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JP7077993B2 - 呼吸指示装置、放射線撮影システム、呼吸補助器具及び動態画像撮影方法 - Google Patents

呼吸指示装置、放射線撮影システム、呼吸補助器具及び動態画像撮影方法 Download PDF

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Description

本発明は、呼吸指示装置、放射線撮影システム、呼吸補助器具及び動態画像撮影方法に関する。
従来、被検者の自然呼吸の様子(例えば肺野の拡張・収縮等)を、複数のフレーム画像からなる動態画像の形で撮影(以下、動態撮影)することが行われている。
例えば特許文献1には、自然呼吸をする被検者の胸部を動態撮影し、複数の時間位相における複数の動態画像を取得し、当該動態画像の平均信号値の時間位相における変化から得られる被検者の動態の周期毎の振幅及び周期を特徴量として算出し、この特徴量の各周期間の変化に基づいて診断支援情報を生成して表示部に表示させる動態撮影システムについて記載されている。
こうした動態撮影システムが導入された医療機関においては、医師が再生された動態画像や診断支援情報を参照しながら被検者を診断することになる。
特開2009-273671号公報
ところで、胸部を動態撮影する場合には、自然呼吸ではなく意識的に息を大きく吐く努力呼出が必要となることがある。例えば、スパイロメトリー検査で努力呼出曲線を測定するといった、患者の呼吸機能の最大値を評価する場合がそれに該当する。
一方、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)や喘息といった閉塞性呼吸障害を持つ患者は、一般的に、息を吐くのが苦しいため、息を吐く際に口をすぼめる(口すぼめ呼吸を行う)ようになってしまう。これは、口をすぼめながら息を吐くと、肺胞や気管に圧力がかかって閉塞箇所が拡張され、呼吸が楽になるためである。
こうした閉塞性呼吸障害を持つ患者が、努力呼出を伴う動態撮影において口をすぼめながら呼吸を行うと気道閉塞が解消されてしまうため、この撮影で得られた動態画像を用いて診断を行う医師が、閉塞性呼吸障害の所見を見落としてしまう可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、動態画像を撮影する際に被検者が口をすぼめながら呼吸を行わないようにすることを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明は、
複数のフレーム画像からなる動態画像を撮影可能な放射線撮影装置を用いて、被検者の動態を撮影する際に用いられる呼吸指示装置であって、
前記被検者に対し、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を行う指示手段を備えることを特徴とする。
また、本発明は、
被検者が口にくわえて用いる呼吸補助器具であって、
両端が開口した筒状に形成され、
少なくとも口にくわえられる部位が、前記被検者がくわえたときに口をすぼめることができない程度の径を有していることを特徴とする。
本発明によれば、動態画像を撮影する際に被検者が口をすぼめながら呼吸を行わないようにすることができる。
本発明の実施形態に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。 図1の放射線撮影システムが備える呼吸指示装置を表すブロック図である。 図2の呼吸指示装置が実行する呼吸指示処理を示すフローチャートである。 図1の放射線撮影システムが備える撮影台の被検者が配置された状態における正面図である。 図1の放射線撮影システムが備える撮影台の被検者が配置された状態における正面図である。 本発明の実施形態に係る呼吸補助器具の斜視図である。 図6の呼吸補助器具の側面図である。 同実施形態の変形例に係る呼吸補助器具の正面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
〔放射線撮影システム(1)〕
まず、本実施形態に係る放射線撮影システム100の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線撮影システム100を表すブロック図である。
放射線撮影システム100は、図1に示すように、放射線照射装置1と、放射線撮影装置2と、呼吸指示装置3と、を備えている。
また、本実施形態に係る放射線撮影システム100は、コンソール4と、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS5)と、画像解析装置6と、撮影台7と、を更に備えている。
