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JP7156191B2 - 金型冷却回路設計方法、金型製造方法、金型冷却回路設計装置、及びプログラム - Google Patents

金型冷却回路設計方法、金型製造方法、金型冷却回路設計装置、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、金型冷却回路設計方法、金型製造方法、金型冷却回路設計装置、及びプログラムに関する。
特許文献1には、射出成形用金型を示す3次元ソリッドモデルである金型モデルに基づき、射出成形用金型の冷却管を配管する冷却配管方法が記載されている。特許文献1に記載の方法では、金型モデルにおいて配管開始面とその配管開始面における複数の冷却配管のそれぞれの開始位置とを設定し、これら開始位置を含むと共に配管開始面と直交する金型モデルの配管方向断面を、開始位置のそれぞれについて作成する。そして、この方法では、これら配管方向断面のそれぞれにおいて、開始位置を始点として、金型モデルの形状に従い、冷却配管から製品面までの距離を一定にするための予め定められたルールに基づいて冷却経路を作成する。
特開平8-022487号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、金型表面から冷却配管(冷却回路)までの距離を保つために同じ処理を何度も繰り返す必要があり、容易に冷却回路を設定することができない。
そこで、本発明の目的は、金型の冷却回路を設計するに際し、金型表面から内部の冷却回路までの距離を一定に保つように容易に冷却回路の設定を行うことが可能な金型冷却回路設計方法等を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における前記冷却回路を設計する金型冷却回路設計方法である。前記金型冷却回路設計方法は、材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ前記入口と前記出口とを通過する制御面を設定する制御面設定ステップと、前記金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する基準面設定ステップと、前記制御面と前記基準面とが交差する交差線を抽出する交差線抽出ステップと、前記交差線に沿って前記金型の内部に前記冷却回路を設定する回路設定ステップと、を備える。この一態様に係る金型冷却回路設計方法では、制御面と基準面を設定することで交差線を抽出し、それに沿って冷却回路を設定している。よって、この一態様によれば、金型の冷却回路を設計するに際し、金型表面から内部の冷却回路までの距離を一定に保つように容易に冷却回路の設定を行うことが可能になる。
前記制御面設定ステップは、前記入口と前記出口との間に制御点を配置する点配置ステップと、前記入口、前記制御点、及び前記出口を順に結んでいく結びステップと、を有する、ことを特徴とすることができる。この特徴は、制御点を配置し、曲がるような冷却回路とするものであり、これにより、冷却したい部分を冷却することができるとともに、冷却範囲を拡大することが可能になる。
前記点配置ステップは、複数の前記制御点を配置するステップであり、前記結びステップは、前記入口、前記点配置ステップで配置された複数の前記制御点、及び前記出口を順に結んでいくステップである、ことを特徴とすることができる。この特徴は、制御点を配置し、曲がるような冷却回路とするものであり、これにより、冷却したい部分を冷却することができるとともに、冷却範囲を拡大することが可能になる。
前記点配置ステップは、前記入口と前記出口とを対角に備える第1の領域内に第1の制御点を配置するステップと、前記第1の制御点と前記出口及び前記入口のいずれか一方とを対角に備える第2の領域内に第2の制御点を配置するステップと、を有する、ことを特徴とすることができる。この特徴は、出口及び入口のいずれか一方に向かうように制御点を2以上配置し曲がるような冷却回路を形成するものであり、これにより、交差することや極端に大きく折れ曲がり圧力損失が大きくなることにより、冷却性能が低下してしまうような冷却回路を作成することを回避することが可能になる。
