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JP7064608B2 - 電動車両 - Google Patents

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JP7064608B2 JP2020548066A JP2020548066A JP7064608B2 JP 7064608 B2 JP7064608 B2 JP 7064608B2 JP 2020548066 A JP2020548066 A JP 2020548066A JP 2020548066 A JP2020548066 A JP 2020548066A JP 7064608 B2 JP7064608 B2 JP 7064608B2
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Description

本発明は、ピボット軸に軸支されたスイングアームにモータが配置された電動車両に関する。
特許第6200991号公報には、車体フレームと、車体フレームに設けられたピボット軸と、一端部がピボット軸に軸支されるスイングアームと、スイングアームの他端部に支持される後輪と、スイングアームの内部に配置され、後輪を駆動するモータとを備える電動車両が開示されている。
この場合、スイングアーム内の後輪の左側方には、モータを収容するモータ収容部が設けられている。また、スイングアームの上部におけるモータ収容部の近傍には、前方に開口するガイド孔が形成されている。モータに電力を供給するハーネス(給電線)は、モータから前方に延び、ガイド孔を介して外部に延出され、スイングアームの上壁に沿って前方に延びる。
近年、電動車両の高電圧化に伴って給電線が太くなり、該給電線の剛性が高くなっている。そのため、ガイド孔から外部に延びる給電線を配設する際、スイングアームの上壁に沿って屈曲させることが難しいため、改善の余地がある。
そこで、本発明は、スイングアームの内部から外部に延びる給電線を、より直線的に配設することが可能な電動車両を提供することを目的とする。
本発明の態様は、車体フレームと、前記車体フレームに設けられたピボット軸と、一端部が前記ピボット軸に軸支され、他端部が後輪を支持するスイングアームと、前記スイングアームに配置され、前記後輪を駆動するモータとを備える電動車両であって、前記スイングアーム内の前記後輪の一方側の側方に設けられ、前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータに給電する給電線とをさらに備え、前記スイングアームの一端部における前記後輪の前方の箇所に、前方に開口するように貫通孔が形成され、前記給電線は、前記スイングアーム内で前記モータから前方に延び、前記スイングアームの一端部で前記電動車両の車幅方向の内側に曲がり、前記貫通孔から前記スイングアームの外部に延出され、前記後輪の他方側に引き回され、前記車体フレームの左右一対の立ち上げ部の間の空間に配置されたバッテリの後ろに配置された電子部品に接続される。
本発明によれば、給電線は、モータからスイングアームの内部を通り、スイングアームの一端部に形成された貫通孔から外部に延出される。これにより、スイングアームの内部から外部に給電線を配設する際、給電線をあまり屈曲させることなく、より直線的に配設することができる。また、特許第6200991号公報と比較して、給電線の外部への露出度が低いので、剛性の高い給電線を外部で保護するための部品点数の削減や、外観性の向上を図ることもできる。さらに、スイングアームの上方又は下方のスペースが確保されるので、例えば、ピボット軸の上方にバッテリを搭載するスペースを確保することができる。この結果、スイングアームの最低地上高を確保することができる。
本実施形態に係る電動車両の左側面図である。 図1の電動車両の後輪周辺を左後方から見た斜視図である。 図1及び図2のスイングアームカバーを外した状態の左側面図である。 図3の左側のロータ支持部を外した状態の左側面図である。 図3のV-V線に沿った断面図である。 スイングアーム等を破断して図示した右側面図である。 スイングアームの前端部周辺の底面図である。 減速機収容部を図示した左側面図である。 減速機収容部を含むスイングアーム、ブレーキ機構及びブリーザチューブの斜視図である。 図10Aは、図6のXA-XA線に沿った断面図であり、図10Bは、図6のXB-XB線に沿った断面図である。 図6の固定部の変形例を示す右側面図である。
以下、本発明に係る電動車両の好適な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
[1.本実施形態に係る電動車両10の概略構成]
図1は、本実施形態に係る電動車両10の左側面図である。なお、以下の説明では、電動車両10のシート12に着座した乗員の見た方向に従って、前後、左右及び上下の方向を説明する。また、電動車両10において、左右一対に配設される構成要素については、左側の構成要素については「L」、右側の構成要素については「R」の文字を付けて説明する場合がある。
電動車両10は、低床のフロア部14を有する電動スクータであり、後輪16を軸支するスイングアーム18に内蔵されたモータ20の駆動力で後輪16を回転駆動させることにより走行する。なお、本実施形態に係る電動車両10は、図1の電動スクータに限定されることはなく、モータ20によって駆動する各種の電動の鞍乗型車両に適用可能である。以下の説明では、スクータ型の電動車両10について説明する。
電動車両10は、車体フレーム22と、車体フレーム22を覆う合成樹脂製の車体カバー24とを有する。車体フレーム22は、前端部のヘッドパイプ26と、ヘッドパイプ26から後ろ斜め下方に延びるダウンパイプ28と、ダウンパイプ28の後端から後方に延びる左右一対のアンダーフレーム部30L、30Rと、アンダーフレーム部30L、30Rの後端から後ろ斜め上方に延びるサイドフレーム部32L、32Rとから構成される。サイドフレーム部32L、32Rは、左右一対のアンダーフレーム部30L、30Rから後ろ斜め上方に延びる立ち上げ部34L、34Rと、左右一対の立ち上げ部34L、34Rから後方に延出するリヤフレーム36L、36Rとから構成される。左右一対のリヤフレーム36L、36Rの後端は、テールパイプ部38で連結されている。
ヘッドパイプ26には、フロントフォーク40L、40Rが操舵自在に取り付けられている。フロントフォーク40L、40Rの上部には、ステアリングステム42を介して、ハンドル44が取り付けられている。フロントフォーク40L、40Rの下端には、前輪46が取り付けられている。フロントフォーク40L、40Rには、前輪46を上方から覆うフロントフェンダ48が取り付けられている。
