JP6921678B2 - トナー製造方法及び重合体 - Google Patents
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Description
例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種に合わせてプロセススピードの変更や定着器加熱の設定温度を変えずに印刷を続ける、メディア等速性が求められている。メディア等速性の観点から、トナーには、低温から高温まで幅広い定着温度範囲で適正に定着を完了することが求められている。
幅広い温度でトナーを定着させるためには、トナー中にワックスを含有させ、トナーに離型性を持たせる方法がある。この場合、トナー中のワックスの分散状態は、トナーの性質に重大な影響を及ぼすため、微細かつ均一であることが望まれる。
トナー中のワックスの分散状態を制御するために、トナー中にワックス分散剤を含有させる技術が提案されている(特許文献1)。
また、高粘度樹脂と低粘度樹脂、及び分散剤からなるトナーバインダーを用いることによってワックスの分散性を向上させ、画像劣化を抑制するという提案もなされている(特許文献2)。
しかし、トナー中のワックスの分散状態を制御しても、トナーを高温高湿環境下に放置すると、ワックスがトナー表面に溶け出し、トナーの流動性が低下するため、帯電性に劣る場合がある。
また、印刷市場に対応したような高速機においては、依然として低温定着性が不足し、高温放置によってブロッキングを起こすこともある。また、トナー形状を制御したものではないことから、転写効率が不足することがある。
これに対し、転写効率を高めるために、トナーを熱処理することによって形状を制御し、トナーの付着力を下げる提案がなされている(特許文献3)。
以上のように、トナー中のワックスの分散状態を制御し、帯電性、低温定着性、及び耐ブロッキング性の全てを満足させるためには、依然として検討の余地がある。
また、上記のようにポリエステル樹脂をメインバインダーとしたトナーは、スチレンアクリル系をメインバインダーとしたトナーと比較すると、高温高湿環境下での帯電性又は帯電の維持が難しくなる場合があった。帯電性が変動すると、画像出力時に色味が変動しやすくなる。これは、ポリエステル樹脂のエステル結合部分や末端部分などで水分を吸着しやすくなり、吸着した水分を介し電荷が散逸するためと推測される。
さらに、高画質を達成するために着色剤分散性の向上が必要となる。溶融混練工程及び粉砕工程を有する製造方法を経て得られるトナーでは、溶融混練時の温度を低温にすることによって着色剤分散性を向上させることができるが、低温では高融点のワックス分散剤が溶融せず、ワックス分散性を向上させることができない。
本発明は、上記の課題を解決したトナーの製造方法を提供する。
具体的には、トナー中のワックスの分散状態を制御することで、低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐ブロッキング性を満足しうるトナーの製造方法を提供する。
また、トナー表面に疎水性の高いワックス分散剤を露出させることで、高温高湿環境下において十分な帯電性を発揮し、着色剤分散性を向上させうるトナーの製造方法を提供する。
ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であって、
該ポリオレフィンとスチレンアクリル系ポリマーとの質量比率が、ポリオレフィン:スチレンアクリル系ポリマー=3:97〜20:80であり、
該スチレンアクリル系ポリマーが、α−メチルスチレン由来のモノマーユニット、及び、下記式(2)で表されるシクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有し、
該重合体中のα−メチルスチレン由来のモノマーユニットの含有割合が、5.0質量%以上30.0質量%以下であり、
該重合体中の式(2)で表されるモノマーユニットの含有割合が、1.0質量%以上40.0質量%以下であることを特徴とする重合体である。
また、本発明は、結着樹脂、着色剤、ワックス及びワックス分散剤を含む樹脂組成物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程、及び、
該溶融混練物を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該溶融混練工程終了時における該溶融混練物の温度をTk(℃)とし、
該ワックス分散剤の軟化点をTm(℃)としたときに、
該Tk及び該Tmが下記式(1)の関係を満たし、
該ワックス分散剤が、本開示の重合体であることを特徴とするトナーの製造方法である。
−18≦[Tk−Tm]≦10 式(1)
結着樹脂、着色剤、ワックス及びワックス分散剤を含む樹脂組成物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程、及び、
該溶融混練物を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該溶融混練工程終了時における該溶融混練物の温度をTk(℃)とし、
該ワックス分散剤の軟化点をTm(℃)としたときに、
該Tk及び該Tmが下記式(1)の関係を満し、
該ワックス分散剤が、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であり、
該スチレンアクリル系ポリマーが、α−メチルスチレン由来のモノマーユニット、及び、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有することを特徴とする。
−18≦[Tk−Tm]≦10 式(1)
ワックス分散剤は、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体である。該スチレンアクリル系ポリマーがトナー中の結着樹脂と親和性を持ち、該ポリオレフィンがトナー中のワックスと親和性を持つ。
このため、トナー中でワックスとワックス分散剤のドメインが形成され、ワックスを微分散させることができる。これにより低温定着性、耐ホットオフセット性、及び耐ブロッキング性を満足させることが可能となる。
また、該スチレンアクリル系ポリマーが、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有することで、トナー中でワックスを微分散させると同時に、トナーが高温高湿環境下に放置されても帯電性を維持されることが可能となる。
なお、該モノマーユニットとは、ポリマー又は樹脂中のモノマー物質の反応した形態をいう。
トナーを溶融混練法で製造した場合、粉砕工程においてワックスを界面にして割れやすく、ワックスがトナー表面に露出しやすくなる。
このとき、ワックスとドメイン構造を形成しているワックス分散剤もトナー表面に露出しやすくなると推測される。
一方、ワックス分散剤、すなわち、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体(以下、単に重合体ともいう)は、疎水性のシクロアルキル基を有しているため、従来のワックス分散剤より水分の吸着を阻害しやすいと考えられる。
すなわち、トナー表面に、水分吸着を阻害しやすいワックス分散剤が多く露出した結果、水分吸着によるトナーの帯電量低下が抑制され、高温高湿環境下での帯電性が向上したものと考えている。
そこで、さらに検討を進め、該スチレンアクリル系ポリマーの構成成分として、α−メチルスチレン由来のモノマーユニットを含有させることで、疎水性のシクロアルキル基を有した状態であっても、ワックス分散剤の軟化点を下げることができることを知得した。
その結果、トナー表面の疎水性、トナー中のワックス分散性、及び、着色剤分散性の全てを満足させることが可能となった。
スチレンアクリル系ポリマーが、α−メチルスチレン由来のモノマーユニットを含有することで、ポリマー合成中にα−メチルスチレンの解重合を利用することができ、分子量が過剰に大きくなることを防いでいると考えている。
