JP7028682B2 - 原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法、並びに該繊維からなる難燃性紡績糸及び難燃性牽切紡績糸 - Google Patents
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Description
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルアセトアミド(DMAc)に5%以上溶解し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルアセトアミド(DMAc)の60%水溶液には不溶である有機リン化合物を、顔料を含む紡糸ドープに対しリン原子含有量が0.2~5.0wt%となるように添加した後、紡糸することを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法、並びに、
上記の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維をその構成成分とすることを特徴とする難燃性紡績糸、及び、
上記の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維をその構成成分とすることを特徴とする難燃性牽切紡績糸、
が提供される。
かようなメタ型全芳香族ポリアミドの重合度は、30℃において97%濃硫酸を溶媒として測定した固有粘度(IV)が1.3~3.0の範囲が適当である。
さらに該有機リン化合物にハロゲンが含まれていないものを選択することで、環境問題への対応も可能となる。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸ドープの温度は、10~90℃の範囲が適当である。
アミド系溶媒濃度が45質量%未満ではスキンが厚い構造となってしまい、洗浄工程における洗浄効率が低下し、最終繊維に溶媒が残存することとなる。また、アミド系溶媒濃度が60質量%を超える場合には、繊維内部に至るまで均一な凝固を行うことができず、このため、繊維成形加工時に単糸が切断するなどの不具合が多く発生する。なお、凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1~30秒の範囲が適当である。
可塑延伸浴の温度は、10~90℃の範囲が好ましい。好ましくは温度20~90℃の範囲にあると、工程安定性がよい。
トウの牽切に際しては、一対の供給ローラーと牽切ローラーと間で、一段で牽切することも、複数回に分けて、多段で牽切することもできる。
なお、実施例中の「部」および「%」は特に断らない限りすべて質量基準に基づくものであり、量比は特に断らない限り質量比を示す。実施例および比較例における各物性値は下記の方法で測定した。
ポリマーを97%濃硫酸に溶解し、オストワルド粘度計を用い30℃で測定した。
<溶解度評価>
溶解度評価は、2種の評価液で実施した。
(i)メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造に用いる有機溶剤100%、
(ii)該有機溶剤60%水溶液(有機溶剤60/水40)
測定は以下の手順で実施した。
(1)評価液100gをあらかじめ計量したフラスコに測定対象の化合物5gを加え20℃で2時間攪拌した後、全て溶解した場合、溶解度:>5%とする。
(2)溶け残りが確認された場合、20℃で12時間以上静置した後、溶け残りが全て溶解していた場合も、溶解度:>5%とする。
(3)この段階で溶け残りが確認された場合、上澄み液を50g秤量瓶に取り出し、絶乾法で溶解濃度を重量%で求める。
JIS L1015に基づき、正量繊度のA法に準拠した測定を実施し、見掛繊度にて表記した。
<破断強度、破断伸度>
JIS L1015に基づき、インストロン社製 型番5565を用いて、以下の条件で測定した。
(測定条件)
つかみ間隔 :20mm
初荷重 :0.044cN(1/20g)/dtex
引張速度 :20mm/分
<難燃性LOI値>
JIS K7201のLOI測定法に準拠して、LOI値を求めた。
<熱分解開始温度>
Pyris1 TGA(PerkinElmer製)にて熱重量測定を10℃/minの速度で昇温して実施、サンプル重量が5%減少した温度を熱分解開始温度とした。
(ポリマーの製造)
乾燥窒素雰囲気下の反応容器に、水分率が100ppm以下のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)721.5質量部を秤量し、このDMAc中にメタフェニレンジアミン97.2質量部(50.18モル%)を溶解させ、0℃に冷却した。この冷却したDMAc溶液に、さらにイソフタル酸クロライド(以下IPCと略す)181.3質量部(49.82モル%)を徐々に攪拌しながら添加し、重合反応を行った。
次に、平均粒径が10μm以下の水酸化カルシウム粉末を66.6質量部秤量し、重合反応が完了したポリマー溶液に対してゆっくり加え、中和反応を実施した。水酸化カルシウムの投入が完了した後、さらに40分間攪拌して、透明なポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液からポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離してIVを測定したところ、1.65であった。また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は、17%であった。
得られたポリマー溶液に、Pigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた。芳香族縮合リン酸エステルであるレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートのDMAcへの溶解度を測定したところ溶解度:>5%、DMAc60%水溶液には、溶解度:0%で不溶であった。またこの化合物の熱分解開始温度は、320℃であった。
この化合物を難燃剤として該ポリマー溶液に、繊維中のリン含有量としてそれぞれ0.25wt%、0.50wt%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした。
上記紡糸ドープを、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/DMAc=45/55(質量部)であり、凝固浴中に糸速7m/分で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/DMAc=45/55の組成の可塑延伸浴中にて、3.7倍の延伸倍率で延伸を行った。