これらは、通信ネットワークNを介して互いに通信可能となっている。
なお、放射線撮影システム100は、図示しない病院情報システム(Hospital Information System:HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)と接続可能となっていてもよい。
また、放射線撮影システム100は、撮影室内に据え付けられたものであってもよいし、その一部(例えば放射線照射装置1、放射線撮影装置2及び呼吸指示装置3)が回診車と呼ばれる移動可能に構成されたものとなっていてもよい。
放射線照射装置1は、照射指示スイッチが操作されたことに基づいて、予め設定された放射線照射条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等)に応じた電圧を印加するジェネレーターや、ジェネレーターから電圧が印加されると、印加された電圧に応じた線量の放射線(例えばX線)を生成する放射線源等を備えている。
そして、放射線照射装置1は、パルス状の放射線を短時間で複数回(例えば1秒間に15回)繰り返し照射する。
なお、パルス状の放射線を繰り返し照射するのではなく、連続的に照射するようになっていてもよい。
放射線撮影装置2は、図示を省略するが、放射線を受けることで線量に応じた電荷を発生させる放射線検出素子や電荷の蓄積・放出を行うスイッチ素子を備えた画素が二次元状(マトリクス状)に配列された基板や、各スイッチ素子のオン/オフを切り替える走査回路、各画素から放出された電荷の量を信号値として読み出す読み出し回路、読み出し回路が読み出した複数の信号値から放射線画像を生成する制御部、生成した放射線画像のデータ等を有線又は無線で外部へ出力する出力部等を備えている。
そして、放射線撮影装置2は、放射線照射装置1から放射線が照射されるタイミングと同期して、照射された放射線に応じた放射線画像を短時間で複数回(例えば1秒間に15回)繰り返し生成する。
なお、放射線撮影装置2は、シンチレーター等を内蔵し、照射された放射線をシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換し、変換した光に応じた電荷を発生させるもの(いわゆる間接型)であってもよいし、シンチレーター等を介さずに放射線から直接電荷を発生させるもの(いわゆる直接型)であってもよい。
また、放射線撮影装置2は、撮影台と一体化された専用機型のものでも、可搬型(カセッテ型)のものであってもよい。
呼吸指示装置3は、放射線撮影装置2を用いて、被検者Sの動態(特に胸部における肺野の膨張・収縮等)を撮影する際に用いられるもので、PCや携帯端末、専用の装置等によって構成されている。
この呼吸指示装置3の詳細については後述する。
コンソール4は、PCや携帯端末、専用の装置等によって構成されている。
また、コンソール4は、他の装置やシステム(RIS等)からの撮影オーダーやユーザーによる操作等に基づいて、放射線照射装置1や放射線撮影装置2の各種撮影条件(例えば、撮影する部位等の被検者Sに関する条件や、管電圧や管電流、照射時間等の放射線の照射に関する条件)を設定することが可能となっている。
なお、コンソール4は、上記呼吸指示装置3と一体に構成されていてもよい(コンソール4に呼吸指示装置3の各種機能を持たせるようにしてもよい)。
撮影台7は、放射線撮影装置2を撮影位置で支持するためのものである。
この撮影台7の詳細については後述する。
このように構成された本実施形態に係る放射線撮影システム100は、放射線照射装置1の放射線源と放射線撮影装置2とを間を空けて対向配置し、それらの間に配置された被検者Sへ放射線源から放射線を照射することにより、被検者Sの動態撮影(シリアル撮影ともいう)を行うことが可能となっている。
この「動態撮影」とは、1回の撮影操作(例えば照射指示スイッチの押下)に基づいて、放射線撮影装置2が電荷の蓄積と信号値の読み出しを短時間で複数回(例えば1秒間に15回)繰り返すことにより、放射線照射装置1から照射された放射線に応じた一連の複数の放射線画像のデータを繰り返し生成することをいう。
以下、動態撮影により得られた一連の複数の放射線画像を動態画像と称し、動態画像を構成する個々の放射線画像をフレーム画像と称する。
〔呼吸指示装置〕
次に、上記放射線撮影システム100が備える呼吸指示装置3の具体的構成について説明する。図2は呼吸指示装置3を表すブロック図、図3は呼吸指示装置3が実行する呼吸指示処理を示すフローチャートである。
呼吸指示装置3は、PCや携帯端末、専用の装置等によって構成されており、図2に示すように、制御部31と、記憶部32と、呼吸監視部33と、呼吸指示部34と、を備えている。
