JP6929111B2 - 耐震補強機構 - Google Patents
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Description
また、損傷抑制手段を備えることにより、例えば、設備機器が水平方向に揺れた場合に、損傷抑制手段を用いて支持手段が損傷することを抑制することができるので、支持部材の強度の低下を防止することができる。
また、干渉部材を備えることにより、例えば、設備機器が水平方向に揺れてない場合に、支持手段に対して設備機器の固有振動(一例としては、設備機器が常時稼働中に発生する機械振動)が伝達することを防止し、また、地震発生時などに設備機器が水平方向に揺れた場合に、干渉部材を用いて支持手段が損傷することを抑制することができるので、固有振動の伝達を防止しつつ支持部材の強度の低下を防止することができる。
また、水平方向における設備機器と干渉部材との間の距離を調整することにより、例えば、あらゆる形状の設備機器を支持する支持手段に対して干渉部材を容易に適用することができるので、耐震補強機器の利用性を向上させることができる。
まず、各実施の形態の基本的概念について説明する。各実施の形態は、概略的に、上部構造から垂下された支持手段で支持されている設備機器を耐震補強する耐震補強機構に関する。
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
最初に、実施の形態1にについて説明する。この実施の形態においては、「耐震補強機構」が補強機構である場合において、当該補強機構の「棒部材」が上部構造から設備機器に垂下している場合について説明する。
まず、本実施の形態に係る補強機構の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る補強機構等を示す斜視図であり、図2は、補強機構等を示す側面図である。なお、以下の説明では、これら各図に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が垂直方向であって、X方向及びY方向が垂直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側(平面)と称し、−Z方向を下側(底面)と称して説明する(図1及び図2以外の各図を用いて説明する場合も同様とする)。
図2の棒部材11は、天井スラブ92から設備機器9に至っている部材であり、具体的には、自己の上側(+Z方向)の端部側(一端側)が天井スラブ92に取り付けられていると共に自己の下側(−Z方向)の端部側(他端側)が設備機器9に設けられている部材である。この棒部材11の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、天井スラブ92から設備機器9の上面に垂下されているものであり、また、垂直方向(Z方向)において天井スラブ92と設備機器9との間に設けられているものであり、また、水平方向(XY平面に沿う方向)において設備機器9の中心に対応する位置に設けられているものであり、また、垂直方向(Z方向)において天井スラブ92の下面から設置機器9の上面までの距離よりも僅かに短い1本のみの金属製の単管であり、また、本体部111、上側接合部112、及び下側接合部113を備えるものである。
本体部111は、天井スラブ92と設備機器9との間において垂直方向(Z方向)に沿って伸びている円柱形状の部分である。
上側接合部112は、上側(+Z方向)にて本体部111に結合されている部分であり、また、防振部材12を介して天井スラブ92の下面に取り付けられる部分であり、例えば、矩形の平板状のフランジである。この上側接合部112の天井スラブ92への取付手法は任意であるが、例えば、上側接合部112及び防振部材12を貫通し天井スラブ92に至るアンカー112aを複数個用いて取り付けられる。
下側接合部113は、下側(−Z方向)にて本体部111に結合されている部分であり、また、粘性体13を介して設備機器9の上面に配置される部分であり、例えば、矩形の平板状のフランジである。
防振部材12は、天井スラブ92に対して設備機器9の固有振動が伝達されることを防止する振動伝達防止手段であり、具体的には、棒部材11と天井スラブ92との間に設けられているものであり、例えば、前述の振動伝達防止手段として機能と共に、天井スラブ92の下面にける不陸を調整する機能を有するものである。なお、「設備機器9の固有振動」とは、設備機器9に特有の振動であり、具体的には、設備機器9が常時稼働中に発生する機械振動であり、また、設備機器9自体に起因する振動源による振動であり、例えば、地震が発生したか否かに関わらず発生し得る振動である。この防振部材12の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、上側接合部112と天井スラブ92との間に挟まれているものであり、一例としては、ゴムの如き弾性を有する弾性体である。
