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JP6938872B2 - 映像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、映像表示装置に関するものである。
従来、映像源から投射された映像光を反射又は透過して表示するスクリーンとして、様々なものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。なかでも、透明性を有するスクリーンは、映像光を投射して映像が良好に視認できるスクリーンとして使用でき、かつ、映像光を投射しない不使用時等にはスクリーンの向こう側の景色が透けて見えるので、意匠性の高さ等から需要が高まっている。
特開平9−114003号公報
しかし、このような透明性を有するスクリーンは、光を拡散する作用を有する拡散粒子等を含有する光拡散層を備えていると、スクリーンの向こう側の景色が白っぽくぼやけて観察される場合があり、意匠性の低下を招くため、透明性の向上が課題となっていた。
また、透明性を有するスクリーンの場合、映像がぎらついて見えるシンチレーション(スペックル)という現象が生じやすいという問題があった。シンチレーションは、映像を視認し難くするため、好ましくない。
このシンチレーションは、近年、映像源として広く使用されているLCD(Liquid Crystal Display)方式や、DMD(Digital Micromirror Device)方式等の、高輝度であって投射瞳径が小さい単光源等を用いた場合等に発生しやすい。
上述の特許文献1には、透過型、反射型の両方に使用することができるスクリーンが提案されており、背面側からの光を透過することが可能である。しかし、この特許文献1には、透明性の向上や、シンチレーションの改善等に関しては、なんら開示されていない。
本発明の課題は、透明性を有する反射スクリーンを用いる映像表示装置において、映像のシンチレーションを改善することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、映像源から投射された映像光の少なくとも一部を反射して映像を表示する反射スクリーン(10)と、前記反射スクリーンに映像光を投射する複数の映像源(LS1,LS2)と、を備え、前記複数の映像源は、並列に配置され、前記反射スクリーンは、透明性を有しており、光透過性を有し、映像光が入射する第1の面(121a)とこれに対向する第2の面(121b)とを有する単位光学形状(121)が、背面側の面に複数配列された光学形状層(12)と、前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面の一部に形成され、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、入射する光の少なくとも一部を反射し、一部を透過する反射層(13)と、前記光学形状層及び前記反射層よりも背面側に、前記単位光学形状の凹凸を埋めるように積層された光透過性を有する第2光学形状層(14)と、を備え、光を拡散する作用を有する拡散粒子を含有する光拡散層を備えておらず、前記複数の映像源から投射された映像光による映像は、前記反射スクリーンの表示領域(S)において、少なくとも一部が重複し、その重複する領域(S3)は、前記表示領域の幾何学的中心(A)を含み、かつ、前記表示領域の面積の50%以上を占めること、を特徴とする映像表示装置(1)である。
第3の発明は、第1の映像表示装置において、前記単位光学形状(12)は、前記反射スクリーン(10)の前記表示領域(S)外に位置する一点(C)を中心として同心円状に複数配置されており、前記光学形状層は、背面側の面にサーキュラーフレネルレンズ形状を有すること、を特徴とする映像表示装置(1)である。
第3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の映像表示装置において、前記複数の映像源(LS1,LS2)が配列されている方向は、前記反射スクリーン(10)の前記表示領域(S)の外形において他の方向よりも寸法の大きい方向に平行であること、を特徴とする映像表示装置(1)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までの映像表示装置において、前記反射スクリーン(10)は、入射した光の一部を吸収する作用を有する光吸収層を備えること、を特徴とする映像表示装置(1)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかの映像表示装置において、前記反射スクリーン(10)は、その厚み方向において前記光学形状層よりも映像源側に、反射防止機能、ハードコート機能、帯電防止機能、防汚機能の少なくとも1つの機能を有する層を備えること、を特徴とする映像表示装置(1)である。
第6の発明は、映像源から投射された映像光の少なくとも一部を反射して映像を表示する反射スクリーン(10)と、前記反射スクリーンに映像光を投射する複数の映像源(LS1,LS2)と、を備え、前記複数の映像源は、並列に配置され、前記反射スクリーンは、透明性を有しており、光透過性を有する第1の層(12)と、前記第1の層よりも背面側に位置し、光透過性を有する第2の層(14)と、前記第1の層と前記第2の層との間に位置し、これら2層に接し、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、入射する光の少なくとも一部を反射し、一部を透過する反射層(13)と、を備え、光を拡散する作用を有する拡散粒子を含有する光拡散層を備えておらず、前記複数の映像源から投射された映像光による映像は、前記反射スクリーンの表示領域(S)において、少なくとも一部が重複し、その重複する領域(33)は、前記表示領域の幾何学的中心(A)を含み、かつ、前記表示領域の面積の50%以上を占めること、を特徴とする映像表示装置(1)である。
