JP7029139B2 - 非アルコール性脂肪性肝炎の検出を補助する方法 - Google Patents
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Description
[1]生体から分離された被検血液試料中に含まれるLDL-TG及び/又はApoE rich HDL-Cの存在量を測定することを含む、非アルコール性脂肪性肝炎の検出を補助する方法。
[2]前記被検血液試料中のLDL-TGの存在量を指標とし、前記LDL-TGの存在量が非アルコール性脂肪肝を患う患者の血液試料中のLDL-TGの存在量よりも多いことが、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性が高いことを示す、[1]に記載の方法。
[3]前記被検血液試料中のLDL-TG/LDL-C比を指標とし、前記LDL-TG/LDL-C比が非アルコール性脂肪肝を患う患者の血液試料中のLDL-TG/LDL-C比よりも高いことが、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性が高いことを示す、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記被検血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比を指標とし、前記ApoE rich HDL-C/HDL-C比がアルコール性脂肪肝を患う患者の血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比よりも低いことが、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性が高いことを示す、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]生体から分離された被検血液試料中に含まれるLDL-TG及び/又はApoE rich HDL-Cの存在量を測定することを含む、非アルコール性脂肪性肝炎に関連する病態であって、脂肪変性、炎症、風船様変性、及び線維化からなる群から選ばれる少なくとも1種の病態の進行程度の判定を補助する方法。
以下に、本発明において、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の検出を補助する具体的な方法を説明する。
被検血液試料中のLDL-TGの存在量(LDL-TG量ともいう)を測定しこれを指標とすることにより、被検血液試料中のLDL-TG量が非アルコール性脂肪肝(NAFL)の患者(NAFL患者)の血液試料中のLDL-TG量よりも有意に多い場合に、NASHである可能性が高いと判断することができる(実施例1、実施例4、図4を参照)。非アルコール性脂肪性肝炎患者(NASH患者)の血液試料中のLDL-TG量は、カットオフ値を15.1mg/dLに設定したときの感度が82.9%、特異度が55.6%であり、カットオフ値を17.6mg/dLに設定したときの感度が65.7%、特異度が88.9%である。更にはカットオフ値を12.1mg/dLに設定したときの感度が94.3%、特異度が22.2%であり、カットオフ値を20.2mg/dLに設定したときの感度が48.6%、特異度が100%である。ここで、NASH患者の判定に用いるカットオフ値は、本発明を使用する者が求める感度、特異度に応じた範囲で適宜設定することができ、例えば、LDL-TG量のカットオフ値は12.1~21.2mg/dLの範囲内であり、好ましくは17.6mg/dL±20%の範囲内であり、最適値は17.6mg/dLである。NAFL患者の血液試料中のLDL-TG量は、予めNAFL患者の集団から採取した血液試料を分析しておくことにより特定することができる。
被検血液試料中のLDL-TG量とLDL-C量を測定し、LDL-TG/LDL-C比を求めて指標とすることにより、被検血液試料中のLDL-TG/LDL-C比が健常者又はNAFL患者の血液試料中のLDL-TG/LDL-C比よりも有意に高い場合に、NASHを発症している可能性が高いと判断することができる(実施例2-1、実施例5-1、図5を参照)。ここで、LDL-C量とは、低密度リポ蛋白(LDL)中のコレステロール(C)の存在量である。NASH患者の血液試料中のLDL-TG/LDL-C比は、カットオフ値を0.103に設定したときの感度が100%、特異度が55.6%であり、カットオフ値を0.133に設定したときの感度が94.3%、特異度が66.7%である。更には、カットオフ値を0.149に設定したときの感度が82.9%、特異度が77.8%であり、カットオフ値を0.203に設定したときの感度が31.4%、特異度が100%である。ここで、NASH患者の判定に用いるカットオフ値は、本発明を使用する者が求める感度、特異度に応じた範囲で適宜設定することができ、例えば、LDL-TG/LDL-C比のカットオフ値は0.103~0.203の範囲内であり、好ましくは0.133±20%の範囲内であり、最適値は0.149もしくは0.133である。
