図1は、印刷システム100の構成の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、メディア属性センサ10jの構成の例を示す図である。図4は、画像読取装置2のハードウェア構成の例を示す図である。図5は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
図1に示す印刷システム100は、画像形成装置1および画像読取装置2などによって構成される。
画像形成装置1は、画像を用紙またはフィルムなどのメディアに印刷することによって印刷物を生成する。
画像読取装置2は、画像形成装置1によって生成された印刷物から画像を読み取る。読み取られた画像は、画像形成装置1における色のキャリブレーションおよび印刷の条件の設定などのために用いられる。
画像形成装置1は、図1または図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、操作パネル10e、NIC(Network Interface Card)10f、入出力インタフェース10g、スキャンユニット10h、プリントユニット10i、およびメディア属性センサ10jなどによって構成される。
CPU10a、RAM10b、およびROM10cは、画像形成装置1の制御を行う制御部10を構成する。
操作パネル10eは、キー入力部およびタッチパネルディスプレイなどによって構成される。
キー入力部は、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
タッチパネルディスプレイは、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aなどで実行された処理の結果を示す画面などを表示する。
ユーザは、これらの画面を見ながらキー入力部またはタッチパネルディスプレイを操作することによって、印刷システム100に対してデータおよびコマンドなどを入力することができる。
NIC10fは、通信回線を介してパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはサーバなどを相手にTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。
入出力インタフェース10gは、画像読取装置2と通信するための通信装置である。入出力インタフェース10gとして、USB(Universal Serial Bus)またはIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394などの規格の通信装置が用いられる。NIC10fを画像読取装置2と通信するための通信装置として兼用してもよい。
スキャンユニット10hは、プラテンガラスの上にセットされたメディアに記されている画像を読み取って画像データを生成する。
プリントユニット10iは、スキャンユニット10hによって読み取られた画像のほか、他の装置から受信した画像データに示される画像を電子写真方式でメディアに印刷する。以下、プリントユニット10iとして、タンデム方式のカラーの印刷エンジンが用いられる場合を例に説明する。
プリントユニット10iは、図1に示すように、給紙トレイ16、画像形成部17、および搬送部18などによって構成される。
給紙トレイ16には、画像を印刷するためのメディアが格納される。本実施形態では、プリントユニット10iに給紙トレイ16が3つ設けられているが、3つ未満しか設けられていない場合もあれば、4つ以上設けられている場合もある。
以下、プリントユニット10iによる印刷が行われる前のメディアを「メディア4」と記載し、印刷が完了したメディアを「印刷物5」と記載する。
画像形成部17は、トナー像を形成しメディア4に転写するユニットであって、感光体ドラム17A、トナー像形成部17B、一次転写ローラ17C、中間転写ベルト17D、二次転写ローラ17E、および定着装置17Fなどによって構成される。
感光体ドラム17A、トナー像形成部17B、および一次転写ローラ17Cは、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの色ごとに1組ずつ設けられている。ここで、イエローの感光体ドラム17A、トナー像形成部17B、および一次転写ローラ17Cを例に、これらの役割について説明する。
トナー像形成部17Bは、帯電部、光書込部、現像装置、およびドラムクリーナなどによって構成される。
帯電部は、感光体ドラム17Aの表面を一様に帯電させる。光書込部は、感光体ドラム17Aの表面に、印刷する対象の画像のイエローの画素に基づいてレーザ光を走査させることによって、イエローの潜像を形成する。
現像装置は、イエローのトナーによって感光体ドラム17Aの表面にイエローの像(トナー像)を形成する。一次転写ローラ17Cは、中間転写ベルト17Dへトナー像を転写させる。ドラムクリーナは、トナー像が中間転写ベルト17Dへ転写された後、感光体ドラム17Aの表面に残ったトナーを除去する。
マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれのトナー像形成部17Bも同様に、対応する色の感光体ドラム17Aに各色のトナー像を形成する。そして、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれの一次転写ローラ17Cも同様に、中間転写ベルト17Dへ各色のトナー像を転写させる。
二次転写ローラ17Eは、給紙トレイ16から搬送されてきたメディア4へ中間転写ベルト17Dから各色のトナー像を転写する。定着装置17Fは、熱および圧力によってトナー像をメディア4に定着させる。
搬送部18は、メディア4および印刷物5を搬送するユニットであって、メディア4を給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送する複数の搬送ローラ、印刷物5を給紙トレイ16から画像読取装置2へ搬送する複数の搬送ローラ、これらの搬送ローラを駆動するモータ、および両面印刷の際に片面だけ印刷されたメディア4を裏返すための回転部材などによって構成される。
