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JP7080047B2 - 釣り用リール - Google Patents

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本発明は、釣り用リールに関する。
釣り用リール、特に、スピニングリールでは、リール本体に回転可能に設けられたロータが回転してスプールに釣り糸が巻き付けられる構造であるために、リール本体とロータに設けられた開口部との間に隙間が存在する。例えば特許文献1に記載されたスピニングリールには、この隙間をシールするための防水装置が設けられている。防水装置は、リール本体及びロータの一方に固定したパッキングによって、リール本体の内部構造に水分等が侵入することを抑えている。
実開昭57-59567号公報
特許文献1のスピニングリールの防水装置では、パッキングがリール本体及びロータの一方に接触しているため、パッキングがロータの回転抵抗となる。また、パッキングが磨耗した場合、パッキングを交換する必要がある。
本発明の課題は、ロータの回転抵抗を少なくしつつ、リール本体とロータとの隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入することを抑えることにある。
本発明の一側面に係る釣り用リールは、前方に釣り糸を繰り出し可能な釣り用リールであって、リール本体と、ロータと、シール構造と、を備えている。リール本体は、フランジ部を有している。ロータは、回転軸心を中心にリール本体に対して回転可能である。ロータは、リール本体のフランジ部と隙間を隔てて設けられた開口部を後部に有している。シール構造は、リール本体のフランジ部とロータの開口部との隙間をシールする。シール構造は、ロータに一体回転可能かつリール本体のフランジ部と隙間を隔てて設けられた障壁部材と、第1凸部と、を有している。障壁部材は、フランジ部の前方に配置された壁部を有している。第1凸部は、壁部及びフランジ部の一方から壁部及びフランジ部の他方に向かって突出する。
この釣り用リールでは、障壁部材の壁部及びフランジ部の一方に形成された第1凸部によって、障壁部材とフランジ部との隙間に絞り構造を設けることができる。これにより、リール本体のフランジ部とロータの開口部との隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入することを抑えることができる。また、障壁部材がリール本体のフランジ部と間隔を隔てて設けられているため、障壁部材によってロータの回転抵抗が大きくなることがない。
好ましくは、第1凸部は円環状に形成されている。この場合は、周方向全体にわたってフランジ部とロータとの隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入することを抑えることができる。
好ましくは、シール構造は、第2凸部をさらに有している。第2凸部は、円環状であり、壁部及びフランジ部の他方から壁部及びフランジ部の一方に向かって突出する。第1凸部及び第2凸部は、回転軸心を中心とする同心円状に形成され、回転軸心からの距離が互いに異なる。この場合は、第1凸部及び第2凸部によって、リール本体のフランジ部と障壁部材との隙間に複数の絞りを設けることができる。これにより、リール本体のフランジ部とロータの開口部との隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入することをさらに抑えることができる。
好ましくは、シール構造は、凹部をさらに有している。凹部は、壁部及びフランジ部の他方に設けられ、第1凸部の先端を収容可能である。この場合は、凹部と第1凸部とによって、リール本体のフランジ部と障壁部材との隙間に絞り構造を設けることができるため、リール本体のフランジ部とロータの開口部との隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入することを抑えることができる。
好ましくは、第1凸部は、リール本体のフランジ部の外縁から障壁部材の壁部に向かって突出する。
好ましくは、リール本体のフランジ部及び障壁部材の少なくとも一方は、撥水処理が施されている。この場合は、リール本体のフランジ部とロータの開口部との隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入しづらくなる。