被検血液試料中のApoE rich HDL-C量とHDL-C量を測定し、ApoE rich HDL-C/HDL-C比を求めて指標とすることにより、被検血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比がNAFL患者の血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比よりも有意に低い場合に、NASHを発症している可能性が高いと判断することができる(実施例3-1、実施例13-1、図8を参照)。ここで、HDL-C量とは、高密度リポ蛋白(HDL)中のコレステロール(C)の存在量である。NASH患者の血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比は、カットオフ値を0.0912に設定したときの感度が80.0%、特異度が66.7%であり、カットオフ値を0.0899に設定したときの感度が74.3%、特異度が88.9%である。更にはカットオフ値を0.0840に設定したときの感度が42.9%、特異度が100%であり、カットオフ値を0.0971に設定したときの感度が91.4%、特異度が11.1%である。ここで、NASH患者の判定に用いるカットオフ値は、本発明を使用する者が求める感度、特異度に応じた範囲で適宜設定することができ、例えば、ApoE rich HDL-C/HDL-C比のカットオフ値は0.0899±20%の範囲内であり、好ましくは0.0840~0.0971の範囲内であり、最適値は0.0899である。
本発明において、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関連する病態であって、脂肪変性、風船様変性、炎症及び線維化からなる群から選ばれる少なくとも1種の病態の進行程度の判定を補助する具体的な方法を以下に説明する。
被検血液試料中のLDL-TG量を測定しこれを指標とすることにより、被検血液試料中のLDL-TG量が多いほど、脂肪変性、炎症、又は風船様変性の進行のステージが高いと判定することができる。
また、被検血液試料中のLDL-TG量が15.1mg/dL以上、更には16.9mg/dL以上である場合には、炎症のステージが1以上に進行していると判定することができ、被検血液試料中のLDL-TG量が22.0mg/dL以上、更には22.5mg/dL以上である場合には、炎症のステージが3以上に進行している可能性が高いと判定することができる(実施例8、図15参照)。
また、被検血液試料中のLDL-TG量が15.1mg/dL以上、更には17.2mg/dL以上である場合には、風船様変性のステージが1以上に進行している可能性が非常に高いと判定することができる(実施例10-1、図17参照)。
被検血液試料中のLDL-TG量及びsd LDL-C量を測定し、LDL-TG/sd LDL-C比を指標とすることにより、被検血液試料中のLDL-TG/sd LDL-C比が低いほど脂肪変性の進行のステージが高いと判定することができる。ここで、sd LDL-C量とは、小粒子低密度リポ蛋白質(sd LDL)中のコレステロール(C)の存在量を意味する。具体的には、被検血液試料中のLDL-TG/sd LDL-C比が1.11以下、更には0.1~1.06である場合には、脂肪変性のステージが1以上に進行している可能性が高いと判定することができる(実施例6-2、図11参照)。
被検血液試料中のApoE rich HDL-C量及びHDL-C量を測定し、ApoE rich HDL-C/HDL-C比を指標とすることにより、被検血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比が高いほど脂肪変性の進行のステージが高いと判定することができる。具体的には、被検血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比が0.089以上、更には0.09以上である場合には、脂肪変性のステージが1以上に進行している可能性が高いと判定することができる(実施例7-1、図13参照)。
被検血液試料中のApoE rich HDL-C量を測定しこれを指標とすることにより、被検血液試料中のApoE rich HDL-C量が少ないほど炎症の進行のステージが高いと判定することができる。具体的には、被検血液試料中のApoE rich HDL-C量が5.5以下、更には4.6以下である場合には、炎症のステージが1又は2に進行している可能性が極めて高いと判定することができる(実施例9、図16を参照)。
被検血液試料中のLDL-TG量とLDL-C量を測定し、LDL-TG/LDL-C比を求めて指標とすることにより、被検血液試料中のLDL-TG/LDL-C比が高いほど風船様変性の進行のステージが高いと判定することができる。具体的には、被検血液試料中のLDL-TG/LDL-C比が0.15以上、更には0.18以上である場合には、風船様変性のステージが1以上に進行している可能性が高いと判定することができる(実施例10-2、図18参照)。
