JP6911290B2 - 着色透光性ジルコニア焼結体及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents
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Description
上記式において、Dは各結晶の結晶子径(nm)、Kはシェラー定数(1.0)、λはCuKαの波長(0.15418nm)、βは半値幅(°)、Bは装置定数(0.1177°)、及び、θはXRDピークの回折角(°)である。半値幅を求める際のXRDピークは、正方晶が2θ=30.0±2°のXRDピーク、及び、立方晶が2θ=29.6±2°のXRDピークである。
する。)処理であることが好ましい。
(密度の測定)
焼結体試料の実測密度はアルキメデス法による水中重量を測定することにより求めた。
焼結体試料を平面研削した後、9μm、6μm及び1μmのダイアモンド砥粒を順に用いて鏡面研磨した。研磨面を1400℃で1時間保持し、熱エッチングした後、SEM観察し、得られたSEM観察図からプラニメトリック法により平均結晶粒径を求めた。
焼結体試料のXRD測定によって得られたXRDパターンを同定分析することで、各焼結体試料の結晶構造の同定、及び、不純物層の有無を確認した。XRD測定は、一般的な粉末X線回折装置(装置名:UltimaIII、リガク社製)を用い、鏡面研磨をした焼結体試料について行った。XRD測定の条件は以下のとおりである。
線源 : CuKα線(λ=0.15418nm)
測定モード : ステップスキャン
スキャン条件: 毎秒0.04°
発散スリット: 0.5deg
散乱スリット: 0.5deg
受光スリット: 0.3mm
計測時間 : 1.0秒
測定範囲 : 2θ=20°〜80°
XRDパターンの同定分析には、XRD解析ソフトウェア(商品名:JADE7、MID社製)を用いた。
結晶相の同定と同様な測定方法で得られたXRDパターンの2θ=27°〜30°の範囲について、シェラー式を使用して焼結体試料の平均結晶子径を求めた。
D=K×λ/((β−B)×cosθ)
上記式において、Dは平均結晶子径(nm)、Kはシェラー定数(1.0)、λはCuKαの波長(0.15418nm)、βは半値幅(°)、Bは装置定数(0.1177°)、及びθはメインピークの回折角(°)である。
なお、メインピークは、ジルコニアの立方晶(111)面に相当するピーク、及び、正方晶(111)面に相当するピークが重複するピークを単一ピークとみなした。
また、半値幅は、Rigaku社製Integral Analysis for Windows(Version 6.0)を用いて求めた。
結晶構造の同定と同様な測定方法で得られたXRDパターンをリートベルト解析することにより、焼結体試料中の立方晶及び正方晶の各結晶構造の割合、結晶子径、及び、格子定数を求めた。リートベルト解析は汎用のプログラム(Rietan−2000)を用いた。
得られた格子定数から、以下の式に基づいて正方晶中のY2O3濃度を求めた。
YO1.5=(1.0223−cf/af)/0.001319
Y2O3=100×YO1.5/(200−YO1.5)
上記式において、YO1.5はイットリア濃度、cf及びafは、それぞれ、リートベルト解析で求めた正方晶蛍石型構造のc軸及びa軸の格子定数である。
(透過率の測定)
JIS K321−1の方法に準じた方法によって、試料の全光線透過率、拡散透過率、及び直線透過率をUV−VISにより測定した。測定条件は以下のとおりである。
光源 :重水素ランプ、及び、ハロゲンランプ
測定波長 :200〜800nm
測定ステップ :1nm
UV−VIS測定には、一般的なダブルビーム方式の分光光度計(装置名:V−650型、日本分光社製)を使用した。
測定試料には直径16mm、厚さ1.0mmの円板状成形体を用いた。測定に先立ち、測定試料の両面を研磨し、表面粗さRaを0.02μm以下に鏡面研磨した。
測定試料として試料厚みを1mmに加工し、表面粗さRa=0.02μm以下に両面鏡面研磨したものを用いた。測定はJIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」の5.3項及び5.4項に準じて、精密型分光光度色彩計(装置名:TC−1500SX、東京電色製)を用いて行った。測定は、裏面に常用標準白色板を置いた測定試料にD65光線を当て、測定試料を透過した光を当該白色板で反射させ、再度測定試料を透過した光を測定して、明度L*、色相a*およびb*を求めた。なお、測定にはD65光線を使用した。
ISO/DIS6872に準じた二軸曲げ強度測定によって、試料の二軸曲げ強度を測定した。測定試料の厚みは1mmとして、両面鏡面研磨した試料について測定した。
JIS R1607に準じた方法により、試料の破壊靱性をIF法により測定した。測定試料としては、表面粗さRaを0.02μm以下に鏡面研磨したものを試料に用いた。ひとつの試料に対して測定を5回行い、その平均値を試料の破壊靱性値とした。IF法における測定条件は以下のとおりである。
押し込み加重 :5kgf
焼結体の弾性率 :205GPa
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末(BET比表面積が7m2/g、商品名:TZ−3YS、東ソー製)、酸化ランタン粉末及び酸化ネオジム(Nd2O3)粉末を以下の割合となるように混合し、混合粉末を得た。
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末 :90重量%
酸化ランタン粉末 :9重量%
酸化ネオジム粉末 :1重量%
酸化ネオジム粉末の代わりに酸化プラセオジム(Pr6O11)粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表1、評価結果を表2に示した。
