JP7084278B2 - ヒートシンク - Google Patents
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Description
特許文献1に記載のヒートシンクは、3つのアルミ板が積層された積層体であり、発熱体に対して熱的に接続する受熱面を有する受熱部材と、隣接するアルミ板間に配設された複数のヒートパイプとを備える。
具体的に、複数のヒートパイプは、3つのアルミ板の積層方向に沿って積層された2層で構成されている。以下では、受熱面側から順に、1層目の複数のヒートパイプを第1のヒートパイプと記載し、2層目の複数のヒートパイプを第2のヒートパイプと記載する。すなわち、特許文献1に記載のヒートシンクでは、互いに積層された第1,第2のヒートパイプの熱輸送機能を利用することにより発熱体を冷却している。
この場合、近接ヒートパイプは、発熱体との離間距離が比較的に小さいため、受熱部材を介して発熱体からの熱を十分に取り込み、熱輸送機能を十分に発揮することができると考えられる。一方、離間ヒートパイプは、発熱体との離間距離が比較的に大きいため、受熱部材を介して発熱体からの熱を十分に取り込むことができず、熱輸送機能を十分に発揮することができないと考えられる。すなわち、発熱体のサイズが小さい場合には、ヒートパイプの熱輸送機能を十分に発揮させることができず、ヒートシンクの冷却性能を向上させることが難しい、という問題がある。
〔ヒートシンクの構成〕
図1は、本実施の形態1に係るヒートシンク1の構成を示す斜視図である。図2は、ヒートシンク1の分解斜視図である。図3は、ヒートシンク1の平面図である。
なお、図1において、Z軸は、鉛直方向に平行な軸(+Z軸側が上側、-Z軸側が下側)を示している。また、X軸及びY軸は、Z軸に直交する2つの軸である。図2以降の図面も同様である。
ヒートシンク1は、熱輸送機能を有するヒートパイプを使用したヒートシンクであり、発熱体である半導体素子等の電気部品100(図3)を冷却する。本実施の形態1では、電気部品100は小型の部品であって、密閉筐体200(図1)内部に収納されている。そして、ヒートシンク1は、ヒートパイプを利用して電気部品100からの熱を密閉筐体200外部に熱輸送し、当該密閉筐体200外部において放熱する。
このヒートシンク1は、図1ないし図3に示すように、受熱部材2と、複数(本実施の形態1では6本)の第1のヒートパイプ3(図2,図3)と、複数(本実施の形態1では5本)の第2のヒートパイプ4と、複数のフィン5とを備える。
受熱プレート21は、電気部品100よりも大きい平面形状(Z軸に沿って見た場合での平面形状)を有する略正方形状の板体で構成されている。ここで、受熱プレート21において、-Z軸側の板面は、本発明に係る受熱面2a(図1,図2)に相当する。そして、受熱面2aの中心位置P1には、電気部品100が熱的に接続される(図3)。
この第1の均熱用プレート22には、図2に示すように、表裏を貫通し、6本の第1のヒートパイプ3の平面形状(Z軸に沿って見た場合での平面形状)と略同一の平面形状を有する第1の配置用開口221が形成されている。
この第2の均熱用プレート23には、図1または図2に示すように、+X軸側の端面から-X軸側に向けてそれぞれ延在し、5本の第2のヒートパイプ4の平面形状(Z軸に沿って見た場合での平面形状)とそれぞれ略同一の平面形状を有する5つの第2の配置用開口231が形成されている。
第1のヒートパイプ3は、具体的な図示は省略したが、長尺状のコンテナ内部に作動流体が封入された構成を有する。なお、当該コンテナの材質としては、熱伝導率に優れた点から銅や銅合金、軽量性の点からアルミニウムやアルミニウム合金等を例示することができる。本実施の形態1では、第1のヒートパイプ3(当該コンテナ)は、第1の均熱用プレート22の厚み寸法と略同一の厚み寸法を有するように扁平状の断面形状(長手方向に直交する断面形状)を有する。また、当該コンテナの内面には、一端31(図2,図3)から他端32(図2,図3)まで、ウィック構造体が設けられている。すなわち、当該ウィック構造体は、当該コンテナの長手方向に延在している。また、当該ウィック構造体としては、毛細管力を生じる構造体であればよく、当該コンテナの長手方向に延在した複数の細溝(グルーブ)、金属粉の焼結体、金属繊維の焼結体、金属メッシュ等を例示することができる。さらに、当該作動流体としては、コンテナの材料との適合性に応じて適宜選択可能であり、水、代替フロン、パーフルオロカーボン、シクロペンタン等を例示することができる。
すなわち、電気部品100から受熱プレート21における中心位置P1付近に伝達された熱は、6本の第1のヒートパイプ3の熱輸送機能により、各一端31側の部位から各他端32に向けて輸送され、受熱部材2全体に拡散されることとなる。