健常者(図においてHealthと表記)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中の総TG量を測定し、それぞれの群を比較した。総TG量は臨床検査の場で用いられている自動分析装置を用いてトリグリセリド測定用試薬であるTG-EX「生研」(酵素法)(デンカ生研社製)により測定した。比較したグラフを図1に示す。
その結果、NASH群の総TG量は、健常者群と比べて有意に高かった(p<0.0001)が、NAFL群と差はなかった。NAFL群の総TG量は健常者群と比べて有意に高かった(p<0.05)。
比較例1と同じ、健常者(Health)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中のLDL-C量を測定し、それぞれの群を比較した。LDL-C量は臨床検査の場で用いられている自動分析装置を用いてLDL-コレステロール測定用試薬である自動分析用試薬「生研」LDL-EX(N)(直接法)(デンカ生研社製)により測定した。比較したグラフを図2に示す。
その結果、NASH群のLDL-C量は、NAFL群と比べて低い傾向にあったが、健常者群と差はなかった。また、NAFL群のLDL-C量は、健常者群と比べて高い傾向を示した。
比較例1と同じ、健常者(Health)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中の総コレステロール(TC)量と総TG量を測定し総TG/TCの比を求め、それぞれの群を比較した。総TG量は比較例1と同様の方法により測定し、TC量は臨床検査の場で用いられている自動分析装置を用いてコレステロール測定用試薬である自動分析用試薬「生研」T-CHO(S)(酵素法)(デンカ生研社製)により測定した。比較したグラフを図3に示す。
その結果、NASH群の総TG/TC比は、健常者群と比べて有意に高かった(p<0.0001)が、NAFL群と比べて差はなかった。また、NAFL群の総TG/TC比は健常者群と比べて差はなかった。
比較例1と同じ、健常者(Health)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中のLDL-TG量を測定し、それぞれの群を比較した。LDL-TG量は臨床検査の場で用いられている自動分析装置を用いてLDL-トリグリセライド測定用試薬であるLDLTG-EX“SEIKEN”(デンカ生研社製)により測定した。比較したグラフを図4に示す。
その結果、NASH群のLDL-TG量は、NAFL群と比べて有意に高く(p<0.05)、健常者群と比べて有意に高かった(p<0.0001)。また、NAFL群のLDL-TG量は、健常者群と比べて有意に高かった(p<0.05)。
比較例1と同じ、健常者(Health)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中のLDL-TG量とLDL-C量を実施例1及び比較例2と同様の方法により測定し、LDL-TG/LDL-Cの比を求め、それぞれの群を比較した。比較したグラフを図5に示す。
その結果、NASH群のLDL-TG/LDL-C比は、NAFL群と比べて有意に高く(p<0.05)、健常者群と比べても有意に高かった(p<0.0001)。また、NAFL群と健常者群のLDL-TG/LDL-C比に差はなかった。
比較例1と同じ、健常者(Health)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中のLDL-TG量とLDL-C量を実施例1及び比較例2と同様の方法により測定し、LDL-C/LDL-TGの比を求め、それぞれの群を比較した。比較したグラフを図6に示す。
その結果、NASH群のLDL-C/LDL-TG比は、NAFL群と比べて有意に低く(p<0.05)、健常者群と比べても有意に低かった(p<0.0001)。また、NAFL群と健常者群のLDL-C/LDL-TG比に差はなかった。
比較例1と同じ、健常者(Health)36名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全80名の集団から採取した血液中のHDL-C量を測定し、それぞれの群を比較した。HDL-C量は自動分析装置を用いてHDL-コレステロール測定用試薬である自動分析用試薬「生研」HDL-EX(直接法)(デンカ生研社製)により測定した。比較したグラフを図7に示す。
その結果、NASH群とNAFL群と健常者群のHDL-C量は3群間に差はなかった。
健常者(Health)6名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全50名の集団から採取した血液中のApoE rich HDL-C量とHDL-C量を測定し、ApoE rich HDL/HDL-Cの比を求め、それぞれの群を比較した。ApoE rich HDL-C量は臨床検査の場で用いられている自動分析装置を用いてApoE rich HDL-コレステロール測定用試薬により測定し、HDL-C量は比較例4と同様の方法により測定した。ApoE rich HDL-コレステロール測定用試薬は、特開2014-030393の方法で実施した。比較したグラフを図8に示す。
