この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、本発明の一実施形態のシートフレームを含む乗物用シートの全体構成を概略的に示す斜視図である。乗物用シート1は、車両用シートとして機能する。図1に示されるように、本実施形態の乗物用シート1は、シートフレーム10を骨格とするシートバック20と、シートクッション30と、ヘッドレスト40と、アームレスト50と、アームレスト保持用ブラケット52と、エアバッグユニット60と、を有している。
シートバック20は、その前面が背凭れ面を形成している。シートクッション30は、その上面が着座面を形成している。ヘッドレスト40は、シートバック20の上部に設けられている。アームレスト50は、シート幅方向におけるシートバック20の一方側に配置されている。エアバッグユニット60は、シートバック20の内部でシート幅方向における外側に配置されている。
シートフレーム10は、乗物用シート1の骨格を構成している。本実施形態では、シートフレーム10は、シートバック20の骨格を構成している。ただし、シートフレーム10は、シートクッション30の骨格を構成してもよい。シートフレーム10は、第1サイドフレーム100と、第2サイドフレーム200と、補強材300と、アッパーフレーム400と、構造材500と、連結部材600と、を有している。
第1サイドフレーム100は、上下方向に延びる形状を有している。この第1サイドフレーム100に、アームレスト50およびエアバッグユニット60が接続されている。第2サイドフレーム200は、上下方向に延びる形状を有している。第2サイドフレーム200は、シート幅方向について第1サイドフレーム100と間隔を置いて配置されている。第1サイドフレーム100および第2サイドフレーム200の構造については後述する。
アッパーフレーム400は、第1サイドフレーム100の上端部と第2サイドフレーム200の上端部とを接続している。
構造材500は、第1サイドフレーム100および第2サイドフレーム200の少なくとも一方のサイドフレームに接続される部材である。本実施形態では、構造材500は、第1サイドフレーム100と第2サイドフレーム200との間においてシート幅方向に延びる形状を有している。構造材500は、第1サイドフレーム100および第2サイドフレーム200の双方に接続される。具体的に、構造材500として、第1サイドフレーム100および第2サイドフレーム200を補強するための補強パイプが用いられている。構造材500は、円筒状に形成されている。構造材500は、必要に応じて、適所に湾曲加工または屈曲加工が施されている。なお、図1には、2つの構造材500が示されているが、構造材500の数は、これに限られない。
連結部材600は、構造材500を第1サイドフレーム100および第2サイドフレーム200の少なくとも一方のサイドフレームに連結するための部材である。連結部材600は、少なくとも一方のサイドフレームに溶接されている。本実施形態では、連結部材600は、構造材500を第1サイドフレーム100および第2サイドフレーム200の双方に連結している。具体的に、連結部材600は、第1カラー610と、第2カラー(図示略)と、を有する。
第1カラー610は、構造材500の一端を第1サイドフレーム100に連結するための部材であって、第1サイドフレーム100に溶接されている。図2は、図1におけるII-II線での断面図である。図3は、連結部材の断面の拡大図である。図2および図3に示されるように、第1カラー610は、筒部612と、閉塞部614と、突部618と、を有している。
筒部612は、構造材500の一方側の端部に接続される。たとえば、筒部612の端部と構造材500の外周面との境界部は、溶接される。これにより、溶接部W3が形成される。筒部612は、構造材500の一方側の端部を包囲する形状を有している。本実施形態では、筒部612は、円筒状に形成されている。
閉塞部614は、筒部612の一方側の開口を塞ぐ形状を有する。閉塞部614は、第1サイドフレーム100に対して面接触する形状を有する外側面615を有している。この外側面615は、平坦に形成されている。閉塞部614は、筒部612の軸方向について外向きに窪む凹部616を有している。閉塞部614は、筒部612の厚さよりも大きな厚さを有している。
突部618は、筒部612の外形よりも小さな外形を有し、かつ、閉塞部614の外側面615から筒部612の軸方向における外向きに突出する形状を有している。突部618は、円柱状の外周面を有している。図3に示されるように、突部618の閉塞部614の外側面615からの突出寸法hは、第1サイドフレーム100の厚さに等しく(厚さに合わせて)設定されている。
