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JP7035460B2 - 液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法 - Google Patents

液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法 Download PDF

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JP7035460B2 JP2017214913A JP2017214913A JP7035460B2 JP 7035460 B2 JP7035460 B2 JP 7035460B2 JP 2017214913 A JP2017214913 A JP 2017214913A JP 2017214913 A JP2017214913 A JP 2017214913A JP 7035460 B2 JP7035460 B2 JP 7035460B2
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Description

本発明は、例えばインクジェット式プリンターなどの液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法に関する。
液体噴射装置の一例として、記録ヘッド(液体噴射部)からインク(液体)を吐出(噴射)して記録用紙(ターゲット)に印刷するインクジェット式の記録装置がある(例えば特許文献1)。こうした記録装置では、インクを吐出するノズル開口(ノズル)が目詰まりすることがある。そのため、記録装置では、印刷とは関係なくノズル開口からインク滴を吐出させるフラッシングや、ノズル開口からインクを吸引するクリーニングなどの回復処理(メンテナンス処理)を実施していた。
回復処理は、印刷する前の情報に基づいて選択されたモードで実行されていた。具体的には、記録装置は、記録ヘッドがキャッピングされずに印字していた時間、前回の回復動作を実行してから経過した時間、及びキャッピングされていた時間が短い場合にはフラッシングを行い、これらの時間が長い場合にはクリーニングを行っていた。
特開2000-289229号公報
記録装置は、インク供給路(液体経路)を介してインクカートリッジ(液体供給源)からノズル開口にインクを供給する。インク供給路内のインクに含まれる気泡や異物の量は、印刷中に増加することがある。そのため、印刷前の情報に基づいて回復処理を行うだけでは、気泡や異物が増加しやすい印刷仕様で印刷する場合に、インクを安定して供給できなくなる虞があった。
こうした課題は、ノズル開口からインク滴を吐出する記録装置に限らず、ノズルから液体を噴射する液体噴射装置においては、概ね共通したものとなっている。
本発明の目的は、ノズルに安定的に液体を供給できる液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体噴射装置は、複数のノズルから液体を噴射してターゲットに印刷する液体噴射部と、液体供給源に収容される前記液体を前記液体噴射部に向けて供給可能に設けられた液体供給流路と、前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス処理を行うメンテナンス部と、を備え、前記ターゲットに印刷するための印刷情報に基づいて、印刷中に前記液体供給流路及び該液体供給流路から前記ノズルまでの流路を含む液体経路中に前記液体が滞留する滞留時間が長いと推測される場合には、設定条件を満たす印刷であるとし、前記滞留時間が短いと推測される場合には、前記設定条件を満たさない印刷であるとし、前記設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量を、前記設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くする。
液体噴射装置の一実施形態の斜視図。 図1の液体噴射装置が備える液体噴射部の模式底面図。 図1の液体噴射装置が備える第1筐体部の内部構成を示す模式正面図。 図1の液体噴射装置の正面図。 図1の液体噴射装置が備える液体経路の模式図。 図1の液体噴射装置の電気的構成を示すブロック図。 図1の液体噴射装置が備える圧力調整機構の断面図。 図1の液体噴射装置が備えるフィルターユニット及び流入規制部の断面図。 メンテナンス処理ルーチンを示すフローチャート。
以下、液体噴射装置及び液体噴射装置のメンテナンス方法の実施形態について、図を参照して説明する。液体噴射装置は、例えば、用紙やTシャツのような布帛などのターゲットに液体の一例であるインクを噴射することによって記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、液体噴射装置11は、略矩形箱状の第1筐体部12と第2筐体部13とを備えている。なお、本実施形態では、液体噴射装置11において、第1筐体部12が設けられた側を前側というと共に、第2筐体部13が設けられた側を後側という。そして、鉛直方向に沿う上下方向Zと交差(本実施形態では直交)する方向であって第1筐体部12と第2筐体部13との並び方向を前後方向Yとして図示する。また、上下方向Z及び前後方向Yと交差(本実施形態では直交)する方向であって第1筐体部12の長手方向に沿う方向を幅方向Xとして図示する。
第1筐体部12には、媒体支持トレイ14を前後方向Yに沿って搬送可能に支持する媒体搬送部15が第1筐体部12から前方に突出した状態で固定されている。そして、第1筐体部12の前面側には、媒体支持トレイ14の前後方向Yに沿う移動を許容する開口部16が形成されている。なお、第1筐体部12及び第2筐体部13内には、媒体支持トレイ14の移動を許容する空間(図示略)が第1筐体部12及び第2筐体部13に亘って形成されている。そして、以下の説明では、第1筐体部12及び第2筐体部13に亘って形成された空間と、第1筐体部12の前面に形成された開口とを合わせて開口部16というものとする。
媒体支持トレイ14の上面は、ターゲットT(図3参照)をセット可能なセット面14aとされている。媒体支持トレイ14は、図1に実線で示す媒体セット位置と、図1に二点鎖線で示す印刷開始位置との間を移動可能に設けられている。媒体セット位置は、媒体支持トレイ14が第1筐体部12から露出し、セット面14aにターゲットTをセット可能な位置である。媒体支持トレイ14は、搬送モーター(図示略)の駆動に伴って、媒体セット位置と印刷開始位置との間を前後方向Yに沿って往復移動する。
また、第1筐体部12の前面側において幅方向Xで開口部16の両側となる位置には、開閉カバー17が回動可能に取り付けられている。開閉カバー17は、その下端側に設けられた図示しない回動軸を中心に上端側が揺動するように回動することで、図1に示す閉位置と、上端部が前方下側へ揺動して内部が露出する開位置とに配置される。
開口部16の上側には、液体噴射装置11が備える各種構成要素の動作状況を表示したり指示を入力したりする操作パネル18が取り付けられている。操作パネル18の後側には、上カバー19が回動可能に設けられている。上カバー19は、基端側に設けられた図示しない回動軸を中心に回動することで、図1に示す開位置と、開位置から先端が前方下側へ揺動して第1筐体部12内の収容物を隠蔽する閉位置とに配置される。
液体噴射装置11は、液体を噴射する液体噴射部21と、液体噴射部21を保持する保持部22と、を備える。本実施形態の保持部22は、シリアルタイプの液体噴射部21を保持してターゲットTを横切るように往復移動するキャリッジである。保持部22は、ラインヘッドタイプの液体噴射部21をターゲットTの搬送経路上に固定して配置するものであってもよい。