各部31~34は、電気的に接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等で呼吸指示装置3の各部の動作を統括的に制御するように構成されている。具体的には、記憶部32に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
記憶部32は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリー等により構成され、後述する動作指示等の各種処理を実行するための処理プログラムや、当該処理プログラムの実行に必要なパラメーターや、ファイル等を記憶している。
呼吸監視部33は、被検者Sの呼吸状態を検知するセンサー、又は被検者Sの呼吸状態を検知するセンサーを備えた他の装置や他の器具(例えば後述する呼吸補助器具等)や被検者の顔を撮影するカメラ等とLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークNを介して通信可能なネットワークインターフェースで構成されている。
呼吸指示部34は、液晶表示パネル等の表示部や、スピーカー等で構成されており、制御部31から入力される制御信号の指示に従って表示、音声出力、発光等が可能となっている。
なお、呼吸指示部34は、被検者Sの近傍にあることが求められる一方で、呼吸指示装置3におけるその他の構成は必ずしも被検者Sの近傍にある必要は無い。このため、呼吸指示部34を、呼吸指示装置3における他の構成から分離した形としてもよい。
このように構成された本実施形態に係る呼吸指示装置3は、動態撮影を行う際に、図3に示す呼吸指示処理を実行する機能を有している。
この呼吸指示処理では、まず、被検者Sに対し、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を開始する(ステップS1)。
このステップS1の処理は、呼吸指示装置3へ電源投入後直ちに開始するようにしてもよいし、ユーザーにより所定操作がなされたことや被検者Sの準備が完了したこと(例えば後述する体動抑制器具の装着を検知したこと等)を契機として開始するようにしてもよい。
具体的な指示方法としては、スピーカーを用いて指示内容を音声で出力する、又は液晶表示パネル等の表示部を用いて指示内容を表示する、といったものが挙げられる。
なお、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示とともに、息を大きく吐き出す旨の指示を行うようにしてもよい。
また、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示とともに、息を最後まで吐ききる旨の指示を行うようにしてもよい。
また、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示として、後述する呼吸補助器具を装着する旨の指示を行うようにしてもよい。
制御部31は、このステップS1の処理を実行することにより、指示手段として機能する。そして、この処理が実行されると、被検者Sが努力呼出を開始することになる。
口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を開始した後は、被検者Sの呼吸状態を監視する(ステップS2)。
このステップS2の処理は、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示と並行して行われる。
具体的には、呼吸監視部33を構成するセンサーを作動させる、又はネットワークインターフェースにセンサーを備えた他の装置や他の器具との通信を開始させる。
制御部31は、このステップS2の処理を実行することにより、監視手段として機能する。
呼吸状態の監視を開始した後は、被検者Sの呼吸状態に応じて、動態画像を撮影するための装置に対し、撮影を開始させる制御を行う(ステップS3)。
具体的には、例えば被検者Sの呼吸速度が所定の開始基準値以下となったことを契機として、動態画像を撮影するための装置に対し撮影を開始させる制御を行う。
この「動態画像を撮影するための装置」とは、放射線照射装置1と放射線撮影装置2のうちの少なくとも一方の装置を指す。
なお、放射線照射装置1やコンソール4から制御信号を受信したことを契機として、撮影を開始させる制御を行うようにしてもよい。
また、呼吸監視部33に上述した顔を撮影するカメラ等が接続されている場合には、撮影開始後に被検者の顔の撮影を開始し、撮影した被検者Sの顔を解析し、口をすぼめていないかどうかを監視するようにしてもよい。
そして、被検者Sが口をすぼめたことを検知した場合には、より強い調子で口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を行うようにしてもよい。