ゆえに、ポリマーの分子量を低く抑えることが可能となり、ワックス分散剤の軟化点を低くすることができる。一方、シクロアルキル基は存在しているので、疎水性の向上を図ることができる。
Tk及びTmが下記式(1)の関係を満たす。また、下記式(1)’の関係を満たすことが好ましい。
−18≦[Tk−Tm]≦10 式(1)
−15≦[Tk−Tm]≦10 式(1)’
本発明では、上述のようにワックス分散剤の軟化点を十分に低い状態に制御しているため、混練物の出口温度も適切な温度への制御が可能となる。
つまり、該Tk及びTmが、−18≦[Tk−Tm]≦10、の関係を満たす場合、トナー組成物の溶融混練時にワックス分散剤は適度又は十分に軟化しており、ワックスの微分散に寄与できる。また、溶融混練時にトナー組成物に対して十分なシェアを付与することができ、着色剤分散性も顕著に向上させることが可能となる。
より具体的には、[Tk−Tm]が−18より小さい場合、ワックス分散剤の軟化点に比し、混練物の出口温度が低く、トナー組成物の溶融混練時にワックス分散剤は十分に軟化しておらず、ワックスを微分散させることが困難となる。
一方、[Tk−Tm]が10より大きい場合、ワックス分散剤を十分に軟化させたときに混練物の出口温度が高くなりすぎるため、トナー組成物に対して十分なシェアを付与することができず、トナー組成物の混練が不十分となり、ワックス分散性及び着色剤分散性が低下する。
すなわち、ワックス分散剤にα−メチルスチレン由来のモノマーユニットを導入し、溶融混練時の混練物の出口温度を低下させることで、疎水性と着色剤分散性を両立することが可能になったと考えている。
本発明において、ワックス分散剤は、該重合体である。
該ポリオレフィンは、特に限定されることはないが、トナー中でのワックスとの親和性の観点から、後述するトナーに用いられるワックスから選択するとよい。
該ポリオレフィンの融点は、70℃以上90℃以下であることが好ましく、75℃以上85℃以下であることがより好ましい。
該ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックスであることが好適に例示できる。より好ましくは、融点が70℃以上90℃以下のポリプロピレンである。
該スチレンアクリル系重合体において、ポリオレフィンの、スチレンアクリル系ポリマーに対する質量比は、1:99〜30:70であることが好ましく、3:97〜20:80であることがより好ましい。
また、該ワックス分散剤の製造時の反応性の観点から、ポリプロピレンのように枝分かれ構造を持つことが好ましい。
なお、本発明において、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーをグラフト重合させる方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
α−メチルスチレン由来のモノマーユニットを含有することで、重合体の分子量が過剰に大きくなることを防止し、重合体の軟化点を低く抑えることが可能となる。
重合体中のα−メチルスチレン由来のモノマーユニットの含有量は、5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以上15.0質量%以下である
ことがより好ましい。
該シクロアルキル基の具体例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
また、該シクロアルキル基は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基などを有することもできる。該アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
該シクロアルキル(メタ)アクリレートの具体例として、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、疎水性の観点から、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレート、シクロオクチルメタクリレートが好ましい。また、より好ましくは、該シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットは、シクロヘキシルメタクリレート由来のモノマーユニットである。
重合体中の式(2)で表されるモノマーユニットの含有量は、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましい。
スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸のアルキルエステル(該アルキルの炭素数が1以上18以下);酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー;塩化ビニルのようなハロゲン元素含有ビニル系モノマー;ブタジエ
ン、イソブチレンなどのジエン系モノマーが挙げられる。これらは、一種又は二種以上を併用することが可能である。
なお、重合体中の該スチレン系モノマー由来のモノマーユニットの含有量は、50.0質量%以上85.0質量%以下であることが好ましく、60.0質量%以上80.0質量%以下であることがより好ましい。
重合体が、下記式(3)で表されるモノマーユニットを有する場合、該重合体のガラス転移温度(Tg)を低下させることできる。その結果、ワックス分散剤がトナーに含有された場合、トナーが高温高湿環境下に放置されても帯電性が低下しにくく、かつ、低温定着性がさらに向上する。
なお、重合体中の下記式(3)で表されるモノマーユニットの含有量は、5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上20.0質量%以下であることがより好ましい。
なお、nは、2以上7以下の整数であることがより好ましい。nが2以上7以下の整数である場合、ガラス転移温度(Tg)を効率よくさげることができる。
該重合体の重量平均分子量(Mw)は、5000以上70000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましい。
重合体の重量平均分子量が上記範囲である場合、トナー中における重合体の動きが適切となる。その結果、ワックス分散性がより向上し、高温高湿環境下におけるワックスのトナー表面への溶出が適切となり、トナーの耐ブロッキング性がより向上する。
また、定着溶融時に、トナー中に微分散したワックスを迅速にトナー表面へ移行させることができ、耐ホットオフセット性がより向上する。
該重合体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上8.0質量部以下であることがより好ましい。
該結着樹脂中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
該非晶性ポリエステル樹脂とワックスとの相溶性は、元来より乏しい。そのため、ワックスをそのままの状態で添加してトナー化した際には、トナー中にワックスが偏析して存
在し、遊離ワックスなども発生することから、結果的に帯電不良などの不具合が発生する場合がある。
しかしながら、トナーがワックス分散剤を含有し、また、結着樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含有することで、トナー中のワックスの分散状態を制御することができる。
非晶性ポリエステル樹脂の製造に用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価又は3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価又は3価以上のカルボン酸)、及び、それらの酸無水物又はそれらの低級アルキルエステルとが挙げられる。