第2カラーは、構造材500を第2サイドフレーム200に連結するための部材であって、第2サイドフレーム200に溶接されている。第2カラーは、構造材500の他方側の端部に接続(溶接)されている。第2カラーの構成は、第1カラー610の構成と同じである。このため、第2カラーの説明を省略する。
ここで、第1サイドフレーム100について説明する。図2に示されるように、第1サイドフレーム100は、閉断面を構成している。具体的に、第1サイドフレーム100は、アウターフレーム110と、インナーフレーム120と、を有している。
アウターフレーム110は、シート幅方向(図3の上下方向)の外側に配置されている。アウターフレーム110は、板状に形成されている。たとえば、シート前後方向におけるアウターフレーム110の両端部は、シート幅方向の内側に向かって折り曲げられている。
図3に示されるように、アウターフレーム110には、突部618の挿入を許容し、かつ、筒部612の外形よりも小さな形状を有する突部挿入孔111が設けられている。突部挿入孔111の外形は、突部618の外形よりも大きいことが好ましい。本実施形態では、突部挿入孔111は、円形に形成されている。この突部挿入孔111に突部618が挿入された状態(位置する状態)において、突部618がアウターフレーム110に溶接されている。
図3に示されるように、突部618の突出寸法hは、アウターフレーム110の厚さに合わせて設定されている。このため、突部618が突部挿入孔111に挿入され、かつ、閉塞部614の外側面615がアウターフレーム110の内側面に面接触した状態において、突部618の外側面(図3における上面)は、アウターフレーム110の外側面と面一になる。この状態において、シート幅方向におけるアウターフレーム110の外側から、アーク溶接などにより、突部618とアウターフレーム110との境界部が溶接される。この溶接により、溶接部W1が形成される。シート幅方向におけるアウターフレーム110の外側面のうち溶接部W1の近傍の部位に、エアバッグユニット60が接続されている。
図4は、図2中の矢印IIIに示す方向から見た突部およびサイドフレームを示す図である。図4に示されるように、溶接部W1は、突部618の外周面のうち突部618の半周以上の長さを有する領域にわたって突部618の周方向に沿って連続的に延びる形状を有している。突部618の周方向における溶接部W1の一端と他端とは、互いに離間している。具体的には、第1直線L1と第2直線L2とのなす角θが、180度以上360度未満となるように、突部618が第1サイドフレーム100のアウターフレーム110に溶接される。第1直線L1は、突部618の外周面のうち溶接の開始点Aと突部618の中心とを結ぶ直線である。第2直線L2は、突部618の外周面のうち溶接の終了点Bと突部618の中心とを結ぶ直線である。上記の角θが、220度以上300度以下となるように、突部618がアウターフレーム110に溶接されることがより好ましい。
インナーフレーム120は、アウターフレーム110と対向するようにシート幅方向についてアウターフレーム110の内側に配置されている。インナーフレーム120は、板状に形成されている。たとえば、シート前後方向におけるインナーフレーム120の両端部は、シート幅方向の外側に向かって折り曲げられている。このインナーフレーム120のシート前後方向における端部とアウターフレーム110のシート前後方向における端部とが互いに重なり合うことにより、第1サイドフレーム100が全体として閉断面を構成している。この互いに重なり合った部位同士は、たとえば溶接されている。
インナーフレーム120には、筒部612の挿通を許容する貫通孔121が設けられている。この貫通孔121内に筒部612が位置する状態において、シート幅方向におけるインナーフレーム120の内側(図3における下側)から、アーク溶接などにより、筒部612の外周面とインナーフレーム120との境界部が溶接される。この溶接により、溶接部W2が形成される。なお、図2および図3において、突部挿入孔111および貫通孔121は、説明のために大きく描かれているのであって、実際の寸法を示すものではない。
補強材300は、第1サイドフレーム100を補強するための部材である。補強材300は、第1サイドフレーム100に接続(たとえば溶接)されている。補強材300は、板状に形成されている。補強材300は、アウターフレーム110のうちインナーフレーム120と対向する側(図3の下側)の側面、または、インナーフレーム120のうちアウターフレーム110と対向する側(図3の上側)の側面に接続されることが好ましい。ただし、補強材300は、インナーフレーム120のうちアウターフレーム110と対向する側とは反対側(図3の下側)の側面に接続されてもよい。補強材300は、アウターフレーム110の厚さおよびインナーフレーム120の厚さよりも大きな厚さを有している。
