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JP6910161B2 - 鞍乗り型車両の車体フレーム構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鞍乗り型車両の車体フレーム構造に関するものである。
自動二輪車等の鞍乗り型車両の車体フレーム構造として、ステアリング軸を回動自在に支持するヘッド部と、そのヘッド部から車体後方に延出する左右一対のメインフレームとを備え、左右のメインフレームの前縁部に、パワーユニットを支持するためのハンガー部が延設されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の車体フレーム構造は、ヘッド部と左右のメインフレームが金属材料によって形成されるとともに、左右のハンガー部が金属製のクロスメンバによって連結されている。この車体フレーム構造においては、クロスメンバによって左右のメインフレームの左右方向の曲げ剛性を高めることができ、しかも、クロスメンバが左右のメインフレームの主要部よりも下方に配置されていることから、クロスメンバの上方側にエアクリーナ等の部材をクロスメンバと干渉することなく配置することができる。
特開2011−73590号公報
ところで、自動二輪車等の鞍乗り型車両においては、ヘッド部の前後方向の変位を抑制してキャスター角(ステアリング軸の傾斜角)を維持できることが、車両の操向性能を高めるうえで有利となる。このため、左右のメインフレームを有する車体フレームにおいては、左右のメインフレームの上縁部の開き方向の変形を抑えることが重要となる。
このため、上記従来の車体フレーム構造の場合も、クロスメンバを左右のメインフレームの上縁部に配置することが望ましいが、クロスメンバを左右のメインフレームの上縁部に配置すると、クロスメンバがエアクリーナや電装部品等のメインフレーム間に配置される部材と干渉し易くなり、メインフレーム間の部材配置の自由度が狭められてしまう。
そこで本発明は、左右のメインフレーム間に充分な部材配置空間を確保しつつ、左右のメインフレームの上縁部の剛性を高めて車両の操向性能を高めることができる鞍乗り型車両の車体フレーム構造を提供しようとするものである。
本発明に係る鞍乗り型車両の車体フレーム構造は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る鞍乗り型車両の車体フレーム構造は、ステアリング軸を回動自在に支持するヘッド部(11)と、前記ヘッド部(11)から車体後方に延出する左右一対のメインフレーム(12L,12R)と、左右一対のメインフレーム(12L,12R)を連結するクロスメンバ(40)と、を備えた鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、各前記メインフレーム(12L,12R)は金属材料から成り、前記クロスメンバ(40)は、各前記メインフレーム(12L,12R)を構成する金属材料よりも車体幅方向の比剛性の高い部材から成り、各前記メインフレーム(12L,12R)には、車両駆動用のパワーユニット(PU)を支持するハンガー部(30)が設けられ、前記クロスメンバ(40)は、各前記メインフレーム(12L,12R)の前記ハンガー部(30)よりも上方に配置されるとともに、各前記メインフレーム(12L,12R)の上縁近傍に架設されていることを特徴とする。
上記の構成により、クロスメンバ(40)が金属材料よりも車体幅方向の比剛性の高い部材によって形成されているため、クロスメンバ(40)を金属材料によって形成する場合に比較してクロスメンバ(40)の断面を小さくすることができる。このため、クロスメンバ(40)の小断面化と、左右のメインフレーム(12L,12R)の左右方向の変形防止を図ることができる。
この場合、クロスメンバ(40)が左右のメインフレーム(12L,12R)よりも車体幅方向の比剛性の高い部材によって形成されているため、クロスメンバ(40)をパワーユニット(PU)の支持部から離間したメインフレーム(12L,12R)の上縁近傍に配置しても、左右のメインフレーム(12L,12R)の左右方向の変形を抑制することができる。したがって、クロスメンバ(40)の周囲に大きな部材配置空間を確保することができる。