ここで、分岐ポリマーを作製する場合には、非晶性ポリエステル樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用するとよい。すなわち、モノマーとして、3価以上のカルボン酸及びその酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は、3価以上のアルコールを含めるとよい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造に用いられる多価アルコール及び多価カルボン酸としては、以下が例示できる。
これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、アジピン酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
これらのうち、グリセロール、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールが好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸は、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸が挙げられる。また、これらの酸無水物及び低級アルキルエステルを用いてもよい。
これらのうち、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。
上記2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。同様に、上記2価のカルボン酸及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
ビニル系樹脂又はビニル系共重合体と非晶性ポリエステル樹脂との反応生成物を得る方法としては、ビニル系樹脂又はビニル系共重合体、及び、非晶性ポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方、又は両方の樹脂の重合反応を行う方法が挙げられる。
例えば、非晶性ポリエステル樹脂を構成するモノマーのうち、ビニル系樹脂又はビニル系共重合体と反応し得るものとしては、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。
ビニル系樹脂又はビニル系共重合体を構成するモノマーのうち、非晶性ポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない程度に、結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂以外の樹脂を用いることもできる。
該樹脂としては、特に限定されることはなく、トナーの結着樹脂として使用されている樹脂が挙げられる。例えば、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
また、結着樹脂は、低分子量の非晶性ポリエステル樹脂(L)と高分子量の非晶性ポリエステル樹脂(H)を含有する態様でもよい。
この場合、高分子量の非晶性ポリエステル樹脂(H)と低分子量の非晶性ポリエステル樹脂(L)の含有比率(H/L)は、質量基準で10/90以上60/40以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
高分子量の非晶性ポリエステル樹脂(H)のピーク分子量は、7000以上15000以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。また、高分子量の非晶性ポリエステル樹脂(H)の酸価は、2mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電性の観点から好ましい。
一方、低分子量の非晶性ポリエステル樹脂(L)のピーク分子量は、3000以上6000以下であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、低分子量の非晶性ポリエステル樹脂(L)の酸価は、10mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電性の観点から好ましい。
結晶性樹脂としては、結晶性エステル化合物、又は結晶性エーテル化合物が挙げられる。
結晶性エステル化合物、又は結晶性エーテル化合物を用いることで、結着樹脂の非晶性ポリエステル樹脂を可塑化し、低温定着性をより向上させることができる。また、可塑効果を十分に発揮させるためには、結晶性ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。
該結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られる。
該結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオール及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するアルコール成分と、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られる樹脂であることが好ましい。
その中でも、上記結晶性ポリエステル樹脂は、炭素数6以上12以下の脂肪族ジオール及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するアルコール成分と、炭素数6以上12以下の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合して得られる結晶性ポリエステル樹脂であることが、低温定着性と耐ブロッキング性の観点からより好ましい。
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタジエングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
これらの中でも、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールなどのような直鎖脂肪族、α,ω−ジオールが好ましく例示される。また、誘導体としては、上記縮重合により同様の樹脂構造が得られるものであれば特に限定されない。例えば、上記ジオールをエステル化した誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分において、炭素数2以上22以下(好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジオール及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が、全アルコール成分に対して、50質量%以上である
ことが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
該多価アルコールのうち、上記脂肪族ジオール以外のジオールとしては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどの芳香族アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
また、該多価アルコールのうち3価以上の多価アルコールとしては、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどの芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、及びトリメチロールプロパンなどの脂肪族アルコールなどが挙げられる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のアルコ−ルを用いてもよい。該1価のアルコールとしては、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、ラウリルアルコール、2−エチルヘキサノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ドデシルアルコールなどが挙げられる。