その結果、NASH群のApoE rich HDL-C/HDL-C比は、NAFL群と比べて有意に低かった(p<0.05)。また、NAFL群と健常者群のApoE rich HDL-C/HDL-C比に差はなかった。
健常者(Health)6名、NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全50名の集団から採取した血液中のApoE rich HDL-C量とHDL-C量を実施例3-1及び比較例4と同様の方法により測定し、HDL-C/ApoE rich HDL-Cの比を求め、それぞれの群を比較した。比較したグラフを図9に示す。
その結果、NASH群のHDL-C/ApoE rich HDL-C比は、NAFL群と比べて有意に高かった(p<0.05)。また、NAFL群と健常者群のHDL-C/ApoE rich HDL-C比に差はなかった。
NAFL患者9名、NASH患者35名からなる全44名のNAFLD集団から採取した血液中のLDL-TG量を測定し、ROC解析を行ったところ、AUCは0.78(95%CI:0.63~0.92)と良好であった。
この集団のカットオフ値を15.1mg/dLに設定したときの感度、特異度はそれぞれ82.9%、55.6%であり、17.6mg/dLに設定したときの感度、特異性はそれぞれ、65.7%、88.9%であった。更にはカットオフ値を12.1mg/dLに設定したときの感度、特異度はそれぞれ、94.3%、22.2%であり、カットオフ値を20.2mg/dLに設定したときの感度、特異度はそれぞれ48.6%、100%であった。
実施例4と同じ集団の血中LDL-C量を測定し、LDL-TG/LDL-C比を算出し、ROC解析を行ったところ、AUCは0.86(95%CI:0.70~1.02)と良好であった。
この集団のLDL-TG/LDL-C比のカットオフ値を0.13に設定したときの感度、特異性はそれぞれ、100%、55.6%であり、カットオフ値を0.133に設定したときの感度、特異性はそれぞれ、94.3%、66.7%であった。更には、カットオフ値を0.149に設定したときの感度、特異度が82.9%、77.8%であり、カットオフ値を0.203に設定したときの感度、特異度が31.4%、100%であった。
実施例5-1と同じ集団の血中LDL-TG量と血中LDL-C量からLDL-C/LDL-TG比を算出し、ROC解析を行ったところ、AUCは0.86(95%CI:0.70~1.02)と良好であった。
この集団のLDL-C/LDL-TG比のカットオフ値を9.75に設定したときの感度、特異度が100%、55.6%であり、カットオフ値を7.50に設定したときの感度、特異度が94.3%、66.7%であった。更にはカットオフ値を6.70に設定したときの感度、特異度が82.9%、77.8%であり、カットオフ値を4.93に設定したときの感度、特異度が31.4%、100%であった。
脂肪変性(Steatosis)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のLDL-TG量を実施例1と同様の方法により測定し、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図10に示す。
その結果、ステージ1,2,3群がステージ0群に対して有意に高かった(p<0.05,p<0.05,p<0.05)。また、各ステージの平均値は、ステージ0,1,2,3でそれぞれ、12.2mg/dL、18.1mg/dL、18.5mg/dL、20.8mg/dLであった。
脂肪変性(Steatosis)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のLDL-TG量およびsd LDL-C量を測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。LDL-TG量は実施例1と同様の方法により測定し、sd LDL-C量は自動分析装置を用いてsd LDL-コレステロール測定用試薬であるsd LDL-EX「生研」(デンカ生研社製)により測定した。比較したグラフを図11に示す。
その結果、LDL-TG/sd LDL-C比は、ステージ2群がステージ0群に対して有意に低く(p<0.05)、ステージ3群がステージ0群に対して低い傾向であった。また、各ステージの中央値は、ステージ0,1,2,3でそれぞれ、1.120、0.604、0.576、0.426であった。
脂肪変性(Steatosis)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のLDL-TG量およびsd LDL-C量を実施例1及び実施例6-2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図12に示す。
その結果、sd LDL-C/LDL-TG比は、ステージ2群がステージ0群に対して有意に高く(p<0.05)、ステージ3群がステージ0群に対して高い傾向であった。また、各ステージの中央値は、ステージ0,1,2,3でそれぞれ、0.893、1.655、1.735、2.349であった。