撮影を開始させる制御を行った後は、被検者Sの呼吸状態に応じて、動態画像を撮影するための装置に対し、撮影を終了させる制御を行う(ステップS4)。
具体的には、被検者Sの呼吸速度が所定の終了基準値以下となったことを契機として、動態画像を撮影するための装置に対し撮影を終了させる制御を行う。
制御部31は、このステップS3,S4の処理を実行することにより、制御手段として機能する。
なお、制御部31に、上記呼吸指示処理を実行する機能の他に、撮影対象部位が胸部である場合に、撮影で得られた複数のフレーム画像に基づいて、肺野の面積を測定する測定手段としての機能を持たせるようにしてもよい。
その場合には、ステップS4において、上記ステップS4の処理の代わりに、測定した肺野の面積の変化率が所定の基準値以下となったことを契機として、動態画像を撮影するための装置に対し撮影を終了させる制御を行うようにしてもよい。
撮影を終了させる制御を行った後は、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を終了する(ステップS5)。
このステップS5の処理は、上記ステップS4と同時に行ってもよい。
なお、撮影終了後、検知した呼吸状態を、放射線撮影装置2が生成した動態画像の送信先(例えばコンソール4やPACS5)へ送信し、送信先において動態画像の各フレーム画像と、各フレーム画像を生成したときの息の速さ等と、を紐づけて保存させるようにしてもよい。
また、撮影終了後、検知した呼吸状態を、放射線撮影装置2が生成した動態画像の送信先(例えば画像解析装置6)へ送信し、送信先において肺野面積、横隔膜運動量、肺野が写った領域の信号値、風速の少なくともいずれかの情報に基づいて呼吸機能を算出しスパイログラムを生成させたり、肺年齢を算出させたりするようにしてもよい。
〔撮影台〕
次に、上記放射線撮影システム100が備える撮影台7の具体的構成について説明する。図4,5は、撮影台の被検者Sが配置された状態における正面図である。
本実施形態に係る撮影台7は、図4,5に示すように、支柱71と、撮影装置保持部72と、椅子73と、体動抑制器具74~76と、を備えている。
支柱71は、床面から鉛直上方に延びるように立設されている。
支柱71の上端は、立位の被検者Sよりも高くなっている。
撮影装置保持部72は、支柱71に上下方向に移動可能に支持されている。
また、撮影装置保持部72は、放射線撮影装置2を装填可能な箱状に形成されている。
なお、撮影装置保持部72の側部を、ユーザーや被検者Sが掴んだり、後述する体動抑制バンド74を係止したりするための取っ手82aにしてもよい。
椅子73は、座位の被検者Sを撮影する際に用いられるもので、被検者Sが腰かけることが可能となっている。
椅子73は、支柱71や撮影装置保持部72から独立したものであってもよいし、これらの一部であってもよい。
なお、椅子73を支柱71や撮影装置保持部72に取り付ける構成とする場合には、立位撮影の邪魔にならないよう折りたたんだり、支柱71の後ろ側へ回動させたりすることが可能に構成するのが好ましい。
体動抑制器具74~76は、体動抑制バンド74、掴まり棒75、及び前かがみ防止器具76の総称である。これらは、撮影台7の前に所定の姿勢で位置する被検者Sが、所定の姿勢を崩すのを抑制するためのものである。
なお、本実施形態においては、撮影台7にこれらの器具が全て備えられていることとしたが、これらのうちの少なくともいずれかが備えられていればよい。
体動抑制バンド74は、撮影装置保持部72の前側に位置する被検者Sを撮影台7の撮影装置保持部72に括り付けるための帯状の部材である。
なお、体動抑制バンド74は、撮影装置保持部72から独立した部材であってもよいし、撮影装置保持部72の一部であってもよい。
また、体動抑制バンド74として、帯状の部材を用いるのではなく、板状の硬質部材を用いてもよい。
掴まり棒75は、撮影台7の支柱71の上端部に設けられ、被検者Sが掴まることが可能に構成されている。
なお、掴まり棒75は、立位の被検者Sも座位の被検者Sも掴まることが可能となるよう、高さを変え、変えた後の高さで固定できるように構成するのが好ましい。
なお、掴まり棒75を備えない場合には、支柱71の後ろで手を組ませたり、撮影装置保持部72の取っ手82aにつかまらせたりすることで掴まり棒75の代わりとすることができる。
前かがみ防止器具76は、努力呼出を行う被検者Sが前かがみになったり、頭をもたげてしまったりするのを防ぐためのもので、支持部76aと、当接部76bと、を備えている。
本実施形態に係る支持部76aは、例えば床面から上方に向かって延設されている。
なお、支持部76aは、支柱71や撮影装置保持部72から延設されていてもよい。
