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JP6926096B2 - 溶射用材料 - Google Patents

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Description

本発明は、フッ化イットリウムを含む溶射用材料に関する。
本出願は、2016年9月16日に出願された日本国特許出願2016−181958号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
基材の表面を各種の材料で被覆することにより新たな機能性を付与する技術は、従来より様々な分野において利用されている。この表面被覆技術の一つとして、例えば、基材の表面に、セラミックス等の材料からなる溶射粒子を、燃焼または電気エネルギー等により軟化または溶融した状態で吹き付けることで、かかる材料からなる溶射皮膜を形成する溶射法が知られている。
半導体デバイス等の製造分野においては、一般に、真空チャンバー(容器)の内部でフッ素,塩素,臭素等のハロゲン系ガスのプラズマを用いたドライエッチングにより半導体基板の表面に微細加工を施すことが行われている。また、ドライエッチング後には、半導体基板を取り出したチャンバーの内部を、酸素ガスプラズマを用いてクリーニングしている。このとき、チャンバー内においては、反応性の高い酸素ガスプラズマやハロゲンガスプラズマに晒される部材が腐食される可能性がある。そして腐食された部材から腐食(エロージョン)部分が粒子状に脱落すると、かかる粒子は半導体基板に付着して回路に欠陥をもたらす異物(以下、当該異物をパーティクルという。)となってしまう。
そこで従来より、パーティクルの発生を低減させる目的で、半導体デバイス製造装置の酸素ガスやハロゲンガス等の腐食性プラズマに晒される部材に対して、プラズマによるエロージョンに対する耐性(以下、耐プラズマエロージョン性という。)を備えるセラミックスの溶射皮膜を設けることが行われている。例えば、特許文献1〜5には、希土類元素を含有する化合物を溶射用材料として用いることで、耐プラズマエロージョン性の高い溶射皮膜を形成できることが開示されている。
日本国特許第3523216号公報 日本国特許第3523222号公報 日本国特許第4273292公報 日本国特許第5861612号公報 日本国特許第3672833号公報
しかしながら、半導体デバイスの集積度の向上に伴い、パーティクルによる汚染に対してはより精密な管理が要求されてきている。半導体デバイス製造装置に設けられる溶射皮膜についても、耐プラズマエロージョン性の更なる向上が求められている。例えば、従来は許容されていた、より微細なパーティクルの発生を抑制することが求められている。例えば、粒径が0.2μm以下のパーティクル発生の抑制が求められる。
このような状況に鑑み、本発明は、耐プラズマエロージョン性が向上された溶射皮膜を形成し得る溶射用材料を提供することを目的とする。また、この溶射用材料を用いて形成される溶射皮膜付部材を提供することを他の目的とする。
上述のように、溶射用材料として希土類元素含有化合物を用いることで、比較的腐食性に優れた溶射皮膜を形成できることが知られている。この希土類元素含有化合物とは、代表的には、フッ化イットリウム(YF)、酸化イットリウム(Y)、イットリウムオキシフッ化物(YOF)である。そして従来の溶射材料を用いた溶射では、溶射中にこれらの希土類元素含有化合物が酸化されるため、得られる溶射皮膜には必然的に希土類元素の酸化物(典型的には、酸化イットリウム)が比較的高い割合で含まれていた。ここで本発明者らの鋭意研究の結果、溶射皮膜に希土類元素の酸化物が含まれるとき、この希土類元素含有酸化物からなる部分が、従来では見逃されていた微細なパーティクルの発生源となっていることを見出した。微細なパーティクルの発生源となる希土類元素含有酸化物を溶射皮膜に存在させないためには、溶射用材料が希土類元素含有酸化物を含まないことに加え、溶射環境において希土類元素含有酸化物を形成し難い化合物を溶射用材料として用いることが求められる。本発明は、かかる思想に基づき完成されたものである。
本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の特徴を有する溶射用材料を提供する。すなわち、ここに開示される溶射用材料は、複数のフッ化イットリウム微粒子が一体化されてなる複合粒子を含んでいる。そしてLab色空間における明度Lが91以下であることを特徴としている。
このように、ここに開示される溶射用材料は、大まかにいうと、フッ化イットリウム微粒子の複合粒子からなる粉体である。そしてこの溶射用材料は、明度を意味する次元Lが91以下とやや暗い。詳細は明らかではないが、このような溶射用材料は、例えばプラズマフレーム等のような高温のジェット気流に晒されても、複合粒子が崩壊すること無く、酸化され難い。したがって、この溶射用材料を用いることにより、フッ化イットリウムの組成を維持した溶射皮膜を形成することができる。延いては、より微細な(例えば、粒径が0.2μm以下の)パーティクルの発生が抑制された溶射皮膜を形成することができる。また、このような溶射皮膜を高い製膜レートで形成することができる。
なお、ここでLab色空間は、ハンターが1948年に提唱した表色系(補色空間)の一種であり、明度(次元ともいう。)Lと、補色次元のaおよびbにより表され、CIE XYZ色空間の座標を非線形に圧縮したものに基づいている。Lab系では、a軸およびb軸からなる直交座標の両端に、それぞれ赤色と緑色、青色と黄色、の補色を配し、このa軸とb軸がつくる平面と直交する方向に明度(輝度)を示すL軸をとる。ここで、次元Lは、0%から100%までの値をとり得、白色に近く明るい色ほど100に近く、黒色に近くなるほど0に近くなる。Lab色空間の次元Lは、例えば、旧JIS Z8730:1980に準じて算出することができる。本明細書においてLab色空間の次元Lは、光電色彩計や、色彩色差計等を用いて測定することにより計測される値を採用することができる。
なお、特許文献1〜5には、溶射用材料として、希土類元素含有化合物からなる粒子からなる粉体(造粒されていない粉体である。以下、単に粉体というときは、造粒されていない粉体を意味するものとする。)または造粒粉体が開示されている。ここで、これらの粉体または造粒粉体は、その出発原料として希土類元素含有化合物を用いて製造されている。しかしながら、特許文献1〜2,5の溶射用材料の製造条件は酸化条件であり、明示的に記載されていないもの、溶射用材料には必然的に希土類元素酸化物が含まれていた。また、特許文献2,4には、非酸化性条件での製造について開示されているが、この溶射用材料は弱い結合で造粒された造粒粒子の形態で製造されるものである。したがって、これらの粒子は溶射の途中での酸化が避けられず、溶射皮膜には希土類元素酸化物が含まれてしまう。また、特許文献3では、液相法で合成された多面体形状の希土類元素含有化合物粒子(非造粒)からなる溶射用材料が開示されている。しかしながらこの溶射用材料は、粒子が角張った多面体であるため、流動性および溶射中の溶融性が低く、緻密な溶射皮膜を形成し難いものであった。したがって、いずれもここに開示される溶射用材料とは、区別されるものである。
ここに開示される溶射用材料の好ましい一態様において、上記明度Lは5以上である。このような構成の溶射用材料は、上記の効果を備えつつ、比較的安価に製造することができる点において好ましい。
ここに開示される溶射用材料の好ましい一態様は、複数の上記複合粒子からなる粉体であって、上記粉体の嵩密度は1g/cm以上1.7g/cm以下であることを特徴としている。このような嵩密度は、複合粒子としては高い値であり、複合粒子は、フッ化イットリウム微粒子が例えば焼結等により結合し、その結合が十分に進行した緻密な状態であり得る。したがって、この溶射用材料を用いて形成される溶射皮膜もより緻密になり得る。その結果、溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性がさらに高められるために好適である。また溶射用材料は、複合粒子としては密度が高く、適度な重量を備え得る。したがって、溶射に際して溶射機から高速で基材に吹き付けられるとき、気流に対する抵抗感受性が低くなる点においても好ましい。