若しくは、前記点配置ステップは、前記入口と前記出口とを対角に備える第1の領域内に第1の制御点を配置するステップと、配置させる前記制御点の数をn(nは2以上の整数)、iを2からnまでの整数の変数とし、第(i-1)の制御点と前記出口及び前記入口のいずれか一方とを対角に備える第iの領域内に第iの制御点を配置するステップを、iが2からnになるまで繰り返すステップと、を有する、ことを特徴とすることができる。この特徴は、出口及び入口のいずれか一方に向かうように制御点を複数配置し曲がるような冷却回路を形成するものであり、これにより、交差することや極端に大きく折れ曲がり圧力損失が大きくなることにより、冷却性能が低下してしまうような冷却回路を作成することを回避することが可能になる。
前記回路設定ステップは、前記入口を前記金型表面に対向する方向にある底面と結んだ入口線と、前記出口を前記金型表面に対向する方向にある底面と結んだ出口線と、を設定し、設定した前記入口線、前記出口線に沿って、それぞれ前記冷却回路の入口側、出口側を設定するステップを有する、ことを特徴とすることができる。この特徴は、冷却回路の入口側及び出口側を設定するものであり、これにより、冷却回路の入口、出口を他の部材と干渉しない位置に配置することが可能になる。
本発明の他の態様は、前記金型冷却回路設計方法で設計された前記冷却回路を、前記金型の内部に形成するステップを備えた金型製造方法である。これにより、上述のように設計された冷却回路を内部に備えた金型を製造することができる。
本発明の他の態様は、入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における前記冷却回路を設計する金型冷却回路設計装置であって、材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ前記入口と前記出口とを通過する制御面を設定する制御面設定部と、前記金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する基準面設定部と、前記制御面と前記基準面とが交差する交差線を抽出する交差線抽出部と、前記交差線に沿って前記金型の内部に前記冷却回路を設定する回路設定部と、を備える、ものである。この一態様に係る金型冷却回路設計装置では、制御面と基準面を設定することで交差線を抽出し、それに沿って冷却回路を設定している。よって、この一態様によれば、金型の冷却回路を設計するに際し、金型表面から内部の冷却回路までの距離を一定に保つように容易に冷却回路の設定を行うことが可能になる。
本発明の他の態様は、コンピュータに、入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における前記冷却回路を設計する設計処理を実行させるためのプログラムである。前記設計処理は、材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ前記入口と前記出口とを通過する制御面を設定するステップと、前記金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定するステップと、前記制御面と前記基準面とが交差する交差線を抽出するステップと、前記交差線に沿って前記金型の内部に前記冷却回路を設定するステップと、を有する、ものである。この一態様に係るプログラムでは、制御面と基準面を設定することで交差線を抽出し、それに沿って冷却回路を設定している。よって、この一態様によれば、金型の冷却回路を設計するに際し、金型表面から内部の冷却回路までの距離を一定に保つように容易に冷却回路の設定を行うことが可能になる。
本発明によれば、金型の冷却回路を設計するに際し、金型表面から内部の冷却回路までの距離を一定に保つように容易に冷却回路の設定を行うことが可能な金型冷却回路設計方法等を提供することができる。
実施形態1に係る金型冷却回路設計装置の一構成例を示すブロック図である。 実施形態1に係る金型冷却回路設計方法の一例を説明するためのフロー図である。 図2のステップS1~S4のそれぞれにおける回路配置状態の一例を示す概念図である。 図2のステップS4における回路配置状態の一例の断面を示す概念図である。 図2のステップS5,S6のそれぞれにおける回路配置状態の一例を示す概念図である。 実施形態2に係る金型冷却回路設計方法の一例を説明するためのフロー図である。 図6のステップS11~S14のそれぞれにおける回路配置状態の一例を示す概念図である。 図6のステップS13における制御点の配置例を示す概念図である。 図6のステップS11~S16における回路配置状態の一例を示す概念図である。 流路が交差する冷却回路の例を示す概念図である。 圧力損失が極端に大きくなる冷却回路の例を示す概念図である。 金型冷却回路設計装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