当接部76bは、被検者Sの顔(特に額)に当接させ、被検者Sの頭部が移動するのを規制するためのもので、支持部76a(例えば先端部)に設けられている。
当接部76bは、撮影時の被検者Sの顔の向き(正面撮影をするときと側面撮影をするときとで90°変わる)に対応するため、鉛直線を回転軸として回転できるように擦るのが好ましい。
〔動態画像撮影方法(1)〕
次に、上記放射線撮影システム100を用いて、被検者の動態を撮影する動態画像撮影方法について説明する。
動態撮影では、まず、被検者Sを撮影台7の前に配置する。立位の正面撮影を行う場合には、例えば図4(a)に示すように、被検者Sの背中が撮影装置保持部72の前面に当接するように立たせる。
一方、座位の正面撮影を行う場合には、例えば図4(b)に示すように、撮影装置保持部72や、掴まり棒75、前かがみ防止器具76の当接部76bの位置を下げ、被検者Sを撮影装置保持部72の前面に背中が当接するように椅子73に座らせる。
なお、立位又は座位の側面撮影を行う場合には、例えば図5に示すように、被検者Sの側面が撮影装置保持部72の前面に当接するように立たせる又は座らせる。
被検者Sを配置した後は、体動抑制器具74~76を用いて被検者Sを撮影台7に固定する。具体的には、体動抑制バンド74を用いて被検者Sを撮影装置保持部72に括り付けたり、掴まり棒75に被検者Sを掴まらせたり、前かがみ防止器具76の当接部76bを被検者Sの顔に当接させたりする。
各装置の準備ができると、呼吸指示装置3が、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を開始することにより、被検者Sに息を吐き出させる。
すると、呼吸指示装置3が、放射線発生装置1及び放射線撮影装置2に対して撮影を開始させる制御を行い、放射線発生装置1及び放射線撮影装置2が、息を吐き出している被検者Sの動態を撮影する。この間、被検者Sは、口をすぼめないよう意識しながら息を吐き続けることになる。
撮影が終了する(被検者Sが息を吐き終える)と、呼吸指示装置3が、呼吸を行う旨の指示を終了する。
以上説明してきたように、本実施形態に係る放射線撮影システム100によれば、動態画像を撮影する際に、被検者Sに対し口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示を行い、被検者Sが口をすぼめないことを意識するようになるため、被検者Sが口をすぼめながら呼吸を行わないようにすることができる。
その結果、慢性閉塞性肺疾患を持つ被験者の動態画像には、慢性閉塞性肺疾患の特徴が確実に表れるため、医師が疾患を見落とすといった心配が無くなる。
〔呼吸補助器具〕
次に、呼吸補助器具8の具体的構成について説明する。図6は本実施形態に係る呼吸補助器具8の斜視図、図7は呼吸補助器具8の側面図である。
呼吸補助器具8は、被検者Sが口にくわえた状態で用いられるものとなっている。
また、本実施形態に係る呼吸補助器具8は、図6に示すように、本体81と、制御部82と、記憶部83と、通信部84と、センサー85と、表示部86と、を備えている。
本体81以外の電子部品は、電気的に接続されている。
なお、本実施形態においては、電子部品を備えることとしたが、呼吸補助器具は、電子部品を備えていなくてもよい。
また、電子部品を備える場合であっても、例えば表示部86を備えない構成とすることも可能である。
本体81は、両端が開口した筒状に形成され、少なくとも口にくわえられる部位が、前記被検者がくわえたときに口をすぼめることができない程度の径を有している。
本実施形態においては、例えば製造を容易にするため、全体の径が同じ円筒状としている。
本体81の径は、20~30mmの範囲内とするのが好ましく、25mm程度とするのがより好ましい。
本体の長さは、60~80mmの範囲内とするのが好ましく、70mm程度とするのがより好ましい。
本体81は、使い捨てを可能とするために、紙又はプラスチックで形成されている。
なお、本実施形態のように、制御部82等の電子部品が取り付けられている場合には、電子部品の交換の手間を省くため、口にくわえられる部位及びその近傍(例えばくわえられる部位を含む本体81の半分程度)のみ取り外して交換できるようにしてもよい。
また、本体81の先端にスパイロメトリー(呼吸機能検査)を行うための機器(例えばスパイロメーター等)が備える息の吹き込み口を接続できるようにしてもよい。
また、本体81は、息を吐くときに本体81が口から飛び出してしまうのを防ぐため、図7に示すように、被検者Sの唇が接する部位に出っ張り81a又は窪み81bが設けられている。
なお、本体81は、口を大きく開くことが困難な被検者Sが使用することを考慮して、図8に示すように、貫通方向と直交する断面が楕円形になっていてもよい。