脂肪変性(Steatosis)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のApoE rich HDL-C量およびHDL-C量を実施例3-1及び比較例4と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図13に示す。
その結果、ApoE rich HDL-C/HDL-C比は、ステージ3群がステージ1群より有意に高かった(p<0.05)。
脂肪変性(Steatosis)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のApoE rich HDL-C量およびHDL-C量を実施例3-1及び比較例4と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図14に示す。
その結果、HDL-C/ApoE rich HDL-C比は、ステージ3群がステージ0群より低い傾向であった。
炎症(Inflammation)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=38)から採取した血液中のLDL-TG量を実施例1と同様の方法により測定し、それぞれのステージを比較した。比較したグラフを図15に示す。
その結果、LDL-TG量は、ステージ3群がステージ0,1,2群に対して有意に高く(p<0.001,p<0.05,p<0.05)、ステージ2群がステージ0群に対して有意に高く(p<0.05)、ステージ1群がステージ0群に対して有意に高かった(p<0.0001)。
炎症(Inflammation)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=38)から採取した血液中のApoE rich HDL-C量を実施例3-1と同様の方法により測定し、それぞれのステージを比較した。比較したグラフを図16に示す。
その結果、ApoE rich HDL-C量は、ステージ1群がステージ0群に対して有意に低かった(p<0.05)。
風船様変性(Ballooning)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のLDL-TG量を実施例1と同様の方法により測定し、それぞれのステージを比較した。比較したグラフを図17に示す。
その結果、LDL-TG量は、ステージ1と2を合わせた群がステージ0群に対して有意に高かった(p<0.01)。
風船様変性(Ballooning)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のLDL-TG量およびLDL-C量を実施例1及び比較例2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージを比較した。比較したグラフを図18に示す。
その結果、LDL-TG/LDL-C比は、ステージ1と2を合わせた群がステージ0群に対して高い傾向であった。
風船様変性(Ballooning)のステージが判定されているNAFLD患者群(n=37)から採取した血液中のLDL-TG量およびLDL-C量を実施例1及び比較例2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージを比較した。比較したグラフを図19に示す。
その結果、LDL-C/LDL-TG比は、ステージ1と2を合わせた群がステージ0群に対して有意に低かった(p<0.05)。
線維化(Fibrosis)のステージが判定されているNASH患者群(n=27)から採取した血液中のLDL-TG量およびLDL-C量を実施例1及び比較例2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図20に示す。
その結果、LDL-TG/LDL-C比は、ステージ2,3,4群がステージ1群に対して有意に高かった(p<0.05,p<0.05,p<0.01)。
線維化(Fibrosis)のステージが判定されているNASH患者群(n=27)から採取した血液中のLDL-TG量およびLDL-C量を実施例1及び比較例2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図21に示す。
その結果、LDL-C/LDL-TG比は、ステージ2,3,4群がステージ1群に対して有意に低かった(p<0.005,p<0.005,p<0.0005)。
線維化(Fibrosis)のステージが判定されているNASH患者群(n=27)から採取した血液中のLDL-TG量およびsd LDL-C量を実施例1及び実施例6-2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図22に示す。
その結果、LDL-TG/sd LDL-C比は、ステージ4群がステージ1群に対して有意に高く(p<0.05)、ステージ3群に対して高い傾向であった。また、ステージ2群はステージ1群に対して高い傾向であった。