図2に示すように、液体噴射部21は、幅方向Xに並設された複数(本実施形態では5つ)のヘッドユニット24を有する。複数のヘッドユニット24は、幅方向X及び前後方向Yにおいて上方向に折り曲げられた金属製の板金25によって、下側から覆われて保持されている。板金25には、ヘッドユニット24と同数の貫通孔26が形成されている。ヘッドユニット24において、矩形の貫通孔26により露出する下側の面は、ノズル形成面27とされている。ノズル形成面27には、多数個のノズル28が形成されている。液体噴射部21は、複数のノズル28から液体を噴射してターゲットT(図3参照)に印刷する。
本実施形態では、1つのヘッドユニット24に形成された複数のノズル28を1つのノズル群29とする。本実施形態の液体噴射部21は、ヘッドユニット24と同数(5つ)のノズル群29を有する。換言すると、液体噴射部21は、複数のノズル群29を有する。
1つのノズル群29を構成するノズル28は、多数個(例えば180個又は360個)ずつ前後方向Yに沿ってそれぞれ一定ピッチで配置され、少なくとも1列(本実施形態では2列)のノズル列を形成する。1つのノズル群29を構成する複数のノズル28は、同じ種類の液体を噴射する。異なるノズル群29を構成するノズル28同士では、異なる種類の液体を噴射する。複数のノズル群29は、複数種類の液体を噴射可能に、複数種類の液体に対応して形成されている。
図3に示すように、第1筐体部12内には、幅方向Xに沿って延びるガイド軸31が設けられている。ガイド軸31には、保持部22が主走査方向の一例としての幅方向Xに往復移動可能な状態で支持されている。さらに、第1筐体部12内には、保持部22に一部が固定されたタイミングベルト32を掛装するための駆動プーリー33と従動プーリー34とが回転自在に支持されている。駆動プーリー33には、キャリッジモーター35が連結されている。キャリッジモーター35の駆動によりタイミングベルト32が周回運動すると、保持部22と液体噴射部21が幅方向Xに往復移動する。
液体噴射装置11は、液体噴射部21のメンテナンスを行うためのメンテナンス部37と、メンテナンスに伴って液体噴射部21から排出された廃液を収容する廃液収容部38と、を備える。メンテナンス部37は、ノズル28から液体を排出させるメンテナンス処理を行う。具体的には、メンテナンス部37は、ノズル28の目詰まり、液体噴射部21への気泡の混入、またはノズル28周辺への異物の付着などに起因して生じる噴射不良の予防または解消のために液体噴射部21をメンテナンスする。
メンテナンス処理は、液体噴射部21が有するアクチュエーター69(図5参照)を駆動して液体を噴射させるフラッシングと、液体噴射部21から液体を吸引して排出させる吸引クリーニングと、を含む。フラッシングは、印刷前に行うメンテナンス処理としての印刷前フラッシングおよび印刷中に行うメンテナンス処理としての印刷中フラッシングとして行われる。
メンテナンス部37は、開口部16を挟んで幅方向Xの一方側に設けられたフラッシング部39と、幅方向Xの他方側に設けられたクリーニング部40と、を備える。フラッシング部39とクリーニング部40は、前後方向Yに移動する媒体支持トレイ14と干渉しないように、幅方向Xにおいて開口部16と位置をずらして設けられている。クリーニング部40が設けられた位置をホームポジションとする。
フラッシング部39は、フラッシングにより液体噴射部21から噴射された液体を受容する。フラッシングとは、ノズル28から液体を吐き捨てることによって、噴射不良の原因となる異物、気泡または変質した液体(例えば増粘したインク)を排出する動作である。フラッシングは、軽度の噴射不良を解消するために実行される。
フラッシング部39は、フラッシングボックス42と、フラッシングボックス42に接続されたフラッシングチューブ43と、フラッシングボックス42内を吸引可能なフラッシングポンプ44と、を備える。フラッシングチューブ43は、上流端がフラッシングボックス42に接続され、下流端が廃液収容部38に接続されている。フラッシングポンプ44は、フラッシングチューブ43の途中位置に設けられている。フラッシングポンプ44は、例えばチューブポンプとすることができるが、他の形式のポンプでもよい。
クリーニング部40は、放置キャップ46と、吸引キャップ47と、ワイパー48と、吸収部材49と、を備える。クリーニング部40は、吸引キャップ47と廃液収容部38とを接続する吸引チューブ50と、吸引キャップ47内を吸引可能な吸引ポンプ51と、を備える。吸引ポンプ51は、吸引チューブ50の途中位置に設けられている。吸引ポンプ51は、例えばチューブポンプとすることができるが、他の形式のポンプでもよい。
放置キャップ46と吸引キャップ47、及び液体噴射部21のうち少なくとも一方は、ノズル28が開口する空間を閉空間とするキャッピング位置と、ノズル28が開口する空間を開放空間とする退避位置との間で、相対移動するように構成される。そして、放置キャップ46、吸引キャップ47、及び液体噴射部21がキャッピング位置に配置されることによって、キャッピングが行われる。
放置キャップ46は、全てのノズル28を一度に覆う閉空間を形成する。放置キャップ46は、液体の噴射を行わない時にキャッピングを行い、ノズル28の乾燥を抑制することによって、噴射不良の発生を予防する。放置キャップ46は、印刷休止時や不使用時における液体噴射部21の各ノズル28内のインクの蒸発の抑制等に用いられる。
吸引キャップ47は、液体噴射部21に接触してノズル28を含む空間を形成する。吸引キャップ47は、1つのヘッドユニット24に形成された1つのノズル群29を覆う閉空間を形成する。吸引キャップ47、吸引チューブ50、及び吸引ポンプ51は、液体噴射部21から液体を吸引して排出させる吸引クリーニングを行う。
吸引クリーニングは、吸引キャップ47をキャッピング位置に配置して形成した閉空間に、吸引ポンプ51の駆動によって生じた負圧を作用させて行う。液体噴射部21に負圧を作用させると、ノズル28から液体が吸引排出される。すなわち、吸引クリーニングでは、吸引ポンプ51が液体噴射部21に負圧を印加して液体噴射部21内の液体を外部へ排出させる。
ワイパー48は、弾性変形しつつノズル形成面27に接触することでノズル形成面27を払拭する。吸収部材49は、ノズル形成面27に接触することでノズル形成面27に付着したインクを吸収する。
フラッシング部39及びクリーニング部40は、第1筐体部12に対して着脱可能に設け、交換可能としてもよい。フラッシング部39及びクリーニング部40は、上カバー19を図1に示す開位置に変位させることによりアクセス可能に配置されている。これにより、フラッシング部39及びクリーニング部40のメンテナンスや交換が容易に可能となっている。
図4に示すように、液体噴射装置11は、例えばインクなどの液体を収容する液体供給源54が着脱可能に装着される装着部55を備える。装着部55は、第1筐体部12内において、開口部16を挟むように幅方向Xの両側に設けてもよい。装着部55に装着された液体供給源54は、開閉カバー17が開位置に配置されると出現し、交換可能である。
本実施形態の装着部55には、少なくとも1つ(例えば5つ)の液体供給源54が装着される。液体供給源54を複数装着する場合には、液体供給源54は、それぞれ異なる液体を収容してもよい。例えば、1つの液体供給源54は、溶液である水に対して沈降性を示す顔料を混ぜたインク(例えば、白色の顔料を含むホワイトインク)を収容してもよい。他の液体供給源54は、顔料を含まないか、顔料の含有量が少ないインク(例えば、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラーインク)を収容してもよい。1つの液体供給源54が複数種類の液体を収容してもよい。
複数の液体供給源54に収容される複数種類の液体は、下地印刷に使用される液体を含む。下地印刷とは、例えば黒色のTシャツのような濃い色のターゲットTに印刷する場合などに、本印刷に先立って行う印刷である。下地印刷を行う場合には、下地印刷用の液体の一例であるホワイトインクを用いて先に下地印刷を行い、下地印刷をした上に本印刷用の液体の一例であるカラーインクを用いて本印刷を行う。
