JP7094095B2 - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents
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Description
SiO2成分を5.0~35.0%、
B2O3成分を0超~30.0%、
TiO2成分を5.0~30.0%、
BaO成分を20.0~60.0%を含有し、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+3.0×10-6~-10.0×10-6(℃-1)の範囲内にある光学ガラス。
そのため、相対屈折率の温度係数が低い値をとり、温度変化による結像特性への影響の補正に寄与できる高分散な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を得ることができる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有量は、特に断りがない場合、全て酸化物換算組成の全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量数を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
SiO2成分は、ガラス形成酸化物として必須の成分である。特に、SiO2成分を5.0%以上含有することで、熔融ガラスの粘度を高められ、ガラスの着色を低減できる。また、ガラスの安定性を高めて量産に耐えるガラスを得易くできる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは5.0%以上、より好ましくは6.0%以上、さらに好ましくは7.0%以上、さらに好ましくは8.0%以上、さらに好ましくは9.0%超とする。
他方で、SiO2成分の含有量を35.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、ガラス転移点の上昇を抑えられ、且つ屈折率の低下を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満、さらに好ましくは18.0%未満とする。
他方で、B2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、より大きな屈折率を得易くでき、相対屈折率の温度係数を小さくでき、且つ化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%以下、さらに好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは18.0%以下、さらに好ましくは15.0%未満とする。
他方で、TiO2成分の含有量を30.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、TiO2成分の過剰な含有による失透を低減でき、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは27.0%未満、さらに好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは22.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満とする。
他方で、BaO成分の含有量を60.0%以下にすることで、過剰な含有によるガラスの屈折率の低下や、比重の増加を防ぐことができるとともに、失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは58.0%以下、さらに好ましくは55.0%以下、さらに好ましくは53.0%以下、さらに好ましくは50.0%未満とする。
他方で、MgO成分、SrO成分及びCaO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えることができ、且つこれらの成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、MgO成分、SrO成分及びCaO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは7.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.0%未満としてもよい。
他方で、Gd2O3成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の上昇を抑えられる。また、比重が大きくなることを防ぐことができ、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、Gd2O3成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。特に材料コストを低減させる観点では、Gd2O3成分は含有しなくてもよい。
他方で、La2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることで失透を低減でき、アッベ数の上昇を抑えられる。また、ガラス原料の熔解性を高められる。従って、La2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは25.0%未満、さらに好ましくは23.0%未満、さらに好ましくは20.0%未満としてもよい。特に、コストを低減させるという観点では、La2O3成分の含有量を10.0%未満とすることが好ましく、より好ましくは8.0%未満とする。
他方で、Y2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下を抑えられ、ガラスのアッベ数の上昇を抑えられ、且つガラスの安定性を高められる。また、ガラス原料の熔解性の悪化を抑えられる。従って、Y2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満としてもよい。
他方で、ZrO2成分の含有量を10.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、ZrO2成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは2.0%未満としてもよい。
他方で、ZnO成分の含有量を5.0%未満にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、熱による膨張を低減でき、屈折率の低下を抑えられ、且つ、過剰な粘性の低下による失透を低減できる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは5.0%未満、より好ましくは4.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満としてもよい。また、ZnO成分は含有しなくてもよい。
他方で、Nb2O5成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減でき、相対屈折率の温度係数を小さくでき、Nb2O5成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つ、ガラスの可視光(特に波長500nm以下)に対する透過率の低下を抑えられる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは13.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満としてもよい。
