以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置及び該バルブタイミング制御装置に用いられる制御弁の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の一部を断面して示す全体構成図、図2は図1のA-A線断面図である。
バルブタイミング制御装置は、内燃機関の吸気弁側に適用され、図1及び図2に示すように、機関のクランクシャフトからの回転力によって回転駆動する駆動回転体であるタイミングスプロケット1(以下、スプロケット1という。)と、このスプロケット1に対して相対回転可能に設けられた吸気側のカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回転位相を変換する位相変更機構3と、該位相変更機構3を、例えば本実施形態では最遅角位相位置でロックさせるロック機構4と、位相変更機構3とロック機構4を作動させる油圧回路5と、を備えている。
なお、駆動回転体としては、タイミングベルトによって回転力が伝達されるタイミングプーリであっても良い。
スプロケット1は、円盤状に形成されて、外周にタイミングチェーンが巻回される歯車部1aと、中央に貫通形成されて、カムシャフト2の回転軸方向の一端部2aの外周に回転自在に支持される軸受孔1bとを有している。また、スプロケット1は、外周部の円周方向の複数箇所(本実施形態では4箇所)に雌ねじ孔1cが周方向等間隔位置に形成されている。
また、このスプロケット1は、後述するハウジング本体11の後端開口を、液密的に閉塞するリアカバーとして構成されている。
カムシャフト2は、図外のシリンダヘッド上に複数のカム軸受を介して回転自在に支持されている。このカムシャフト2は、外周面には図外の機関弁である吸気弁を開作動させる複数の卵型の回転カムが軸方向の位置に一体的に固定されている。また、カムシャフト2の一端部2aは、内部軸心方向に後述するバルブボディ30が挿入される挿入孔2bが形成されている。この挿入孔2bの先端開口の内周面には、バルブボディ30の基端部外周に形成された後述する雄ねじ部30dが螺着される雌ねじ部2cが形成されている。
また、このカムシャフト2の一端部2aは、回転軸方向に延びて、スプロケット1や後述するベーンロータ7を貫通して先端部がチェーンケース51の内部に挿入配置されている。
位相変更機構3は、図1及び図2に示すように、内部に作動室が形成されたハウジング6と、カムシャフト2の一端部2aに後述するバルブボディ30を介して軸方向から固定され、ハウジング6内に回転自在に収容された従動回転体であるベーンロータ7と、ハウジング6の内部の作動室が、後述するハウジング本体11の内周面に突設された複数(本実施形態では4つ)のシュー8とベーンロータ7とによって仕切られたそれぞれ4つの遅角室である遅角作動室9及び進角室である進角作動室10と、を備えている。
ハウジング6は、圧粉金属を焼結して成形されたいわゆる焼結金属材によって一体に形成された円筒状のハウジング本体11と、鉄系金属板材をプレス成形によって形成され、ハウジング本体11の前端開口を閉塞するフロントプレート12と、後端開口を閉塞するリアカバーとしての前記スプロケット1と、から構成されている。
ハウジング本体11は、内周面に前記4つのシュー8が回転軸心方向に向かって突設されている。この各シュー8の内部軸方向には、4つのボルト挿入孔11aが貫通形成されている。
フロントプレート12は、中央に比較的大径な挿入孔12aが貫通形成されている。また。フロントプレート12は、この挿入孔12aを除く内周面とベーンロータ7の対向一側面との間に形成されたサイドクリアランスによって各遅角、進角作動室9,10内をシールするようになっている。また、フロントプレート12は、外周部の円周方向の等間隔位置に複数(本実施形態では4つ)のボルト挿通孔12bが貫通形成されている。
そして、スプロケット1とハウジング本体11及びフロントプレート12は、前記各ボルト挿通孔12bや各ボルト挿入孔11aを挿入して前記各雌ねじ孔1cに螺着する複数(本実施形態では4本)のボルト13によって軸方向から結合されている。
ベーンロータ7は、ハウジング本体11と同じく焼結金属材によって一体に形成されており、カムシャフト2の一端部2aにバルブボディ30によって固定されたロータ部14と、該ロータ部14の外周面に円周方向のほぼ90°等間隔位置に放射状に突設された複数(本実施形態では4つ)のベーン15a~15dと、から構成されている。
ロータ部14は、比較的大径な円筒状に形成され、内部中央にカムシャフト2の一端部2aが挿入されるシャフト挿入孔14aが回転軸方向に沿って貫通形成されている。
各ベーン15a~15dは、ロータ部14の外周面から径方向への突出長さが所定長さ設定されて、それぞれが各シュー8の間に配置されている。また、1つの第1ベーン15aは、周方向の幅が大きく形成されて、内部にロック機構4の一部が設けられている。また、第1ベーン15a以外の3つのベーン15b~15dは、円周方向の巾がほぼ同一に設定されて比較的薄肉なプレート状に形成されている。
各ベーン15a~15dの外周面と各シュー8の先端には、それぞれハウジング本体11の内周面やロータ部14の外周面との間をシールするシール部材16a、16bがそれぞれ設けられている。
また、ベーンロータ7は、図2に示すように、遅角側(反時計方向)へ相対回転すると、第1ベーン15aの一側面が対向する一つのシュー8の対向側面8aに当接して最大遅角側の回転位置が規制されるようになっている。また、進角側(時計方向)へ相対回転すると、同じく第1ベーン15aの他側面が対向する他のシュー8の段差状の対向側面8bに当接して最大進角側の回転位置が規制されるようになっている。