図5に示すように、液体噴射装置11は、液体供給源54に収容される液体を液体噴射部21に向けて供給可能に設けられた液体供給流路57を備える。本実施形態では、液体供給流路57及び液体供給流路57からノズル28までの流路を含めて液体経路58とする。液体経路58は、液体供給源54に収容される複数種類(例えばインクの色)の液体を対応する複数のノズル群29に向けて供給可能に複数設けられる。
液体供給源54は、例えば液体を収容する袋体60と、袋体60を収容する収容ケース61と、袋体60に収容された液体を収容ケース61の外に導出するための導出部62と、を備える。装着部55は、液体供給源54が収容する液体を液体噴射部21に向けて加圧供給するための供給ポンプ63を備える。
供給ポンプ63は、例えばダイヤフラムポンプである。供給ポンプ63の上流側には、上流側一方向弁64が設けられ、供給ポンプ63の下流側には、下流側一方向弁65が設けられる。供給ポンプ63は、例えばチューブポンプでもよいし、収容ケース61内に加圧した気体を送出して袋体60を押し潰すことにより液体を供給する送気ポンプでもよい。そして、供給ポンプ63がチューブポンプまたは送気ポンプの場合には上流側一方向弁64及び下流側一方向弁65を設けなくてもよい。
液体噴射部21は、液体が一時貯留される共通液室67と、複数のノズル28に個別に対応するように設けられる複数のキャビティ68と、を備える。液体噴射部21は、液体を収容する各キャビティ68に個別に対応するように設けられる複数のアクチュエーター69を備え、アクチュエーター69の駆動により、ノズル28から液体が噴射される。
液体供給流路57の途中に液体を一時貯留する貯留部72を設けると、液体噴射部21に供給される液体の圧力が安定する。貯留部72は、内部を大気開放した開放系のタンクにしてもよいが、壁面の一部を撓み変位可能なフィルム73で形成した閉鎖系の貯留室にすると、液体への気体の混入が抑制できる。
液体噴射装置11は、液体経路58に設けられ、液体が通過可能であると共に液体中の異物を捕捉可能なフィルターの一例である第1フィルター74を備える。第1フィルター74は、共通液室67の上流側に設けるとよい。第1フィルター74は、液体噴射部21内を通過できない異物を捕集可能な捕集能力を備える。液体噴射装置11が保持部22を備える場合、保持部22が第1フィルター74を保持するようにしてもよい。
共通液室67の上流側に、加圧供給される液体の圧力を調整する圧力調整機構75を設けると、ノズル28に供給される圧力が安定する。保持部22は、圧力調整機構75を保持するようにしてもよい。第1フィルター74及び圧力調整機構75を保持部22が保持する場合、第1フィルター74及び圧力調整機構75は、保持部22の移動に伴って幅方向X(図3参照)に往復移動する。
例えばホワイトインクなど、沈降性を示す成分を含む液体を供給する液体供給流路57には、両端が液体供給流路57と接続される帰還流路77が設けられる。帰還流路77は、第1端が液体供給流路57の第1位置P1に接続されるとともに、第1端とは反対側の第2端が液体供給流路57における第1位置P1よりもノズル28に近い第2位置P2に接続される。すなわち、第2端は、第1位置P1よりもノズル28側となる第2位置P2に接続される。
液体経路58において、液体供給源54から第1位置P1までを上流流路58aとし、第1位置P1から第2位置P2までを中間流路58bとし、第2位置P2から液体噴射部21までの液体の流路と、液体噴射部21のノズル28に至る液体の流路を含めて下流流路58cとする。
液体供給流路57と帰還流路77は、循環流路78を形成する。貯留部72は、帰還流路77が接続される液体供給流路57において、第1位置P1と第2位置P2の間に位置して循環流路78を構成する中間流路58bに設けるとよい。液体供給流路57及び帰還流路77において流体が流れる方向を図5に矢印で示す。供給ポンプ63は、液体供給流路57の第1位置P1より液体供給源54に近い上流流路58aに配置されて、液体供給源54から液体噴射部21に向けて液体を供給する。
液体噴射装置11は、循環流路78内の流体を流動可能な循環ポンプ79と、帰還流路77の一部を構成する交換可能なフィルターユニット80と、帰還流路77内と外部とを連通可能な態様で帰還流路77に接続された連通流路81と、を備える。
循環ポンプ79は、例えばチューブポンプであり、一方向に回転駆動した場合に流路を形成するチューブを押圧して流体を圧送し、その逆方向に回転駆動した場合にチューブの押圧を解除して流体の流通を許容する。循環流路78において循環ポンプ79が液体を圧送する方向(図5に矢印で示す方向)を流動方向とする。すなわち、循環ポンプ79は、循環流路78内の流体を流動方向に流動させる。循環ポンプ79は、ノズル28に形成されたメニスカスを壊さない圧力で流体を循環させる。
循環ポンプ79は、ダイヤフラムポンプなど、他の形式のポンプでもよい。液体噴射装置11は、印刷を行わないときに循環ポンプ79を駆動して、循環流路78において液体を循環させることによって液体を攪拌し、顔料などの沈降を抑制または解消する。
フィルターユニット80は、異物を捕集する第2フィルター83と、第2フィルター83を通過する前の一次側で液体を貯留する上流側フィルター室84と、を有する。連通流路81は、上流側フィルター室84に接続するとよい。上流側フィルター室84には第2フィルター83が捕集した気体が溜まるので、上流側フィルター室84に連通流路81を接続すると、捕集された気体が、連通流路81を通じて外部に排出される。
第2フィルター83を上流側フィルターとしたときに、液体供給流路57の第2位置P2からノズル28に向かう下流流路58cに配置される第1フィルター74は、下流側フィルターとなる。下流側フィルターである第1フィルター74は、上流側フィルターである第2フィルター83より異物を捕集する能力が低くてもよい。
循環ポンプ79は、例えば、帰還流路77において連通流路81が接続された接続位置P3と第1位置P1との間に配置される。接続位置P3は、帰還流路77の第1端と第2端の間にある。本実施形態では、帰還流路77において、接続位置P3から第2位置P2までを分流流路77aとし、分流流路77aが設けられる領域を「分流領域」とする。帰還流路77において、接続位置P3から第1位置P1までを合流流路77bとし、合流流路77bが設けられる領域(概ね図5に二点鎖線で囲む領域)を「合流領域」とする。
分流領域には、循環流路78を構成する帰還流路77内の圧力を検出可能な圧力センサー86を設けるとよい。液体噴射装置11は、循環流路78に設けられ、循環流路78における流動方向への流体の流れを許容し、流動方向とは反対の方向への流体の流れを抑制する少なくとも1つの一方向弁(本実施形態では2つの第1一方向弁87と第2一方向弁88)を備えるとよい。例えば、分流領域において圧力センサー86とフィルターユニット80との間には、第2位置P2からフィルターユニット80に向かう流体の流れを許容するとともに、その逆方向への流体の流れを抑制する第1一方向弁87を設けるとよい。
合流領域において循環ポンプ79と第1位置P1との間には、循環ポンプ79から第1位置P1に向かう流体の流れを許容するとともに、その逆方向への流体の流れを抑制する第2一方向弁88を設けるとよい。合流領域において第2一方向弁88と第1位置P1の間にも、貯留部72を設けるとよい。
連通流路81には、開閉弁91が設けられている。開閉弁91は、気体排出ユニット92が装着されると開弁して連通流路81を開放し、気体排出ユニット92が取り外されると閉弁して連通流路81を閉塞する。気体排出ユニット92が装着された場合には、連通流路81は、気体排出ユニット92が備える排気流路93と連通する。
