以下、本発明の実施形態に係る燃料電池システムについて図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び各変形例の相互において、互いに同一又は均等である部分には、同一の符号を付してある。又、説明に用いる各図は、概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
燃料電池システム1は、図1に示すように、発電ユニット10及び貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水精製器14、改質水タンク15、制御装置16及び補給水調整部70を備えている。
貯湯槽21は、密封式且つ耐圧式の容器である。貯湯槽21内の温度分布は、基本的には、温度の異なる二層に分かれている。上層は比較的温度が高い層(例えば、50度以上)であり、下層は比較的温度が低い層(例えば、20度〜40度)である。上下各層は、それぞれほぼ同一温度である。貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。
燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水精製器14、改質水タンク15、制御装置16、補給水調整部70及び貯湯槽21は、筐体10a内に収容されている。尚、貯湯槽21は、発電ユニット10と別体、即ち、筐体10aの外に設けるようにしても良い。
燃料電池モジュール11は、後述するように、燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール11は、改質用原料、改質水及び酸化剤ガス(カソードガス)としての空気(カソードエア)が供給されている。改質用原料としては、天然ガス、LPガス等の改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノール等の改質用液体燃料である。尚、本実施形態においては、改質用原料として、天然ガスを用いる場合を例示する。具体的には、燃料電池モジュール11は、一端が供給源Gs(例えば、都市ガス(天然ガス)のガス供給管)に接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が、後述する蒸発部32に接続されている。改質用原料供給管11aは、改質用原料を蒸発部32に圧送する原料ポンプ11a1(改質用原料供給装置)が設けられている。
又、燃料電池モジュール11は、一端が改質水タンク15に接続されて改質水が供給される改質水供給管11bの他端が蒸発部32に接続されている。改質水供給管11bは、改質水ポンプ11b2が設けられている。更に、燃料電池モジュール11は、一端がカソードエアブロワ11c1に接続されてカソードエアが供給されるカソードエア供給管11cの他端が接続されている。カソードエアブロワ11c1は、カソードエアを燃料電池34に供給する酸化ガス供給装置である。
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガス(後述する改質部33及び燃料電池34の各排熱を含んでいる)が供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器である。又、熱交換器12は、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われ、燃焼排ガスに含まれている水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮器でもある。ここで、貯湯水は、熱交換器12を経ることで燃焼排ガスの排熱を回収する熱媒体(排熱回収水)である。
熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12の底部には、水精製器14を介して改質水タンク15に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。
このように構成された熱交換器12においては、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、流通する貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。その後、燃焼排ガスは、排気管11dを通って燃焼排ガス用排気口10dから筐体10aの外部に排出される。又、凝縮された凝縮水は、自重で落水し、凝縮水供給管12aを通って水精製器14から改質水タンク15に供給される。一方、熱交換器12に流入した貯湯水は、加熱され、貯湯槽21に向けて流出される。排気管11dには、熱交換器12の下流側から分岐して改質水タンク15の水受け部材15bに連通するドレン管路12bが設けられている。
ここで、上述した熱交換器12、貯湯槽21及び貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。貯湯水循環ライン22上には、貯湯槽21の下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22a、ラジエータ22b、第一温度センサ22c、調整弁としての三方弁22d及び熱交換器12が配設されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
貯湯水循環ポンプ22aは、貯湯槽21の下層から貯湯水を汲み出し、貯湯水循環ライン22を構成する貯湯水供給管22eを介して熱交換器12に供給する。ラジエータ22bは、モータ及びファンを有する空冷式のラジエータであり、貯湯水供給管22eに設けられている。ラジエータ22bは、貯湯水循環ポンプ22aから熱交換器12に向けて供給される貯湯水を、後述するように制御装置16により作動が制御されて冷却する。