延伸後、20℃の水/DMAc=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)で洗浄し、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に通して十分に洗浄を行った。
洗浄後の繊維について、表面温度300℃の熱ローラーにて乾熱処理を施し、メタ型全芳香族ポリアミド繊維をトウの状態でサンプリングし破断強度、破断伸度の測定を行った。
実施例2で製造した紡糸ドープに、耐光安定剤としてベンゾトリアゾール紫外線吸収剤であるチヌビン234をポリマー成分に対して3.0wt%となるようさらに添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は実施例2と同様に実施した。
比較例1において、芳香族縮合リン酸エステルであるレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートを、繊維中のリン含有量が0.75wt%、なるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は比較例1と同様に実施した。
上記ポリマー溶液に、Pigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた後、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は実施例1と同様に実施した。
上記ポリマー溶液よりポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離したのち、アミド系溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)にポリマー濃度18%となるよう溶解し、得られたポリマー溶液にPigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた後、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は実施例1と同様に実施した。
比較例3で製造した紡糸ドープに、耐光安定剤としてベンゾトリアゾール紫外線吸収剤であるチヌビン234をポリマー成分に対して3.0wt%となるようさらに添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は比較例3と同様に実施した。
比較例3で得られたポリマー溶液に、有機リン化合物のNMPへの溶解度が5%以上ではあるが、DMAc60%水溶液にもよく溶解するトリス(クロロプロピル)ホスフェート(熱分解開始温度:160℃)をポリマー成分に対しリン含有量で0.39wt%、0.47wt%、0.59wt%、0.68wt%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は比較例3と同様に実施した。これらのドープにおけるポリマー成分に対する塩素含有量は、2.13%、2.53%、2.79%、3.15%であった。
(ポリマーの製造)
乾燥窒素雰囲気下の反応容器に、水分率が100ppm以下のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)721.5質量部を秤量し、このDMAc中にメタフェニレンジアミン97.2質量部(50.18モル%)を溶解させ、0℃に冷却した。この冷却したDMAc溶液に、さらにイソフタル酸クロライド(以下IPCと略す)181.3質量部(49.82モル%)を徐々に攪拌しながら添加し、重合反応を行った。
次に、平均粒径が10μm以下の水酸化カルシウム粉末を66.6質量部秤量し、重合反応が完了したポリマー溶液に対してゆっくり加え、中和反応を実施した。水酸化カルシウムの投入が完了した後、さらに40分間攪拌して、透明なポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液からポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離してIVを測定したところ、1.65であった。また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は、17%であった。
得られたポリマー溶液に、Pigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた。芳香族縮合リン酸エステルであるレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートのDMAcへの溶解度を測定したところ溶解度:>5%、DMAc60%水溶液には、溶解度:0%で不溶であった。またこの化合物の熱分解開始温度は、320℃であった。
この化合物を難燃剤として該ポリマー溶液に、ポリマー成分に対してリン含有量として0.50wt%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした。
上記紡糸ドープを、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/DMAc=45/55(質量部)であり、凝固浴中に糸速7m/分で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/DMAc=45/55の組成の可塑延伸浴中にて、3.7倍の延伸倍率で延伸を行った。
延伸後、20℃の水/DMAc=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)で洗浄し、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に通して十分に洗浄を行った。
洗浄後、表面温度300℃の熱ローラーにて乾熱処理を施し、繊維を束ねてクリンパーを通し、捲縮を付与した後、カッターでカットして51mmの短繊維とすることにより、原着原綿を得た。得られた原綿を用いて難燃性LOI値を測定し、36と高い難燃性を示した。さらに130℃にて2時間飽和蒸気下で湿熱処理を実施しその前後の破断強度保持率を求めたところ、96%と強度の低下がみられなかった。これらの結果を表2に示す。
また得られた原着原綿を通常の紡績工程を通して20番手の紡績糸を作製した。該紡績糸においても130℃にて2時間飽和蒸気下で湿熱処理を実施しその前後の破断強度保持率を求めたところ、94%と原綿同様に高温飽和蒸気下の過酷な環境でも強度が維持されており、消防服や耐熱作業服などの防護衣料が使用される可能性のある高温多湿な過酷な環境下において耐久性がみられた。これらの結果を表2に示す。