粘性体13は、天井スラブ92に対する設備機器9の揺れを抑制する揺れ低減手段であり、具体的には、棒部材11と設備機器9との間に設けられているものである。なお、ここでの「天井スラブ92に対する設備機器9の揺れ」とは、天井スラブ92に対する設備機器9の相対的な揺れであり、具体的には、水平方向における揺れであり、例えば、前述の固有振動とは異なる揺れであって、少なくとも地震が発生した場合に発生し得る揺れである。この粘性体13の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、下側接合部113と設備機器9との間に挟まれているものであり、一例としては、粘性を有する公知の材料を用いて構成されるものであって、少なくとも、前述の防振部材12とは異なる性質を有するものである。
次に、このようにして構成された補強機構1の取付手法について説明する。特に、吊りボルト91を用いて天井スラブ92に取り付けられている設備機器9に対する補強機構1の取付手法について説明する(実施の形態1以外の各実施の形態についても同様とする)。
次に、取り付けられた補強機構1における、地震の揺れによる力の伝達について説明する。例えば、地震が発生した場合、天井スラブ92に対して設備機器9が水平方向に揺れることになるが、この場合、この揺れによる設備機器9の慣性力、主に補強機構1を介して天井スラブ92に伝達されることになるので、吊りボルト91を介して天井スラブ92に伝達される力が弱まることになり、吊りボルト91の強度の低下を防止することができる。特に、天井スラブ92の下面及び設備機器9の上面に凹凸が存在する場合も想定し得るが、この場合であっても、棒部材11が防振部材12及び粘性体13を介して天井スラブ92の下面及び設備機器9の上面に取り付けられているために、地震の揺れによる設備機器9慣性力を、補強機構1を介して天井スラブ92に伝達することができるので、吊りボルト91の強度の低下を確実に防止することができる。また、特に、吊りボルト91が不図示のピン継手を介して天井スラブ92に取り付けられているために、天井スラブ92と吊りボルト91が接合点にて回転自由となっており、地震が発生して設備機器9が揺れた場合に、吊りボルト91に加えられる曲げ応力を低減することができるので、吊りボルト91の強度の低下を一層確実に防止することが可能となる。
本実施の形態によれば、天井スラブ92に対する設備機器9の揺れを防止することにより、例えば、設備機器9の揺れによって設備機器9側から吊りボルト91に伝達される力(一例としては、慣性力)を減少させることができるので、吊りボルト91の強度の低下を防止することができる。
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態においては、「耐震補強機構」が補強機構である場合において、当該補強機構の「棒部材」が上部構造から設備機器に傾斜している場合について説明する。実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する(実施の形態3、4も同様とする)。
まず、本実施の形態に係る補強機構の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る補強機構等を示す斜視図であり、図4は、補強機構等の側面図であり、図5は、図4の図面右側に示す補強機構等の拡大図であり、図6は、図5の補強機構の平面図である。なお、図5及び図6では、説明の便宜上、吊りボルト91及び固定部材93については省略されている。また、図6では、垂直方向(Z方向)において図5の防振部材22から下側(−Z方向)に向かった見た図を示しており、実際には、上側接合部212には、アンカー212aが貫通している状態となっているが、説明の便宜上、アンカー212aの図示は省略されている。また、補強機構2については、任意の個数設けることができるが、ここでは、例えば、図3に示すように4つ設けることとし、各補強機構2の構成は相互に同様であるので、1つの補強機構2について代表して説明する。
図5の棒部材21は、天井スラブ92から設備機器9に至っている部材であり、具体的には、自己の上側(+Z方向)の端部側(一端側)が天井スラブ92に取り付けられていると共に自己の下側(−Z方向)の端部側(他端側)が設備機器9に取り付けられている部材である。この棒部材21の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、天井スラブ92から設備機器9の側面に傾斜されているものであり、また、設備機器9の各側面における長辺に沿う方向において中心付近且つ短辺に沿う方向において上側(+Z)寄りの位置に設けられているものであり、また、垂直方向(Z方向)において天井スラブ92の下面から設置機器9の上面までの距離よりも長い金属製のものであり、また、本体部211、上側接合部212、及び下側接合部213を備えるものである。なお、「傾斜」とは、垂直方向(Z方向)に対して平行となっていないことであり、具体的には、垂直方向(Z方向)に対して斜めに傾いていることである。