第2サイドフレーム200は、第1サイドフレーム100と同様に、閉断面を構成してもよいし、単一の板状の部材により構成されてもよい。第2サイドフレーム200が板状の部材で構成される場合、シート前後方向における第2サイドフレーム200の両端部は、シート幅方向の内側に向かって折り曲げられる。
第2サイドフレーム200には、第2カラーの突部を挿入するための突部挿入孔(図示略)、すなわち、突部の挿入を許容し、かつ、筒部の外形よりも小さな形状を有する突部挿入孔が設けられている。この突部挿入孔に第2カラーの突部が挿入された状態において、シート幅方向における第2サイドフレーム200の外側から、アーク溶接などにより、第2カラーの突部が第2サイドフレーム200に溶接される。
以上に説明したように、本実施形態のシートフレーム10では、筒部612の外形よりも小さな外形を有する突部618が、突部挿入孔111に挿入された状態で第1サイドフレーム100に溶接されているため、溶接部W1を含め、連結部材600の第1カラー610を第1サイドフレーム100に取り付けるために必要なスペースを小型化することができる。このため、第1サイドフレーム100に、エアバッグユニット60などの取り付けスペースが確保される。換言すれば、エアバッグユニット60などの取り付けスペースを確保したうえで、構造材500の第1サイドフレーム100への接続位置をシート前後方向における前側に配置することが可能となるため、構造材500による第1サイドフレーム100の補強効果が向上する。
また、突部618の閉塞部614からの突出寸法hが、第1サイドフレーム100のアウターフレーム110の厚さに等しく設定されているため、突部618とアウターフレーム110との突合せ溶接を省スペースで行うことができる。
また、溶接部W1は、突部618の外周面のうち突部618の半周以上の長さを有する領域にわたって突部618の周方向に沿って連続的に延びる形状を有しているため、第1カラー610が第1サイドフレーム100に対して傾くことが抑制される。
さらに、突部618の周方向における溶接部W1の一端と他端とは、互いに離間しているため、溶接の開始点Aに再び入熱することが抑制される。このため、溶接部W1の品質管理が容易になる。
また、閉塞部614の外側面615は、アウターフレーム110に面接触しているため、この外側面615がアウターフレーム110と重なる重なり代として機能する。このため、突部618とアウターフレーム110とを安定的に溶接することができる。
また、第2カラーの突部(図示略)も、第2サイドフレーム200の突部挿入孔(図示略)内に位置する状態で第2サイドフレーム200に溶接されている。このため、第1サイドフレーム100と第2サイドフレーム200とを構造材500によって補強しつつ、第1カラー610を第1サイドフレーム100に取り付けるために必要なスペースと、第2カラーを第2サイドフレーム200に取り付けるために必要なスペースとの双方を小型化することができる。
なお、上記実施形態において、突部618は、多角柱状の外周面を有していてもよい。この場合、突部挿入孔111の外形も突部618の外形に対応する多角形に形成されることが好ましい。さらにこの場合、突部618の外周面と第1サイドフレーム100との境界部は、レーザ溶接で溶接される。
また、構造材500は、多角筒状に形成されてもよい。この場合、第1カラー610の筒部612および第2カラーの筒部は、構造材500の外形に対応する多角筒に形成される。
また、構造材500は、第1カラー610を介して第1サイドフレーム100にのみ接続されてもよい。換言すれば、第2カラーが省略され、連結部材600が第1カラー610のみにより構成されてもよい。この場合、構造材500として、リンク部材などが第1カラー610に接続される。
また、第1サイドフレーム100は、閉断面を構成する形状に限らず、単一の板状の部材により構成されてもよい。この場合、シート前後方向における第1サイドフレーム100の両端部は、シート幅方向の内側に向かって折り曲げられる。
また、閉塞部614の外側面615は、第1サイドフレーム100に対して面接触ではなく、点接触や線接触する形状に形成されてもよい。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。