例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられる。
これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。また、上記誘導体としては、上記縮重合により同様の樹脂構造が得られるものであれば特に限定されない。例えば、上記ジカルボン酸成分の酸無水物、ジカルボン酸成分をメチルエステル化、エチルエステル化、又は酸クロライド化した誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分において、上記炭素数2以上22以下(好ましくは炭素数6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が、全カルボン酸成分に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
該多価カルボン酸のうち、上記脂肪族ジカルボン酸以外の2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸;n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸などの脂肪族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなども含まれる。
また、その他の多価カルボン酸において、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、及びピロメリット酸などの芳香族カルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパンなどの脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルなどの誘導体なども含まれる。
さらに、結晶性ポリエステル樹脂の特性を損なわない程度に1価のカルボン酸を含有していてもよい。該1価のカルボン酸としては、安息香酸、ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、フェノキシ酢酸、ビフェニルカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などが挙げられる。
上記エステル化又はエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、及び酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒又はエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えば、チタンブトキサイド、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、及び二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化若しくはエステル交換反応、又は重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステル樹脂の強度を上げるために全モノマーを一括に仕込むことや、低分子量成分を少なくするために2価のモノマーを先ず反応させた後、3価以上のモノマーを添加して反応させたりするなどの方法を用いてもよい。
該結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が上述の範囲であると、低温定着性が向上する。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、及びモンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、及びパリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、及びメリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びモンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、及びメリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、及びラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、及びヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、及びN,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、及びステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、ワックス分散剤との相互作用、並びに、低温定着性及び耐ホットオフセット性のさらなる向上という観点から、パラフィンワックス及びフィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、又は、カルナバワックスのような脂
肪酸エステルワックスを主成分とするワックス類が好ましい。耐ホットオフセット性のさらなる向上性の観点から、炭化水素系ワックスがより好ましい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて測定される最大吸熱ピークのピーク温度は、トナーの耐ブロッキング性と耐ホットオフセット性を両立させる観点から、45℃以上140℃以下であることが好ましく、70℃以上100℃以下であることがより好ましい。
黒色トナー用着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
該着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
該荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ、一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボ
ン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤は、トナーに対して内添してもよいし外添してもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
該無機微粒子は、トナーに内添してもよいし、外添剤としてトナーと混合してもよい。
外添剤として含有する場合は、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子のような無機微粒子が好ましい。
該無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
該無機微粒子がトナーの流動性向上のために使用される場合は、比表面積が50m2/g以上400m2/g以下の無機微粒子が好ましい。
一方、該無機微粒子がトナーの耐久性向上のために使用される場合は、比表面積が10m2/g以上50m2/g以下であることが好ましい。
流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
該無機微粒子を外添剤として含有させる場合は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。トナー粒子と無機微粒子との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いるとよい。
磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、磁性キャリアとトナーの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度が、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