アンダーフレーム部30L、30Rとサイドフレーム部32L、32Rとの間には、ピボットブラケット50aを含む連結支持部50が設けられている。連結支持部50は、電動車両10の左右方向(車幅方向)に延びるピボット軸54を支持する。ピボット軸54には、スイングアーム18の前端部(一端部)が軸支されている。スイングアーム18は、ピボット軸54から電動車両10の前後方向に沿って、後輪16の左側方(一方側の側方)に延びている。スイングアーム18の後端部(他端部)は、後輪16を支持する。
スイングアーム18は、後輪16の左側方にモータ20が配置されるように、該モータ20を内蔵する。従って、スイングアーム18は、スイング式のパワーユニットとして構成される。スイングアーム18の後端部と左側のリヤフレーム36Lとの間には、リヤクッション56が連結されている。また、リヤフレーム36L、36Rには、後輪16を上方から覆うリヤフェンダ58が取り付けられている。さらに、スイングアーム18には、リヤフェンダ58と後輪16との間で後輪16を上方から直接覆い、且つ、スイングアーム18と共に揺動可能な他のフェンダ60が取り付けられている。
リヤフレーム36L、36Rは、乗員が着座するシート12を下側から支持する。シート12とピボット軸54との間で、左右一対の立ち上げ部34L、34Rの間の空間には、電動車両10のバッテリ62が配置されている。バッテリ62は、左右一対の立ち上げ部34L、34R及びリヤフレーム36L、36Rと、立ち上げ部34L、34Rを前方で連結するパイプ64とによって支持されている。
後輪16の前方にあって、バッテリ62の後ろ斜め下方の箇所には、左右の立ち上げ部34L、34Rによって支持される電子部品としてのPCU(パワーコントロールユニット)66が支持されている。PCU66は、インバータ等を含み構成され、例えば、バッテリ62から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力をモータ20に供給する。また、PCU66は、モータ20の回生時には、モータ20が発電した交流電力を直流電力に変換し、バッテリ62に充電する。なお、図1に示すバッテリ62及びPCU66の配置箇所は、一例であって、電動車両10内の他の箇所に配置してもよい。例えば、左右一対のアンダーフレーム部30L、30Rの間の空間にバッテリ62を配置してもよい。
車体カバー24は、車体フレーム22等を覆うカバーであって、フロントカバー68、ハンドルカバー70、レッグシールド72、フロアサイドカバー74L、74R、シート下カバー76及びリヤサイドカバー78L、78R等を有する。フロントカバー68は、ヘッドパイプ26等の車体フレーム22の前端部を前方から覆う。ハンドルカバー70は、フロントカバー68の上方で、ハンドル44の左右中央部を覆う。レッグシールド72は、フロントカバー68に接続され、ヘッドパイプ26及びダウンパイプ28を後方から覆う。シート下カバー76は、シート12下方の空間を前方から覆う。
左右一対のフロアサイドカバー74L、74Rは、レッグシールド72及びシート下カバー76に連結され、左右一対のアンダーフレーム部30L、30Rを左右両側から覆う。リヤサイドカバー78L、78Rは、シート下カバー76の後縁部に接続され、PCU66等を左右両側から覆う。
スイングアーム18の側方には、メインスタンド80が配設されている。この場合、スイングアーム18の下方にメインスタンド80の軸82が設けられ、スイングアーム18の左側部を凹ませた凹部84にメインスタンド80の一部が収容されるように、該メインスタンド80が配設される。また、左側の立ち上げ部34Lの近傍には、サイドスタンド86が配設されている。
[2.本実施形態の特徴的な構成]
次に、本実施形態に係る電動車両10の特徴的な構成(第1~第4の構成)について、図1~図11を参照しながら説明する。
<2.1 第1の構成>
第1の構成は、モータ20の駆動部としてのステータ90及びロータ92をモータケース94に組み込んだ組立体(ユニット)として該モータ20が構成され、モータ20をスイングアーム18内に収容することで、スイング式のパワーユニットを構成するものである。すなわち、ステータ90及びロータ92が収容され、且つ、モータケース94からモータ軸96が露出している完成品のモータ20を、スイングアーム18内に収容するだけで、スイングアーム18に対するモータ20の取付作業が完了するものである。ここで、モータ20が収容されているスイングアーム18の構成について、より詳しく説明する。
スイングアーム18は、スイングアーム本体98を有する。スイングアーム本体98は、内部が空洞の部材であって、後輪16の前方におけるピボット軸54近傍の空間で車幅方向に延びる一端部98aと、一端部98aの左側から後方に延出する連結部98bと、連結部98bに連設され、後輪16の左側方に配置されたモータ収容部98cと、モータ収容部98cの後方に設けられた他端部98dとを有する。
スイングアーム本体98の一端部98aは、スイングアーム18の前端部を構成し、ピボット軸54に軸支されている。前述のように、ピボット軸54は、連結支持部50を介して車体フレーム22に支持されている。連結支持部50は、図1、図2、図6及び図7に示すように、車幅方向に延びて左右一対の立ち上げ部34L、34Rを連結するパイプ50bと、パイプ50bから後方に延びてピボット軸54を支持する4つのピボットブラケット50aとから構成される。スイングアーム本体98の一端部98aの左右両側からピボット軸54に向かって、2つの突出部98eが前方に延びている。2つの突出部98eは、ピボット軸54の車幅方向の両端部に設けられた2つの軸受100を介して、ピボット軸54に軸支されている。
スイングアーム本体98の連結部98bは、図1、図3及び図4の側面視で、前方から後方に向って徐々に拡開している。スイングアーム本体98のモータ収容部98c及び他端部98dは、スイングアーム18の後端部を構成する。モータ収容部98cは、図1、図3及び図4の側面視で略円形状に形成され、且つ、図5の断面視で車幅方向内側に凹むように形成されている。スイングアーム本体98の他端部98dには、リヤクッション56が連結されている。
スイングアーム本体98において、連結部98bの後部及びモータ収容部98cは、左側方に開口している。この開口部分は、モータ20を受容可能な大きさに開口され、スイングアームカバー102で左方から覆われている。スイングアームカバー102は、複数のボルト104によってスイングアーム本体98に取り付けられる。なお、図3~図5は、スイングアーム本体98からスイングアームカバー102を取り外した状態を図示している。
モータ収容部98cに収容されるモータ20は、例えば、三相の交流モータであって、ステータ90と、ロータ92と、ステータ90及びロータ92を内部に収容するモータケース94とを有する。モータケース94は、モータケース94の外箱であって、車幅方向に延びる筒状のハウジングとしてのステータ支持部94aと、ステータ支持部94aの車幅方向両端の2つの開口を塞ぐロータカバーとしての左右のロータ支持部94L、94Rとを有する。