実施例4で製造した紡糸ドープに、耐光安定剤としてベンゾトリアゾール紫外線吸収剤であるチヌビン234をポリマー成分に対して3.0wt%となるようさらに添加し、さらに、芳香族縮合リン酸エステルであるレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートをポリマー成分に対してリン含有量が0.75wt%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は実施例4と同様に実施した。原綿のLOI値は、紫外線吸収剤の添加により低下傾向ではあるが、本発明の難燃剤を添加していることから33と高い値を維持していた。また、この原綿と紡績糸における130℃・2時間飽和蒸気下での湿熱処理における破断強度保持率を求めたところ、それぞれ93%と91%であり、強度の低下がみられず、消防服や耐熱作業服などの防護衣料に求められる耐久性を有していた。これらの結果を表2に示す。
実施例4記載のポリマーの製造に従って得られたポリマー溶液よりポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離したのち、アミド系溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)にポリマー濃度18%となるよう溶解し、得られたポリマー溶液にPigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、さらに耐光安定剤としてベンゾトリアゾール紫外線吸収剤であるチヌビン234をポリマー成分に対して3.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた後、減圧脱泡して紡糸ドープとした。また、凝固液の組成を、水/NMP=70/30(質量部)とした以外は実施例4と同様に実施した。この原綿と紡績糸における130℃・2時間飽和蒸気下での湿熱処理における破断強度保持率を求めたところ、それぞれ97%と95%であり、強度の低下がみられず、消防服や耐熱作業服などの防護衣料に求められる耐久性を有していたが、原綿のLOI値は、紫外線吸収剤と有機顔料の添加により24と低い値となり、消防服や耐熱作業服などの防護衣料として人体を保護する目的に対して不十分なものとなった。これらの結果を表2に示す。
比較例9で得られたポリマー溶液に、有機リン化合物のNMPへの溶解度が5%以上ではあるが、NMP60%水溶液にもよく溶解するトリス(クロロプロピル)ホスフェート(熱分解開始温度:160℃)をポリマー成分に対しリン含有量として、0.47wt%、0.68%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は比較例9と同様に実施した。それぞれの紡糸ドープにおいてポリマー成分に対する塩素含有量は、2.53%、3.15%であった。これら原綿のLOI値は、難燃剤の添加により比較例1より改善ざれ33、37と高い難燃性が示されたが、この原綿と紡績糸における130℃・2時間飽和蒸気下での湿熱処理における破断強度保持率を求めたところ、原綿で89%、79%となり紡績糸で87%、76%となり、強度の低下がみられ、消防服や耐熱作業服などの防護衣料が使用される可能性のある高温多湿な過酷な環境下において耐久性が弱いものとなった。これらの結果を表2に示す。
(ポリマーの製造)
乾燥窒素雰囲気下の反応容器に、水分率が100ppm以下のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)721.5質量部を秤量し、このDMAc中にメタフェニレンジアミン97.2質量部(50.18モル%)を溶解させ、0℃に冷却した。この冷却したDMAc溶液に、さらにイソフタル酸クロライド(以下IPCと略す)181.3質量部(49.82モル%)を徐々に攪拌しながら添加し、重合反応を行った。
次に、平均粒径が10μm以下の水酸化カルシウム粉末を66.6質量部秤量し、重合反応が完了したポリマー溶液に対してゆっくり加え、中和反応を実施した。水酸化カルシウムの投入が完了した後、さらに40分間攪拌して、透明なポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液からポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離してIVを測定したところ、1.65であった。また、ポリマー溶液中のポリマー濃度は、17%であった。
得られたポリマー溶液に、Pigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた。芳香族縮合リン酸エステルであるレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートのDMAcへの溶解度を測定したところ溶解度:>5%、DMAc60%水溶液には、溶解度:0%で不溶であった。またこの化合物の熱分解開始温度は、320℃であった。
この化合物を難燃剤として該ポリマー溶液に、ポリマー成分に対してリン含有量として0.50wt%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした。
上記紡糸ドープを、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/DMAc=45/55(質量部)であり、凝固浴中に糸速7m/分で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/DMAc=45/55の組成の可塑延伸浴中にて、3.7倍の延伸倍率で延伸を行った。
延伸後、20℃の水/DMAc=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)で洗浄し、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に通して十分に洗浄を行った。
洗浄後、表面温度300℃の熱ローラーにて乾熱処理を施し、押込み捲縮などによる捲縮付与を行わず、捲縮を有しない連続糸条(トウ)を得た。得られた捲縮を有しない連続糸条(トウ)を用いて難燃性LOI値を測定し、36と高い難燃性を示した。さらに130℃にて2時間飽和蒸気下で湿熱処理を実施しその前後の破断強度保持率を求めたところ、96%と強度の低下がみられなかった。これらの結果を表3に示す。
得られたポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維のトウを、600mm間隔の一対のローラー間で、牽切比21倍で牽切し、引き続き、下記条件にて連続的に抱合性を付与することにより、牽切紡績糸を得た。該牽切紡績糸においても130℃にて2時間飽和蒸気下で湿熱処理を実施しその前後の破断強度保持率を求めたところ、92%と牽切加工前の捲縮を有しない連続糸条(トウ)と同様に高温飽和蒸気下の過酷な環境でも強度が維持されており、消防服や耐熱作業服などの防護衣料が使用される可能性のある高温多湿な過酷な環境下において耐久性がみられた。これらの結果を表3に示す。
実施例6で製造した紡糸ドープに、耐光安定剤としてベンゾトリアゾール紫外線吸収剤であるチヌビン234をポリマー成分に対して3.0wt%となるようさらに添加し、さらに、芳香族縮合リン酸エステルであるレゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートをポリマー成分に対してリン含有量が0.75wt%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は実施例6と同様に実施した。牽切加工前の捲縮を有しない連続糸条(トウ)のLOI値は、紫外線吸収剤の添加により低下傾向ではあるが、本発明の難燃剤を添加していることから33と高い値を維持していた。また、このトウと牽切紡績糸における130℃・2時間飽和蒸気下での湿熱処理における破断強度保持率を求めたところ、それぞれ93%と91%であり、強度の低下がみられず、消防服や耐熱作業服などの防護衣料に求められる耐久性を有していた。これらの結果を表3に示す。
実施例6記載のポリマーの製造に従って得られたポリマー溶液よりポリメタフェニレンイソフタルアミドを単離したのち、アミド系溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)にポリマー濃度18%となるよう溶解し、得られたポリマー溶液にPigment Blue15の粉末をポリマー成分に対して2.0wt%となるよう添加し、さらに耐光安定剤としてベンゾトリアゾール紫外線吸収剤であるチヌビン234をポリマー成分に対して3.0wt%となるよう添加し、均一に分散させた後、減圧脱泡して紡糸ドープとした。また、凝固液の組成を、水/NMP=70/30(質量部)とした以外は実施例6と同様に実施した。この牽切加工前の捲縮を有しない連続糸条(トウ)と牽切紡績糸における130℃・2時間飽和蒸気下での湿熱処理における破断強度保持率を求めたところ、それぞれ97%と93%であり、強度の低下がみられず、消防服や耐熱作業服などの防護衣料に求められる耐久性を有していたが、トウのLOI値は、紫外線吸収剤と有機顔料の添加により24と低い値となり、消防服や耐熱作業服などの防護衣料として人体を保護する目的に対して不十分なものとなった。これらの結果を表3に示す。
比較例12で得られたポリマー溶液に、有機リン化合物のNMPへの溶解度が5%以上ではあるが、NMP60%水溶液にもよく溶解するトリス(クロロプロピル)ホスフェート(熱分解開始温度:160℃)をポリマー成分に対しリン含有量として、0.47wt%、0.68%となるよう添加し、減圧脱泡して紡糸ドープとした以外は比較例12と同様に実施した。それぞれの紡糸ドープにおいてポリマー成分に対する塩素含有量は、2.53%、3.15%であった。これら牽切加工前の捲縮を有しない連続糸条(トウ)のLOI値は、難燃剤の添加により比較例1より改善され33、37と高い難燃性が示されたが、このトウと牽切紡績糸における130℃・2時間飽和蒸気下での湿熱処理における破断強度保持率を求めたところ、トウで89%、79%となり牽切紡績糸で86%、74%となり、強度の低下がみられ、消防服や耐熱作業服などの防護衣料が使用される可能性のある高温多湿な過酷な環境下において耐久性が弱いものとなった。これらの結果を表3に示す。
Claims (8)
- メタ型全芳香族ポリアミド繊維中におけるリン原子含有量が0.2wt%以上となるように有機リン化合物が含有されたメタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、該繊維には顔料が0.1~10.0wt%含有されており、該繊維の燃焼時限界酸素指数LOIが33以上、130℃で2時間湿熱処理した後の強度保持率が90%以上である原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- 該繊維に含まれる有機リン化合物の熱分解開始温度が300℃以上である請求項1記載の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- 有機リン化合物が、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルアセトアミド(DMAc)に5%以上溶解し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルアセトアミド(DMAc)の60%水溶液には不溶である請求項1または2に記載の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- 該繊維中におけるハロゲン含有量が0.2wt%以下である請求項1~3いずれかに記載の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- 該繊維を180℃で30秒乾熱処理したときの、乾熱処理前後における色差ΔEが0.75以下である請求項1~4いずれかに記載の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
- N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルアセトアミド(DMAc)に5%以上溶解し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルアセトアミド(DMAc)の60%水溶液には不溶である有機リン化合物を、顔料を含む紡糸ドープに対しリン原子含有量が0.2~5.0wt%となるように添加した後、紡糸することを特徴とする原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維をその構成成分とすることを特徴とする難燃性紡績糸。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維をその構成成分とすることを特徴とする難燃性牽切紡績糸。
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