気体排出ユニット92は、気体を外部に排出するための排気流路93と、外部から連通流路81への流体の混入を規制可能な流入規制部94と、気体と液体とを分離させる気液分離部95と、を備える。流入規制部94は、例えば、連通流路81内から外部への流体の流出を許容し、外部から連通流路81への気体(空気)の流入や排気流路93内からフィルターユニット80側への流体の逆流を規制する一方向弁である。気液分離部95は、流入規制部94より下流に設けられ、排気流路93からの気体の排出を許容し、排気流路93からの液体の排出を規制する。
図6に示すように、液体噴射装置11は、操作パネル18、キャリッジモーター35、フラッシングポンプ44、吸引ポンプ51、供給ポンプ63、アクチュエーター69、及び循環ポンプ79を含む構成要素を制御する制御部97を備える。制御部97は、これら構成要素の制御に用いるプログラムを記憶したメモリー98を備え、メモリー98に記憶されたプログラムを実行することによって、各種の処理を行う。また、制御部97は、圧力センサー86と電気的に接続されている。
制御部97は、所定のタイミングで、第2フィルター83の目詰まりの程度を推測する処理を実行する。例えば、循環ポンプ79が駆動していないときに圧力センサー86が検出した圧力値を停止圧力値とし、循環ポンプ79が駆動しているときに圧力センサー86が検出した圧力値を駆動圧力値とすると、制御部97は、停止圧力値と駆動圧力値をメモリー98に記憶させる。そして、制御部97は、停止圧力値と駆動圧力値との差が設定された閾値より大きい場合に、第2フィルター83が交換を要する程度に目詰まりしていると推測する。このとき、制御部97は、循環ポンプ79の駆動状況及び圧力センサー86が検出した圧力値に基づいて第2フィルター83の目詰まりの程度を推測する推測手段として機能する。
この推測に用いる閾値は、予め実験やシミュレーションによって算出し、制御部97が備えるメモリー98が記憶しておいてもよいし、ユーザーが操作パネル18などを通じて入力するようにしてもよい。第2フィルター83が交換を要する程度に目詰まりしていると制御部97が推測した場合、操作パネル18などを通じて、その旨をユーザーに報知すると、フィルターユニット80が適切な時期に交換される。
次に、圧力調整機構75の一実施形態について説明する。
図7に示すように、圧力調整機構75は、液体経路58の途中に設けられる供給室101と、供給室101と連通孔102を介して連通可能な圧力室103と、連通孔102を開閉可能な弁体104と、基端側が供給室101に収容されるとともに先端側が圧力室103に収容される受圧部材105と、を備える。供給室101、連通孔102、及び圧力室103は、ノズル28に液体を供給する液体経路58の一部を構成する。
弁体104は、例えば供給室101内に位置する受圧部材105の基端部分を囲むように取り付けられた環状の弾性体からなる。受圧部材105の先端側に設けられた薄板状の受圧部から供給室101に延びる棒状部を途中で分割し、供給室101側の棒状部を弁体104と一体化してもよい。第1フィルター74は、例えば、供給室101への流入口に設置することができる。第1フィルター74は、下流側の供給室101と、上流側の上流室106とを仕切るように設けられる。供給室101と上流室106は、上流室106よりも上流側の液体経路58よりも流路断面積が大きい拡幅部とされている。
圧力室103の壁面の一部は、撓み変位可能な可撓膜107により形成される。また、圧力調整機構75は、供給室101に収容される第1付勢部材(第1片寄せ部材)108と、圧力室103に収容される第2付勢部材(第2片寄せ部材)109を備える。第1付勢部材108は、受圧部材105を介して、連通孔102を閉塞する方向に弁体104を付勢(片寄せ)する。
受圧部材105は、圧力室103の容積を小さくする方向に撓み変位する可撓膜107に押されることにより、変位する。また、可撓膜107は、ノズル28からの流体の排出に伴って圧力室103の内圧が低下したときに、圧力室103の容積を小さくする方向に撓み変位する。そして、可撓膜107の圧力室103側となる内側の面にかかる圧力(内圧)が可撓膜107の圧力室103の反対側となる外側の面にかかる圧力(外圧)より低くなり、かつ、内側の面にかかる圧力と外側の面にかかる圧力との差が設定値(例えば1kPa)以上になると、受圧部材105が変位して、弁体104が閉弁状態から開弁状態となる。
なお、設定値とは、第1付勢部材108と第2付勢部材109の付勢力、可撓膜107を変位させるために必要な力、弁体104によって連通孔102を閉塞するために必要な押圧力(シール荷重)、受圧部材105の供給室101側および弁体104の表面に作用する供給室101内の圧力及び圧力室103内の圧力に応じて決まる値である。つまり、第1付勢部材108と第2付勢部材109の付勢力の合計が大きいほど、設定値は大きくなる。第1付勢部材108と第2付勢部材109の付勢力は、例えば、圧力室103内の圧力が、ノズル28における気液界面にメニスカスを形成可能な範囲の負圧状態(例えば可撓膜107の外側の面にかかる圧力が大気圧の場合、-1kPa)となるように設定される。
連通孔102が開放されて供給室101から圧力室103に流体が流入すると、圧力室103の内圧が上昇する。そして、圧力室103の内圧が上述の設定値になると、弁体104が連通孔102を閉塞する。そのため、供給室101に流体が加圧供給されても、ノズル28から流体が排出されても、圧力室103からキャビティ68までの圧力(ノズル28の背圧)は、概ね設定値程度に維持される。
本実施形態において、圧力調整機構75は、液体経路58において第2位置P2から液体噴射部21に向かう下流流路58cに配置される。そして、液体経路58を連通状態と非連通状態とに切替可能な弁体104を有して、弁体104より下流の領域の圧力が外部空間の圧力未満である設定値より小さくなった場合に、弁体104が自律的に液体経路58(連通孔102)を連通状態から非連通状態に切り替える。そのため、圧力調整機構75は差圧弁(差圧弁の中でも特に減圧弁)に分類される。
圧力調整機構75には、強制的に連通孔102を開いて液体を液体噴射部21に供給する開弁機構111を付加してもよい。開弁機構111は、例えば、可撓膜107により圧力室103と区画された収容室112に収容された加圧袋113と、加圧袋113内に気体を流入させる加圧流路114とを備える。そして、加圧流路114を通じて流入する気体により加圧袋113が膨らみ、可撓膜107を圧力室103の容積を小さくする方向に撓み変位させることによって、強制的に連通孔102を開く。開弁機構111が強制的に連通孔102を開くことによって、液体経路58(連通孔102)を強制的に非連通状態から連通状態に切り替えることができる。
次に、フィルターユニット80の一実施形態について説明する。
図8に示すように、フィルターユニット80は、円筒状のケース116を備える。第2フィルター83は円筒状をなして、ケース116と中心軸が重なるようにケース116内に配置される。帰還流路77は、円筒状をなすケース116の円形状の底面及び上面に接続される。上流側フィルター室84は、ケース116と第2フィルター83の間に囲み形成されることにより、帰還流路77の一部を構成する。
第2フィルター83は、円筒の内周面により形成される孔83aを有するとともに、第2フィルター83の底面部分と上面部分は円盤状の支持板117によって閉塞される。孔83aの上端は上面側の支持板117により閉塞され、孔83aの下端側は底面側の支持板117を貫通する。孔83a内の空間は第2フィルター83の二次側であって、帰還流路77の合流領域を構成する。
フィルターユニット80は、一次側(上流側)が二次側(下流側)よりも高くなるように傾斜して配置するとよい。また、連通流路81は、上流側フィルター室84における鉛直方向の上端部に接続するとよい。こうすると、上流側フィルター室84に入った気体が、上流側フィルター室84における最も高い位置となるコーナー部に溜まるので、連通流路81には液体よりも気体が入りやすくなる。