ステータ90は、積層鋼板からなる円筒状のステータコア90aを有する。ステータコア90aには、モータ20の周方向に複数のスロット90bが所定角度間隔で形成されている。複数のスロット90bにはコイル90cが巻回されている。ステータ支持部94aは、ステータコア90aの外周面、すなわち、ステータ90におけるモータ20の径方向の外側面を固定状態で支持するステータホルダである。これにより、積層鋼板から構成されるステータコア90aの機械的強度が補強される。なお、ステータコア90aは、例えば、焼き嵌めによってステータ支持部94aに固定される。
ステータ90の径方向内側には、ロータ92が配置されている。ロータ92は、積層鋼板からなる円筒状のロータコア92aを有する。ロータコア92aには、モータ20の周方向に複数のスロット92bが所定角度間隔で形成されている。複数のスロット92bには磁石92cが配置されている。ロータコア92aの中心には、モータ軸96が車幅方向に貫通している。モータ軸96は、2つのロータ支持部94L、94Rの中心部に形成された開口を貫通して車幅方向に延在している。モータ軸96は、2つの開口に設けられた軸受106L、106Rを介して2つのロータ支持部94L、94Rに軸支されている。つまり、ロータ92は、モータ軸96及び2つの軸受106L、106Rを介して、回転自在に2つのロータ支持部94L、94Rに軸支されている。
モータ軸96の左端部96Lは、左側のロータ支持部94Lから車幅方向外側(左方向)に突出している。左側のロータ支持部94Lにおいて、モータ軸96の左端部96Lが突出する箇所は、車幅方向内側に凹む凹部108として形成されている。凹部108は、カバー部材110によって左方から覆われている。従って、スイングアーム本体98からスイングアームカバー102を取り外しても、モータ軸96の左端部96Lが露出することはない(図3及び図5参照)。
凹部108とカバー部材110とで形成される内部空間には、ロータ92及びモータ軸96の回転角度を検出する回転角度検出部112が配設されている。回転角度検出部112は、レゾルバであって、モータ軸96の左端部96Lに取り付けられたレゾルバロータ112aと、レゾルバロータ112aに対向するように左側のロータ支持部94Lに固定されたレゾルバステータ112bとを有する。なお、レゾルバは周知であるため、その詳細な説明は省略する。
一方、モータ軸96の右端部(先端部)96Rは、スイングアーム本体98のモータ収容部98cに指向するように、右側のロータ支持部94Rから車幅方向内側(右方向)に突出している。従って、右側のロータ支持部94Rとステータ支持部94aの右側部分とが、モータ収容部98cとの対向部分となる。スイングアーム本体98のモータ収容部98cの右側には、後述する減速機114を収容する減速機収容部116が設けられている。
モータ軸96の右端部96Rは、減速機収容部116に挿入され、該減速機収容部116に設けられた軸受118によって軸支されている。また、モータ軸96の右端部96R側には、スプライン加工が施されている。スプライン加工が施された部分には、後輪16の車軸(出力軸)16aを回転させるためのモータ側ギヤ120(歯車)が挿入されている。さらに、モータ側ギヤ120と軸受118との間には、モータ側ギヤ120の抜け止めを防止するためのワッシャ122が介挿されている。なお、モータ収容部98cに対してモータ20を交換可能とするため、ワッシャ122は、モータ軸96に対して低圧入のワッシャであることが望ましい。低圧入のワッシャ122であるため、組み付けが容易である。
また、減速機収容部116には、減速機114を構成するモータ側ギヤ120等を潤滑する潤滑油が充填されている。そのため、右側のロータ支持部94Rとモータ軸96との間には、減速機収容部116からモータケース94への潤滑油の漏洩を阻止するためのオイルシール121が設けられている。また、右側のロータ支持部94Rとモータ収容部98cとの間で、該ロータ支持部94R側には、減速機収容部116からの潤滑油の漏洩を阻止するためのOリング123が設けられている。
2つのロータ支持部94L、94R及びステータ支持部94aには、車幅方向に延びる複数のネジ孔(第1貫通孔、第2貫通孔)124が、モータ20の周方向に所定角度間隔で形成されている。これらのネジ孔124には、複数のボルト126、128が螺合する。図3~図5に示すように、本実施形態では、ネジ孔124が9箇所形成されている。
このうち、3箇所のネジ孔124には、長さの短いボルト126が螺合している。短いボルト126は、ロータ支持部94L、94Rとステータ支持部94aとの固定に用いられる。図5に示すように、短いボルト126は、ネジ孔124に対して左方から挿入されることで、ロータ支持部94L及びステータ支持部94aをロータ支持部94Rに締付固定する。
一方、他の6箇所のネジ孔124には、長いボルト(固定手段)128が螺合している。長いボルト128は、2つのロータ支持部94L、94R及びステータ支持部94aを含むモータケース94のモータ収容部98cへの固定に用いられる。すなわち、長いボルト128は、ネジ孔124に対して左方から挿入され、モータ収容部98cに設けられたボルト穴130に螺合することで、ロータ支持部94L、ステータ支持部94a及びロータ支持部94Rをモータ収容部98cに締付固定する。
なお、ネジ孔124の個数及び形成位置や、各ネジ孔124に螺合するボルト126、128の種類及び個数は任意であり、スイングアーム18及びモータ20の仕様等に応じて設計変更してもよいことは勿論である。
そして、第1の構成では、電動車両10を製造する際、スイングアーム本体98のモータ収容部98cにモータ20を取り付ける。モータ20は、ステータ90及びロータ92をモータケース94に収容し、モータ軸96の右端部96Rを右側のロータ支持部94Rから突出させた組立体(ユニット)の状態で、電動車両10の製造工程に供される。その際、長さの短いボルト126は、本留めの状態でロータ支持部94L、94Rとステータ支持部94aとを固定し、一方で、長いボルト128は、仮留めの状態にしておけばよい。
この場合、先ず、モータ軸96の右端部96Rを減速機収容部116に挿入し、軸受118に軸支させる。その際、モータ軸96の右端部96R側のスプライン加工された部分にモータ側ギヤ120とワッシャ122とを嵌め込んだ状態で、モータ20の右端部96Rを軸受118に軸支させればよい。次に、長いボルト128が仮留めされている6箇所のネジ孔124とモータ収容部98c側の6箇所のボルト穴130とを位置決めした後に、長いボルト128をネジ孔124及びボルト穴130に螺合させることで、モータケース94をモータ収容部98cに固定する。これにより、モータ収容部98cにモータ20が収容され、スイングアーム18に対するモータ20の取付作業が完了する。
<2.2 第2の構成>