<実施形態1>
実施形態1について、図1~図5を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る金型冷却回路設計装置の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る金型冷却回路設計装置1は、金型の内部に形成する冷却回路であって、入口と出口とを通過する冷却回路を設計する装置であり、制御面設定部11、基準面設定部12、交差線抽出部13、及び回路設定部14を備える。
設計は、例えば、金型を表現した3次元モデルデータに基づき行うことができる。3次元モデルデータとしては、例えば3D-CAD(Computer Aided Design)のデータなど、様々な形式のデータを採用することができる。なお、冷却回路は、冷却媒体を流通させるための流路(管)とすることができ、冷却管、冷却配管、冷却回路管、配管パターン、配管ルートなどと称することもできる。
各部11~14は、例えば、金型冷却回路設計装置1の全体を制御する制御部10に備えることができる。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、作業用メモリ、及び不揮発性の記憶装置などによって、或いは集積回路(Integrated Circuit)によって実現される。この記憶装置にプロセッサによって実行される制御プログラムを格納しておき、プロセッサがその制御プログラムを作業用メモリに読み出して実行することで、制御部10の機能を果たすことができる。制御部10は、この例に限らず、金型冷却回路設計装置1の全体又は少なくとも一部を制御する機能が果たせればよい。但し、制御部10の機能は、制御面設定部11、基準面設定部12、交差線抽出部13、及び回路設定部14のそれぞれの機能を含むことになる。
また、上記の記憶装置には、冷却回路設計前の金型を表現した3次元モデルデータや、設計後の冷却回路を含めた金型を表現した3次元モデルデータを記憶することもできる。なお、3次元モデルデータの記述形式は問わず、制御部10の少なくとも各部11~14にて解釈が可能な形式であればよい。
冷却回路設計前の金型を表現した3次元モデルデータは、例えば、金型冷却回路設計装置1の外部に接続された記憶装置から読み出すこともでき、この場合、その記憶装置に設計後の冷却回路を含めた金型を表現した3次元モデルデータを書き込むことができる。なお、この記憶装置は、例えばサーバ装置、情報処理装置などの外部装置に備えることもできる。
次に、各部11~14について説明する。
制御面設定部11は、材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ入口と出口とを通過する制御面を設定する。制御面設定部11は、このような条件を満たすように制御面を設定するが、これに限らず、他の条件も付加することができる。
基準面設定部12は、金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する。金型表面が曲面や段差状の表面など、連続平面でない場合であっても、設定される基準面は、金型表面から内部側に一定距離だけ離れた位置に設定されることになる。
交差線抽出部13は、制御面と基準面とが交差する交差線を抽出する。回路設定部14は、この交差線に沿って金型の内部に冷却回路を設定する。回路設定部14は、例えば、この交差線を中心軸とし、所定半径の円形や所定長の辺をもつ矩形などの予め定められた形状の断面を有する管を、冷却回路として設定することができる。
以下、金型冷却回路設計装置1において実施されることが可能な、本実施形態に係る金型冷却回路設計方法(以下、本方法)について説明する。
本方法は、入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における冷却回路を設計する方法であり、次に説明する制御面設定ステップ、基準面設定ステップ、交差線抽出ステップ、及び回路固定ステップを備える。本方法は、例えば、金型を表現する3次元モデルデータにおいて、冷却回路を作成する方法とすることができる。なお、本方法中の「設定」の対象は、この3次元モデルデータにおける「作成」の対象とすることができる。
上記制御面設定ステップは、例えば制御面設定部11が、材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ入口と出口とを通過する制御面を設定する。上記基準面設定ステップは、例えば基準面設定部12が、金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する。上記交差線抽出ステップは、例えば交差線抽出部13が、制御面と基準面とが交差する交差線を抽出する。上記回路設定ステップは、例えば回路設定部14が、交差線に沿って金型の内部に冷却回路を設定する。