そして、5本の第2のヒートパイプ4は、5つの第2の配置用開口231内にそれぞれ配置される。すなわち、5本の第2のヒートパイプ4は、同一のXY平面内に配置される。また、第1のヒートパイプ3及び第2のヒートパイプ4は、+Z軸方向に沿って第1のヒートパイプ3及び第2のヒートパイプ4の順に積層されている。なお、5本の第2のヒートパイプ4と第1の均熱用プレート22における+Z軸側の板面、6本の第1のヒートパイプ3における+Z軸側の面、及び5つの第2の配置用開口231の縁部分との間の隙間には、半田やグリース等の熱伝導性の部材がそれぞれ介在している。すなわち、5本の第2のヒートパイプ4は、受熱プレート21、第1の均熱用プレート22、第2の均熱用プレート23、及び6本の第1のヒートパイプ3に対して熱的に接続している。
すなわち、電気部品100から受熱プレート21に伝達され、6本の第1のヒートパイプ3の熱輸送機能により受熱部材2全体に拡散された熱は、5本の第2のヒートパイプ4の熱輸送機能により、各他端42に向けて輸送され、密閉筐体200外部に排熱されることとなる。
次に、図3を参照しつつ、第1のヒートパイプ3及び第2のヒートパイプ4の位置関係を説明する。
以下では、説明の便宜上、Z軸に沿って見て、受熱部材2全体の領域を電気部品100が配設される(中心位置P1を含む)第1の領域Ar1(図3)と当該第1の領域Ar1以外の2つの第2の領域Ar2(図3)とに区画する。そして、5本の第2のヒートパイプ4のうち、Z軸に沿って見た場合に、第1の領域Ar1に配設される3本の第2のヒートパイプ4は、本発明に係る近接ヒートパイプ43(図3)に相当する。一方、2つの第2の領域Ar2にそれぞれ配設される2本の第2のヒートパイプ4は、本発明に係る離間ヒートパイプ44(図3)に相当する。言い換えれば、Z軸に沿って見て電気部品100とそれぞれ重なり合う3本の近接ヒートパイプ43が配設される領域が第1の領域Ar1であり、その他の領域が第2の領域Ar2である。
近接ヒートパイプ43は、第1の領域Ar1に配設されているため、電気部品100との離間距離が離間ヒートパイプ44に比べて小さい。すなわち、近接ヒートパイプ43は、受熱部材2を介して電気部品100からの熱を十分に取り込み、熱輸送機能を十分に発揮することができる。一方、離間ヒートパイプ44は、第2の領域Ar2に配設されているため、電気部品100との離間距離が近接ヒートパイプ43に比べて大きい。すなわち、離間ヒートパイプ44は、受熱部材2を介して電気部品100からの熱を十分に取り込むことが難しく、熱輸送機能を十分に発揮することが難しい。
すなわち、第1のヒートパイプ3は、Z軸に沿って見た場合に、近接ヒートパイプ43と重なり合う面積よりも離間ヒートパイプ44と重なり合う面積の方が大きくなるように配設されている。このため、離間ヒートパイプ44は、第1のヒートパイプ3の熱輸送機能により、電気部品100からの熱を十分に取り込むことができる。すなわち、離間ヒートパイプ44の熱輸送機能を十分に発揮することができる。
したがって、電気部品100のサイズが小さい場合であっても、ヒートパイプの熱輸送機能を十分に発揮させ、ヒートシンク1の冷却性能を向上させることができる。
次に、本実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略または簡略化する。
図4は、本実施の形態2に係るヒートシンク1Aの構成を示す斜視図である。図5は、ヒートシンク1Aの分解斜視図である。図6は、ヒートシンク1Aの平面図である。
上述した実施の形態1に係るヒートシンク1では、電気部品100は、受熱面2aの中心位置P1に配設されていた。
これに対して本実施の形態2に係るヒートシンク1Aでは、電気部品100は、図6に示すように、受熱面2aにおいて、中心位置P1から離間した角隅位置P2に配設される。これに伴い、本実施の形態2に係るヒートシンク1Aでは、図5または図6に示すように、上述した実施の形態1で説明したヒートシンク1に対して、6本の第1のヒートパイプ3とは異なる平面形状(Z軸に沿って見た場合での平面形状)をそれぞれ有する複数(本実施の形態2では5本)の第1のヒートパイプ3Aを採用している。
すなわち、電気部品100から受熱プレート21における角隅位置P2付近に伝達された熱は、5本の第1のヒートパイプ3Aの熱輸送機能により、各一端31側の部位から各他端32に向けて輸送され、受熱部材2全体に拡散されることとなる。
第1のヒートパイプ3A1は、5本の第2のヒートパイプ4のうち、図6中、最も下方に位置する第2のヒートパイプ4(離間ヒートパイプ44)と重なり合う面積が最も大きくなるように配設されている。なお、他の第1のヒートパイプ3A3も同様である。
第1のヒートパイプ3A2は、5本の第2のヒートパイプ4のうち、図6中、上下方向の中央に位置する第2のヒートパイプ4(離間ヒートパイプ44)と重なり合う面積が最も大きくなるように配設されている。