第2の構成は、モータ収容部98cに収容されたモータ20の一部を外部に露出させることで、モータ20を効率的に冷却させるための構成である。
図1及び図2に示すように、スイングアームカバー102には、モータケース94の一部を外部に露出させる開口部分としての露出部132が形成されている。具体的に、露出部132は、図1の側面視で、モータケース94の後部を外部に露出させるように、スイングアームカバー102のモータ収容部98cに対応する箇所で、前方から後方に向って円弧状に形成された開口部である。また、露出部132は、図2に示すように、車幅方向に一定の幅を有するように開口し、モータケース94を車幅方向に外部に露出させている。しかも、円弧状の露出部132は、前方から後方に向かう程、上下方向に幅広になり、露出面積が徐々に大きくなっている。
従って、スイングアームカバー102は、図1の側面視で、モータケース94の中心部分、すなわち、モータ軸96及び回転角度検出部112(図5参照)を左方から覆う円形部102aを有する。図1及び図2に示すように、円形部102aとスイングアームカバー102の後端部102bとは、前後方向に延びる連結部102cで連結されている。また、露出部132は、図4に示すように、コイル90cが巻回されるスロット90bに対応するように設けられている。さらに、露出部132は、図1、図2及び図4に示すように、複数のボルト126、128がスイングアームカバー102で覆われるように、モータケース94の一部を外部に露出させている。
前述のように、モータ20は、三相の交流モータである。後述するように、モータ20は、PCU66から三相線としての給電線134を介してコイル90cに交流電力を供給することで回転駆動する。この場合、給電線134は、モータ20から前方に引き出されている。そのため、スイングアームカバー102及びスイングアーム本体98は、給電線134を前方及び側方から覆っている。
<2.3 第3の構成>
第3の構成は、モータ20からの給電線134の引き回し、及び、回転角度検出部112からの通信線136の引き回しに関する構成である。
図6及び図7に示すように、スイングアーム本体98の一端部98aにおいて、後輪16の前方の箇所には、前方に開口する貫通孔138が形成されている。この貫通孔138は、スイングアーム本体98の一端部98aにおいて、ピボット軸54の上方、且つ、2つの軸受100の間の箇所に形成されている。
給電線134は、図3、図4、図6及び図7に示すように、剛性の高い三相線のハーネスであって、スイングアーム18の内部形状に沿って、スイングアーム18内を引き回されている。すなわち、給電線134は、スイングアーム18の内部でモータ20から前方に延び、スイングアーム本体98の一端部98aで車幅方向の内側に曲がり、貫通孔138からスイングアーム18の前方に延出している。この場合、給電線134は、ピボット軸54の上方で2つの軸受100の間から貫通孔138を介してスイングアーム18の前方に延出している。そして、貫通孔138から引き出された給電線134は、ピボット軸54の上方に引き回され、バッテリ62の後ろ斜め下方に配置されたPCU66に接続されている。従って、PCU66とモータ20とは、給電線134を介して交流電力の授受を行う。
一方、回転角度検出部112からは通信線136が引き出されている。通信線136は、給電線134よりも剛性の低いハーネスである。そのため、通信線136は、給電線134と比較して引き回しが容易であり、給電線134に這わせるように、スイングアーム18内で回転角度検出部112から前方に延び、スイングアーム本体98の一端部98aで車幅方向の内側に曲がり、貫通孔138からスイングアーム18の前方に延出している。そのため、通信線136もピボット軸54の上方で2つの軸受100の間から貫通孔138を介してスイングアーム18の前方に延出する。そして、貫通孔138から引き出された通信線136は、ピボット軸54の上方に引き回され、PCU66に接続される。従って、PCU66と回転角度検出部112とは、通信線136を介して、ロータ92及びモータ軸96の回転角度の検出結果の送受信が可能である。
また、スイングアーム18の内部、具体的には、スイングアーム本体98の一端部98aにおいて、給電線134と通信線136とは、固定部139によって一端部98a内に固定されている(図6及び図7参照)。
具体的に、固定部139は、給電線134及び通信線136を結束するグロメット等の結束部材140と、給電線134及び通信線136を結束部材140ごと締め付ける環状のステーであるクランプ部材142と、クランプ部材142を一端部98a内に固定するボルト等の固定部材143とを備える。
この場合、図10Aのように、クランプ部材142が1つの環状部材であれば、両端部に形成された孔に固定部材143のネジ部分を挿通させ、該ネジ部分を一端部98aに形成されたネジ穴に螺合させることで、給電線134及び通信線136を一端部98a内に固定する。
あるいは、クランプ部材142は、図10Bのように、基端部が固定部材143に固定され、先端部が向かい合う2つの板状部材142a、142bによって環状に形成される分割型の環状部材であってもよい。
この場合、一方の板状部材142aは、図10Bの断面視で、基端部から上方に延び、中間部分が給電線134及び通信線136を上方から覆う2つの円弧状部として形成され、先端部が下方に指向している。また、他方の板状部材142bは、図10Bの断面視で、一端部98aの内周面に沿って延びる略L字状の部材であり、先端部が一方の板状部材142aの先端部と向かい合っている。従って、クランプ部材142が分割型である場合、2つの板状部材142a、142bの基端部に形成された孔に固定部材143のネジ部分を挿通させ、該ネジ部分を一端部98aに形成されたネジ穴に螺合させることで、給電線134及び通信線136を一端部98a内に固定することができる。
また、図11に示すように、クランプ部材142の一部が貫通孔138を通過して前方に延出(露出)してもよい。この場合、固定部材143は、クランプ部材142の露出部分を一端部98aに固定すればよい。
なお、図6、図7及び図10A~図11では、給電線134及び通信線136を一端部98aに固定する場合について説明した。第3の構成では、スイングアーム18内で給電線134及び通信線136を該スイングアーム18に固定できればよい。従って、連結部98b内で給電線134及び通信線136を該連結部98bに固定してもよい。
また、第3の構成では、貫通孔138が前方に開口するように形成されている。そのため、電動車両10の走行時には、前方から貫通孔138を介して水等の液体がスイングアーム18内に浸入する可能性がある。そこで、スイングアーム本体98の底部には、水抜き用の孔144が形成されている。図6、図7及び図11では、一例として、スイングアーム本体98の底部における貫通孔138近傍の箇所に孔144を形成した場合を図示している。