帰還流路77において、上流側となる分流領域からフィルターユニット80に流体が入ると、その流体は一時的に上流側フィルター室84に貯留された後、第2フィルター83の外周面から第2フィルター83内に進入して孔83aに至る。このとき、気泡を含む異物は第2フィルター83に捕集(捕捉)される。また、第2フィルター83に捕集された気泡は、上流側フィルター室84の上部に溜まって、連通流路81及び排気流路93から流路の外部に流出する。そして、第2フィルター83により異物が濾過された液体は、孔83aを通じてフィルターユニット80の下流側の合流領域に移動する。なお、図8に示す構成中において、流体が流れる方向を矢印で示す。
次に、気液分離部95の一実施形態について説明する。
図8に示すように、気液分離部95は、排気流路93の末端で液体を一時貯留する脱気室119と、脱気室119と脱気膜120で区画された排気室121と、排気室121を外部に連通させる排気路122と、を備える。脱気膜120は、気体を通過させるが液体を通過させない性質を有する。脱気膜120としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を特殊延伸加工して作られるフィルムに、0.2ミクロン程度の微細な孔を多数形成したものを採用することができる。脱気室119に気体を含む液体が流入すると、気体のみが脱気膜120を通過して排気室121に入り、排気路122を通じて外部に排出される。これにより、排気流路93からの液体の排出を抑制しつつ、脱気室119に貯留された液体に混入した気泡や溶存ガスが除去される。
次に、液体噴射装置11のメンテナンス方法について説明する。
図9に示すメンテナンス処理ルーチンは、ターゲットTに印刷するための印刷情報が入力された場合に、この印刷情報に基づく印刷を開始する前に実行される。
図9に示すように、ステップS101において、制御部97は、印刷情報に基づいて、印刷中に液体経路58中に液体が滞留する滞留時間が閾値時間よりも長いか否かを判断する。
滞留時間が閾値時間よりも長いと推測される場合には(ステップS101:YES)、ステップS102において、制御部97は、印刷情報に基づく印刷が設定条件を満たす印刷であるとする。ステップS103において、制御部97は、印刷前フラッシングで排出される液体の排出量を多くする。
滞留時間が閾値時間よりも短いと推測される場合には(ステップS101:NO)、制御部97は、ステップS104において、印刷情報に基づいて保持部22が往復移動する単位時間当たりの揺動回数が、閾値回数以上であるか否かを判断する。揺動回数が閾値回数以上である場合には(ステップS104:YES)、制御部97は、処理をステップS102に移行する。
揺動回数が閾値回数未満である場合には(ステップS104:NO)、ステップS105において、制御部97は、印刷情報に基づく印刷が設定条件を満たさない印刷であるとする。ステップS106において、制御部97は、印刷前フラッシングで排出される液体の排出量を少なくする。
すなわち、制御部97は、設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行うメンテナンス処理としての印刷前フラッシングで排出される液体の排出量を、設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くする。
次に、液体噴射装置11の作用を説明する。
液体は、時間の経過や振動が加わることに伴って凝集し、凝集物が異物となることがある。凝集のしやすさは、液体の種類によっても異なるが、液体経路58に液体が滞留する時間が長くなるほど液体中の凝集物は増加する。下地印刷に用いる液体(例えばホワイトインク)は、本印刷に用いる液体(例えばカラーインク)に比べて凝集しやすい傾向がある。
液体経路58は、一部が保持部22の移動に伴って移動する。移動する部分では内部の液体が振動し、移動しない部分よりも凝集が生じやすい。そのため、閾値時間と比較する滞留時間とは、液体経路58のうち移動する部分に液体が滞留する時間とすることが好ましい。
特に、液体経路58において、拡幅部などの空気が滞留しやすい部分では、液面が形成されやすい。液面が形成されると、液面が揺れて振動しやすくなり、凝集も生じやすい。そのため、保持部22の移動に伴って第1フィルター74が移動すると、第1フィルター74の周囲において凝集が生じやすい。特に上流室106において液体が凝集すると、凝集物により第1フィルター74を目詰まりさせてしまう虞がある。
液体噴射装置11は、印刷を開始する前にターゲットTに印刷するための印刷情報から設定条件を満たしているかどうかを確認する。凝集が生じやすい印刷をする場合には、印刷する前に液体経路58中の異物を予め排出する。これにより、印刷中に凝集して異物が生じた場合でも、異物の量を低減させることができる。
印刷情報には、下地印刷の有無が含まれる。下地印刷を含む印刷をする場合には、本印刷よりも前に下地印刷をする。下地印刷は、ターゲットTにおいて、本印刷を行う領域を塗り潰すように行う。そのため、下地印刷は所謂ベタ印刷となり、液体経路58に滞留する下地印刷用の液体の滞留時間は、閾値時間よりも短くなる。したがって、制御部97は、印刷情報に基づいて下地印刷を含まない印刷を設定条件を満たす印刷とし、下地印刷を含む印刷を設定条件を満たさない印刷とする。
下地印刷をする場合には、下地印刷用の液体が先に噴射されるため、下地印刷用の液体を供給する液体経路58内の液体は、下地印刷により異物を排出できる。これに対し、下地印刷を含まない印刷をする場合には、本印刷のみを行うため、本印刷中に下地印刷用の液体を供給する液体経路58内の異物が増加する虞がある。
液体経路58における滞留時間は、印刷品質によっても変化する。例えば、印刷情報には、高速、通常、精細、高精細などの印刷態様を含んでもよい。印刷品質は、高速、通常、精細、高精細の順に高くなる。滞留時間は、印刷品質が高くなるほど長くなる。したがって、制御部97は、例えば高速もしくは通常が選択された場合には、設定条件を満たさないとし、精細もしくは高精細が選択された場合には、設定条件を満たすとしてもよい。
次に、下地印刷を含む印刷をする場合について説明する。
下地印刷を含む印刷は、設定条件を満たさない印刷である。下地印刷にはホワイトインクを用い、本印刷にはカラーインクを用いるものとする。以下の説明ではフラッシングによる第1排出量を少量(例えば1ノズル当たり液滴を100滴噴射した場合の総量)、少量よりも多い第2排出量を中量(例えば1ノズル当たり液滴を1000滴噴射した場合の総量)、中量よりも多い第3排出量を多量(例えば1ノズル当たり液滴を10000滴噴射した場合の総量)ともいう。多量は中量の10倍~100倍、中量は少量の10倍~100倍程度であることが好ましい。
制御部97は、印刷前フラッシング、下地印刷、本印刷の順に実行し、下地印刷中及び本印刷中に印刷中フラッシングを行う。印刷前フラッシングでは、液体噴射部21は、中量のホワイトインクと中量のカラーインクを噴射する。印刷中フラッシングでは、液体噴射部21は、少量のホワイトインクと少量のカラーインクを噴射する。
次に、下地印刷を含まない印刷をする場合について説明する。
下地印刷を含まない印刷は、設定条件を満たす印刷である。制御部97は、印刷前フラッシング、本印刷の順に実行し、本印刷中に印刷中フラッシングを行う。設定条件を満たし、設定条件を満たさない場合より印刷中に液体が液体経路58中に滞留している時間が長いと推測される場合は、設定条件を満たさない場合より印刷前フラッシングで排出される液体の排出量を多くする。
具体的には、印刷前フラッシングでは、液体噴射部21は、多量のホワイトインクと、中量のカラーインクを噴射する。このように、設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行うメンテナンス処理で排出される下地印刷に使用される液体の排出量を、設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くする。
