JP6855262B2 - トナー - Google Patents
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Description
例えば、厚紙から薄紙へ紙種が変更されても、紙種に合わせてプロセススピード変更や定着器加熱設定温度を変えずに印刷を続ける、メディア等速性が求められている。メディア等速の観点から、トナーには、低温から高温まで幅広い定着温度範囲で適正に定着を完了することが求められている。
幅広い定着可能温度でトナーを定着させるために、トナー中にワックスを含有させトナーに離型性を持たせる方法がある。この場合、トナー中のワックスの分散状態は、トナーの性質に重大な影響を及ぼすため、微細かつ均一であることが望まれる。
トナー中のワックスの分散状態を制御するために、トナー中にワックス分散剤を含有させる技術(特許文献1)、さらにワックス分散剤と樹脂の溶解性パラメータを制御する技術(特許文献2)が提案されている。また、高粘度樹脂と低粘度樹脂、分散剤からなるトナーバインダーを用いることによってワックスの分散性を向上させ、画像劣化を抑制するという提案もなされている(特許文献3)。しかし、トナー中のワックスの分散状態を制御しても、トナーを高温高湿下に放置すると、ワックスがトナー表面に溶け出し、トナーの流動性が悪化するために、帯電性に劣る場合がある。
さらに、幅広い定着可能温度で定着するために、シャープメルト性を有する結晶性樹脂をトナーへ添加し、低温定着性能を向上させたトナーが種々提案されている(特許文献4)。しかし、印刷市場に対応したような高速機においては、依然として、低温での定着性が不足し、高温放置によってブロッキングを起こすこともある。また、トナー形状を制御したものではないことから、転写効率が不足することがある。
これに対し、転写効率を高めるために、トナーを熱処理することによって形状を制御し、トナーの付着力を下げる提案がなされている(特許文献5)。しかし、熱処理されたトナーは、トナーの形状が制御される一方で、付着性の高いワックスがトナー表面近傍に溶出してくることが知られている。このため、トナー表面近傍に溶出したワックスによる影響でトナーの流動性が悪化し、帯電性が悪化する場合がある。
以上のように、トナー中のワックスの分散状態を制御し、帯電性と定着性、耐ブロッキング性を満足させるためには、依然として検討の余地がある。
該ワックス分散剤が、炭化水素ワックスにスチレンアクリル系ポリマーが結合したグラフト重合体であり、
該スチレンアクリル系ポリマーが、
(i)シクロアルキルアクリレート由来のユニット又はシクロアルキルメタクリレート由来のユニット、及び
(ii)メタクリル酸ユニット
を有し、
該結晶性樹脂の溶解性パラメータSP1と該ワックス分散剤の溶解性パラメータSP2とが下記式(1)の関係を満たすことを特徴とするトナーに関する。
0≦SP1−SP2≦1.3 式(1)
0≦SP1−SP2≦1.3 式(1)
0≦SP1−SP2≦1.3 式(1)
の関係を満たすことが重要となる。両者の溶解性パラメータがこの範囲にあるとき、ワックス分散剤と結晶性樹脂の親和性が向上し、ワックスおよび結晶性樹脂の分散性が向上する。ワックス分散性の分散性向上によりホットオフセット性、結晶性樹脂の分散性向上により低温定着性がそれぞれ向上する。SP1−SP2がマイナスになるときは、ワックス分散剤の溶解性パラメータが大きくなりすぎ、ワックス分散性が悪化する。SP1−SP2が1.3より大きい場合は溶解性パラメータの差が大きくなり、結晶性樹脂とワックス分散剤の親和性が上がらず、本発明の効果は発現しない。
本発明では、ポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーが結合したグラフト重合体であって、該スチレンアクリル系ポリマーが、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来のユニットを有し、該結晶性樹脂の溶解性パラメータSP1と該ワックス分散剤の溶解性パラメータSP2とが上記式(1)の関係を満たすことを特徴とする重合体をワックス分散剤として用いた。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、分岐ポリマーを作成する場合には、結着樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
本発明のトナーは、結晶性樹脂を含有することが好ましい。結晶性樹脂を含むことで低温定着性が向上する。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて無機微粒子を含有させることもできる。無機微粒子は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、また長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックス、ワックス分散剤を含有する混合物を溶融混練する工程を経て製造されることが好ましい。トナーが溶融混練された後粉砕される工程において、ワックスおよびワックス分散剤のドメインがトナー表面に露出しやすい。その結果トナーの疎水化が促進され、高温高湿環境での帯電性が向上する。
本発明におけるワックス等の最大吸熱ピークのピーク温度(Tp)は、DSC Q1000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/分
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては例えば、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができる。
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
重合体の融点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/分
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<重合体1の製造例>
温度計および撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン300質量部、炭化水素ワックス(軟化点90℃)10質量部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン68.0質量部、メタクリル酸5.0質量部、メタクリル酸シクロヘキシル5.0質量部、アクリル酸ブチル12.0質量部およびキシレン250質量部の混合溶液を180℃で3時間滴下し重合し、さらにこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、重合体1を得た。得られた重合体1の諸物性を表1に示す。