メディア属性センサ10jは、メディア4が給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるごとに、メディア4の属性を検出する。本実施形態では、メディア属性センサ10jは、メディア4の透過率、反射率、厚さ、および表面性を属性として検出するために次のように構成される。なお、「表面性」は、例えば、滑らかさである。
メディア属性センサ10jは、図3に示すように、LED(Light Emitting Diode)10j1、フォトトランジスタ10j2、LED10j3、フォトトランジスタ10j4、および演算部10j5などを有する。
LED10j1は、メディア4に向けて光を照射し、フォトトランジスタ10j2は、メディア4を透過する光を受光する。
演算部10j5は、LED10j1によって照射された光(照射光)およびフォトトランジスタ10j2によって受光された光(透過光)それぞれの強さなどに基づいてメディア4における光の透過率を測定する。そして、透過率および所定の関数などに基づいてメディア4の厚さを検出する。
LED10j3は、メディア4に向けて光を照射し、フォトトランジスタ10j4は、メディア4を反射した光を受光する。
演算部10j5は、LED10j3によって照射された光(照射光)およびフォトトランジスタ10j4によって受光された光(反射光)それぞれの強さなどに基づいてメディア4における光の反射率を測定する。そして、反射率および所定の関数などに基づいてメディア4の表面性を検出する。
なお、これらの情報をCPU10aへ通知し、演算部10j5の代わりにCPU10aによって透過率、反射率、厚さ、または表面性を求めてもよい。
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述の各機能を実現するためのプログラムが記憶されている。特に、本実施形態では、印刷制御プログラム10P(図5参照)が記憶されている。
これらのプログラムは、RAM10bにロードされCPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
印刷制御プログラム10Pは、画像をメディア4に印刷するためのコンピュータプログラムである。印刷制御プログラム10Pの詳細については、後に説明する。
画像読取装置2は、図1または図4に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、補助記憶装置20d、第一のスキャナ20e、第二のスキャナ20f、分光測色計20g、搬送部20h、入出力インタフェース20i、第一の排紙トレイ20j1、および第二の排紙トレイ20j2などによって構成される。
CPU20a、RAM20b、およびROM20cは、画像読取装置2の制御を行う制御部20を構成する。
搬送部20hは、画像形成装置1から搬送されてきた印刷物5を第一のスキャナ20e、第二のスキャナ20f、および分光測色計20gそれぞれの前を通過させながら第一の排紙トレイ20j1または第二の排紙トレイ20j2へ排出する。
なお、印刷物5は、良品であれば第一の排紙トレイ20j1に排出され、そうでなければ(つまり、不良品であれば)第二の排紙トレイ20j2に排出される。
第一のスキャナ20eは、印刷物5の上面(おもて面)をスキャンすることによって、上面全体の画像(以下、「上面画像」と記載する。)の画像データを取得する。
第二のスキャナ20fは、印刷物5の下面(裏面)をスキャンすることによって、下面全体の画像(以下、「下面画像」と記載する。)の画像データを取得する。
なお、第一のスキャナ20eおよび第二のスキャナ20fは、ともにラインイメージセンサであって、メディア4の幅方向の両端を結ぶラインを一度に読み取ることができる。ラインイメージセンサの撮像素子として、例えばCCD(Charge Coupled Device)が用いられる。ラインイメージセンサには、そのほか、読取位置の画像をCCDに導く光学系および読取位置を照らすLED(Light Emitting Diode)光源などが備わっている。
第一のスキャナ20eおよび第二のスキャナ20fは、それぞれ、メディア4の上面および下面を1ラインずつ読み取ることによって、上面および下面それぞれの全体の画像を取得することができる。ただし、メディア4が搬送される速度が速すぎると、読み飛ばしが生じてしまう。
そこで、搬送部20hは、メディア4を、第一のスキャナ20eまたは第二のスキャナ20fが読み飛ばしなく1ラインずつ読み取ることができる最も速い速度(以下、「読取速度S1」)またはそれ以下の速度で搬送する。
分光測色計20gは、測色用パッチ群731(図9参照)を測色する。測色用パッチ群731については、後述する。分光測色計20gは、より正確な測色値を得るために、紫外光源の反射光を受光することによってメディア4の蛍光材の影響を排除する。そして、反射光に基づいて所定の演算を実行することによって、Lab色空間またはXYZ色空間の測色値を得る。
分光測色計20gのレンズの直径は、約4ミリメートルである。したがって、分光測色計20gの読取範囲は、第一のスキャナ20eおよび第二のスキャナ20fそれぞれの読取範囲よりも、かなり狭い。
分光測色計20gが1つの色を測色するためには、一定の時間以上、発光しその反射光を受光しなければならない。以下、この一定の時間を「所要時間T2」と記載する。
入出力インタフェース20iは、画像形成装置1と通信するための通信装置である。入出力インタフェース20iとして、入出力インタフェース10gと同じ規格の通信装置が用いられる。
印刷制御プログラム10Pによると、図5に示す給紙制御部101、種類判別部102、同一性判別部103、調整部104、印刷条件決定部105、画像形成制御部106、画像読取制御部107、検査部108、閾値記憶部109、初期制御部121、スタート時制御部122、不変時制御部123、第一の変化時制御部124、および第二の変化時制御部125などが画像形成装置1に印刷システム100に実現される。