第一温度センサ22cは、ラジエータ22bと熱交換器12との間に配置されて、ラジエータ22bを通過して貯湯水供給管22eを流れる循環水としての貯湯水の温度T1(以下、「第一温度T1」と称呼する。)を検出し、制御装置16に送信している。三方弁22dは、第一温度センサ22cと熱交換器12との間に配置されている。三方弁22dは、ラジエータ22bによって冷却された貯湯水を熱交換器12に供給するとともに、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水(循環水)から分離された補給水を補給水供給管22fを介して水精製器14ひいては改質水タンク15に供給する。
三方弁22dは、制御装置16により弁開度が調整されて、ラジエータ22bによって冷却された貯湯水の熱交換器12への給水量、換言すれば、ラジエータ22bによって冷却された貯湯水の改質水タンク15への給水量を調整するようになっている。即ち、三方弁22dは、弁開度の変更が可能な比例弁であり、冷却された貯湯水を、熱交換器12に供給される貯湯水(循環水)の循環水供給量と改質水タンク15に供給される補給水の補給水供給量との比率を調整可能になっている。
補給水供給管22fは、三方弁22dから供給される補給水を水精製器14に供給する。補給水供給管22fは、U字状に屈曲された圧損部22f1を有しており、補給水供給管22fを流れる補給水に圧損を生じさせて、補給水の水圧を下げるようになっている。補給水供給管22fには、水精製器14に補給水を供給するための給水弁22gが設けられている。給水弁22gは、制御装置16により、補給水の水精製器14への供給を許容する開と補給水の水精製器14への供給を遮断する閉とに切り替えられるようになっている。尚、本実施形態において、給水弁22gは、三方弁22dが補給水を改質水タンク15に供給する際に開に切り替えられ、三方弁22dが補給水を改質水タンク15に供給しない際に閉に切り替えられるようになっている。ここで、第一温度センサ22c、三方弁22d、補給水供給管22f、圧損部22f1、及び、給水弁22gは、補給水調整部70を構成する。
インバータ装置13は、燃料電池34から出力される直流電力(電圧)を入力し所定の交流電力(電圧)に変換して、交流の系統電源17a及び外部電力負荷17c(例えば、電化製品)に接続されている電源ライン17bに出力する。インバータ装置13は、燃料電池34から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置である。外部電力負荷17cは、系統電源17aからの電力及びインバータ装置13からの電力が供給される負荷装置である。又、インバータ装置13は、系統電源17aからの交流電力(電圧)を、電源ライン17bを介して入力し所定の直流電力(電圧)に変換して補機(各ポンプ、ブロワ等)や制御装置16に出力する。
水精製器14は、凝縮水及び補給水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。水精製器14は、改質水タンク15と連通しており、純水化された凝縮水及び補給水が改質水タンク15に供給されるようになっている。
改質水タンク15は、水精製器14から供給される凝縮水及び補給水を改質水として貯水し、蒸発部32介して改質部33に改質水を供給するものである。尚、改質水タンク15は、供給された凝縮水及び補給水が溢れ出た場合、オーバーフローライン15aを介して水受け部材15bによって受け止められ、排水管15cから、筐体10aの外部に排水される。
改質水タンク15内には、図2に示すように、改質水タンク15内に貯水された改質水の水量(水位:以下、「タンク水量」とも称呼する。)を検出する水位センサ15dが配設されている。ここで、水位センサ15dは、補給水調整部70に含まれる。水位センサ15dは、例えば、フロート式のセンサであり、フロートの上下量を可変抵抗(ポテンショメータ)により抵抗値に変換し、抵抗値の上下動によって水位(残水量)を表示する方式のセンサである。水位センサ15dは、残水量を、第一管理水位L1、第二管理水位L2、第三管理水位L3、及び、第四管理水位L4として検出する。第一管理水位L1は、改質水タンク15が満水となる水位である。第二管理水位L2は、後述するように給水される補給水の給水を停止する補給水供給停止水位である。第三管理水位L3は、補給水の給水を開始する補給水供給開始水位である。第四管理水位L4は、改質水ポンプ11b2による改質水の汲み上げが困難になる水位である。
制御装置16は、上述したラジエータ22b、三方弁22d、給水弁22gを含む補機を駆動して燃料電池システム1の運転を統括して制御する。制御装置16は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有している。マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM、ROM及びタイマ(何れも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システム1の統括運転を実施している。RAMは後述する補給水供給制御プログラムを含む各種プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは後述する補給水供給制御プログラムを含む各種プログラムを記憶するものである。
又、燃料電池モジュール11は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33及び燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部33に供給するものである。
蒸発部32には、一端(下端)が改質水タンク15に接続された改質水供給管11bの他端が接続されている。又、蒸発部32には、一端が供給源Gsに接続された改質用原料供給管11aが接続されている。