このとき、他の3つのベーン15b~15dは、両側面が円周方向から対向する各シュー8の対向面に当接せずに離間状態にある。したがって、ベーンロータ7とシュー8との当接精度が向上すると共に、後述する各作動室9,10への油圧の供給速度が速くなってベーンロータ7の正逆回転の応答性が良好になる。
各ベーン15a~15dの回転軸方向の両側面と各シュー8の両側面との間には、前述した各遅角作動室9と各進角作動室10が設けられている。各遅角作動室9と各進角作動室10は、ロータ部14の内部にほぼ径方向に沿って形成されたそれぞれ4つの遅角通路孔17と進角通路孔18を介して油圧回路5にそれぞれに連通している。
ロック機構4は、ハウジング6に対してベーンロータ7を最遅角側の回転位置(図2に示す位置)にロックするものである。
すなわち、このロック機構4は、図1及び図2に示すように、スプロケット1の内側面の所定位置に形成されたロック穴19と、ベーンロータ7の第1ベーン15aの内部軸方向に形成されたピン収容孔20と、該ピン収容孔20に進退動自在に設けられ、先端部がロック穴19に係脱するロックピン21と、該ロックピン21をロック穴19方向へ付勢するコイルスプリング22と、ロック穴19の底部内及びロックピン21とピン収容孔20との間の段差面に形成された解除用受圧室23a、23bと、該各解除用受圧室23a、23bに選択的に油圧を供給する図外のロック通路と、から主として構成されている。
ロック穴19は、内周面に圧入固定された硬質金属の環状スリーブ19aを介して形成されている。ロック穴19は、環状スリーブ19aを介してロックピン21の先端部の外径よりも十分に大径な円形状に形成されている。さらに、ロック穴19は、スプロケット1の内側面のベーンロータ7の最遅角側の回転位置に対応した位置に形成されている。
ロックピン21は、後端側に設けられたコイルスプリング22のばね力によって先端部がロック穴19の内部に入り込んでベーンロータ7をハウジング6に対してロックするようになっている。このロック位置は、前述したように、ハウジング6に対してベーンロータ7の最遅角側の回転位置となる。また、ロックピン21は、いずれか一方の解除用受圧室23a、23bに供給された油圧を受けて後退移動してロック穴19から抜け出してロックを解除するようになっている。
各解除用受圧室23a、23bは、遅角作動室9や進角作動室10から油圧がロック通路を介して供給され、この各油圧によってロックピン21をロック穴19から後退移動させるようになっている。
油圧回路5は、図1及び図2に示すように、カムシャフト2の一端部2aの周壁に形成された油圧給排用の複数(本実施形態では4つ)の第1~第4連通ポート24a~24dと、チェーンケース51のカムシャフト2の一端部2a側に配置された通路構成部50の内部に形成された供給通路25と、該供給通路25に吐出通路26aから作動油圧を吐出するオイルポンプ26と、を備えている。
また、油圧回路5は、カムシャフト一端部2aの挿入孔2bの内部に収容されて、機関運転状態に応じて供給通路25に対して各遅角通路孔17と各進角通路孔18の流路を切り換える制御弁である油圧制御弁27と、フロントプレート12の挿入孔12aの内周面の一部を切り欠いて形成されて、遅角作動室9からの作動油をオイルパン28に排出する遅角側排出通路29bと、カムシャフト2の一端部2a内に形成され、挿入孔2bの底部と連通して進角作動室10からの作動油をオイルパン28に排出する進角側排出通路29aと、を備えている。
通路構成部50は、図1に示すように、内燃機関に取り付けられたチェーンケース51と一体に形成されている。また、この通路構成部50は、フロントプレート12の挿入孔12a内に挿入配置されて、先端面がベーンロータ7のロータ部14の外側面に当接した筒状部50aと、この筒状部50aと軸方向で反対側の位置に形成されて、後述する電磁アクチュエータ34を保持する保持溝50bと、を有している。
筒状部50aは、内部軸方向にカムシャフト2の一端部2aが挿入される貫通孔50cを有している。保持溝50bは、比較的大径な円形状に形成されて、中央部に軸方向一端開口が臨んだ貫通孔50cと連通状態になっている。
カムシャフト2の一端部2aに形成された各連通ポート24a~24dは、先端部側の供給用の第1連通ポート24aと、これに軸方向で隣接する遅角側のドレン用の第2連通ポート24bと、該第2連通ポート24bに隣接する遅角側の第3連通ポート24cと、該第3連通ポート24cに隣接する進角側の第4連通ポート24dと、によって構成されている。この各第1~第4連通ポート24a~24dは、カムシャフト一端部2aの周壁の回転軸心の径方向の十字方向へそれぞれ4つずつ貫通形成されている。つまり、一端部2a周壁の円周方向の約90°の等間隔位置にそれぞれ4つずつ形成されている。
第1連通ポート24aは、グルーブ溝25aを介して供給通路25に連通し、第2連通ポート24bは、遅角側排出通路29bに連通している。また、第3連通ポート24cは、ロータ部14のシャフト挿入孔14aの内周面に形成されたグルーブ溝14bを介して各遅角通路孔17に連通している。また、第4連通ポート24dは、グルーブ溝14bの側部に形成された別異のグルーブ溝14cを介して各進角通路孔18にそれぞれ連通している。