以下、給紙制御部101ないし第二の変化時制御部125を、Nページからなる原稿70の書籍を生成する場合を例に説明する。
なお、画像形成装置1には、両面印刷、微修正、および再キャリブレーションの3つのオプションの機能が予め用意されている。ユーザは、原稿70の書籍を生成させる前に予め、各機能を使用するか否かを指定する。各機能については、後に順次、説明する。
〔基本的な処理〕
図6は、同一性の判別の閾値TH1~TH3の例を説明するための図である。
給紙制御部101は、画像形成部17による画像形成の速度(いわゆる印刷速度)に応じたタイミングでメディア4が1枚ずつ給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるように搬送部18を制御する。
ただし、給紙制御部101は、メディア4として、この書籍のサイズよりも縦および横がそれぞれ6~8センチメートルずつ長い用紙が搬送されるように搬送部18を制御する。このような用紙をメディア4として搬送するのは、検査用の画像を印刷する領域を確保するためである。この領域は、製本の際に切断される。
上述の通り、メディア属性センサ10jは、メディア4が搬送されるごとに、メディア4の属性(厚さおよび表面性)を検出する。
種類判別部102は、メディア属性センサ10jによって検出された属性に基づいて、搬送部18によって搬送されるメディア4の種類を判別する。種類は、公知の方法によって判別すればよい。例えば、メディアの種類ごとの厚さおよび表面性を示すテーブルを予め用意しておき、このテーブルと検出された厚さおよび表面性とを照合することによって判別すればよい。または、メディアの種類ごとの透過率および反射率を示すテーブルを予め用意しておき、このテーブルと検出された透過率および反射率を照合することによって判別してもよい。
なお、すべてのメディア4の種類を判別する必要は、ない。種類を判別するタイミングについては、後に説明する。また、種類は、「厚紙」、「普通紙」、「OHP(Overhead Projector)シート」のような大まかなものに限られない。例えば普通紙の中にも、メーカまたは商品ごとの複数の種類のメディアがある。
同一性判別部103は、k枚目のメディア4が搬送部18によって搬送される際に、k枚目のメディア4の属性と1枚目のメディア4の属性とを比較することによって、k枚目のメディア4の種類と1枚目のメディア4の種類との同一性を判別する。以下、1枚目のメディア4の属性を「基準属性」と記載する。
本実施形態では、同一性の高さを表わすレベルとして、次のレベルLv1~Lv4が用いられる。
・レベルLv1:両者が同一である。
・レベルLv2:両者が異なる可能性が若干高い。
・レベルLv3:両者が異なる可能性がかなり高い。
・レベルLv4:両者が明らかに異なる。
同一性判別部103は、k枚目のメディア4の種類と1枚目のメディア4の種類との同一性を、例えば次のように判別する。
同一性判別部103は、図6のような、X座標が反射率でありY座標が透過率である2次元座標系を仮想する。この2次元座標系における、1枚目のメディア4の座標(Rx1,Ry1)とk枚目のメディア4の座標(Rxk,Ryk)との距離Dkを算出する。なお、「Rx1」および「Ry1」はそれぞれ、1枚目のメディア4の反射率および透過率である。同様に、「Rxk」および「Ryk」はそれぞれ、k枚目のメディア4の反射率および透過率である。
そして、同一性判別部103は、距離Dkが閾値TH1未満であれば、同一性をレベルLv1と判別する。または、閾値TH1以上かつ閾値TH2未満であれば、レベルLv2と判別する。または、閾値TH2以上かつ閾値TH3未満であれば、レベルLv3と判別する。または、閾値TH3以上であれば、レベルLv4と判別する。
閾値TH1~閾値TH3は、閾値記憶部109に記憶されている。そして、後述するように、第一の変化時制御部124または第二の変化時制御部125によって適宜、更新される。
なお、k=2,3,4,5,…、である。つまり、同一性判別部103は、2枚目以降のメディア4が搬出されるごとに、同一性を判別する。
調整部104は、画像形成部17によって画像が理想的な色味でメディア4の理想的な位置に印刷されるように、画像形成部17のキャリブレーションすなわち色調整および位置調整を行う。キャリブレーションの方法および実行するタイミングなどは、後に説明する。
印刷条件決定部105は、種類判別部102によって判別された種類に応じて、画像をメディア4に印刷する条件(定着装置30によってメディア4に加える熱もしくは圧力、メディア4を搬送する速度、または使用するトナーの加減など)を決定する。以下、この条件を「印刷条件」と記載する。
画像形成制御部106は、各ページの画像またはキャリブレーション用の画像が、特定のメディア4の特定の面に印刷されるように、画像形成部17を制御する。どの画像がどのタイミングで印刷させるのかは、後に順次、説明する。
画像読取制御部107は、印刷物5に印刷されている画像を読み取りまたはパッチを測色するように、画像読取装置2を制御する。
検査部108は、印刷物5の品質を、第一のスキャナ20eまたは第二のスキャナ20fによって読み取られた画像または分光測色計20gによって測定された色などに基づいて判別する。
画像読取制御部107および検査部108それぞれの詳細については、後に順次、説明する。
〔キャリブレーション等の初期の処理〕
図7は、キャリブレーションモードにおけるデータ等の流れの例を示す図である。図8は、初期処理の流れの例を説明するフローチャートである。図9は、キャリブレーション用画像73の例を示す図である。図10は、キャリブレーションの直後におけるデータ等の流れの例を示す図である。
原稿70を印刷する指令が印刷システム100に入力されると、処理モードがキャリブレーションモードに設定され、画像形成装置1の初期制御部121などによって、初期設定の処理が実行される。以下、図7などを参照しながら初期設定の処理について説明する。