改質部33は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から水蒸気を含む改質ガス(アノードガス)を生成して改質ガス送出管38から導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、Ru又はNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素等を含んだガスが生成される(水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部33は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池34に改質ガスを供給する。尚、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)及び両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池34は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料としての改質ガス、即ち、水素、一酸化炭素、メタンガス等が供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。尚、400℃以下でも定格以下の発電量の発電は可能である。又、600℃で発電開始を許可している。水素だけではなく天然ガスや石炭ガス等も直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部33は省略することができる。
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガス(アノードガス)が流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガス(カソードガス)である空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガス(アノードガス)が改質ガス送出管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管11cを介して供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
カソードエアブロワ11c1は、電気モータ11c2により駆動されるもので、電気モータ11c2の駆動デューティは、制御装置16によって演算される。カソードエア供給管11cのカソードエアブロワ11c1の下流側に設けられた流量センサ11c3は、カソードエアブロワ11c1が吐出するカソードエア流量を検出する。流量センサ11c3は、検出結果を制御装置16に送信するようになっている。
燃料電池34においては、燃料極に供給された燃料である改質ガス(アノードガス)と空気極に供給された酸化剤ガス(カソードガス)によって発電が行われる。即ち、燃料極では、下記化1及び化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。具体的には、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。そして、燃料流路34b及び空気流路34cからは、発電に使用されなかった改質ガス及び酸化剤ガスが導出する。尚、反応によって燃料電池34内に生じた水(H2O)は、水精製器14を介して改質水タンク15に送出される。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
発電に使用されなかった改質ガス(燃料オフガスとしてのアノードオフガス)は、燃料流路34bから燃焼部36(燃料電池34と改質部33との間に形成された空間)に導出される。同様に、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気:カソードオフガス)は、空気流路34cから燃焼部36に導出される。燃焼部36は、アノードオフガスがカソードオフガスにより燃焼されて、燃焼ガス(火炎37)にて蒸発部32及び改質部33を加熱する。更には、燃料電池モジュール11内を動作温度に加熱している。
燃焼部36には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ36a1,36a2が設けられている。燃焼部36で生じた燃焼排ガスは、電気化学反応によって燃料電池34内に生じた水とともに燃料電池モジュール11から排気管11dを通って熱交換器12に至る。
燃料電池システム1を起動させるときには、制御装置16は、発電モードに先立って暖気モードを実行する。暖気モードでは、制御装置16は、原料ポンプ11a1を駆動させて改質用原料を改質用原料供給管11aを介して燃料電池モジュール11の蒸発部32、改質部33及び燃料電池34を介して燃焼部36に供給させる。制御装置16は、カソードエアブロワ11c1も駆動させ、空気流路34cを介して酸化剤ガスである空気(カソードガス)を燃料電池モジュール11のセル34aの空気極を介して燃焼部36に供給させる。そして、着火ヒータ36a1,36a2が着火すると、燃焼部36において改質用原料が空気により燃焼する。燃焼部36における燃焼熱により、蒸発部32、改質部33及び燃料電池34が加熱される。蒸発部32、改質部33及び燃料電池34が所定の温度域に加熱されると、制御装置16は、改質水ポンプ11b2を駆動して改質部33での改質反応を開始し、暖気モードを終了して発電モードに移行させる。
制御装置16が改質水ポンプ11b2を駆動させると、改質水タンク15内の改質水は、改質水供給管11bを介して蒸発部32に供給される。改質水は、蒸発部32で加熱されて水蒸気となる。水蒸気は、改質用原料供給管11aから供給される改質用原料とともに改質部33に移動する。改質部33において改質用原料は、水蒸気で改質されて水蒸気を含む改質ガスであるアノードガス(水素含有ガス)となる(吸熱反応)。アノードガスは、燃料流路34bを介して燃料電池34のセル34aの燃料極に供給される。又、カソードエアブロワ11c1が駆動して、カソードガス(空気)が空気流路34cを介してセル34aの電気極に供給される。これにより、燃料電池34(燃料電池モジュール11)が発電する。