前記クロスメンバ(40)を構成する部材は、炭素繊維が車体幅方向に揃うように配向された炭素繊維強化樹脂によって直線状に構成されるようにしても良い。
この場合、クロスメンバ(40)の車幅方向の引っ張り剛性が直線状の炭素繊維強化樹脂によって高められる。また、クロスメンバ(40)を構成する炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維が車体幅方向に揃うように配向されているため、炭素繊維をマトリクス状に配向する場合に比較して炭素繊維量を抑えて、製品コストの低減を図ることができる。
前記クロスメンバ(40)は、左右一対の前記メインフレーム(12L,12R)の間に配置されるケース部材(19)と一体的に形成されるようにしても良い。
この場合、ケース部材(19)とクロスメンバ(40)が一体的に形成されているため、クロスメンバ(40)とケース部材(19)の間に隙間を確保する必要がなく、その分、左右のメインフレーム(12L,12R)間に容易に部材を集約して配置することができる。
本発明によれば、クロスメンバが、メインフレームを構成する金属材料よりも車体幅方向の比剛性の高い部材によって構成されているため、クロスメンバの断面を大型化することなく左右のメインフレームの左右方向の変形防止を図ることができる。したがって、この構成を採用した場合には、左右のメインフレーム間に充分な部材配置空間を確保しつつ、左右のメインフレームの上縁部の剛性を高めて車両の操向性能を高めることができる。
本発明の一実施形態の鞍乗り型車両の側面図である。 本発明の一実施形態の車体フレームの平面図である。 本発明の一実施形態の車体フレームの側面図である。 本発明の一実施形態のエアクリーナの斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特別に断らない限り車両における向きと同一とする。また、図中の矢印FRは車両の前方を指し、矢印UPは車両の上方を指し、矢印LHは車両の左側方を指すものとする。
図1は、本実施形態に係る鞍乗り型車両を左側方から見た図である。
本実施形態に係る鞍乗り型車両は、前輪Wfと後輪Wrを各一つずつ有し、エンジン2によって後輪Wrが駆動される自動二輪車である。以下、本実施形態の鞍乗り型車両については、「自動二輪車1」と呼ぶものとする。
自動二輪車1の車体フレームFは、前端部に配置されて図示しないステアリング軸を回動自在に支持するヘッド部11と、ヘッド部11から左右に分岐して後斜め下方へ延出する左右一対のメインフレーム12L,12Rと、メインフレーム12L,12Rの後部領域から下方に延出する左右一対のピボットプレート13L,13Rと、メインフレーム12L,12Rの後端部から車体の後斜め上方に向かって延出する左右一対のシートフレーム14L,14Rと、を備えている。ヘッド部11には、ステアリング軸を軸支するヘッドパイプ11aが埋設されている。
なお、上記の部材のうち紙面前後で重なって隠れている部材(例えば、メインフレーム12R)は、図示都合上括弧書きで符号を付している。以下の説明では、紙面前後で重なって隠れている部材については同様に扱っている。
ヘッド部11に支持されたステアリング軸の上下の各端部には、トップブリッジ9とボトムブリッジ10が固定されている。トップブリッジ9とボトムブリッジ10には、サスペンション部材である左右のフロントフォーク15L,15Rが支持されている。フロントフォーク15L,15Rの下端部には、前輪Wfが回転自在に軸支されている。トップブリッジ9の上部には操向ハンドル4が取り付けられている。
また、ヘッド部11には、ヘッド部11の前方を覆うフロントカウル16が取り付けられている。
メインフレーム12L,12Rの上部には燃料タンク50が取り付けられている。燃料タンク50の後部側のシートフレーム14L,14Rには乗員が着座するためのシート51が支持されている。
メインフレーム12L,12Rの下方には、エンジン2及び変速機3を主要素とするパワーユニットPUが設置されている。パワーユニットPUは、メインフレーム12L,12Rとピボットプレート13L,13Rに支持されている。パワーユニットPUのエンジン2は、シリンダ部2aが前部上方側に起立している。シリンダ部2aの上方側には吸気管8が接続され、シリンダ部2aの下方側には排気管7が接続されている。
左右のメインフレーム12L,12Rの前部寄りの下縁には、後斜め下方に延出するハンガー部30が一体に設けられている。エンジン2の一部は、そのハンガー部30に支持されている。