初期制御部121は、第一の給紙指令6A1を給紙制御部101に与える。種類判別指令6Bを種類判別部102に与える。第一の印刷指令6C1を画像形成制御部106に与える。第一の読取指令6D1を画像読取制御部107に与える。すると、初期設定の処理が図8に示す手順で実行される。
給紙制御部101は、第一の給紙指令6A1が与えられると、原稿70を印刷するものと同じ種類のメディア4が1枚、初期設定用のメディアとして給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるように搬送部18を制御する(図8の#701)。
上述の通り、メディア属性センサ10jは、メディア4が給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるごとに、メディア4の属性を検出する。よって、初期設定用のメディアの属性も、メディア属性センサ10jによって検出される。なお、検出された、初期設定用のメディアの属性は、基準属性として同一性判別部103によって後に用いられる。
種類判別部102は、種類判別指令6Bが与えられると、初期設定用のメディアの属性がメディア属性センサ10jによって検出されるのを待つ。そして、検出された属性に基づいて、初期設定用のメディアの種類を判別する(#702)。
すると、印刷条件決定部105は、種類判別部102によって判別された種類に応じて印刷条件を決定する(#703)。
画像形成制御部106は、第一の印刷指令6C1が与えられると、図9のようなキャリブレーション用画像73が、初期設定用のメディアとして搬送されてきたメディア4に、印刷条件決定部105によって決定された印刷条件で印刷されるように画像形成部17を制御する(#704)。これにより、キャリブレーション用画像73の印刷物が得られる。以下、キャリブレーション用画像73が印刷されたメディア4を「キャリブレーション用シート5B」と記載する。キャリブレーション用シート5Bは、画像読取装置2へ搬送される。
キャリブレーション用画像73には、測色用パッチ群731、色彩調整用パッチ群732、位置調整用パターン733、濃度バランス調整用パターン734、階調補正用パターン735、および細線補正用パターン736が含まれる。
測色用パッチ群731は、プリントユニット10iによって印刷された画像の色味を測定するための、それぞれ異なる複数の特定の色の測色用パッチによって構成される。本実施形態では、7色の測色用パッチ731a~731gによって構成される。
測色用パッチ731a~731gは、キャリブレーション用シート5Bが画像読取装置2の中で搬送される際に分光測色計20gの真下を通過する位置に印刷されている。測色用パッチ731a~731gの幅は、分光測色計20gのレンズの直径よりも少し長い。
色彩調整用パッチ群732は、第一のスキャナ20e単独で測色し色彩を調整するための、それぞれ異なる多数の特定の色の色彩調整用パッチによって構成される。
位置調整用パターン733は、4つの角それぞれに配置されており、メディア4の印刷面における画像の印刷する位置を補正するために用いられる。
濃度バランス調整用パターン734は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれの主走査方向の濃度の傾斜を補正するために用いられる。
階調補正用パターン735は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれの濃度の階調のバランスを調整するために用いられる。
細線補正用パターン736は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれのトナー像形成部17Bの帯電部が照射するレーザ光の強さを調整するために用いられる。
図7に戻って、画像読取制御部107は、第一の読取指令6D1が与えられると、画像読取装置2の各部を次のように制御する。
画像読取制御部107は、キャリブレーション用シート5Bが低速度S4で搬送されるように搬送部20hを制御する(#705)。なお、低速度S4については、後に説明する。
さらに、画像読取制御部107は、キャリブレーション用シート5Bから印刷面全体の画像つまりキャリブレーション用画像73を読み取るように第一のスキャナ20eを制御する(#706)。キャリブレーション用シート5Bから測色用パッチ731a~731gそれぞれを測色し、さらに、キャリブレーション用シート5Bの、何も印刷されていない部分(つまり。キャリブレーション用シート5Bの下地)を測色するように、分光測色計20gを制御する(#707)。
ところで、読み飛ばしを生じることなく第一のスキャナ20eがキャリブレーション用画像73を読み取るには、上述の通り、読取速度S1以下でキャリブレーション用シート5Bを搬送させなければならない。
一方、測色用パッチ731a~731gを測色するためには、上述の通り、それぞれに対して所要時間T2ずつ発光する必要がある。したがって、キャリブレーション用シート5Bが搬送される速度が速すぎると測色することができないことがある。つまり、測色用パッチ731a~731gそれぞれの副走査方向(搬送方向)の長さが長さHであれば、H/T2以下の速度で搬送するのが望ましい。
そこで、画像読取制御部107は、S1およびH/T2のうちの遅いほうの速度でキャリブレーション用シート5Bが搬送されるように搬送部20hを制御する。本実施形態では、S1>H/T2、である。例えば、S1=750ミリメートル/秒、であり、H/T2=330ミリメートル/秒、である。したがって、画像読取制御部107は、330ミリメートル/秒で搬送するように搬送部20hを制御する。
以下、S1およびH/T2のうちの速いほうの速度を「高速度S3」と記載し、遅い方の速度を「低速度S4」と記載する。
また、画像読取制御部107は、キャリブレーション用シート5Bを第二の排紙トレイ20j2に排出させる(#708)。
さらに、初期制御部121は、第一のスキャナ20eによってキャリブレーション用画像73が読み取られ、分光測色計20gによって測色用パッチ731a~731gが測色されると、第一のキャリブレーション指令6E1を調整部104に与える。
