JP7095656B2 - タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
一方、タイヤ用ゴム組成物の加硫速度を速めることにより、タイヤの生産性を向上させることができるが、モジュラスの増大により破断物性が低下するという課題がある。したがって、タイヤの生産性の観点から加硫速度を速めることは重要であるが、他物性とのバランス化を図る必要がある。
すなわち本発明は以下の通りである。
2.前記フェノール樹脂が、分子中に下記の化学式(2)で表されるエチレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有することを特徴とする前記1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
4.前記フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上150℃以下であることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
5.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに、メチレンドナーを0.1~5質量部配合してなることを特徴とする前記1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
6.前記メチレンドナーが、ヘキサメチレンテトラミンまたは多価メチロールメラミン誘導体であることを特徴とする前記5に記載のタイヤ用ゴム組成物。
7.前記1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
本発明において、特定のフェノール樹脂を配合することにより、カーボンブラックとフェノール樹脂におけるアルキレンアミン由来の構造単位とが相互作用して加硫が促進されるとともに、高弾性率化、低発熱化を同時に達成できるものと推測される。
本発明で使用されるジエン系ゴムは、とくに制限されず、例えば、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。中でも、NR、IR、SBRが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
本発明で使用するカーボンブラックは、本発明の効果向上の観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)が33~500m2/gであることが好ましい。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)はJIS K6217-2に準拠して求めた値である。
本発明で使用されるフェノール樹脂は、分子中に下記の化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を、少なくとも1個以上有するものである。
エチレンアミン由来構造の含有率は、以下の式に基づいて算出できる。式中の含窒素量(質量%)は、元素分析法により測定できる。
エチレンアミン由来構造の含有率=含窒素量×(43/14)
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを1~200質量部、および前記分子中に化学式(1)で表されるアルキレンアミン由来の構造単位を少なくとも1個以上有するフェノール樹脂を0.1~20質量部配合してなることを特徴とする。
カーボンブラックの配合量が1質量部未満であると配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に200質量部を超えると発熱性が悪化する。
前記フェノール樹脂の配合量が0.1質量部未満であると、配合量が少な過ぎて本発明の効果を奏することができない。逆に20質量部を超えると耐摩耗性が悪化する。
前記フェノール樹脂の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましい。
本発明におけるゴム組成物には、前記した成分に加えて、加硫又は架橋剤;加硫又は架橋促進剤;酸化亜鉛、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウムのような各種充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
(製造例1)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応器に、フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液561部、トリエチレンテトラアミン55部を仕込み、還流条件下で2時間反応させた。ついで水を蒸留除去しながら200℃で3時間反応させた。さらに所定の水分、遊離モノマー量になるまで減圧下で水、未反応モノマーの蒸留除去を行った後、反応器から取り出し、フェノール樹脂1を得た。
フェノール樹脂1の、軟化点は110℃であり、含窒素量は2.2質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は6.8質量%であった。
37%ホルマリン水溶液の配合量を518部、トリエチレンテトラアミンの配合量を110部としたこと以外は、製造例1と同様にしてフェノール樹脂2を得た。
フェノール樹脂2の、軟化点は108℃であり、含窒素量は4.1質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は12.6質量%であった。
37%ホルマリン水溶液の配合量を500部、トリエチレンテトラアミンの配合量を165部としたこと以外は、製造例1と同様にしてフェノール樹脂3を得た。
フェノール樹脂3の、軟化点は102℃であり、含窒素量は6.4質量%であり、エチレンアミン由来構造の含有率は19.7質量%であった。
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
貯蔵弾性率:JIS K6394に準拠し、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件下で、東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメータにより20℃で測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。この値が大きいほど、高弾性率であることを示す。
tanδ(60℃):(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で、tanδ(60℃)を測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。この値が小さいほど、低発熱性であることを示す。
結果を表1に併せて示す。
*2:カーボンブラック(キャボットジャパン社製N339、窒素吸着比表面積(N2SA)=90m2/g)
*3:ストレートフェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製PR50731。アルキレンアミン由来の構造単位を持たない。)
*4:フェノール樹脂1(前記製造例1で製造したフェノール樹脂1)
*5:フェノール樹脂2(前記製造例2で製造したフェノール樹脂2)
*6:フェノール樹脂3(前記製造例3で製造したフェノール樹脂3)
*7:ヘキサメチレンテトラミン(大内新興化学工業株式会社製ヘキサメチレンテトラミン)
*8:酸化亜鉛(正同化学工業株式会社製酸化亜鉛3種)
*9:ステアリン酸(日油株式会社製ビーズステアリン酸YR)
*10:オイル(昭和シェル石油株式会社製エキストラクト4号S)
*11:硫黄(細井化学工業株式会社製油処理イオウ)
*12:加硫促進剤(三新化学工業株式会社製サンセラーNS-P)
これに対し、比較例2は、アルキレンアミン由来の構造単位を持たないストレートフェノール樹脂およびメチレンドナーを使用した例であり、比較例1に比べて、加硫速度が遅い結果となった。
比較例3は、フェノール樹脂を配合していない例であり、比較例1に比べて、貯蔵弾性率が悪化した。
Claims (6)
- 前記フェノール樹脂の軟化点が、60℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴム100質量部に対し、さらに、メチレンドナーを0.1~5質量部配合してなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記メチレンドナーが、ヘキサメチレンテトラミンまたは多価メチロールメラミン誘導体であることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤ。
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