設定条件を満たす場合、印刷前に行うメンテナンス処理で排出されるホワイトインクの排出量は、液体経路58の第1フィルター74より下流側の容積以上に設定されている。多量とは、液体経路58において、第1フィルター74からノズル28までの容量よりも多いことが好ましい。
印刷前フラッシング中に液体経路58を流れるホワイトインクの流量(m/s)は、印刷中に液体経路58を流れるホワイトインクの流量の最大値以上に設定されている。印刷前フラッシングをする場合に、ホワイトインクの単位時間当たりの噴射量(滴数)は、印刷中フラッシングをする場合の単位時間当たりの最大噴射量よりも多いことが好ましい。
印刷前に行うメンテナンス処理中に液体経路58を流れる液体の流量は、第1フィルター74が捕捉した異物が第1フィルター74を通過できるように設定されている。第1フィルター74が捕捉した異物(特に凝集物)は、流量を多くすると第1フィルター74を通過することがある。多量のホワイトインクを噴射するフラッシングを行うとき、ホワイトインクの液体経路58に設けられた第1フィルター74が捕捉した少なくとも一部の異物は、第1フィルター74を通過することが好ましい。
印刷中フラッシングでは、液体噴射部21は、少量のホワイトインクと、少量のカラーインクを噴射する。そのため、設定条件を満たす場合、印刷中フラッシングで排出される液体の排出量は、印刷前フラッシングで排出される液体の排出量より少ない。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)液体のなかには、液体経路58中に滞留する滞留時間が長いほど、液体に含まれる気泡や異物が増加しやすくなるものがある。そのため、印刷前に液体経路58中の液体に気泡や異物が多く含まれる状態で、滞留時間が長い印刷を行うと、印刷中に増加した気泡や異物により適切に印刷ができなくなる虞がある。その点、印刷するための印刷情報に基づいて、この印刷の前に行なうメンテナンス処理の仕様を決定する。具体的には、液体経路58中に液体が滞留する滞留時間が長い印刷をする場合には、滞留時間が短い印刷をする場合に比べ、印刷前に行うメンテナンス処理で排出される液体の排出量を多くし、予め気泡や異物を含む虞のある液体を排出してから印刷する。したがって、印刷中に気泡や異物が生じた場合でも、印刷前に排出する排出量が少ない場合に比べて液体に含まれる気泡や異物の量を低減でき、ノズル28に安定的に液体を供給できる。
(2)印刷前フラッシングにより液体経路58を流れる液体の流量は、印刷中に液体経路58を流れる液体の流量の最大値以上に設定されている。そのため、液体に気泡や異物が含まれる場合でも、印刷前フラッシングにより液体経路58中の液体を流動させやすくできる。
(3)気泡や異物が増加しやすい印刷をする場合には、印刷前に排出する排出量を多くし、液体経路58内の液体を予め排出してから印刷する。そのため、印刷中フラッシングで排出される液体の排出量を少なくしても、印刷不良が生じる虞を低減できる。したがって、液体の消費を低減しつつ、液体を安定して供給できる。
(4)印刷前に行うメンテナンス処理では、液体経路58において第1フィルター74より下流側の容積以上の液体を排出する。そのため、第1フィルター74よりも下流側に位置し、第1フィルター74により捕捉できない気泡や異物を含む液体を印刷前に排出できる。
(5)印刷前に行うメンテナンス処理により液体経路58を流れる液体の流量は、第1フィルター74が捕捉した異物がこの第1フィルター74を通過できるように設定されている。そのため、異物により第1フィルター74が目詰まりしてしまう虞を低減できる。
(6)複数種類の液体のうち下地印刷に使用される液体のなかには、他の液体に比べて異物が生じやすいものがある。その点、下地印刷を行わない場合は、印刷前のメンテナンス処理において、下地印刷に使用する液体の排出量を多くする。したがって、印刷前に液体中の異物を低減させるため、下地印刷を含まない印刷により液体中の異物が生じた場合でも、ノズル28に安定して液体を供給できる。
上記実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。上記実施形態と下記変更例とは、任意に組み合わせてもよい。下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
・液体噴射装置11は、印刷情報に基づいて、カラーインクにおける各色の滞留時間を推測してもよい。滞留時間が長い場合には設定条件を満たすとし、印刷前に行うメンテナンス処理において、設定条件を満たす液体の排出量を多くしてもよい。
・循環流路78の一部が保持部22と共に移動する場合、制御部97は、印刷中に循環ポンプ79を駆動し、循環流路78において液体を循環させてもよい。これにより、保持部22の移動に伴って凝集しやすい部分の液体を入れ換えることができる。
・帰還流路77の第2端は、共通液室67に接続してもよい。すなわち、第2位置P2は、共通液室67に設けてもよい。循環流路78は、液体噴射部21を含めて形成してもよい。設定条件を満たす場合でも、設定条件を満たさない場合と同様に印刷前のメンテナンス処理を行い、印刷中に循環流路78内の液体を循環させてもよい。液体を循環させることにより、循環流路78において、凝集しやすい部分に位置する液体を入れ換えてもよい。
・帰還流路77の第2端は、液体経路58において、第1フィルター74から圧力調整機構75との間の経路に接続してもよい。帰還流路77の第2端は、供給室101に接続してもよい。循環ポンプ79は、第1フィルター74よりも下流側の供給室101から第1フィルター74よりも上流側の上流室106へ液体が流入するように液体を循環させてもよい。これにより、第1フィルター74に捕捉された異物を第1フィルター74から引き剥がし、引き剥がされた異物を第2フィルター83に捕捉させることができる。
・液体噴射部21は、1つのノズル群29を有する構成としてもよい。液体噴射装置11は、1つの液体経路58を有する構成としてもよい。液体噴射装置11は、1種類の液体を噴射する例えばモノクロプリンターとしてもよい。
・液体噴射装置11が噴射する複数種類の液体には、下地印刷に使用される液体を含まなくてもよい。液体噴射装置11は、下地印刷を行わなくてもよい。
・印刷前に行うメンテナンス処理中に液体経路58を流れる液体の流量は、メンテナンス処理を行う間に変化させてもよい。例えば、印刷前フラッシングにおいて、単位時間当たりに噴射する噴射量を変化させてもよい。印刷前に行うメンテナンス処理中に液体経路58を流れる液体の流量が、第1フィルター74が捕捉した異物が第1フィルター74を通過できる流量よりも多くなる期間は、メンテナンス処理における一部期間であってもよい。
・液体噴射装置11は、第1フィルター74を備えない構成としてもよい。
・印刷前に行うメンテナンス処理中に液体経路58を流れる液体の流量は、第1フィルター74が捕捉した異物が第1フィルター74を通過できないように設定されていてもよい。
・設定条件を満たす場合、印刷前に行うメンテナンス処理で排出される液体の排出量は、液体経路58の第1フィルター74より下流側の容積以下に設定されていてもよい。
・設定条件を満たす場合、印刷前フラッシングで排出される液体の排出量と、印刷中フラッシングで排出される液体の排出量の合計が液体経路58の第1フィルター74より下流側の容積以上となるようにしてもよい。
・印刷前に行うメンテナンス処理は、フラッシングに限らない。メンテナンス処理は、吸引クリーニングとしてもよい。メンテナンス処理は、開弁機構111により液体経路58を連通させた状態で供給ポンプ63を駆動する加圧クリーニングとし、液体供給源54から液体を加圧供給してノズル28から液体を排出させてもよい。
・設定条件を満たす場合でも、印刷中フラッシングで排出される液体の排出量は、印刷前フラッシングで排出される液体の排出量以上にしてもよい。
・印刷前フラッシング中に液体経路58を流れる液体の流量は、印刷中に液体経路58を流れる液体の流量の最大値以下に設定してもよい。