酸化ネオジム粉末の代わりに酸化エルビウム(Er2O3)粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表1、評価結果を表2に示した。
酸化ネオジム粉末の代わりに酸化セリウム(CeO2)粉末を使用したこと、一次焼結温度を1475℃としたこと、及び、HIP処理後の熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表1、評価結果を表2に示した。
酸化ネオジム粉末の代わりに酸化鉄(Fe2O3)粉末を使用したこと、混合粉末を以下の組成としたこと以外は実施例1と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表3、評価結果を表4に示した。
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末 :90.0重量%
酸化ランタン粉末 :9.95重量%
酸化鉄粉末 :0.05重量%
該焼結体は明度L*が75.4、色相a*が0.4及びb*が20.9の薄青色の色調を呈し、全光線透過率の最大値が70.0%(測定波長:800nm)及び直線透過率の最大値が54.0%(測定波長:800nm)であり、高い透明性を有する青色透光性ジルコニア焼結体であった。
酸化鉄粉末の代わりに酸化マンガン(MnO)粉末を使用したこと以外は実施例5と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表3、評価結果を表4に示した。
酸化鉄粉末の代わりに酸化クロム(Cr2O3)粉末を使用したこと以外は実施例5と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表3、評価結果を表4に示した。
酸化鉄粉末の代わりに酸化銅(CuO)粉末を使用したこと以外は実施例5と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表3、評価結果を表4に示した。
酸化鉄粉末の代わりに酸化銅(CuO)粉末を使用したこと以外は実施例5と同様な方法で本実施例のジルコニア焼結体を得た。本実施例のジルコニア焼結体の物性を表3、評価結果を表4に示した。
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末(BET比表面積が7m2/g、商品名:TZ−3YS、東ソー製)及び酸化エルビウム(Er2O3)粉末を以下の割合となるように混合し、混合粉末を得た。
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末 :99重量%
酸化エルビウム粉末 :1重量%
得られた混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア焼結体を得た。
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末(BET比表面積が7m2/g、商品名:TZ−3YS、東ソー製)及び酸化鉄(Fe2O3)粉末を以下の割合となるように混合し、混合粉末を得た。
3mol%イットリア含有ジルコニア粉末 :99.5重量%
酸化鉄粉末 :0.5重量%
得られた混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様な方法で本比較例のジルコニア焼結体を得た。
Claims (9)
- 立方晶ドメイン及び正方晶ドメインを有する結晶粒子を含み、安定化剤としてイットリア、スカンジア、カルシア、及びマグネシアからなる群の少なくとも1種及びランタンを固溶し、なおかつ、ランタン以外のランタノイド又は遷移金属の少なくともいずれかを含有することを特徴とするジルコニア焼結体。
- CuKαを線源とする粉末X線回折パターンにおける2θ=30±2°の半値幅から算出される平均結晶子径が255nm以下である請求項1に記載のジルコニア焼結体。
- ランタン以外のランタノイド又は遷移金属の少なくともいずれかの含有量が、0.01wt%以上5wt%以下である請求項1又は2に記載のジルコニア焼結体。
- ランタン含有量が1mol%以上、10mol%以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
- 曲げ強度が500MPa以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
- 試料厚さ1mm及び測定波長300〜800nmにおける全光線透過率の最大値が45%以上である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体。
- ランタン以外のランタノイド原料又は遷移金属原料の少なくともいずれか、ジルコニア原料、安定化剤原料及びランタン原料を混合して混合粉末を得る混合工程、得られた混合粉末を成形して成形体を得る成形工程、得られた成形体を1650℃以上の焼結温度で焼結して焼結体を得る焼結工程、及び、焼結温度から1000℃までを5℃/min以上の降温速度で降温する降温工程、を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
- 前記焼結工程が、1000℃以上1650℃ 未満で焼成して一次焼結体を得る一次焼結、及び、該一次焼結体を1650℃以上で焼結する二次焼結を含む請求項7に記載の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体を含む部材。
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