他方で、WO3成分の含有量を10.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくでき、且つ材料コストを抑えられる。また、WO3成分によるガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。また、特に比重を小さくするという観点では、WO3成分は含有しなくてもよい。
他方で、Ta2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、光学ガラスの原料コストを低減でき、また、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストも低減できる。また、比重を小さくすることができる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。特に、材料コストを低減させる観点では、Ta2O5成分を含有しないことが最も好ましい。
他方で、Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分の含有量を低減させることで、ガラスの屈折率を低下し難くし、且つガラスの失透を低減できる。従って、Li2O成分、Na2O成分及びK2O成分の含有量は、それぞれ好ましくは15.0%以下、より好ましくは13.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは9.0%未満としてもよい。
他方で、P2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよく、P2O5成分を含まなくてもよい。
しかしながら、GeO2は原料価格が高く、その含有量が多いと生産コストが高くなる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
他方で、Al2O3成分の含有量を10.0%以下にし、又はGa2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの液相温度を下げて耐失透性を高められる。従って、Al2O3成分及びGa2O3成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
他方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、過剰な比重の上昇を抑えることができる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
他方で、TeO2は白金製の坩堝や、熔融ガラスと接する部分が白金で形成されている熔融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
他方で、SnO2成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満としてもよい。
他方で、Sb2O3成分の含有量を1.0%以下にすることで、可視光領域の短波長領域における透過率の低下や、ガラスのソラリゼーション、内部品質の低下を抑えられる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.2%未満としてもよい。
しかし、F成分の含有量、すなわち上述した各金属元素の1種又は2種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量が10.0%を超えると、F成分の揮発量が多くなるため、安定した光学恒数が得られ難くなり、均質なガラスが得られ難くなる。また、アッベ数が必要以上に上昇する。
従って、F成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満としてもよい。
他方で、Na2O成分及びK2O成分の合計含有量を20.0%以下とすることで、過剰な屈折率の低下およびアッベ数の上昇を抑制することができる。従って、質量和(Na2O+K2O)は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%未満とする。
他方で、BaO成分、Na2O成分及びK2O成分の合計含有量を70.0%以下とすることで、過剰な屈折率の低下を抑制することができる。従って、質量和(BaO+Na2O+K2O)は、好ましくは70.0%以下、より好ましくは65.0%以下、さらに好ましくは60.0%以下、さらに好ましくは55.0%未満とする。
他方で、TiO2成分及びBaO成分の合計含有量を80.0%以下とすることで、ガラスの安定性を高め、量産に耐えるガラスを得易くすることができる。従って、質量和(TiO2+BaO)は、好ましくは80.0%以下、より好ましくは75.0%以下、さらに好ましくは70.0%未満とする。
他方で、質量比(TiO2/SiO2)は、0.80以上が好ましい。これにより、高屈折率且つ高分散な硝材を得ることができる。従って、質量比(TiO2/SiO2)は、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは1.00超を下限とする。
他方で、質量和(TiO2+Nb2O5)は、35.0%以下が好ましい。これにより、TiO2成分及びNb2O5成分の過剰添加による失透性の悪化を抑制することができる。従って、質量和(TiO2+Nb2O5)は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは33.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは28.0%未満とする。
他方で、質量和(La2O3+Nb2O5)は、35.0%以下が好ましい。これにより、材料コストを低減することができる。従って、質量和(La2O3+Nb2O5)は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは25.0%以下とする。
他方で、質量比(BaO/La2O3)は、0超とすることで、相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。従って、質量比(BaO/La2O3)は、好ましくは0超、より好ましくは0.50超、より好ましくは1.00超、さらに好ましくは1.50超とする。
他方で、質量比BaO/(SiO2+B2O3)は、0.50超とすることで、相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。従って、質量比BaO/(SiO2+B2O3)は、好ましくは0.50超、より好ましくは0.80超、より好ましくは1.00超、さらに好ましくは1.30超とする。
他方で、質量和(La2O3+B2O3)は、38.0%以下が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数の上昇を抑制することができる。従って、質量和(La2O3+B2O3)は、好ましくは38.0%以下、より好ましくは35.0%以下、さらに好ましくは30.0%以下とする。
他方で、質量和(SiO2+B2O3+La2O3)は、50.0%以下が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数の大幅な上昇を抑制することができる。従って、質量和(SiO2+B2O3+La2O3)は、好ましくは50.0%以下、より好ましくは45.0%以下、さらに好ましくは43.0%以下とする。特に、相対屈折率の温度係数の低い硝材を得るという観点では、30.0%未満が好ましい。
他方で、質量比(BaO/SiO2)は、1.50以上が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数の低い硝材を得ることができる。従って、質量比(BaO/SiO2)は、好ましくは1.50以上、より好ましくは1.80以上、さらに好ましくは2.00以上を下限とする。