暖気モード及び発電モードにおいて、燃料電池モジュール11で発生した高温の燃焼排ガスは、電気化学反応にて燃料電池34内に生じた水とともに排気管11dを介して凝縮機能を有する熱交換器12に排出される。高温の燃焼排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器12で冷却されるため、凝縮されて凝縮水となり、電気化学反応にて燃料電池34内に生じた水とともに凝縮水供給管12aを介して改質水タンク15に供給される。
筐体10aには、外気を吸い込むための吸気口10b、筐体10a内の空気を外部に排出するための換気用排気口10c、及び、熱交換器12からの燃焼排ガスを外部に排出するための燃焼排ガス用排気口10dが形成されている。吸気口10bには、逆止弁54が設けられている。逆止弁54は、外部から筐体10a内への空気の流れは許容するが、逆方向の流れを規制するものである。
換気用排気口10cには、換気ファン55が設けられている。換気ファン55は、筐体10a内の空気(換気排気)を外部に送出するものである。
貯湯槽21には、図1に示すように、高圧給水原Sw(例えば、水道管)に減圧弁41を介して接続された給水管42から水道水が給水される。給水管42に設けられた水温計測装置67、例えば、サーミスタ等によって水道水の温度が計測され、制御装置16に出力される。貯湯槽21は、上述した貯湯水循環ライン22による排熱回収によって温められて生成した、例えば、70℃に調整された湯を貯める。
貯湯槽21の湯は、湯供給管61から混合弁62に流入する。混合弁62は、給水管42と水供給管42aを介して接続されている。混合弁62は、貯湯槽21から湯供給管61を介して流入する湯と高圧給水原Swから給水管42、水供給管42aを介して流入する水との湯/水混合比を調整して、貯湯槽21の湯の温度よりも低い設定温度、例えば、30℃に調整された混合湯を生成する。混合湯は、混合湯供給管63を介して給湯器Whの吸水側に接続される。給湯器Whは、混合湯供給管63から給水された混合湯を直接又は加熱して、給湯栓69から給湯するものである。
図1に示すように、給水管42を混合湯供給管63に接続するバイパス通路64には、非通電時に開状態となるノーマルオープンの電磁開閉弁65が設けられている。電磁開閉弁65は、例えば、混合弁62又は混合弁62の制御系の故障によって湯と水の混合(制御)ができなくなり、混合湯供給管63の混合湯の温度が上昇して予め設定された混合湯上限温度(例えば、50℃)を超えた場合に、制御装置16によって開状態に切り替えられる。電磁開閉弁65が開状態とされて給水管42から水を混合湯供給管63に導くことにより、混合湯供給管63における混合湯の温度を下げて、異常高温出湯を防止する。混合湯の温度は、混合湯供給管63のバイパス通路64との合流部よりも下流側に設けられた湯温計測装置66、例えば、サーミスタ等により計測され、制御装置16に出力される。
ところで、上述したように、燃料電池モジュール11が発電を行う場合、改質部33にて改質ガス(アノードガス)を生成するために改質水は必要不可欠である。従って、改質部33に改質水を供給できるように、改質水タンク15に適切量の改質水が貯められていることが必要である。このため、制御装置16(より詳しくは、CPU)は、図2に示す補給水供給制御プログラムを実行し、改質水タンク15に貯められている改質水の量に応じて、改質水の供給に支障を来す虞がある場合に改質水タンク15に循環水を供給する。以下、この補給水供給制御プログラムを詳細に説明する。
制御装置16は、所定の短い時間が経過する毎に、ステップS100にて補給水供給制御プログラムの実行を開始し、続くステップS101にて水位センサ15dから補給水供給開始水位である第三管理水位L3を表す信号Ssを所定時間t1以上継続して取得しているか否かを判定する。具体的に、制御装置16は、信号Ssを所定時間t1以上継続して取得した場合、即ち、改質水タンク15の水位低下が確定して補給水の給水を開始する必要がある場合には、ステップS101にて「Yes」と判定してステップS102に進む。一方、制御装置16は、信号Ssを所定時間t1以上継続して取得していない場合には、「No」と判定してステップS113に進み、補給水供給制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間が経過すると、再び、ステップS100にて補給水供給制御プログラムの実行を開始する。
ステップS102においては、制御装置16は、ラジエータ22bを通常の冷却能力により作動させる状態、又は、ラジエータ22bを通常の冷却能力よりも高い冷却能力により作動させる状態を表す作動フラグPの値を、ラジエータ22bを通常の冷却能力により作動させる状態を表す「0」に設定し、ステップS103に進む。
ステップS103においては、制御装置16は、第一温度センサ22cから貯湯水供給管22eを流れている貯湯水の第一温度T1が第一所定温度Td1未満(第一所定温度未満)であり、且つ、この状態が第一所定時間t2以上継続(第一所定時間以上継続)しているか否かを判定する。ここで、第一所定温度Td1は、例えば、水精製器14を構成するイオン交換樹脂に熱劣化を生じさせない温度に設定される。又、第一所定時間t2は所定時間t1よりも長く設定される。
制御装置16は、第一温度T1が第一所定温度Td1未満であり、且つ、この状態が第一所定時間t2以上継続していれば、ステップS103にて「Yes」と判定してステップS104に進む。一方、制御装置16は、第一温度T1が第一所定温度Td1以上である場合、又は、ラジエータ22bによる冷却中であって第一温度T1が第一所定温度Td1未満となっている時間が第一所定時間t2未満である場合、即ち、ラジエータ22bを通常の冷却能力よりも高い冷却能力で作動させて貯湯水の第一温度T1を冷却する必要があれば、ステップS103にて「No」と判定してステップS107に進む。