供給通路25は、通路構成部50及びチェーンケース51の内部に連続的に形成されて、下流端部がオイルポンプ26の吐出通路26aと連通している。また、供給通路25の上流端部は、前述のようにグルーブ溝25aを介して各第1連通ポート24aに連通している。
オイルポンプ26は、一般的な例えばベーンタイプあるいはトロコイドタイプのものが用いられている。
図3は本実施形態における油圧制御弁の縦断面であって、スプール弁が遅角側に移動して、弁部材が弁座から離座した状態を示す縦断面図である。
油圧制御弁27は、図1及び図3に示すように、ベーンロータ7をカムシャフト2の一端部2aに軸方向から固定される有底円筒状のバルブボディ30と、該バルブボディ30の内部軸方向に貫通形成されたバルブ孔30a内に軸方向へ摺動可能に収容配置されたスプール弁31と、バルブボディ30のスプロケット1側の軸方向端部に一体に設けられたスプリングシート30eに一端が支持されて、スプール弁31を図1、図3中、左方向へ付勢する第1バルブスプリング33と、スプール弁31を第1バルブスプリング33のばね力に抗して他方向へ押し出すアクチュエータである電磁アクチュエータ34と、スプール弁31の内部に収容された逆止弁41と、から主として構成されている。
バルブボディ30は、圧縮された鉄系の金属粉を焼結によって成形された焼結金属によって内部中空状の円筒状で、かつ外形がボルト状に一体に形成されている。バルブボディ30は、後述する頭部30b側から内部軸心方向に沿って貫通形成されたバルブ孔30aと、外周面が六角面に形成された頭部30bと、カムシャフト一端部2aの挿入孔2bに挿通する軸部30cと、該軸部30cの頭部30bの付け根部である基端部外周に形成されて、カムシャフト2の雌ねじ部2cに螺着する雄ねじ部30dと、を有している。
頭部30bは、バルブボディ30が雄ねじ部30dを介してカムシャフト2に締結された状態では、保持溝50b内に配置されている。また、頭部30bは、軸部30cの付け根側の着座面30fがカムシャフト2の挿入孔2bの開口端面(雌ねじ部2cの開口端面)に回転軸方向から所定の軸トルクによって着座(圧接)している。しかし、この頭部30bの着座面30fは、通路構成部50の貫通孔50cの開口端面とは圧接することなく、微小隙間をもって対峙しているか、あるいは僅かに接触した状態になっている。したがって、バルブボディ30は、カムシャフト2とともに貫通孔50cを介して通路構成部50に対し自由な回転が確保されている。
軸部30cは、図3にも示すように、軸方向のほぼ頭部30b寄りの位置にカムシャフト2の各第1連通ポート24aと連通する4つの供給ポート35が周壁の軸心から十字状径方向へ貫通形成されている。
また、軸部30cは、供給ポート35と軸方向で隣接した位置に、第2連通ポート24bに適宜連通する遅角側ドレンポート36が周壁の軸心から十字状径方向へ4つ貫通形成されている。
さらに、各遅角側ドレンポート36と隣接した位置には、各第3連通ポート24cと連通する4つの導入ポートである遅角ポート37(第1給排ポート)と、これに隣接した位置には、第4連通ポート24dと連通する4つの導入ポートである進角ポート38(第2給排ポート)がそれぞれ周壁の軸心から十字状径方向へ貫通形成されている。
これら各ポート35~38は、外周側に形成された各グルーブ溝35a~38aを介して各連通ポート24a~24dにそれぞれ連通している。また、供給ポート35のグルーブ溝35aの内周には、オイルポンプ26から圧送された作動油内のコンタミなどを濾過する円環状の濾過フィルタ35bが配置されている。
また、軸部30cの軸方向の他端部の内周面とスプール弁31の後述する円筒部31gの外周面との間には、各進角ポート38と適宜連通するドレン通路39が軸方向へ貫通形成されている。
また、スプリングシート30eは、円筒状に形成されて、図3に示すように、周壁にドレン通路39と連通する複数の径方向孔30gが径方向から貫通形成されている。また、スプリングシート30eは、内側に径方向孔30gと連通する円形状の軸方向孔30hが貫通形成されている。この径方向孔30g及び軸方向孔30hは、オイルパン28に連通している。
ドレン通路39は、カムシャフト2に形成された挿入孔2bと進角側排出通路29aを介してオイルパン28に連通している。
スプール弁31は、図3に示すように、例えば鉄系金属材によって有底円筒状に形成されて、バルブボディ30のバルブ孔30aの内部に中心軸線方向(軸方向)に沿って移動可能に設けられている。
また、このスプール弁31は、外周面の軸方向の一端部側(バルブボディ30の頭部30b側)から他端部側に掛けて順に、円環状の第1ランド部31aと、第2ランド部31b、第3ランド部31c及び第4ランド部31dをそれぞれ有している。
スプール弁31は、軸方向の一端部側(スプリングシート30e側)に底壁31eを有すると共に、該底壁31eから軸方向外側に延びた円筒部31gを有している。また、円筒部31gと底壁31eに囲まれた内部には、第1バルブスプリング33の他端部を内底面で保持する円形状の保持溝31hが形成されている。一方、軸方向の他端部側(バルブボディの頭部30b側)には、電磁アクチュエータ34の後述するプッシュロッド57が軸方向から当接する当接部32が圧入固定されている。
この当接部32は、図3に示すように、金属材によって短尺なボルト形状に形成されて、第1ランド部31aが位置する内周面に圧入固定された大径部32aと、該大径部32aの一端面中央から底壁31e方向に延びた小径部32bと、を有している。大径部32aは、内部中実状に形成されて、電磁アクチュエータ34のプッシュロッド57が当接する外面32eが平面状に形成されている。小径部32bは、後述する接続通路40の一部を構成する小径通路部40aが内部に軸心方向に沿って形成されている。