他方で、質量比(BaO/TiO2)は、1.40以上が好ましい。これにより、相対屈折率の温度係数を低くすることができる。従って、質量比(BaO/TiO2)は、好ましくは1.40以上、より好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.60以上を下限とする。
他方で、RO成分の質量和を60.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、また、ガラスの安定性を高められる。従って、RO成分の質量和は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは57.0%以下、さらに好ましくは55.0%以下、さらに好ましくは52.0%以下、さらに好ましくは50.0%未満とする。
他方で、0%超含有する場合に、屈折率の低下を抑えることができる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは0%超、より好ましくは3.0%超、さらに好ましくは5.0%超を下限としてもよい。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を、各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス原料の熔解難易度に応じて電気炉で1000~1500℃の温度範囲で1~10時間熔解させて攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
本発明の光学ガラスは、高屈折率及び低アッベ数(高分散)を有することが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.75、より好ましくは1.76、さらに好ましくは1.77、さらに好ましくは1.78を下限とする。この屈折率(nd)は、好ましくは2.10、より好ましくは2.00、さらに好ましくは1.90、さらに好ましくは1.86を上限としてもよい。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは25、より好ましくは26、さらに好ましくは28、さらに好ましくは29を下限とする。このアッベ数(νd)は、好ましくは38、より好ましくは37、さらに好ましくは36、さらに好ましくは35を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような高分散を有することで、単レンズとして用いたときに光の波長によって焦点を適切にずらすことができる。そのため、例えば低分散(高いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせて光学系を構成した場合に、その光学系の全体として収差を低減させて高い結像特性等を図ることができる。
このように、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、特に光学系を構成したときに、高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができ、光学設計の自由度を広げることができる。
従って、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≧(-0.01×νd+2.07)の関係を満たすことが好ましく、nd≧(-0.01×νd+2.09)の関係を満たすことがより好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≦(-0.01×νd+2.18)の関係を満たすことが好ましく、nd≦(-0.01×νd+2.16)の関係を満たすことがより好ましい。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)は、好ましくは500nm、より好ましくは490nm、さらに好ましくは480nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ5)は、好ましくは400nm、より好ましくは380nm、さらに好ましくは365nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域又はその近傍になり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。
一般的に、平均線熱膨張係数αが大きいとガラスを加工する際に割れが生じやすくなるため、平均線熱膨張係数αの値は小さいほうが望ましい。一方で、相対屈折率の温度係数が低く、かつ平均線熱膨張係数αの値が大きい硝材と組み合わせて接合する観点においては、当該硝材と平均線熱膨張係数αの値が同一又は近似であることが望ましい。
このうち、1.75以上の屈折率(nd)を有し、かつ25以上38以下のアッベ数(νd)を有するガラスでは、平均線熱膨張係数αが大きい硝材が少なく、低屈折率低分散硝材と組み合わせて使用する場合に、本発明のように平均線熱膨張係数αが大きい値を有する方が有用である。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05-1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
より具体的には、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは+3.0×10-6℃-1、より好ましくは+2.5×10-6℃-1、さらに好ましくは+2.0×10-6℃-1を上限値とし、この上限値又はそれよりも低い(マイナス側)の値をとりうる。
他方で、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは-10.0×10-6℃-1、より好ましくは-5.0×10-6℃-1、さらに好ましくは-3.0×10-6℃-1を下限値とし、この下限値又はそれよりも高い(プラス側)の値をとりうる。
このうち、1.75以上の屈折率(nd)を有し、且つ25以上38以下のアッベ数(νd)を有するガラスとして、相対屈折率の温度係数の低いガラスは知られておらず、温度変化による結像のずれ等の補正の選択肢を広げられ、その補正をより容易にできる。したがって、このような範囲の相対屈折率の温度係数にすることで、温度変化による結像のずれ等の補正に寄与することができる。
本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、光学ガラスと同一温度の空気中における、波長589.29nmの光についての屈折率の温度係数のことであり、40℃から60℃に温度を変化させた際の、1℃当たりの変化量(℃-1)で表される。
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
Claims (6)
- 質量%で、
SiO2成分を9.0%超~16.83%、
B2O3成分を6.0%超~15.0%未満、
TiO2成分を12.0%超~20.0%未満、
BaO成分を31.5%超~47.81%、
La 2 O 3 成分を17.90%以下
含有し、
Mnを実質的に含まず、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+3.0×10-6~-10.0×10-6(℃-1)の範囲内にある光学ガラス。 - 質量比ZrO2/(B2O3+La2O3)が0.16未満であることを特徴とする請求項1記載の光学ガラス。
- 1.75以上の屈折率(nd)を有し、25以上38以下のアッベ数(νd)を有する請求項1又は2記載の光学ガラス。
- 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム。
- 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項5に記載の光学素子を備える光学機器。
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