ステップS104においては、制御装置16は、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水の全量を熱交換器12に供給する状態から貯湯水の一部(数%程度)を補給水として改質水タンク15に供給するように、三方弁22dの弁開度を調整(変更)する。制御装置16は、三方弁22dを開状態とすると、ステップS105に進む。ここで、以下の説明において、貯湯水の全量を熱交換器12に供給する三方弁22dの弁開度の状態を「全閉状態」と称呼し、貯湯水の一部を補給水として改質水タンク15に供給する三方弁22dの弁開度の状態を「開状態」と称呼する。
このように、三方弁22dが開状態になると、第一温度T1が第一所定温度Td1未満になった補給水が補給水供給管22fに向けて流れる。補給水供給管22fは、圧損部22f1(U字状部分)によって流入(落水)した補給水の水圧を下げて調整し、水圧を調整した補給水を給水弁22gに流す。本実施形態においては、給水弁22gは、三方弁22dの全閉状態から開状態への移行(切り替え)に伴い、制御装置16によって閉から開に切り替えられる。これにより、補給水は水精製器14に供給され、水精製器14は補給水を純水化して改質水タンク15に供給する。
ステップS105においては、制御装置16は、上述したように補給水が供給されている改質水タンク15の水位について、水位センサ15dから補給水供給停止水位である第二管理水位L2を表す信号Sfを取得しているか否かを判定する。即ち、制御装置16は、補給水が供給されている改質水タンク15の水位に基づいて、補給水の供給を止めるか否かを判定する。具体的に、制御装置16は、水位センサ15dから信号Sfを取得するまでステップS105にて「No」と判定し続け、水位センサ15dから信号Sfを取得すると、換言すると、改質水タンク15の水位が補給水の供給を止める第二管理水位L2になると、ステップS105にて「Yes」と判定し、ステップS106に進む。
ステップS106においては、制御装置16は、前記ステップS104にて開状態にした三方弁22dを全閉状態に制御する。これにより、貯湯水供給管22eから補給水供給管22fを介した補給水の供給が止まり、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水の全量が熱交換器12に供給される。制御装置16は、三方弁22dを全閉状態に制御すると、ステップS110に進む。尚、本実施形態においては、制御装置16は、三方弁22dを全閉状態に制御することに伴って、給水弁22gを開から閉に切り替える。
一方、制御装置16は、前記ステップS103にて「No」と判定すると、即ち、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水をより冷却する必要がある場合には、ステップS107に進む。ステップS107においては、制御装置16は、作動フラグPの値を、ラジエータ22bを通常の冷却能力よりも高い冷却能力により作動させる状態を表す「1」に設定する。これにより、制御装置16は、ラジエータ22bを通常よりも高い冷却能力で作動させて、ステップS108に進む。
ステップS108においては、制御装置16は、ラジエータ22bのファンを回転させるモータに供給する電力(電流)を通常作動時に比べて増大し、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水を冷却するラジエータ22bの冷却能力を高める。具体的に、制御装置16は、ラジエータ22bのモータに電力(電流)を供給する電力制御において、例えば、電力供給のデューティ比Drを通常作動時のデューティ比Dr1に対して所定値αだけ増加させる。即ち、制御装置16は、モータに対して、デューティ比Dr(=Dr1+α)となる電力(電流)を供給する。これにより、ラジエータ22bは、ファンの回転数増加に伴って冷却能力を高め、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水を冷却する。このように、制御装置16は、ラジエータ22bの冷却能力を高めるとステップS109に進む。
ステップS109においては、制御装置16は、前記ステップS103と同様に、第一温度センサ22cから貯湯水供給管22eを流れている貯湯水の第一温度T1が第一所定温度Td1未満であり、且つ、この状態が第一所定時間t2以上継続しているか否かを判定する。具体的に、制御装置16は、ステップS109において、第一温度T1が第一所定温度Td1未満であり、且つ、この状態が第一所定時間t2以上継続するまで「No」と判定し続ける。
そして、制御装置16は、第一温度T1が第一所定温度Td1未満であり、且つ、この状態が第一所定時間t2以上継続した場合、即ち、ラジエータ22bを作動させて貯湯水の第一温度T1を冷却する必要がなくなれば、ステップS109にて「Yes」と判定して、前記ステップS104に進む。このように、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水が冷却されると、制御装置16は、上述したように、前記ステップS104〜前記ステップS106の各ステップ処理を実行し、ステップS110に進む。
ステップS110においては、制御装置16は、作動フラグPの値が「0」即ちラジエータ22bが非作動であるか否かを判定する。制御装置16は、作動フラグPの値が「0」であれば、「Yes」と判定してステップS113に進み、補給水供給制御プログラムの実行を一旦終了する。この場合には、ラジエータ22bは、通常の冷却能力により作動しているため、制御装置16は、そのままラジエータ22bを作動させる。そして、制御装置16は、所定の短い時間が経過すると、再びステップS100にて補給水供給制御プログラムの実行を開始する。
一方、制御装置16は、作動フラグPの値が「1」であれば、「No」と判定してステップS111に進む。この場合には、前記ステップS108のステップ処理により、制御装置16は、ラジエータ22bを通常の冷却能力よりも高い冷却能力で作動させている。このため、制御装置16は、ステップS111以降の各ステップ処理を実行して、ラジエータ22bを通常の冷却能力により作動させる。