嵩密度は、JIS R1628:1997に規定されるファインセラミックス粉体のかさ密度測定方法に準拠して測定される値(初期かさ密度)を採用することができる。なお、本明細書において、嵩密度は、定質量測定法によって測定している。
ここに開示される溶射用材料の好ましい一態様では、上記複合粒子の電子顕微鏡観察において、40個数%以上の上記フッ化イットリウム微粒子は、互いに結合して一体化されていることを特徴としている。すなわち、フッ化イットリウム微粒子は、樹脂や金属等の結合剤による結合ではなく、互いが直接的に一体化している。典型的には焼結により一体化している。このような構成によって、複合粒子における高い圧縮強度を好適に実現することができる。
ここに開示される溶射用材料の好ましい一態様は、上記複数の上記複合粒子からなる粉体であって、上記粉体の平均粒子径は10μm以上100μm以下であることを特徴としている。かかる平均粒子径の複合粒子は、溶射の際に溶融し易くかつ揮発し難いために、緻密な溶射皮膜の形成を効率よく行えるために好ましい。また個々の複合粒子が適度な重量を備えるため、溶射に際して溶射機から吹き付けられるとき、気流に対する抵抗感受性が低くなる点においても好ましい。
ここに開示される技術において、溶射用材料の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置を用いて測定される体積基準の粒度分布において、累積50%に相当する粒径(D50)である。
ここに開示される溶射用材料の好ましい一態様は、上記粉体のX線回折分析において、酸化イットリウムに帰属される回折ピークが検出されないことを特徴としている。すなわち、この溶射用材料は酸化イットリウムを含まない。その結果、この溶射用材料を用いて溶射したときに、形成される溶射皮膜に酸化イットリウムが含まれるのをより確実に抑制することができる。
以上のとおり、ここに開示される溶射用材料は、溶射による酸化が抑制されている。したがって、溶射用材料自体がフッ化イットリウムから構成されて、酸化イットリウムの含有が抑制されているのみならず、その溶射物である溶射皮膜についても酸化イットリウムの含有を抑制することができる。また、ここに開示される溶射用材料は、複数の微粒子が一体化された複合粒子の形態である。したがって、溶射による飛散が抑制され、また、複合粒子の中心まで十分に溶融されて基材上に密に堆積され得る。その結果、気孔率の低い緻密な溶射皮膜を形成し得る。
なお、ここに開示される技術において、ハロゲンガスプラズマとは、典型的には、ハロゲン系ガス(ハロゲン化合物ガス)を含むプラズマ発生ガスを用いて発生されるプラズマである。例えば、具体的には、半導体基板の製造に際しドライエッチング工程などで用いられる、SF、CF、CHF、ClF、HF等のフッ素系ガスや、Cl、BCl、HCl等の塩素系ガス、HBr等の臭素系ガスが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で、または2種以上を混合して使用し得る。また、ハロゲン系ガスは、アルゴン(Ar)等の不活性ガスとの混合ガスとして用いられてもよい。
実施例である例4の溶射用材料における複合粒子を観察したSEM像である。 実施例である例7の溶射用材料における複合粒子を観察したSEM像である。 比較例である例14の溶射用材料における複合粒子を観察したSEM像である。 実施例である例3の溶射用材料について得られたX線回折パターンである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において、数値範囲を示す「X〜Y」との標記は、特にことわりのない限り「X以上Y以下」を意味する。
[溶射用材料]
ここに開示される溶射用材料は、複数の複合粒子が集合した粉体である。粉体を構成する個々の複合粒子は、フッ化イットリウム微粒子が結合して一体化されている。複合粒子は、全体としてほぼ球形の形態を為している。換言すると、複合粒子は、一次的なフッ化イットリウム微粒子が接合されて、2次的な凝集結合形態を有している。ここで、フッ化イットリウム微粒子も、典型的には、丸みを帯びた形状を有しており、角張った形状を有さない。複合粒子が相対的に大きい粒径を有することで、取り扱い性に優れ、溶射皮膜の成膜効率の高い溶射材料を実現することができる。その一方で、フッ化イットリウム微粒子が相対的に小さい粒径を備えることで、溶射の際に溶射材料が溶融し易く、気孔が少なく付着性の良好な溶射皮膜を形成することができる。そして複合粒子が二次的に(全体として)球形を呈していることで、相対的に粒径の小さい粉体と比較して、流動性の高い溶射用材料を実現することができる。フッ化イットリウム微粒子は、例えば、40個数%以上のものが互いに結合して一体化されている。フッ化イットリウム微粒子は、好ましくは50個数%以上、より好ましくは75個数%以上、特に好ましくは95個数%以上、例えば実質的に100個数%のものが結合して一体化されている。かかるフッ化イットリウム微粒子の結合の様子は、例えば、複合粒子の電子顕微鏡観察により確認することができる。
フッ化イットリウム微粒子の結合は、バインダ等の異種材料を介することなく、フッ化イットリウム微粒子同士が直接的に結合している。フッ化イットリウム微粒子は、他のフッ化イットリウム微粒子と点(微小面積)で結合していてもよいし、比較的広い面積で結合していてもよい。好ましくは比較的広い面積で結合した形態である。各フッ化イットリウム微粒子の間には、気孔が存在していてもよいし、気孔が存在していなくてもよい。気孔の割合は少ない方がよい。また、フッ化イットリウム微粒子は、個々が概ね独立した粒状の形態を有していてもよいし、複数の微粒子が広い面積で互いに一体的に結合して一つの球形の複合粒子を構成していてもよい。なお、例えば二以上の粒子が広い面積で結合しているときは、電子顕微鏡観察においてコントラストなどとして観察される輪郭を、各粒子の境界として把握することができる。また、ここでいう球形とは、幾何学的に完全な球形のみを意味するものではなく、目立った角部や突起等がなく、概ね球と見做せる程度の形状を包含する。
ここに開示される溶射用材料は、フッ化イットリウム微粒子の構成成分であるフッ化イットリウムを主体として構成されている。フッ化イットリウムは、一般式:YF;で表される化合物である。ここでフッ化イットリウムを主体とするとは、溶射用材料の全体の80質量%以上がフッ化イットリウムで構成されることを意味する。換言すると、溶射用材料をX線回折分析して検出される結晶相のうち、フッ化イットリウムに帰属される結晶相の割合が80質量%以上となる。なお、溶射用材料において、フッ化イットリウムは、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上が特に好ましく、例えば99質量%以上や99.5質量%以上であってよい。好ましくは、実質的に100質量%がフッ化イットリウムであることが望ましい。実質的に100質量%がフッ化イットリウムであることは、例えば、溶射用材料をX線回折分析したときに、フッ化イットリウム以外の化合物に帰属される回折ピークが検出されないことで把握することができる。
なお、当然のことながら、ここに開示される溶射用材料は、フッ化イットリウム以外の成分が含まれていてもよい。フッ化イットリウム以外の成分としては、溶射により酸化環境に晒されたときに、酸化物を形成し難い組成を有する化合物であることが好ましい。かかる化合物としては、酸化雰囲気においても直ちに酸化イットリウムを形成し難いイットリウムオキシフッ化物が好適な例として挙げられる。イットリウムオキシフッ化物としては、イットリウム(Y)、酸素(O)およびフッ素(F)を構成元素として含む化合物全般を考慮することができる。イットリウムオキシフッ化物としては、具体的には、例えば、一般式がYOF,YOF,Y,Y,Y9,171423等であってよい。これらの化合物は、溶射による酸化雰囲気において、イットリウム1モルに対して酸素が1.5モルの割合となるまで酸化イットリウムを生成しないことが観察されている。したがって、酸化雰囲気においても直ちに酸化イットリウムを形成しないために好ましい。
このようなイットリウムオキシフッ化物の割合は厳密には制限されないものの、フッ化イットリウムの含有量を高めるという観点からは、例えば、溶射用材料中に20質量%以下で含むことができる。イットリウムオキシフッ化物の割合は、例えば10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下や1質量%以下が特に好ましく、例えば0.5質量%以下で含むことができる。また、溶射用材料は、実質的に、フッ化イットリウムとイットリウムオキシフッ化物のみから構成されることも好ましい態様であり得る。この場合、溶射用材料をX線回折分析したときに、フッ化イットリウムおよびイットリウムオキシフッ化物以外の化合物に帰属される回折ピークが検出されないことで把握することができる。