以上、本実施形態によれば、金型の冷却回路を設計するに際し、金型表面から内部の冷却回路までの距離を一定に保つように容易に冷却回路の設定を行うことが可能になる。つまり、本実施形態によれば、金型表面から内部回路までの金型の距離を一定に保つ金型内部の冷却回路を容易に設定することができる。
次に、図2~図5を併せて参照しながら、本方法の具体例について説明する。図2は、本方法の一例を説明するためのフロー図である。また、図3は、図2のステップS1~S4のそれぞれにおける回路配置状態の一例を示す概念図、図4は、図2のステップS4における回路配置状態の一例の断面を示す概念図である。図5は、図2のステップS5,S6のそれぞれにおける回路配置状態の一例を示す概念図である。なお、図3~図5及び後述の図7等では、各回路配置状態を、冷却回路の設計途中又は設計後における金型を表現したxyz3軸の3次元モデルデータを描画した状態の例として図示している。
まず、図3の回路配置状態D1でz軸方向から見た状態を例示するように、冷却回路の入口PI及び出口POを指定する(ステップS1)。この指定は、金型冷却回路設計装置1に図示しない操作部を設けておき、ユーザ操作としてこの操作部で受け付けることができる。但し、例えば金型表面の一端から所定方向及び所定距離を入口PIとし他端から他の所定方向及び他の所定距離を出口POとするなど、予め定められたルールに従い、入口PI及び出口POを自動的に指定することもできる。なお、説明の簡略化のため、入口PIと出口POとのセットは1セットであることを前提として説明するが、複数セットとすることもできる。
次に、図3の回路配置状態D2でz軸方向から見た状態を例示するように、入口PIと出口POとは別の制御点PTを指定する(ステップS2)。制御点PTは、後述の制御面STを設定するために用いることができる。制御点PTは、ユーザ操作により指定されること、或いは、例えば入口PI又は出口POからさらに他の所定方向及びさらに他の所定距離の点にするなど、自動的に設定すること(配置すること)ができる。制御点PTは、冷却したい部分を通るようにしたり、回路が曲がるようにして、冷却する範囲を広げたりするように設定する。よって、制御点PTは、1つに限らず、複数とすることができる。制御点PTを自動的に設定する場合には、ユーザが任意に制御点PTの数を指定するようにすることもできる。
次に、図3の回路配置状態D3で斜視方向から見た状態を例示するように、入口PI、出口PO、及び制御点PTを通過する面である制御面STを設定(モデル上で作成)する(ステップS3)。制御面STは、回路配置状態D3で例示するように、製品面SPに垂直な面とする。なお、製品面とは、金型表層の面(金型表面)を指す。
また、ステップS3における制御面STを設定するステップは、制御点PTを順に結ぶステップを含むことになる。つまり、制御面設定ステップは、入口PIと出口POとの間に制御点PTを配置する点配置ステップと、入口PI、制御点PT、及び出口POを順に結んでいく結びステップと、を有することができる。なお、ここでの結びステップは、入口PIと出口POに至るまでに配置した制御点PTを結んでいくステップに該当し、制御点PTは少なくとも1つとすることができる。このような制御面設定ステップを採用することで、制御点PTを配置して曲がるような冷却回路とすることができ、結果的に、冷却したい部分を冷却することができるとともに冷却範囲を拡大することが可能になる。
特に、上述のように、点配置ステップは、複数の制御点PTを配置するステップであり、結びステップは、入口PI、点配置ステップで配置された複数の制御点PT、及び出口POを順に結んでいくステップであってもよい。これにより、複数の制御点PTを配置して曲がるような冷却回路とすることができ、結果的に、冷却したい部分を冷却することができるとともに冷却範囲を拡大することが可能になる。
ステップS3に続き、図3の回路配置状態D4で斜視方向から見た状態を例示するように、製品面SPから面直方向に一定距離Lofをオフセットした基準面SRを設定(モデル上で作成)する(ステップS4)。ここで面直方向は、製品面SPから内部方向に向かい且つ製品面SPに垂直な方向とする。図4では回路配置状態D4のyz平面の断面を例示している。これにより、基本的に、製品面SPと平行な基準面SRを設定することができる。