小径部32bは、スプール弁31の後述する第1通路孔42と小径通路部40aを連通する4つの連通孔32cが十字状に貫通形成されている。各連通孔32cの外側の開口端側には、グルーブ溝32dが形成されている。また、小径部32bは、小径通路部40aの開口端に後述する弁座である円環状のバルブシート48が形成されている。このバルブシート48は、内側から外方に向かって拡径テーパ状に形成されて、後述する弁部材47が軸方向から離着座するようになっている。
スプール弁31は、内部軸方向に内径が段差径状の接続通路40が形成されている。この接続通路40は、小径部32bの前記小径通路部40aと、該小径通路部40aの他端開口に連続して形成された大径通路部40bと、該大径通路部40bから底壁31e方向に延びた中径通路部40cと、を有している。
接続通路40は、小径通路部40aから順次、大径通路部40b及び中径通路部40cが連続して形成されている。
小径通路部40aは、軸方向の一端、つまり大径通路部40bと反対側の一端が閉じられている。中径通路部40cは、軸方向他端側が底壁31eによって閉じられている。
また、スプール弁31は、第1ランド部31aと第2ランド部31bとの間にグルーブ溝32dを介して小径通路部40aと連通する4つの第1通路孔42が軸心から十字状径方向に沿って貫通形成されている。この各第1通路孔42は、スプール弁31の外周側がグルーブ溝42aになっており、このグルーブ溝42aを介して供給ポート35に連通している。
スプール弁31の第2ランド部31bと第3ランド部31cとの間の外周面には、遅角側ドレンポート36と適宜連通する円環状の遅角側ドレン溝43が形成されている。
スプール弁31の第3ランド部31cと第4ランド部31dとの間には、進角ポート38と適宜連通する4つの第2通路孔44が軸心から十字状径方向に沿って貫通形成されている。この各第2通路孔44の外周側には、グルーブ溝44aが形成されている。
スプール弁31の軸方向の他端部、つまりスプリングシート30e側の他端部外周には、ドレン通路39を構成する円環状の進角側ドレン溝45が形成されている。
また、スプール弁31は、バルブボディ30のバルブ孔30aの頭部30b側の内周面に固定されたストッパ部材46によって電磁アクチュエータ34方向の最大移動が規制されるようになっている。
ストッパ部材46は、拡縮変形可能なCリング状に形成されて、バルブ孔30aの頭部30b側の内周面に形成された円環状の嵌合溝30gに弾性力によって嵌着固定されている。
そして、スプール弁31が、第1バルブスプリング33のばね力で図中左方向へ移動した際に、第1ランド部31aの先端面がストッパ部材46の内側面に当接してその最大左方向の移動が規制されるようになっている(図3、後述の図10参照)。
逆止弁41は、図1及び図3に示すように、大径通路部40bの内部を摺動可能に収容配置された弁部材47と、小径通路部40aの大径通路部40b側の開口端に形成されて、弁部材47が離着座可能な前記バルブシート48と、底壁31eの凹状内底面と弁部材47との間に設けられて、該弁部材47をバルブシート48方向へ付勢する第2バルブスプリング49と、を備えている。
図4は本実施形態に供される逆止弁の弁部材を前方側からみた斜視図、図5は同じく弁部材を後方側からみた斜視図、図6は同弁部材の側面図、図7は図6に示す弁部材を45°回転させた状態の側面図、図8は図6のB-B線断面図、図9は図7のC-C線断面図である。
弁部材47は、硬度の比較的高い例えば鉄系金属材をプレス成形によってほぼカップ状に形成されている。
すなわち、弁部材47は、図4及び図5に示すように、バルブシート48に離着座する凸状の弁部60と、該弁部60の一端外周から軸方向に延びて外面が大径通路部40bの内壁面に微小クリアランスをもって摺動案内されるガイド部61と、を備えている。
また、弁部材47は、肉厚の均一な単一の板状部材を、プレス成形によって弁部60とガイド部61の後述するガイド片61bが打ち抜き成形される。その後、弁部60を中心として各ガイド片61bが筒状にプレス成形によって折り曲げられて形成されている。これによって、弁部60とガイド部61は、ほぼ同一の肉厚になっている。
弁部60は、先端面である第2平面部60aを除く外周面60bが部分球面状に形成されていると共に、先端面60aと軸方向の反対側には凹状部60cが形成されている。先端面60aは、図4、図6及び図7にも示すように、円形の平面状に形成された第2平面部であって、小径通路部40a内の作動油の油圧を受けるようになっている。一方、部分球面状の外周面60bは、バルブシート48に軸方向から当接あるいは離間する、つまり離着座するようになっている。
凹状部60cは、図5、図8及び図9に示すように、先端面60aと軸方向で反対側の位置に第1平面部60dが形成されている。この第1平面部60dは、平面な円形状に形成されて、外径が第2バルブスプリング49の外径よりも僅かに大きく設定されている。したがって、第1平面部60dは、第2バルブスプリング49の一端部49aが弾接してスプリングシート(座面)として機能するようになっている。これによって、第1平面部60dは、第2バルブスプリング49のばね力を受けることにより、弁部材47全体を図3の図中右方向へ付勢して外周面60bをバルブシート48に軸方向から押し付けるようになっている。