・ターゲットTは用紙やTシャツ等の布帛に限らず、プラスチックフィルムや薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる長尺状の布帛であってもよい。
・液体噴射部21が噴射する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などであってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射して記録を行う構成にしてもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
[思想1]
複数のノズルから液体を噴射してターゲットに印刷する液体噴射部と、
液体供給源に収容される前記液体を前記液体噴射部に向けて供給可能に設けられた液体供給流路と、
前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス処理を行うメンテナンス部と、
を備え、
前記ターゲットに印刷するための印刷情報に基づいて、印刷中に前記液体供給流路及び該液体供給流路から前記ノズルまでの流路を含む液体経路中に前記液体が滞留する滞留時間が長いと推測される場合には、設定条件を満たす印刷であるとし、前記滞留時間が短いと推測される場合には、前記設定条件を満たさない印刷であるとし、
前記設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量を、前記設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くすることを特徴とする液体噴射装置。
液体のなかには、液体経路中に滞留する滞留時間が長いほど、液体に含まれる気泡や異物が増加しやすくなるものがある。そのため、印刷前に液体経路中の液体に気泡や異物が多く含まれる状態で、滞留時間が長い印刷を行うと、印刷中に増加した気泡や異物により適切に印刷ができなくなる虞がある。その点、この構成によれば、印刷するための印刷情報に基づいて、この印刷の前に行なうメンテナンス処理の仕様を決定する。具体的には、液体経路中に液体が滞留する滞留時間が長い印刷をする場合には、滞留時間が短い印刷をする場合に比べ、印刷前に行うメンテナンス処理で排出される液体の排出量を多くし、予め気泡や異物を含む虞のある液体を排出してから印刷する。したがって、印刷中に気泡や異物が生じた場合でも、印刷前に排出する排出量が少ない場合に比べて液体に含まれる気泡や異物の量を低減でき、ノズルに安定的に液体を供給できる。
[思想2]
前記メンテナンス処理は、前記液体噴射部が有するアクチュエーターを駆動して前記液体を噴射させるフラッシングを含み、
前記フラッシングは、印刷前に行う前記メンテナンス処理としての印刷前フラッシングとして行われ、
前記印刷前フラッシング中に前記液体経路を流れる前記液体の流量は、印刷中に前記液体経路を流れる前記液体の流量の最大値以上に設定されていることを特徴とする[思想1]に記載の液体噴射装置。
この構成によれば、印刷前フラッシングにより液体経路を流れる液体の流量は、印刷中に液体経路を流れる液体の流量の最大値以上に設定されている。そのため、液体に気泡や異物が含まれる場合でも、印刷前フラッシングにより液体経路中の液体を流動させやすくできる。
[思想3]
前記メンテナンス処理は、前記液体噴射部が有するアクチュエーターを駆動して前記液体を噴射させるフラッシングを含み、
前記フラッシングは、印刷前に行う前記メンテナンス処理としての印刷前フラッシングおよび印刷中に行う前記メンテナンス処理としての印刷中フラッシングとして行われ、
前記設定条件を満たす場合、前記印刷中フラッシングで排出される前記液体の排出量は、前記印刷前フラッシングで排出される前記液体の排出量より少ないことを特徴とする[思想1]又は[思想2]に記載の液体噴射装置。
この構成によれば、気泡や異物が増加しやすい印刷をする場合には、印刷前に排出する排出量を多くし、液体経路内の液体を予め排出してから印刷する。そのため、印刷中フラッシングで排出される液体の排出量を少なくしても、印刷不良が生じる虞を低減できる。したがって、液体の消費を低減しつつ、液体を安定して供給できる。
[思想4]
前記液体経路に前記液体が通過可能なフィルターを備え、
前記設定条件を満たす場合、前記印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量は、該液体経路の前記フィルターより下流側の容積以上に設定されていることを特徴とする[思想1]~[思想3]のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。
この構成によれば、印刷前に行うメンテナンス処理では、液体経路においてフィルターより下流側の容積以上の液体を排出する。そのため、フィルターよりも下流側に位置し、フィルターにより捕捉できない気泡や異物を含む液体を印刷前に排出できる。
[思想5]
前記液体経路に前記液体中の異物を捕捉可能なフィルターを備え、
前記印刷前に行う前記メンテナンス処理中に前記液体経路を流れる前記液体の流量は、前記フィルターが捕捉した前記異物が該フィルターを通過できるように設定されていることを特徴とする[思想1]~[思想4]のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。
この構成によれば、印刷前に行うメンテナンス処理により液体経路を流れる液体の流量は、フィルターが捕捉した異物がこのフィルターを通過できるように設定されている。そのため、異物によりフィルターが目詰まりしてしまう虞を低減できる。
[思想6]
複数種類の前記液体を噴射可能に該複数種類の液体に対応して形成される複数のノズル群を有する前記液体噴射部と、
液体供給源に収容される前記複数種類の液体を対応する前記複数のノズル群に向けて供給可能に設けられた複数の前記液体経路と、
を備え、
前記複数種類の液体は、下地印刷に使用される液体を含み、
前記印刷情報に基づいて前記下地印刷を含まない印刷を前記設定条件を満たす印刷とし、前記下地印刷を含む印刷を前記設定条件を満たさない印刷とし、
前記設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記下地印刷に使用される前記液体の排出量を、前記設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くすることを特徴とする[思想1]~[思想5]のうち何れか一つに記載の液体噴射装置。
複数種類の液体のうち下地印刷に使用される液体のなかには、他の液体に比べて異物が生じやすいものがある。その点、この構成によれば、下地印刷を行わない場合は、印刷前のメンテナンス処理において、下地印刷に使用する液体の排出量を多くする。したがって、印刷前に液体中の異物を低減させるため、下地印刷を含まない印刷により液体中の異物が生じた場合でも、ノズルに安定して液体を供給できる。
[思想7]
複数のノズルから液体を噴射してターゲットに印刷する液体噴射部と、
液体供給源に収容される前記液体を前記液体噴射部に向けて供給可能に設けられた液体供給流路と、
前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス処理を行うメンテナンス部と、
を備える液体噴射装置のメンテナンス方法であって、
前記ターゲットに印刷するための印刷情報から設定条件を満たしているかどうかを確認し、
前記設定条件を満たし、該設定条件を満たさない場合より印刷中に前記液体が前記液体供給流路および該液体供給流路から前記ノズルまでの流路を含む液体経路中に滞留している時間が長いと推測される場合は、該設定条件を満たさない場合より印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量を多くすることを特徴とする液体噴射装置のメンテナンス方法。
この方法によれば、上記液体噴射装置と同様の効果を奏することができる。