重合体1の製造例において、表1となるように適宜条件を変更した以外は、重合体1の製造例と同様の操作を行い、重合体2〜15を得た。得られた重合体2〜15の諸物性を表1に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂Lを得た。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂Hを得た。
・1,6−ヘキサンジオール:34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・非晶性ポリエステル樹脂L 50質量部
・非晶性ポリエステル樹脂H 50質量部
・結晶性ポリエステル樹脂C 5質量部
・重合体1 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製) 0.3質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5分で混合した後、二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。混練時のバレル温度は、混練物の出口温度が115℃になるよう設定した。混練物の出口温度は、安立計器社製ハンディタイプ温度計HA−200Eを用い直接計測した。
トナー1の製造例において、重合体、混練条件および熱処理手法を表2となるように適宜条件を変更した以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2〜22を得た。製造条件およびトナー物性を表2に示す。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7質量部
MnCO3 29.5質量部
Mg(OH)2 6.8質量部
SrCO3 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに添加し、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を充填コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<評価1:低温定着性>
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5051を用い、定着温度、プロセススピードを自由に設定できるように改造した。この改造機のシアン位置の現像器に二成分系現像剤を入れ、静電潜像担持体または、紙上のトナーの載り量が所望になるように現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワーを調整し、後述の評価を行った。結果を表4に示す。
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:1.20mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の中心に10cm2の画像を配置
定着試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
A:濃度低下率1.5%未満
B:濃度低下率1.5%以上、2.0%未満
C:濃度低下率2.0%以上、2.5%未満
D:濃度低下率2.5%以上3.0%未満
E:濃度低下率3.0%以上
濃度低下率の値が小さいほど優れている。
高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)で静電潜像担持体の載り量が0.35mg/cm2となるように調整し、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、及び捕集されたトナー質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)とした。
A:静電潜像担持体上Q/Mが36.0mC/kg以上
B:静電潜像担持体上Q/Mが33.0mC/kg以上、36.0mC/kg未満
C:静電潜像担持体上Q/Mが31.0mC/kg以上、33.0mC/kg未満
D:静電潜像担持体上Q/Mが29.0mC/kg以上、31.0mC/kg未満
E:静電潜像担持体上Q/Mが29.0mC/kg未満
高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)で静電潜像担持体の載り量が0.35mg/cm2となるように調整し、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、及び捕集されたトナー質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)とした。
A:静電潜像担持体上Q/M維持率が90%以上
B:静電潜像担持体上Q/M維持率が85%以上、90%未満
C:静電潜像担持体上Q/M維持率が83%以上、85%未満
D:静電潜像担持体上Q/M維持率が80%以上、83%未満
E:静電潜像担持体上Q/M維持率が80%未満
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
トナーの載り量 :0.08mg/cm2
評価画像:上記A4用紙の両末端に10cm2の画像を配置
定着試験環境:常温低湿環境:温度23℃/湿度5%RH(以下「N/L」)
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:0.2%未満
B:0.2%以上、0.5%未満
C:0.5%以上、1.0%未満
D:1.0%以上
Claims (3)
- 非晶性樹脂、結晶性樹脂、ワックス及びワックス分散剤を含むトナーであって、
該ワックス分散剤が、炭化水素ワックスにスチレンアクリル系ポリマーが結合したグラフト重合体であり、
該スチレンアクリル系ポリマーが、
(i)シクロアルキルアクリレート由来のユニット又はシクロアルキルメタクリレート由来のユニット、及び
(ii)メタクリル酸ユニット
を有し、
該結晶性樹脂の溶解性パラメータSP1と該ワックス分散剤の溶解性パラメータSP2とが下記式(1)の関係を満たすことを特徴とするトナー。
0≦SP1−SP2≦1.3 式(1) - 該グラフト重合体の酸価が5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である請求項1に記載のトナー。
- 該スチレンアクリル系ポリマーが、シクロヘキシルメタクリレート由来のユニットを有する請求項1または2に記載のトナー。
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