さらに、スイングアーム本体98の内部において、貫通孔138とモータ収容部98cとの間、具体的には、連結部98bの後部からモータ収容部98cまでの箇所には、スイングアーム本体98の強度を補強するための複数のリブ146が設けられている。
<2.4 第4の構成>
第4の構成は、減速機収容部116内の温度上昇に起因して、減速機収容部116内の圧力(内圧)が上昇することにより、減速機114に用いられる潤滑油が揮発した際に、霧状の潤滑油を含む気体を外部に排出して内圧を低下させるためのブリーザチューブ148に関する構成である。ここで、減速機収容部116周りの構成について説明する。
図5、図8及び図9に示すように、スイングアーム18には、スイングアーム本体98の車幅方向内側に取り付けられ、減速機114を収容する減速機収容部116がさらに設けられている。減速機収容部116よりも車幅方向内側であって、後輪16のホイール16bの内側には、ブレーキ機構150が設けられている。従って、後輪16の周辺では、車幅方向の左側から右側に向かって、モータ20、減速機114及びブレーキ機構150が順に配置されている。
また、スイングアーム本体98のモータ収容部98cの右側には、ボルト152によってギヤケースカバー154が固定されている。モータ収容部98cとギヤケースカバー154とによって形成される内部空間が減速機収容部116として構成される。
減速機114は、モータ軸96に装着されたモータ側ギヤ120と、モータ軸96の後方に配置され、車幅方向に延びる中間軸156と、中間軸156に装着され、モータ側ギヤ120に噛合するリダクションギヤとしての中間ギヤ158と、中間軸156の後方に配置された後輪16の車軸16aに装着され、中間軸156の車幅方向左側に形成されたギヤ部160に噛合する出力ギヤ162とを有する。
中間軸156の右端部は、ギヤケースカバー154に配置された軸受164Rに軸支されている。中間軸156の左端部は、モータ収容部98cの右側に配置された軸受164Lに軸支されている。車軸16aの左端部は、モータ収容部98cの右側に配置された軸受166Lに軸支されている。車軸16aの右端部は、ギヤケースカバー154を貫通して外部に露出し、後輪16のホイール16bに連結されている。車軸16aの右端部側は、ギヤケースカバー154に配置された軸受166Rに軸支されている。
従って、モータ20が駆動してモータ軸96が回転した際、モータ20の駆動力がモータ側ギヤ120、中間ギヤ158、中間軸156、ギヤ部160及び出力ギヤ162を介して車軸16aに伝達され、車軸16aに連結された後輪16を回転させることができる。この場合、減速機114は、モータ軸96の回転速度を中間ギヤ158によって減速させ、車軸16a及び後輪16を回転駆動させる。
ブレーキ機構150は、ドラムブレーキであって、ホイール16bの内側に設けられたドラム150aと、車軸16aを挟んで両側に配置された2つのシュー150bと、シュー150bのドラム150a側に配置されたライニング150cとを有する。この場合、2つのシュー150bの間に介挿されたバネ部材150dの引張力に抗して、2つのシュー150bを互いに離間させると、2つのシュー150bのライニング150cがドラム150aをそれぞれ押圧するので、ドラム150aが装着されたホイール16b(後輪16)の回転を制動させることができる。なお、ドラムブレーキは周知であるため、その詳細な説明は省略する。
そして、第4の構成において、スイングアーム18には、減速機収容部116から延出するブリーザチューブ148が設けられている(図2~図4、図8及び図9参照)。ブリーザチューブ148は、減速機収容部116の上方に配設されている。従って、ブリーザチューブ148は、減速機収容部116と同様に、モータ20と後輪16との間に配置されている。
ブリーザチューブ148の入口である一端部148aは、ギヤケースカバー154に固定された状態で、減速機収容部116に連通している。また、ブリーザチューブ148の出口である他端部148bは、スイングアーム18の上方で、スイングアーム18と共に揺動可能なフェンダ60に配置されている。この場合、フェンダ60の左側面に設けられた筒状の固定部168にブリーザチューブ148の他端部148bを挿し込むことで、該他端部148bがフェンダ60に固定される。従って、ブリーザチューブ148は、一端部148a(入口)が下向きに指向し、他端部148b(出口)が上向きに指向した状態で、配置されている。
図8及び図9に示すように、モータ収容部98cの右側において、減速機収容部116の上方には、前後方向に延びる上壁部170が形成されている。ブリーザチューブ148は、減速機収容部116から上方に延び、上壁部170に沿って前方に屈曲し、上壁部170の前端部で上方に屈曲してフェンダ60の固定部168に延びている。この場合、上壁部170は、ブリーザチューブ148の他端部148bが一端部148aよりも高くなるように傾斜している。そのため、ブリーザチューブ148において、上壁部170に配置される中間部分148cは、前方に向かって徐々に高くなるように傾斜して上壁部170に配置されている。上壁部170には、上方に突出することで、ブリーザチューブ148を上壁部170とモータ収容部98cの右側部分とに固定するための突起等の固定部172が設けられている。
フェンダ60の前方の側面には、上下方向及び前後方向に延びる板部材174が一体に成形されている。ブリーザチューブ148の他端部148b(出口)は、板部材174の左側に配置される。従って、板部材174は、ブリーザチューブ148と後輪16の間に配置されている。
一方、ブリーザチューブ148の一端部148a(入口)は、図8に示すように、モータ軸96と車軸16aとの間、より詳しくは、中間軸156と車軸16aとの間に配置されている。
[3.本実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る電動車両10の効果について、第1~第4の構成の順に説明する。
本実施形態に係る電動車両10は、車体フレーム22と、車体フレーム22に設けられたピボット軸54と、前端部(一端部)がピボット軸54に軸支され、後端部(他端部)が後輪16を支持するスイングアーム18と、スイングアーム18に配置され、後輪16を駆動するモータ20とを備える。
<3.1 第1の構成の効果>
そして、第1の構成として、電動車両10は、スイングアーム18に設けられ、モータ20を収容するモータ収容部98cをさらに備える。モータ20は、ステータ90と、ロータ92と、ステータ90を固定状態で内部に収容し、一方で、ロータ92を回転自在に内部に収容するモータケース94とを有し、モータケース94のモータ収容部98cとの対向部分をモータ収容部98cに固定する。
これにより、第1の構成では、ステータ90及びロータ92が収容されたモータケース94をモータ収容部98cに固定するだけで、モータ20がスイングアーム18に配置されるので、電動車両10の生産効率を向上させることができる。