本発明によれば、透明性を有する反射スクリーンを用いる映像表示装置において、映像のシンチレーションを改善することができる。
実施形態の映像表示装置1を示す図である。 実施形態において、映像源LS1,LS2から投射された映像光L1,L2による映像が表示される領域S1,S2等を説明する図である。 実施形態のスクリーン10の層構成を説明する図である。 実施形態の第1光学形状層12を背面側(−Z側)から見た図である。 実施形態のスクリーン10での画面上下方向(Y方向)における映像光及び外光の様子を示す図である。 実施形態の映像表示装置1を上側(+Y側)から見た様子と、スクリーン10の反射光のX方向の輝度分布とを示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、板、シート等の言葉を使用している。一般的に、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、スクリーン面とは、スクリーン全体として見たときにおける、スクリーンの平面方向となる面を示すものであり、スクリーンの画面(表示面)に平行であるとする。
(実施形態)
図1は、本実施形態の映像表示装置1を示す図である。図1(a)では、映像表示装置1をスクリーン10の正面方向に位置する観察者O1から見た図であり、図1(b)は、映像表示装置1を側面側から見た図である。
映像表示装置1は、スクリーン10、映像源LS1,LS2等を有している。本実施形態のスクリーン10は、映像源LS1,LS2から投影された映像光L1,L2を反射して、その映像源側の画面(表示領域S)に映像を表示可能である。このスクリーン10の詳細に関しては、後述する。
ここで、理解を容易にするために、図1を含め以下に示す各図において、適宜、XYZ直交座標系を設けて示している。この座標系では、スクリーン10の画面左右方向(水平方向)をX方向、画面上下方向(鉛直方向)をY方向とし、スクリーン10の厚み方向をZ方向とする。スクリーン10の画面は、XY面に平行であり、スクリーン10の厚み方向(Z方向)は、スクリーン10の画面に直交する。
また、スクリーン10の厚み方向における映像源側の正面方向に位置する観察者O1から見て、画面左右方向の右側に向かう方向を+X方向、画面上下方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において背面側(裏面側)から映像源側に向かう方向を+Z方向とする。
さらに、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン10の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
映像源LS1,LS2は、それぞれ映像光L1,L2をスクリーン10へ投影する映像投射装置(プロジェクタ)である。本実施形態の映像源LS1,LS2は、短焦点型のプロジェクタである。
この映像源LS1,LS2は、映像表示装置1の使用状態において、スクリーン10の画面(表示領域S)を映像源側(+Z側)の正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン10の画面左右方向(X方向)の中央であって、スクリーン10の画面よりも鉛直方向下方側(−Y側)に位置している。
映像源LS1,LS2は、スクリーン10に対する奥行き方向(Z方向)の距離が等しく、画面左右方向(X方向)に並んで配置されている。また、映像源LS1,LS2は、隣接しており、スクリーン10の画面左右方向の中央を通り奥行き方向(Z方向)に平行な不図示の直線に対して、映像源LS1が左側(−X側)、映像源LS2が右側(+X側)に位置しており、その直線に対するX方向の距離も同じである。
映像源LS1,LS2は、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン10の映像源側(+Z側)の表面からの距離が従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から、斜めに映像光L1,L2を投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LS1,LS2は、スクリーン10までの投射距離が短く、投射された映像光L1,L2がスクリーン10に入射する入射角度や、入射角度の変化量(最小値から最大値までの変化量)が大きい。
スクリーン10は、映像源LS1,LS2が投射した映像光L1、L2の一部を映像源側(+Z側)に位置する観察者O1側へ向けて反射して映像を表示する反射スクリーンである。このスクリーン10は、透明性を有しており、映像光を投射しない不使用時等において、スクリーン10の向こう側の景色を観察できる透明性を有する半透過型の反射スクリーンである。
スクリーン10の表示領域S(画面)は、使用状態において、映像源側(+Z側)の観察者O1側から見て長辺方向が画面左右方向に平行な略矩形形状である。本実施形態では、前述の映像源LS1,LS2は、画面左右方向(X方向)に平行に、すなわち、スクリーン10の表示領域Sの長辺方向に平行に隣接して配列されている。
スクリーン10は、その画面サイズが対角40〜100インチ程度の大きな画面を有しており、画面の横縦比が16:9である。なお、これに限らず、例えば、40インチ程度以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状は適宜選択できるものとする。