次いで、図3の回路配置状態D5で例示するように、制御面STと基準面SRが交差する交差線CAを抽出する(ステップS5)。最後に、図3の回路配置状態D6で例示するように、抽出された交差線CAを軸に、予め定められた断面形状を持つ冷却回路CCを設定(モデル上で作成)する(ステップS6)。ステップS6は、回路設定ステップの例である。
この断面形状は、例えば、断面の面積、円形であれば断面径、楕円形であれば断面の長径及び短径、矩形であれば各辺の長さ及び辺間のなす角度などのうち最低限必要な値などにより定めておくことができる。また、この断面形状は、ユーザ操作又はデフォルト設定値により、例示したような値や形状を指定することで、予め(ステップS6に先立ち)定めておくこともできる。また、交差線CAは、冷却回路の中心とすることができ、その場合、中心線と称することもできる。但し、交差線CAは、例えば断面形状の一端(例えば下端など)とするなど、断面形状における交差線CAの位置についても、ユーザ操作又はデフォルト設定値により予め(ステップS6に先立ち)定めておくことができる。
さらに、ステップS6で例示した回路設定ステップは、入口PIと出口POとの間の冷却回路CCを設定する前又は後に、入口線及び出口線を設定するステップを有することができる。ここで、入口線とは、入口PIを金型表面SPに対向する方向にある底面SBと結んだ線(金型表面SPと入口PIとを垂直に結んだ垂線の延長線と、底面SBと、を結んだ線)を指す。同様に、出口線とは、出口POを出口POの金型表面SPに対向する方向にある底面SBと結んだ線を指す。
その場合、回路設定ステップは、さらに、設定した入口線、出口線に沿って、それぞれ冷却回路の入口側、出口側を設定するステップを有することができる。ここで、図3の回路配置状態D6で例示するように、例えば、冷却回路の入口側は入口側冷却回路CI、出口側は出口側冷却回路COとすることができる。
また、入口側冷却回路CI、出口側冷却回路COは、上述の例からも分かるように、交差線CAがその端部(それぞれ入口PI、出口POの部分)を除いて含まれず、交差線CAの周りに形成されるものではない。これにより、実際に冷却機能として必要な箇所の冷却回路の入口PI、出口POを他の部材と干渉しない位置に配置することが可能になる。なお、入口側冷却回路CI、出口側冷却回路COは、いずれも冷却回路CCと同じ断面形状とすることができるが、いずれも異なる断面形状とすることもできる。
以上、金型冷却回路設計装置1及び本方法について説明したが、本実施形態は、金型製造方法や金型製造装置に適用することができる。本実施形態に係る金型製造方法は、上述したような金型冷却回路設計方法で設計された冷却回路を、金型の内部に形成するステップを備える。これにより、上述のように設計された冷却回路を内部に備えた金型を製造することができる。なお、冷却回路の形成時期は、金型の形成時期と同時であってもよい。また、この金型製造方法において、金型に冷却回路を形成する際に用いる装置、或いは冷却回路を備えた金型を製造する金型製造装置は、どのようなものであってもよい。換言すれば、本実施形態に係る金型製造装置は、金型冷却回路設計装置1で設計された冷却回路を、金型の内部に形成する構成を備えるものであれば、その他の構成は問わない。
(実施形態2)
実施形態2について、図6~図11を参照しながら説明する。本実施形態に関し、主に実施形態1との相違点を中心に説明するが、金型冷却回路設計装置1の基本的な構成、金型製造装置や金型製造方法への適用をはじめ、実施形態1で説明した様々な応用例が適用できる。
本実施形態に係る金型冷却回路設計方法(以下、本方法)において、点配置ステップは、入口PIと出口POとを対角に備える第1の領域内に第1の制御点を配置するステップと、次の繰り返しステップと、を有する。上記繰り返しステップは、第(i-1)の制御点と出口PO及び入口PIのいずれか一方とを対角に備える第iの領域内に第iの制御点を配置するステップを、iが2からnになるまで繰り返すステップである。ここで、nは、配置させる制御点の数であり、2以上の整数とする。また、iは2からnまでの整数の変数とする。
なお、以上の例では、iに依らず、上記いずれか一方は常に同じとすることを前提として説明するが、例えばiの増加とともに上記いずれか一方を(出口POと入口PIとの間で)交互に入れ替えながら繰り返しステップを行うこともできる。また、第1の領域、第iの領域は、いずれも2次元的に見て矩形領域とすることが好ましいが、これに限らず、任意の形状の領域とすることができ、対角がとれる領域であればよい。なお、これらの領域は、点と点とを対角にとる領域であるため、形状的には2次元領域として取り扱うことができるが、3次元座標で領域を取り扱う場合には3次元領域として取り扱えばよい。