また、モータケース94には、モータ収容部98cに指向するネジ孔(第1貫通孔)124が形成され、ネジ孔124にボルト128を挿通させることで、モータケース94におけるモータ収容部98cとの対向部分を該モータ収容部98cに固定する。これにより、モータケース94をモータ収容部98cに容易に固定することができる。
さらに、モータケース94は、ロータ92を回転自在に支持するロータ支持部94L、94Rと、ステータ90におけるモータ20の径方向の外側面を支持するステータ支持部94aとを有する。ステータ支持部94a及びロータ支持部94L、94Rをモータケース94の一部として機能させることで、モータ20の部品点数を削減することができる。
さらにまた、ロータ支持部94L、94R及びステータ支持部94aには、モータ収容部98cに指向するネジ孔(第2貫通孔)124が形成され、ロータ支持部94R及びステータ支持部94aの一部が対向部分として構成されている。この場合、ネジ孔124にボルト128を挿通させることで、対向部分がモータ収容部98cに固定される。これにより、モータ20の部品点数を削減しつつ、モータケース94をモータ収容部98cに容易に固定することができる。
また、ロータ92には、右端部(先端部)96Rがモータ収容部98cに指向するようにモータケース94から突出するモータ軸96が軸支されている。モータ軸96の右端部96Rは、モータ収容部98c側に設けられた軸受118によって、回転自在に支持される。これにより、モータ軸96をモータ収容部98cに好適に支持することができる。
この場合、モータ軸96の右端部96R側にはスプライン加工が施され、スプライン加工が施された部分には、後輪16の車軸16aを駆動させるためのモータ側ギヤ(歯車)120が挿入されている。また、モータ側ギヤ120と軸受118との間には、抜け止め用のワッシャ122が設けられている。これにより、モータ側ギヤ120がモータ軸96から抜けることを回避することができる。
<3.2 第2の構成の効果>
第2の構成において、電動車両10は、スイングアーム18に設けられ、モータ20を収容するモータ収容部98cをさらに備える。モータ20は、該モータ20の駆動部であるステータ90及びロータ92を収容するモータケース94を有する。スイングアーム18は、モータケース94の一部を外部に露出させる露出部132を設けたスイングアームカバー102を有する。
これにより、第2の構成では、スイングアームカバー102に設けられた露出部132を介してモータ20の熱を外部に放熱する。この結果、スイングアーム18のモータ収容部98cに収容されたモータ20を効率よく冷却することができる。
また、電動車両10は、モータ20に給電する給電線134をさらに有する。スイングアームカバー102は、給電線134を覆う。これにより、給電線134を保護しつつ、電動車両10のデザイン性を向上させることができる。
この場合、給電線134は、モータ20の前方に配置され、スイングアームカバー102は、給電線134を前方から覆う。これにより、電動車両10の走行中、前方からの飛び石等から給電線134を保護することができる。
さらに、モータ20は、三相の交流モータであり、給電線134は、交流モータに給電する三相線であればよい。これにより、電動車両10を好適に走行させることができる。
さらにまた、露出部132は、モータケース94の後部を外部に露出させる。これにより、前方からの飛び石等から給電線134を保護しつつ、モータ20を冷却することができる。
また、露出部132は、モータケース94を電動車両10の車幅方向に外部に露出させる。これにより、モータ20の冷却効率をさらに向上させることができる。
さらに、露出部132は、電動車両10の後方に向かう程、幅広になる。これにより、前方からの飛び石等からスイングアーム18の内部を保護しつつ、モータ20の冷却効率を向上させることができる。
さらにまた、スイングアームカバー102は、側面視で、モータケース94の中心部分を覆う。これにより、回転角度検出部112やモータ軸96等を保護することができる。
また、露出部132は、側面視で、円弧状に形成されている。これにより、モータ20を構成するステータ90を効率よく冷却することができる。
さらにまた、モータケース94の内部で固定されるステータ90と、モータケース94の内部で回転自在に軸支されるロータ92とでモータ20の駆動部が構成されている。そのため、第2の構成では、ステータ90及びロータ92を好適に冷却することができる。
また、露出部132は、側面視で、ステータ90に形成され、コイル90cが巻回されるスロット90bに対応するように設けられている。これにより、ステータ90の冷却を一層効率よく行うことができる。すなわち、コイル90cは、給電線134から供給される電力によって通電するため、モータ20において、最も発熱量が大きな部品である。従って、コイル90cに対応して露出部132を設けることで、ステータ90を一層効率よく冷却することができる。
さらに、モータ20は、モータケース94がボルト(固定手段)128を介してモータ収容部98cに固定されることで、モータ収容部98cに収容される。露出部132は、ボルト128がスイングアームカバー102で覆われるように、モータケース94の一部を外部に露出させる。これにより、ボルト128を隠して電動車両10のデザイン性を向上させつつ、モータ20の冷却を行うことができる。
<3.3 第3の構成の効果>
第3の構成において、電動車両10は、スイングアーム18内の後輪16の側方に設けられ、モータ20を収容するモータ収容部98cと、モータ20に給電する給電線134とをさらに備える。この場合、スイングアーム18の前端部(一端部98a)における後輪16の前方の箇所には、貫通孔138が形成される。給電線134は、スイングアーム18内でモータ20から前方に延び、一端部98aで電動車両10の車幅方向の内側に曲がり、貫通孔138からスイングアーム18の外部に延出される。
これにより、給電線134は、モータ20からスイングアーム18の内部を通り、一端部98aに形成された貫通孔138から外部に延出される。この結果、スイングアーム18の内部から外部に給電線134を配設する際、給電線134をあまり屈曲させることなく、より直線的に配設することができる。また、給電線134の外部への露出度が低くなるので、外部で給電線134を保護するための部品点数の削減や、外観性の向上を図ることもできる。さらに、スイングアーム18の上方又は下方のスペースが確保されるので、例えば、ピボット軸54の上方にバッテリ62を搭載するスペースを確保することができる。この結果、スイングアーム18の最低地上高を確保することができる。
また、ピボット軸54の車幅方向の両端部には、2つの軸受100が設けられている。一端部98aは、2つの軸受100を介してピボット軸54に軸支される。貫通孔138は、一端部98aにおける2つの軸受100の間の箇所に形成され、給電線134は、2つの軸受100の間から貫通孔138を介してスイングアーム18の外部に延出される。