図2は、本実施形態において、映像源LS1,LS2から投射された映像光L1,L2による映像が表示される領域S1,S2等を説明する図である。
スクリーン10の表示領域S上において、映像源LS1からの映像光L1が入射して映像を表示する領域S1と、映像源LS2からの映像光L2が入射して映像を表示する領域S2とは、少なくともその一部が重複している。この重複する領域S3は、表示領域Sを正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、幾何学的中心となる点Aを含み、かつ、表示領域Sの面積の50%以上を占めることが、シンチレーションの改善された明るい映像を表示する観点から好ましい。本実施形態では、映像源側(+Z側)に位置する観察者から見て、領域S1,S2は、いずれもスクリーン10の表示領域Sの略全域に一致し、重複する領域S3は、点Aを含み、表示領域Sの略全域である。
なお、シンチレーションを低減し、明るく良好な映像を表示する観点から、重複する領域S3は、点Aを含み、かつ、表示領域Sの面積の90%以上を占めることがより好ましい。このとき、領域S1,S2は、スクリーン10の表示領域Sの左右両端部に存在する形態としてもよい。
また、映像源LS1が投射した映像光L1によりスクリーン10の領域S3に表示する映像と、映像源LS2が投射した映像光L2によりスクリーン10の領域S3に表示する映像とが一致するように、映像源LS1,LS2の映像光の投射角度等が調整されている。また、表示領域Sに表示される映像は、領域S1,S2,S3に表示される各映像により構成されるが、表示領域S上において各領域に表示される映像の境界部分にはつなぎ目等がなく、なめらかに映像が繋がっている。
なお、図2では、領域S1,S2は、スクリーン10の長辺方向となる画面左右方向に配列されている例を示したが、これに限らず、画面上下方向に配列される形態等としてもよい。
一般的に、スクリーン10は、樹脂製の薄い層の積層体等であり、それ単独では平面性を維持するだけの十分な剛性を有していない場合が多い。そのため、スクリーン10は、その背面側等に光透過性を有する不図示の接合層を介して不図示の支持板を一体に接合(あるいは部分固定)し、画面の平面性を維持する形態としてもよい。
このような支持板は、光透過性を有し、剛性が高い平板状の部材であり、アクリル樹脂やPC樹脂等の樹脂製、ガラス製等の板状の部材を用いることができる。
また、スクリーン10は、不図示の枠部材等によってその四辺等が支持され、その平面性を維持する形態としてもよい。
図3は、本実施形態のスクリーン10の層構成を説明する図である。図3では、スクリーン10の映像源側(+Z側)の表示領域S(画面)の幾何学的中心となる点A(図1参照)を通り、画面上下方向(Y方向)に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向であるZ方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。
図4は、本実施形態の第1光学形状層12を背面側(−Z側)から見た図である。理解を容易にするために、図4では、スクリーン10の反射層13や第2光学形状層14、保護層15等を省略して示している。
スクリーン10は、図3に示すように、その映像源側(+Z側)から順に、基材層11、第1光学形状層12、反射層13、第2光学形状層14、保護層15を備えている。
基材層11は、光透過性を有するシート状の部材である。基材層11は、その背面側(裏面側,−Z側)に、第1光学形状層12が一体に形成されている。この基材層11は、第1光学形状層12を形成する基材(ベース)となる層である。
基材層11は、例えば、高い光透過性を有するPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂等により形成される。
第1光学形状層12は、基材層11の背面側(−Z側)に形成された光透過性を有する層である。第1光学形状層12の背面側の面には、単位光学形状(単位レンズ)121が複数配列されて設けられている。
図4に示すように、単位光学形状121は、真円の一部形状(円弧状)であり、スクリーン10の画面(表示領域)外に位置する点Cを中心として、同心円状に複数配列されている。すなわち、第1光学形状層12は、背面側に点Cをフレネルセンターとする、いわゆるオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を有している。
この点Cは、図4に示すように、画面左右方向の中央であって画面下方(−Y側)に位置しており、スクリーン10を正面方向から見た場合、点Cと点Aとは、Y方向に平行な同一直線上に位置している。
単位光学形状121は、図3に示すように、スクリーン面に直交する方向(Z方向)に平行であって、単位光学形状121の配列方向に平行な断面における断面形状が、略三角形形状である。
この単位光学形状121(単位レンズ)は、背面側に凸であり、映像光が入射する第1斜面(レンズ面)121aと、これに対向する第2斜面(非レンズ面)121bとを有している。
1つの単位光学形状121において、第2斜面121bは、頂点tを挟んで第1斜面121aの下側に位置している。
第1斜面121aがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ1である。第2斜面121bがスクリーン面に平行な面となす角度は、θ2である。角度θ1,θ2は、θ2>θ1という関係を満たしている。
この単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bは、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有している。この微細な凹凸形状は、凸形状と凹形状とが2次元方向に不規則に配列されて形成されており、凸形状及び凹形状は、その大きさや形状、高さ等は不規則である。