ガイド部61は、図4~図7に示すように、弁部60の後端縁から軸方向に延びたスリット状の複数(本実施形態では4つ)の隙間61aを介して4つのガイド片61bによって構成されている。各隙間61aは、周方向の等間隔位置(90°位置)に形成されて弁部60の後端縁からほぼU字形状に切欠形成されている。
各ガイド片61bは、各隙間61aを介して周方向の等間隔位置に形成され、軸方向に沿って並行かつ細長く形成されている。つまり、各ガイド片61bは、弁部60と軸方向で反対側の端部が隙間61aによって互いに分離形成されており、この各隙間61aによってそれぞれの後端側が結合されずに開放されている。また、この各ガイド片61bは、弁部60側の前端縁を支点して後端部側が僅かに拡縮変形可能になっている。また、各ガイド片61bは、後端部の外端縁に面取り状の傾斜面61dがそれぞれ形成されている。この傾斜面61dは、接続通路40内への弁部材47の挿入配置時の案内として機能する。
また、弁部材47は、第2バルブスプリング49のばね力で弁部60の球面状の外周面60bがバルブシート48に着座することによって小径通路部40aと大径通路部40bとの間の開口を閉止するようになっている。
第1バルブスプリング33は、前述したように、一端部がバルブボディ30のスプリングシート30eの内端面に弾性的に当接している一方、他端部がスプール弁1の保持溝31hの底面に弾性的に当接している。これによって、スプール弁31は、電磁アクチュエータ34方向へ付勢されている。
一方、第2バルブスプリング49は、一端部49aが底壁31eの内底面に弾性的に当接している一方、他端部49bが弁部60の第1平面部60dに弾性的に当接している。これによって、弁部材47をバルブシート48方向へ付勢している。また、他端部49bは、外周縁が凹状部60cにおける第1平面部60dの外周縁と球面部の境目の周縁60eに当接支持されている。
また、スプール弁31は、図3に示すように、接続通路40における大径通路部40bと中径通路部40cの間に段差部31fが設けられており、この段差部31fによって弁部材47の図中右方向の最大移動位置を規制するようになっている。つまり、弁部材47が、小径通路部40a内の油圧によって第2バルブスプリング49のばね力に抗してバルブシート48から離れて図中右方向へ最大に後退移動した際に、段差部31fの外面に当接させてこれ以上の後退移動を規制するようになっている。
電磁アクチュエータ34は、図1に示すように、合成樹脂材のケーシング52と、該ケーシング52の内部に磁性材のボビン53を介して収容されたソレノイド54と、ボビン53の内周に固定された固定鉄心55と、ボビン53の内部に軸方向へ摺動可能に設けられた円柱状の可動鉄心56と、該可動鉄心56の先端部に一体的に結合されて、先端部の押圧部57aがスプール弁31の当接部32の大径部32aの外面32eに軸方向から当接するプッシュロッド57と、を備えている。
ケーシング52は、下端部に保持溝50b内に挿入固定される円筒部52aを一体に有している。また、上端部には、ECUであるコントロールユニット59に電気的に接続されるコネクタ部52bが設けられている。このコネクタ部52bは、ほぼ全体がケーシング52内に埋設された一対の端子片52cの各一端部が前記ソレノイド54に接続されている。一方、外部に露出した各他端部は、コントロールユニット59側の雄コネクタの端子に接続されている。なお、円筒部52aは、保持溝50bの内周に固定されたシールリング58によってシール溝50bに液密的に保持されている。
可動鉄心56は、ソレノイド54への非通電時には、第1バルブスプリング33のばね力によってスプール弁31とプッシュロッド57を介して後退移動するようになっている。
図10はスプール弁が遅角側に移動し、かつ弁部材が弁座から離座した状態を示す縦断面図、図11はスプール弁が進角側に移動し、かつ弁部材が弁座から離座した状態を示す縦断面図、図12はスプール弁が進角側に移動し、かつ弁部材が弁座に着座した状態を示す縦断面図である。
ソレノイド54は、コントロールユニット59から通電(励磁)されることによって可動鉄心56を進出移動させてスプール弁31を第1バルブスプリング33のばね力に抗して図1の右方向へ移動させるようになっている。
具体的に説明すれば、スプール弁31は、ソレノイド54への非通電と通電中の通電量(デューティ比)に応じて最大左方向位置(図3、図10の第1移動位置)と、最大右方向位置(図11、図12の第2移動位置)と、に移動制御されるようになっている。
コントロールユニット59は、図外のクランク角センサ(機関回転数検出)やエアーフローメータ、機関水温センサ、機関温度センサ、スロットルバルブ開度センサおよびカムシャフト2の現在の回転位相を検出するカム角センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力する。これによって、現在の機関運転状態を検出する。
また、コントロールユニット59は、前述したように、電磁アクチュエータ34のソレノイド54への通電(通電量)及び非通電を制御してスプール弁31を所定の移動位置に連続的に可変制御するようになっている。
〔本実施形態の作用効果〕
イグニッションスイッチがオフされて機関停止状態になると、オイルポンプ26も停止されて吐出通路26aから作動油が供給されないと共に、コントロールユニット59からソレノイド54への通電もなく非通電状態となっている。
したがって、スプール弁31は、図3に示すように、第1バルブスプリング33のばね力で最大左方向の第1の移動位置に保持されている。このスプール弁31の最大左方向の移動位置は、第1ランド部31aの外端面がストッパ部材46の対向面に当接することによって規制される。