図5及び図6の本体部211は、天井スラブ92から設備機器9に傾斜して伸びている平板形状の部分である。
上側接合部212は、上側(+Z方向)にて本体部211に取り付けられている部分であり、また、防振部材22を介して天井スラブ92の下面に取り付けられる部分であり、例えば、全体として矩形の平板状の部分である。この上側接合部212の天井スラブ92への取付手法は任意であるが、例えば、実施の形態1の場合と同様にして、上側接合部212及び防振部材22を貫通し天井スラブ92に至るアンカー212aを複数個用いて取り付けられる。また、この上側接合部212の本体部211への取付手法も任意であるが、例えば、上側接続ピン212bを基準に回動可能となるようにピン接合にて取り付けられる。
下側接合部213は、下側(−Z方向)にて本体部211に取り付けられている部分であり、また、設備機器9の側面に取り付けられる部分であり、例えば、取付用接合体2131、固定用接合体2132、及び連結用接合体2133を備える。
図5の防振部材22は、天井スラブ92に対して設備機器9の固有振動が伝達されることを防止する振動伝達防止手段であり、具体的には、棒部材21と天井スラブ92との間に設けられているものである。この防振部材22の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、上側接合部212と天井スラブ92との間に挟まれているものであり、一例としては、実施の形態1の防振部材12と同様な性質を有するものである。
粘性体23は、天井スラブ92に対する設備機器9の揺れを抑制する揺れ低減手段であり、具体的には、棒部材21と設備機器9との間に設けられているものであり、詳細には、棒部材21の本体部211と設備機器9との間に設けられているものである。この粘性体23の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、図6の2つの固定用接合体2132の相互間に配置に配置されるものであって、連結用接合体2133における設備機器9に近い側の端部を挟むように設けられている2つのものであり、一例としては、実施の形態1の粘性体13と同様な性質を有するものである。
次に、このようにして構成された補強機構2の取付手法について説明する。ここでは、粘性体23が前述のようにして棒部材21に設けられている状態の、当該棒部材21の取付手法について説明する。取付手法は任意であり、例えば、棒部材21が各接続ピンを基準にした各部品の回動により変形可能となっていることに着目して、以下のようにして取り付ける。
次に、取り付けられた補強機構2における、地震の揺れによる力の伝達について説明する。例えば、地震が発生した場合、天井スラブ92に対して設備機器9が水平方向に揺れることになるが、この場合、この揺れによる設備機器9の慣性力は、主に補強機構2を介して天井スラブ92に伝達されることになるので、吊りボルト91を介して天井スラブ92に伝達される力を低減し、吊りボルト91の強度の低下を防止することができる。
本実施の形態によれば、棒部材21が天井スラブ92及び設備機器9の側面に取り付けられているので、垂直方向(Z方向)における天井スラブ92と設備機器9との間の距離が比較的短く作業者が作業するのが困難である場合でも、補強機構2を容易に取り付けることができる。
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態においては、「耐震補強機構」が損傷防止機構である場合において、当該損傷防止機構が調整手段を備えている場合について説明する。
まず、本実施の形態に係る損傷防止機構の構成について説明する。図7は、本実施の形態に係る損傷防止機構等を示す側面図であり、図8は、損傷防止機構等の平面図であり、図9は、図7の図面右側に示す損傷防止機構等の拡大図であり、図10は、図8の図面右下側に示す損傷防止機構等の拡大図である。なお、図9は、図8の矢印Aが指し示す方向に向かってみた拡大図である。また、損傷防止機構3については、4つの吊りボルト91のうちの少なくとも1つに設けられるものであるが、ここでは、例えば、図8に示すように、損傷防止機構3を4つの吊りボルト91全てに設けることとし、各損傷防止機構3の構成は相互に同様であるので、1つの損傷防止機構3について代表して説明する(実施の形態4も同様とする)。