その一方で、溶射用材料は、微細なパーティクルの発生源となる酸化イットリウムを溶射材料の段階で含まないことが好ましい。したがって、溶射用材料に含まれる酸化イットリウムは、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まれないことが好ましい。したがって、溶射用材料は、X線回折分析したときに、酸化イットリウムに帰属される回折ピークが検出されないことが好ましい態様であり得る。
そしてここに開示される溶射用材料は、Lab色空間における明度Lが91以下である。一般的なフッ化イットリウム粉体や酸化イットリウム粉体等は、明度Lが概ね97以上の白色である。したがって、ここに開示される溶射用材料は、例えば相対的に灰色がかった、くすんだ色調を呈しているといえる。このようなやや灰色のフッ化イットリウムとは、例えばX線回折分析においてはフッ化イットリウム(YF)に帰属されるものの、フッ素欠損を生じたフッ化イットリウムについて見られる色調であり得る。つまり、ここに開示される溶射用材料は、厳密には一般式:YF;で表されるフッ化イットリウムよりも1モルあたりのフッ素量が少ないといえる。しかしながら、X線回折分析においてはYFに帰属されるという意味において、本明細書では、「(YFの)組成を維持している」のように表現する場合がある。ここに開示される溶射用材料は、フッ化イットリウムの組成を維持しながらも灰色(典型的にはフッ素欠損を示す。)のフッ化イットリウム微粒子の複合粒子から構成されている。詳細な機構は明らかではないが、このような構成により、溶射用材料は、例えばプラズマフレーム等のような高温のジェット気流に晒されても複合粒子が酸化され難いものとなる。その結果、この溶射用材料を溶射に用いることにより、フッ化イットリウムの組成を維持した溶射皮膜を形成することができる。溶射用材料の明度Lは、90以下が好ましく、88以下がより好ましく、86以下が特に好ましい。明度Lは、例えば85以下であってもよいし、83以下であってもよい。
また、溶射用材料の明度Lの下限は特に限定されない。本発明者の検討によると、溶射用材料は、その製造条件によって、例えば明度Lが5未満(典型的には1以上5未満、例えば4.2等)の極めて低い値をとり得る。しかしながら、このような明度の低い溶射用材料を得ようとすると、後述の溶射用材料の製造に際し、焼成雰囲気として比較的高価なヘリウムガス雰囲気を用意する必要がある。したがって、相対的に安価に得ることができるという観点から、溶射用材料の明度は5以上とすることが好ましい。溶射用材料の明度は、10以上であってよく、20以上であってよく、例えば30以上や、40以上であってもよい。一般的なフッ化イットリウム粉体が本質的に白色であることから、溶射用材料の明度は、概ね50以上であってよい。
また、ここに開示される溶射用材料は、上記のとおり個々のフッ化イットリウム微粒子が比較的広い面積で互いに接合された物であり得る。その結果、この溶射用材料は、複合粒子でありながら気孔の含有が抑制されて緻密になり得る。このように緻密でかつ酸化され難い溶射用材料を用いることで、気孔率が低く耐プラズマエロージョン特性に優れた溶射皮膜を製造することができる。かかる点において、例えば、溶射用材料の嵩密度は1g/cm以上が好ましく、1.1g/cm以上がより好ましく、1.15g/cm以上がより好ましい。嵩密度は1.2g/cm以上であってもよいし、1.25g/cm以上であってもよい。嵩密度の上限は特に制限されず、例えば、1.7g/cm以下程度を目安とすることができる。なお、明度Lが十分に低ければ、必ずしも嵩密度が高くなくても耐エロージョン特性を高めることができる。かかる観点から、例えば、明度Lが88以下程度であれば、嵩密度は1.25g/cm以下であってもよいし、1.2g/cm以下であってもよい。
このような溶射用材料は、必ずしもこれに制限されるものではないが、フッ化イットリウムの微細な粉体を原料とし、このフッ化イットリウム微細粉体を球状に造粒し、更に組成を維持したまま焼結させることで好適に製造することができる。
造粒の手法としては特に制限されず、公知の各種の造粒法を採用することができる。例えば、具体的には、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法等の手法の1つ以上を採用することができる。好ましくはスプレードライ法である。造粒粉の焼成には、一般的なバッチ式焼成炉や、連続式焼成炉等を特に限定されることなく利用することができる。
一般的な造粒粉においては、一次粒子である微細粒子が、例えばバインダを介して単に一体的に集合(バインダによる結合)した状態である。このような造粒粉における微細粒子の間隙には、比較的大きな気孔が介在する。このように、一般的な造粒粉においては、比較的大きな気孔が擬最粒子間に存在することで「造粒」の意義を有している。
これに対し、フッ化イットリウム微細粉体の微細粒子を焼結させると、バインダが消失して、微細粒子は表面エネルギーを低下すべく直接結合する。これにより、上記のとおり一体的に結合された複合粒子が実現される。なお、焼結が進行すると、結合部分(界面)の面積が次第に増加し、結合強度がより一層高められる。また、焼結粒子における物質移動により、微細粒子はより安定な球形へと丸みを帯びる。これと同時に、造粒粉の内部に存在する気孔が排出されて、緻密化が生じる。ここに開示される溶射用材料は、このような焼結の進行に伴い、原料として用いた微細粉体を構成する微細粒子が粒成長により粗大化していてもよい。例えば、溶射用材料における複合粒子は、造粒粒子に比較して気孔の容量が減少していたり、気孔が消失していたりしてもよい。例えば、複数の微細粒子が一体化して粗大化し、あたかも一つの粒状形態(フッ化イットリウム微粒子)を備えてもよい。この場合、粗大化した微細粒子が、複合粒子におけるフッ化イットリウム微粒子として把握される。
なお、非酸化物材料の焼結に際しては、通常、材料の酸化が生じる。ここに開示される溶射用材料は、焼結により一体化された複合粒子からなるにもかかわらず、上記のとおりフッ化イットリウムの組成を維持している。つまり、実質的に酸化されていない。この点が、公知のフッ化イットリウムを原料とする溶射用材料や、公知のフッ化イットリウムを含む溶射用材料とは大きく異なる点である。
また、ここに開示される溶射用材料は、明度Lが97以上のフッ化イットリウム微細粉体を原料として用いたとしても、焼結の後に得られる複合粒子については明度Lが91以下にまで低減される。つまり、焼結によってフッ素欠陥が導入されている。このような複合粒子における明度Lは、通常の焼成によっては実現することができない。通常の焼成とは、典型的には大気雰囲気における焼成であり、酸化性雰囲気での焼成である。ここに開示される溶射用材料の明度Lは、酸化を抑制した条件にて、上記のとおりバインダを含む造粒粉を焼成することで好適に実現することができる。
焼結のための焼成条件は、十分に焼結が進行した状態において、フッ化イットリウムの組成が変化しなければ特に制限されない。焼成条件は、例えば、非酸化性雰囲気中で、900℃以上融点未満(例えば1200℃未満)で加熱することをおおよその目安とすることができる。焼成温度が低すぎると、焼結が十分に進行せず、明度Lが91以下の複合粒子を得ることができない。かかる観点から、焼成温度は950℃以上がより好ましく、1000℃以上がさらに好ましく、1050℃以上が特に好ましい。焼成温度が高すぎると、フッ化イットリウムが揮発してしまい製造効率が落ちる点において好ましくない。なお、フッ化イットリウムのバルク体についての融点は1387℃程度であるが、使用するフッ化イットリウムの原料粉末の粒径は実質的に小さくなるため、おおよそ1200℃程度が融点となり得る。
焼成雰囲気は、フッ化イットリウムの組成が変化されないように、例えば、不活性雰囲気、真空雰囲気とすることができる。この場合の不活性雰囲気とは、酸素非含有雰囲気であり、アルゴン(Ar),ネオン(Ne),ヘリウム(He)等の希ガス雰囲気、窒素(N)等の非酸化性雰囲気等とすることができる。なお、バッチ式焼成炉を用いる場合、例えば、炉内の雰囲気を非酸化性雰囲気とすればよい。また、連続式焼成炉を用いる場合は、例えば、焼成炉内のうちでも加熱が行われる領域(焼結が進行する領域)に非酸化性気流を導入して焼結を実施すればよい。ここに開示される溶射用材料の製造に際し、大気雰囲気や空気雰囲気は、焼結過程におけるフッ化イットリウムの酸化が避けられないため、避けるべき態様である。