このとき、逆止弁41の弁部材47は、図3に示すように、第2バルブスプリング49のばね力によって弁部60の外周面60bがバルブシート48に着座して小径通路部40aの開口端を閉じている。また、この時点では、各進角作動室10は、進角ポート38や進角側ドレン溝45などを介してオイルパン28に連通していることから低圧状態になっている。
次に、イグニッションスイッチがオン操作されて機関が始動を開始すると、オイルポンプ26も駆動して吐出通路26aに作動油を圧送する。この圧送された作動油は、図10の矢印で示すように、グルーブ溝35aを含む供給ポート35から第1通路孔42を通って小径通路部40aに流入する。この小径通路部40aに流入した作動油は、弁部材47の第2平面部60aに垂直方向に当たる。これによって、弁部材47は、第2バルブスプリング49のばね力に抗して後退移動する。これにより、弁部60はバルブシート48から離座(離間)して小径通路部40aの開口端が押し開かれる。この作動油は、大径通路部40b内に流入して弁部60の外周面60bを通って各隙間61aから内部に流入する。続いて、中径通路部40c内から各第2通路孔44と遅角ポート37に流入して各遅角通路孔17から各遅角作動室9内に供給される。
この時点におけるスプール弁31は、各進角ポート38とドレン通路39を連通させる状態が維持されている。このため、各進角作動室10は、各進角通路孔18から各進角ポート38と進角側ドレン溝45及びドレン通路39、カムシャフト2の挿入孔2b、進角側排出通路29aを介してオイルパン28に連通している。このため、各進角作動室10は、低圧状態を維持している。
したがって、ベーンロータ7は、図2に示すように、最遅角の相対回転位置に維持されることから、吸気弁のバルブタイミングが遅角側に制御された状態になる。これによって、機関の始動性が良好になる。
また、この時点では、図外のロック通路を介して第1解除用受圧室23aに各遅角作動室9と同じ油圧が供給されるが、クランキング初期の時点では解除用受圧室23a内の油圧が上昇しない。このため、ロックピン21は、ロック穴19内に係入してロックされた状態となる。したがって、カムシャフト2に発生する交番トルクによるベーンロータ7のばたつきなどを抑制することできる。
その後、ロック通路を介して第1解除用受圧室23aに供給された油圧が高くなると、ロックピン21が、コイルスプリング22のばね力に抗して後退移動してロック穴19とのロック状態が解除されて、ベーンロータ7はフリーな状態になり、正逆回転が可能になる。
なお、このとき、各進角作動室10は、前述したように低圧状態が維持されている。
次に、機関運転状態の変化に伴いコントロールユニット59から電磁アクチュエータ34のソレノイド54に通電されて印加されると、可動鉄心56とプッシュロッド57が進出移動する。そうすると、スプール弁31は、図11に示すように、第1バルブスプリング33のばね力に抗して段差部31fに突き当たるまで右方向へ移動して最大右方向の移動位置で規制されて第2移動位置に保持される。
これによって、スプール弁31の遅角側ドレン溝43が遅角ポート37とドレンポート36に連通する。同時に、第4ランド部31dによって、進角ポート38とドレン通路39(ドレン溝45)との連通が阻止されると共に、第2通路孔44と進角ポート38が連通する。
このため、図11の矢印で示すように、各遅角作動室9の作動油は、各遅角通路孔17から各遅角ポート37及び遅角側ドレン溝43、ドレンポート36を介して遅角側排出通路29bに流入し、ここからオイルパン28内に排出される。これによって、各遅角作動室9内が低圧になる。
一方、オイルポンプ26から圧送された作動油は、図11の矢印で示すように、グルーブ溝35aを含む供給ポート35から第1通路孔42を通って小径通路部40aに流入する。この小径通路部40aに流入した作動油は、弁部材47の第2平面部60aに垂直方向に当たる。これによって、弁部材47は、第2バルブスプリング49のばね力に抗して後退移動して、バルブシート48から離座(離間)して開口端が押し開かれる。よって、この作動油は、大径通路部40b内に流入して弁部60の外周面60bを通って各隙間61aから内部に流入する。続いて、作動油は、中径通路部40c内から各第2通路孔44と進角ポート38に流入して各進角通路孔18から各進角作動室10内に供給される。これによって、各進角作動室10の内圧が上昇する。
なお、このとき、ロックピン21は、進角作動室10からロック通路を介して第2解除用受圧室23bに供給された油圧によってロック穴19から抜け出てロックが解除されている。
このため、ベーンロータ7は、図2に示す位置から時計方向へ回転して最大進角側へ相対回転して、吸気弁のバルブタイミングが最進角位相になって排気弁とのバルブオーバーラップが大きくなる。この結果、吸気充填効率が高くなって機関の出力トルクの向上が図れる。
さらに、ベーンロータ7を、最大進角側への相対回転位置から最大遅角側へ変換させる際には、コントロールユニット59から電磁アクチュエータ34のソレノイド54への通電が停止(非通電)される。
このとき、オイルポンプ26は、駆動状態が維持されており、このオイルポンプ26から圧送された作動油は、図12の矢印で示すように、供給ポート35から第1通路孔42を通って小径通路部40aに流入する。この小径通路部40aに流入した作動油は、弁部材47の第2平面部60aに垂直方向に作用する。
