合系内でアルキルアルミニウム化合物と反応することにより、環状オレフィン共重合体の収量増に寄与する。このため、ヒンダードフェノールは、アルキルアルミニウムとともに使用されるのが好ましい。また、ヒンダードフェノールは、重合機内でアルキルアルミニウムと混合させて用いられてもよい。重合前にアルキルアルミニウムとヒンダードフェノールとを混合して得た混合物を、重合機内に導入してもよい。
触媒組成物の使用量は、その調製に用いられるメタロセン化合物の使用量から導出される。触媒組成物の使用量は、その調製に用いられたメタロセン化合物の質量として、ノルボルネン単量体1モルに対し、0.000000001~0.005モルが好ましく、0.00000001~0.0005モルがより好ましい。
重合時間は、温度や、触媒の組成や、単量体組成によっても異なるが、典型的には0.01時間~120時間であり、0.1時間~80時間が好ましく、0.2時間~10時間がより好ましい。
触媒組成物を連続的に添加することにより、環状オレフィン共重合体の連続製造が可能になり、環状オレフィン共重合体の製造コストを低減させることが可能になる。
得られる環状オレフィン共重合体のガラス転移温度は特に限定されないが、例えば185℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらにより好ましく、100℃以下が特に好ましい。
また、上記の方法により製造される環状オレフィン共重合体の試料を、JIS K7121に記載の方法に従って、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)により測定した場合、得られたDSC曲線が、ポリエチレン様の不純物に由来する融点(融解エンタルピー)のピークを有さないことが好ましい。このことは、環状オレフィン共重合体中のポリエチレン様の不純物が存在しないか極めて少ないことを意味する。なお、環状オレフィン共重合体中にポリエチレン様の不純物が含まれている場合、DSC曲線上のポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークは、一般的に100℃~140℃の範囲内に検出される。
環状オレフィン樹脂組成物を製造するに際し、実施例、及び比較例において、メタロセン触媒として下記のC1を用いた。
重合温度90℃になるまでオートクレーブを加熱した後、メタロセン触媒溶液を、メタロセン触媒量が0.08μmolとなるように添加した。メタロセン触媒溶液はトルエンを用いて調製された。次いでゲージ圧0.6MPaのエチレン圧をかけた後、30秒後を重合開始点とした。
なお、エチレン圧をかける直前のモノマー溶液の全量は、80mLとした。
重合開始から15分後、エチレン供給を停止し、注意深く圧力を常圧に戻した後、反応溶液中にイソプロピルアルコールを加えて反応を停止させた。その後、アセトン300mL、メタノールあるいはイソプロピルアルコール200mL、塩酸5mLの混合溶媒に重合溶液を投入して共重合体を沈殿化させた。共重合体を吸引濾過にて回収し、アセトン、メタノールで洗浄後、共重合体を110℃で12時間真空乾燥を行い、ノルボルネンとエチレンとの共重合体を得た。
触媒の使用量と、共重合体の取得量とから算出される、触媒1g当たりの共重合体収量(g)を、表1に記す。
DSC法(JIS K7121記載の方法)によって、環状オレフィン共重合体のTgを測定した。
DSC装置:示差走査熱量計(TA Instrument社製 DSC-Q1000)
測定雰囲気:窒素
昇温条件:20℃/分
数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)を以下の測定条件に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
装置:Malvern社製 Viscotek TDA302検出器+Pump autosampler装置
検出器:RI
溶媒:トルエン
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR-M(300mm×7.8mmφ)
流速:1mL/分
温度:75℃
試料濃度:2.5mg/mL
注入量:100μL
標準試料:単分散ポリスチレン
ガラス転移温度の測定により得られたDSC曲線において、100℃~140℃の範囲内に観察されるポリエチレン様の不純物に由来のする融点のピーク面積から発熱量(mJ/mg)を算出した。算出された発熱量が大きいほど、ポリエチレン様の不純物の含有量が多い。
なお、表1中のNDは、DSC曲線上においてポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークが検出されないことを示す。
得られた環状オレフィン共重合体0.1gを、トルエン10gに溶解させた後、溶液における濁りの有無を観察した。濁りが認められた場合、環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれる。濁りが認められなかった場合、環状オレフィン共重合体にポリエチレン様の不純物が含まれない。
2-ノルボルネンの仕込み量を45mmolに変えることと、エチレンの仕込み圧力をゲージ圧0.9MPaに変えることと、メタロセン触媒量を0.5μmolに変えることと、アルキル金属化合物の種類及び添加量、並びに助触媒の添加量を表2に記載の量に変えることと、溶媒をデカリンに変えることの他は、実施例1と同様にしてノルボルネンとエチレンとの共重合体を得た。
なお、比較例2では、アルキル金属化合物を用いなかった。
触媒の使用量と、共重合体の取得量とから算出される、触媒1g当たりの共重合体収量(g)を、表2に記す。
Claims (5)
- ノルボルネン単量体由来の構成単位とエチレン由来の構成単位とを含む環状オレフィン共重合体の製造方法であって、
少なくとも、前記ノルボルネン単量体と、エチレンとをモノマーとして重合容器内に仕込むことと、
前記重合容器内の前記モノマーを、メタロセン触媒と、ジアルキルアルミニウムハイドライドとの存在下に重合させることと、を含み、
前記重合が、下記式II:
で表される化合物の不存在下に行われ、
前記メタロセン触媒が、下記式(a1):
式(a1a)中、Ra6~Ra8は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、n1は0~3の整数であり、
式(a1b)中、Ra9、及びRa10は、それぞれ独立に、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の有機置換基、又は無機置換基であり、Ra9、及びRa10の2つの基は相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるメタロセン化合物であり、
前記メタロセン触媒が、シクロペンタジエン環を含む配位子と、N、O、S、又はPであるヘテロ原子が周期律表第IV族遷移金属とsp2炭素とに結合した構造と、を有しており、
前記モノマーを、前記メタロセン触媒と、前記ジアルキルアルミニウムハイドライドと、アルミノキサン及びボレート化合物の少なくとも一方との存在下に重合させ、
前記メタロセン触媒中の前記遷移金属元素のモル数をMaとし、前記アルミノキサン中のアルミニウムのモル数をMb1とし、前記ボレート化合物のモル数をMb2とする場合において、(Mb1+Mb2)/Maの値が、30000~200000である、製造方法。 - 前記周期律表第IV族遷移金属がTiである、請求項1に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記モノマーを、前記メタロセン触媒と、前記ジアルキルアルミニウムハイドライドと、前記アルミノキサンとの存在下に重合させる、請求項1又は2に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記ジアルキルアルミニウムハイドライドが、Al原子に結合する炭素原子数2以上8以下の分岐鎖アルキル基を少なくとも1つ有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記環状オレフィン共重合体の試料を、JIS K7121に記載の方法に従って、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計による測定を行って得られたDSC曲線が、100℃~140℃の範囲内にポリエチレン様の不純物に由来する融点のピークを有さない、請求項1~4のいずれか1項に記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
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