調整部104は、第一のキャリブレーション指令6E1が与えられると、キャリブレーションを次のように実行する(#709)。
調整部104は、第一のスキャナ20eによって読み取られたキャリブレーション用画像73の中の色彩調整用パッチ群732の色彩調整用パッチの色ならびに分光測色計20gによって測色された測色用パッチ731a~731gそれぞれの色、各測色用パッチの本来の色、および測色用パッチ731a~731gそれぞれの本来の色などに基づいて、画像形成部17の発色のバランスを調整する。
さらに、読み取られたキャリブレーション用画像73の位置調整用パターン733、濃度バランス調整用パターン734、階調補正用パターン735、および細線補正用パターン736に基づいて、画像形成部17におけるメディア4への画像の印刷の位置、濃度のバランス、階調のバランス、およびレーザ光の強さを調整する。
キャリブレーションによると、ステップ#703で決定した印刷条件も適宜、変更される。
キャリブレーションが完了すると、給紙および同一性の判別を開始するための処理がスタート時制御部122などによって行われる。以下、図10などを参照しながらこの処理について説明する。
スタート時制御部122は、第二の給紙指令6A2を給紙制御部101に与える。同一性判別指令6Fを同一性判別部103に与える。
給紙制御部101は、第二の給紙指令6A2が与えられると、メディア4が1枚ずつ給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるように搬送部18を制御する。
上述の通り、メディア4が給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるごとにメディア属性センサ10jによってそのメディア4の属性が検出される。
同一性判別部103は、同一性判別指令6Fが与えられると、各メディア4の属性および基準属性に基づいて、前に図6で説明した方法によって、同一性を判別する。同一性がレベルLv1であると判別したら、処理モードを第一のモードに設定する。レベルLv2であると判別したら、第二のモードに設定する。レベルLv3であると判別したら、第三のモードに設定する。
そして、原稿70をメディア4に印刷し印刷物5を検査する処理が、設定された処理モードに応じて行われる。
なお、引き続き、給紙制御部101は、メディア4が1枚ずつ給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送されるように搬送部18を制御する。そして、給紙トレイ16からメディア4が搬出されるごとに、同一性判別部103は、同一性を判別する。
〔第一のモードにおける処理〕
図11は、第一のモードにおけるデータ等の流れの例を示す図である。図12は、第一の印刷処理の流れの例を説明するフローチャートである。図13は、第一のモードにおいて両面印刷のオプションがオフである場合にメディア4に印刷される画像の例を示す図である。図14は、第一のモードにおいて両面印刷のオプションがオンである場合にメディア4に印刷される画像の例を示す図である。
処理モードが第一のモードである場合は、原稿70をメディア4に印刷し印刷物5を検査する処理が主に不変時制御部123によって行われる。以下、図11などを参照しながらこれらの処理について説明する。
不変時制御部123は、第二の印刷指令6C2を画像形成制御部106に与える。第二の読取指令6D2を画像読取制御部107に与える。第一の検査指令6G1を検査部108に与える。すると、原稿70を印刷する処理が図12に示す手順で実行される。
画像形成制御部106は、第二の印刷指令6C2が与えられると、原稿70を第一の検査用画像74とともに次のように印刷する(図12の#721)。
両面印刷のオプションがオフであれば、画像形成制御部106は、図13のように、1枚のメディア4ごとに、その上面に原稿70の1つのページの画像が次々に第一の検査用画像74とともに、最新の印刷条件で印刷されるように、画像形成部17を制御する。
一方、両面印刷のオプションがオンであれば、画像形成制御部106は、図14のように、1枚のメディア4ごとに次々に、最新の印刷条件で、その上面に原稿70の(2m-1)番目ページの画像が第一の検査用画像74とともに印刷されその下面に2m番目のページの画像が印刷されるように、画像形成部17を制御する。
なお、ページの画像は、メディア4の上下左右それぞれの端部に一定の広さの余白4Sが設けられるように印刷される。余白4Sに、第一の検査用画像74が印刷される。余白4Sは、製本される際に断裁される。
第一の検査用画像74には、4つの位置調整用パターン741ならびにイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれの濃度バランス調整用パターン742が含まれる。
位置調整用パターン741は、位置調整用パターン733(図9参照)と同様、メディア4の4つの角それぞれに印刷され、メディア4の印刷面における各ページの印刷する位置を補正するために用いられる。
濃度バランス調整用パターン742は、濃度バランス調整用パターン734と同様、メディア4の右端または左端に印刷され、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれの主走査方向の濃度の傾斜を補正するために用いられる。
画像読取制御部107は、第二の読取指令6D2が与えられると、印刷物5が高速度S3で搬送されるように搬送部20hを制御する(#722)。
さらに、画像読取制御部107は、画像が読み取られるように第一のスキャナ20eを次のように制御する(#723)。
両面印刷のオプションがオフである場合は、画像読取制御部107は、1枚の印刷物5ごとに、その上面の全体の画像が読み取られように第一のスキャナ20eを制御する。両面印刷のオプションがオンである場合は、さらに、1枚の印刷物5ごとに、その下面の全体の画像が読み取られように第二のスキャナ20fを制御する。