好ましくは、ロータの開口部の内径は、リール本体のフランジ部の外径よりも大きい。この場合は、フランジ部とロータとの隙間が径方向にできるため、フランジ部とロータとの隙間を軸方向に設けた場合と比べて、リール本体の内部構造に水分等が侵入しづらくなる。
本発明によれば、ロータの回転抵抗を抑えることができるとともに、リール本体とロータとの隙間からリール本体の内部構造に水分等が侵入することを抑えることができる。
本発明の一実施形態が採用されたスピニングリールの縦断面図。 シール構造の拡大図。 変形例に係る図2に相当する図。 変形例に係る図2に相当する図。 他の実施形態に係る図2に相当する図。 他の実施形態に係る図2に相当する図。 他の実施形態に係る図2に相当する図。
以下の説明において、釣りを行うときに、釣糸が繰り出される方向を前、その反対方向を後という。また、左右とは、スピニングリール100(図1参照)を後方から見たときの左右をいう。また、回転軸心Oが延びる方向を軸方向という。また、回転軸心Oに直交する方向を径方向という。
本発明の一実施形態が採用されたスピニングリール100は、釣り糸を前方に繰り出し可能である。スピニングリール100は、釣り用リールの一例である。スピニングリール100は、図1に示すように、リール本体2と、スプール3と、ロータ4と、シール構造20と、を備えている。
リール本体2は、リール本体部2aと、フランジ部2bと、円筒部2cと、を有している。リール本体部2aは、内部空間を有しており、ロータ4が駆動されるロータ駆動機構6や、スプール3に釣り糸を均一に巻き付けるためのオシレーティング機構7などが内部空間に収容されている。リール本体2には、ハンドル5が回転可能に装着されている。
フランジ部2bは、円形であり、リール本体部2aの前方で径方向外側に延びて形成されている。フランジ部2bは、ロータ4の後述する開口部4dとの隙間を小さくするために設けられている。フランジ部2bには、撥水処理が施されている。
円筒部2cは、フランジ部2bの外径よりも小径であり、フランジ部2bの前方に形成されている。円筒部2cの内部には、ロータ4の逆転を禁止、解除するための逆転防止機構14や軸受15などが配置されている。
スプール3は、外周に釣り糸が巻き付けられる部材である。スプール3は、ハンドル5が回転すると、オシレーティング機構7により前後方向に往復移動する。
ロータ4は、スプール3に釣り糸を巻き付けるための部材である。ロータ4は、回転軸心Oを中心にリール本体2に対して回転可能である。ロータ4には、ハンドル5の回転がロータ駆動機構6を介して伝達される。
ロータ4は、ロータ本体部4aと、第1ロータアーム4bと、第2ロータアーム4cと、開口部4dと、を有している。ロータ本体部4aは、円筒状であり、内周部にリール本体2の円筒部2cが配置されている。第1ロータアーム4b及び第2ロータアーム4cは、ロータ本体部4aの径方向外側でロータ本体部4aを挟んで互いに対向する位置に形成されている。
開口部4dは、ロータ本体部4aの後部に設けられ、軸方向に開放している。この開口部4dを介して、リール本体2の円筒部2cがロータ本体部4aの内部に収容される。開口部4dは、リール本体2のフランジ部2bと隙間を隔てて設けられている。本実施形態では、径方向において、開口部4dとリール本体2のフランジ部2bとの間に隙間が設けられている。開口部4dの内径は、リール本体2のフランジ部2bの外径よりも大きい。
シール構造20は、リール本体2のフランジ部2bと、ロータ4の開口部4dとの隙間をシールする。シール構造20は、リール本体2のフランジ部2bと、ロータ4の開口部4dとの隙間に複数の絞り構造が直列に設けられたラビリンス構造で構成されている。詳細には、シール構造20は、図2に拡大して示すように、障壁部材21と、第1凸部22と、第2凸部23と、を有している。
障壁部材21は、ロータ4に一体回転可能かつリール本体2のフランジ部2bと隙間を隔てて設けられている。障壁部材21は、回転軸心Oを中心とする概ね円環状の部材である。障壁部材21には、撥水処理が施されている。障壁部材21は、固定部21aと、延伸部21bと、壁部21cと、を有している。