線維化(Fibrosis)のステージが判定されているNASH患者群(n=27)から採取した血液中のLDL-TG量およびsd LDL-C量を実施例1及び実施例6-2と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図23に示す。
その結果、sd LDL-C/LDL-TG比は、ステージ4群がステージ1、3群に対して有意に低かった(p<0.005,p<0.05)。また、ステージ2群はステージ1群に対して低い傾向であった。
線維化(Fibrosis)のステージが判定されているNASH患者群(n=27)から採取した血液中のApoE rich HDL-C量およびHDL-C量を実施例3-1及び比較例4と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図24に示す。
ApoE rich HDL-C/HDL-C比は、ステージ4群がステージ1,2群に対してそれぞれ有意に低かった(p<0.005,p<0.05)。
線維化(Fibrosis)のステージが判定されているNASH患者群(n=27)から採取した血液中のApoE rich HDL-C量およびHDL-C量を実施例3-1及び比較例4と同様の方法により測定してその比を求め、それぞれのステージ群で比較した。比較したグラフを図25に示す。
HDL-C/ApoE rich HDL-C比は、ステージ4群がステージ1,2群に対してそれぞれ有意に高く(p<0.01,p<0.05)、ステージ3群に対して高い傾向であった。
<実施例13-1>
実施例4と同じ集団の血中ApoE rich HDL-C量とHDL-C量を測定し、ApoE rich HDL-C/HDL-C比を算出し、ROC解析を行ったところ、AUCは0.80(95%CI:0.65~0.94)と良好であった。
この集団のApoE rich HDL-C/HDL-C比のカットオフ値を0.0912に設定したときの感度、特異度が80.0%、66.7%であり、カットオフ値を0.0899に設定したときの感度、特異度が74.3%、88.9%であった。更にはカットオフ値を0.0840に設定したときの感度、特異度が42.9%、100%であり、カットオフ値を0.0971に設定したときの感度、特異度が91.4%、11.1%であった。
実施例13-1と同じ集団の血中ApoE rich HDL-C量とHDL-C量からHDL-C/ApoE rich HDL-C比を算出し、ROC解析を行ったところ、AUCは0.80(95%CI:0.65~0.94)と良好であった。
この集団のHDL-C/ApoE rich HDL-C比のカットオフ値を10.97に設定したときの感度、特異度が80.0%、66.7%であり、カットオフ値を11.12に設定したときの感度が74.3%、特異度が88.9%であった。更にはカットオフ値を10.30に設定したときの感度、特異度が91.4%、11.1%であり、カットオフ値を11.90に設定したときの感度、特異度が42.9%、100%であった。
Claims (5)
- 生体から分離された被検血液試料中に含まれるLDL-TG及び/又はApoE rich HDL-Cの存在量を測定することを含む、非アルコール性脂肪性肝炎の検出を補助する方法。
- 前記被検血液試料中のLDL-TGの存在量を指標とし、前記LDL-TGの存在量が非アルコール性脂肪肝を患う患者の血液試料中のLDL-TGの存在量よりも多いことが、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性が高いことを示す、請求項1記載の方法。
- 前記被検血液試料中のLDL-TG/LDL-C比を指標とし、前記LDL-TG/LDL-C比が非アルコール性脂肪肝を患う患者の血液試料中のLDL-TG/LDL-C比よりも高いことが、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性が高いことを示す、請求項1又は2記載の方法。
- 前記被検血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比を指標とし、前記ApoE rich HDL-C/HDL-C比が非アルコール性脂肪肝を患う患者の血液試料中のApoE rich HDL-C/HDL-C比よりも低いことが、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性が高いことを示す、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 生体から分離された被検血液試料中に含まれるLDL-TG及び/又はApoE rich HDL-Cの存在量を測定することを含む、非アルコール性脂肪性肝炎に関連する病態であって、脂肪変性、炎症、風船様変性、及び線維化からなる群から選ばれる少なくとも1種の病態の進行程度の判定を補助する方法。
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