検査部108は、第一の検査指令6G1が与えられると、第一のスキャナ20eまたは第二のスキャナ20fによって印刷物5から画像が読み取られるごとに、印刷物5の品質を例えば次のように判別する(#724)。
検査部108は、印刷物5から読み取られた画像がp番目のページの画像であれば、この画像と原稿70のp番目のページの画像とを比較することによって、両画像の差分を算出する。例えば、差分として、両画像の相違する画素の個数を算出する。算出した差分が所定の値以上であれば、印刷物5が許容できない品質つまり不良品であると判別する。
さらに、算出した差分が所定の値未満であれば、検査部108は、読み取られた画像の中の第一の検査用画像74に基づいて、印刷の位置および各色の濃度のバランスに不具合が生じていないかどうかをチェックする。そして、不具合が生じていなければ、印刷物5が許容できる品質つまり良品であると判別する。生じていれば、不良品であると判別する。
そして、画像読取制御部107は、印刷物5が良品である検査部108によって判別されたら(#725でYes)、この印刷物5が第一の排紙トレイ20j1に排出されるように搬送部20hを制御する(#726)。不良品であると判別されたら(#725でNo)、第二の排紙トレイ20j2に排出されるように、搬送部20hを制御する(#727)。
〔第二のモードにおける処理〕
図15は、第二のモードにおけるデータ等の流れの例を示す図である。図16は、第二の印刷処理の流れの例を説明するフローチャートである。図17は、第二のモードまたは第三のモードにおいて両面印刷のオプションがオフである場合にメディア4に印刷される画像の例を示す図である。図18は、第二のモードまたは第三のモードにおいて両面印刷のオプションがオンである場合にメディア4に印刷される画像の例を示す図である。
処理モードが第二のモードである場合は、原稿70をメディア4に印刷し印刷物5を検査する処理が主に第一の変化時制御部124によって行われる。以下、図15などを参照しながらこれらの処理について説明する。
第一の変化時制御部124は、第三の印刷指令6C3を画像形成制御部106に与える。第三の読取指令6D3を画像読取制御部107に与える。第二の検査指令6G2を検査部108に与える。すると、原稿70を印刷する処理が図16に示す手順で実行される。
画像形成制御部106は、第三の印刷指令6C3が与えられると、原稿70を第二の検査用画像75とともに次のように印刷する(図16の#731)。
両面印刷のオプションがオフであれば、画像形成制御部106は、図17のように、1枚のメディア4ごとに、その上面に原稿70の1つのページの画像が次々に第二の検査用画像75とともに、最新の印刷条件で印刷されるように、画像形成部17を制御する。
一方、両面印刷のオプションがオンであれば、画像形成制御部106は、図18のように、1枚のメディア4ごとに次々に、最新の印刷条件で、その上面に原稿70の(2m-1)番目ページの画像が第二の検査用画像75とともに印刷されその下面に2m番目のページの画像が印刷されるように、画像形成部17を制御する。
なお、第二の検査用画像75は、第一の検査用画像74(図13、図14参照)と同様、余白4Sに印刷される。ページの画像は、余白4Sよりも内側に印刷される。
第二の検査用画像75には、白地パッチ751、色彩確認用パッチ群752、位置確認用パターン753、階調確認パターン754、および細線確認パターン755が含まれる。
白地パッチ751は、矩形の枠であって、枠の中にはトナーが使用されない。つまり、枠の中は、メディア4の下地が表われる。
色彩確認用パッチ群752は、特定の色(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラック)それぞれの色彩確認用パッチによって構成される。
位置確認用パターン753は、位置調整用パターン733(図9参照)および位置調整用パターン741(図13、図14参照)と同様に、4つの角それぞれに配置される。
階調確認パターン754は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれの濃度の階調のバランスを確認するために用いられる。
細線確認パターン755は、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックそれぞれのトナー像形成部17Bの帯電部が照射するレーザ光の強さを確認するために用いられる。
画像読取制御部107は、第三の読取指令6D3が与えられると、印刷物5が高速度S3で搬送されるように搬送部20hを制御する(#732)。
さらに、画像読取制御部107は、第二の読取指令6D2が与えられた場合と同様に、両面印刷のオプションがオンであるかオフであるかに応じて、第一のスキャナ20eまたは第二のスキャナ20fに画像を読み取らせる(#733)。
さらに、画像読取制御部107は、白地パッチ751および色彩確認用パッチ群752を分光測色計20g測色させる(#734)。
検査部108は、第二の検査指令6G2が与えられると、第二の検査用画像75の中の、分光測色計20gが白地パッチ751および色彩確認用パッチ群752を測色した結果ならびに第一のスキャナ20eが位置確認用パターン753および階調確認パターン754をスキャンした結果に基づいて、例えば次のように印刷物5を検査する(#735)。
検査部108は、分光測色計20gによって今回測色された白地パッチ751の色とキャリブレーション時に測色された下地の色との差(以下、「下地差」と記載する。)を算出する。
さらに、検査部108は、今回測色された色彩確認用パッチ群752の各色彩確認用パッチの色およびキャリブレーション時に測色された測色用パッチ群731の各測色用パッチの色に基づいて、今回の色彩とキャリブレーション時の色彩との差(以下、「色彩差」と記載する。)を算出する。
さらに、検査部108は、第一のスキャナ20eによって今回スキャンされた階調確認パターン754における各色の階調およびキャリブレーション時にスキャンされた階調補正用パターン735における各色の階調に基づいて、各色の階調の差(以下、「階調差」と記載する。)を算出する。