第1のヒートパイプ3A4は、5本の第2のヒートパイプ4のうち、図6中、下から2番目に位置する第2のヒートパイプ4(離間ヒートパイプ44)と重なり合う面積が最も大きくなるように配設されている。なお、他の第1のヒートパイプ3A5も同様である。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1及び実施の形態2によってのみ限定されるべきものではない。
図7及び図8は、本実施の形態1及び実施の形態2の変形例1を示す図である。具体的に、図7は、本変形例1に係るヒートシンク1BをY軸に沿って見た側面図である。図8は、ヒートシンク1BをZ軸に沿って見た平面図である。なお、図7及び図8では、説明の便宜上、第2のヒートパイプ4を3本のみ図示している。
上述した実施の形態1及び実施の形態2では、互いに隣接する第2のヒートパイプ4同士の各一端41側の部位間の離間距離と、各他端42側の部位間の離間距離とは略同一に設定されていたが、これに限らず、例えば図7に示すヒートシンク1Bの構成を採用しても構わない。
本変形例1のように構成した場合には、複数の第2のヒートパイプ4の熱輸送機能により密閉筐体200外部に排熱された熱がフィン5の一部に偏って伝達されることがないため、フィン5による放熱効率を向上させることができる。
本変形例2に係るヒートシンク1Cでは、上述した変形例1に係るヒートシンク1Bに対して、3本の第2のヒートパイプ4における受熱部材2から+X軸側に突出した部位全体を+Z軸側に押し上げ、全体として、+X軸に向かうにしたがって+Z軸に向けて傾斜した形状としている。
なお、本変形例2のように構成した場合であっても、上述した変形例1と同様の効果を奏する。
本変形例3に係るヒートシンク1Dでは、3本の第2のヒートパイプ4のうち、Y軸方向の中央に位置する第2のヒートパイプ45は、受熱部材2から+X軸側に突出した後、+Z軸側に屈曲して+X軸に向かうにしたがって+Z軸に向けて傾斜して延在する。また、他の2本の第2のヒートパイプ46,47は、受熱部材2から+X軸側に突出した後、第2のヒートパイプ45とは異なる傾斜角度で+X軸に向かうにしたがって+Z軸に向けて傾斜して延在する。この際、複数のフィン5は、3本の第2のヒートパイプ4毎に分割されている。
なお、本変形例3のように構成した場合であっても、上述した変形例1と同様の効果を奏する。
上述した実施の形態1、実施の形態2、及び変形例1~3において、ヒートシンク1,1A~1Dが配設される姿勢は、当該実施の形態1、実施の形態2、及び変形例1~3で説明した姿勢に限らず、その他の姿勢としても構わない。
2 受熱部材
2a 受熱面
2b 背面
3,3A,3A1~3A5 第1のヒートパイプ
4,45~47 第2のヒートパイプ
5 フィン
21 受熱プレート
22 第1の均熱用プレート
23 第2の均熱用プレート
24 板体
31 一端
32 他端
41 一端
42 他端
43 近接ヒートパイプ
44 離間ヒートパイプ
100 電気部品
200 密閉筐体
221 第1の配置用開口
231 第2の配置用開口
Ar1 第1の領域
Ar2 第2の領域
P1 中心位置
P2 角隅位置
Claims (3)
- 発熱体に対して熱的に接続する受熱面と、当該受熱面と表裏をなす背面とを有する受熱部材と、
前記受熱部材に対して熱的に接続する第1のヒートパイプと、
前記受熱部材及び前記第1のヒートパイプに対してそれぞれ熱的に接続する第2のヒートパイプとを備え、
前記第1のヒートパイプ及び前記第2のヒートパイプは、
前記受熱面から前記背面に向かう第1の方向に沿って前記第1のヒートパイプ及び前記第2のヒートパイプの順に積層され、
前記受熱部材は、
前記発熱体が配設される第1の領域と当該第1の領域以外の第2の領域とに区画され、
前記第2のヒートパイプは、
前記第1の領域に配設される近接ヒートパイプと、前記第2の領域に配設される離間ヒートパイプとを備え、
前記第1のヒートパイプは、
前記近接ヒートパイプと重なり合う面積よりも前記離間ヒートパイプと重なり合う面積の方が大きい
ことを特徴とするヒートシンク。 - 前記近接ヒートパイプ及び前記離間ヒートパイプは、
一端側の部位が前記受熱部材とそれぞれ重なり合い、他端側の部位が前記受熱部材から離間する方向にそれぞれ延在し、
前記近接ヒートパイプ及び前記離間ヒートパイプの他端側の部位には、
当該近接ヒートパイプ及び当該離間ヒートパイプの延在方向に並列する複数のフィンが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。 - 前記近接ヒートパイプ及び前記離間ヒートパイプは、
一端側の部位間の離間距離よりも他端側の部位間の離間距離の方が大きい
ことを特徴とする請求項2に記載のヒートシンク。
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