JP7011983B2 - 演算システム、演算装置 - Google Patents
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Description
本発明の第2の態様による演算装置は、所定の演算を交代で実行可能な演算装置であって、他の前記演算装置との通信を行う通信部と、前記所定の演算を行う演算部と、前記演算部が前記所定の演算を行っている場合に所定の条件を満たすと前記所定の演算を停止させ、他の前記演算装置に前記所定の演算を引き継がせる委任信号を送信する実行制御部とを備え、前記実行制御部は、前記委任信号を受信すると前記演算部に前記所定の演算を開始させ、前記演算部は、前記演算装置同士の通信を受信する監視部と、正常な前記通信の順番を示す順番情報を格納する記憶部と、前記監視部が受信する通信の順番と、前記順番情報とを照合する検証部とを備え、前記記憶部には前記所定の処理を実行する前記演算装置の順番を示す順番情報がさらに格納され、前記実行制御部は、当該演算装置の次に前記所定の処理を実行する次装置、および前記次装置の次に前記所定の処理を実行する次々装置を、前記順番情報を参照して決定し、前記実行制御部は、前記次装置に前記委任信号を送信してから第2の所定時間が経過するまでに前記次装置から前記次々装置への委任信号を検出しない場合は、前記次々装置へ委任信号を出力する。
以下、図1~図9を参照して、演算システムの第1の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る演算システム2000の概要図である。演算システム2000は、車両1000に格納される。演算システム2000は、ゲートウェイ200と、第1ECU101と、第2ECU102と、第3ECU103と、第4ECU104と、第1通信バス21と、第2通信バス22と、通信装置110とを備える。以下では、第1ECU101、第2ECU102、第3ECU103、および第4ECU104を特に区別しない場合は「ECU100」と呼ぶ。通信装置110は、無線通信により通信網201、たとえばインターネットとの通信が可能である。なお図1ではECUは第1~第4の4つだけであるが、車両1000に備えられるECUの数は2以上であればよく上限はない。また車両1000が備える通信バスは1つのみでもよいし3つ以上でもよい。
図2は第1ECU101の構成を示す図である。ただし第2ECU102~第4ECU104も第1ECU101とほぼ同一の構成を有する。第1ECU101は、アプリ12と、基本ソフト13と、通信監視ブロック14と、通信部11とを備える。それぞれのECU100は、アプリ12により実現される機能は異なるが、そのほかの構成は同一である。
図4(a)は遷移表18bの一例を示す図、図4(b)は遷移表18bを可視化した図である。遷移表18bは複数のレコードから構成され、各レコードは、通信状態と、遷移のトリガ条件と、遷移先の通信状態と、タイムアウト時間と、トリガ設定のフィールドから構成される。通信状態のフィールドには、通信状態の番号が格納される。トリガ条件のフィールドには、次の通信状態に遷移する条件が格納される。遷移先の通信状態のフィールドには、トリガ条件を満たした場合に遷移する通信状態の番号が格納される。タイムアウトのフィールドにはその状態に遷移してからタイムアウトになるまでの時間が格納される。ただしタイムアウトがない場合には「なし」が格納される。
図5は、状態監視と通信監視のローテーションを模式的に示す図である。図5の上部には第1ECU101が通信を監視している様子を示しており、図5の下部には第2ECU102が通信を監視している様子を示している。符号31に示す枠内は、通信状態の遷移を模式的に示しており、アンダーバーが付されている数字は現在の通信状態であることを示している。なお図5に示す通信状態の模式図は作図の都合により図4とは異なっている。
図6~図9は、通信監視ブロック14の動作を表すフローチャートである。なお図6~図8の説明では、以下に説明する動作を行うECU100を「当該ECU」や「自分」と呼ぶ。ECU100の実行制御部15は起動すると図6に示す動作を開始する。
(1)演算システム2000は、通信の監視を交代で実行する複数のECU100を含む。ECU100は、他のECU100との通信を行う通信部11と、所定の演算を行う演算部30と、演算部30が所定の演算を行っている場合に所定の条件を満たすと所定の演算を停止させ、他のECU100に所定の演算を引き継がせる委任パケット32を送信する実行制御部15とを備える。実行制御部15は、委任パケット32を受信すると演算部30に所定の演算を開始させる。そのため演算システム2000は、所定の演算を複数の演算装置100で交代で実行できる。