さらに、検査部108は、第一のスキャナ20eによって今回スキャンされた位置確認用パターン753に基づいて、メディア4における画像の印刷の位置のずれの量(以下、「位置ずれ量」と記載する。)を算出する。
さらに、検査部108は、第一のスキャナ20eによって今回スキャンされた細線確認パターン755に基づいて、各色のトナー像形成部17Bの帯電部が照射するレーザ光の強さと理想的な強さとの差(以下、「強度差」と記載する。)を算出する。
そして、検査部108は、下地差が閾値ST1未満であり、色彩差が閾値ST2未満であり、階調差が閾値ST3未満であり、位置ずれ量が閾値ST4未満であり、かつ強度差が閾値ST5未満である場合は、印刷物5が良品であると判別する。そうでない場合は、印刷物5が不良品であると判別する。
印刷物5が良品であると判別された場合は(#736でYes)、画像読取制御部107は、印刷物5を第一の排紙トレイ20j1に排出させる(#737)。さらに、第一の変化時制御部124は、閾値TH1を、今回の印刷物5から検出された属性を表わす座標と基準属性を表わす座標との距離Dに更新する(#738)。例えば、今回の印刷物5から検出された反射率および透過率がそれぞれRxiおよびRyiである場合は、閾値TH1を、(Rxi,Ryi)と(Rx1,Ry1)との距離に更新する。
一方、画像読取制御部107は、印刷物5が不良品であると判別された場合は(#736でNo)、印刷物5を第二の排紙トレイ20j2に排出させる(#739)。なお、調整部104によって簡易的なキャリブレーションを行ってもよい(#740)。例えば、印刷の位置または濃度のバランスに不具合が生じている場合、不具合が所定の回数以外生じた場合、または再キャリブレーションのオプションがオンである場合に、簡易的なキャリブレーションを行ってもよい。簡易的なキャリブレーションは、第二の検査用画像75の中の、分光測色計20gが白地パッチ751および色彩確認用パッチ群752を測色した結果ならびに第一のスキャナ20eが位置確認用パターン753、階調確認パターン754および細線確認パターン755をスキャンした結果に基づいて行えばよい。
〔第三のモードにおける処理〕
図19は、第三のモードにおけるデータ等の流れの例を示す図である。図20は、第三の印刷処理の流れの例を説明するフローチャートである。
処理モードが第三のモードである場合は、原稿70をメディア4に印刷し印刷物5を検査する処理が主に第二の変化時制御部125によって行われる。以下、図19などを参照しながらこれらの処理について説明する。これらの処理は、図20に示す手順で実行される。
第二の変化時制御部125は、微修正のオプションがオンである場合は(図20の#651でYes)、印刷条件を微修正して原稿70などを印刷する処理を次のように実行する。微修正指令6Hを印刷条件決定部105に与える。第四の印刷指令6C4を画像形成制御部106に与える。第四の読取指令6D4を画像読取制御部107に与える。第三の検査指令6G3を検査部108に与える。
印刷条件決定部105は、微修正指令6Hが与えられると、印刷条件を微修正することによって決定し直す(#752)。例えば、今回の印刷物5から検出された属性(反射率および透過率)と基準属性との差に基づいて印刷条件を微修正する。
画像形成制御部106は、第四の印刷指令6C4が与えられると、第三の印刷指令6C3が与えられた場合と基本的に同様に、原稿70のページが順次、メディア4に印刷されるように、画像形成部17を制御する(#753)。ただし、この際に、微修正された印刷条件で印刷されるように制御する。
画像読取制御部107は、第四の読取指令6D4が与えられると、第三の読取指令6D3が与えられた場合と同様に、印刷物5が低速度S4で搬送されるように搬送部20hを制御し(#754)、印刷物5から画像が読み取られるように第一のスキャナ20eまたは第二のスキャナ20fを制御し(#755)、白地パッチ751および色彩確認用パッチ群752を分光測色計20gに測色させる(#756)。
検査部108は、第三の検査指令6G3が与えられると、第二の検査指令6G2が与えられた場合と同様に、印刷物5を検査する(#757)。
そして、画像読取制御部107は、印刷物5が良品であると検査部108によって判別された場合は(#758でYes)、第二のモードの場合と同様に、印刷物5を第一の排紙トレイ20j1に排出させる(#759)。また、第二の変化時制御部125は、閾値TH2を(Rxi,Ryi)と(Rx1,Ry1)との距離に更新する(#760)。なお、それぞれRxiおよびRyiは、それぞれ、今回の印刷物5から検出された反射率および透過率である。
一方、印刷物5が不良品であると判別された場合は(#758でNo)、画像読取制御部107は、印刷物5を第二の排紙トレイ20j2に排出させる(#761)。なお、第二のモードの場合と同様に、なお、調整部104によって簡易的なキャリブレーションを行ってもよい(#762)。
または、微修正のオプションがオフであり(#751でNo)、再キャリブレーションのオプションがオフである場合は(#763でNo)、原稿70の印刷を中止するための処理が次のように実行される。
第二の変化時制御部125は、中止指令6Jを画像形成制御部106および画像読取制御部107に与える。
画像形成制御部106は、中止指令6Jが与えられると、画像を印刷することなくメディア4が画像読取装置2に搬送されるように画像形成部17および搬送部18を制御する(#764)。
画像読取制御部107は、中止指令6Jが与えられると、画像を読み取ったり測色したりすることなくメディア4が第二の排紙トレイ20j2に排出されるように画像読取装置2を制御する(#765)。
そして、第二の変化時制御部125は、本来使用されるべき用紙とは異なる用紙がメディア4としてセットされたことを知らせるメッセージを操作パネル10eのタッチパネルディスプレイに表示させる(#766)。