単位光学形状121の配列ピッチは、Pであり、単位光学形状121の高さ(厚み方向における頂点tから単位光学形状121間の谷底となる点vまでの寸法)は、hである。
理解を容易にするために、図3では、単位光学形状121の配列ピッチP、角度θ1,θ2は、単位光学形状121の配列方向において一定である例を示している。しかし、本実施形態の単位光学形状121は、実際には、配列ピッチPは一定であるが、角度θ1が単位光学形状121の配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて次第に大きくなっている。
角度θ1,θ2、配列ピッチP等は、映像源LS1,LS2からの映像光の投射角度(スクリーン10への映像光の入射角度)や、映像源LS1,LS2の画素(ピクセル)の大きさ、スクリーン10の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜設定してよい。例えば、単位光学形状121の配列方向に沿って、配列ピッチPが変化し、角度θ1,θ2が変化する形態としてもよい。
第1光学形状層12は、光透過性の高いウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリチオール系、ブタジエンアクリレート系等の紫外線硬化型樹脂により形成されている。
なお、本実施形態では、第1光学形状層12を構成する樹脂として、紫外線硬化型樹脂を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
反射層13は、入射した光の一部を反射し、その他を透過する半透過型の反射層、いわゆるハーフミラーである。本実施形態の反射層13は、単位光学形状121上(第1斜面121a及び第2斜面121b上)に形成されている。
前述のように、第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されており、反射層13は、この微細な凹凸形状に追従して形成され、その凹凸形状を維持した状態で成膜されている。そのため、反射層13の第1光学形状層12側(映像源側)の面及び第2光学形状層14側(背面側)の面は、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。
この反射層13は、入射した光の一部を微細かつ不規則な凹凸形状により拡散して反射し、反射しない他の光を拡散しないで透過する。
反射層13の反射率及び透過率は、所望する光学性能に合わせて適宜に設定できるが、映像光を良好に反射させるとともに、映像光以外の光(例えば、太陽光等の外界からの光)を良好に透過させる観点から、透過率が30〜85%程度、反射率が5〜60%程度であることが望ましい。
反射層13は、光反射性の高い金属、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル等により形成されている。本実施形態の反射層13は、アルミニウムを蒸着することにより形成されている。
反射層13は、これに限らず、例えば、光反射性の高い金属をスパッタリングしたり、金属箔を転写したりする等により形成してもよいし、例えば、誘電体多層膜を蒸着することにより形成してもよい。
第2光学形状層14は、第1光学形状層12の背面側(−Z側)に設けられた光透過性を有する層である。第2光学形状層14は、第1光学形状層12の背面側(−Z側)の面を平坦にするために設けられており、単位光学形状121間の谷部を埋めるように形成されている。したがって、第2光学形状層14の映像源側(+Z側)の面は、第1光学形状層12の単位光学形状121の略逆型の形状が複数配列されて形成されている。
このような第2光学形状層14を設けることにより、反射層13を保護でき、スクリーン10の背面側の面に保護層15等を積層しやすくなる。また、スクリーン10の背面側に支持板等を接合する場合には、接合が容易となる。
第2光学形状層14の屈折率は、第1光学形状層12の屈折率と等しい、又は、略等しい(等しいとみなせる程度に屈折率差が小さい)ことが望ましい。また、第2光学形状層14は、前述の第1光学形状層12と同じ紫外線硬化型樹脂を用いて形成することが好ましいが、異なる材料により形成してもよい。
本実施形態の第2光学形状層14は、前述の第1光学形状層12と同じ材料により形成され、その屈折率が第1光学形状層12の屈折率に等しい。
保護層15は、第2光学形状層14の背面側(−Z側)に形成された光透過性を有する層であり、このスクリーン10の背面側(−Z側)を保護する機能を有している。
保護層15は、光透過性の高い樹脂製のシート状の部材が用いられる。保護層15は、例えば、前述の基材層11と同様の材料を用いて形成されたシート状の部材を用いてもよい。
上述のように、本実施形態のスクリーン10は、光を拡散する作用を有する粒子等の拡散材を含有した光拡散層を備えておらず、光を拡散する作用を有するのは、反射層13の微細かつ不規則な凹凸形状のみである。
スクリーン10は、例えば、以下のような製造方法により製造される。
基材層11を用意し、その一方の面に、単位光学形状121を賦形する成形型に紫外線硬化型樹脂を充填した状態で積層し、紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させるUV成形法により第1光学形状層12を形成する。このとき、単位光学形状121を賦形する成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面には、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている。この微細かつ不規則な凹凸形状は、成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面に、めっき処理やエッチング処理、ブラスト処理等を1回以上行うことによって形成できる。