該溶融混練工程を経て製造されることで、ワックスの分散性が向上する。該溶融混練工程では、熱とシェアによって、トナーの原材料(特に、結着樹脂とワックス分散剤とワックス)がしっかりと混合されるために、トナー中でのワックスの分散性が向上する。
トナー中においてワックスが微分散することによって、高温高湿環境下でのワックスのトナー表面への溶出が少なくなり、トナーの耐ブロッキング性が向上する。
該粉砕工程において、ワックス及びワックス分散剤のドメインがトナー表面に露出することで、トナーの疎水化が促進され、高温高湿環境下での帯電性が向上する。
また、得られた溶融混練物を冷却し、得られた冷却物を粉砕して得られた樹脂粒子を熱処理する工程を有することが好ましい。
該熱処理する工程(以下、熱処理工程ともいう)を有することで、従来のワックス分散剤を使用したときと比較して、帯電性及び耐ブロッキング性がより向上する。
通常、熱処理工程を実施した場合、付着性の高いワックスがトナー表面近傍に溶出してくるため、トナーの耐ブロッキング性が低下し、かつ、トナーの流動性低下に起因した帯電不良が起こりやすくなる。
しかし、上記ワックス分散剤を含有する樹脂粒子を熱処理した場合、ワックスと同時に疎水性のワックス分散剤が樹脂粒子表面に移行するために、高温高湿環境下でもトナーの流動性が低下せず、帯電性が低下しない。また、上記ワックス分散剤は嵩高いシクロアルキル基を有しているため、従来のワックス分散剤を使用したときと比較して熱処理工程時のワックスの染み出しが抑制される。このため、トナーの耐ブロッキング性の低下が抑制される。
まず、原料混合工程では、トナー原料として結着樹脂、着色剤、ワックス及びワックス分散剤などを所定量秤量して配合及び混合して樹脂組成物(トナー組成物ともいう)を得る。
該混合に使用される装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)などがある。
次に、得られた樹脂組成物を、溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤、ワックス及びワックス分散剤などを分散させる(溶融混練工程)。
溶融混練に使用される装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);ニーデックス(三井鉱山社製)などが挙げられる。連続生産できるなどの優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸又は2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
該溶融混練工程終了時における該溶融混練物の温度(以下単に、「出口温度」とも言う)をTk(℃)とし、該ワックス分散剤の軟化点をTm(℃)としたときに、TkとTmが下記式(1)の関係を満たす。
(式1) −18≦[Tk−Tm]≦10
該Tk(℃)及びTm(℃)が該式(1)の関係を満たす場合、上述のように、トナー組成物の溶融混練時にワックス分散剤は適度又は十分に軟化しており、ワックスの微分散に寄与できる。また、ワックス分散剤の軟化点が十分に低い状態に制御されているため、混練物の出口温度も適切な温度への制御が可能となる。
なお、該混練物の出口温度は、ワックス分散性及び着色剤分散性の観点から、100℃以上130℃以下であることが好ましく、105℃以上125℃以下であることがより好ましい。
得られた冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。まず、クラッシャー、ハンマーミル、又はフェザーミルなどで粗粉砕され、さらに、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)などで微粉砕され、樹脂粒子を得る。
得られた樹脂粒子は、所望の粒径に分級して、トナー粒子としてもよい。分級に使用される装置としては、ターボプレックス、ファカルティ、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)などがある。
また、分級された樹脂粒子に熱処理を実施して、トナー粒子としてもよい。
さらに、熱処理の実施後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級又は篩分に
よって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。分級に使用される装置としては、上記装置が挙げられる。一方、篩分に使用される装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)などが挙げられる。
一方、上記熱処理工程の前に、得られた樹脂粒子に、必要に応じて無機微粒子などを添加しても構わない。無機微粒子などの添加方法としては、樹脂粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)などの粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌及び混合するとよい。
なお、熱処理工程は任意のタイミングで実施することができる。
原料定量供給手段1により定量供給された樹脂粒子は、圧縮気体流量調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内に設けられた樹脂粒子の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された樹脂粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室6内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる(なお、11は熱風供給手段出口を示す)。処理室6内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段7の出口部における温度が上記の範囲内であれば、樹脂粒子を加熱しすぎることによる粒子の融着や合一を防止しつつ、粒子を均一に処理することが可能となる。
熱風は熱風供給手段7から供給される。さらに熱処理された熱処理樹脂粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。冷風供給手段8から供給される冷風の温度は−20℃以上30℃以下であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理樹脂粒子を効率的に冷却することができ、樹脂粒子の均一な熱処理を阻害することなく、熱処理樹脂粒子の融着や合一を防止することができる。また、冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理樹脂粒子は、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段10の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された樹脂粒子の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、回収手段10も、旋回された樹脂粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に接線方向に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給される熱処理前樹脂粒子の旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前樹脂粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前樹脂粒子の分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理樹脂粒子を得ることができる。