固定部21aは、ロータ4の開口部4dの内周部から径方向内側に延びるとともに、周方向に延びている。固定部21aには、ねじ部材31が後方から装着されている。これにより、障壁部材21がロータ4に一体回転可能に固定されている。
延伸部21bは、固定部21aの内縁からロータ4の内周面に沿って前方に延びるとともに、周方向に延びて形成されている。
壁部21cは、延伸部21bの先端から径方向内側に延びるとともに、周方向に延びて形成されている。壁部21cは、リール本体2のフランジ部2bの前方に配置されている。また、壁部21cは、リール本体2のフランジ部2bに近接して配置されている。壁部21cは、フランジ部2bと軸方向に所定の隙間を隔てて、少なくとも一部がフランジ部2bと対向するように配置されている。
第1凸部22は、回転軸心Oを中心として円環状に形成されている。第1凸部22は、壁部21c及びフランジ部2bの一方から壁部21c及びフランジ部2bの他方に向かって突出して設けられている。本実施形態では、第1凸部22は、フランジ部2bに一体的に設けられ、フランジ部2bの外縁から壁部21c向かって軸方向に突出している。
第2凸部23は、回転軸心Oを中心として円環状に形成されている。第2凸部23は、壁部21c及びフランジ部2bの他方から壁部21c及びフランジ部2bの一方に向かって突出して設けられている。本実施形態では、第2凸部23は、障壁部材21に一体的に設けられ、障壁部材21の壁部21cの内縁からフランジ部2bに向かって軸方向に突出している。
第2凸部23は、第1凸部22と同心円状に形成されており、回転軸心Oからの距離が第1凸部22と異なっている。本実施形態では、第2凸部23は、第1凸部22よりも径方向内側に設けられている。詳細には、第2凸部23は、第1凸部22に近接した位置で、径方向において、先端が第1凸部22と重なり合うように設けられている。
上記構成のシール構造20は、第1凸部22及び第2凸部23によって、リール本体2のフランジ部2bと、障壁部材21の壁部21cと、の隙間に複数の絞り構造が直列に設けられたラビリンス構造で構成されている。これにより、ロータ4の回転抵抗を抑えることができ、しかもリール本体2のフランジ部2bとロータ4の開口部4dとの隙間からリール本体2の内部構造に水分や異物等が侵入することを抑えることができる。また、リール本体2のフランジ部2b及び障壁部材21には、撥水処理が施されているため、リール本体2のフランジ部2bとロータ4の開口部4dとの隙間からリール本体2の内部構造に水分等が侵入しづらい。
<変形例1>
図3に示すシール構造120は、第1凸部22を複数設けた実施例である。詳細には、シール構造120は、障壁部材121と、第1凸部122aと、第1凸部122bと、第2凸部123と、を有している。ここでは、前記実施形態と同様の構成については、説明を省略する。第1凸部122bは、第1凸部122a及び第2凸部123よりも回転軸心Oからの距離が近い位置に設けられている。詳細には、第1凸部122bは、第1凸部122a及び第2凸部123よりも径方向内側かつ第2凸部123に近接して設けられている。第1凸部122bは、リール本体102のフランジ部102bから障壁部材121の壁部121cに向かって突出している。障壁部材121の壁部121cは、前記実施形態よりも径方向内側に延びて、第1凸部122bに対向して設けられている。
<変形例2>
図4に示すシール構造220は、障壁部材221と、第1凸部222と、凹部24と、を有している。障壁部材221は、図3に示す障壁部材121と概ね同様の構成である。第1凸部222は、障壁部材221の壁部221cからリール本体202のフランジ部202bに向かって突出している。凹部24は、リール本体202のフランジ部202bに軸方向に凹んで形成されている。凹部24は、第1凸部222の先端を収容可能である。なお、リール本体202のフランジ部202bに第1凸部222を設けて、障壁部材221の壁部221cに凹部24を設けてもよい。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)前記実施形態では、障壁部材21の壁部21cに第2凸部23を設けていたが、第2凸部23を必ずしも設ける必要はない。例えば、図5に示すシール構造320のように、第1凸部322のみを設けてもよい。また、第1凸部322の位置は、障壁部材321の壁部321cに対向する位置であればよく、図5に示すように、第1凸部322をフランジ部302bの外縁よりも径方向内側の位置に設けてもよい。