第1光学形状層12を、基材層11の一方の面に形成した後、第1斜面121a及び第2斜面121bに、アルミニウムを蒸着することにより反射層13を形成する。
その後、反射層13の上から、単位光学形状121間の谷部を充填して平面状となるように紫外線硬化型樹脂を塗布し、保護層15を積層し、紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、第2光学形状層14及び保護層15を一体に形成する。その後、所定の大きさに裁断する等により、スクリーン10が完成する。
なお、基材層11及び保護層15は、枚葉状としてもよいし、ウェブ状としてもよい。
反射層13の表面(第1斜面121a及び第2斜面121b)に微細かつ不規則な凹凸形状を形成する方法として、例えば、第1斜面121a,第2斜面121b上に拡散粒子等を塗布してその上から反射層13を形成したり、第1光学形状層12を形成後に第1斜面121a,第2斜面121bにブラスト加工を行い、その上から反射層13を形成したりする方法等が従来知られている。
しかし、このような製法で反射層13の表面(第1斜面121a,第2斜面121b)に微細かつ不規則な凹凸形状を形成した場合には、個々のスクリーン10での拡散特性や品質等のばらつきが大きく、安定した製造が行えない。
これに対して、上述のように、単位光学形状121の第1斜面121a,第2斜面121bの微細かつ不規則な凹凸形状を成形型によって賦形し、その上に反射層13を形成するという製造方法を用いることにより、多数のスクリーン10を製造する場合にも、品質のばらつきが少なく、安定して製造できるという利点がある。
図5は、本実施形態のスクリーン10での画面上下方向(Y方向)における映像光及び外光の様子を示す図である。図5では、点Aを通り、単位光学形状121の配列方向(Y方向)及びスクリーンの厚み方向(Z方向)に平行な断面での断面の一部を拡大して示している。また、図5では、理解を容易にするために、スクリーン10内の各層の界面における屈折率差はないものとして示している。
スクリーン10の下方に位置する映像源LS1,LS2から投射された映像光L31のうち、一部の映像光L32は、スクリーン10に入射し、単位光学形状121の第1斜面121aに入射して反射層13によって拡散反射され、観察者O1側へ出射する。
第1斜面121aに入射した映像光のうち反射しなかった他の映像光L33は、反射層13を透過し、スクリーン10の背面側(−Z側)から出射する。このとき、映像光L33は、スクリーン10の上方へと出射し、スクリーン10の背面側の正面方向に位置する観察者O2には到達しない。
また、映像源LS1,LS2から投射された映像光L31うち、一部の映像光L34は、スクリーン10の表面で反射し、スクリーン10上方へ向かう。この映像光L34は、観察者O1に届かない。
なお、本実施形態では、映像源LS1,LS2がスクリーン10よりも下方に位置し、映像光L31がスクリーン10の下方から投射され、かつ、第2斜面121bの角度θ2(図3参照)がスクリーン10の画面上下方向の各点における映像光の入射角度よりも大きいので、映像光が第2斜面121bに直接入射することはなく、第2斜面121bは、映像光の反射にはほとんど影響しない。
次に、背面側(−Z側)又は映像源側(+Z側)からスクリーン10に入射する映像光以外の太陽光等の外界からの光(以下、外光という)について説明する。
図5に示すように、スクリーン10に入射する外光G1,G5のうち、一部の外光G2,G6は、スクリーン10の表面等で反射し、スクリーン下方側へ向かう。また、一部の外光G3,G7は、反射層13で反射し、例えば、外光G3は、スクリーン10の映像源側(+Z側)の表面で全反射してスクリーン10内下方へ向かい、外光G7は、背面側(−Z側)のスクリーン外上方側へ出射する。また、反射層13で反射しなかった他の外光G4,G8は、反射層13を透過して、それぞれ背面側下方、映像源側下方へ出射する。このとき、映像源側へ出射する外光G2,G3,G8は、観察者O1には到達しないので、映像のコントラスト低下を抑制できる。
また、スクリーン10に入射した外光の一部は、スクリーン10の映像源側及び背面側の表面で全反射して、スクリーン内部下方側へ向かい、減衰する。
また、他の外光G9,G10は、反射層13を透過して、それぞれ背面側、映像源側へ出射する。スクリーン10は、拡散粒子を含有する拡散材等を含有していないので、このスクリーン10を透過する外光G9,G10は、拡散されない。したがって、スクリーン10を通して、スクリーン10の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン10の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
従来の拡散粒子を含有する拡散層を備えた半透過型の反射スクリーンでは、映像光は、反射層での反射前後の2回拡散されるので、良好な視野角が得られる一方で映像の解像度が低下するという問題がある。また、拡散粒子によって外光も拡散されるため、スクリーンの向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりして観察され、透明性が低下する。