より好ましくは0.965以上1.000以下である。トナーの平均円形度が上記の範囲であることにより、トナーの転写効率が向上する。
<ワックス及び結晶性樹脂などの吸熱ピークのピーク温度の測定>
ワックス及び結晶性樹脂などの最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TAインストルメント社製)を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、銀製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしては銀製の空パンを用いる。測定条件は以下の通りである。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
トナーを試料とする場合において、吸熱ピーク(結着樹脂由来の吸熱ピーク)がワックス及び結晶性樹脂以外の樹脂の吸熱ピークと重なっていない場合には、得られた最大吸熱ピークをそのままワックス及び結晶性樹脂に由来する吸熱ピークとして扱う。
一方、トナーを試料とする場合において、ワックスの吸熱ピークと結着樹脂の吸熱ピークの判別は、トナーからヘキサン溶媒を使用したソックスレー抽出によってワックスを抽出し、ワックス単体の示査走査熱量測定を上記方法で行い、得られた吸熱ピークとトナーの吸熱ピークを比較することにより行う。
なお、最大吸熱ピークとは、ピークが複数あった場合に、吸熱量が最大となるピークのことを意味する。また、最大吸熱ピークのピーク温度を、融点とする。
ワックス分散剤及び各種樹脂などの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下のようにして測定する。
まず、試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ、試料の合一体が無くなるまで、さらに12時間以上静置する。
その時、THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、得られた溶液をサンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm以下、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製))を通過させたものをGPCの試料とする。
また、試料濃度は、0.5mg/mL以上5.0mg/mL以下となるように調製する。この試料溶液を用いて、以下の条件で測定する。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、上記試料溶液を約100μL注入して測定する。
カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせる。昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合せ、又は、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを用いる。
試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製又は昭和電工社製の分子量が1×102〜1×107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。なお、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer
3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナーの平均円形度を求める。
重合体の軟化点は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って測定する。
本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300.0部、ポリプロピレン(最大吸熱ピークのピーク温度(融点)が90℃)10.0部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン63.0部、α−メチルスチレン10.0部、メタクリル酸シクロヘキシル5.0部、ブチルアクリレート12.0部及びキシレン250.0部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合した。さらに、この温度で30分間保持し、脱溶剤を行い、重合体1を得た。得られた重合体の諸物性を表1に示す。なお、表中のMpは、ピーク分子量を、Mwは重量平均分子量を表す。
重合体1の製造例において、表1の記載となるように適宜条件を変更した以外は、重合体1の製造例と同様の操作を行い、重合体2〜22を得た。なお、α−メチルスチレンの添加量を表1に記載されたものにするために、スチレンの添加量を調整した(全体として重合体の原料組成が100部になるよう調整)。得られた重合体の諸物性を表1に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
72.0部
・テレフタル酸 28.0部
(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して96.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で
撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸 3.0部
(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を180℃に維持したまま、1時間反応させ、軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂(L)を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂(L)は、ピーク分子量(Mp)が5500、軟化点(Tm)が90℃であった。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
72.3部
・テレフタル酸 18.3部
(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸 2.9部
(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒) 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
次に反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸 6.5部
(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を160℃に維持したまま、15時間反応させ、軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂(H)を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂(H)は、ピーク分子量(Mp)が9000、軟化点(Tm)が137℃であった。
・1,6−ヘキサンジオール 34.5部
(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸 65.5部
(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
反応槽内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度を200℃に維持したまま、4時間反応させた。
その後、反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂(C)を得た。
・非晶性ポリエステル樹脂(L) 50.0部
・非晶性ポリエステル樹脂(H) 50.0部
・結晶性ポリエステル樹脂(C) 5.0部