その一方で、本発明者らの検討によると、上記の条件での焼成により造粒粉中のバインダが焼失する際に、バインダを構成する炭素(C)成分の燃え抜けとともに、フッ化イットリウム中のフッ素(F)成分も燃え抜ける様子が伺えた。そしてフッ化イットリウムからのフッ素の欠損は、造粒粉に含まれるバインダ量が多くなればなるほど増大する傾向があると考えられる。すなわち、溶射用材料の明度Lは、例えば、造粒粉中のバインダ量を調整することで制御できると考えられる。造粒粉中のバインダ量はバインダ組成にもよるために厳密には制限されないが、例えば、凡その目安として、フッ化イットリウム微細粉体を100質量部としたときに、0.1質量部以上、例えば0.5質量部以上であって、10質量部以下、例えば5質量部以下程度の範囲とすることができる。
なお、出発原料として用いるフッ化イットリウム微細粉体の平均粒子径は特に制限されず、所望の平均粒子径を備える溶射用材料を、複合粒子の形態で得られる大きさであれば特に制限されない。しかしながら、詳細は明らかではないが、出発原料の平均粒子径が小さいほど、緻密で嵩密度の高い溶射用材料が得られ易い点において好ましい。かかる観点からは、出発原料として用いるフッ化イットリウム微細粉体の平均粒子径は、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、1μm以下が特に好ましく、例えば0.5μm以下としたり、0.2μm以下としたりすることが好ましい。出発原料の平均粒子径の下限は、例えばハンドリング性や造粒の容易さの観点から、例えば、0.05μm以上とすることができる。その一方で、溶射用材料の明度が十分に低い場合は、出発原料として用いるフッ化イットリウム微細粉体の平均粒子径をさほど小さくする必要はない。この場合、例えば、出発原料の平均粒子径は、例えば、0.5μm以上であってよく、1μm以上であってもよく、例えば、1μm以上5μm以下とすることが好適な例として示される。
なお、以上の溶射用材料は、その目的を損ねない範囲において、種々の改変が許容される。例えば、溶射用材料は、フッ化イットリウムを主体として構成されるが、フッ化イットリウムにおけるイットリウムの一部が、他の希土類元素に置換されていてもよい。希土類元素としては特に制限されず、スカンジウムおよびランタノイド元素のうちから適宜に選択することができる。具体的には、スカンジウム(Sc),ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),プロメチウム(Pm),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)を考慮することができる。耐プラズマエロージョン性を改善させたり、価格等の観点から、好ましくは、La,Gd,Tb,Eu,Yb,Dy,Ce等が挙げられる。この希土類元素は、いずれか1種を単独で含んでもよいし、または2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。これらの希土類元素は、例えば、原料粉体において含むことができる。
また同様に、例えば、溶射用材料は、フッ化イットリウムを主体として構成されるが、フッ化イットリウムにおけるフッ素の一部が、他のハロゲン元素に置換されていてもよい。ハロゲン元素についても特に制限されず、元素周期律表の第17族に属する元素のいずれであっても良い。具体的には、塩素(Cl),臭素(Br),ヨウ素(I)およびアスタチン(At)等のハロゲン元素のいずれか1種の単独、または2種以上の組み合わせとすることができる。好ましくは、F,Cl,Brである。これらのハロゲン元素は、例えば、原料粉体において含むことができる。
なお、このようにして得られる溶射用材料において、複合粒子の外形は、平面視における平均アスペクト比が概ね1.3以下となり得る。というのは、スプレードライ法を利用して溶射用材料を製造することで、球形に近い複合粒子を形成することができるためである。三次元的に球形に近い粒子は、二次元においてアスペクト比が1に近くなる。この溶射用材料は、溶射用材料全体についての平均アスペクト比が1.5以下であり得、1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましく、1.2以下が特に好ましく、例えば、1.15以下であり得る。なお、この平均アスペクト比は、電子顕微鏡等の観察手段により観察された10以上の複合粒子の平面視像(二次電子像等)について求められたアスペクト比の算術平均値である。また、アスペクト比は、複合粒子に外接する面積が最小の外接長方形における長辺の長さをa、短辺の長さをbとしたとき、a/bとして定義される。この平均アスペクト比は、例えば、適切な倍率(例えば2000倍)で取得した電子顕微鏡像について、手計算または画像処理ソフト等を用いて、解析することで求めることができる。
そしてここに開示される溶射用材料において、上記の複合粒子は十分に焼結されている。これにより、溶射用材料は、保管時、溶射装置への材料供給時、および溶射中における複合粒子の崩壊が抑制されている。その結果、流動性および供給性に優れた溶射用材料が実現される。また、より小粒径な単独の微粒子として不可避的に含まれるフッ化イットリウム微粒子の割合を低く抑えることができる。このことにより、この溶射用材料が溶射に際して高温のジェット気流中に供給された場合であっても、溶射材料の酸化および変質を抑制することができる。また、例えばプラズマフレーム中であっても、複合粒子が崩壊したり、フレームから弾かれたりすること無く、高効率で溶射皮膜を形成することができる。
なお、以上の溶射用材料の平均粒子径は、使用する溶射機に適した大きさとすることができる。典型的には、溶射用材料の平均粒子径は、100μm以下程度とすることができ、例えば、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、35μm以下程度とすることができる。平均粒子径の下限についても厳密な制限はなく、かかる溶射用材料の流動性を考慮した場合に、例えば、5μm以上とすることができ、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、例えば20μm以上とすることができる。
[溶射皮膜付部材]
以上の溶射用材料を基材に対して溶射することで、基材の表面に溶射皮膜を形成することができる。この溶射皮膜が基材の表面に備えられていることで、溶射皮膜付部材が提供される。
[基材]
ここに開示される溶射皮膜付部材において、溶射皮膜が形成される基材については特に限定されない。例えば、溶射用材料の溶射に供して所望の耐性を備え得る材料からなる基材であれば、その材質や形状等は特に制限されない。基材を構成する材料としては、例えば、各種の金属,半金属およびそれらの合金を含む金属材料や、各種の無機材料等が挙げられる。具体的には、金属材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、金、銀、ビスマス、マンガン、亜鉛、亜鉛合金等の金属材料;シリコン(Si),ゲルマニウム(Ge)等のIV族半導体、セレン化亜鉛(ZnSe),硫化カドミウム(CdS),酸化亜鉛(ZnO)等のII-VI族化合物半導体、ガリウムヒ素(GaAs),リン化インジウム(InP),窒化ガリウム(GaN)等のIII-V族化合物半導体、炭化ケイ素(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)等のIV族化合物半導体、銅・インジウム・セレン(CuInSe)などカルコパイライト系半導体等の半金属材料;などが例示される。無機材料としては、フッ化カルシウム(CaF),石英(SiO)の基板材料,アルミナ(Al),ジルコニア(ZrO)等の酸化物セラミックス、窒化ケイ素(Si),窒化ホウ素(BN),窒化チタン(TiN)等の窒化物セラミックス、炭化ケイ素(SiC),タングステンカーバイド(WC)等の炭化物系セラミックス等が例示される。これらの材料は、いずれか1種が基材を構成していてもよく、2種以上が複合化されて基材を構成していてもよい。なかでも、汎用されている金属材料のうち比較的熱膨張係数の大きい、各種SUS材(いわゆるステンレス鋼であり得る。)等に代表される鉄鋼、インコネル等に代表される耐熱合金、インバー,コバール等に代表される低膨張合金、ハステロイ等に代表される耐食合金、軽量構造材等として有用な1000シリーズ〜7000シリーズアルミニウム合金等に代表されるアルミニウム合金等からなる基材が好適例として挙げられる。かかる基材は、例えば、半導体デバイス製造装置を構成する部材であって、反応性の高い酸素ガスプラズマやハロゲンガスプラズマに晒される部材であってよい。なお、例えば、上述の炭化ケイ素(SiC)等は、用途などの便宜上、化合物半導体や無機材料等として異なるカテゴリーに分類され得るが、同一の材料であり得る。