次に、図6及び図7等を参照しながら、本方法の具体例について説明する。図6は、本方法の一例を説明するためのフロー図である。また、図7は、図6のステップS11~S14のそれぞれにおける回路配置状態の一例を示す概念図である。
まず、図7の回路配置状態D11で例示するように、冷却回路の入口PI、出口POを指定する(ステップS11)。なお、ステップS11はステップS1と同様に実施することができる。
次に、図7の回路配置状態D12で例示するように、入口PIと出口POとを対角に備える指定された領域(点線で囲った第1の領域)内で制御点P1を指定する(ステップS12)。そのため、まず第1の領域が設定されるが、上記対角に関する条件を満たせば所定のルール(例えば所定形状とするなどのルール)に従って設定されることができる。
また、制御点P1は、第1の領域をユーザに図示しない表示部に提示した後にユーザ操作により指定すること、或いは、自動的に設定すること(配置すること)ができる。自動的な配置の方法は問わず、例えば、第1の領域内の入口PIから出口POへ向かう直線上において、入口PI側に所定比率寄らせた位置を求め、その位置から上記直線に垂直方向のいずれか一方の向きに所定距離離間させた位置などとすることができる。
次に、図7の回路配置状態D13で例示するように、制御点P1と出口POを囲う配置可能領域(点線で囲った第2の領域)内で制御点P2を指定する(ステップS13)。第2の領域についても第1の領域と同様のルール(又は別途定めた別のルール)に基づき設定されることができる。制御点P2は、第2の領域をユーザに提示した後にユーザ操作により指定すること、或いは、例えば第1の領域に対する第1の制御点P1で採用したルールと同様又は別のルールで自動的に設定(配置)することができる。
制御点P1に対する制御点P2の配置例について、図8を参照して説明する。図8は、ステップS13における制御点の配置例を示す概念図である。例えば、図8のように、入口PIと出口POとを結ぶ距離をL、入口PIと制御点P1間の距離をL1、制御点P1,P2間の距離をL2とする。
この場合、制御点P2の位置を決定する際に、L2=α(L-L1)、0≦α≦1となる準独立変数αを、制御点P2の設定前に予め設定しておくことで、第2の領域内という条件も満たしつつ制御点P2を配置することができる。準独立変数αは、3D-CADにおける変数を例示しているが他の3次元モデルデータを使用する場合にも同様の考え方の変数を使用することができる。なお、ステップS12における制御点P1の設定例も同様の考え方を採用することができる。
次いで、図7の回路配置状態D14で例示するように、制御点P2と出口POを囲う配置可能領域(点線で囲った第3の領域)内で制御点P3を指定する(ステップS14)。制御点P3の指定方法は、ステップS13に準ずる。
以降、配置させる制御点の数nだけこのような処理を繰り返し(ステップS15)、最後に入口PIから全ての制御点と出口POを結ぶ回路を設定(モデル上で作成)する(ステップS16)。なお、繰り返しの回数は、出口POとの距離が所定距離以内になるなどの所定条件を満たすまでとすることもでき、その場合、nはそのような所定条件を満たすような任意の制御点の数となる。
ここで、図9を参照しながら、ステップS13の制御点の位置を求める際の準独立変数αを用いた関係の一例について説明する。図9は、図6のステップS11~S16における回路配置状態の一例を示す概念図である。
ここでの例では、制御点iを配置する位置に関しては以下の関係が成立する。
即ち、入口PIと出口POを結ぶ線分の長さをL、入口PIと第1の制御点P1とを結ぶ線分の長さをL1、第1の制御点P1と第2の制御点P2とを結ぶ線分の長さをL2とすると、L1=αL、L2=α(L-L1)とすることができる。なお、αは、0≦α≦1とする。
そして、第3以降の制御点(第nの制御点Pn)については、2つ前の制御点を出口POと結んで距離Lに対応する距離を更新していくことができる。具体的には、n≧3について、次のようになる。
Ln=α((Pn-2とPOとを結ぶ線分の長さ)-L(n-1))
図9に例示する例(n=3,5の例)では、次のようになる。
L3=α((P1とPOとを結ぶ線分の長さ)-L2)
L5=α((P3とPOとを結ぶ線分の長さ)-L4)