このように、給電線134は、車幅方向の外側ではなく、車幅方向の内側で外部に露出する。これにより、電動車両10のコーナリング時に該電動車両10を傾けた場合、路面への給電線134の接触が回避されるので、電動車両10のバンク角を確保することが可能となる。
さらに、貫通孔138は、一端部98aにおけるピボット軸54の上方の箇所に形成され、給電線134は、ピボット軸54の上方から貫通孔138を介してスイングアーム18の外部に延出される。これにより、スイングアーム18を含めた電動車両10の最低地上高を確保することができる。
さらにまた、スイングアーム18内の貫通孔138とモータ収容部98cとの間には、リブ146が設けられている。これにより、スイングアーム18の機械的強度を補強することができる。
また、電動車両10は、モータ20に配置され、モータ20の回転角度を検出する回転角度検出部112と、回転角度検出部112から延出する通信線136とをさらに備える。この場合、通信線136は、給電線134に這わせるように、スイングアーム18内で回転角度検出部112から前方に延び、一端部98aで車幅方向の内側に曲がり、貫通孔138からスイングアーム18の外部に延出される。これにより、給電線134と共に、スイングアーム18内の屈曲を少なくして、外部への露出を避けつつ、外観性を向上させることができる。
また、電動車両10は、スイングアーム18内で給電線134をスイングアーム18に固定する固定部139をさらに備える。これにより、スイングアーム18の内部で直線的に配設された給電線134を保持することができる。
この場合、固定部139は、給電線134を締め付ける環状のクランプ部材142と、クランプ部材142をスイングアーム18に固定する固定部材143とを備える。これにより、スイングアーム18の内部で給電線134を確実に保持することができる。
具体的に、クランプ部材142は、1つの環状部材であるか、又は、基端部が固定部材143に固定され、先端部が向かい合う2つの板状部材142a、142bによって環状に形成される分割型の環状部材であればよい。クランプ部材142が1つの環状部材であれば、少ない部品点数で給電線134を保持することができる。一方、クランプ部材142が分割型の部材であれば、スイングアーム18からモータ20を取り外す際に、スイングアーム18を分解(分割)することなく、給電線134を取り出すことができる。この結果、モータ20の取り外し作業の作業性が向上する。
また、クランプ部材142の一部が貫通孔138を通過して外部に延出する場合、固定部材143は、クランプ部材142の露出部分をスイングアーム18に固定すればよい。これにより、スイングアーム18から固定部材143を取り外すだけで、給電線134をスイングアーム18から取り出すことが可能となる。この結果、モータ20の取り外し作業を一層効率よく行うことができる。
さらに、スイングアーム18の底部には、水抜き用の孔144が形成されている。これにより、貫通孔138を介してスイングアーム18内に浸入した液体は、孔144を介して下方に落下する。この結果、水等の液体に起因する給電線134の短絡等の発生を回避することができる。
また、電動車両10は、車体フレーム22に支持されるバッテリ62及びPCU(電子部品)66をさらに有する。給電線134は、貫通孔138から外部に引き出されてPCU66に接続される。PCU66は、バッテリ62から供給される電力を、給電線134を介してモータ20に供給する。これにより、PCU66からモータ20に電力を供給して該モータ20を駆動させることができる。
この場合、モータ20が交流モータであり、給電線134が交流モータに給電する三相線であるため、電動車両10を適切に走行させることができる。
<3.4 第4の構成の効果>
第4の構成において、電動車両10は、モータ20の駆動力を後輪16に伝達する減速機114と、スイングアーム18に設けられ、減速機114を収容する減速機収容部116と、減速機収容部116から延出するブリーザチューブ148とを備える。ブリーザチューブ148の一端部148aは、減速機収容部116に連通する。ブリーザチューブ148の他端部148bは、スイングアーム18の上方で、スイングアーム18と共に揺動可能なフェンダ60(電動車両10の部品)に配置されている。
これにより、ブリーザチューブ148の他端部148bが上向きに配置されているので、ブリーザチューブ148内で液化した潤滑油は、ブリーザチューブ148の一端部148aを介して減速機収容部116に戻る。この結果、液化した潤滑油が外部に排出されることはないので、電動車両10等が汚れることを回避することができる。
また、減速機収容部116及びブリーザチューブ148は、モータ20と後輪16との間に配置されている。これにより、モータ20と後輪16との間の空間を有効活用することができる。
さらに、ブリーザチューブ148は、スイングアーム18の減速機収容部116の近傍に設けられた上壁部170に沿って配置されている。これにより、電動車両10の走行中の飛び石等からブリーザチューブ148を保護しつつ、走行風でブリーザチューブ148を冷却することができる。また、上壁部170に配置することで、走行時の振動によりブリーザチューブ148がばたついても、後輪16と接触しないようにすることができる。
この場合、上壁部170は、ブリーザチューブ148の他端部148bが一端部148aよりも高くなるように傾斜している。これにより、ブリーザチューブ148が冷却することで、気体が潤滑油に液化した場合でも、潤滑油は、ブリーザチューブ148の一端部148aから減速機収容部116に戻る。この結果、ブリーザチューブ148の他端部148bから外部に潤滑油が排出されることを回避することができる。
また、上壁部170には、ブリーザチューブ148をスイングアーム18及び上壁部170に固定するための固定部172が設けられている。これにより、ブリーザチューブ148が後輪16に巻き込まれることを防止することができる。
さらに、ブリーザチューブ148は、出口である他端部148bを上向きに指向した状態で配置されている。これにより、ブリーザチューブ148の出口から外部に潤滑油が排出されることを確実に防止することができる。
さらにまた、ブリーザチューブ148は、入口である一端部148aを下向きに指向した状態で配置されている。これにより、ブリーザチューブ148内で液化した潤滑油を確実に減速機収容部116に戻すことができる。
また、ブリーザチューブ148の出口である他端部148bは、フェンダ60の側面に配置されている。これにより、ブリーザチューブ148の他端部148bを簡単に固定することができる。
この場合、ブリーザチューブ148と後輪16の間には、板部材174が配置されている。これにより、ブリーザチューブ148の他端部148bがフェンダ60から外れたときに、ブリーザチューブ148が後輪16に巻き込まれることを回避すると共に、出口から排出された潤滑油が後輪16に付着することを回避することができる。