しかし、本実施形態のスクリーン10では、反射層13が表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有している以外は、拡散作用を有しないので、映像光は反射時のみ拡散される。また、本実施形態のスクリーン10では、反射層13で反射する光のみが拡散され、透過光は拡散されない。したがって、本実施形態のスクリーン10は、良好な視野角及び解像度を有する映像を表示でき、かつ、スクリーン10の向こう側の景色が白くにじんだり、ぼけたりすることがなく観察者O1に良好に視認され、高い透明性を実現できる。
また、本実施形態のスクリーン10では、スクリーン10に映像光が投射された状態においても、観察者O1が、スクリーン10の向こう側(背面側)の景色を一部視認することが可能である。
さらに、本実施形態のスクリーン10では、背面側(−Z側)に位置する観察者O2は、映像光の投射の有無に関わらず、スクリーン10越しに映像源側(+Z側)の景色を高い透明性を有して良好に視認することができる。
次に、スクリーン10の画面左右方向(X方向)における映像光の様子について説明する。
図6は、本実施形態の映像表示装置1を上側(+Y側)から見た様子と、これに対応するスクリーン10の反射光のX方向の輝度分布とを示す図である。
図6に示すように、本実施形態の映像源LS1,LS2は、スクリーン10に対してX方向において斜めに映像光を投射する。例えば、点Aへ向かって映像源LS1,LS2から投射された映像光L11,L21の一部は、スクリーン10で反射してそれぞれL12,L22の方向へ進む。図6において、角度α1=α2である。なお、これに限らず、角度α1と角度α2とは、その大きさが異なってもよい。
映像源LS1から投射された映像光による反射光のピーク輝度は、画面左右方向の中央に対して+X側(右側)、映像源LS2から投射された映像光による反射光のピーク輝度は、画面左右方向の中央に対して−X側(左側)に位置する形となる。
そして、映像源LS1,LS2から投射された映像光による反射光を合わせた輝度分布は、図5に示すように、一台の映像源を用いた場合よりもそのピーク輝度が高く、かつ、1/2角が大きくなる。したがって、スクリーン10は、映像の明るさが増大し、かつ、その画面左右方向(X方向)における視野角が、一台の映像源により映像光を映像源側下方から投射する場合に比べて広くなる。
また、透明性を有するスクリーン10は、反射層13で映像光を拡散反射するため、投射瞳径が小さい映像源から高輝度の映像光を投射する場合には、拡散粒子等を含有する光拡散層を備える従来の反射スクリーン等に比べて、シンチレーション(スペックル)が生じやすい傾向を有する。
しかし、本実施形態のスクリーン10の重複する領域S3の任意の点には、2台の映像源LS1,LS2から投射された映像光が異なる角度で入射し、映像光が異なる2つの光路を通って観察者O1に届くので、シンチレーション(スペックル)が低減される。
よって、スクリーン10の表示する映像のシンチレーション(スペックル)を低減し、明るく良好な映像を表示できる映像表示装置1とすることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、透明性を有する反射型のスクリーン10を備える映像表示装置1において、スクリーン10に表示される映像のシンチレーションを効果的にかつ簡単な構成で低減でき、観察者O1は、快適に良好な映像を視認できる。
また、本実施形態によれば、透明性を有する反射型のスクリーン10であっても明るい映像を表示でき、映像の視野角も広げることができる。
また、本実施形態によれば、映像源LS1,LS2がスクリーン10の長辺方向に平行に配列されているので、例えば、表示領域S(画面)が画面左右方向に長い場合でも表示領域S全面で、映像を表示できる。
なお、上述の本実施形態の映像表示装置1は、例えば、店舗等のショーウィンドウや屋内用のパーテーション等に適用してもよいし、展示会等における意匠性の高い映像表示にも適用してもよい。ショーウィンドウに適用される場合には、スクリーン10がショーウィンドウのガラス板に固定される形態としてもよい。パーテーション等に適用される場合には、透明なガラスや樹脂製の平板状のパーテーション等にスクリーン10が接合される形態としてもよい。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)映像源LS1,LS2の投射する映像光L1,L2によりスクリーン10の表示領域Sにおいて映像を表示する領域S1,S2は、いずれもスクリーン10の表示領域Sの全域であり、重複する領域S3は、スクリーン10の表示領域Sの略全域である例を挙げて説明したが、これに限らず、スクリーン10の正面方向(スクリーン面の法線方向)から見て、重複する領域S3が表示領域Sの幾何学的中心となる点Aを含み、かつ、表示領域Sの面積の50%以上を占めるのであれば、領域S1,S2の配置等は特に限定しない。
例えば、スクリーン10の表示領域S(画面)の中央部に領域S3が位置し、画面左右方向や画面上下方向の両端部は、領域S1又は領域S2のみである形態としてもよい。このような形態とした場合にも、観察者O1が主として観察する領域となる画面(表示領域S)の中央部ではシンチレーションが改善され、十分に明るい映像を表示できる。
また、映像源LS1,LS2は、鉛直方向(上下方向)に並列に配置してもよいし、奥行き方向に前後に並列して配置してもよい。
また、映像源LS1,LS2は、隣接しておらず、両者がその配列方向において離れて配置されていてもよい。
また、映像源は、3台以上用いてもよい。その場合においても、各映像光により映像が表示される領域は少なくとも一部が重複しており、その重複する領域は、表示領域Sの中心となる点を含み表示領域Sの面積の50%以上を占めることが好ましい。