[溶射皮膜形成方法]
なお、上記の溶射皮膜は、ここに開示される溶射用材料を公知の溶射方法に基づく溶射装置に供することで形成することができる。つまり、粉体状の溶射用材料を、燃焼または電気エネルギー等の熱源により軟化または溶融した状態で吹き付けることで、かかる材料からなる溶射皮膜を形成する。この溶射用材料を溶射する溶射方法は特に制限されない。例えば、好適には、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、フレーム溶射法、爆発溶射法、エアロゾルデポジション法等の溶射方法を採用することが例示される。溶射皮膜の特性は、溶射方法およびその溶射条件にある程度依存することがあり得る。しかしながら、いずれの溶射方法および溶射条件を採用した場合であっても、ここに開示される溶射用材料を用いることで、その他の溶射材料を用いた場合と比較して、耐プラズマエロージョン性が向上された溶射皮膜を形成することが可能となる。
プラズマ溶射法とは、溶射用材料を軟化または溶融するための溶射熱源としてプラズマ炎を利用する溶射方法である。電極間にアークを発生させ、かかるアークにより作動ガスをプラズマ化すると、かかるプラズマ流はノズルから高温高速のプラズマジェットとなって噴出する。プラズマ溶射法は、このプラズマジェットに溶射材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。なお、プラズマ溶射法は、大気中で行う大気プラズマ溶射(APS:atmospheric plasma spraying)や、大気圧よりも低い気圧で溶射を行う減圧プラズマ溶射(LPS:low pressure plasma spraying)、大気圧より高い加圧容器内でプラズマ溶射を行う加圧プラズマ溶射(high pressure plasma spraying)等の態様であり得る。かかるプラズマ溶射によると、例えば、一例として、溶射材料を5000℃〜10000℃程度のプラズマジェットにより溶融および加速させることで、溶射材料を300m/s〜600m/s程度の速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
また、高速フレーム溶射法としては、例えば、酸素支燃型高速フレーム(HVOF)溶射法、ウォームスプレー溶射法および空気支燃型(HVAF)高速フレーム溶射法等を考慮することができる。
HVOF溶射法とは、燃料と酸素とを混合して高圧で燃焼させた燃焼炎を溶射のための熱源として利用するフレーム溶射法の一種である。燃焼室の圧力を高めることにより、連続した燃焼炎でありながらノズルから高速(超音速であり得る。)の高温ガス流を噴出させる。HVOF溶射法は、このガス流中に溶射材料を投入し、加熱、加速して基材に堆積させることで溶射皮膜を得るコーティング手法一般を包含する。HVOF溶射法によると、例えば、一例として、溶射材料を2000℃〜3000℃の超音速燃焼炎のジェットに供給することで、溶射材料を軟化または溶融させて、500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。高速フレーム溶射で使用する燃料は、アセチレン、エチレン、プロパン、プロピレンなどの炭化水素のガス燃料であってもよいし、灯油やエタノールなどの液体燃料であってもよい。また、溶射材料の融点が高いほど超音速燃焼炎の温度が高い方が好ましく、この観点では、ガス燃料を用いることが好ましい。
また、上記のHVOF溶射法を応用した、いわゆるウォームスプレー溶射法と呼ばれている溶射法を採用することもできる。ウォームスプレー溶射法とは、典型的には、上記のHVOF溶射法において、燃焼炎に室温程度の温度の窒素等からなる冷却ガスを混合する等して燃焼炎の温度を低下させた状態で溶射することで、溶射皮膜を形成する手法である。溶射材料は、完全に溶融された状態に限定されず、例えば、一部が溶融された状態であったり、融点以下の軟化状態にあったりするものを溶射することができる。このウォームスプレー溶射法によると、例えば、一例として、溶射材料を1000℃〜2000℃の超音速燃焼炎のジェットに供給することで、溶射材料を軟化または溶融させて、500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
HVAF溶射法とは、上記のHVOF溶射法において、支燃ガスとしての酸素に代えて空気を用いるようにした溶射法である。HVAF溶射法によると、HVOF溶射法と比較して溶射温度を低温とすることができる。例えば、一例として、溶射材料を1600℃〜2000℃の超音速燃焼炎のジェットに供給することにより、この溶射材料を軟化または溶融させて、溶射粒子を500m/s〜1000m/sという高速度にて基材へ衝突させて堆積させることができる。
[溶射皮膜]
ここに開示される溶射皮膜は、上記の溶射用材料が、例えば任意の基材の表面に溶射されることにより形成される。上記の溶射用材料は、溶射中の酸化が抑制されている。したがって、かかる溶射皮膜は、フッ化イットリウム(YF)を主成分とする皮膜として構成される。ここで「主成分」とは、溶射皮膜を構成する構成成分のうち、フッ化イットリウムが溶射皮膜の70質量%以上を占めることを意味し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、例えば95質量%以上を占めることを意味する。フッ化イットリウムは、例えば98質量%以上や99質量%以上であってよい。
なお、ここに開示される材料を用いた場合でも、一般的な溶射条件で溶射した場合は、溶射皮膜中にフッ化イットリウムの他に、イットリウムオキシフッ化物が含まれ得る。例えば、溶射に用いた溶射用材料に比べて、フッ化イットリウムの割合が減少して、イットリウムオキシフッ化物の割合が増大し得る。このイットリウムオキシフッ化物は、例えば、一般式がYOFや、Y等の様々な組成のものが含まれ得る。このイットリウムオキシフッ化物の割合は特に制限されないが、溶射皮膜中に30質量%以下の割合で含まれることが好ましい。イットリウムオキシフッ化物は、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下であり得る。溶射用材料と同様に、溶射皮膜についても、実質的に、フッ化イットリウムとイットリウムオキシフッ化物のみから構成されることが好ましい態様であり得る。この場合、溶射皮膜をX線回折分析したときに、フッ化イットリウムおよびイットリウムオキシフッ化物以外の化合物に帰属される回折ピークが検出されないことで把握することができる。
その一方で、溶射皮膜は、微細なパーティクルの直接的な発生源となる酸化イットリウムを含まないことが好ましい。酸化イットリウムに代表される希土類元素酸化物は、比較的硬質であるものの脆いという特徴がある。そのため、ドライエッチング等によりプラズマ環境に晒されると、この酸化イットリウムの部分が剥がれて微細なパーティクルが発生する。また、酸化イットリウムが溶射皮膜中に含まれると、ハロゲンガスプラズマに晒されたときにこの酸化イットリウム部分が優先的に腐食される。したがって、酸化イットリウムは、溶射皮膜の3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましく、実質的に含まれないことが好ましい。例えば、溶射皮膜は、X線回折分析したときに、酸化イットリウムに帰属される回折ピークが検出されないことが好ましい。
以上のことは、ここに開示される溶射用材料を用いて溶射することで、溶射用材料中のフッ化イットリウムの酸化はある程度避けられないが、フッ化イットリウムは、酸化イットリウムではなく、イットリウムオキシフッ化物に優先的に変化されることを意味している。これは、酸化イットリウムを含む溶射用材料を用いて形成された溶射皮膜には、見られ難い現象であり得る。このように、溶射皮膜が酸化イットリウムを含まないことで、ハロゲンガスプラズマに晒された場合のパーティクルの発生が高度に抑制される。したがって、この溶射皮膜は、耐プラズマエロージョン性、特にハロゲン系プラズマに対する耐エロージョン特性に優れたものとなり得る。