さらに、板部材174は、フェンダ60と一体に成形されている。これにより、板部材174を容易に設けることができる。
さらにまた、ブリーザチューブ148の入口である一端部148aは、モータ20のモータ軸96と、モータ軸96からの駆動力を後輪16に伝達する車軸(出力軸)16aとの間に設けられている。これにより、減速機収容部116内の温度上昇による内圧の上昇で、霧状の潤滑油を含む気体が発生した際に、当該気体を外部に効率よく排出することができる。
この場合、ブリーザチューブ148の入口は、モータ軸96から車軸16aに駆動力を伝達する減速機114の中間軸156と、車軸16aとの間に設けられている。これにより、霧状の潤滑油を含む気体を外部に一層効率よく排出することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態の記載範囲に限定されることはない。上記の実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。また、請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。

Claims (12)

  1. 車体フレーム(22)と、前記車体フレーム(22)に設けられたピボット軸(54)と、一端部が前記ピボット軸(54)に軸支され、他端部が後輪(16)を支持するスイングアーム(18)と、前記スイングアーム(18)に配置され、前記後輪(16)を駆動するモータ(20)とを備える電動車両(10)において、
    前記スイングアーム(18)内の前記後輪(16)の一方側の側方に設けられ、前記モータ(20)を収容するモータ収容部(98c)と、前記モータ(20)に給電する給電線(134)とをさらに備え、
    前記スイングアーム(18)の一端部における前記後輪(16)の前方の箇所に、前方に開口するように貫通孔(138)が形成され、
    前記給電線(134)は、前記スイングアーム(18)内で前記モータ(20)から前方に延び、前記スイングアーム(18)の一端部で前記電動車両(10)の車幅方向の内側に曲がり、前記貫通孔(138)から前記スイングアーム(18)の外部に延出され、前記後輪(16)の他方側に引き回され、前記車体フレーム(22)の左右一対の立ち上げ部(34L、34R)の間の空間に配置されたバッテリ(62)の後ろに配置された電子部品(66)に接続される、電動車両(10)。
  2. 請求項1記載の電動車両(10)において、
    前記ピボット軸(54)の前記車幅方向の両端部には、2つの軸受(100)が設けられ、
    前記スイングアーム(18)の一端部は、2つの軸受(100)を介して前記ピボット軸(54)に軸支され、
    前記貫通孔(138)は、前記スイングアーム(18)の一端部における2つの前記軸受(100)の間の箇所に形成され、
    前記給電線(134)は、2つの前記軸受(100)の間から前記貫通孔(138)を介して前記スイングアーム(18)の外部に延出される、電動車両(10)。
  3. 請求項1又は2記載の電動車両(10)において、
    前記貫通孔(138)は、前記スイングアーム(18)の一端部における前記ピボット軸(54)の上方の箇所に形成され、
    前記給電線(134)は、前記ピボット軸(54)の上方から前記貫通孔(138)を介して前記スイングアーム(18)の外部に延出される、電動車両(10)。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の電動車両(10)において、
    前記スイングアーム(18)内の前記貫通孔(138)と前記モータ収容部(98c)との間には、リブ(146)が設けられている、電動車両(10)。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の電動車両(10)において、
    前記モータ(20)に配置され、前記モータ(20)の回転角度を検出する回転角度検出部(112)と、前記回転角度検出部(112)から延出する通信線(136)とをさらに備え、
    前記通信線(136)は、前記給電線(134)に這わせるように、前記スイングアーム(18)内で前記回転角度検出部(112)から前方に延び、前記スイングアーム(18)の一端部で前記車幅方向の内側に曲がり、前記貫通孔(138)から前記スイングアーム(18)の外部に延出される、電動車両(10)。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の電動車両(10)において、
    前記スイングアーム(18)内で前記給電線(134)を前記スイングアーム(18)に固定する固定部(139)をさらに備える、電動車両(10)。
  7. 請求項6記載の電動車両(10)において、
    前記固定部(139)は、前記給電線(134)を締め付ける環状のクランプ部材(142)と、前記クランプ部材(142)を前記スイングアーム(18)に固定する固定部材(143)とを備える、電動車両(10)。
  8. 請求項7記載の電動車両(10)において、
    前記クランプ部材(142)は、1つの環状部材であるか、又は、基端部が前記固定部材(143)に固定され、先端部が向かい合う2つの板状部材(142a、142b)によって環状に形成される分割型の環状部材である、電動車両(10)。
  9. 請求項7又は8記載の電動車両(10)において、
    前記クランプ部材(142)の一部は、前記貫通孔(138)を通過して外部に延出し、
    前記固定部材(143)は、前記クランプ部材(142)の露出部分を前記スイングアーム(18)に固定する、電動車両(10)。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の電動車両(10)において、
    前記スイングアーム(18)の底部には、水抜き用の孔(144)が形成されている、電動車両(10)。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の電動車両(10)において、
    前記バッテリ(62)及び前記電子部品(66)は、前記車体フレーム(22)に支持され、
    前記電子部品(66)は、前記バッテリ(62)から供給される電力を、前記給電線(134)を介して前記モータ(20)に供給する、電動車両(10)。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の電動車両(10)において、
    前記モータ(20)は、交流モータであり、
    前記給電線(134)は、前記交流モータに給電する三相線である、電動車両(10)。
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