上述した第1の実施の形態では、委任パケット32には監視ECU情報が含まれたがタイムアウト残り時間は含まれなかった。しかしECU100はタイムアウトの残り時間も併せて送信してもよい。たとえばある通信状態のタイムアウトを時間が10msであり、その通信状態に遷移してから4ms経過後に委任パケット32を出力する場合には、委任パケット32には通信状態と、4msがすでに経過している旨の情報を含める。この委任パケット32を受信したECU100は、6ms以内にパケットを受信しない場合はタイムアウトと判断する。この変形例1によれば、監視ECUが変更されてもタイムアウトを正確に評価できる。
いずれかのECU100がローテーションの順番を変更する機能を有する親機となってもよい。親機は、一定時間の経過や進入の検知などを契機としてローテーションの順番を変更し、変更後のローテーションの順番を委任パケット32に含めて送信する。この委任パケット32を受信したECU100は、格納部18に格納された監視順18aを委任パケット32に含まれるローテーションの順番で上書きする。さらにこの委任パケット32を受信したECU100は、自身が送信する委任パケット32に、受信済の情報である、変更後のローテーションの順番を含める。
(7)ECU100が通信を監視する順序は一定ではない。そのためローテーションの順番を変更して、安全性を向上できる。
図7のS123において処理負荷が所定値より大きい場合には、即座に委任パケット32を作成して次のECU100に通信の監視を委任した。しかし処理負荷の大きさに応じて監視時間を短くしてもよい。たとえば処理負荷の閾値を3段階設けて、最も低い閾値を超える場合には当該ECUがネットワークを監視する時間を30%短くし、次の閾値を超える場合には60%短くし、最も大きい閾値を超える場合に即座に監視を終了してもよい。
ECU100は、委任パケット32を受信すると通信の監視を開始した。しかし、委任パケット32を受信した際に処理負荷があらかじめ定められた閾値よりも大きい場合は、受信した委任パケット32を無視してもよい。たとえばS118において肯定判断された場合に処理負荷があらかじめ定められた閾値よりも大きいと判断すると、S120に進まずに丸囲み1に進む。この変形例4によれば、ECU100の本来の処理に集中させることができる。
第1の実施の形態では、ECU100は交代で通信の監視を行った。しかし交代で行う処理は通信の監視に限定されない。たとえば車両1000の走行に必要な機能や付加的な機能を実現するための演算を交代で実行してもよい。車両1000の走行に必要な機能とはたとえば、エンジンの最適な点火時期の演算である。付加的な機能とはたとえば、車両1000が備えるセンサが取得したデータを処理して障害物を検出する演算である。
ECU100は、監視順18aにおける2つ先のECU100に対して委任パケット32を送信してもよい。この場合にECU100は次の動作を行う。ECU100は、自身が委任パケット32を送信すると監視順18aにおける次のECU100の委任パケット32の送信を監視する。そして自身が委任パケット32を送信してから所定時間以内に委任パケット32の送信が確認できない場合は、2つ先のECU100に対して委任パケット32を送信する。なお監視順18aにおける当該ECUの次の順番のECU100を「次装置」とも呼び、さらに次のECU100を「次々装置」とも呼ぶ。
(8)格納部18には監視順18aが格納される。実行制御部15は、次装置および次々装置を、監視順18aを参照して特定する。実行制御部15は、次装置に委任パケット32を送信してから第2の所定時間が経過するまでに次装置から次々装置への委任パケット32を検出しない場合は、次々装置へ委任パケット32を出力する。
図7のS123では実行制御部15は、当該ECU100の現在の処理負荷が所定値よりも大きいか否かを判断した。しかし実行制御部15は、近い将来、たとえば10ms後や100ms後の当該ECU100の処理負荷を予測して、予測した処理負荷が所定値よりも大きいか否かを判断してもよい。本変形例によれば、通信を監視することによる本来の処理、すなわちアプリ12の処理に与える悪影響を低減できる。なおECU100の処理は周期的なものが多いので処理負荷の予測が容易である。