ステップS111においては、制御装置16は、作動フラグPが「1」であることに従って、ラジエータ22bのモータに供給している電力(電流)のデューティ比Dr(=Dr1+α)を、通常作動時のデューティ比Dr1に変更する(戻す)。具体的に、制御装置16は、デューティ比Drから所定値αを減じて、通常作動時のデューティ比Dr1に変更し、ステップS112に進む。これにより、ラジエータ22bは、通常の冷却能力により作動する。
ステップS112においては、制御装置16は、「1」に設定されている作動フラグPの値を「0」に設定してステップS113に進み、補給水供給制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、制御装置16は、所定の短い時間が経過すると、再びステップS100にて補給水供給制御プログラムの実行を開始する。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態の燃料電池システム1によれば、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、改質用原料と改質水を蒸発させた水蒸気とから燃料を生成して燃料電池34に燃料を供給する改質部33と、改質用原料の供給源Gsに接続された改質用原料供給管11aに設けられて供給源Gsから改質部33に改質用原料を圧送する改質用原料供給装置としての原料ポンプ11a1と、改質部33に改質水供給管11bを介して供給する改質水を貯水する改質水タンク15と、燃料電池34からの燃料オフガス(アノードオフガス)及び酸化剤ガス(カソードオフガス)を燃焼させて発生する燃焼排ガスと貯湯槽21から貯湯水供給管22eを介して供給される循環水との間で熱交換して燃焼排ガスに含まれている水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮器としての熱交換器12と、改質水タンク15と熱交換器12とを接続する凝縮水供給管12aに設けられて凝縮水を精製して改質水を改質水タンク15に供給する水精製器14と、貯湯水供給管22eに設けられて貯湯槽21から供給される循環水を冷却するラジエータ22bと、燃料電池34の発電を統括して制御する制御装置16と、を備えた燃料電池システムであって、貯湯水供給管22eの熱交換器12とラジエータ22bとの間に設けられて、熱交換器12の側に流れる循環水の循環水供給量と、循環水から分離されて改質水タンク15の側に流れる補給水の補給水供給量と、を制御装置16による制御に従って調整可能な調整弁としての三方弁22dと、貯湯水供給管22eの三方弁22dとラジエータ22bとの間に設けられてラジエータ22bを通過した循環水の第一温度T1を検出し、第一温度T1を制御装置16に出力する第一温度センサ22cと、三方弁22dと水精製器14とを接続して三方弁22dから水精製器14に補給水を供給する補給水供給管22fと、水精製器14によって凝縮水及び補給水から生成された改質水が改質水タンク15に貯水された水位として第一管理水位L1、第二管理水位L2、第三管理水位L3及び第四管理水位L4を検出し、第一管理水位L1、第二管理水位L2、第三管理水位L3及び第四管理水位L4を制御装置16に出力する水位センサ15dと、を含んで貯湯槽21から補給水の改質水タンク15への供給を調整する補給水調整部70を備える。そして、制御装置16は、水位センサ15dによって検出された水位が予め設定された補給水供給開始水位である第三管理水位L3になった場合において、第一温度センサ22cによって検出された循環水の第一温度T1が予め設定された第一所定温度Td1未満(第一所定温度未満)となった場合に、三方弁22dによる補給水供給量をゼロから増大させて補給水供給管22f及び水精製器14を介して改質水タンク15に向けて補給水を供給し、水位センサ15dによって検出された水位が予め設定された補給水供給停止水位である第二管理水位L2になったときに三方弁22dによる補給水供給量をゼロに戻す、ように構成される。
これによれば、制御装置16は、改質水タンク15の水位が第三管理水位L3になった場合、即ち、改質水タンク15から改質部33に供給される水蒸気(改質水)が不足する可能性がある場合において、補給水調整部70を作動させることができる。補給水調整部70が作動することにより、三方弁22dは、貯湯槽21から供給されて第一温度T1が第一所定温度Td1未満になった循環水から補給水を分離し、分離した補給水を水精製器14に供給することができる。そして、水精製器14は、分離された補給水を精製した改質水を改質水タンク15に供給することができる。これにより、燃料電池システム1の発電運転中において、常に、改質水タンク15に必要十分な量の改質水を貯めておくことができる。その結果、改質水タンク15から改質部33に必要十分な量の改質水(水蒸気)を供給することができ、改質部33が燃料電池34で消費される燃料を生成して燃料電池34の発電を継続することができる。従って、改質水の不足が懸念される状況であっても、発電効率を低下させることなく燃料電池システム1の発電運転を継続することができる。
又、補給水調整部70は、貯湯槽21から熱交換器12に循環水を供給する貯湯水供給管22eに設けられた三方弁22dによって、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水(循環水)の一部を補給水として分離し、水精製器14によって補給水から精製された改質水を改質水タンク15に供給することができる。これにより、例えば、燃料電池システム1の外部から改質水タンク15に水を供給するための専用供給管を設ける必要がなく、燃料電池システム1を簡素な構成とすることができるとともに専用供給管を設けるためのコストを低減することができる。