なお、溶射皮膜は、複合粒子からなる溶射用材料が用いられているため、溶射に際して十分に溶融・軟化し、基材上に緻密な溶射皮膜を形成する。かかる溶射皮膜の気孔率は、概ね4%未満のものとして実現される。溶射皮膜の気孔率が4%に満たないことで、溶射皮膜の組織が緻密になり、またプラズマに晒される表面が減少されて、耐プラズマエロージョン性が著しく高められる。溶射皮膜の気孔率は、3.5%以下であってもよく、3%以下(例えば1%以上3%以下)であってもよい。あるいは、例えば1%以下であってもよい。
なお、半導体デバイスの製造のためのドライエッチング装置においては、低パーティクル化が要求されている。このパーティクル発生要因としては、真空チャンバー内に付着した反応生成物の剥がれのほか、ハロゲンガスプラズマや酸素ガスプラズマを用いることによるチャンバーの劣化が挙げられる。パーティクルは粒径が大きいほど問題であり、加工精度が精密化した近年では、粒径が0.2μm以下(0.2μm未満、例えば0.1μm以下)のパーティクル発生も厳しく制限する必要が生じている。これまでの溶射皮膜によると、0.2μm以上のパーティクルが発生し得たが、ここに開示される溶射用材料を用い、適切な溶射を行うことで、耐プラズマエロージョン性に優れた溶射皮膜を得ることができる。典型的には、例えば、ここに開示される溶射皮膜によると、現在のドライエッチング環境下で、約0.2μm以上の粗大なパーティクルの発生要因となる変質層は形成されない。ここに開示される溶射皮膜がドライエッチング環境下で腐食されてパーティクルが発生した場合、そのパーティクルは、約0.2μm以下(典型的には0.1μm以下)の大きさの粒子状の変質層により構成されるからである。また、ここに開示される溶射皮膜は、変質層の形成自体が抑制されていることから、例えば、約0.2μm以下(例えば0.1μm以下、典型的には0.06μm以下、好ましくは19nm以下、さらに好ましくは5nm以下、最も好ましくは1nm以下)の微細なパーティクルについても発生が抑制されている。例えば、これらのパーティクルの発生数が実質的にゼロに抑えられている。
なお、このような溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性は、例えば、この溶射皮膜(溶射皮膜付部材であり得る。)を所定のプラズマ環境に晒したときに溶射皮膜が浸食される程度を表すエロージョンレート(腐食速度)等により評価することができる。このエロージョンレートによる耐プラズマエロージョン性の評価方法については、後述の実施例において詳細に説明する。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[溶射用材料の作製]
(例1)
平均粒子径が3μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、樹脂バインダとともに分散媒に分散させたのち、スプレードライ法にて造粒し、焼成することで、例1の溶射用材料を作製した。樹脂バインダは、フッ化イットリウム粉体100質量部に対し、1.0質量部の割合とした。なお、例1の溶射材料の製造に際し、まずは、噴霧乾燥器を用い、原料分散液を気流中に噴霧して、噴霧液滴から分散媒を蒸発させることで造粒粉を作成した。その後、造粒粉をマルチ雰囲気炉に導入し、所定の焼成条件で焼成した。焼成条件は、下記の表1に示すとおり、焼成雰囲気を真空雰囲気とし、焼成温度を1100℃、焼成時間は約5分間とした。
(例2)
焼成雰囲気をN雰囲気とした以外は例1と同様にして、例2の溶射用材料を得た。
(例3)
平均粒子径が5μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、焼成雰囲気をAr雰囲気としたこと以外は例1と同様にして、例3の溶射用材料を得た。
(例4)
液滴サイズを大きくし、焼成雰囲気をAr雰囲気とし、焼成温度を900℃としたこと以外は例1と同様にして、例4の溶射用材料を得た。なお、スプレードライにおける液滴の大きさは、例えば、ロータリーアトマイザー式のスプレードライ装置を用いた場合は、ディスクの形状や回転数を変化させることにより適宜調整することができる。以下同様である。
(例5)
平均粒子径が0.1μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、液滴サイズを小さくしたこと以外は例4と同様にして、例5の溶射用材料を得た。
(例6)
平均粒子径が5μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、液滴サイズを小さくたこと以外は例4と同様にして、例6の溶射用材料を得た。
(例7)
平均粒子径が0.1μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、液滴サイズを小さくして、焼成雰囲気をAr雰囲気とし、焼成温度を1000℃としたこと以外は例1と同様にして、例7の溶射用材料を得た。
(例8)
液滴サイズを小さくして、焼成雰囲気をAr雰囲気、焼成温度を700℃とした以外は例1と同様にして、例8の溶射用材料を得た。
(例9)
液滴サイズを大きくして、焼成温度を400℃とした以外は例1と同様にして、例9の溶射用材料を得た。
(例10)
平均粒子径が30μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、焼成温度を400℃とした以外は例1と同様にして、例10の溶射用材料を得た。
(例11)
焼成雰囲気を大気雰囲気、焼成温度を900℃とした以外は例1と同様にして、例11の溶射用材料を得た。なお、造粒粉を大気中,900℃で焼成する焼成条件は、従来より汎用されている焼成条件である。
(例12)
液滴サイズを大きくして、焼成雰囲気を大気雰囲気、焼成温度を800℃とした以外は例1と同様にして、例12の溶射用材料を得た。
(例13)
液滴サイズを大きくして、焼成雰囲気を空気雰囲気、焼成温度を500℃とした以外は例1と同様にして、例13の溶射用材料を得た。
(例14)
平均粒子径が5μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、焼成雰囲気を大気雰囲気、焼成温度を100℃とした以外は例1と同様にして、例14の溶射用材料を得た。
(例15)
平均粒子径が0.1μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、焼成雰囲気を大気雰囲気、焼成温度を1000℃とした以外は例1と同様にして、例15の溶射用材料を得た。
(例16)
平均粒子径が1μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用いた。また樹脂バインダの量を、フッ化イットリウム粉体100質量部に対し、5.0質量部とした。そして、焼成雰囲気をAr雰囲気、焼成温度を1000℃としたとしたこと以外は例1と同様にして、例16の溶射用材料を得た。
(例17)
平均粒子径が3μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、樹脂バインダの量を、フッ化イットリウム粉体100質量部に対し3.0質量部とした。そして焼成雰囲気をAr雰囲気、焼成温度を1000℃としたとしたこと以外は例1と同様にして、例17の溶射用材料を得た。
(例18)
平均粒子径が3μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、樹脂バインダの量を、フッ化イットリウム粉体100質量部に対し2.0質量部とした。そして焼成雰囲気をAr雰囲気、焼成温度を900℃としたとしたこと以外は例1と同様にして、例18の溶射用材料を得た。
(例19)
平均粒子径が5μmのフッ化イットリウム粉体を原料として用い、樹脂バインダの量を、フッ化イットリウム粉体100質量部に対し1.5質量部とした。そして焼成雰囲気をAr雰囲気、焼成温度を900℃としたとしたこと以外は例1と同様にして、例19の溶射用材料を得た。