(2)スクリーン10は、透明性を有し、映像光の一部を反射して映像を表示し、一部を透過する半透過型の反射スクリーンである例を示したが、これに限らず、例えば、不透明であり、映像光の一部を反射して映像を表示する一般的な反射スクリーンとしてもよい。この場合にも、シンチレーション低減の効果を奏することができる。
また、この場合には、反射層13は、映像光の少なくとも一部を反射し、透光性を有しないものとしてもよい。
(3)図2や図6では、映像源LS1は、画面に対して左側(−X側)に位置し、映像源LS1の映像光の映像が表示される領域S1は、スクリーン10の画面の右側(+X側)に位置し、映像源LS2は、画面に対して右側に位置し、映像源LS2の映像光の映像が表示される領域S2は、スクリーン10の画面の左側に位置する形態を示したが、これに限らず、映像源LS1は、画面に対して左側(−X側)に位置し、領域S1も、スクリーン10の画面の左側に位置し、映像源LS2は、画面に対して右側(+X側)に位置し、領域S2もスクリーン10の画面の右側に位置する形態としてもよい。このような形態としても、前述の実施形態と同様に、シンチレーションを低減する効果が得られる。
(4)スクリーン10の映像源側(+Z側)の面に、傷つき防止を目的としたハードコート層を設けてもよい。ハードコート層は、例えば、スクリーン10の映像源側の面(基材層11の映像源側の面)に、ハードコート機能を有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート等)を塗布して形成する等により、形成することができる。
また、ハードコート層に限らず、スクリーン10の使用環境や使用目的等に応じて、例えば、反射防止機能、紫外線吸収機能、防汚機能、帯電防止機能等、適宜必要な機能を有する層を1つ又は複数選択して設けてもよい。さらに、基材層11の映像源側(+Z側)にタッチパネル層等を設けてもよい。
例えば、スクリーン10の映像源側の表面に反射防止層を設けた場合には、映像光のスクリーン入射時の反射を抑制することに加え、反射層13で反射した光の一部が、映像源側表面で反射して背面側から出射することにより、背面側の観察者O2に映像が一部見えてしまうこと等も防止することができる。
(5)映像源LS1,LS2は、例えば、スクリーン10の斜め下側等に配置され、点Aと映像源LS1,LS2の間とを通る直線が、画面左右方向においてスクリーン面に対して斜めに傾斜する形態としてもよい。このとき、映像源LS1,LS2の位置に合わせて単位光学形状121の配列方向を傾けた形態となる。
このような形態とすることにより、映像源LS1,LS2の位置等を自由に設定することができる。
(6)第1光学形状層12は、単位光学形状121が画面左右方向に延在し、画面上下方向に複数配列されるリニアフレネルレンズ形状を背面側(−Z側)の面に有する形態としてもよい。
(7)単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bは、例えば、曲面と平面とが組み合わされた形態としてもよいし、折れ面状としてもよい。また、単位光学形状121は、3つ以上の複数の面によって形成される多角形形状としてもよい。
また、反射層13は、第1斜面121a及び第2斜面121bに形成される例を示したが、これに限らず、例えば、第1斜面121aの少なくとも一部に形成される形態としてもよい。
また、第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状が形成された粗面である例を示したが、これに限らず、第1斜面121aのみ粗面である形態としてもよい。
(8)スクリーン10は、第1光学形状層12及び第2光学形状層14が十分な厚みや剛性等を有している場合には、基材層11及び保護層15を備えない形態としてもよいし、どちらか一方を備えない形態としてもよい。
また、スクリーン10は、基材層11及び保護層15の少なくとも一方を、ガラス板等の光透過性を有する板状の部材としてもよい。このとき、粘着剤層等を介して第1光学形状層12等がガラス板等に接合される形態としてもよい。
また、スクリーン10は、その映像源側(+Z側)又は背面側(−Z側)に、透光性を有する支持板を配置し、支持板に接合する形態等してもよい。このとき、例えば、スクリーン10の背面側に支持板等を接合する場合には、保護層15を設けない形態としてもよいし、スクリーン10の映像源側に支持板等を接合する場合には、基材層11を設けない形態としてもよい。
(9)スクリーン10は、表示領域Sが矩形形状である例を示したが、これに限らず、例えば、正方形や平行四辺形等の他の四角形形状や多角形形状、円形、長円形、楕円形等としてもよい。このとき、映像源LS1,LS2は、その表示領域Sを正面方向から見た外形において、他の方向よりも寸法の大きい方向に平行に配置することが、表示領域S全域で映像を表示する観点から好ましい。
(10)スクリーン10は、黒や灰色等の暗色系の着色材等で着色され、入射した光の一部を吸収する光吸収性を有する光吸収層を備えていてもよい。この光吸収層は、反射層13よりも映像源側(+Z側)に位置していてもよいし、背面側(−Z側)に位置していてもよい。
光吸収層をスクリーン10に設けることにより、スクリーン10に入射した外光等により生じ、スクリーン10と空気との界面で全反射しながらスクリーン10内を進む迷光を吸収でき、迷光による映像のコントラスト低下等を抑制できる。
光吸収層が、反射層13よりも映像源側(+Z側)に位置する場合には、映像の黒輝度の低減や映像源側から入射する外光を吸収でき、映像のコントラストの向上を図ることができる。また、光吸収層が、反射層13よりも背面側(−Z側)に位置する場合には、背面側から入射する外光を吸収し、映像のコントラストを向上させることができる。