・重合体1 5.0部
・フィッシャートロプシュワックス 5.0部
(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃)
・C.I.ピグメントブルー15:3 7.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.3部
(ボントロンE88 オリエント化学工業社製)
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて溶融混練した。溶融混練時のバレル温度は、溶融混練物の出口温度が115℃になるよう設定した。溶融混練物の出口温度は、安立計器社製ハンディタイプ温度計HA−200Eを用い直接計測した。
得られた溶融混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、樹脂粒子を得た。ファカルティF−300の運転条件は、分級ローター回転数を130s−1、分散ローター回転数を120s−1とした。
得られた樹脂粒子を用い、図1で示す熱処理装置によって熱処理を行い、トナー粒子を得た。運転条件は、フィード量を5kg/hr、熱風温度を150℃、熱風流量を6m3/min.、冷風温度を−5℃、冷風流量を4m3/min.、ブロワー風量を20m3/min.、インジェクションエア流量を1m3/min.とした。
100部のトナー粒子に、疎水性シリカ(BET:200m2/g)1.0部、及び、イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子(BET:80m2/g)1.0部を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s−1、回転時間10min.で混合して、トナー1を得た。
トナー1の製造例において、結晶性ポリエステル樹脂(C)の添加量、重合体の種類及び添加量、上記出口温度、並びに熱処理を表2となるように適宜条件を変更した以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2〜33を得た。トナーの製造条件を表2に示す。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微
粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、及びメチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温した。その後、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合した。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
得られた30部の被覆樹脂1を、トルエン40部、及びメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をお
こなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を、100部の磁性コア粒子1に対して、樹脂成分として2.5部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後、冷却した。
得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
上記二成分系現像剤1〜33を用いて、評価を行った。
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5051を用い、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造した。この改造機のシアン位置の現像器に二成分系現像剤を入れ、静電潜像担持体又は紙上のトナーの載り量が所望になるように現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワーを調整し、後述の評価を行った。結果を表3に示す。なお、以下、実施例27、28は、それぞれ参考例27、28とする。
上記画像形成装置の印刷速度を通常の1.5倍(A4横送り76.5枚/分)となるようにした。
評価環境は、常温常湿環境下(23℃、50%RH)とし、評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
該評価環境において、紙上のトナー乗り量を変化させて、画像濃度と、紙上のトナー載り量との関係を調べた。
次いで、FFH画像(ベタ部)の画像濃度が1.55になるように調整し、画像濃度が1.55になる際の、トナー載り量を求めた。
FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用して測定した。
該トナー載り量(mg/cm2)から、下記の基準でトナーの着色力を評価した。評価がA〜Cであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:0.45未満
B:0.45以上0.55未満
C:0.55以上0.65未満
D:0.65以上
紙 :CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量 :0.08mg/cm2
評価画像 :上記紙の両末端に10cm2の画像を配置
定着試験環境 :常温低湿環境、温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
上記画像形成装置のプロセススピードを450mm/secに設定し、定着温度を150℃から順に5℃ずつ上げ、耐ホットオフセット性を評価した。
手順としては、上記画像形成装置の定着器の、定着ベルトの中心位置に無地のはがきを10枚通紙した後に、上記条件で定着画像を出力した。
該定着画像のカブリの値を耐ホットオフセット性の評価指標とした。
カブリは、リフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって、画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)と定着試験後の白地部の反射率Ds(%)を測定し、下記式を用いて算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。評価がA〜Cであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
(評価基準)
A:0.2%未満
B:0.2%以上0.5%未満
C:0.5%以上1.0%未満
D:1.0%以上
静電潜像担持体上のトナーを金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引捕集することにより、トナーの摩擦帯電量及びトナー載り量を算出した。
具体的には、静電潜像担持体上のトナーの摩擦帯電量及びトナー載り量は、ファラデー・ケージ(Faraday−Cage)によって測定した。
ファラデー・ケージとは、同軸の2重筒のことで内筒と外筒は絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によりあたかも電荷量Qの金属円筒が存在するのと同様になる。この誘起された電荷量をエレクトロメーター(ケスレー6517A ケスレー社製)で測定し、内筒中のトナー質量M(kg)で電荷量Q(mC)を割ったもの(Q/M)をトナーの摩擦帯電量とした。
また、吸引した面積Sを測定することで、トナー質量Mを吸引した面積S(cm2)で除して、単位面積あたりのトナー載り量とした。
トナーは静電潜像担持体上に形成されたトナー層が中間転写体に転写される前に静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナー像を直接、エアー吸引して測定した。トナーの載り量(mg/cm2)=M/S
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