このようにして得られた例1〜19の溶射用材料について、下記のとおり、組成、平均粒子径、明度Lおよび嵩密度を調べ、その結果を表1に示した。なお、付加的に、溶射用材料中の複合粒子の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。参考のために、例4、例7、例14の溶射用材料について、その観察結果を図1〜3に示した。
(組成)
溶射用材料の組成を、X線回折分析により調べた。X線回折装置としては、株式会社リガク製のUltimaIVを用い、X線源をCuKα線、加速電圧20kV、加速電流10mA、走査範囲2θ=10°〜70°、スキャンスピード10°/min、サンプリング幅0.01°の条件で測定した。なお、このとき、発散スリットは1°、発散縦制限スリットは10mm、散乱スリットは1/6°、受光スリットは0.15mm、オフセット角度は0°に調整した。得られたX線回折パターンにおいて検出された結晶相を、表1中の「溶射用材料」の「組成」の欄に示した。参考のために、例3の溶射用材料について得られたX線回折パターンを図4に示した。
(平均粒子径)
平均粒子径は、株式会社堀場製作所製のレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置、LA−300を用いて測定した。平均粒子径としては、体積基準のD50%粒径を採用した。得られた平均粒子径を、表1中の「溶射用材料」の「D50」の欄に示した。
(明度L)
明度Lは、分光色彩計(日本電色工業(株)製、SE2000)を用い、Lab表色系で測定した。明度のL値は、各例の溶射用材料について10回の測定を行い、得られた明度のL値の算術平均値を採用した。その結果を、表1中の「溶射用材料」の「L値」の欄に示した。
(嵩密度)
溶射用材料の嵩密度を測定した。嵩密度は、JIS R1628:1997に準じ、定質量測定法にて測定した初期かさ密度を採用した。その結果を、表1中の「溶射用材料」の「嵩密度」の欄にそれぞれ示した。
[溶射皮膜付部材の作製]
また、例1〜19の溶射用材料を用い、基材に溶射することで、溶射皮膜付部材を得た。溶射条件は、以下の通りとした。
すなわち、まず、被溶射材である基材として、アルミニウム合金(Al6061)からなる板材(70mm×50mm×2.3mm)を用意した。基材の溶射面には、褐色アルミナ研削材(A#40)によるブラスト処理を施した。溶射には、市販のプラズマ溶射装置(Praxair Surface Technologies社製,SG−100)を用い、大気圧プラズマ溶射法により溶射を行った。溶射条件は、プラズマ作動ガスとしてアルゴンガス50psi(0.34MPa)とヘリウムガス50psi(0.34MPa)とを用い、電圧37.0V,電流900Aの条件でプラズマを発生させた。溶射装置への溶射用材料の供給には、粉体供給機(Praxair Surface Technologies社製,Model1264型)を用い、溶射用材料を溶射装置に20g/minの速度で供給し、厚さ200μmの溶射皮膜を形成した。なお、溶射ガンの移動速度は24m/min、溶射距離は90mmとした。
このようにして得られた例1〜19の溶射皮膜付部材の溶射皮膜について、下記のとおり、製膜レート、気孔率およびエロージョンレート比を調べ、その結果を表1に示した。
(製膜レート)
各溶射用材料を用いた溶射皮膜の形成において、単位時間当たりの溶射皮膜の厚み増加速度を製膜レートとして算出した。溶射皮膜の厚みの増加量は、基材の一部にマスキングを行って所定時間の溶射を行った時の、溶射部分と、マスキング部分との段差を計測することで求めた段差は、表面粗さ測定機(ミツトヨ製、SV−3000CNC)を用いて測定した。そして、測定した段差を溶射時間で除することで、製膜レートを算出した。その結果を、表1中の「溶射皮膜」の「製膜レート」の欄に示した。
(気孔率)
気孔率は、溶射皮膜の断面に占める気孔の面積割合から算出した。まず、溶射皮膜付部材を、基材の表面に直交する面で切断し、得られた断面を樹脂埋め研磨した後、デジタルマイクロスコープ(オムロン株式会社製、VC−7700)を用いて断面画像を撮影した。そして、この画像を、画像解析ソフト(株式会社日本ローパー製、Image Pro)を用いて解析することにより、断面画像中の気孔部分の面積を特定し、かかる気孔部分の面積が全断面に占める割合を算出することにより求めた。その結果を、表1中の「溶射皮膜」の「気孔率」の欄に示した。
(エロージョンレート比)
溶射皮膜のプラズマ暴露試験は、次のようにして行った。すなわち、まず、基材上に、上記の溶射条件で20mm×20mmで厚みが200μmの溶射皮膜を形成し、溶射皮膜の表面を皮膜厚さが100μmとなるまで鏡面研磨したのち、溶射皮膜の四隅をマスキングテープでマスキングすることで試験片を用意した。そしてこの試験片を、平行平板型の半導体デバイス製造装置(ULVAC製、NLD−800)のチャンバー内のステージに設置された直径300mmのシリコンウェハ上に載置した。続いて、下記の表2に示す条件で、フッ素ガスプラズマ(F系プラズマ)または塩素ガスプラズマ(Cl系プラズマ)を、所定のサイクルで繰り返し発生させることで、シリコンウェハおよび溶射皮膜の中央部分をエッチングした。なお、F系プラズマは、下記表2に示すように、エッチングガスとしてCFとOとの混合ガス(体積比:53.2/5)を使用して発生させた。また、Cl系プラズマは、エッチングガスとして、CClとOとの混合ガス(体積比:53.2/5)を使用して発生させた。各プラズマによる暴露時間は、インターバル(クーリングサイクル時間)を含めて約0.9時間とした。その後、プラズマによる溶射皮膜の厚み減少量を測定してエッチング量(エロージョン量)とし、単位時間当たりのエロージョン量をプラズマエロージョンレートとして算出した。溶射皮膜の厚みの減少量は、表面粗さ測定機(ミツトヨ製、SV−3000CNC)にて、マスキングした部分と、プラズマ暴露面との段差を計測することで求めた。そして、例14の溶射皮膜のプラズマエロージョンレートを基準「1」としたときの、各溶射皮膜のプラズマエロージョンレート(相対値)を、次式:(例14の溶射皮膜のプラズマエロージョンレート[μm/hr])÷(各例の溶射皮膜のプラズマエロージョンレート[μm/hr]);に基づき算出することで、プラズマエロージョンレート比とした。なお、基準とした例14の溶射皮膜は、公知の造粒粉を大気中900℃で焼成することで得た溶射用材料を用いて形成されたものである。その結果を、表1中の「溶射皮膜」の「プラズマエロージョンレート比」の欄に示した。
Figure 0006926096
Figure 0006926096
(非酸化性雰囲気での焼成;例1〜10、16〜19)
表1の溶射用材料の組成欄から明らかなように、造粒粉を非酸化性雰囲気である希ガス雰囲気、不活性雰囲気および真空雰囲気のいずれかで焼成した例1〜10、16〜19では、全ての例において原料粉体が酸化されることなく、フッ化イットリウム組成を維持した溶射用材料を得ることができることがわかった。なお、図4に示したように、例3の溶射用材料のXRDパターンからは、フッ化イットリウム(YF)に交じって、ごく微量のイットリウムオキシフッ化物(Y)が検出された。しかしながら、その割合は、全体の0.5mol%にも満たない量であり、実質的にフッ化イットリウムからなる溶射用材料が得られたものと考えられる。
フッ化イットリウム微細粒子の焼結は、おおよそ900℃以上で進行し、例えば焼成温度が800℃以下の場合は焼結し難い。また、例1〜10に示されるように、おおまかには、造粒粉に用いたバインダ量が同じであった溶射用材料については、焼成温度が高くなるにつれて溶射用材料のL値が低くなる傾向があることがわかった。したがって、フッ化イットリウムからのフッ素の揮発も、低温焼成では生じ難く、高温焼成にて生じ易くなると考えられる。例えば、400℃で焼成した例9,10の溶射用材料のL値は96と高く、フ700℃で焼成した例8の溶射用材料のL値は93.7とやや低くなっているものの、L値の低下は十分ではない。これに対し、900℃以上1100℃以下で焼成した例1〜7の溶射用材料において、L値が91以下となり、フッ化イットリウム組成を維持したままフッ素が十分に欠損していると考えらえる。なお、溶射用材料の原料として平均粒子径が0.1μmの粉体を用いた例7では、焼成温度が1000℃と高いもののL値はさほど小さくない。これは、原料粉体が微粒子であるが故により低温から焼結が進行し、緻密化が先行して、フッ素の欠損が起こり難くなったためであると考えられる。