また、図6に示すシール構造420のように、障壁部材421に第1凸部422を設けてもよいし、第1凸部422をフランジ部402b及び壁部421cの一方に複数設けてもよい。
また、第1凸部及び第2凸部を軸方向に延びるにしたがって回転軸心Oから離れる方向に傾斜するように突出させてもよい。
(b)前記変形例1では、第1凸部122を複数設けていたが、第2凸部123を複数設けてもよいし、第1凸部122及び第2凸部123をそれぞれ複数設けてもよい。この場合、第1凸部122及び第2凸部123は、径方向において、交互に重なるように設けることが好ましい。
(c)前記実施形態では、ロータ4に障壁部材21を取り付けていたが、障壁部材21をロータ4と一体的に形成してもよい。例えば、図7に示すシール構造520のように、障壁部材521の壁部521cをロータ504の内周部から径方向内側に延ばし、ロータ504と一体的に形成してもよい。
(d)前記実施形態では、第1凸部22をフランジ部2bに一体的に設けていたが、必ずしも第1凸部22をフランジ部2bに一体的に設ける必要はない。例えば、第1凸部22が金型で抜けない形状の場合は、第1凸部22を有する別の部材をフランジ部2bに固定してもよい。
(e)前記実施形態では、リール本体2のフランジ部2b及び障壁部材21に撥水処理が施されていたが、リール本体2のフランジ部2b及び障壁部材21の少なくとも一方に撥水処理が施されていればよい。
2,102,202,302,402,502 リール本体
2b,102b,202b,302b,402b,502b フランジ部
4,504 ロータ
4d,504d 開口部
20,120,220,320,420,520 シール構造
21,121,221,321,421,521 障壁部材
21c,121c,221c,321c,421c,521c 壁部
22,122,222,322,422,522 第1凸部
23,123 第2凸部
24 凹部
100 スピニングリール(釣り用リールの一例)

Claims (7)

  1. 前方に釣り糸を繰り出し可能な釣り用リールであって、
    フランジ部を有するリール本体と、
    回転軸心を中心に前記リール本体に対して回転可能であり、後部に前記リール本体の前記フランジ部と隙間を隔てて設けられた開口部を有するロータと、
    前記ロータに一体回転可能かつ前記リール本体の前記フランジ部と隙間を隔てて設けられた障壁部材、及び第1凸部、を有し、前記リール本体の前記フランジ部と前記ロータの前記開口部との隙間をシールするためのシール構造と、
    を備え、
    前記障壁部材は、前記フランジ部の前方に配置された壁部を有し、ねじ部材によって前記ロータの前記開口部の開口端に着脱自在に取り付けられ、
    前記第1凸部は、前記壁部及び前記フランジ部の一方から前記壁部及び前記フランジ部の他方に向かって突出する、
    釣り用リール。
  2. 前記第1凸部は円環状に形成されている、
    請求項1に記載の釣り用リール。
  3. 前記シール構造は、前記壁部及び前記フランジ部の他方から前記壁部及び前記フランジ部の一方に向かって突出する円環状の第2凸部をさらに有し、
    前記第1凸部及び前記第2凸部は、前記回転軸心を中心とする同心円状に形成され、前記回転軸心からの距離が互いに異なる、
    請求項2に記載の釣り用リール。
  4. 前記シール構造は、前記壁部及び前記フランジ部の他方に設けられた凹部をさらに有し、
    前記凹部は、前記第1凸部の先端を収容可能である、
    請求項2に記載の釣り用リール。
  5. 前記第1凸部は、前記リール本体の前記フランジ部の外縁から前記障壁部材の前記壁部に向かって突出する、
    請求項2から4のいずれか1項に記載の釣り用リール。
  6. 前記リール本体の前記フランジ部及び前記障壁部材の少なくとも一方は、撥水処理が施されている、
    請求項2から5のいずれか1項に記載の釣り用リール。
  7. 前記ロータの前記開口部の内径は、前記リール本体の前記フランジ部の外径よりも大きい、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の釣り用リール。
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