図10を参照して、演算システムの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、短い時間間隔で委任パケットを受信すると処理負荷が大きくても監視を終了しない点で、第1の実施の形態と異なる。
上述した第1の実施の形態では、通信を監視しているECU100の処理負荷が大きくなると、監視時間が終了する前であっても通信の監視を終了していた(図7のS122:NO、S123:YES、S124)。そのため、全てのECU100の処理負荷が高い場合には、委任パケット32を受信したECU100がすぐに次のECU100に委任パケット32を送信し、監視ECUが次々に変更される。この場合は監視ECUの変更ばかりが行われて通信が監視されないので好ましくない。
車両1000の構成およびECU100の機能構成は以下の点を除いて第1の実施の形態と同様である。すなわち少なくとも一部のECU100の動作が以下に説明するように異なる。これはたとえば不図示のROMに格納されるプログラムが異なる、ハードウエア回路が異なる、または論理回路に書き込まれる回路が異なることを意味している。
図10は、第2の実施の形態における通信監視ブロック14の動作を表すフローチャートである。ただし図10は第1の実施の形態における図7の代わりに実行されるフローチャートである。すなわち第2の実施の形態における通信監視ブロック14は、図6、図8~図10に示される動作を行う。図7と図10の相違点は、S118において肯定判断された場合にS142~S144を実行した後にS120に遷移する点、およびS123において肯定判断された場合にS149を実行する点である。なおS124のあとにS151およびS153が追加されているが、これらはなくてもよい。以下では追加された各ステップを説明する。
14…通信監視ブロック
15…実行制御部
16…監視部
17…検証部
18…格納部
30…演算部
32…委任パケット
100…ECU
1000…車両
2000…演算システム
Claims (2)
- 所定の演算を交代で実行する複数の演算装置を含む演算システムであって、
それぞれの前記演算装置は、
他の前記演算装置との通信を行う通信部と、
前記所定の演算を行う演算部と、
前記演算部が前記所定の演算を行っている場合に所定の条件を満たすと前記所定の演算を停止させ、他の前記演算装置に前記所定の演算を引き継がせる委任信号を送信する実行制御部とを備え、
前記実行制御部は、前記委任信号を受信すると前記演算部に前記所定の演算を開始させ、
前記演算部は、
前記演算装置同士の通信を受信する監視部と、
正常な前記通信の順番を示す順番情報を格納する記憶部と、
前記監視部が受信する通信の順番と、前記順番情報とを照合する検証部とを備え、
前記記憶部には前記所定の処理を実行する前記演算装置の順番を示す順番情報がさらに格納され、
前記実行制御部は、当該演算装置の次に前記所定の処理を実行する次装置、および前記次装置の次に前記所定の処理を実行する次々装置を、前記順番情報を参照して決定し、
前記実行制御部は、前記次装置に前記委任信号を送信してから第2の所定時間が経過するまでに前記次装置から前記次々装置への委任信号を検出しない場合は、前記次々装置へ委任信号を出力する演算システム。 - 所定の演算を交代で実行可能な演算装置であって、
他の前記演算装置との通信を行う通信部と、
前記所定の演算を行う演算部と、
前記演算部が前記所定の演算を行っている場合に所定の条件を満たすと前記所定の演算を停止させ、他の前記演算装置に前記所定の演算を引き継がせる委任信号を送信する実行制御部とを備え、
前記実行制御部は、前記委任信号を受信すると前記演算部に前記所定の演算を開始させ、
前記演算部は、
前記演算装置同士の通信を受信する監視部と、
正常な前記通信の順番を示す順番情報を格納する記憶部と、
前記監視部が受信する通信の順番と、前記順番情報とを照合する検証部とを備え、
前記記憶部には前記所定の処理を実行する前記演算装置の順番を示す順番情報がさらに格納され、
前記実行制御部は、当該演算装置の次に前記所定の処理を実行する次装置、および前記次装置の次に前記所定の処理を実行する次々装置を、前記順番情報を参照して決定し、
前記実行制御部は、前記次装置に前記委任信号を送信してから第2の所定時間が経過するまでに前記次装置から前記次々装置への委任信号を検出しない場合は、前記次々装置へ委任信号を出力する演算装置。
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