ここで例示したように、nが3以上の場合、上記繰り返しステップは、次の追加ステップとその追加ステップをiがnになるまで(制御点の数nだけ)同様に繰り返すステップとを備えることができる。上記追加ステップは、第1の制御点P1と出口PO(又は入口PI)とを対角に備える領域内に第2の制御点P2を配置するステップとなる。
ここで、本実施形態による効果を説明するために、図10及び図11を参照しながら比較例について説明する。図10は、流路が交差する冷却回路の例を示す概念図で、図11は圧力損失が極端に大きくなる冷却回路の例を示す概念図である。
内部に冷却回路を有する金型の設計に際し、本実施形態のような方法を採用しない比較例では、図10のように流路が交差することや、図11のように急激に折り曲がって圧力損失が極端に大きくなってしまう。なお、急激に折れ曲がる回路とは、90度より大きく折れ曲がる回路や出口POに進んでいた際に入口PIの方向に向かう回路など、後戻りするような回路を指す。このような回路では、折れ曲がりの部分で冷媒の流れが遅くなり、冷却効率が落ちる。このように、比較例では、内部に冷却回路(配管)を有する金型において、圧力損失が極端に大きくなることを回避することは難しい。よって、比較例のような回路配置を探索することは、実現性のない形状に対しても探査してしまうことを意味し、検討時間の無駄が生じる。
これに対し、上述したように、本実施形態は、出口PO及び入口PIのいずれか一方に向かうように制御点を複数配置し曲がるような冷却回路を形成するものである。よって、本実施形態によれば、交差することや極端に大きく折れ曲がり圧力損失が大きくなることにより、冷却性能が低下してしまうような冷却回路を作成することを回避することが可能になる。
(代替例)
次に、上述した実施形態1,2における代替例について説明する。
上述した各実施形態において、ユーザ操作を行う例も挙げているが、各ステップにおいてできる限りユーザ操作を除外して自動的に実行されることが、手間を減らす点で望ましいと言える。
また、上述した各実施形態に係る金型冷却回路設計装置1は、図1で例示したものに限ったものではなく、その機能が果たせればよい。例えば、実施形態1,2に係る各金型冷却回路設計装置は、例えば、次のようなハードウェア構成を有することができる。図12は、金型冷却回路設計装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示す金型冷却回路設計装置100は、プロセッサ101、メモリ102、及び通信インタフェース103を有することができる。プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。実施形態1,2で説明した金型冷却回路設計装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶された制御プログラムを読み込んで実行することにより実現される。この際、3次元モデルデータ等の情報の入出力は、通信インタフェース103を介して行うことができる。
この制御プログラムは、実施形態1で説明した制御プログラムとすることができ、コンピュータに、入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における冷却回路を設計する設計処理を実行させるためのプログラムである。この設計処理は、上述した制御面設定ステップ、基準面設定ステップ、交差線抽出ステップ、及び回路設定ステップを有することができる。ここでの各ステップは上記コンピュータに実行させるステップとなる。その他の応用例については上述した通りであり、その説明を省略する。
この制御プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。この半導体メモリとしては、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などが挙げられる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
1、100 金型冷却回路設計装置
10 制御部
11 制御面設定部
12 基準面設定部
13 交差線抽出部
14 回路設定部
101 プロセッサ
102 メモリ
103 通信インタフェース
PT 制御点
P1 第1の制御点
P2 第2の制御点
P3 第3の制御点
D1、D2、D3、D4、D5、D6、D11、D12、D13、D14 回路配置状態

Claims (9)

  1. 入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における前記冷却回路を設計する、金型冷却回路設計装置による金型冷却回路設計方法であって、