又、補給水調整部70は、貯湯槽21から供給される貯湯水(循環水)の一部を補給水として利用することができる。この場合、貯湯槽21に貯められた貯湯水(循環水)は、ストレーナ等により不純物が除去されるとともに、熱交換器12との熱交換によって一時比較的高温になる。これにより、貯湯水(循環水)は、簡易的な脱塩素処理がなされており、貯湯水(循環水)から分離された補給水が水精製器14に供給された場合であっても、イオン交換樹脂が補給水を純水化する際の負荷を小さくすることができる。その結果、高価な水精製器14(イオン交換樹脂)の小型化が可能となり、燃料電池システム1全体の小型化が達成できるとともに低コスト化をも達成することができる。
この場合、制御装置16は、第一温度T1が第一所定温度Td1未満(第一所定温度未満)となった状態で予め設定された第一所定時間t2以上継続(第一所定時間以上継続)した場合、三方弁22dによる補給水供給量をゼロから増大させる。
これによれば、貯湯水(循環水)の第一温度T1、即ち、補給水の第一温度T1が確実に第一所定温度Td1未満となった場合に、三方弁22dから水精製器14に補給水を供給することができる。これにより、水精製器14のイオン交換樹脂が補給水によって熱劣化することを効果的に抑制することができる。従って、高価なイオン交換樹脂の交換頻度を大幅に低減することができ、燃料電池システム1の発電運転に伴うランニングコストを低減することができる。
又、これらの場合、制御装置16は、第一温度T1が第一所定温度Td1以上(第一所定温度以上)の場合、ラジエータ22bの循環水を冷却する冷却効率が大きくなるように、ラジエータ22bを作動させる。
これによれば、第一温度T1が第一所定温度Td1以上(第一所定温度以上)の場合において、制御装置16は、ラジエータ22bの冷却効率を高めて、貯湯槽21から熱交換器12に向けて貯湯水供給管22eを流れる貯湯水(循環水)即ち補給水の第一温度T1を速やかに低下させることができる。これにより、水精製器14のイオン交換樹脂が補給水によって熱劣化することを効果的に抑制することができる。
更に、これらの場合、補給水供給管22fは、三方弁22dから水精製器14に向けて流れる補給水に圧損を生じさせるU字状に屈曲された圧損部22f1を有する。
これによれば、圧損部22f1は、補給水供給管22fを介して三方弁22dから水精製器14に供給される補給水の水圧を低減することができる。これにより、補給水の水圧が水精製器14のイオン交換樹脂に、例えば、変形を生じるような機械的な負荷を与えることが効果的に抑制される。従って、高価なイオン交換樹脂の交換頻度を大幅に低減することができ、燃料電池システム1の発電運転に伴うランニングコストを低減することができる。
(変形例)
上記実施形態においては、制御装置16は、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水の第一温度T1が第一所定温度Td1未満、即ち、第一温度T1が水精製器14のイオン交換樹脂に熱劣化が生じない温度になった場合に、三方弁22dを開状態として補給水を改質水タンク15に供給(補給)するようにした。この場合、より確実に水精製器14の熱劣化を生じさせないようにすることも可能である。以下、この変形例を説明するが、上記実施形態と異なる部分を中心に詳細に説明する。
この変形例においては、構成上、図4に示すように、補給水供給管22fと給水弁22gとの間に第二温度センサ22hが配置される点で、上記実施形態と異なる。即ち、この変形例においては、第二温度センサ22hが補給水調整部70に含まれる。第二温度センサ22hは、三方弁22dから供給されて補給水供給管22fを流れる補給水の温度T2(以下、「第二温度T2」と称呼する。)を検出し、制御装置16に送信している。又、この変形例においては、制御装置16は、第二温度センサ22hから取得した第二温度T2に基づいて、給水弁22gの開又は閉を制御する。
そして、この変形例においては、制御装置16は、図5に示す補給水供給制御プログラムを実行する。この変形例に係る補給水供給制御プログラムにおいては、上記実施形態の図3に示す補給水供給制御プログラムに比べて、前記ステップS104と前記ステップS105との間に新たにステップS120及びステップS121が追加され、前記ステップS105と前記ステップS106との間に新たにステップS122が追加される点で異なる。
この変形例において、制御装置16は、前記ステップS104にて三方弁22dを開状態に制御すると、ステップS120に進む。ステップS120においては、制御装置16は、第二温度センサ22hから補給水供給管22fに供給された補給水の第二温度T2が第二所定温度Td2未満で(第二所定温度未満)あり、且つ、この状態が第二所定時間t3以上継続(第二所定時間以上継続)しているか否かを判定する。ここで、第二所定温度Td2は、例えば、水精製器14を構成するイオン交換樹脂に熱劣化を生じさせない温度に設定される。又、第二所定時間t3は所定時間t1よりも長く設定される。
具体的に、制御装置16は、ステップS120において、第二温度T2が第二所定温度Td2未満であり、且つ、この状態が第二所定時間t3以上継続するまで「No」と判定し続ける。そして、制御装置16は、第二温度T2が第二所定温度Td2未満であり、且つ、この状態が第二所定時間t3以上継続していれば、ステップS120にて「Yes」と判定して、ステップS121に進む。即ち、第二温度T2が第二所定温度Td2未満であり、且つ、この状態が第二所定時間t3以上継続する場合には、補給水供給管22fに供給された補給水の第二温度T2が確実に第二所定温度Td2未満になっている。従って、給水弁22gから水精製器14に補給水が供給されても、水精製器14のイオン交換樹脂に熱劣化が生じることが抑制される。
ステップS121においては、制御装置16は、給水弁22gを閉から開に切り替える。これにより、補給水供給管22fに供給された補給水は、給水弁22gを介して水精製器14に供給される。従って、水精製器14は、補給水を純水化して改質水タンク15に供給する。
このように、制御装置16は、前記ステップS121にて給水弁22gを開に切り替えた後、前記ステップS105にて上述したように補給水が供給されている改質水タンク15の水位について、水位センサ15dから第二管理水位L2を表す信号Sfを取得しているか否かを判定する。そして、制御装置16は、水位センサ15dから信号Sfを取得すると、換言すると、改質水タンク15の水位が補給水の供給を止める補給水供給停止水位である第二管理水位L2になると、ステップS105にて「Yes」と判定し、ステップS122に進む。