制御部82は、CPU、RAM等で呼吸指示装置3の各部の動作を統括的に制御するように構成されている。具体的には、記憶部32に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
記憶部83は、HDDや半導体メモリー等により構成され、後述する動作指示等の各種処理を実行するための処理プログラムや、当該処理プログラムの実行に必要なパラメーターや、ファイル等を記憶している。
通信部84は、ネットワークインターフェース等で構成され、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークNを介して接続された他の装置(放射線照射装置1、放射線撮影装置2又は呼吸指示装置3)へ制御信号やデータを送信することが可能となっている。
センサー85は、被検者Sが吐いた息に関する測定を行うためのもので、図6に示したように、本体81の内側空間(息の通り道)に設けられている。
具体的には、例えば被検者Sが吐き出した息の速さ、息の量、息を吐き続けた時間等を測定する。
表示部86は、本体81における口にくわえられる部位から離れた方の端部の外面に設けられている。
表示部86は、例えば液晶表示パネルや、7セグメント方式の表示器、メーター等で構成されている。
このように構成された呼吸補助器具8の制御部82は、以下のような機能を有している。
例えば制御部82は、被検者Sが吐いた息に関する測定結果を、通信部84を介して呼吸指示装置3へ送信する機能を有している。
また、制御部82は、被検者Sが吐いた息に関する測定結果を表示部86に表示させる機能を有している。
また、測定結果の表示方法としては、例えば数字、メーター、光、音声、ギミック等が挙げられる。
制御部82は、以上のような機能を有することにより、表示制御手段をなす。
〔動態画像撮影方法(2)〕
次に、上記呼吸補助器具8を用いて、被検者の動態を撮影する動態画像撮影方法について説明する。
この動態撮影では、まず、被検者Sを撮影台7の前に配置し、被検者Sを撮影台7に固定する。被検者Sの具体的な配置方法や固定方法は、上述した動態画像撮影方法(1)の場合と同様である。
被検者Sの配置・固定の後、又は配置・固定と並行して呼吸補助器具8を被検者Sにくわえさせる。これにより、被検者Sは、口をすぼめることができない状態となる。
各装置の準備ができると、撮影者(又は呼吸指示装置3)が、呼吸を行う旨の指示を開始することにより、呼吸補助器具8をくわえた状態の被検者Sに息を吐き出させる。
すると、放射線発生装置1及び放射線撮影装置2が、息を吐き出している被検者Sの動態を撮影する。この間、被検者Sは、口をすぼめることなく息を吐き続けることになる。
なお、呼吸補助器具8に、例えばスパイロメーターの吹き込み口を接続しておくことで、動態の撮影と並行して呼吸機能の測定を行うようにしてもよい。
撮影が終了すると、撮影者(又は呼吸指示装置3)が、撮影者(又は呼吸指示装置3)が、呼吸を行う旨の指示を終了する。
以上説明してきたように、本実施形態に係る呼吸補助器具8によれば、動態画像を撮影する際に、被検者Sが口をすぼめようとするのを物理的に規制するため、被検者Sが口をすぼめながら呼吸を行わないようにすることができ、医師が慢性閉塞性肺疾患を見落とすといった心配が無くなる。
また、上記呼吸指示装置3を用いる必要がないため、低コストで被検者Sが口をすぼめながら呼吸を行わないようにすることができる。
100 放射線撮影システム
1 放射線照射装置
2 放射線撮影装置
3 呼吸指示装置
31 制御部
32 記憶部
33 呼吸監視部
34 呼吸指示部
4 コンソール
5 画像保存通信システム
6 画像解析装置
7 撮影台
71 支柱
72 撮影装置保持部
73 椅子
74 体動抑制バンド(体動抑制器具)
75 棒(体動抑制器具)
76 防止器具(体動抑制器具)
76a 支持部
76b 当接部
8 呼吸補助器具
81 本体
81a 張り
81b 窪み
82 制御部
82a 取っ手
83 記憶部
84 通信部
85 センサー
86 表示部
N 通信ネットワーク
S 被検者

Claims (19)

  1. 複数のフレーム画像からなる動態画像を撮影可能な放射線撮影装置を用いて、被検者の動態を撮影する際に用いられる呼吸指示装置であって、
    前記被検者に対し、口をすぼめながら呼吸を行わない旨の指示を行う指示手段を備えることを特徴とする呼吸指示装置。
  2. 前記指示手段は、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示とともに、息を大きく吐き出す旨の指示を行うことを特徴とする請求項1に記載の呼吸指示装置。
  3. 前記指示手段は、口をすぼめずに呼吸を行う旨の指示とともに、息を最後まで吐ききる旨の指示を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の呼吸指示装置。