または、微修正のオプションがオフであり(#751でNo)、再キャリブレーションのオプションがオンである場合は(#763でYes)、第二の変化時制御部125は、原稿70の印刷を一時的に停止しキャリブレーションを再度実行するために、処理モードをキャリブレーションモードに切り換える(#767)。
すると、初期制御部121が、キャリブレーションをやり直すために、種類判別指令6Bを種類判別部102に与える。第一の印刷指令6C1を画像形成制御部106に与える。第一の読取指令6D1を画像読取制御部107に与える。
そして、前に図8で説明した手順で、種類判別部102、画像形成制御部106、画像読取制御部107、および調整部104などによって、キャリブレーションが改めて行われる。
なお、同一性判別部103によって同一性がレベルLv4であると判別された場合は、ステップ#764~#766の処理が実行される。
図21は、印刷制御プログラム10Pによる処理の流れの例を説明するフローチャートである。
次に、原稿70を印刷する場合を例に、画像形成装置1の全体的な処理の流れを説明する。画像形成装置1は、図21に示す手順で処理を実行する。
画像形成装置1は、原稿70を印刷する指令を受け付けると、処理モードをキャリブレーションモードに設定し、給紙トレイ16から画像形成部17へ1枚、メディア4を搬送し(#71)、キャリブレーションのための処理を行う(#72)。この処理の手順は、前に図8で説明した通りである。
画像形成装置1は、キャリブレーションが完了したら、印刷の対象を、両面印刷のオプションに応じて設定する(#73)。つまり、両面印刷のオプションがオンであれば原稿70の1番目のページに設定し、オフであれば1番目のページおよび2番目のページに設定する。そして、設定したページを印刷する処理を次のように記載する。
画像形成装置1は、さらに1枚、メディア4を給紙トレイ16から画像形成部17へ搬送し(#74)、このメディア4の属性とステップ#71で搬送したメディア4の属性との同一性を判別する(#75)。
そして、画像形成装置1は、判別した同一性に応じて処理モードを第一のモード、第二のモード、および第三のモードのいずれかに切り換え、次の処理を実行する。
判別した同一性がレベルLv1である場合つまり第一のモードに切り換えた場合は(#76でYes)、画像形成装置1は、第一の印刷処理を実行する(#77)。第一の印刷処理の手順は、前に図12で説明した通りである。
または、判別した同一性がレベルLv2である場合つまり第二のモードに切り換えた場合は(#78でYes))、画像形成装置1は、第二の印刷処理を実行する(#79)。第二の印刷処理の手順は、前に図16で説明した通りである。
または、判別した同一性がレベルLv3である場合つまり第三のモードに切り換えた場合は(#80でYes))、画像形成装置1は、第三の印刷処理を実行する(#81)。第三の印刷処理の手順は、前に図20で説明した通りである。
そして、良品として未だ印刷されていないページが残っている場合は(#81でYes)、画像形成装置1は、両面印刷のオプションに応じて、印刷の対象を、これらのページのうちの最も前の1ページまたは2ページに設定する(#82)。そして、ステップ#74に戻って、設定したページを印刷する処理を実行する。残っていない場合は、原稿70を印刷する処理を終了する。なお、その後、これらの処理によって得られた印刷物5の余白が裁断され、製本される。
または、判別した同一性がレベルLv4である場合は(#80でNo)、画像を印刷することなくメディア4を画像読取装置2へ搬送し(#81)、画像を読み取ったり測色したりすることなくメディア4が排出されるように画像読取装置2を制御する(#82)。本来使用されるべき用紙とは異なる用紙がメディア4としてセットされたことを知らせるメッセージを表示する(#83)。そして、原稿70を印刷する処理を中止する。なお、ステップ#81の処理において、微修正のオプションも再キャリブレーションのオプションもオフである場合も(図20の#751でNo、#763でNo)、原稿70を印刷する処理を中止する。
本実施形態によると、印刷システム100は、あるメディア4の属性と基準属性との差が所定の範囲外であっても、余白4Sに印刷した第一の検査用画像74または第二の検査用画像75を用いて品質を検査し、適宜、印刷条件を微修正しまたは簡易なキャリブレーションを行う。よって、原稿70の印刷を停止するのを従来よりも減らすことができるので、原稿70の印刷物の生産性の低下を従来よりも確実に防止することができる。
本実施形態では、メディア属性センサ10jとしてLEDおよびフォトセンサメディアを用いてメディア4の属性として光の透過率および反射率を検出し、厚さおよび表面性を算出した。しかし、他の方法によって厚さおよび表面性を求めてもよい。例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、または超音波センサを用いて厚さおよび表面性を検出してもよい。
本実施形態では、図6で説明したように、同一性判別部103は、透過率および反射率に基づいて同一性を判別したが、他の属性に基づいて判別してもよい。また、閾値TH1~TH3の範囲を、図6のような真円ではなく他の形で定めてもよい。属性の個数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
本実施形態では、検査部108は、第三のモードにおいて、5つの条件をすべて満たした場合に印刷物5を良品であると判別したが、5つ未満の所定の個数満たせば良品であると判別してもよい。または、条件ごとに満足度を算出し、満足度の合計が所定の値以上になれば良品であると判別してもよい。
第三のモードにおいて、画像読取装置2は、印刷物5を低速度S4で搬送した。そこで、第一のスキャナ20eまたは第二のスキャナ20fによる読取りの解像度を低速度S4に合わせて第二のモードよりも高くしてもよい。
その他、印刷システム100、画像形成装置1、画像読取装置2の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。