ステップS122においては、制御装置16は、前記ステップS121にて開に切り替えた給水弁22gを閉に切り替えて、前記ステップS106に進む。これにより、三方弁22dが開状態であって補給水供給管22fに補給水が供給されていても、給水弁22gが閉に切り替えられることにより、補給水の水精製器14及び改質水タンク15への供給が止まる。そして、制御装置16は、前記ステップS106において、前記ステップS104にて開状態にした三方弁22dを全閉状態に制御する。これにより、貯湯水供給管22eからの補給水の供給が止まり、貯湯水供給管22eを流れる貯湯水の全量が熱交換器12に供給される。
以上の説明からも理解できるように、上記変形例の燃料電池システム1によれば、上記実施形態の場合に加えて、補給水調整部70は、補給水供給管22fに設けられて補給水供給管22fを流れる補給水の第二温度T2を検出し、第二温度T2を制御装置16に出力する第二温度センサ22hと、補給水供給管22fの水精製器14と第二温度センサ22hとの間に設けられて補給水の補給水供給管22fから水精製器14への流れの許可する開又は流れを遮断する閉を制御装置16による制御に従って切り替える給水弁22gと、を備え、制御装置16は、第二温度センサ22hによって検出された第二温度T2が予め設定された第二所定温度Td2未満(第二所定温度未満)となった状態で予め設定された第二所定時間t3以上継続(第二所定時間以上継続)した場合、給水弁22gを開に切り替えて補給水供給管22fから水精製器14を介して改質水タンク15に向けて補給水の供給を許容し、水位センサ15dによって検出された水位が第三管理水位L3になったときに給水弁22gを閉に切り替えて補給水供給管22fから水精製器14を介して改質水タンク15に向けて補給水を遮断するように構成される。
これによれば、第二温度センサ22hによって検出された第二温度T2が第二所定温度Td2未満となってから給水弁22gが閉から開に切り替えられる。従って、例えば、第一温度センサ22cが検出する第一温度T1に誤差が生じた場合であっても、三方弁22dよりも下流側の補給水供給管22fを流れる補給水の第二温度T2を第二温度センサ22hが検出し、第二温度T2に応じて給水弁22gの開閉を制御することができる。従って、水精製器14のイオン交換樹脂に熱劣化を生じさせるような高温の補給水が誤って供給されることを確実に防止することができる。その他の効果については、上記実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態及び上記変形例においては、補給水調整部70が、開状態の三方弁22dから供給される補給水に圧損を生じさせて水圧を下げるために補給水供給管22fにU字状に屈曲された圧損部22f1を有するようにした。これに代えて、図6に示すように、三方弁22dと給水弁22gとの間に絞り(オリフィス)からなる圧損部22f2を設けることも可能である。圧損部22f2を設けた場合においても、三方弁22dから供給される補給水に圧損を生じさせて補給水の水圧を下げることができるため、給水弁22gを介して水精製器14に供給される補給水の水圧を下げることができる。従って、高い水圧によって水精製器14のイオン交換樹脂が損傷することを防止することができ、その結果、高価な水精製器14の交換頻度を抑えて燃料電池システム1のランニングコストを低減することができる。
又、上記実施形態及び変形例においては、水位センサ15dがフロート式のセンサとした。これに代えて、水位センサ15dが、広く知られている静電容量式や圧力方式のセンサであっても良い。この場合においても、水位センサ15dは、改質水タンク15に貯水された改質水の水位として第一管理水位L1〜第四管理水位L4を検出し、制御装置16に送信することができる。従って、上記実施形態及び上記変形例と同様の効果が得られる。
又、上記実施形態及び上記変形においては、ラジエータ22bが空冷式であるとした。これに代えて、ラジエータ22bとして水冷式のラジエータや、他の放熱装置や伝熱装置を用いることも可能である。
又、上記実施形態及び上記変形においては、図3及び図5に示す補給水供給制御プログラムにおける前記ステップS108にて、制御装置16はラジエータ22bの冷却能力を高めるためにモータ及びファンの回転数を増大させるようにした。この場合、モータ及びファンの回転数を段階的に増大させてラジエータ22bの作動音が筐体10aの外部に漏れ難くすることも可能である。
更に、上記実施形態及び上記変形においては、制御装置16は、燃料電池システム1の発電運転中に、改質水タンク15内の改質水の水位が第二管理水位L2になると補給水を供給し、改質水の水位が第三管理水位L3になると補給水の供給を止めるようにした。即ち、上記実施形態及び上記変形では、燃料電池システム1の発電運転中において、制御装置16は、改質水の水位が改質水タンク15の第二管理水位L2と第三管理水位L3との間に存在するように、補給水の供給を制御するようにした。
ところで、燃料電池システム1が発電運転停止中であり、改質水の水位が改質水タンク15の第二管理水位L2と第三管理水位L3との間に存在する場合には、次回の燃料電池システム1の発電運転に備えて、制御装置16は、改質水タンク15内の改質水の水位が第一管理水位L1となるように、予め貯湯水(補給水)を改質水タンク15に供給することも可能である。これにより、次回の燃料電池システム1の発電運転に際して、例えば、暖気モードから速やかに発電モードに移行させて、燃料電池システム1を迅速に起動させることができる。但し、この場合においては、貯湯槽21に貯められた貯湯水の第一温度T1が第一所定温度Td1(又は/及び第二温度T2が第二所定温度Td2)未満であることを条件に、制御装置16は貯湯水(補給水)を改質水タンク15に供給(補給)する。