    前記金型冷却回路設計装置に備えられた制御面設定部が、材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ前記入口と前記出口とを通過する制御面を設定する制御面設定ステップと、
    前記金型冷却回路設計装置に備えられた基準面設定部が、前記金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する基準面設定ステップと、
    前記金型冷却回路設計装置に備えられた交差線抽出部が、前記制御面と前記基準面とが交差する交差線を抽出する交差線抽出ステップと、
    前記金型冷却回路設計装置に備えられた回路設定部が、前記交差線に沿って前記金型の内部に前記冷却回路を設定する回路設定ステップと、
    を備える、金型冷却回路設計方法。
  2. 前記制御面設定ステップは、前記入口と前記出口との間に制御点を配置する点配置ステップと、
    前記入口、前記制御点、及び前記出口を順に結んでいく結びステップと、
    を有する、
    請求項1に記載の金型冷却回路設計方法。
  3. 前記点配置ステップは、複数の前記制御点を配置するステップであり、
    前記結びステップは、前記入口、前記点配置ステップで配置された複数の前記制御点、及び前記出口を順に結んでいくステップである、
    請求項2に記載の金型冷却回路設計方法。
  4. 前記点配置ステップは、
    前記入口と前記出口とを対角に備える第1の領域内に第1の制御点を配置するステップと、
    前記第1の制御点と前記出口及び前記入口のいずれか一方とを対角に備える第2の領域内に第2の制御点を配置するステップと、
    を有する、
    請求項3に記載の金型冷却回路設計方法。
  5. 前記点配置ステップは、
    前記入口と前記出口とを対角に備える第1の領域内に第1の制御点を配置するステップと、
    配置させる前記制御点の数をn(nは2以上の整数)、iを2からnまでの整数の変数とし、第(i-1)の制御点と前記出口及び前記入口のいずれか一方とを対角に備える第iの領域内に第iの制御点を配置するステップを、iが2からnになるまで繰り返すステップと、
    を有する、
    請求項3に記載の金型冷却回路設計方法。
  6. 前記回路設定ステップは、前記入口を前記金型表面に対向する方向にある底面と結んだ入口線と、前記出口を前記金型表面に対向する方向にある底面と結んだ出口線と、を設定し、設定した前記入口線、前記出口線に沿って、それぞれ前記冷却回路の入口側、出口側を設定するステップを有する、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の金型冷却回路設計方法。
  7. 金型製造装置が、請求項1~6のいずれか1項に記載の金型冷却回路設計方法で設計された前記冷却回路を、前記金型の内部に形成するステップを備えた金型製造方法。
  8. 入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における前記冷却回路を設計する金型冷却回路設計装置であって、
    材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ前記入口と前記出口とを通過する制御面を設定する制御面設定部と、
    前記金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する基準面設定部と、
    前記制御面と前記基準面とが交差する交差線を抽出する交差線抽出部と、
    前記交差線に沿って前記金型の内部に前記冷却回路を設定する回路設定部と、
    を備える、金型冷却回路設計装置。
  9. コンピュータに、入口と出口とを通過する冷却回路を内部に有する金型における前記冷却回路を設計する設計処理を実行させるためのプログラムであって、
    前記設計処理は、
    材料と接する側となる金型表面に垂直で、且つ前記入口と前記出口とを通過する制御面を設定する制御面設定ステップと、
    前記金型表面から内部側に一定距離オフセットした基準面を設定する基準面設定ステップと、
    前記制御面と前記基準面とが交差する交差線を抽出する交差線抽出ステップと、
    前記交差線に沿って前記金型の内部に前記冷却回路を設定する回路設定ステップと、
    を有する、
    プログラム。
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