上記画像形成装置において、高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)で静電潜像担持体上のトナーの載り量が0.35mg/cm2となるように調整し、上記金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、及び捕集されたトナー質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)とした。下記の評価基準に基づく評価がA〜Cであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:Q/Mが36.0mC/kg以上
B:Q/Mが33.0mC/kg以上36.0mC/kg未満
C:Q/Mが30.0mC/kg以上33.0mC/kg未満
D:Q/Mが30.0mC/kg未満
上記帯電性の評価を行った後に、現像器を機外に取り外し、高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)に72時間放置し、再度現像器を機内に装着し、上記帯電性の評価と同じ直流電圧VDCで静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/Mを測定した。
上記帯電性の評価における静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mを100%とし、72時間放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/Mの維持率([放置後評価のQ/M]/[帯電性評価のQ/M]×100)を算出して以下の基準で判断した。評価がA〜Cであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:維持率が90%以上
B:維持率が85%以上90%未満
C:維持率が80%以上85%未満
D:維持率が80%未満
紙 :CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量 :1.20mg/cm2
評価画像 :上記紙の中心に10cm2の画像を配置
定着試験環境 :低温低湿環境、15℃/10%RH(以下「L/L」)
紙上のトナーの載り量が上記になるように、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーを調整した後、プロセススピードを450mm/sec、定着温度を130℃に設定し低温定着性を評価した。
画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。
画像濃度低下率は、X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を用い、先ず、中心部の定着画像の濃度を測定する。次に、定着画像の濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm2)の荷重をかけて、シルボン紙により定着画像を摺擦(5往復)し、定着画像の濃度を再度測定する。そして、摺擦前後での定着画像の濃度の低下率(%)を測定した。下記の評価基準に基づく評価がA〜Cであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:濃度低下率が1.5%未満
B:濃度低下率が1.5%以上2.0%未満
C:濃度低下率が2.0%以上3.0%未満
D:濃度低下率が3.0%以上
100mLのプラスティック容器にトナー5gを入れ、温度及び湿度可変型の恒温槽(設定;55℃、41%RH)に48時間放置し、放置後にトナーの凝集性を評価した。
凝集性は、ホソカワミクロン社製パウダーテスタPT−Xにて0.5mmの振幅にて10秒間、目開き20μmのメッシュで篩った際に、残ったトナーの残存率を評価指標とした。評価がA〜Cであれば、本発明の効果が得られているものと判断した。
(評価基準)
A:残存率が2.0%未満
B:残存率が2.0%以上、10.0%未満
C:残存率が10.0%以上、15.0%未満
D:残存率が15.0%以上
比較例2のトナー30に使用された重合体20は、α−メチルスチレン由来のモノマーユニットを有しない。その結果、重合体の軟化点が高く、−18≦[Tk−Tm]≦10を満たさず、ワックス分散性が低下し、低温定着性、耐ホットオフセット性、帯電性、及び帯電維持性が許容できない範囲になった。
比較例3のトナー31は、重合体21を使用し、混練時の混練物温度を95℃で混練し
ているが、−18≦[Tk−Tm]≦10を満たさず、着色力、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性、帯電性、及び帯電維持性が許容できない範囲になった。
比較例4のトナー32は、その製造方法において、−18≦[Tk−Tm]≦10を満たさず、着色力、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性、帯電性、及び帯電維持性が許容できない範囲になった。
比較例5のトナー33は、その製造方法において、−18≦[Tk−Tm]≦10を満たさず、着色力、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性、帯電性、及び帯電維持性が許容できない範囲になった。
Claims (7)
- ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体であって、
該ポリオレフィンとスチレンアクリル系ポリマーとの質量比率が、ポリオレフィン:スチレンアクリル系ポリマー=3:97〜20:80であり、
該スチレンアクリル系ポリマーが、α−メチルスチレン由来のモノマーユニット、及び、下記式(2)で表されるシクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットを有し、
該重合体中のα−メチルスチレン由来のモノマーユニットの含有割合が、5.0質量%以上30.0質量%以下であり、
該重合体中の式(2)で表されるモノマーユニットの含有割合が、1.0質量%以上40.0質量%以下であることを特徴とする重合体。
[式(2)中、R 1 は水素原子又はメチル基を表し、R 2 はシクロアルキル基を表す。] - 前記シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のモノマーユニットが、シクロヘキシルメタクリレート由来のモノマーユニットである、請求項1又は2に記載の重合体。
- 前記重合体の軟化点が、100.0℃以上130.0℃以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
- 前記ポリオレフィンがポリプロピレンであり、該ポリプロピレンの融点が、70℃以上90℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
- 結着樹脂、着色剤、ワックス及びワックス分散剤を含む樹脂組成物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程、及び、
該溶融混練物を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該溶融混練工程終了時における該溶融混練物の温度をTk(℃)とし、
該ワックス分散剤の軟化点をTm(℃)としたときに、
該Tk及び該Tmが下記式(1)の関係を満たし、
該ワックス分散剤が、請求項1〜5のいずれか一項に記載された重合体であることを特徴とするトナーの製造方法。
−18≦[Tk−Tm]≦10 式(1) - 前記重合体の含有量が、前記結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下である、請求項6に記載のトナーの製造方法。
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