干渉部材31は、水平方向における設備機器9と吊りボルト91の一部との間に設けられている干渉手段であり、具体的には、設備機器9が水平方向に揺れてない場合に設備機器9から離れており、設備機器9が水平方向に揺れた場合に設備機器9と接触して干渉する部材である。この干渉部材31の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、揺れていない状態の設備機器9の側面に対して僅かな間隔(例えば、数mm〜十数mm程度の隙間)を介して非接触にて対向するものであり、また、水平方向における設備機器9と自己との間の距離が調整部材32によって調整可能となっており、つまり、揺れていない状態の設備機器9の側面と自己との間の距離が調整可能となっているものであり、また、設備機器9の側面と平行な平板状のものである。特に、このように、揺れていない状態の設備機器9の側面に対して僅かな間隔を介して非接触にて対向するように構成することにより、天井スラブ92に対して設備機器9の固有振動が伝達されるのを防止することが可能となる。
調整部材32は、水平方向における設備機器9と干渉部材31との間の距離を調整する調整手段であって、具体的には、設備機器9の側面と干渉部材31との間の距離を調整するものであり、例えば、上側荷重伝達部321、下側荷重伝達部322、上側接合部323、及び下側接合部324を備えるものである。
上側荷重伝達部321は、設備機器9が水平方向に揺れた場合に当該設備機器9から干渉部材31に伝達される水平荷重を、当該干渉部材31から吊りボルト91側に伝達する伝達手段であり、具体的には、干渉部材31及び上側接合部323の間に設けられているものであり、例えば、干渉部材31及び側接合部323に取り付けられている部材であり、また、図10に示すように、上側接合部323側から干渉部材31側に向かうにつれて広がる三角形の金属製の板状のものである。この上側荷重伝達部321の干渉部材31への取付手法は任意であるが、例えば、図9の上側第1接続ピン321aを基準に回動可能となるようにピン接合にて取り付けられる。また、この上側荷重伝達部321の上側接合部323への取付手法は任意であるが、例えば、上側第2接続ピン321bを基準に回動可能となるようにピン接合にて取り付けられる。
下側荷重伝達部322は、設備機器9が水平方向に揺れた場合に当該設備機器9から干渉部材31に伝達される水平荷重を、当該干渉部材31から吊りボルト91側に伝達する伝達手段である。この下側荷重伝達部322の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、上側荷重伝達部321と同様にして構成されているものであり、つまり、干渉部材31及び下側接合部324に対して回動可能となるようにピン接合にて取り付けられているものである。
上側接合部323は、吊りボルト91に対して少なくとも上側荷重伝達部321を支持する支持手段であり、具体的には、吊りボルト91に取り付けられているものであり、例えば、上側第2接続ピン321bを基準に回動可能となるように上側荷重伝達部321が取り付けられているものである。この上側接合部323の吊りボルト91への取付手法は任意であるが、例えば、上側接合部323自体がいわゆる公知の割ナット構造を採用しており、上側接合部323を割って吊りボルト91に配置した上で固定することにより取り付けられているものである。このように構成することにより、吊りボルト91自体を天井スラブ92から取り外したり、あるいは、吊りボルト91から設備機器9を取り外したりすることなく、上側接合部323を吊りボルト91に取り付けることが可能となる。
下側接合部324は、吊りボルト91に対して少なくとも下側荷重伝達部322を支持する支持手段であり、具体的には、吊りボルト91に取り付けられているものである。この下側接合部324の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、上側接合部323と同様にして構成されているものであり、つまり、吊りボルト91自体を天井スラブ92から取り外したり、あるいは、吊りボルト91から設備機器9を取り外したりすることなく、下側接合部324を吊りボルト91に取り付けることが可能となっているものである。
次に、このようにして構成された損傷防止機構3の取付手法について説明する。
次に、取り付けられた損傷防止機構3における、地震の揺れによる力の伝達について説明する。例えば、地震が発生した場合、吊りボルト91に対して設備機器9が揺れることになるが、この場合、吊りボルト91に取り付けられている損傷防止機構3の干渉部材31と設備機器9の側面との距離が僅かな間隔(例えば、数mm〜十数mm程度の隙間)となっており、設備機器9が吊りボルト91に設けた干渉部材31に早期に接触するため、損傷防止機構3を設置しない場合と比較して設備機器9が吊りボルト91に衝突する際の衝撃力を低減させることができる。