一方、各進角作動室10内の作動油は、進角ポート38から各第2通路孔44を介して中径通路部40c内に流入して、弁部材47の弁部60の凹状部60c内で第1平面部60dを閉じ方向(バルブシート48方向)へ押圧する。
したがって、弁部材47は、第1平面部60dに作用する油圧と第2バルブスプリング49のばね力との合成力によって、第2平面部60aに作用する油圧に打ち勝って弁部60の外周面60bがバルブシート48に着座する。これにより、弁部60は、小径通路部40aの開口端を閉じる。
よって、ベーンロータ7は、カムシャフト2に作用する交番トルクによるばたつきが抑制されると共に、遅角側への相対回転の応答性が向上する。
また、前述したベーンロータ7の最大遅角側の相対回転位置から進角側への変換時においても、図3の一点鎖線でそれぞれ示すように、オイルポンプ26から圧送された作動油圧が弁部60の第2平面部60aに作用する。一方、各遅角作動室9内の油圧は、遅角ポート37から各第2通路孔44を介して中径通路部40c内に流入して、弁部60の第1平面部60dに作用して閉じ方向(バルブシート48方向)へ押圧する。
したがって、弁部材47は、第1平面部60dに作用する油圧と第2バルブスプリング49のばね力との合成力によって、第2平面部60aに作用する油圧に打ち勝って弁部60の外周面60bがバルブシート48に着座する。これによって、弁部60によって小径通路部40aの開口端が閉じられる。
これによって、ベーンロータ7は、カムシャフト2に作用する交番トルクによるばたつきが抑制されると共に、進角側への相対回転の応答性が向上する。
そして、本実施形態では、弁部材47を第2バルブスプリング49のばね力によってバルブシート48方向へ付勢していることから、弁部の着座方向への応答性の向上が図れる。
しかも、第2バルブスプリング49は、他端部49bが弁部60の第1平面部60dに弾性的に当接支持されていることから、第2バルブスプリング49の安定した支持が得られる。
すなわち、第1平面部60dは、平面状に形成されていることから、第2バルブスプリング49の他端部49bは、その前端縁全体が第1平面部60dに対して垂直方向から当接する。このため、伸縮変形時における第2バルブスプリング49の傾きが抑制されて安定した支持が得られる。
また、他端部49bの前端周縁は、図3にも示すように、凹状部60cにおける第1平面部60dの外周縁と球面部との境目の周縁60eによって外側から抑えられている。このため、他端部49bのより安定した支持が得られる。
この結果、第2バルブスプリング49のばね力の変化が抑制されて、弁部材47に対して安定した付勢力を付与することができる。
なお、第2バルブスプリング49の一端部49aは、底壁31eの平面状の内底面に弾性的に当接支持されていることから、第1平面部60dの作用と相俟って第2バルブスプリング49をさらに安定して支持することができる。
また、弁部60の先端面が平面な第2平面部60aとして構成されていることから、弁部材47の開弁速度を速くすることができる。
つまり、弁部60の先端面全体が球面状に形成されている場合は、供給ポート35などから小径通路部40aに流入した作動油は、その油圧が弁部60の先端面で放射状に分散されてしまう。このため、弁部材47に油圧が効率良く伝達できないおそれがある。
これに対して、本実施形態では、第2平面部60aが平面状になっていることから、作動油の前記油圧全体が第2平面部60aに対して垂直方向(直進方向)から集中的に作用する。このため、前記油圧を弁部材47に対して効率良く伝達できるので、弁部材47の開弁応答性を向上させることが可能になる。
これは、抗力係数が半球(凸)よりも平面の方が高いことによっても説明できる。つまり、第2平面部60aによって弁部60の先端に作用する抗力を上げることができる。
また、前記油圧が、弁部材47に対して垂直方向から作用することから、開弁時の直進移動性が得られる。このため、弁部材47の開弁移動時における傾きを抑制できる。
さらに、第2平面部60aが平面状になっていることから、弁部材47が傾いたとしても第2平面部60aがバルブシート48に掛かることがなく、球面状の外周面60bのみによる当接状態が維持される。この結果、良好なシール性を確保できる。
また、弁部材47は、単一の板状部材からプレス成形によって形成できるので、コストの低減化が図れる。
また、機関停止時には、逆止弁41の弁部材47がバルブシート48に着座して小径通路部40aの開口端を閉じて、各遅角作動室9からの作動油の逆流を阻止する。このため、各遅角作動室9内に作動油を保持することが可能になる。したがって、機関の再始動時における各遅角作動室9の油圧の立ち上がりが良好になり、ベーンロータ7を最遅角側へ速やかに相対回転させることできる。
また、弁部材47の4つのガイド片61bは、隙間61aを介して端部側が連結されていないことから、互いに内外(拡縮)方向へ弾性変形可能になっている。このため、弁部材47が、軸方向へ移動中に傾いても各ガイド片61bの弾性変形力によって正規の位置(大径通路部40bと同軸状の位置)に戻される。つまり、弁部材47の移動姿勢を正規の位置に矯正することができるので、弁部材47は、安定した移動を確保できる。