吸気管8には、図示しないスロットルボディを介してエアクリーナ19が接続されている。エアクリーナ19は、シリンダ部2aの上方の左右のメインフレーム12L,12R間に配置されている。
また、排気管7は、シリンダ部2aの下方から車体後方側に引き回され、その後端部にマフラー6が接続されている。
左右のピボットプレート13L,13Rにはピボット軸35が設けられている。ピボット軸35には、スイングアーム34の前端部が上下揺動可能に軸支されている。スイングアーム34の後端部には、後輪Wrが回転可能に軸支されている。後輪Wrの車軸は、パワーユニットPUの出力軸36に、ドライブチェーン37を介して動力伝達可能に接続されている。
図2は、車体フレームFの主要部を上方から見た図であり、図3は、車体フレームFの主要部を左側方から見た図である。
車体フレームFは、図2,図3に示すように、ヘッド部11と左右のメインフレーム12L,12Rの前部領域の一部と、左右のメインフレーム12L,12Rの中間部領域と、左右のピボットプレート13L,13Rとメインフレーム12L,12Rの後部領域とが、それぞれアルミニウム合金等の金属材料によって鋳造されている。これらの金属ブロックの主要部は中空に形成されている。また、これらの金属ブロックは鋳造後に相互に溶接等によって接合されている。
左右のメインフレーム12L,12Rは、図2に示すように、ヘッド部11から車体後方に向かって互いの離間幅が緩やかに広がり、その後に互いの離間幅が緩やかに狭まりつつ車体後方側に延出している。左右のメインフレーム12L,12Rの離間幅が最大になる領域間にはクロスメンバ40が架設されている。クロスメンバ40は、左右のメインフレーム12L,12Rに連結されることにより、ステアリング軸を介した前輪Wrからの荷重入力等によって左右のメインフレーム12L,12Rが開き方向に変形するのを規制する。また、図2に示すように、左右のピボットプレート13L,13Rの間には、金属製のクロスパイプ45が架設されている。
クロスメンバ40は、メインフレーム12L,12Rの鋳造部の金属材料よりも高比剛性の材料によって形成されている。本実施形態の場合、クロスメンバ40は、後部側のクロスパイプ45の径の半分程度の径の丸棒状の炭素繊維強化樹脂によって形成されている。クロスメンバ40を構成する炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維が車体幅方向に揃うように配向されている。
なお、金属材料よりも高比剛性の材料は、炭素繊維強化樹脂に限るものではなく、炭素繊維以外の素材で比剛性を高めた樹脂等であっても良い。
クロスメンバ40は、炭素繊維強化樹脂によって小径の丸棒状に形成され、左右の端部がメインフレーム12L,12Rの上縁部に係止固定されている。左右のメインフレーム12L,12Rに対するクロスメンバ40の係止固定は、例えば、図2に示すように、クロスメンバ40の端部に楔状の係止部41を設け、その係止部41を左右のメインフレーム12L,12Rの上部に形成された蟻溝状の係合溝42に係止させるようにしても良い。また、係止部41は対応する係合溝42内にさらに接着したり、締結手段によって締結するようにしても良い。
また、クロスメンバ40の両端部を左右のメインフレーム12L,12Rに連結するに際しては、左右のメインフレーム12L,12Rの離間幅が最大になる領域に近接方向のプレロードをかけ、その状態でクロスメンバ40を左右のメインフレーム12L,12Rに係止固定する。これにより、クロスメンバ40には常に適度な張力が作用することになる。
なお、クロスメンバ40は、左右のメインフレーム12L,12Rのハンガー部30の下端のほぼ直上位置に配置されている。
図4は、エアクリーナ19とクロスメンバ40を示す斜視図である。
本実施形態においては、クロスメンバ40はエアクリーナ19(ケース部材)のボックス部19aの左右の側壁を貫通し、その状態でボックス部19と一体に形成されている。なお、クロスメンバ40は、エアクリーナ19を貫通せずにエアクリーナ19の上壁や下壁に一体に形成するようにしても良い。
以上のように、本実施形態に係る車体フレーム構造では、左右のメインフレーム12L,12Rに架設されるクロスメンバ40が金属材料よりも高比剛性の材料によって形成されているため、クロスメンバ40を金属材料によって形成する場合に比較してクロスメンバ40の断面を小型化することができる。