なお、図1は例4の溶射用材料の複合粒子の構造を、図2は例7の溶射用材料の複合粒子の構造を観察したSEM像である。図2より、例7のフッ化イットリウム微粒子は、いずれも丸みを帯びるとともに、ネックを形成し、比較的広い界面で互いに一体化していることがわかる。そして観察される略全てのフッ化イットリウム微粒子が互いに結合して一体化されていることがわかる。例7の複合粒子は、原料として平均粒子径が0.1μmの粉体を用いたものであるが、複合粒子を構成する微粒子の径は概ね1μm前後にまで成長している。このことは、例7の複合粒子において、全てのフッ化イットリウム微粒子が互いに結合して一体化されていることを支持するものである。
また、後述の例14の溶射用材料の複合粒子と比較すると明瞭に理解できるが、例7では、原料粉体が焼結により粒成長するとともに、表面エネルギーの安定化のために球形化してフッ化イットリウム微粒子を構成することも確認された。また、フッ化イットリウム微粒子の間には気孔が見られるものの、全体としては概ね球形の複合粒子を形成していることも確認された。
図1に示されるように、例4の溶射用材料ではより焼結が進行しており、複合粒子が概ね数個のフッ化イットリウム微粒子から構成されていることが確認された。すなわち、平均粒子径が3μmの原料粉体から、平均粒子径が約5μm〜20μm程度のフッ化イットリウム微粒子が形成され、このフッ化イットリウム微粒子が複合粒子を構成している様子が理解できる。このフッ化イットリウム微粒子は、原料粉体の粒子が十分に焼結した結果、大きく粒成長して粗大になるとともに、より広い界面で互いに結合一体化して、例7の複合粒子よりも滑らかな表面を有する密な複合粒子を形成していることがわかる。
一方で、例16〜19に示されるように、造粒粉の作製に多くのバインダ量を用いると、L値が大幅に低下することがわかった。例えば、例16と例17、例18と例19の比較からわかるように、焼成雰囲気と温度は同じであっても、原料粉末の平均粒子径をより小さくし、バインダの量をより多くすることで、L値が大きく低下することがわかった。また、例17と例18との比較からわかるように、焼成雰囲気と原料粉体は同じであっても、バインダの量をより多くし、焼成温度をより高くすることで、L値が大きく低下することがわかった。そして例えば、例16に示すように、原料粉末の平均粒子径を1μmとやや小さめにし、Ar雰囲気での焼成温度を1200℃にまで高めることで、L値は5.4にまで低下することがわかった。これらのことからも、フッ化イットリウム微粒子の焼結が進むことや、バインダが焼失することに伴って、複合粒子のL値が低くなることが理解できる。すなわち、L値によって、溶射用材料として概ね良好な焼結状態を把握できることがわかった。なお、Ar雰囲気で焼結する場合は、このような高温での焼結でも嵩密度は1.16程度とさほど高くならないことがわかった。
また、焼成温度が比較的高い例1〜8、16〜19の溶射用材料は、複合粒子が焼結により結合されていることから製膜レートが高くなり、気孔率は低くなることが確認できた。さらに、L値が91以下と低い例1〜7、16〜19の溶射用材料を用いた場合は、フッ素の欠損により溶射中の溶射材料の酸化が抑制され得ることから、溶射皮膜のエロージョンレート比がより一層低く抑えられることがわかった。なお、例1〜8、16〜19の溶射用材料は、焼結の進行により溶射用材料の嵩密度が高くなり、その結果、気孔率の低い溶射皮膜が形成されることも確認された。溶射皮膜の気孔率が低いことは、エロージョンレート比が低く抑えられたことにも寄与していること考えられる。このことは、焼成温度のより高い例1〜7、16〜19の溶射用材料についてより顕著に表れ得る。特に、原料粉体として平均粒子径が0.1μmの微細な粒子を用いた例5,7や、Ar雰囲気での焼成温度を1100℃〜1150℃とした例18,19では、エロージョンレート比が0.88以下と、高い耐エロージョン特性を備える溶射皮膜を形成できることがわかった。これに対し、焼結が進まなかった例9、10の溶射用材料を用いた場合は、複合粒子が焼結されていないために溶射中に粒子が崩壊し、製膜レートが低くなってしまうことがわかった。その結果、溶射皮膜の気孔率も高くなり、溶射皮膜のエロージョンレート比も高まることがわかった。
以上のことから、溶射用材料は、フッ化イットリウム組成を維持しつつ、焼結が進行してL値が91以下であることが好ましいと言える。なお、例1〜3等の結果から、非酸化性雰囲気は、希ガス雰囲気、不活性雰囲気および真空雰囲気のいずれであっても良いことがわかる。
(酸化雰囲気での焼成;例11〜15)
これに対し、造粒粉を大気雰囲気で焼成した例11〜15では、焼成温度が100℃と乾燥に近い状態であれば、原料粉体のフッ化イットリウム組成を維持した溶射用材料を得られることがわかった(例14)。図3は、例14の溶射用材料の複合粒子の構造を観察したSEM像である。例14の複合粒子は、平均粒子径5μmの原料粉体を用いて造粒した、平均粒子径が40μmの造粒粒子であり、原料粉体の粒子は互いに焼結したり粒成長することなく、樹脂バインダにより結合されている。そして個々の粒子は、破砕および斜方晶の結晶構造に由来した角張った外形を有していることがわかる。また、大気雰囲気での加熱であっても、焼成温度が500℃以下と、焼成が進行しない条件であれば、原料粉体のフッ化イットリウム組成を維持した溶射用材料を得られることがわかった(例13)。焼成が進行しないこれらの溶射用材料は、フッ素欠損が生じていないため、L値は97〜99と、フッ化イットリウム本来の高い値の溶射用材料が得られることが確認された。しかしながら、焼成温度が800℃以上となると、フッ化イットリウムが酸化されて、溶射用材料中にオキシフッ化イットリウム(YOF)が形成されてしまうことがわかった(例11、12、15)。これらの溶射用材料は、焼成により造粒粒子に酸素が供給されて酸化されている。このことにより、フッ化イットリウムは、単なるフッ素欠損が生じることなく酸素補償が行われ、L値が高いままの溶射用材料が得られることが確認された。なお、表には示していないが、XRDの結果から、YOFの割合は、大気中での焼成温度が高くなるほど増大することが確認された。
例11〜15の溶射用材料を溶射して得られた溶射皮膜は、製膜レートが低く、気孔率が高い傾向があることがわかった。特に例11、12、15の溶射用材料は、焼結が進んで嵩密度が高いにもかかわらず、気孔率が高い溶射皮膜が得られることが確認された。詳細は定かではないが、これらの溶射用材料は、溶射前の段階でYOFを含んでいることから、溶射に際して溶射用材料の分解や揮発等が起こりやすく、製膜レートの低下や気孔率の上昇につながったものと予想される。このように、大気中で焼成された溶射用材料を用いると、製膜中にフッ素が揮発するなどして、形成される溶射皮膜の気孔率は8〜15%と著しく高い値となることがわかった。また、溶射皮膜の気孔率が高くなるにつれ、エロージョンレート比も高まり、耐プラズマエロージョン性が低下することがわかった。このことから、非酸化性雰囲気で十分に焼結されることでL値が91以下である溶射用材料を用いることで、耐プラズマエロージョン性が向上された溶射皮膜を形成できることが確認できた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (6)

  1. 複数のフッ化イットリウム微粒子が一体化されてなる複合粒子からなる粉体である溶射用材料であって
    当該溶射用材料全体の99.5mol%以上がフッ化イットリウムで構成されており、
    Lab色空間における明度Lは91以下である、溶射用材料。
  2. 前記明度Lは、5以上である、請求項1に記載の溶射用材料。
  3. 記粉体の嵩密度は1g/cm以上1.7g/cm以下である、請求項1または2に記載の溶射用材料。
  4. 前記複合粒子の電子顕微鏡観察において、40個数%以上の前記フッ化イットリウム微粒子は、互いに結合して一体化されている、請求項1〜3のいずれか1項記載の溶射用材料。
  5. 記粉体の平均粒子径は10μm以上100μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶射用材料。
  6. 前記粉体のX線回折分析において、酸化イットリウムに帰属される回折ピークが検出されない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶射用材料。
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