本実施の形態によれば、損傷防止機構3を備えることにより、例えば、設備機器9が水平方向に揺れた場合に設備機器9から吊りボルト91に伝達される水平荷重を減少させることができるので、吊りボルト91の強度の低下を防止することができる。
次に、実施の形態4について説明する。この実施の形態においては、「耐震補強機構」が損傷防止機構である場合において、当該損傷防止機構が調整手段を備えていない場合について説明する。
まず、本実施の形態に係る損傷防止機構の構成について説明する。図11は、本実施の形態に係る損傷防止機構等を示す側面図であり、図12は、損傷防止機構等の平面図であり、図13は、図11の図面右側に示す損傷防止機構等の拡大図であり、図14は、図12の図面右下側に示す損傷防止機構等の拡大図である。なお、図13は、図12の矢印Bが指し示す方向に向かってみた拡大図である。
干渉部材41は、水平方向における設備機器9と吊りボルト91の一部との間に設けられている干渉手段であり、具体的には、設備機器9が水平方向に揺れてない場合に設備機器9から離れており、設備機器9が水平方向に揺れた場合に設備機器9と接触して干渉する部材である。この干渉部材41の具体的な構成や種類は任意であるが、例えば、揺れていない状態の設備機器9の側面に対して僅かな間隔(例えば、数mm〜十数mm程度の隙間)を介して非接触にて対向するものであり、また、図14に示すように、一部が切り欠かかれた円盤状のものである。特に、このように、揺れていない状態の設備機器9の側面に対して僅かな間隔を介して非接触にて対向するように構成することにより、実施の形態3の場合と同様に、天井スラブ92に対して設備機器9の固有振動が伝達されるのを防止することが可能となる。
次に、このようにして構成された損傷防止機構4の取付手法について説明する。
次に、取り付けられた損傷防止機構4における、地震の揺れによる力の伝達について説明する。例えば、地震が発生した場合、実施の形態3の場合と同様に、吊りボルト91に取り付けられている損傷防止機構4の干渉部材41と設備機器9の側面との距離が僅かな間隔(例えば、数mm〜十数mm程度の隙間)となっており、設備機器9が吊りボルト91に設けた干渉部材41に早期に接触するため、損傷防止機構4を設置しない場合と比較して設備機器9が吊りボルト91に衝突する際の衝撃力を低減させることができる。
本実施の形態によれば、干渉部材41を配置して固定するのみで損傷防止機構4を取り付けることができるので、容易に取り付けることができる損傷防止機構4を提供することができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
また、実施の形態1の補強機構1を2個以上設けてもよい。また、実施の形態1の補強機構1の棒部材11を、伸縮自在であり且つユーザが設定した長さに固定できるように構成してもよい。
また、実施の形態1では、防振部材12を棒部材11と天井スラブ92との間(以下、上側設置位置)に設け、且つ、粘性体13を棒部材11と設備機器9との間(以下、下側設置位置)に設ける場合について説明したが、これに限らない。例えば、これらを入れ替えて、粘性体13を上側設置位置に設け、且つ、防振部材12を下側設置位置に設けてもよい。また、例えば、粘性体13を省略して防振部材12のみを設けるようにし、この防振部材12を上側設置位置又は下側設置位置に設けてもよいし、あるいは、防振部材12を省略して粘性体13のみを設けるようにし、この粘性体13を上側設置位置又は下側設置位置に設けてもよい。また、例えば、防振部材12及び粘性体13を省略して、棒部材11を天井スラブ92及び設備機器9に直接取り付けてもよい。なお、実施の形態2についても、同様にして、防振部材22又は粘性体23の位置を変更したり、これらを省略したりしてもよい。
また、実施の形態1の補強機構1については、前述した手順以外の手順にて取り付けてもよい。具体的には、実施の形態で説明したように、アンカー112aのボルト部を天井スラブ92に設けた後に、以下のようにして取り付けてもよい。例えば、粘性体13を介して棒部材11を設備機器9に固定した後に、吊りボルト91への設備機器9の取付及び天井スラブ92への防振部材12を介しての取付を行ってもよい。また、例えば、吊りボルト91を天井スラブ92から取り外して、当該吊りボルト91及び棒部材11を設備機器9に取り付けた上で、当該吊りボルト91及び棒部材11を共に天井スラブ92に取り付けることにより取付を行ってもよい。
また、実施の形態1では、棒部材11の本体部111が円柱形状である場合について説明したが、これに限らず、角柱形状等の任意の形状としてもよい。
また、実施の形態2では、補強機構2の各構成が回動可能となるようにピン接合して構成する場合について説明したが、これに限らない。補強機構2の各構成が回動しないように固定して構成してもよい。このように構成した場合、補強機構2を補強材であるいわゆるブレースとしても用いることが可能となる。