さらに、前述のように、各ガイド片61bは、軸方向端部が連結されることなく、開放された状態になっている。このため、弁部60側から各ガイド片61b間の各隙間61aを介して内部に流入した作動油の流動性が良好になる。換言すれば、各ガイド片61bの下流側に流動抵抗になる部位がないので、作動油の流動性が良好になり、各遅角作動室9や各進角作動室10への供給速度が速くなり、応答性の向上が図れる。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、油圧制御弁27における各遅角作動室9への作動油の流路構造と各進角作動室10への作動油の流路構造を逆に形成することも可能である。つまり、例えば、遅角ポート37を進角ポートとし、進角ポート38を遅角ポートに変更することも可能である。
また、バルブタイミング制御装置を吸気弁側ばかりか排気弁側に適用することも可能である。
さらに、油圧制御弁27を、バルブタイミング制御装置以外の他の機器類に適用することも可能である。さらに、アクチュエータとしては、電磁アクチュエータの他に、油圧アクチュエータであっても良い。
なお、本実施形態における遅角、進角ポート37,38の閉止や連通が遮断されている状態とは、スプール弁31の各ランド部31b、31cによって遅角、進角ポート37,38が塞がれている状態を言い、各ランド部31b、31cとバルブ孔30aの間のクリアランスを介して若干連通している状態も含む。
以上説明した実施形態に基づく油圧制御弁としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
その一つの態様において、クランクシャフトからの回転力が伝達され、内部に複数の作動室を有するハウジングと、カムシャフトに固定されるロータと、該ロータの外周から径方向外側へ延びて前記作動室を進角室と遅角室に仕切るベーンとを有し、供給源から供給される作動液が前記進角室または遅角室へ導入されることにより、前記ハウジングに対する相対回転位相が進角側または遅角側へ変化するベーンロータと、前記進角室及び遅角室に対して前記作動液の給排を制御する制御弁であって、前記供給源と連通する供給ポートと、前記進角室及び遅角室のうち一方に連通する導入ポートと、前記供給ポート及び導入ポートに接続される接続通路と、前記接続通路の内部に配置されて、弁部材が弁座から離座することにより、前記供給ポートから前記導入ポートへの作動液の流通を許容する一方、前記弁部材が前記弁座に着座することにより、前記導入ポートから前記供給ポートへの作動液に流通を規制し、前記弁部材を前記弁座に着座する方向へ付勢するスプリングを有する逆止弁と、を有する制御弁と、
を備え、
前記弁部材は、凸状の先端部の外周面が部分球面状に形成されて、前記弁座に離着座する弁部と、該弁部の前記先端部に対して軸方向で反対側に形成されて、前記スプリングの付勢力を受ける凹状部と、を有し、前記凹状部の前記スプリングの付勢力を受ける座面が平面状の第1平面部になっている。
さらに好ましくは、前記弁部は、前記先端部の部分球面状の前記外周面より軸方向先端に平面状の第2平面部を有している。
この発明によれば、弁部材は、先端部の先端が第2平面部になっていることから、前記供給ポートから流入された作動液の液圧を第2平面部が垂直方向から受けるので球面状よりも受圧力が大きくなる。そのため、開弁速度が向上して弁部材の作動応答性が向上する。
さらに好ましくは、前記弁部材は、前記弁部の外周から軸方向へ延びて外面が前記接続通路の内壁面にクリアランスをもって案内されるガイド部を有し、前記弁部の部分球面状の外周面は、前記ガイド部が前記接続通路の内壁面に対して前記クリアランスの範囲内で弁部材全体が傾いても前記弁座に着座可能になっている。
この発明によれば、弁部材が傾いたとしても、弁部の第2平面部が弁座に掛からず、部分球面部のみが弁座に当接していることから、良好なシール性が確保される。
さらに好ましくは、前記弁部材は、前記弁部と前記ガイド部の肉厚がほぼ同一になっている。
この発明によれば、弁部材全体をプレス加工によって成形できるので、コストの低減化が図れる。
さらに好ましくは、前記弁部材は、単一の板状部材が折れ曲がって前記弁部とガイド部が形成されている。
同じくプレス成形により折り曲げ加工によって形成されていることから、コストの低減化が図れる。
さらに好ましくは、前記ガイド部は、前記弁部から軸方向に延びたスリット状の複数の隙間によって分割された複数のガイド片であって、前記複数のガイド片は、軸方向で前記弁部と反対側の端部が互いに分離している。
別の好ましい態様として、内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられる油圧制御弁であって、
作動油の供給源と連通する供給ポートと、第1給排ポートと、第2給排ポートと、を有する筒状のバルブボディと、前記バルブボディの内部に形成されて、前記供給ポートと連通する接続通路を有し、移動することによって、前記接続通路と前記第1給排ポートを連通するか、または前記接続通路と前記第2給排ポートを連通するかを切り替え可能なスプール弁と、前記接続通路の内部に配置されて、弁部材が弁座から離座することによって前記供給ポートから前記第1給排ポートと第2給排ポート側への作動油の流入を許容する一方、前記弁部材が前記弁座に着座することによって、前記第1給排ポートと第2給排ポートから前記供給ポート側への作動油の流入を規制し、前記弁部材を前記弁座に着座する方向へ付勢するスプリングを有する逆止弁と、
を備え、
前記弁部材は、外周面の少なくとも一部が前記弁座に離着座する凸状の球面状に形成された先端部と、軸方向で前記先端部と反対側に形成されて、前記スプリングの付勢力を受ける凹状部と、を有する弁部を有し、前記凹状部の前記スプリングの付勢力を受ける座面が平面状の第1平面部になっている。
さらに好ましくは、前記弁部の前記先端部は、球面状の前記外周面より軸方向先端に平面状の第2平面部を有している。