  4. 前記指示手段は、指示内容を音声で出力する、又は指示内容を表示することにより指示を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の呼吸指示装置。
  5. 前記被検者の呼吸状態を監視する監視手段を備え、
    前記被検者の呼吸状態に応じて、複数のフレーム画像からなる動態画像を撮影するための装置に対し、撮影を開始させる制御を行う制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の呼吸指示装置。
  6. 前記制御手段は、前記被検者の呼吸速度が所定の開始基準値以下となったことを契機として、前記動態画像を撮影するための装置に対し撮影を開始させる制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の呼吸指示装置。
  7. 前記制御手段は、前記被検者の呼吸状態に応じて、前記動態画像を撮影するための装置に対し、撮影を終了させる制御を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の呼吸指示装置。
  8. 前記制御手段は、前記被検者の呼吸速度が所定の終了基準値以下となったことを契機として、前記動態画像を撮影するための装置に対し撮影を終了させる制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の呼吸指示装置。
  9. 撮影対象部位が胸部である場合に、撮影で得られた前記複数のフレーム画像に基づいて、肺野の面積を測定する測定手段を備え、
    前記制御手段は、測定した肺野の面積の変化率が所定の基準値以下となったことを契機として、前記動態画像を撮影するための装置に対し撮影を終了させる制御を行うことを特徴とする請求項7に記載の呼吸指示装置。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の呼吸指示装置と、
    放射線照射装置から照射された放射線に応じた放射線画像を繰り返し生成する放射線撮影装置と、を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
  11. 両端が開口した筒状に形成され、少なくとも口にくわえられる部位が、被検者がくわえたときに口をすぼめることができない程度の径を有している呼吸補助器具を備えることを特徴とする請求項10に記載の放射線撮影システム。
  12. 撮影台の前に所定の姿勢で位置する被検者が、前記所定の姿勢を崩すのを抑制する体動抑制器具と、を備えることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の放射線撮影システム。
  13. 被検者が口にくわえた状態で用いられる呼吸補助器具であって、
    両端が開口した筒状に形成され、
    少なくとも口にくわえられる部位が、前記被検者がくわえたときに口をすぼめることができない程度の径を有していることを特徴とする呼吸補助器具。
  14. 紙又はプラスチックで形成されていることを特徴とする請求項13に記載の呼吸補助器具。
  15. 貫通方向と直交する断面が楕円形になっていることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の呼吸補助器具。
  16. 被検者の唇が接する部位に出っ張り又は窪みが設けられていることを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか一項に記載の呼吸補助器具。
  17. 被検者が吐いた息に関する測定を行うセンサーを備えることを特徴とする請求項13から請求項16のいずれか一項に記載の呼吸補助器具。
  18. 外面に設けられた表示部と、
    前記被検者が吐いた息に関する測定結果を前記表示部に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする請求項17に記載の呼吸補助器具。
  19. 複数のフレーム画像からなる動態画像を撮影可能な放射線撮影装置を用いて、被検者の動態を撮影する動態画像撮影方法であって、
    少なくとも口にくわえられる部位が、前記被検者がくわえたときに口をすぼめることができない程度の径を有し、両端が開口した筒状に形成されている呼吸補助器具を前記被検者にくわえさせ、
    前記呼吸補助器具をくわえた状態の前記被検者に息を吐き出させ、
    息を吐きだしている前記被検者の動態を撮影することを特徴とする動態画像撮影方法。
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