また、実施の形態3では、揺れていない状態の設備機器9の側面と干渉部材31とが相互に非接触となるように構成する場合について説明したが、これに限らない。例えば、耐震補強に対する設備機器9の固有振動の影響が極めて少ないことが予想される場合等の任意の場合には、揺れていない状態の設備機器9の側面と干渉部材31とが相互に接触するように構成してもよい。なお、実施の形態4についても、同様にして、揺れていない状態の設備機器9の側面と干渉部材41とが相互に接触するように構成してもよい。
また、実施の形態4の干渉部材41として、自己の半径を任意に変形できる公知の構造を採用して、この採用した公知の構造の半径を調整することにより、当該公知の構造と設備機器9の側面との間の距離を調整するように構成してもよい。
また、各実施の形態の吊りボルト91を、不図示のピン継手を用いずに天井スラブ92のインサートに直接的に取り付けて、天井スラブ92と吊りボルト91が接合点にて回転自在とならないようにしてもよい。
付記1の耐震補強機構は、上部構造から垂下された支持手段で支持されている設備機器を耐震補強する耐震補強機構であって、前記上部構造に対する前記設備機器の揺れを抑制する補強手段を備え、前記補強手段は、自己の一端側が前記上部構造に取り付けられていると共に自己の他端側が前記設備機器に設けられている棒部材を備える。
付記1に記載の耐震補強機構によれば、上部構造に対する設備機器の揺れを抑制することにより、例えば、設備機器の揺れによって設備機器側から支持手段側に伝達される力(一例としては、慣性力)を減少させることができるので、支持部材の強度の低下を防止することができる。
2 補強機構
3 損傷防止機構
4 損傷防止機構
9 設備機器
11 棒部材
12 防振部材
13 粘性体
21 棒部材
22 防振部材
23 粘性体
31 干渉部材
32 調整部材
41 干渉部材
41a 割ナット
91 吊りボルト
92 天井スラブ
93 固定部材
94 ナット
111 本体部
112 上側接合部
112a アンカー
113 下側接合部
211 本体部
212 上側接合部
212a アンカー
212b 上側接続ピン
213 下側接合部
2131 取付用接合体
2132 固定用接合体
2133 連結用接合体
213a 下側ボルト
213c 下側接続ピン
321 上側荷重伝達部
321a 上側第1接続ピン
321b 上側第2接続ピン
322 下側荷重伝達部
323 上側接合部
324 下側接合部
A 矢印
B 矢印
Claims (5)
- 上部構造から垂下された支持手段で支持されている設備機器を耐震補強する耐震補強機構であって、
前記上部構造に対する前記設備機器の揺れを抑制する補強手段を備え、
前記補強手段は、自己の一端側が前記上部構造に取り付けられていると共に自己の他端側が前記設備機器に設けられている棒部材を備え、
前記支持手段における前記設備機器側の一部は、水平方向において前記設備機器の少なくとも一部と対向しており、
前記耐震補強機構は、前記支持手段に取り付けられている損傷抑制手段であって、前記設備機器が水平方向に揺れた場合に前記支持手段の損傷を抑制する前記損傷抑制手段であり、自己の少なくとも一部が水平方向における前記設備機器と前記支持手段の一部との間に設けられている前記損傷抑制手段、を備え、
前記損傷抑制手段は、
水平方向における前記設備機器と前記支持手段の一部との間に設けられている干渉部材であって、前記設備機器が水平方向に揺れてない場合に前記設備機器から離れ、前記設備機器が水平方向に揺れた場合に前記設備機器と接触して干渉する前記干渉部材と、
水平方向における前記設備機器と前記干渉部材との間の距離を調整する調整手段と、を備える、
耐震補強機構。 - 前記補強手段は、前記上部構造に対する前記設備機器の揺れを防止する粘性体であって、少なくとも前記棒部材と前記上部構造との間、又は、前記棒部材と前記設備機器との間に設けられる前記粘性体、を備える、
請求項1に記載の耐震補強機構。 - 前記補強手段は、前記上部構造に対して前記設備機器の固有振動が伝達されることを防止する防振部材であって、少なくとも前記棒部材と前記上部構造との間、又は、前記棒部材と前記設備機器との間に設けられる前記防振部材、を備える、
請求項1又は2に記載の耐震補強機構。 - 前記棒部材は、前記上部構造から前記設備機器の上面に垂下されている、
請求項1から3の何れか一項に記載の耐震補強機構。 - 前記棒部材は、前記設備機器から前記上部構造に向かうにつれて前記設備機器から離れるように傾斜している、
請求項1から3の何れか一項に記載の耐震補強機構。
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