したがって、本実施形態の車体フレーム構造を採用した場合には、左右のメインフレーム12L,12Rに架設されるクロスメンバ40の周囲に充分な部材配置空間を確保しつつ、左右のメインフレーム12L,12Rの上縁部の剛性を高めて車両の操向性能を高めることができる。
特に、本実施形態に係る車体フレーム構造の場合、高比剛性の材料から成るクロスメンバ40が、メインフレーム12L,12Rのハンガー部30よりも上方位置で左右のメインフレーム12L,12Rの上縁部に架設されているため、メインフレーム12L,12Rの開き方向の変形を確実に規制しつつ、クロスメンバ40の周囲に大きな部材配置空間を確保することができる。
また、本実施形態に係る車体フレーム構造においては、炭素繊維が車体幅方向に揃うように配向された炭素繊維強化樹脂によってクロスメンバ40が構成されているため、クロスメンバ40の車幅方向の引っ張り剛性を大幅に高めることができる。
さらに、クロスメンバ40を構成する炭素繊維強化樹脂が、炭素繊維が車体幅方向に揃うように配向されているため、炭素繊維をマトリクス状に配向する場合に比較して炭素繊維量を抑え、製品コストの低減を図ることができる。
さらに、実施形態に係る車体フレーム構造においては、クロスメンバ40がエアクリーナ19のボックス部19aと一体的に形成されているため、クロスメンバ40とエアクリーナ19の間の隙間を無くすことができる。したがって、この構成を採用した場合には、左右のメインフレーム間に部材を容易に集約して配置することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、クロスメンバ40がケース部材であるエアクリーナ19と一体に形成されているが、クロスメンバ40は、電装部品を収納する電装ケース等のエアクリーナ以外のケース部材と一体に形成するようにしても良い。
また、本発明に係る鞍乗り型車両は、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)に限らず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の小型車両も含まれる。
1…自動二輪車(鞍乗り型車両)
11…ヘッド部
12L,12R…メインフレーム
19…エアクリーナ(ケース部材)
30…ハンガー部
40…クロスメンバ
F…車体フレーム
PU…パワーユニット

Claims (3)

  1. ステアリング軸を回動自在に支持するヘッド部(11)と、
    前記ヘッド部(11)から車体後方に延出する左右一対のメインフレーム(12L,12R)と、
    左右一対のメインフレーム(12L,12R)を連結するクロスメンバ(40)と、を備えた鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、
    各前記メインフレーム(12L,12R)は金属材料から成り、
    前記クロスメンバ(40)は、各前記メインフレーム(12L,12R)を構成する金属材料よりも車体幅方向の比剛性の高い部材から成り、
    各前記メインフレーム(12L,12R)には、車両駆動用のパワーユニット(PU)を支持するハンガー部(30)が設けられ、
    前記クロスメンバ(40)は、各前記メインフレーム(12L,12R)の前記ハンガー部(30)よりも上方に配置されるとともに、各前記メインフレーム(12L,12R)の上縁近傍に架設されていることを特徴とする鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
  2. 前記クロスメンバ(40)を構成する部材は、炭素繊維が車体幅方向に揃うように配向された炭素繊維強化樹脂によって直線状に構成されていることを特徴とする請求項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
  3. 前記クロスメンバ(40)は、左右一対の前記メインフレーム(12L,12R)の間に配置されるケース部材(19)と一体的に形成されていることを特徴とする請求項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
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