なお、上述の光吸収層は、着色材を含有せず、透明な層であって光吸収作用を有する層としてもよい。
(11)映像源LS1,LS2は、例えば、P波の偏光成分を有する映像光を投射するものとしてもよい。
このとき、映像源LS1,LS2は、映像光が入射角φでスクリーン10へ投射されるように位置及び角度が設定されている。この入射角φは、スクリーン10へ投射された映像光(P波)の反射率がゼロとなる入射角(ブリュースター角)をφb(°)とした場合、(φb−10)°以上85°以下の範囲に設定される。例えば、スクリーン10へ投射された映像光の反射率がゼロとなる入射角φbが60°である場合、映像光の入射角φは、50〜85°の範囲に設定される。
このように、P波の偏光成分を有する映像光を投射する映像源LS1,LS2を用いることにより、スクリーン10への入射角φが大きい場合にも、スクリーン10の表面における鏡面反射を抑制することができ、映像源LS1,LS2の設置位置等、投射系の設計の自由度を上げることができる。また、このような映像源LS1,LS2を用いることにより、スクリーン10に入射する際にスクリーン表面での映像光の反射を低減でき、映像の明るさ、鮮明さの向上を図ることができる。
なお、角度φb(ブリュースター角)は、映像光が投射されるスクリーン10表面の材質により異なる。
また、このような形態の場合、基材層11及び保護層15としては、TAC製のシート状の部材が好適である。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態等によって限定されることはない。
1 映像表示装置
10 スクリーン
11 基材層
12 第1光学形状層
121 単位光学形状
121a 第1斜面
121b 第2斜面
13 反射層
14 第2光学形状層
15 保護層
LS1,LS2 映像源
S1,S2 領域
S3 重複する領域

Claims (6)

  1. 映像源から投射された映像光の少なくとも一部を反射して映像を表示する反射スクリーンと、
    前記反射スクリーンに映像光を投射する複数の映像源と、
    を備え、
    前記複数の映像源は、並列に配置され、
    前記反射スクリーンは、透明性を有しており、
    光透過性を有し、映像光が入射する第1の面とこれに対向する第2の面とを有する単位光学形状が、背面側の面に複数配列された光学形状層と、
    前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面の一部に形成され、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、入射する光の少なくとも一部を拡散反射し、一部を透過する反射層と、
    前記光学形状層及び前記反射層よりも背面側に、前記単位光学形状の凹凸を埋めるように積層された光透過性を有する第2光学形状層と、を備え、
    光を拡散する作用を有する拡散粒子を含有する光拡散層を備えておらず、
    前記複数の映像源から投射された映像光による映像は、前記反射スクリーンの表示領域において、少なくとも一部が重複し、その重複する領域は、前記表示領域の幾何学的中心を含み、かつ、前記表示領域の面積の50%以上を占めること、
    を特徴とする映像表示装置。
  2. 請求項1に記載の映像表示装置において、
    前記単位光学形状は、前記反射スクリーンの前記表示領域外に位置する一点を中心として同心円状に複数配置されており、
    前記光学形状層は、背面側の面にサーキュラーフレネルレンズ形状を有すること、
    を特徴とする映像表示装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の映像表示装置において、
    前記複数の映像源が配列されている方向は、前記反射スクリーンの前記表示領域の外形において他の方向よりも寸法の大きい方向に平行であること、
    を特徴とする映像表示装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の映像表示装置において、
    前記反射スクリーンは、入射した光の一部を吸収する作用を有する光吸収層を備えること、
    を特徴とする映像表示装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の映像表示装置において、
    前記反射スクリーンは、その厚み方向において前記光学形状層よりも映像源側に、反射防止機能、ハードコート機能、帯電防止機能、防汚機能の少なくとも1つの機能を有する層を備えること、
    を特徴とする映像表示装置。
  6. 映像源から投射された映像光の少なくとも一部を反射して映像を表示する反射スクリーンと、
    前記反射スクリーンに映像光を投射する複数の映像源と、
    を備え、
    前記複数の映像源は、並列に配置され、
    前記反射スクリーンは、透明性を有しており、
    光透過性を有する第1の層と、
    前記第1の層よりも背面側に位置し、光透過性を有する第2の層と、
    前記第1の層と前記第2の層との間に位置し、これら2層に接し、その表面に微細かつ不規則な凹凸形状を有し、入射する光の少なくとも一部を拡散反射し、一部を透過する反射層と、を備え、
    光を拡散する作用を有する拡散粒子を含有する光拡散層を備えておらず、
    前記複数の映像源から投射された映像光による映像は、前記反射スクリーンの表示領域において、少なくとも一部が重複し、その重複する領域は、前記表示領域の幾何学的中心を含み、かつ、前記表示領域の面積の50%以上を占めること、
    を特徴とする映像表示装置。
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