11…液体噴射装置、12…第1筐体部、13…第2筐体部、14…媒体支持トレイ、14a…セット面、15…媒体搬送部、16…開口部、17…開閉カバー、18…操作パネル、19…上カバー、21…液体噴射部、22…保持部、24…ヘッドユニット、25…板金、26…貫通孔、27…ノズル形成面、28…ノズル、29…ノズル群、31…ガイド軸、32…タイミングベルト、33…駆動プーリー、34…従動プーリー、35…キャリッジモーター、37…メンテナンス部、38…廃液収容部、39…フラッシング部、40…クリーニング部、42…フラッシングボックス、43…フラッシングチューブ、44…フラッシングポンプ、46…放置キャップ、47…吸引キャップ、48…ワイパー、49…吸収部材、50…吸引チューブ、51…吸引ポンプ、54…液体供給源、55…装着部、57…液体供給流路、58…液体経路、58a…上流流路、58b…中間流路、58c…下流流路、60…袋体、61…収容ケース、62…導出部、63…供給ポンプ、64…上流側一方向弁、65…下流側一方向弁、67…共通液室、68…キャビティ、69…アクチュエーター、72…貯留部、73…フィルム、74…第1フィルター(フィルターの一例)、75…圧力調整機構、77…帰還流路、77a…分流流路、77b…合流流路、78…循環流路、79…循環ポンプ、80…フィルターユニット、81…連通流路、83…第2フィルター、83a…孔、84…上流側フィルター室、86…圧力センサー、87…第1一方向弁、88…第2一方向弁、91…開閉弁、92…気体排出ユニット、93…排気流路、94…流入規制部、95…気液分離部、97…制御部、98…メモリー、101…供給室、102…連通孔、103…圧力室、104…弁体、105…受圧部材、106…上流室、107…可撓膜、108…第1付勢部材、109…第2付勢部材、111…開弁機構、112…収容室、113…加圧袋、114…加圧流路、116…ケース、117…支持板、119…脱気室、120…脱気膜、121…排気室、122…排気路、T…ターゲット、X…幅方向、Y…前後方向、Z…上下方向、P1…第1位置、P2…第2位置、P3…接続位置。

Claims (7)

  1. 複数のノズルから液体を噴射してターゲットに印刷する液体噴射部と、
    液体供給源に収容される前記液体を前記液体噴射部に向けて供給可能に設けられた液体供給流路と、
    前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス処理を行うメンテナンス部と、
    前記液体供給流路及び該液体供給流路から前記ノズルまでの流路を含む液体経路に設けられ、前記液体中の異物を捕捉可能なフィルターと、
    を備え、
    前記ターゲットに印刷するための印刷情報に基づいて、印刷中に前記液体経路中に前記液体が滞留する滞留時間が長いと推測される場合には、設定条件を満たす印刷であるとし、前記滞留時間が短いと推測される場合には、前記設定条件を満たさない印刷であるとし、
    前記設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量を、前記設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くし、
    前記印刷前に行う前記メンテナンス処理中に前記液体経路を流れる前記液体の流量は、前記フィルターが捕捉した前記異物が該フィルターを通過できるように設定されていることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 数のノズル群から複数種類の液体を噴射してターゲットに印刷する液体噴射部と、
    液体供給源に収容される前記複数種類の液体を対応する前記複数のノズル群に向けて供給可能に設けられ複数の液体経路と、
    前記複数のノズル群から前記液体を排出させるメンテナンス処理を行うメンテナンス部と、
    を備え、
    前記ターゲットに印刷するための印刷情報に基づいて、印刷中に液体供給流路及び該液体供給流路からノズルまでの流路を含む前記液体経路中に前記液体が滞留する滞留時間が長いと推測される場合には、設定条件を満たす印刷であるとし、前記滞留時間が短いと推測される場合には、前記設定条件を満たさない印刷であるとし、
    前記複数種類の液体は、下地印刷に使用される液体を含み、
    前記印刷情報に基づいて前記下地印刷を含まない印刷を前記設定条件を満たす印刷とし、前記下地印刷を含む印刷を前記設定条件を満たさない印刷とし、
    前記設定条件を満たす印刷をする場合には、印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記下地印刷に使用される前記液体の排出量を、前記設定条件を満たさない印刷をする場合よりも多くすることを特徴とする液体噴射装置。
  3. 前記液体経路に前記液体中の異物を捕捉可能なフィルターを備え、
    前記印刷前に行う前記メンテナンス処理中に前記液体経路を流れる前記液体の流量は、前記フィルターが捕捉した前記異物が該フィルターを通過できるように設定されていることを特徴とする請求項に記載の液体噴射装置。
  4. 前記メンテナンス処理は、前記液体噴射部が有するアクチュエーターを駆動して前記液体を噴射させるフラッシングを含み、
    前記フラッシングは、印刷前に行う前記メンテナンス処理としての印刷前フラッシングとして行われ、
    前記印刷前フラッシング中に前記液体経路を流れる前記液体の流量は、印刷中に前記液体経路を流れる前記液体の流量の最大値以上に設定されていることを特徴とする請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記メンテナンス処理は、前記液体噴射部が有するアクチュエーターを駆動して前記液体を噴射させるフラッシングを含み、
    前記フラッシングは、印刷前に行う前記メンテナンス処理としての印刷前フラッシングおよび印刷中に行う前記メンテナンス処理としての印刷中フラッシングとして行われ、
    前記設定条件を満たす場合、前記印刷中フラッシングで排出される前記液体の排出量は、前記印刷前フラッシングで排出される前記液体の排出量より少ないことを特徴とする請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記液体経路に前記液体が通過可能なフィルターを備え、
    前記設定条件を満たす場合、前記印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量は、該液体経路の前記フィルターより下流側の容積以上に設定されていることを特徴とする請求項1~請求項のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 複数のノズルから液体を噴射してターゲットに印刷する液体噴射部と、
    液体供給源に収容される前記液体を前記液体噴射部に向けて供給可能に設けられた液体供給流路と、
    前記ノズルから前記液体を排出させるメンテナンス処理を行うメンテナンス部と、
    前記液体供給流路及び該液体供給流路から前記ノズルまでの流路を含む液体経路に設けられ、前記液体中の異物を捕捉可能なフィルターと、
    を備える液体噴射装置のメンテナンス方法であって、
    前記ターゲットに印刷するための印刷情報から設定条件を満たしているかどうかを確認し、
    前記設定条件を満たし、該設定条件を満たさない場合より印刷中に前記液体が前記液体経路中に滞留している時間が長いと推測される場合は、該設定条件を満たさない場合より印刷前に行う前記メンテナンス処理で排出される前記液体の排出量を多くするとともに、前記液体経路を流れる前記液体の流量を、前記フィルターが捕捉した前記異物が該フィルターを通過できるように設定することを特徴とする液体噴射装置のメンテナンス方法。
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